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第12章 安全で質の高い学校施設の整備

総論

 学校施設は教育研究活動を支える基本的な教育条件の一つです。教育水準の維持向上の観点からその安全性や快適性を確保し、多様化する学習活動に適応することは重要であり、児童生徒の発達段階に応じた安全・安心で質の高い施設整備を行う必要があります。
 東日本大震災では、耐震化されていた学校施設が、地震による建物の倒壊を防ぎ、児童生徒などの命を守る一方で、天井などの非構造部材の耐震対策や避難所としての防災機能などに関する様々な課題が顕在化しました(※1)。
 さらに、社会情勢の変化や地域の実情を踏まえ、学校施設についても、教育内容・方法の変化への対応や環境への配慮が求められるとともに、急増する老朽化施設対策(長寿命化等)が課題となっています。

図表2-12-1 安全で質の高い学校施設の整備
 このため文部科学省では、学校施設の整備に役立てるための指針や事例集などを作成し、学校関係者に周知するとともに、耐震化や老朽化対策などの施設整備に対して国庫補助を行っています(※2)。
 また、国立大学等の施設は、高度化・多様化する教育研究活動の展開に不可欠な基盤であり、創造性豊かな人材養成や独創的な学術研究、質の高い医療の提供などを推進するためには、施設の充実を図ることが重要です。国立大学等の施設の重点的・計画的な整備を支援するとともに、施設マネジメントの促進など、教育研究活動を支えるキャンパス環境の整備充実を推進しています。


  • ※1 防災機能の強化については、第2部 第13章参照
  • ※2 私立学校の施設整備については、第2部 第6章 第1節参照

第1節 安全・安心な学校施設の整備

第2期教育振興基本計画における主な関係部分
成果目標7(安全・安心な教育研究環境の確保)
【成果指標】
<主として初等中等教育関係>

  • 学校施設の耐震化率の向上
     公立学校については、平成27年度までのできるだけ早期の耐震化の完了を目指すとしている「公立の義務教育諸学校等施設の整備に関する施設整備基本方針」を踏まえ、耐震化を着実に推進する。

計画策定後の主な取組と課題(ポイント)

  • 公立学校施設の耐震化については年々進捗(平成27年度予算事業実施後の公立小・中学校施設の耐震化率は約98%となる見込み)
  • 引き続き、各地方公共団体への働きかけなどにより、平成27年度までの耐震化完了を目指すとともに、非構造部材の耐震対策、防災機能強化、老朽化対策や、質の高い学校施設整備を推進。

1 学校施設の耐震化の推進

 公立学校施設は、児童生徒の学習・生活の場であるとともに、地震などの災害時には地域住民の避難所等ともなることから、耐震化によって安全性を確保することは極めて重要です。
 文部科学省では、平成23年5月に「公立の義務教育諸学校等施設の整備に関する施設整備基本方針」を改正し、27年度末までのできるだけ早い時期に公立学校施設の耐震化を完了するという目標を掲げました。
 公立小・中学校の平成27年4月1日現在の耐震化率は95.6%であり、全体の3分の2の地方公共団体が耐震化を完了しました。一方、耐震性が確保されていない小・中学校の施設は5,212棟存在しています(図表2-12-2)。

図表2-12-2 耐震化の進捗状況(公立小・中学校)

