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1部   文化の振興
第3章  文化財を守り,活かすために
第3節  文化財の保存と活用の推進
5  埋蔵文化財


貝塚,古墳,住居跡などの遺跡や,土器,石器などの遺物が土地に埋蔵されている場合,これを埋蔵文化財といい,埋蔵文化財を包蔵している土地を埋蔵文化財包蔵地という。

埋蔵文化財は,土中に埋蔵されているものであることから,どのような文化財がどのような状態で埋蔵されているものか,地表から判断することは困難である。また,埋蔵文化財包蔵地は,従来からその存在が知られていたり,地表で識別できる場合もあるが,土中にあって専門家以外にはその所在が分からず,あるいは未発見のままとなっていて工事等の際に新たに発見されるものもある。このような埋蔵文化財の性格が,その保護を困難なものにしている。

埋蔵文化財包蔵地は,都道府県による分布調査の結果を総合すると,現在,全国に約30万か所程度あるものと考えられている。このため,近年の全国的な国土開発の進展に合わせ,その保護についての開発事業者との更なる調整等が必要となってきている。

今後とも,埋蔵文化財の保護の重要性について,開発事業者を含めた国民一般の意識を高めていく必要があると考えられる。


(1) 埋蔵文化財包蔵地の把握と周知

文化財保護法上,埋蔵文化財包蔵地として周知されている土地における工事等については,届出等を要することとされる。工事等による新たな遺跡の発見についても同様の制度を設け,一定の保護の下に置くこととされている( 1-3-8 )。

1-3-8  埋蔵文化財の保護の流れ

1-3-9  埋蔵文化財包蔵地の所在状況を示す資料の有無

埋蔵文化財を保護するためには,埋蔵文化財包蔵地の所在を把握し,これを一般に周知しておくことが重要である。このため,文化庁及び地方公共団体においては,全国的な埋蔵文化財の分布調査や大規模な開発事業計画に伴う分布調査,試掘調査を行い,所在状況の把握と「全国遺跡分布地図」の作成や「遺跡発掘事前総合調査」(遺跡カルテ)等の方法により,その周知の徹底に努めてきた。「文化財保護行政に関する意識調査」によれば,地方公共団体における埋蔵文化財包蔵地の所在に関する資料の具備状況は, 1-3-9 のとおりである。


(2) 開発事業等に対する対応

埋蔵文化財包蔵地において開発事業等が行われる場合,通常,その計画段階において都道府県又は市町村の教育委員会と事業者とが事前協議を行い,遺跡の重要度に応じて,1)事業地区に含めないもの,2)事業地区に含めるが,計画の一部変更等によって保存を図るもの,3)発掘調査を行って記録を残すものなどに区分して取扱いを調整することとしている。平成3年度における開発事業に伴う発掘調査件数は約8,200件である。

また,文化財保護と開発事業等との調整を行うためには,都道府県又は市町村の内部において文化財保護担当部局と他部局との連絡・調整ルールが設けられていることが望ましいが,「文化財意識調査」によれば,都道府県においては9割以上が,市区町村においては5割以上が連絡・調整ルールを設けており( 1-3-10 ),今後更にその充実を図っていく必要がある。

1-3-10  文化財保護担当部局と他部局との連絡・調整ルールの有無

開発事業等に伴って行われる発掘調査の経費については,発掘調査の実施の必要性を生じさせる原因となった事業の事業者に協力を求めるのを原則としており,個人が行う住宅の建設など,調査経費の負担を求めることが適当でない場合については,国庫補助により地方公共団体が調査を行うこととしている。平成3年度における発掘調査経費の負担状況は, 1-3-11 のとおりである。

開発事業等との調整の円滑な実施等については,従来から,文化庁は関係省庁や大規模な開発事業を行う公団等の間で,埋蔵文化財包蔵地の取扱いに関して包括的な協議を行うとともに,各地方公共団体を指導してきた。昭和60年の臨時行政改革推進審議会答申では,埋蔵文化財調査の迅速化について指摘がなされ,これを受けて,文化庁は,地方公共団体に対し,「埋蔵文化財の保護と発掘調査の円滑化について」と題する通知を発した。

また,埋蔵文化財に関する届出,調整,指示等の事務処理の迅速化を図るとともに,地方公共団体における埋蔵文化財担当職員の増員や発掘調査担当財団の設立などにより,発掘調査の迅速化を図っている。

1-3-11  埋蔵文化財発掘調査経費の負担状況(平成3年度)


(3) 埋蔵文化財調査センター等

近年の国土の急速な開発に伴い,埋蔵文化財の発掘調査量(調査面積)が急増する一方,検出される出土文化財の数も膨大になってきている。

このため,地方公共団体における発掘調査作業の拠点として埋蔵文化財調査センターが整備されてきている。昭和49年度の大阪府高槻市を始めとして,平成5年度末までには,全国に44館が設置される予定である。また,同センターに対する資金面の援助ばかりでなく,奈良国立文化財研究所の埋蔵文化財センターにおいて,地方公共団体の埋蔵文化財担当職員の資質向上を図るため,発掘調査に関する各種研修を行っている。

また,発掘調査の充実に加えて,良好な保管施設の不足に伴う出土文化財の劣化という事態に対処するため,発掘された文化財を集中的に管理・保管し,併せてその公開を容易にするための施設として,公立の出土文化財管理センターが建設されている。


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