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1部   文化の振興
第2章  芸術文化の向上と普及のために
第6節  世界に広がる日本語教育
2  日本語を学ぶ世界の人々に



(1) 日本語教員の養成と資質の向上
1) 日本語教員の養成機関

国内の日本語教貝の養成は,昭和60年5月に出された日本語教育の推進に関する調査研究会の報告「日本語教貝の養成等について」により日本語教貝養成のための具体的な教育内容が提示されて以降順調に推移している。文化庁の調査によれば,平成3年11月現在,日本語教員養成課程・コース等は,国公私立の大学学部に74,大学院に11,短期大学に12設けられている。これらの機関において,日本語教育に関する理論的,実践的研究が関連領域の研究とともに進められてきており,平成3年度における受講者数は,1万2,714人となっている(国立大学の日本語教員養成課程については, 1-2-7 を参照)。

さらに,大学以外の―般の日本語教貝養成機関において,様々な形態により教員養成のための68講座・コース等が設けられている。

1-2-7  国立大学における日本語教員養成課程


2) 日本語教育能力検定試験の実施

日本語教員の専門性の確立と日本語教育の水準の向上のため,昭和62年度から(財)日本国際教育協会の主催により日本語教育能力検定試験が実施されている。この試験は,日本語教育の知識・能力が,専門家として必要な水準に達しているかどうかを審査し,証明することを目的とした試験であり,平成5年1月に実施された第6回試験では,6,846人が受験し,1,272人が合格した。


3) 日本語教員の研修

現職の日本語教員の資質向上については,従来から国立国語研究所日本語教育センターにおいて,現職日本語教員を対象に専門的知識の充実を図るため各種研修等を実施している。これには,日本語教育の中心となる人材を養成する長期専門研修,現職日本語教員力州常の活動で抱える諸問題の解決を図るための教員間のネットワークの構築を目的とする日本語教育相互研修ネットワーク等があり,例年400人程度の日本語教員が参加している。


(2) 日本語教授法・教材の研究開発等

日本語教育の内容,方法の改善及び教材の硫究開発については,従来から,留学生に対する日本語教育を中心として,関係大学において積極的に進められている。また,国立国語研究所日本語教育センターにおいては,日本語教育の基礎的研究を行うとともに,各種の日本語教育の教材を研究開発しており,国際交流基金日本語国際センターにおいても,日本語教科書等の企画・出版や,海外の日本語教育機関に対する教材の寄贈などの各種事業を行っている。

文部省は,日本語教育の実績を有している民間の日本語教育施設の中から研究協力校を指定し,日本語教育の内容・方法の改善,教材の開発等に関する研究委嘱を行っている。また,文化庁では,日本語指導者用の指導内容・方法に関する各種手引を作成するとともに,日本語教育の水準の向上に資するため,毎年度,日本語教員等による研究協議会や日本語教育機関代表者の連絡協議会を開催している。


(3) 日本語教育施設の質的向上

昭和60年代に入っての日本語学習者の急激な増加を背景として,国内の日本語教育施設の中には,教育水準や経営に問題があると指摘されるものも見受けられるようになった。このような状況がち,文部省では,日本語教育施設の質的水準を向上させ,真に日本語を学習しようとする外国人が安心して日本語を学習できるような環境を整備するため,昭和63年12月,日本語教育施設として備えるべき要件を定めた「日本語教育施設の運営に関する基準」を取りまとめた。

平成元年5月には,日本語教育振興協会が発足し(平成2年2月財団法人化),上記「基準」に基づく日本語教育施設の審査,認定事業を行っており,これまでに528施設を認定したが,95校が廃校等となり,平成5年3月末現在433施設となっている。また,これらの施設において専ら日本語を学習している就学生は,定員が約7万1,000人であるのに対し,約3万6,000人となっている。協会では,基準に適合した日本語教育施設を紹介する「日本語教育施設要覧」を作成し,海外も含め広く配布することにより就学前の情報提供を充実させるとともに,日本語教材の研究開発,教員等に対する研修会の開催,就学生に対する生活指導の充実及び入国・在留に関する助言・調査研究等日本語教育施設の質的向上を図るための諸事業を行っている。また,文部省では,協会が実施する諸事業に対し助成を行っている。

