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2部   文教施策の動向と展開
第4章  高等教育の改善・充実
第2節  高等教育改革の推進
1  大学設置基準等の大綱化と自己評価


 大学審議会は,平成3年2月に,「大学教育の改善について」など計5件の答申を行った。これらの答申では,高等教育制度全般にわたって多岐にわたる改革方策が提言されたが,改革の基本的な考え方として,1)我が国の高等教育の基本的な枠組みを定めている大学設置基準などの諸基準を大綱化,簡素化するとともに,2)高等教育に自己評価のシステムを導入することが示された。


(1) 大学設置基準等の大綱化

 我が国の高等教育は,戦後,著しい量的拡大を遂げ,今や大学・短期大学だけでも1,100校を超え,学生数で270万人を上回る規模となっている。

 このように高等教育の規模が拡大し,広く普及した状況では,その中から,研究指向のもの,教育に力点を置くもの,さらには,地域における生涯学習に力を注ぐものといった,様々なタイプの高等教育機関が育っていくことが考えられる。

 また,各高等教育機関が,それぞれの理念・目標に基づき,個性を発揮し,自由で多様な発展を遂げることにより,高等教育全体として社会や国民の多様な要請に適切に対応し得るものと考えられる。

 このように高等教育の個性化・多様化を促進するためには,我が国の高等教育の枠組みを規定している大学設置基準等の諸基準の見直しが必要である。大学設置基準等の諸基準は,我が国の高等教育の発展の初期の段階において,その水準の維持向上に一定の役割を果たしてきたが,今や先進諸国に伍して新たな世界を切り開いていく立場にある我が国において,各高等教育機関が,教育研究の多様な発展を図っていくためには,枠組みとなる基準は可能な限り緩やかな方が望ましいと考えられる。

 大学審議会は,このような観点から,大学設置基準等の諸基準を大綱化・簡素化する方向で検討を行い,文部大臣に答申を行った。

 答申で提言された大綱化の主な内容は,次のとおりである。

1) 各大学・短期大学に開設を義務づけていた授業科目の科目区分(一般教育科目,専門教育科目,外国語科目及び保健体育目)を廃止する。
2) 学生の卒業要件として定められていた各科目区分ごとの最低修得単位数(大学の場合,一般教育科目36単位以上,専門教育科目76単位以上,外国語科目8単位以上,保健体育科目4単位以上)を廃止し,総単位数(大学の場合,124単位以上)のみ規定するにとどめる。
3) 必要専任教員数について,各科目区分ごとに算定する方式を廃止し,収容定員の規模に応じた総数のみを算定する方式とする。また,大学の兼任の教員の合計数は,全教員数の2分の1を超えないとする制限規定を廃止する。
4) 授業の方法別(講義,演習,実験・実技・実習等)に一律に定められていた単位の計算方法を,各大学・短期大学の判断により弾力的に定めることができるよう,また,高い教育効果が期待できる演習などの授業が開設しやすくなるよう改める。
5) 学部内の組織として,学部の種類によって学科を設けることが適当でない場合に限って例外的に設置を認めていた課程を,学部の教育目的を達成する上で有益かつ適切である場合は,学部の種類を問わず設けることができることとする。
6) 医学部,歯学部の進学課程・専門課程を法令上の制度としては廃止する。

 文部省では,大学審議会の答申を踏まえて,平成3年6月に大学設置基準,短期大学設置基準等の諸基準の改正を行い,これらの基準は同年7月より施行された。

 また,大学設置基準の大綱化に伴って,大学等の新増設等に対する大学設置・学校法人審議会の設置認可の審査の在り方についても検討を行い,その結果,平成3年7月に,審査に当たっての基本的な観点をまとめた総則的な審査内規が公表された。


(2) 自己評価システムの導入

 高等教育機関が,教育研究活動の活性化を図り,質の向上に努めるとともに,その社会的責任を果たしていくためには,不断の自己点検を行い,改善への努力を行っていくことが必要である。

 このことは,大学設置基準等の諸基準が大綱化され,各高等教育機関がその理念に基づき自由かつ多様な形で教育研究活動に取り組めるようになった場合,より一層重要となる。

 大学審議会は,このような観点から,各大学等が自らの責任において教育研究の不断の改善を図ることを促すための自己点検・評価のシステムを導入する必要があると指摘するとともに,その実施方法,実施体制等について提言を行った。

 今後,各大学等が自己点検・評価を行う際は,まず,各大学等の理念・目的をいかに実現するかという観点から,各大学等の判断により適切な項目を設定し,教育研究活動全般について多面的に点検・評価を行い,現状を正確に把握することが基本となるものと考えられる。その上で,その結果を踏まえ,改善を要する問題点,積極的に評価すべき特色,今後の目指す方向などに関して改善への努力を行うことが望まれる。

 文部省は,答申の指摘に基づき,平成3年6月の大学設置基準等の改正に当たって,各高等教育機関自身による教育研究活動についての自己評価等に関する努力義務規定を設けた。

 なお,各大学等が実施する自己点検・評価の検証を行い,その客観性を担保するために,例えば,アメリカ合衆国におけるアクレディテーション・システムのように,関係者による相互評価のシステムの確立に向かうことが重要であり,その際,各種関係団体や学会等が積極的な役割を果たすことが期待される。


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