 平成26年度には、耐震化率等の調査結果を踏まえ、文部科学大臣から耐震化の進捗が遅れている118の地方公共団体の首長に対し、耐震化の加速を要請する書簡を発出したほか、文部科学省職員が個別の地方公共団体を訪問して助言を行うなど、働きかけを強化しました。27年度予算事業実施後の耐震化は、学校の統合や震災の影響等、各地方公共団体の個別事情により耐震対策が遅れるものを除き、おおむね完了する見込みです。
 また、学校施設の安全性を確保するためには、建物(構造体)の耐震化だけでなく、天井材、照明器具などの非構造部材の耐震対策が必要です。特に、屋内運動場等の吊り天井の落下は、致命的な事故が起こりやすく対策が不可欠です。東日本大震災では、構造体の耐震基準を満たしていても、屋内運動場の吊り天井が全面的に崩落し、生徒が負傷する例もありました。
 このため、文部科学省では、有識者会議における検討を踏まえ、平成25年8月に「学校施設における天井等落下防止対策のための手引」、26年4月に「学校施設の屋内運動場等の天井等落下防止対策事例集」を作成・配布するなど、対策の加速化を図っています。
 落下防止対策が必要な吊り天井を有する公立小・中学校の屋内運動場等は、平成27年4月1日現在で4,849棟あり、文部科学省では、「手引」や「事例集」を活用しつつ、27年度までの速やかな対策完了を目指して取り組むよう地方公共団体に対して要請しています。
 さらに、外壁やサッシなど、落下すると重大な事故につながる可能性がある非構造部材全般の耐震点検・対策を進めるため、学校設置者と学校の役割を明確にし、具体的な点検項目と対策の方向性を分かりやすく示した「学校施設の非構造部材の耐震化ガイドブック(改訂版)」を作成・配布(平成27年3月)するなど取組の促進を図っています。

2 学校施設の老朽化対策の推進

 学校施設のうち、公立小・中学校については、建築後25年以上を経過し、改修が必要な建物が全体の約7割を占めており、老朽化対策が課題となっています(図表2-12-3)。今後、老朽化した施設が更に増加する中においては、将来の財政状況も見通しつつ、安全性を最優先として、計画的に整備を進めることが必要です。
 また、現在の厳しい財政状況の下で老朽化対策を効率的・効果的に進めるためには、従来のような建築後40年程度での改築(建て替え)だけでなく、改築よりコストを抑えながら改築と同等の教育環境を確保することができ、排出する廃棄物量も少ない「長寿命化改修」を実施していくことが必要です。

図表2-12-3 公立小中学校の経年別保有面積<全国>

(1)計画的な整備の推進

 平成25年11月に政府が策定した「インフラ長寿命化基本計画」を踏まえ、文部科学省では、27年3月、所管・管理する施設の維持管理等に関する中長期的な方向性を明らかにするための「インフラ長寿命化計画(行動計画)」を策定し、学校施設等の長寿命化に向けての取組を推進しています。また、「インフラ長寿命化基本計画」では、各地方公共団体において、域内の個別施設ごとの長寿命化計画(個別施設計画)を策定することとされています。文部科学省では、学校施設に係る計画を策定する際に参考とするための基本的な考え方や留意点、計画に盛り込むべき事項等を示し、解説した「学校施設の長寿命化計画策定に係る手引」を27年4月に作成しました。

(2)長寿命化改修の推進

 文部科学省では、平成25年3月に「学校施設の老朽化対策について~学校施設における長寿命化の推進」を取りまとめ、長寿命化改修への転換の重要性を示しました。加えて、地方公共団体向けの手引「学校施設の長寿命化改修の手引~学校のリニューアルで子供と地域を元気に!~」を26年1月に作成し、公表しました。この手引には、長寿命化改修の意義や効果、工事内容などに関する一問一答形式の解説や、安全で豊かな教育環境を実現した先進事例を掲載しています。
 また、老朽化対策については従来から国庫補助を行っていますが、平成25年度からは、「長寿命化改良事業」(経費の3分の1を国庫補助するとともに、危険改築事業と同様の地方財政措置により、地方公共団体の実質的な負担割合を26.7%に軽減)や、長寿命化の先導的な取組を支援する「学校施設老朽化対策先導事業」などを実施しています。

