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第5章 新たな知と価値を創造・発信する高等教育に向けて

総論

 グローバル化や少子高齢化など社会の急激な変化に直面する中で、我が国は持続可能で活力ある社会を目指した変革を成し遂げなければなりません。そのために、大学及び大学関係者は、我が国及び国民が直面する課題にしっかり応えていく重大な責務を有しているということを認識し、国民や社会からの期待に応える大学改革を主体的に実行することが求められています。
 文部科学省では、政府の教育再生実行会議や産業競争力会議での大学改革、社会人の学び直しなどの議論、平成25年11月に公表した「国立大学改革プラン」等を踏まえ、今や待ったなしの状況にある大学改革を確実に実行段階へと移し、その成果として、社会を変革するエンジンとしての大学の役割を国民が更に実感することができるようになることを目指して改革に取り組んでいます。今後も、世界トップレベルの大学力の実現を目指して、大学の質・量両面の充実・強化につながる施策を推進しています。
 このほか、医療人や法曹などの専門人材の養成や、地域医療の中核としての大学病院の機能強化、高等専門学校や専門学校の充実など高等教育の多様な発展のための様々な取組を推進しています。
 あわせて、意欲と能力のある学生が経済的理由によって学業を断念することがないよう、各大学が行う授業料減免措置への支援や奨学金事業の一層の拡充等に取り組むとともに、学生の就職活動への支援やキャリア教育の充実に向けた支援も行っています。

第1節 高等教育施策の動向

1 大学改革の進展

(1)大学教育の質・量両面の充実に向けて

 高等教育機関、とりわけ大学には、世界を舞台に活躍するグローバル人材、新たな価値を創出するイノベーション人材等、幅広い教養や高い専門性を備えるとともに、社会の変化に対応するための基礎的な力を有し、将来に活路を見いだす原動力となる人材の育成が求められています。また、大学は、地域の産業活性化や様々な研究を通じた諸問題の解決などの役割も担っており、新たな知と価値を創造・発信し、能動的に社会をリードしていくことに大きな期待が寄せられています。
 我が国の大学・短期大学への戦後の進学率は、昭和50年代から平成2年頃までほぼ横ばいだった期間を経て上昇し、平成26年度には大学・短期大学合わせて56.7%、高等専門学校、専門学校を含めれば80.0%となっています。成熟社会においては、知識基盤社会の進展や産業・就業構造の変化により、高度な知識や技能を有する高等教育修了者の需要がこれまで以上に増加することが予想されており、実際、多くのOECD加盟国では大学レベルの高等教育への進学率が上昇傾向にあります(図表2-5-1)。一方、我が国の大学進学者の多くを占める18歳人口は、平成4年度の約205万人をピークに減少し、20年度頃に一旦減少傾向が止まりましたが、33年度頃から再び減少することが予想されています(図表2-5-2)。
 このような状況を踏まえ、学ぶ意欲と能力を持つ全ての若者に高等教育の機会を開くとともに、社会人の学び直しなど生涯学習の場としての機能の充実や、留学生の受入れの推進、大学院教育の充実なども含めて一層多様で質の高い大学教育の機会の充実に努めていくことが重要です。
 また、大学教育の質については、社会で求められる人材が高度化・多様化する中で、教養・知識等に加え、課題発見・探求のための批判的思考力や判断力、チームワークやリーダーシップを発揮して社会的責任を担い得る倫理的・社会的能力などを育成するため、学生の主体的な学びを重視した大学教育への転換などを図るとともに、大学の設置認可、設置後の認証評価など大学の質保証の仕組みの更なる充実に取り組んでいくことなどが求められています。
 知識基盤社会が一層進展するこれからの時代において、「大学力は国力そのもの」であり、社会の期待に応える大学改革を推進するとともに、改革に積極的に取り組む大学を強力に支援することによって、質・量両面での大学教育の充実を図っていく必要があります。

