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1部   文化の振興
第3章  文化財を守り,活かすために
第2節  文化財の保存と活用のこれから
2  文化財の保存と活用に関する改善の方向


前述の文化財保護企画特別委員会の報告は,今後の文化財の保存と活用に関する改善の方向について広範多岐な内容を示しているが,その大要は次のとおりである。


(1) 文化財保護の対象・保護措置の拡大
1) 重点主義・厳選主義のため,指定されていない文化財(いわゆる裾野部分)への保護措置の拡大,現在指定対象とされていない伝統的な生活文化・技能等に対する保護対象分野の拡大,近代の文化遺産等への保護措置の拡大などについて,それぞれ検討する必要がある。
2) 美術工芸品,建造物,史跡名勝天然記念物,民俗文化財などについての文化財の種類の枠を超えた総合的・一体的な保護,動植物に係る文化財についての生息・生育地を保護する地域指定方式の活用,景観・環境をも含めた文化財の保護について,それぞれ検討する必要がある。
3) 文化財指定制度を補完する制度としていわゆる登録制度(文化財として指定されていないが,その保存が望ましい物件についてあらかじめ目録に登録しておき,現状を変更したり,処分する場合には届出義務を課し,当局が対応策を検討する制度)の導入,記録作成措置の拡大について検討する必要がある。
4) 埋蔵文化財の発掘調査の迅速化,出土品の管理方法の改善,発掘調査成果の活用,普及などについて促進を図る必要がある。
5) 民間の文化財保護活動に対する支援の充実を図る必要がある。

(2) 文化財の保存伝承基盤の充実
1) 文化財に関する学習活動,特に学校教育における学習活動の充実を図る必要がある。
2) 資格制度導入等による後継者等人材の確保,修理修復資材の確保に努める必要がある。
3) 大学・研究機関等において,文化財の保存・活用の総合的研究分野として,「文化財学」の振興を図る必要がある。

(3) 文化財の活用の推進
1)博物館,美術館,劇場等の文化財公開施設の基準の明確化,また,地方におけるこれら公開施設等の整備,支援とともに,国立の博物館や劇場等の整備,充実を図る必要がある。
2) 史跡の整備,特に失われた歴史的建造物等の復元に関しては,個別計画において,復元の是非及びその方法等について,十分検討が行われるよう指導する必要がある。
3) 史跡等の文化財の整備・活用については,地域活性化施策・文化財関連産業振興施策との調整・連携を進める必要がある。
4) 文化財の活用,文化財保護の調査研究を促進するため,文化財情報システムの構築を進める必要がある。

(4) 文化財の国際交流,協力の推進
1) 文化財を活用した国際交流の推進のため,日本伝統文化の海外紹介事業・博物館・美術館・文化財研究所の相互の交流などを推進する必要がある。
2) 世界的な文化遺産や海外日本古美術品の保護への協力を進める必要がある。
3) 文化財保護の国際交流・協力を組織的・効果的に行う機関として,「国際文化財保存修復センター(仮称)」を早期に設置する必要がある。

(5) 文化財保護行政の体系化と機能の強化
1) 文化財保護における地方公共団体の役割の増大,国と地方のそれぞれの役割の明確化と両者の連携の強化を図る必要がある。
2) 地方における文化財保護行政担当者(専門職員)の配置の促進,身分の安定化,処遇の改善,資質の向上等を図る必要がある。
3) 国の文化財保護行政の機能の強化(文化庁の政策立案機能等の強化,地方公共団体に対する技術的・専門的支援の強化)を図る必要がある。
4) 文化財保護に関する広報活動の強化を図る必要がある。

文化財保護企画特別委員会によって示された方向は以上のとおりであるが,文化庁は,この審議経過報告及び今後予定されている同委員会の最終的な報告を踏まえて,制度上の措置を含め必要な施策を講じることにより,文化財の保存と活用の一層の充実を図っていくこととしている。


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