写真 改修に併せて多目的に活用できるワークスペースを整備
改修に併せて多目的に活用できるワークスペースを整備

写真 環境に配慮した学校施設として再生
環境に配慮した学校施設として再生

3 学校施設の室内環境対策

 児童生徒が健康で快適に学校生活を送れるよう、室内空気汚染対策などの環境対策を推進しています。具体的には、建築材料などから発散する化学物質による室内空気汚染などに起因する健康への影響(いわゆる「シックハウス症候群」)が問題となっており、学校施設を整備する際の室内空気汚染に関する主な対策の要点をまとめたパンフレットなどを作成し、各都道府県教育委員会などに配布しています(※3)。また、「学校施設整備指針(※4)」の中でも、化学物質濃度が基準値以下であることを確認した上で建物の引渡しを受けることなどの対策を盛り込んでいます。
 さらに、アスベスト対策については、平成17年の事業所などにおける健康被害の状況発表以来、社会的に深刻な問題となっています。文部科学省では、児童生徒などの安全対策に万全を期すために、学校施設などにおける吹き付けアスベスト等の使用実態調査を実施しています(※5)。この調査結果などを踏まえ、地方公共団体に対し、対策工事に係る国庫補助や、具体的な対策方法を示した留意事項の通知を行うことにより、適切な対策が講じられるよう取り組んでいます。
 また、平成26年6月から石綿障害予防規則の一部改正が施行され、これまでの吹き付けアスベスト等に加え、新たに石綿含有保温材等(※6)が規制対象となったことを踏まえて、学校施設等における石綿含有保温材等の使用状況調査を実施することとしました(※7)。


  • ※3 参照:http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/shuppan/1305497.htm
  • ※4 参照:第2 部第12章第2 節1
  • ※5 参照:http://www.mext.go.jp/submenu/05101301.htm
  • ※6 保温材等:熱源本体や、ダクトや配管等に使用されている保温材のほか、鉄骨柱、はり等に使用されている耐火被覆材、屋根用折板や煙突に使用されている断熱材のこと。
  • ※7 参照:http://www.mext.go.jp/submenu/05101301.htm

4 学校施設の事故防止及び防犯対策の充実

 学校施設は、心身共に成長過程にある多数の児童生徒などが学習や生活をする場であることから、事故防止対策、防犯対策など安全性を確保することが重要です。子供の安全を守るためには、教職員をはじめとする関係者が危機管理意識を持って緊密に連携し安全対策を行う必要があります。また、施設・設備面(ハード面)に関する対応のみならず、管理・運営など(ソフト面)の対応も含め、組織的・継続的に実施する必要があります。
 文部科学省では、学校施設の事故防止・防犯対策に関する報告書など(※8)を作成し、研修会などを通じて学校設置者に対し普及啓発を図っています。また、「学校施設整備指針」を改訂し、安全対策関連規定や学校施設の防犯対策に関する規定を充実させています。さらに、児童生徒などの事故防止や防犯対策の観点から必要となる施設整備について国庫補助を行っています。


  • ※8 参照:http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/shuppan/07091904.htm

第2節 快適で豊かな施設環境の構築

1 新たな時代に応じた学校施設への取組

(1)「学校施設整備指針」などの策定

 学校は、子供たちが生き生きと学習や生活することのできる安全で豊かな施設環境を確保し、教育内容・方法の多様化に対応するための施設機能を備えることが必要です。
 このため、文部科学省では、学校種ごとに施設の計画及び設計における留意事項を示した「学校施設整備指針」を策定しています(※9)。それぞれの「学校施設整備指針」は、これまで学習指導要領の改訂等、学習の内容や方法、社会状況の変化に応じて見直しを行っており、平成26年7月には、学校施設の津波対策及び避難所等としての防災機能強化などを目的に改訂を行いました。


  • ※9 参照:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/013/toushin/1350224.htm

(2)学校施設づくりのアイディア集、事例集などの作成

 快適で豊かな学校施設環境を実現するため、文部科学省では、様々な調査研究の成果を事例集などにまとめ、地方公共団体等への配布や講習会での説明などを通じて周知しています。
 平成22年1月には、質の高い教育を実現するために参考になると思われる学校施設の事例を集めた「新たな学校施設づくりのアイディア集」を作成しました。
 また、平成23年11月には、学校設置者の学校施設の環境向上や機能改善に向けた取組を促すため、老朽化が進む学校施設の中でも、特に整備が遅れている学校トイレについて、施設改修に向けた設置者の事業計画・予算確保への取組などを紹介する「学校トイレ改善の取組事例集」を作成しました(※10)。

