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2部   文教施策の動向と展開
第4章  高等教育の改善・充実
第2節  高等教育改革の推進
3  学位制度の改善



(1) 学位制度の見直し
1) 学位授与の円滑化の視点

 学位制度については,昭和49年の大学院設置基準の制定により課程制大学院の考え方が明確にされたのに併せて,学位規則の改正により,大学院の課程を修了し当該課程の目的とする能力(博士課程については,専攻分野について研究者として自立して研究活動を行うに必要な高度の研究能力)を身に付けた者に対して学位を授与することとされた。

 また,平成元年9月の大学院設置基準及び学位規則の改正により,高度に専門的な業務に従事するために必要な高度の能力を身に付けた者に対しても博士の学位を授与し得ることとなった。

 しかしながら,博士の学位の授与状況をみると,人文・社会科学系の分野では依然として学位の授与が低調であり,国際化の進展,留学生の積極的受入れ等に伴い,改めて課程制大学院制度の基本理念に沿って学位授与の状況を改善することが各方面から強く求められている。また,標準修業年限内に学位を取得できない状況が一般化していることが,大学院学生の学習意欲を損なう結果につながっているとの指摘もある。

 学位授与の円滑化は,今後も,基本的には,関係者自身の意識変革とその自主的努力によって実現されるものであるが,その改善を促進するためには,学位制度の見直しを含めて,そのための積極的な施策を講じることが求められてきている。


2) 学術研究の進展への対応

 博士の種類は,昭和31年,学位規則により,従来の伝統的な博士を中心に17種類が定められた。その後,昭和44年に保健学博士が追加され,昭和50年には,学術研究の進展に柔軟に対応する必要があることや,博士の学位は,学問分野のいかんにかかわらず,一定の水準を示すという性格を有するものであり,その種類は簡素化することが望ましいことなどを考慮し,学術博士が設けられた。学術博士は,学際領域等既存の種類の博士を授与することが必ずしも適当でない分野を専攻した者に授与するという運用がなされてきている。

 今後の学術研究の急速な進展に伴い,学術研究が高度化,多様化していくことに対応し,学位を円滑に授与していくためには,このような学術博士を設けたときの基本的な考え方も踏まえ,博士の学位の改善を行う必要がある。


3) 学位制度の見直し

 上述のような観点に立って,平成3年2月,大学審議会から「学位制度の見直し及び大学院の評価について」答申が行われたが,学位制度の見直しについての主な内容は次のとおりである。

ア 博士の種類について,○○博士のように博士の種類を専攻分野の名称を冠して学位規則上限定列挙することは廃止し,学位規則上は単に博士とすること。
イ 各大学院において博士を授与する際には「博士(〔専攻分野〕)」のように,各大学院の判断により,専攻分野を表記して授与すること。
ウ 従来の学術博士と同様,学術分野や新分野を対象として「博士(学術)」と表記することもできること。
エ 修士の学位についても同様とすること。

 文部省としては,この答申を踏まえ,平成3年6月,学位規則の改正を行った。今回の学位規則の改正においては,学校教育法の改正により諸外国と同様に学士を学位として位置づけることも内容とした学位制度の全般的な改正を行っているが,併せて,大学関係者自身の意識改革と自主的努力によって,特に博士の学位授与の促進が期待されるところである。


(2) 学位授与機構の創設

1) 学位授与機構は,生涯学習体系への移行及び高等教育機関の多様な発展を図る観点から,高等教育段階の様々な学習の成果を評価し,大学・大学院の修了者と同等の水準にあると認められる者に対し,学位(学士,修士,博士)を授与することを主な目的として,平成3年7月に創設された。

 本機構は,国公私立大学関係者が共同して学位の授与等の審査を行うという機関の性格から,大学共同利用機関と同様の位置づけがなされている。

2) 本機構の具体的な役割については,特に生涯学習体系への移行への対応という観点から,将来の課題として単位累積加算制度(広く大学以外での様々な学習の成果を大学の単位として認定し,また,それらを含めて大学レベルの学習の成果を累積することにより,学士の学位を授与する制度)の導入を前提としつつ,当面次のような業務を行うこととしている。

ア 短期大学・高等専門学校の卒業生や大学に一定期間在学した者等で,大学の科目登録制・コース登録制及び本機構の定める一定の要件を満たす短期大学・高等専門学校の専攻科において所定の単位を修得し,大学の修了者と同等の水準にあると認められる者に対して学士の学位を授与すること( 2-4-2 )。
イ 大学以外の教育施設の課程で本機構が大学・大学院と同等の水準にあると認める課程において,組織的・体系的な教育を受け,本機構の定める要件を満たした者に対し,その水準に応じ,学士,修士,博士の学位を授与すること( 2-4-3 )。
ウ 学位の授与を行うために必要な学習の成果の評価に関する調査研究及び大学における各種の学習の機会に関する情報の提供を行うこと。

2-4-2 短期大学・高等専門学校の卒業者等で一定の要件を 満たした者に対する学士の学位の授与


(3) 準学士制度の創設

 従来,短期大学及び高等専門学校の卒業生に対しては称号が付与されていなかった。しかし,諸外国においては,短期高等教育機関の卒業生に対して称号が与えられていることや,卒業生が称号を有することにより,外国の大学へのより円滑な留学,編入学が可能となることなどから,称号の付与について強く要望がなされていた。

2-4-3 大学以外の教育施設において組織的・体系的な 教育を受けた者に対する学位(学士,修士,博士)の授与

 このようなことから,平成3年2月の大学審議会答申において,短期大学及び高等専門学校の卒業生に準学士の称号を付与することが適当であるとの提言がなされた。これを受けて,学校教育法について改正が行われ,同年7月から施行された。


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