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1部   文化の振興
第3章  文化財を守り,活かすために
第1節  文化財を守り,生かすための仕組み
3  地域における文化財の保存と活用



(1) 文化財と地方公共団体の役割

文化財は極めて数が多く,広く全国に存在し,かつ,その性質上平素から周到な注意をもって保存に当たる必要があることなどから,その保護をすべて国で行うことは不可能である。しかも,文化財は,所在する地方の文化と密接な関連を有するものであって,その保存及び活用を図ることは,地方文化の向上・発展にとって極めて重要であることから,文化財保護行政に地方公共団体の果たす役割には大きいものがあり,国と地方公共団体とが一体となって総合的に文化財保護行政を展開している。


(2) 地方公共団体における文化財保護の推進

「文化財意識調査」によれば,それぞれの地方公共団体における文化財の保護状況について「十分保護が図られている」と回答した者は,4.2%にすぎず,多くの地方公共団体において,担当者や予算が少なく十分な対応が困難な中で極力努力している姿がうかがえる(1-3-5 , 6 )。 また,文化財保護行政担当者の研修制度についても,「十分ある」と回答した者は4.6%にすぎず,担当者の研修制度の充実を含め,今後の地域における文化財保護行政の一層の強化が期待される。

地方公共団体においては,国指定文化財に関し,指定に先立つ基礎的調査,無形の民俗文化財等の保存団体の育成指導や,管理団体として指定された場合の管理・修理等に当たっている。また,地方公共団体が独自で,所有者等が行う管理・修理・公開等の事業に対して援助するとともに,その区域内にある文化財の保護を図るため,文化財保護条例を定め,それに基づき,その地方公共団体にとって価値のある文化財を指定し,保存と活用を行っている。

1-3-5  文化財の保護状況

1-3-6  文化財保護が困難な理由

文化庁としては,従来から文化財保護条例の制定を奨励してきたが,平成4年5月1日現在,すべての都道府県及び全国3,261市町村中3,055市町村(93.7%)において,文化財保護条例が制定されている。これらの条例は,通常,地方公共団体による文化財の指定・選定及びその解除,所有者等による管理・修理・公開等の措置,現状変更等の制限,都道府県又は市町村による補助制度,所有者等の届出義務等を定めている。

指定の対象は,おおむね,有形文化財,無形文化財,民俗文化財及び記念物であり,中には文化財保存技術の選定を行っているものもある。文化財の指定(選定等を含む。以下同じ。)の件数は, 1-3-3 のとおり年々増加しており,平成4年5月1日現在,全国で都道府県指定が1万7,860件,市町村指定が6万7,801件となっている。

1-3-3  都道府県・市町村指定文化財件数の推移


(3) 地域における博物館等

地方公共団体においては,博物館,歴史民俗資料館等の設置による文化財の公開・調査研究や,広く―般住民を対象とした普及啓発活動にも取り組んでいる。


1) 博物館

文化財の調査研究,収集,保存,活用等を図る上で,全国各地に設置されている博物館の果たす役割は大きい。文化財の収集,展示等を行っているのは歴史博物館が中心的存在であるが,総合博物館においてもそのほとんどが歴史部門を有している。

これらの博物館の数は,社会教育調査によれば,平成2年10月現在,公立214館,私立133館,計347館である。

地域の文化財の展示については,館有品が十分とは言えないものが多く,博物館相互の連携協力が必要となっている。また,社会教育や学校教育において地域の歴史・文化の学習が重視されつつある今日歴史等の学習の場として博物館を活用するための工夫が望まれる。


2) 歴史民俗資料館

歴史民俗資料館は,地域の特色を示す民俗文化財や地域の歴史の流れを示す遺物・文書等の歴史資料を収集,保存し,これらを調査研究し,展示等を通じて地域住民に公開することによって,それを活用していくための拠点となる施設である。

国は,公立歴史民俗資料館の建設について昭和45年度から補助を開始し,平成4年度末までに474館(都道府県立12館,市町村立462館)が建設された。

地域におけるこれらの施設の役割は極めて重要で,地域的特色を示す有形の民俗文化財の収集の拠点となり,質量ともに優れたコレクションが国の重要有形民俗文化財に指定される例も見られる。今後は,その活動の核となる専門職員の資質向上,地域住民との協力,歴史民俗資料館相互の連携等を図っていく必要がある。


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