写真 中・高学年用の多目的スペース(埼玉県戸田市芦原小学校)「新たな学校施設づくりのアイディア集」より
中・高学年用の多目的スペース(埼玉県戸田市芦原小学校)「新たな学校施設づくりのアイディア集」より

写真 改修後のトイレ(神奈川県川崎市有馬小学校)「学校トイレ改善の取組事例集」より
改修後のトイレ(神奈川県川崎市有馬小学校)「学校トイレ改善の取組事例集」より


  • ※10 参照:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/016/toushin/1312998.htm

(3)小中一貫教育に適した学校施設の在り方

 小中一貫教育を推進する上で効果的な施設の在り方について、中央教育審議会「子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築(答申)」(平成26年12月22日)において、留意事項を示すことが提言されたことを受け、小中一貫教育に適した学校施設の基本的考え方や計画・設計における留意事項について検討を進めています。

(4)学校施設と他の公共施設等との複合化

 人口減少や少子高齢化等により公共施設の利用需要が変化していく中で、学校施設と他の公共施設の複合化に対する関心も高まると予想されます。
 文部科学省では第2期教育振興基本計画における、学びの場を拠点にした地域コミュニティ形成の推進についての記載も踏まえ、平成26年7月に「学校施設と他の公共施設等との複合化検討部会」を設置し、学校が子供たちの学びの場であるとともに、より地域コミュニティの拠点としての役割も果たすことができるよう、学校施設と他の公共施設等との複合化の在り方について検討を進めています。

(5)文教施設のバリアフリー化の推進

 学校施設は、障害の有無にかかわらず児童生徒が支障なく学校生活を送ることができるよう配慮することが必要であるとともに、地域コミュニティの拠点や災害時における地域住民の避難所等としての役割を果たすことからも、バリアフリー化を進めることが重要です。
 文部科学省では、「学校施設バリアフリー化推進指針」や学校施設整備指針において学校施設のバリアフリー化の推進に関する基本的な考え方や計画・設計上の留意点を示すとともに、「学校施設のバリアフリー化整備計画策定に関する実践事例集」を作成しています(※11)。
 また、地方公共団体が実施する公立学校施設におけるバリアフリー化の取組に対する支援の一つとして、スロープ、障害者用トイレ、エレベーターの国庫補助を行っています。

写真 校舎出入口のスロープ(東京都世田谷区立三宿中学校)「学校施設のバリアフリー化整備計画策定に関する実践事例集」より
校舎出入口のスロープ(東京都世田谷区立三宿中学校)「学校施設のバリアフリー化整備計画策定に関する実践事例集」より


  • ※11 参照:http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/shuppan/07072505.htm

2 地域と連携した学校施設の充実

(1)地域の拠点としての学校施設の充実

 学校は、児童生徒の学習の場であるとともに、生涯学習活動や地域住民の交流など多様な活動の拠点ともなっています。
 文部科学省では、地域社会や家庭、学校が連携協力することの重要性を踏まえた学校施設の整備について方策を提示するとともに、学校施設と他の文教施設(社会教育施設、社会体育施設など)や福祉施設(高齢者福祉施設、児童福祉施設など)との複合化を図ることに伴い必要となる共用部分の施設整備に要する経費の一部について国庫補助を行っています。

写真 家庭教室で地域の大人たちが調理(青森県南部町立名川中学校)「新たな学校施設づくりのアイディア集」より
家庭教室で地域の大人たちが調理(青森県南部町立名川中学校)「新たな学校施設づくりのアイディア集」より