図表2‐5‐1 大学進学率の国際比較

図表2‐5‐2 18歳人口と高等教育機関への進学率等の推移

(2)平成26年度の大学改革の動向

 社会からの期待に応える大学づくりを更に推進するため、文部科学省では、主体的な学修ができる環境整備及び学生の学修時間の確保(欧米並みの水準)、海外留学の促進、世界で戦える「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学)」の倍増、大学の地域貢献機能の一層の強化等に取り組んでいます。
 加えて、平成26年度には、政府の教育再生実行会議や産業競争力会議などにおいても、大学改革について様々な議論がなされました。
 教育再生実行会議においては、現在の学制等が、少子・高齢化やグローバル化が進展するこれからの日本に見合うものとなっているかという観点から議論が行われ、平成26年7月3日に「今後の学制等の在り方について(第五次提言)」が取りまとめられました。この提言を受けて文部科学省では有識者会議を開催し、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化の基本的な方向性について議論を行い、平成27年3月にその審議のまとめを公表しました。この新たな高等教育機関の制度化については、引き続き、中央教育審議会において検討を行っていきます。
 また、産業競争力会議「『日本再興戦略』改訂2014―未来への挑戦―」(平成26年6月24日閣議決定)においては、未来を支える人材を育てるため、25年以来取り組んできた大学改革の取組やグローバル人材育成のための取組をより強化する必要があること、あわせて、高度な外国人材を確保する観点から、引き続き、大学改革を着実に実施するとともに、第3期中期目標期間(平成28年度~)における国立大学法人運営費交付金や評価の在り方の抜本的見直しに向けた検討等を進めることとしています。また、国際機関への日本人の就職支援も行いつつ、グローバル化等に対応する人材力を育成強化するための取組を講じていきます。
 一方、中央教育審議会大学分科会においても、教育再生実行会議や産業競争力会議における議論の内容等も踏まえつつ、大学の質保証の充実や大学院教育の在り方、法科大学院教育の改善など大学教育の更なる充実・発展に向けて審議しています。
 また、学長がリーダーシップを発揮して、機動的な大学改革を進められる体制を整備するため、「大学のガバナンス改革の推進について」(審議まとめ)(平成26年2月12日中央教育審議会大学分科会)を踏まえ、学校教育法及び国立大学法人法の一部改正法案を第186回国会に提出し、26年6月に成立しました(施行日は27年4月1日)。文部科学省は、引き続き、各大学が教育・研究・社会貢献の機能を最大化し、学長のリーダーシップの下で、大学の強みや特色を生かしていくことができるようなガバナンス体制の構築の後押し等を行っていきます。
 また、中央教育審議会では、教育再生実行会議の提言等を踏まえつつ、大学入学者選抜をはじめとする高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携強化のための方策について調査審議し、平成26年12月22日に「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」を答申しました。
 このほか、国立大学については、「国立大学改革プラン」(平成25年11月)を踏まえ、28年度から始まる第3期中期目標期間(6年間)における国立大学法人運営費交付金の配分と、配分に反映させるための評価の在り方について有識者会議を開催し、抜本的な見直しに向けた検討を進めています。
 さらに、文部科学省では、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(平成26年12月27日閣議決定)を踏まえ、地域の課題解決や地域が必要とする人材の育成等に積極的に貢献しようとする大学に対する支援の強化を図っています(※1)。


  • 参照:第1部 特集3 第5節1

第2節 高等教育の更なる発展に向けて

第2期教育振興基本計画における関連成果指標
成果目標2(課題探求能力の修得)
【成果指標】

  • 各大学における学修時間の把握状況の改善、十分な質を伴った学修時間の実質的な増加・確保(欧米並みの水準)
  • 学修支援環境の改善
  • 全学的な教学システムの整備状況の向上(教育課程の体系化、組織的な教育の実施、授業計画の充実など)
  • 学生、卒業者、企業・NPO等の、教育への評価の改善
  • 社会人入学者の倍増

成果目標5(社会全体の変化や新たな価値を主導・創造する人材等の養成)
【成果指標】

  • 社会を牽(けん)引するリーダーを養成するための専門分野を超えた教育プログラム実施数の増加

計画策定後の主な取組と課題(ポイント)

  • 学部段階において学生の学修時間や学修行動の把握を実施している大学
     平成24年:299大学(40.2%)
     (文部科学省「大学における教育内容等の改革状況等について」(平成25年11月))
  • 学生による大学教育への評価状況を把握するため、各大学において、以下のような取組を実施
    • 学生の学修成果の把握の一環として、学部段階において学生の学修経験などを問うアンケート調査(学修行動調査等)を実施
       平成24年:106大学(14.3%)
    • 全ての学部もしくは全ての研究科で、学生による授業評価を実施
       平成24年:722大学(94.3%)
       (文部科学省「大学における教育内容等の改革状況等について」(平成25年11月))
  • 今後も、質の高い大学教育の実現のため、学修支援環境の整備、教員の教育力の向上、学生の主体的な学びを促すアクティブ・ラーニング等の導入・拡大等を推進
  • 学修支援環境の改善(※2)
  • 社会を牽(けん)引するリーダーを養成するための専門分野を超えた教育プログラム実施数の増加
     「博士課程教育リーディングプログラム」採択プログラム数
     平成23年:20プログラム 平成24年:44プログラム 平成25年:62プログラム

