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1部   文化の振興
第1章  文化をより豊かにするために
第1節  文化振興への期待の高まりと文化政策
5  国民は文化にどのような関心を持っているか


文化庁では,平成5年2月に,民間の調査機関に委託して,全国の19歳以上の―般社会人及び全国の男女中学生・高校生(以下「生徒」という。)を対象とした「文化に関する意識調査」(以下,「文化意識調査」という。)及び全国の芸術家及び芸術団体を対象とした「芸術活動に関する意識調査」(以下,「芸術活動意識調査」という。)を実施した。

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舞台芸術の公演数の推移以下,これらの結果も参考にしながら,文化活動の状況と国民の文化に関する意識の変化を見ていくこととする。


(1) 文化活動の状況

我が国の芸術家を中心とする芸術創造活動の状況について概観すると,舞台芸術(音楽,舞踊,演劇)の公演数は,昭和62年度の2万3,656件から平成3年の3万74件へとかなり増加しており (図1-1-3) ,文学関係の新刊書籍の出版点数も,昭和62年度の6,993点から平成3年度の8,833点に増加している。また,芸術家人口も全般的に増加傾

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  分野別芸術家人口の推移 向にあり,特に音楽家とデザイナーについては著しい伸びを示している (図1-1-4)

このように,我が国の芸術家を中心とする芸術創造活動は量的に拡大を続けているが,―般国民についても,「文化意識調査」によれば過去1年間の鑑賞経験については,美術,映画を中心に高く  (図1-1-5) ,また,同じく過去1年間の文化活動への参加については,身近な分野を中心に高いものとなっている (図1-1-6)

このことは,文化への関心が優れた芸術の鑑賞といった受容の態様のみならず,自ら進んで活動に参加しようという傾向が高いということを示しているものである。

1-1-5  過去1年間の鑑賞経験の状況(―般社会人)

1-1-6  過去1年間の文化活動参加状況(―般社会人)

「文化発信社会」の構築のためには,芸術家による芸術水準の向上を目指す活動とともに,国民全般が幅広く主体的に文化を育んでいく状況が重要であり,自ら活動に参加しようという傾向は文化発信の基礎が培われつつあることを意味するものと言えようが,他方,この調査結果に現れているように,鑑賞経験,活動経験とも,文化の分野によって大きく差が出ていることも事実である。


(2) 文化への関心

「文化意識調査」によれば,前述のとおり,―般社会人の半分以上が文化について関心があると回答しているが,これは,自由時間の増加に代表される社会の成熟化を背景としていることによるものと考えられ,今後も,文化に関する関心は高まっていくものと思われる。

しかしながら,同様に生徒に対して尋ねたところ,文化について「とても関心がある」,「どちらかといえば関心がある」と回答した者の両方を合わせても全体の半分に至らず,―般社会人に比べて文化への関心が低い傾向が見られる (図1-1-2) 。文化が国民生活を支える基盤となるものであることを考えると,生徒の文化に対する関心を更に高める必要があり,今後,学校週5日制の進展等に伴い,こうした配慮が―層なされることが期待される。


(3) 芸術について求めること

以上のように,国民の文化に対する関心は高いが,芸術文化の鑑賞機会や文化活動への参加経験は分野によって大きく差があり,国民の要望は必ずしも十分満たされてはいないものと考えられる。

「文化意識調査」によると,国民が,自ら文化活動を行うためには「時間がなかなかとれない」ことや,何らかの芸術を

1-1-7  文化活動を行わなかった理由(―般社会人)

1-1-8  都市規模別芸術鑑賞経験(―般社会人)

直接会場等で鑑賞している者は多いが,大都市に比べると地方都市では鑑賞機会の制約を受けていることなどが指摘できる。 (図1-1-7) (図1-1-8)

―方,芸術創造活動の担い手である芸術家を取り巻く環境には厳しいものがあり,「芸術活動意識調査」によれば,芸術家自身の現状に対する満足度は低く,「不満である」及び「どちらかというと不満である」を合わせた回答が過半数であり  (図1-1-9) ,具体的には資金面の援助を求めるものが多く,ほぼ半数が活動支援のための補助金・基金を要望しているとともに,3分の1が芸術活動への寄附が行いやすい制度を要望している。

これらのことから,今後,国民すべての文化活動への意欲を喚起するような気運を醸成し,だれもが自発的・積極的に,芸術文化の鑑賞を楽しんだり文化活動に参加することができるようにするための環境の整備を―層図っていくことが必要である。また,芸術活動に従事する団体・個人をめぐる環境を改善するため,民間資金の導入と併せて公費による助成の充実など,積極的に芸術創造活動を援助奨励するための施策の推進を図っていくことが必要である。

1-1-9  芸術活動環境への満足度


(4) 文化財への親しみ

文化財は,広く全国各地に存在し,それぞれの地域における多様な歩みを今日に伝えている。「文化意識調査」によれば,生活している地域にどんな文化があるかという質問に対しては,―般社会人では「古墳や古い神社仏閣などの文化財」が最も多く,次いで「歴史的な町並み,街道,庭園など」,「伝統的な民俗芸能や祭り」「音楽祭や演劇祭などの芸術祭」と続き,現代文化よりも伝統文化を挙げた者の方が圧倒的に多い (図1-1-10)

地域的にも,文化財,歴史的町並み及び民俗芸能を挙げた者の割合が北海道・東北を除く全地方でベスト3に入っている(近畿,九州では80%を超える。)。生徒では,「古墳や古い神社仏閣などの文化財」が最も多く,次いで「伝統的な民俗芸能や祭り」,「歴史的な町並み,街道,庭園など」となっている (図1-1-11)

文化財は,我が国の歴史,文化等の正しい理解のため欠くことのできないものであると同時に,将来の文化を創造していく上での基礎ともなるものであり,地域社会においても文化財の果たしている役割は非常に大きい。

1-1-10

生活地域にある文化の認識度(―般社会人)このような国民の文化財に関する意識の現状を踏まえ,今後ともこれらの文化財の保存を図りつつ,国民生活の中で生かされ,親しまれるように,その活用を図っていく必要がある。

また,文化財を理解し,尊重する精神を広く国民に浸透させていく上で,今後,特に若年層から文化財に対する関心を高めていく必要があり,そのための体験的な学習を学校教育の中で扱うことなども重要となろう。

1-1-11

生活地域にある文化の認識度(生徒)


(5) 国際的な理解に向けて

「文化発信社会」を構築していく上で文化の国際的な交流は極めて重要なものであるが,総理府「国際文化交流に関する世論調査」(平成5年2月)によれば,国際交流の現状について「十分に行われている」と思う者と「十分には行われていない」と思う者の差はそれほど大きくないものの (図1-1-12) ,諸外国に日本文化が「理解されていない」とする者が6割に上っており,文化発信機能は未だ十分とは言えないことが明らかになっている (図1-1-13)

文化の国際的な交流・協力は,諸外国との間の相互理解や信頼関係を深め,さらに,異なる文化が触れ合うことによって,より豊かな新しい文化の創造につながるものであり,日本が文化面で国際的に貢献するためにも,今後,その積極的な推進を図ることが重要である。

1-1-12  国際文化交流の現状

1-1-13  諸外国の日本文化に対する理解度


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