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 第3章
  教員の確保と教育条件の整備
4  保健・体育
(2)  保健管理



a 健康診断

学校教育の円滑な実施と学習能率を向上させるためには,学校における児童生徒の健康管理もきわめて重要であり,健康診断はその中核をなすものである。

健康診断については「学校保健法」によって,就学時と毎学年定期の健康診断とが定められていて,その結果に基づいて治療の指示や予防措置などが行なわれている。児童生徒の定期の健康診断は毎年4月に行なわれるが,その受検率はきわめて高く,計測検査,一般検診ではほぼ100%に近い。従来,比較的低い受検率を示していた結核に関するX線検査も昭和37年度では小学校において93.8%と高くなってきている。

外国における児童生徒の健康診断の実施状況をみるとアメリカ合衆国では各州によって学校保健の管理方式が異なっており,州によって法律で毎年,児童生徒の健康診断を行なうように定めているところ,また就学時,小学校4年,中学校最終学年においてとくに精密な健康診断を行なっているところもある。しかし健康診断の実施は必ずしも徹底していない。

イギリスでは1944年の教育法によって健康診断を行なう義務が地方教育当局に課せられている。健康診断には定期に行なわれる一般診断と疾病を診断する特別健康診断とがある。1961年における定期健康診断を受けた児童生徒数は全数の29.5%,歯牙検査は54.3%であって,健康診断を必ずしも全児童生徒に毎年行なっているとはかぎらない。なお,児童生徒の健康診断について父兄の立ち会いが奨励されている。

フランスにおいては,就学時に健康診断を行ない,また就学中は小学校では毎年1回,中学校では2回の定期健康診断を行なうことになっており,さらに,義務教育終了学年において,職業指導のための精密な健康診断が行なわれる。

次にわが国の保健管理担当職員の配置についてみると,  「学校保健法」によって都道府県教育委員会の事務局に学校保健技師を置き,各学校に学校医,学校歯科医,学校薬剤師を置くことになっており,また「学校教育法」には養護教諭または養護助教諭を置くことになっている。しかし養護教員の配置はじゅうぶんではないので,昭和39年度以降,その増員計画が立てられている。

表53  小学校・中学校の学校医・歯科医・薬剤師・養護教員の設置率

なお,近年,学校管理下における児童生徒の災害が増加しており,学校における安全教育および安全管理の徹底が叫ばれている。昭和34年に「日本学校安全会法」が制定され,特殊法人日本学校安全会が設置された。これは学校安全の普及充実の事業と共済制度によって児童生徒の負傷,疾病,死亡,廃疾等に対し必要な給付を行なうもので,小学校,中学校の児童生徒はほとんどが加入し,高等学校生徒と幼稚園児は約80%加入している。

共済掛け金の負担は義務教育諸学校の場合,設置者が40%ないし60%を,残りを保護者が負担しており,要保護・準要保護児童生徒については保護者負担分を国と地方公共団体とで折半負担することとしている。この安全会の災害共済給付の状況は発足以来増加して,昭和38年度には給付件数が44万6,000件(義務教育)となり,昭和35年の約1.4倍となっている。


b 体位の向上

近年栄養水準の向上,体育スポーツの普及,保健管理の徹底などによって,児童生徒の体位は著しい向上を示している。義務教育最終学年の14歳時の平均身長,平均体重についてみると,第2次世界大戦による低下を克服して昭和32年以後,戦前の水準を越え,なお年々増力Hを続けており,昭和38年度には,男子は身長157.1cm,体重46.6kg,女子は身長151.8cm,体重45.8kgとなった。

図18  14歳児の平均身長,体重の推移

児童生徒の発育時期の変化をみるために身長について昭和25年度と38年度のそれぞれの年齢間の差を比較すると,たとえば,25年度には14歳と15歳の男子の平均身長は7.5cmの伸びがあって最高を示していたが,38年度にはその伸びは5.7cmと少なくなっており,それよりも2年早い12歳から13歳の差が7.3cmで最大値を示している。つまり,最近においては伸びざかりの時期が2年齢早い12歳から13歳へと移行したわけである。同じような傾向が女子についても,また体重や胸囲についても見られる。

図19  昭和25年度と38年度における児童生徒の身長の年齢間の差


c 疾病・異常

児童生徒の疾病について被患率の高いものをみると,むし歯・近視・へん桃せん肥大・結膜炎・トラホーム・皮膚疾患・蓄のう症,寄生虫卵保有などである。

表54 児童生徒の疾病異常被患率

環境衛生の改善,保健管理の徹底,要保護および準要保護児童生徒に対する医療補助などによつて年々それらは改善されつつあり, とくにトラホームの被患率および寄生虫卵の保有率は減少してきている。

図20  小学校児童の寄生虫卵保有率とトラホーム被患率の推移

しかしながら近視,むし歯は年々増加する傾向にあることは留意する必要がある。

近視の率は昭和38年度において,男子は小学校10.5%,中学校18,4%高等学校では32.5%,女子はそれぞれ13.1%,22、9%,35.6%で各学校段階とも女子の比率が男子より高く,また男女とも学年が上になるほど高くなる傾向がある。

図21  児童生徒の近視率の推移

むし歯は児童生徒の疾病中最も被患率が高く,昭和38年度には小学校83.1%,中学校75.5%,高等学校76.0%で児童生徒の約8割がむし歯をもっている。このうち,むし歯の処理を完了した者は,徐々に増加しつつあるが,まだ多くのものが未処置のまま放置されている。

近視,むし歯の比率をイギリスと比較してみると,イギリスの初等学校,中等学校においても,これらの比率は比較的高く,1961年において,近視26.2%,むし歯63.4%となっている。


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