  • ※2 参照:第2部 第5章 第5節1

1 学生の主体的な学びの確立に向けた大学教育の質的転換

(1)学士課程教育

 学士課程教育においては、これまでの中央教育審議会の答申を受けた様々な制度改正等によって授業計画(シラバス)の作成や組織的な研修等(ファカルティ・ディベロップメント)などが着実に進んできています。これから大学等に求められていることは、グローバル化の進展等の社会の急激な変化に対応するため、教育課程の体系化、学生の主体的な学びを促すアクティブ・ラーニング等の導入・拡大、学修支援環境の整備等によって、思考力・判断力・表現力などの真の「学力」を育成する大学教育の質的転換を図ることです。平成26年度においては、主に次のような取組を進めています。

  1. 大学教育再生加速プログラム:アクティブ・ラーニング、学修成果の可視化、入試改革・高大接続に関する先進的な取組を支援することによって、大学教育の質的転換の加速を促すことを目的とした事業(平成26年度に46件の取組を選定)。
  2. 大学間連携共同教育推進事業:国公私立の設置形態を超え、地域や分野に応じて大学間が相互に連携し、社会の要請に応える共同の教育・質保証システムの構築を行う取組の中から、優れた取組を選定して重点的な財政支援を行うことによって、教育の質の保証と向上等を推進することを目的とした事業(平成24年度に49件の取組を選定)。
  3. 教育関係共同利用拠点の認定:質の高い教育を提供するため、各大学の教育関連施設等の共同利用を促進して大学の人的・物的資源を有効に活用するため、大学の教職員の組織的な研修等の実施機関等の教育関連施設等を教育関係共同利用拠点として文部科学大臣が認定する制度(平成26年度に新たに8件の拠点を認定(26年7月31日時点:合計48拠点))。

(2)短期大学士課程教育

 中央教育審議会大学分科会大学教育部会短期大学ワーキンググループは、平成26年8月に「短期大学の今後の在り方について(審議まとめ)」を取りまとめ、短期大学の今後の機能や教育の在り方について、短期大学教育の特長を更に伸ばすため、短期大学が自ら改革に取り組むとともに、国はそれぞれの短期大学の特色に応じた機能別分化を推進することなどを提言しました。文部科学省では、この提言を踏まえ、短期大学教育が一層充実するよう必要な施策に取り組んでいます。また、大学教育再生加速プログラムや大学間連携共同教育推進事業において、短期大学教育における質的転換も推進しています。

(3)大学院教育

 文部科学省では、博士、修士、専門職学位を授与する課程制大学院制度の趣旨に沿って、学位プログラム(明確な人材養成目的に基づき、個々の専門分野を超えた組織的な指導体制で展開される体系性・一貫制ある教育)に基づいた大学院教育を確立するため、大学院教育の質の保証・向上のための施策を実施しています。博士課程教育において広く産学官にわたってグローバルに活躍するリーダーを養成するため、産業界等と密接に連携し、専門分野の枠を超えた博士課程の学位プログラムを構築・展開する大学を支援するとともに、博士論文研究基礎力審査を導入して体系的な博士課程教育の構築を進めています。

2 大学入学者選抜の改善

(1)各大学の入学者選抜

 各大学ではこれまで、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)に基づいて、大学教育を受けるにふさわしい能力・適性等を多面的に評価するため、面接・小論文などの活用による評価尺度の多元化や、アドミッション・オフィス(AO)入試や推薦入試の導入・拡大といった入試方法の多様化を進めてきました。一方、一部の大学においてAO入試や推薦入試が外形的・客観的基準に乏しい「学力不問」の入試方法になっているのではないかといった懸念があることから、文部科学省では、毎年、どのような入試方法であっても、学力検査や調査書の利用によって学力を把握したり、大学自らが作成した試験だけではなく、TOEFL等英語の「聞く」、「読む」、「話す」、「書く」の4技能を測ることができる資格・検定試験等を積極的に活用したりすることなどを通知して入試方法の改善を促しています(平成26年度は5月28日に通知)。