1-2-8  国内の日本語教育機関の概要

なお,外国人の入国・在留管理を行っている法務省においては,就学生の入国・在留審査に当たって協会の実施する日本語教育施設の審査結果も考慮している。


(4) 外国人、日本語能力試験の実施

外国人日本語能力試験は,国内においては昭和58年度から(財)日本国際教育協会によって実施されており,昭和59年度からは国際交流基金と日本国際教育協会の共催により海外でも実施されている。この試験は,1級(日本語学習900時間程度)から4級(同150時間程度)までの試験レベルが設定されており,このうち,1級の成績は,受験者の希望に応じて我が国の大学に通知され,各大学における私費外国人留学生の入学者選抜の際の資料として活用されている。

1-2-9  平成4年度外国人日本語能力試験の概要

平成4年度の試験では,国内(12か所)及び海外(25か国,地域,52か所)で,1級から4級の試験レベルにおいて,合計6万8,565人が受験し,そのうち3万8,951人がそれぞれの級の認定を受けている (表1-2-9)


(5) インドシナ難民・中国からの帰国者に対する日本語教育

インドシナ地域における多数の難民については,我が国としても国際社会の一員として,これら難民の我が国への定住を進めている。文部省では,定住等を希望する難民に対する4か月間の集中的な日本語教育を(財)アジア福祉教育財団に委託し,社会生活に必要な日本語能力の育成を図っている。さらに,平成元年度より,定住後も社会への適応を容易にし,日常生活を円滑に営めるようにするため,ボランティア団体等の日本語学習教室において日本語学習を継続しているインドシナ難民に教材の提供や日本語教師の派遣を行っている。

昭和47年の日中国交正常化以来,中国残留孤児やその家族等が次々と帰国するようになった。中国帰国者の定着には,日常生活に即した日本語の習得が不可欠であるので,文化庁では日本語教材及び指導参考書を作成し,これら帰国者及び帰国者に日本語教育を行う指導者に対して無償配布するとともに,指導者を対象とした研修会や研究協議会を開催し,帰国者の日本語習得の円滑化を図っている。


(6) 外国人児童生徒に対する日本語教育等

近年における社会・経済の国際化の進展等の中で,我が国に在留する外国人の数は逐年増加しており,平成4年末現在の外国人登録者数は約128万人に上っている。特に,平成2年6月の出入国管理及び難民認定法の改正以降,南米からの日系人在留者が増加し,このような趨勢の下で,日本語能力が十分でない外国人子女の我が国の学校への就学が増えている。平成3年9月に行った文部省調査によれば,日本語教育が必要な外国人児童生徒が公立小・中学校に5,463人在籍しており,これら外国人児童生徒ができる限り早く我が国の学校生活に適応できるよう,日本語指導の充実を始め必要な対応を講じる必要が生じている。

このため,平成4年度において,外国人児童生徒が学校生活を送る上で必要な基本的な事柄を題材とした日本語教材「にほんごを まなぼう」とその教師用指導書を作成したほか,外国人児童生徒を受け入れている学校における,日本語指導に対応する教員の加配を新たに行った。

また,小・中・高等学校への外国人子女の受入れに当たっての指導の在り方等について具体的な調査研究を行うための研究協力校を5校から13校へと拡充した。

さらに,平成5年度においては,第6次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画に基づく教員の加配や,研究協力校(14校)による調査研究を引き続き実施するとともに,新たに,教科学習に必要な日本語の習得のための教材(「日本語を学ぼう2」)及び教師用指導書の作成や,外国人子女の母語を理解する指導協力者が外国人児童生徒の在籍校を巡回して指導する事業の実施,外国人子女を受け入れる際の留意事項をまとめた外国人子女教育の手引の作成,外国人子女教育担当教員の研修会の開催を行うこととしている。


(7) 海外における日本語教育への協力

海外で高まっている日本語学習の需要,特に学校教育における日本語学習者の増加に対応するとともに,我が国の学校教育の国際化と地域レベルの国際交流の促進を,目的として,平成2年度から「外国教育施設日本語指導教貝派遣事業(REX計画)」を自治省及び地方公共団体と協力して実施している。この事業は,我が国の公立中・高等学校の教員を海外の中等教育施設に2年間派遣し,現地で日本語教育や日本文化の紹介等を行うものであり,派遣実績は 1-2-10 のとおりである。

1-2-10  REX計画による派遣状況

また,国際交流基金では,日本語教育専門家派遣事業のほか,オーストラリア,ニュージーランドで日本語教育を実施している高等学校に,日本語教師を2年間派遣するTAP計画(平成4年度11人)などを実施している。さらに,国際交流基金日米センターでは,アメリカで日本語教育を実施している高等学校等に,大学又は大学院の日本語学科等に在学又は卒業した者等を1年間派遣するJALEX計画(平成4年度36人)を実施している。


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