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1部   文化の振興
第3章  文化財を守り,活かすために
第3節  文化財の保存と活用の推進
4  記念物


有形文化財,無形文化財と並ぶ文化財の種類の一つである記念物は,

1) 貝塚,古墳,都城跡等の遺跡で我が国にとって歴史上又は学術上価値の高いもの
2) 庭園,峡谷,海浜等の名勝地で我が国にとって芸術上又は鑑賞上価値の高いもの
3) 動物,植物及び地質鉱物で我が国にとって学術上価値の高いものの総称である。

国は,これらの記念物のうち重要なものを,上記の種類に従って,それぞれ「史跡」,「名勝」又は「天然記念物」に指定し,さらに,そのうち特に重要なものについては,それぞれ「特別史跡」,「特別名勝」又は「特別天然記念物」に指定して保護を図っている。

現在,史跡は新発見の遺跡,中世の城郭,産業・交通関係の遺跡を中心に,名勝は庭園を中心に,天然記念物は動植物の全国実態調査により保存すべきであるとされたものなどを中心に指定を進めている。


(1) 指定
1) 史跡

史跡は,貝塚,古墳,城跡等の遺跡のうち,我が国の歴史を理解する上で欠くことができず,かつ,規模,出土遺物等において価値の高い重要なものであり,平成5年7月1日現在1,338件が指定されている。

およそ遺跡は,過去の人々の政治,生産活動,生活,宗教その他のあらゆる活動に伴って形成されたものであるため,その性格は極めて多様である。これを類型的にまとめると,当時の人々の生活及び埋葬・祭祁に関するもの(貝塚,古墳,住居跡等),都城跡及び国・群庁跡等の国の政治・軍事に関するもの,社寺跡その他の宗教に関するもの,藩学・私塾等の教育に関するもの,薬園跡・慈善施設など,公園・街道・関跡.窯跡等の広く交通,産業,土木に関するもの,墳墓・碑など,旧宅・園池・由緒地等,外国又は外国人に関するものなどに分けることができる。遺跡の種類別,時代別の史跡指定件数は 1-3-7 のとおりである。平成4年度においては,新たに,西の登呂遺跡として名高い弥生時代の集落である「安国寺集落遺跡」(大分県)など,6件の史跡指定を行った。

1-3-7  史跡の種類別・時代別指定件数(平成5年7月1日現在)


2) 名勝

名勝は,山岳,峡谷,海浜等の自然を主体としたものと,庭園,公園等の人工の造形を主体としたものとに区分することができるが,いずれも景観上あるいは芸術上価値の高い,我が国の優れた国土美として欠くことのできない重要なものである。平成5年7月1日現在その両者を合わせて292件が指定されており,これを種類別に示すと 1-3-8 のとおりである。平成4年度においては,特別史跡として既に指定されていた「平城京左京三条二坊宮跡庭園」(奈良県)を,特別名勝として新たに指定した。

1-3-8  名勝の種類別指定数(平成5年7月1日現在)

特別史跡・特別名勝 平城京左京三条二坊宮跡庭園(奈良県)


3) 天然記念物

天然記念物は,動物,植物,地質鉱物及びそれらが総合的に高い価値を形成している天然保護区域に区分されるが,いずれも我が国の国土を構成している自然を記念する重要なものである。平成5年7月1日現在合わせて954件が指定されており,これを種類別に示すと 1-3-9 のとおりである。

1-3-9  天然記念物の種類別指定数(平成5年7月1日現在)

天然記念物の指定は,これまで,昭和40年代前半に行った全国の植生及び貴重な動植物の所在状況調査の結果把握された重要なものについて順次行うとともに,新たに発見された化石その他の鉱物等についても行ってきた。


(2) 史跡等の保存

史跡等に指定された地域等については,現状を変更し,あるいはその保存に影響を及ぼす行為をしようとする場合,文化財保護法により,文化庁長官の許可を要することとされている。平成4年度の現状変更等の許可件数は,合計2,210件であった。

現状変更等の制限は,史跡等の保護にとって必要なものである一方,土地等の利用規制を内容とするため,開発事業等との調整を必要とする場合や,史跡等の指定地の所有者にとっては財産権に対する制約となる場合もある。したがって,具体的な現状変更等についての可否の判断に際しては,史跡等の保護とともに財産権や他の公益との調整にも留意する必要がある。

なお,規制により財産権につき一定限度を超える損失を生じた場合については補償を要するが,従来,地方公共団体が国庫補助を受けて,その規制対象の土地等を買い取ることによって実質的な補填に配慮している。


(3) 史跡等の整備・活用

国は,史跡等を将来にわたって保存するとともに広く活用を図るため,国庫補助によりその整備を行っている。従来,史跡等の保護は,現状保存に重点を置いてきたが,近年では,広く国民の間において,文化財に触れるなど文化財のある豊かなくらしが求められるようになってきている。また,まちづくり・むらおこしに文化財を活用しようとする動きも高まっていることから,平成元年度から「ふるさと歴史の広場」(史跡等活用特別事業)を実施しており,平成4年度からは,かつて我が国の政治・経済・社会・文化の中心として機能していた国分寺・国府等の史跡等を地域の中核史跡として整備活用する「地域中核史跡等整備特別事業」を実施するなど,新たな観点からの活用整備を進めている。

平成4年度は,前者については,「今城塚古墳附新池埴輪製作遺跡」(大阪府)など新規に4件に対し補助を行うとともに,後者については,「高山陣屋跡」(岐阜県),他1件に対する補助を行った。

さらに,平成5年度から地域の歴史文化の理解の一助とするとともに,史跡等文化財の周囲の環境の保護を含めた文化財保護の一層の促進を図るため,毎年5月の第2土曜田こ,全国各地で,我が国の歴史を理解する上で極めて重要な古道など,いわゆる「歴史の道」を歩き,周辺の史跡等文化財にふれる事業(歩き・見・ふれる歴史の道事業)を文化庁の主唱で行っている。


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