(2)大学入試センター試験

 大学入試センター試験は、大学入学志願者の高等学校段階における基礎的な学習の達成度を判定するため、各大学が大学入試センターと共同して平成2年度入試から実施している試験です。27年度入試において大学入試センター試験に参加している大学は689大学、160短期大学で、約53万人を超える入学志願者が受験(全入学志願者の約7割)しており、非常に大規模な試験として発展しています。なお、27年度大学入試センター試験(27年1月実施)の数学、理科は、24年度から実施されている現行の学習指導要領に対応した初めての試験になっています。

3 大学教育の質保証のためのトータルシステムの確立

(1)設置認可制度

 大学の設置や組織改編は、大学教育の国際的な通用性の確保や学生保護のため、設置審査などの所定の手続を経て行われます。文部科学大臣は大学の設置などの認可申請を受けると、申請内容が大学設置基準などの法令に適合しているかどうかについて、学識経験者などからなる大学設置・学校法人審議会に諮問を行います。同審議会は教学面や財政計画・管理運営面について専門的な審査を行った結果を答申し、それを踏まえ、文部科学大臣が認可の判断を行います。
 また、学問の進展や社会の変化に対応した機動的な組織改編に資するよう、授与する学位の種類と分野を変更しない学部・学科などについては、例外的に届出による設置を可能としています。
 その一方で、一部の大学から、準備が不足していたり大学の設置に関する基本的理解を欠いていたりする設置申請や届出がなされた結果、申請の取下げや、不認可となる件数が以前と比べ増加傾向にあったり、開設後数年もたたないうちに再び届出により新たな学部などに転換したりする事例も出てきています。
 文部科学省では、大学・学部などの設置後の質保証の方策として、授業科目の開設状況や教員組織の整備状況について各大学からの報告を求め、書面、面接又は実地による調査(設置計画履行状況等調査(アフターケア))を行っています。調査の結果、特に課題が見られる大学に対しては具体的な意見を付し、それを公表することで、大学に対して主体的な改善を促しています。また、大きな課題がありながら改善が進まない大学に対しては、認可申請をしても新たな認可をしないことがあり得ることを警告して改善を促す仕組みを設けています。

(2)認証評価制度

 認証評価制度は、「学校教育法」に基づいて、国公私の全ての大学、短期大学、高等専門学校に対して、7年以内に1回(専門職大学院は5年以内に1回)、文部科学大臣の認証を受けた評価機関(認証評価機関)による第三者評価(認証評価)を受けることを義務付けるものです。この第三者評価制度は、国による事前規制を弾力化しつつ、大学等の教育研究の質の担保を図るため、設置後の大学等の組織運営や教育研究活動等の状況を定期的に事後確認する体制を整備する観点から導入されたものです。平成27年4月現在で、12の認証評価機関(図表2-5-3)が第三者評価を実施しています。
 評価の基準・方法は各評価機関によって異なりますが、評価結果に応じて再評価の受審や要改善事項に対する改善報告書の提出を求めるなど、各評価機関において各大学の改善を促す仕組みが設けられています。
 平成26年度は、4年制大学144大学、短期大学61大学、高等専門学校15校、法科大学院7専攻、会計専門職大学院1専攻、経営系専門職大学院11専攻、臨床心理専門職大学院1専攻、公共政策系専門職大学院1専攻、情報系専門職大学院2専攻、知的財産専門職大学院2専攻の認証評価が行われ、この結果はそれぞれの認証評価機関のウェブサイトで公表されています。

図表2‐5‐3 認証評価機関

(3)情報公開の推進

 大学は、公共的な教育機関として、社会に対する説明責任を果たすとともに、教育の質を一層向上することが求められています。平成23年4月から全ての大学は「学校教育法施行規則」に定める教育研究活動等の状況についての情報を公表することになっています。また、大学の教育情報の活用・公表を一層促進するため、26年度からデータベースを用いた共通的な仕組み(大学ポートレート)の運用が開始され、大学ポートレートを活用した情報公表も進められています。

4 地域・社会に開かれた高等教育

(1)地域社会の核となる高等教育機関の推進

 文部科学省では、「第2期教育振興基本計画」を踏まえ、地域の高等教育機関が全学的に地域を志向した教育・研究・社会貢献活動を行うことを支援することで、地域との相互交流を促進し、地域から信頼される地域コミュニティの中核的存在(COC、Center of Community)になるよう、平成25年度から地域の課題解決につながる大学の特に優れた取組を支援しています(26年度支援件数:77件)。例えば、1.学生自らが地域課題を発見・解決する能力を育成するためのカリキュラム改革、2.地元企業等と連携した観光のまちづくりを通じた地域の活性化、3.学生の地元定着を促進するため、地域と連携して就職試験の際に活用できる学修成果の認定制度の構築などの取組が行われています。

