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1部   生涯学習の現状と課題
第2章  生涯学習と学校
第2節  生涯学習機関としての学校
2  学校へのアクセスの多様化


生涯学習社会へ移行する中では,学校もできるだけ多くの人々に学習の機会を開いていくことが要請される。このためには,新しいタイプの学校を設置するほか,これまでのタイプの学校でも,社会人を積極的に受け入れる方策を検討することが必要である。社会人,特に有職者は時間的余裕に乏しく,学習歴や日常の学習環境,知識,経験等も異なっている。また,その学習目的は,必ずしも卒業を目指したものとは限らない。

このような社会人を大学等に受け入れるためには,若年のフルタイムの学生の場合とは異なった学校へのアクセスを確保することが必要である。例えば,夜間や通信による教育は,授業時間や教育方法を工夫することにより,大学入学資格検定制度や社会人の別枠受入れは,受験資格や入学者選抜について工夫することにより,また,聴講生,研究生の制度は,特定の科目のみの履修を認めることにより,いずれも学校へのアクセスを容易にし,学習機会の拡充を図るものである。


(1) 夜間部(定時制)・通信教育

 夜間部(定時制)・通信教育は,時間的・経済的事由からフルタイムの学習が困難な者に対する学習の機会として重要な意味を持っている。大学及び短期大学の夜間部の在学者数(昭和63年度)は,大学が約11万8,000人(全学部学生の約6,3%),短期大学が約2万6,000人(全本科学生の約5.8%)であり,また,通信教育の在学者数(昭和63年度)は,大学が約10万5,000人,短期大学は約2万人となってお「),夜間部,通信教育ともに近年,在学者数はほぼ横ばいとなっている( 1-8 )。

今日,人々の生活様式や学習ニーズは多様になっており,こうした状況に応じて,夜間部・通信教育においてもその履修方法等について一層の工夫を図ることが必要となっている。

1-8 大学,短期大学の夜間部・通信教育学生数

1-9  高校定時制・通信制在学者数の推移

なお,夜間部・通信教育のほかに,夜間,土曜日の午後等を中心とし,昼間における履修をも一部取り入れたいわゆる昼夜開講制も昭和53年から一部の国立大学で開設され,昭和63年度現在,8国立大学10学部に拡がっている。

 一方,高等学校の定時制,通信制課程は,これまで勤労青少年に高等学校教育の機会を保障する上で大きな役割を果たしてきた。その在籍者数(昭和63年度)は,定時制課程約15万1,000人(全高等学校在籍者数の2.7%),通信制課程約15万6,000人(同2.8%)となっている( 1-9 )。

近年,その生徒数は大学等の夜間・通信教育と同じくほぼ横ばいとなっているが,生涯学習における役割には依然として大きいものがあり,履修方法等の改善を図るとともに,単位制高等学校としての展開,他の教育機関との連携などについても検討する必要がある。

1-10  大学入学資格検定受験状況


(2) 大学入学資格検定制度

 大学入学資格検定制度は,勤労青少年に対し,能力に応じて広く大学教育の機会を与えるために設けられた制度であり,高等学校教育を受けられなかった者等がこの資格検定を受け,一定の科目に合格した場合に大学入学資格が与えられる。しかし,近年では,高等学校中退者の増加などにより,受験者が多様化するとともに,受験者数も大幅に増加し,昭和63年には約1万4,000人が受験し,約3,600人が合格している( 1-10 )。

このため,今後は,その基本的な性格は維持しながら,このような実態の変化に着目し,生涯学習の観点から大学教育に対するアクセスの多様化を図る方策の一つとして,検定科目や検定方法等を検討することが必要である。


(3) 社会人入学
1-11  大学,短期大学における社会人特別選抜状況

 大学等へ社会人を受け入れるに当たっては,社会人はその学習歴,学習環境,知識,経験等が通常の進学者と異なるため,入学者選抜についても独自の方法により評価を行うなどの工夫を行うことが重要である。また,社会人の再教育,有職者のための教育を目的としたコースを設けることも必要である。このため,一部の私立大学においては,昭和54年度から社会人を別枠とする特別選抜を開始したが,社会人を対象とする特別選抜制度を導入する大学はその後急速に増加し,昭和60年度においては52大学,その特別選抜による入学者は1,441人となっている( 1-11 )。

なお,昭和59年度において,大学に入学した社会人は,通信教育を除いて4,578人,このうち約89%に当たる4,090人は夜間学部である。また,短期大学に入学した社会人は2,554人であり,このうち約81%に当たる2,073人が夜間部である。

また,大学院については,現職教員の再教育を主たる目的の一つとして設立された兵庫教育大学等の大学院が社会人を受け入れているほか,筑波大学等の大学院でも官庁や企業からの派遣も含めた社会人の受入れを行っている。

さらに,一部の企業において有給で大学教育を受けるための休暇を与える制度も採用されており,このような制度を利用することにより,社会人の大学入学は今後ますます増加するものと予想される。


(4) 聴講生,研究生等

 聴講生,研究生は,教育課程の全部の履修を目的とする正規の学生とは異なり,大学等の授業のうち1〜数科目を履修することを目的としている。聴講生,研究生の制度は,各大学の学則によって慣行的に認められてきたものであり,その区分や履修の内容は各大学で様々であるが,おおむね聴講生は,高等学校卒業程度を資格として履修期間1年以内に1〜数科目を履修するものであり,研究生は,大学卒業程度を資格として履修期限はほぼ1年で特殊な専門事項の研究を行うものである。大学,短期大学の聴講生,研究生の数は,昭和62年度で約4万7,000人(全学生数の約2.4%)に上っている( 1-12 )。

1-12  大学,短期大学における聴講生・研究生数の推移

大学及び高等学校の専攻科・別科も,正規の課程とは別に1年以上のコースとして特定の事項・能の研究・育を行う制度である。昭和62年度現在,その在籍者数は,大学,短期大学の専攻科3,568人,別科3,911人,高等学校の専攻科6,139人,別科385人となっている。


(5) 共同研究員,受託研究員

大学に民間の研究員を受け入れることは,大学の研究機能を社会的に有効に活用するとともに,研究に対する社会のニーズや問題意識を大学に取り入れることにより,大学における学術研究を活性化させることにつながる。他方,民間の研究者の側から見れば,就職後,職業・究能力を高めるために再び学習・究に従事する機会となる。

大学に民間の研究者等を受け入れることについては,従来から様々な形態で行われていたが,国立大学については,従来から実施されている受託研究員制度や昭和58年度に創設された民間等との共同研究制度により研究員の受入数は次第に増加している。昭和62年度における受託研究員の受入れは914人,共同研究による共同研究員の受入れは396件,465人であった。このような民間の研究者の受入れは,学術研究の振興と大学の研究と社会との連携の強化のため,今後とも更に拡大していくことが望まれる。


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