(2)余裕教室・廃校施設の活用

 少子化による児童生徒数の減少に伴って余裕教室や廃校施設が生じています。余裕教室や廃校施設は、各学校・地域の実情やニーズに応じて有効に活用することが重要です。余裕教室は、例えば、放課後子供教室・放課後児童クラブのための施設や地域防災のための施設など学校以外の施設として活用されています。廃校施設は、社会教育施設や社会体育施設として活用されているほか、近年では社会福祉施設や民間企業の工場、宿泊施設などとしても活用されています。
 第2期教育振興基本計画を踏まえ、文部科学省では、活用事例を掲載したパンフレットを作成・配布するとともに、国庫補助金により整備された学校施設を学校以外の用途に転用する場合等に必要となる財産処分手続を大幅に弾力化・簡素化しています。
 また、廃校施設の活用支援の取組として、地方公共団体が活用用途を募集している廃校施設の情報を集約し、文部科学省のウェブサイト上で公表することによって活用希望者とのマッチングを支援する「みんなの廃校プロジェクト」を展開しています(※12)(図表2-12-4)。

図表2-12-4 みんなの廃校プロジェクト


  • ※12 参照:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyosei/1296809.htm

3 環境を考慮した学校施設づくり

(1)環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備推進

 地球環境問題への対応が喫緊の課題となっている中で、第2期教育振興基本計画を踏まえ、再生可能エネルギー設備の導入や校舎等の断熱性の向上、校庭の芝生化などの環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備が進められています。エコスクールの整備によって、児童生徒にとって健康的で快適な学習・生活空間を維持しながら施設の環境負荷低減を図ることができます。また、エコスクールは、児童生徒が環境について学ぶ教材としての側面を持つとともに、地域の環境教育の発信拠点としての機能を果たすこともできます。

1.エコスクールの整備推進

 文部科学省では、太陽光発電設備等の再生可能エネルギー設備の導入や校舎の断熱性の向上、校庭の芝生化等に対して国庫補助を行っています。関係省庁と連携して地方公共団体がエコスクールとして整備する学校をモデル校として認定する「エコスクールパイロット・モデル事業」を実施することなどによってエコスクールの整備推進に取り組んでいます(図表2-12-5)。
 また、パンフレットや事例集の作成、ウェブサイトによる情報発信など、エコスクールの整備の効果や意義の普及に取り組んでいます。
 さらに、平成24年度から26年度まで公募し、エコスクールを更に進化させた、省エネルギーの徹底などにより年間のエネルギー消費を実質上ゼロにする「学校ゼロエネルギー化」を目指す公立学校を支援する「スーパーエコスクール実証事業」を実施しています。

2.再生可能エネルギーの導入

 再生可能エネルギー設備の導入について、文部科学省では、平成21年度から太陽光発電設備を対象に国庫補助を開始し、その後、地域の実情に応じた再生可能エネルギー設備の整備を推進するため、風力発電設備及び太陽熱利用設備についても補助対象とし、取組を推進しています。公立小・中学校の太陽光発電設備の設置率は、調査を開始した平成21年時点の3.8%から、25年4月時点では17.8%に増加しています。

3.省エネルギー対策

 「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(「省エネ法」)に基づき、学校においても、省エネルギー対策が求められています。文部科学省では、学校事務職員と意見交換を行い、「学校でできる省エネ」(平成24年3月)を取りまとめ、各都道府県教育委員会など関係機関に配布しています(※13)。

図表2-12-5 エコスクールの推進


  • ※13 参照:http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/green/index.htm