(2)社会人の学び直しの機会の充実

 文部科学省では、「第2期教育振興基本計画」を踏まえ、高等教育機関における社会人の受入れを一層促進するため、専修学校、大学、大学院、短期大学、高等専門学校、高等学校等と産業界等が産学官コンソーシアムを組織して具体的な職域プロジェクトを展開し、協働して、社会人等の就労、キャリアアップ、キャリア転換に必要な実践的な知識・技術・技能を身に付ける学習システム等を構築しています。こうした取組を通じて、成長分野等における中核的専門人材や高度人材の養成を図り、社会人等の学び直しを全国的に推進しています。
 また、本事業の一環として、平成26年度から、グローバル化に対応した高度な職務実施能力やイノベーションの創出に必要な資質など高度な技術や専門知識・能力等を備えた人材養成に必要な大学院レベルのプログラムの開発・実証等を行います。
 さらに、教育再生実行会議の第6次提言が平成27年3月4日に出され、大学等が社会人等のニーズに応じた実践的・専門的な教育プログラムの提供を推進し、国がそうした実践的・専門的プログラムを認定、奨励する仕組みを構築することが提言されました。この提言を受けて、国が大学等における社会人の学び直しに資する実践的・専門的な教育プログラムを認定する仕組みを構築するに当たり、有権者による検討会を開催しました。検討会では、制度の目的及び期待される効果、対象とするプログラムの範囲、認定すべきプログラムの教育内容・教育方法等についての検討が行われ、27年5月12日に「『職業実践力育成プログラム』認定制度の創設について(報告)」が取りまとめられました。これを踏まえ、文部科学省において具体的な制度設計の検討を行っています。

第3節 グローバル人材育成と大学の国際化

第2期教育振興基本計画における関連成果指標
成果目標5(社会全体の変化や新たな価値を主導・創造する人材等の養成)
【成果指標】
<新たな価値を創造する人材関係>

  • 大学の国際的な評価の向上(研究面や教育面、国際面等で国際的に高い評価を受ける大学の増加)

<グローバル人材関係>

  • 国際共通語としての英語力の向上
    • 卒業時の英語力の到達目標(例:TOEFL iBT80点)を設定する大学の数及びこれを満たす学生の増加、卒業時における単位取得を伴う海外留学経験者数を設定する大学の増加
  • 日本の生徒・学生等の海外留学者数、外国人留学生数の増加(2020年を目途に日本人の海外留学生数を倍増など)
    • 日本人留学生の経済的負担を軽減するため官民が協力した海外留学支援制度の創設
    • 「世界の成長を取り込むための外国人留学生の受入れ戦略(報告書)」を取りまとめ、外国人留学生受入れの重点地域等を設定
  • 大学における外国人教員等(国外の大学での学位取得、通算1年以上国外で教育研究に従事した日本人教員を含む)の全教員に占める比率の増加
  • 大学における外国語による授業の実施率(外国語による授業/全授業数)の増加
  • 大学の入学時期の弾力化状況の改善(4月以外で入学した学生数の増加)

計画策定後の主な取組と課題(ポイント)

  • 大学の国際的な評価の向上
    主要な世界大学ランキングの上位100位以内にランキングしている日本の大学数
    【Times Higher Education誌(英国)】「世界大学ランキング」
     平成23:2校 平成24:2校 平成25:2校 平成26:2校
    【Times Higher Education誌(英国)】「World Reputation Rankings」
     平成23:5校 平成24:5校 平成25:5校 平成26:5校
    【Times Higher Education誌(英国)】「Alma Mater Index:Global Executives」
     平成25:9校
    【QS社(Quacquarelli Symonds Ltd)(英国)】「世界大学ランキング」
     平成23:6校 平成24:6校 平成25:6校 平成26:5校
    【上海交通大学】「世界の大学の学術ランキング」
     平成23:5校 平成24:4校 平成25:3校 平成26:3校
  • 卒業時の英語力の到達目標
     グローバル人材育成推進事業採択大学(42大学)において、1.卒業時の英語力及び2.卒業時における単位取得を伴う海外留学経験者の達成目標を設定(1.外国語力スタンダード※を満たす学生数 平成25年度実績:5,542名、2.平成25年度実績:7,999名(14.4%))。
     ※各大学が設定する客観的な手法・指標により測定された学生の語学力の水準(例:TOEFL等)
  • 日本人の海外留学者数
     平成19年:7万5,156人 平成20年:6万6,833人 平成21年:5万9,923人 平成22年:5万8,060人 平成23年:5万7,501人 平成24年:6万138人
  • 外国人留学生の受入数
     平成21年5月:13万2,720人 平成22年5月:14万1,774人 平成23年5月:13万8,075人 平成24年5月:13万7,756人 平成25年5月:13万5,519人 平成26年5月:18万4,155人(平成26年度調査に基づいて日本語教育機関とそれ以外の教育機関の在籍者数を合計した数値を公表)

