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2編 文教施策の動向と展開
第8章 文化の振興
第6節 伝統文化の継承と保存
2 国宝・重要文化財等の保存



(1) 指定・選定

国は,絵画・彫刻等の美術工芸品及び建造物である有形文化財のうち重要なものを重要文化財に指定し,そのうち世界文化の見地から価値の高いもので,たぐいない国民の宝たるものを国宝に指定している。また,城下町,宿場町など歴史的景観を形成している集落・町並みについて,市町村が伝統的建造物群保存地区に決定したもののうち価値の高いものを市町村の申出に基づき重要伝統的建造物群保存地区として選定している。

これらのうち,美術工芸品の指定に関しては,これまで,絵画,彫刻,工芸品,書跡等にあっては,奈良,平安,鎌倉時代のものの指定が中心であったが,現在は室町,安土桃山,江戸時代のものに重点を移しており,また,考古資料,歴史資料にあつモは,量的なまとまりを持ち,質的にも優れた歴史的な資料に重点を置いて指定の促進を図っている。

平成3年度においては,新たに平安初期阿弥陀三尊像の優品である京都清涼寺木造阿弥陀如来及両脇侍坐像(棲霞寺旧本尊)を国宝に,また縄文時代の漁攪文化及び生活史をみる上で重要な一括資料である石川県真脇遺跡出土品など44件を重要文化財(美術工芸品)に指定した。

建造物の指定については,全国的な調査がほぼ終了した近世社寺建築に重点を置いて指定しているほか,明治以降の近代建築についても調査を行い,指定を進めている。また,平成2年度からは,近代的手法によって造られてきた産業・交通・土木に関する文化財建造物が技術革新や利用効率の問題により取壊しや改変が進行している現状にかんがみ,新たに近代化遺産(建造物等)総合調査を実施し,これらの所在リストの作成,重要遺構の選定・調査を進め,指定のための基礎資料の収集を開始した。

平成3年度には,北海道松前町の由緒ある寺院建築である龍雲院本堂など16件を重要文化財(建造物)に指定した。

また,歴史的町並みとして,地域的特色を持ち,保存状態がよく,意匠に優れている小木町宿根木伝統的建造物群保存地区(新潟県)など5地区を重要伝統的建造物群保存地区に選定した。


(2) 管理,保存修理,防災等

国指定文化財の管理,保存修理等は,所有者が行うのが原則であるが,所有者による管理が適当でないなどの場合には,文化庁長官が地方公共団体等を管理団体に指定して必要な管理,修理等を行わせている。

美術工芸品,建造物については,国庫補助により,それぞれ修理を必要とする周期等を踏まえ,計画的に修理を実施するとともに,保存・防災のための施設・設備の設置等の事業を行っている。

また,重要伝統的建造物群保存地区については,伝統的建造物等の保存修理,公有化,防災施設の設置等の事業について補助している。

平成4年度においては,新たに,劣化・損傷の進行が著しい太宰府天満宮文書(福岡県)について破損の繕い等の緊急保存修理事業を,また,壁などの亀裂・剥離が進行している日本ハリストス正教会教団復活大聖堂(ニコライ堂)(東京都)等の保存修理事業を実施する。

,さらに,国宝・重要文化財等のうち,海外流失の防止等のため国において保存する必要のある文化財については,文化庁が計画的に購入して国立博物館等で公開するなど,その保存・活用を図っている。


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