(2)学校施設の木材活用

 我が国の伝統的な建築材料である木材の活用は、温かみと潤いのある教育環境づくりを進める上で効果的であり、たくましく心豊かな児童生徒の育成に寄与しています。また、地域の木材を利用することによって、校舎への愛着、地域文化の理解促進などの効果も期待されます。さらに、木材は再生可能な資源であり、エネルギー源として燃やしても大気中の二酸化炭素の濃度に影響を与えないことから、地球温暖化防止にも貢献することができます。
 公立学校における木材利用の状況については、平成25年度に建築された学校施設(1,242棟)のうち、936棟(75.4%)が木材を使用していました。また、この936棟のうち、木造施設は254棟(25年度に建築された全ての公立学校施設のうち20.5%)、木造ではない施設のうち内装に木材を使用した施設は682棟(同54.9%)でした。
 文部科学省では、平成22年10月に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されたことを踏まえ、林野庁や国土交通省と連携して、学校施設の整備に当たっても、各学校や地域の実情を考慮しつつ、地方公共団体に対して木材の利用に積極的に取り組むよう促しています。
 第2期教育振興基本計画においても、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」等に基づき、木材利用を推進すると記載されており、公立学校の木造校舎の新増改築事業や既存建物の床や壁などの内装に木材を使用して改修する場合に国庫補助を行うとともに、木材を活用した学校施設の整備に関する手引書や事例集の作成・配布、講習会の実施など、学校施設における木材利用の取組を推進しています。
 また、木造校舎の構造設計標準の在り方について、有識者会議における報告書を受けて、平成26年度に日本工業規格である「木造校舎の構造設計標準(JIS A 3301)」を改正するとともに、JIS A 3301の考え方や具体的な計画例、留意事項等を取りまとめた技術資料を作成しました。
 さらに、平成27年度には、建築基準法の一部改正により規制緩和された木造3階建て等の大規模木造校舎や、JIS A 3301を活用した木造校舎を整備する地方公共団体の先導的な取組を支援するため、「木の学校づくり先導事業」を実施する予定です。

第3節 未来を拓(ひら)く教育研究基盤の形成

第2期教育振興基本計画における関連成果指標
成果目標7(安全・安心な教育研究環境の確保)
【成果指標】
<主として高等教育関係>

  • 大学等の耐震化率の向上
     国立大学等については、「第3次国立大学法人等施設整備5か年計画」を踏まえ、できるだけ早期の耐震化の完了を目指す。

計画策定後の主な取組と課題(ポイント)

  • 国立大学等施設の耐震化率は平成26年5月現在、94.2%に進捗。
  • 引き続き、平成27年度までのできるだけ早期の耐震化完了を目指すとともに、非構造部材の耐震対策、防災機能強化、老朽化対策や、大学等の機能強化につながる質の高い教育研究環境の確保を推進。

 国立大学、大学共同利用機関及び国立高等専門学校(以下「国立大学等」という。)は、社会の要請に応えながら、創造性豊かな人材の養成や独創的・先端的な学術研究、高度で質の高い医療を推進するなど、我が国の高等教育及び学術研究の進展に大きな役割を果たしてきました。文部科学省では、国立大学等がこのような役割を一層果たしていくためには、その基盤となる施設の充実を図ることが重要であるとの認識の下で、国立大学等の施設整備の支援を行っています。

1 「第3次国立大学法人等施設整備5か年計画」に基づく整備の推進

 これまで国立大学等の施設については、耐震化の推進や老朽・狭あい化の解消に取り組んできましたが、依然として安全性・機能性の不足や老朽化の更なる進行などの課題を抱えています。
 このため、文部科学省では、「第4期科学技術基本計画」(平成23年8月19日閣議決定)を受けて、「第3次国立大学法人等施設整備5か年計画(23年度から27年度)」(以下「第3次5か年計画」)を策定し、計画的・重点的な施設の整備を推進しています(※14)。
 「『日本再興戦略』改訂2014」(平成26年6月24日閣議決定)等においても、「国立大学改革プラン」等に基づいた強み・特色の重点化、グローバル化、イノベーション創出、人材養成機能の強化等の機能強化、さらに、地域医療への貢献、地球環境への配慮など、国立大学等の施設は様々な政策課題や社会的要請に対応することが求められています。

写真 老朽化の激しい校舎
老朽化の激しい校舎

写真 老朽化の激しい校舎狭あい化の著しい実験室
狭あい化の著しい実験室


  • ※14 参照:http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/08/1310229.htm