1 双方向の留学生交流の推進(※3)

 社会や経済のグローバル化が進展する我が国においては、優秀な外国人留学生を獲得し我が国の成長に生かすことや、個々の能力を高めグローバル化した社会で活躍する人材を育成することが喫緊の課題となっています。
 日本学生支援機構の調べでは、外国人留学生の数は、平成26年5月1日時点で前年の16万8,145人から1万6,010人増の18万4,155人になっています。文部科学省の集計では、海外に留学した日本人学生等の数は、16年をピークに減少傾向にありましたが、24年には6万138人となり、前年比で下げ止まりました。政府は、「日本再興戦略―JAPAN is BACK―」(平成25年6月14日閣議決定)及び「第2期教育振興基本計画」において、2020(平成32)年までに日本人留学生を2010(平成22)年の6万人から12万人に倍増し、外国人留学生についても「留学生30万人計画」の実現を目指して2012(平成24)年の14万人から2020(平成32)年までに30万人に倍増することとしています。
 これらの目標の実現に向け、文部科学省では、留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」を推進して若者の海外留学への機運の醸成を図るとともに、民間企業等の協力を得た「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」の展開や国費による海外留学支援制度の拡充によって、学生等の経済的な負担の軽減等に取り組んでいます。
 一方、優秀な外国人留学生を確保するため、日本留学の魅力を高めるとともに、住環境を含む国内外の学生が交流する機会等の創出や、海外拠点や就職支援に係るプラットフォームの構築により、受入れ環境を充実するための支援を強化しています。


  • ※3 参照:第2部 第10章 第1節1

2 大学の国際化

 現在、国際的に活躍することができるグローバル人材の育成が喫緊の課題となっています。こうした高度人材の育成を担う中核として、我が国の大学には、教育・研究環境の国際化や学生の双方向交流など国際化の推進が強く求められています。
 文部科学省では、平成26年度から我が国の高等教育の国際通用性と国際競争力の向上を図るため、スーパーグローバル大学創成支援事業を開始し、海外の卓越した大学との連携や大学改革によって徹底した国際化を進める大学を支援しています(37大学を採択)。
 また、平成26年12月にグローバル人材育成のための国や大学の取組を広く社会に紹介するため、経済社会の発展を牽(けん)引するグローバル人材育成支援事業の採択校など61大学をはじめ、下村博文文部科学大臣、世界で活躍するアスリート、芸術家、ビジネスリーダー等の著名人も参加して、「第2回Go Global Japan Expo」を開催し、高校生や保護者など約5,400人が来場しました。
 海外の大学との教育連携は、国内だけでは実施することができない質の高い教育の提供に役立つとともに、我が国の大学教育の国際通用性の向上にも貢献します。このため、我が国にとって戦略的に重要な国・地域を対象に大学の世界展開力強化事業を実施し、海外大学との単位互換やダブル・ディグリー・プログラムの実施など質の高い協働教育プログラムを構築する大学を支援しています。
 一方、国外に目を向けると、現在、世界的に学生の流動性が高まり人材の獲得競争が激しさを増す中で、高等教育の質の保証に関する国際的な連携枠組みの形成が活発化しています。我が国がより多くの優秀な学生を確保するためには、このような取組において主導的な役割を発揮していくことが重要です。日中韓の3国においては、中国・韓国の両政府と連携して3国間の大学間交流を拡大する「キャンパス・アジア」構想を推進し、現在、10件のパイロットプログラムを通じて学生の交流を行っています。また、第1回ASEAN+3教育大臣会合(平成23年7月、インドネシア)を踏まえて設けられたASEAN+3高等教育の流動性・質保証に関するワーキング・グループにおいて、域内における学生交流のためのガイドラインを作成したり、質保証機関が定期的に集まる機会を設定しています。

第4節 専門人材の育成

1 医療系人材の養成

 高齢化に伴う疾病構造・医療ニーズの変化に対応するためには、総合的な診療能力を有する医師や地域でチーム医療を実践できる医療系人材の養成などが必要です。また、臨床研究などによって医薬品や医療機器の開発などを進めるメディカル・イノベーション推進人材の養成が重要となっています。これらを背景として、文部科学省では各大学と協力しながら、医療系人材を養成するための様々な取組を進めています。

(1)医師確保への対応

 近年の医師不足に対応するため、厚生労働省と連携して、地域医療を担う意欲と能力を持つ医師の養成や医師の地域偏在の解消に取り組んでいます。
 あわせて、医学部の入学定員については、平成20年度から増員を行っており、27年度は地域枠(地域医療に従事することを条件とした奨学金、選抜枠の設定を行う大学の入学定員)と研究医枠(複数大学の連携によって研究医養成の拠点を形成する大学の入学定員)を合わせて65人増加し、総計9,134人(19年度比1,509人増)としています。

(2)医学教育の改善・充実

 各大学では、医学生が卒業までに最低限学ぶべき教育内容を精選して作成された医学教育の指針である「医学教育モデル・コア・カリキュラム」に基づいてカリキュラム改革を行うなど、個々の教育理念に応じた特色ある取組が進められています。
 さらに、医学生の臨床能力の向上を図る観点から、診療参加型臨床実習の充実に向けた取組を促すとともに、近年では、国際的な動向を踏まえた医学教育の質の確保に向けて、「医学教育分野別評価基準」に基づくトライアル評価の実施等の取組を支援しています。

(3)歯学教育の改善・充実

 歯科医師としての基本的な資質と能力を確実に養成するため、歯学教育の指針である「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」に沿った教育の定着に取り組んでいます。
 さらに近年では、更なる歯学教育の質の向上を図るため、国際的な動向を踏まえた歯学教育の質の確保に向けて、「歯学教育認証評価基準トライアル版」の作成等の取組を支援しています。
 また、各歯学部に対して、優れた入学者の確保、適正な入学定員の設定等に関するフォローアップ調査を実施しています。

(4)薬学教育の改善・充実

 薬学教育の更なる充実を図るため、大学院4年制博士課程の自己点検・評価の促進や質の高い入学者の確保などについて、フォローアップを行っています。また、医療人としての薬剤師を養成するため、関係団体と協力しながら、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」に沿った教育や実務実習の充実に取り組んでいます。
 さらに、各大学では、病院及び薬局における実務実習を円滑に実施するため、事前学習や、基本的な知識、技能及び態度を客観的に評価する薬学共用試験、実習指導体制などを充実する取組を進めているほか、全大学を対象とした分野別第三者評価など教育の質を保証する取組も進められています。

(5)看護師等医療技術者教育の改善・充実

 看護師など医療技術者の養成において質の高い医療技術者、教育者、研究者を養成することを目的とした大学・大学院が増えており、大学が養成する人材に期待が寄せられています。
 一方、看護系大学数の急増によって教育の質の確保が重要になっています。このため、大学における看護系人材養成において、学士課程教育で養成する看護実践能力と卒業時到達目標の策定などの取組が進められています。

医学部・看護学部・薬学部4年次生による模擬患者面接を通じた診療・ケア計画等の立案学習の様子(写真提供:千葉大学亥鼻IPE(Interprofessional Education:専門職連携教育))
医学部・看護学部・薬学部4年次生による模擬患者面接を通じた診療・ケア計画等の立案学習の様子(写真提供:千葉大学亥鼻IPE(Interprofessional Education:専門職連携教育))