(1)基本的考え方

 第3次5か年計画では、施設整備の基本的考え方として、1.質的向上への戦略的整備―Strategy、2.地球環境に配慮した教育研究環境の実現―Sustainability、3.安全な教育研究環境の確保―Safetyを掲げ、これらの取組を一体的に実現することを通じて、十分な機能を持った、質の高い、安全な教育研究環境の確保を目指しています(図表2-12-6)。
 また、より効果的かつ効率的な施設整備を実施するため、基本理念や将来構想、経営戦略などを踏まえた国立大学ごとのキャンパス全体の整備計画(キャンパスマスタープラン)の策定を推進しています。

図表2-12-6 第3次5か年計画の実施方針

(2)重点的整備の推進

 第3次5か年計画では、基本的考え方の下で、以下の施設(約550万平方メートル)を優先的に整備すべき対象と位置付けています。

  • 老朽施設の改善:約400万平方メートル:耐震性に問題のある施設、教育研究活動に著しい支障のある施設やライフライン(電気・ガス・水道など)を整備
  • 狭あい解消整備:約80万平方メートル:卓越した研究拠点の形成や若手研究者の増加、留学生の受入れなどへの対応のため、必要となるスペースを整備
  • 大学附属病院の再生:約70万平方メートル:最先端医療への対応や救命救急医療の拠点などに必要な施設を整備
     平成26年度は、当初予算のみならず、補正予算を措置したことによって、第3次5か年計画の4年目に当たる26年度までの整備面積は、老朽施設の改善(約239万平方メートル)、狭あい解消整備(約71万平方メートル)、大学附属病院の再生(約61万平方メートル)となる見込みです。

 現在、国立大学等が保有している施設のうち、建築後25年以上経過し、かつ、今後改修が必要な老朽施設は849万平方メートル(全体の約3割)に達しています(図表2-12-7、2-12-8)。これらの老朽施設は、耐震性などの安全面のほか、電力・給排水設備の経年による故障などにより教育研究活動に支障が生じるなど、多くの課題を抱えていることから、早急な改善が必要です。このため、第3次5か年計画に基づいて、老朽施設やライフラインの機能改善整備を推進しています。

図表2-12-7 国立大学などの施設の経年別保有面積と改修需要

図表2-12-8 ライフラインの老朽化(断水、空調停止、停電、ガス停止、エレベーター停止)

(3)施設に関するシステム改革の推進

 文部科学省では、国立大学等の施設の重点的整備と併せて、既存施設の有効活用や適切な維持管理などの施設マネジメントの推進、多様な財源の活用による施設整備の推進などの施設に関するシステム改革の取組を一層推進しています。

2 今後の国立大学等施設の整備充実に向けた取組

 現在、国立大学等の施設は、老朽化が課題となっています。施設の劣化や老朽化したライフラインに起因する事故により教育研究活動の弱体化が進むことで、我が国の高等教育、科学技術力に対する信頼性が大きく低下することが懸念されています。さらに、国際競争の場に置かれる国立大学等においては、世界各地からの優秀な人材の獲得や国内の優秀な人材流出の防止のためにも、各大学等の強みを生かした機能強化への取組が急務となっています。
 このような状況の中で、文部科学省では、次期の国立大学法人等施設整備5か年計画(平成28~32年度)の策定に向けて、26年3月から有識者会議を立ち上げ、検討を進めており、26年7月には、1.安全・安心な教育研究環境の基盤の確保、2.サステイナブル・キャンパス(※15)の形成と地域との共生、3.国立大学等の機能強化への対応の三つの方向性で検討を進めることについて中間まとめを取りまとめました(※16)。
 また、大学の理念やアカデミックプラン(※17)の実現に向けて、経営的視点から施設全般に係る様々な取組を行う施設マネジメントを一層推進するために、「国立大学等施設の総合的なマネジメントに関する検討会」を開催し、平成27年3月に報告書「大学経営に求められる施設戦略~施設マネジメントが教育研究基盤を強化する~」を取りまとめました(※18)。本報告書では、大学の経営者層に向けて、施設マネジメントの基本的な考え方、具体的な実施方策、先進的な取組事例等を紹介しています。
 さらに、大学附属病院については、今後の病院施設整備に関する取組を支援するために、平成26年4月に有識者会議を立ち上げ、27年3月に「国立大学附属病院施設整備に関する事例集」を取りまとめました(※19)。この事例集では、近年に再開発整備を実施した七つの大学附属病院の事例を取り上げ、再開発整備計画を策定する際に役立つ情報を幅広く掲載しています。

写真 研究者の異分野交流を促進し,イノベーションを創出(「検討の方向性・課題の整理に関する中間まとめ」より)
 研究者の異分野交流を促進し、イノベーションを創出(「検討の方向性・課題の整理に関する中間まとめ」より)

写真 最先端医療に対応した手術室の整備例(国立大学附属病院施設整備に関する事例集)より
 最先端医療に対応した手術室の整備例(国立大学附属病院施設整備に関する事例集)より


  • ※15 サステイナブル・キャンパス:安定的・継続的に教育研究活動を行っていくため、既存資源を十分に維持・活用し、省資源・省エネルギー、環境負荷の一層の低減に率先して取り組むとともに、それらを通じて社会に貢献するキャンパスのこと。
  • ※16 参照:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/031/toushin/1350764.htm
  • ※17 アカデミックプラン:大学の理念を踏まえた教育、研究等に関する将来構想
  • ※18 参照:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/030/toushin/1355946.htm
  • ※19 参照:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/032/gaiyou/1355851.htm
  • ※20 統一基準:官庁施設整備に関し、各府省庁が定めた基準類のうち、共通化することが合理的な基準類を整理・統合し、中央省庁統一の基準として「官庁営繕関係基準類の統一化に関する関係省庁連絡会議」の決定を受けた基準類
  • ※21 特記基準:施設の特性などから、統一基準により難い部分がある場合に、統一基準を補完する基準として各府省庁が個別に定めた基準類
  • ※22 参考:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/029/index.htm

3 大学等の施設づくりへの技術支援

 文部科学省では、国立大学等施設の質的水準の確保・向上を図るとともに、社会の変化に対応した施設づくりのため、技術的な面から国立大学等の施設づくりを支援しています。
 また、国公私立大学、研究機関など施設における省エネルギー推進のための取組を実施しています。

(1)技術的基準の整備

 国立大学等の施設整備に当たっては、一定水準の品質と性能を確保するため、中央省庁共通の「統一基準(※20)」や文部科学省が定める「特記基準(※21)」などの技術的基準が定められています。
 文部科学省では、国立大学等施設の設計に関する検討会報告書(平成26年3月)を踏まえ(※22)、国立大学等が施設を設計する際の基本的考え方や留意事項を示した「国立大学等施設設計指針」を26年7月に策定しました(※23)。
 また、最近整備された特色ある施設の事例を集めた「国立大学等の特色ある施設2014」を27年3月に作成し、大学機能を活性化する教育研究空間づくりを紹介しています(※24)。


  • ※23 参考:http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/eizen/1349007.htm
  • ※24 参考:http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/shuppan/1355895.htm

(2)省エネルギーの推進

 「省エネ法」の規制や地球温暖化などの問題を受けて、大学等においても省エネルギーの一層の推進が求められています。このため、文部科学省では、大学等における省エネルギー対策の手引や事例集を作成するとともに、講習会を実施するなどの取組を行っています(※25)。
 また、経済産業省と連携してエネルギーの使用量が多い大学等を対象に現地調査を実施するなど、大学等が省エネルギーを図れるよう指導・助言を行っています。


  • ※25 参考:http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/green/index.htm

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生涯学習政策局政策課

-- 登録:平成27年09月 --