(6)高度医療人材の養成と大学病院の機能強化

 医療の高度化や超高齢社会等による疾病構造の変化に対応していくためには、大学及び大学病院において、卒前・卒後を通じて高度医療を支える人材の養成及び新しい医療技術の開発等を担う人材の養成を推進するとともに、地域医療の最後の砦(とりで)である大学病院の機能を強化することが必要です。
 特に、大学病院は、医学生等の臨床実習や卒後の医師初期研修・後期専門研修、医療従事者の教育の場であり、新しい医薬品・医療機器等の開発、先端的な臨床研究を実施する場でもあります。さらに、高度な医療や地域への医師の供給等を行う中核的な医療機関という重要な使命・役割を果たしています。
 このため、急速な医療ニーズの変化に対応できる次世代医療人材の確保に向け、平成26年度予算において、医学・歯学教育では、1.超高齢社会で活躍できる総合診療医、2.医療イノベーションを担う医師・研究医、3.がんの専門医、4.医療の質管理・災害医療・臨床医学教育・研究領域を担う横断的な診療力とマネジメント力を有する医師、5.難治性疾患・高難度手術・小児周産期領域を担う高度な知識・技能を有する医師、6.口腔疾患と全身疾患との関わりに関する領域を担う歯科医師の養成に対する支援を行っています。
 また、チーム医療を推進する観点から、看護・薬学等の教育では、1.地域での暮らしや看取りまで見据えた看護が提供できる看護師、2.地域医療に貢献することができる優れた薬剤師、3.チーム医療に貢献することができ、高い指導能力を持った理学療法士・作業療法士等の養成に対する支援を行っています。
 さらに、先進医療技術の開発、治験、臓器移植等に積極的に取り組む国立大学附属病院に対して、教育研究環境の整備及び実施体制基盤の強化に係る経費の支援を行っています。

(7)がん医療の取組

 がんは、我が国の死亡率第1位の疾患である一方で、放射線療法や化学療法、緩和医療等を行える専門家が全国的に少なく、その育成が急務とされています。文部科学省では、がん対策基本法に基づく「がん対策推進基本計画」(平成24年6月8日閣議決定)を実現するため、「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」を実施し、これに全国で100大学が参加して、優れたがん専門医療人の養成に取り組んでいます。

(8)死因究明等に係る人材養成の取組

 文部科学省では、死因究明等推進計画(平成26年6月13日閣議決定)を踏まえ、死因究明等に係る教育及び研究の拠点の整備を通じて、各大学における死因究明等に係る人材養成の取組を支援しています。

2 専門職大学院

 平成15年度に創設された専門職大学院(専門職学位課程)は、大学院のうち、特に高度専門職業人を養成することを目的とし、理論と実務を架橋する実践的な教育を行う課程です。平成26年5月現在で、法曹養成(法科大学院)、教員養成(教職大学院)、経営管理、MOT(技術経営)、公共政策といった多様な分野で計175専攻が開設されています。

(1)法科大学院

 21世紀の司法を支えるにふさわしい質・量ともに豊かな法曹を養成するため、「プロセス」としての法曹養成制度の中核的機関として、平成16年度に法科大学院が創設されました。これまで、法曹をはじめ民間企業や公務部門など社会の様々な分野に修了者を送り出すなど、一定の成果を挙げてきています。
 一方、司法試験の合格状況等において、法科大学院間や法学未修者・法学既修者間の差の拡大といった課題が顕在化しています。このため、文部科学省では、課題を抱える法科大学院を中心に、教育の質向上や入学定員の削減に向けた取組を進めてきました。さらに、法科大学院改革を加速させるため、平成26年10月の、中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会の提言等を踏まえ、総合的な改革方策を同11月に公表しました。この改革方策では、「体質強化を目指した組織見直しの促進」、「法曹養成機関としての教育の質の向上」、「誰もが法科大学院で学べる環境づくり」といった三つの観点からの取組を今後3年から5年間で計画的に立案・実行することとしています。
 また、平成27年度予算から、公的支援の見直しを強化し、全ての法科大学院を対象に、補助金等を傾斜配分することによって課題のある法科大学院の組織見直しを促進するとともに、飛び入学や早期卒業制度の活用、グローバル化や地域ニーズへの対応など優れた先導的な取組を積極的に支援することとしています。
 これらの状況も踏まえつつ、法科大学院を含めた法曹養成制度全体の在り方について、現在、政府の「法曹養成制度改革推進会議」において検討が行われています。

(2)教職大学院

 教職大学院は、新しい学校づくりの有力な一員となり得る新人教員の養成と、スクールリーダーとなるような現職教員の養成を目指して設立されました。平成26年4月現在、20都道府県に25大学が設置されています。
 教職大学院は、学校・教育委員会との連携・協働によって、教職経験のある実務家教員の配置や学校現場における長期の実習など、学校や教育委員会のニーズに即した体系的な教育課程を特色としており、新たな学びを展開できる実践的な指導力を持った教員を養成しています。また、教育委員会による現職教員の教職大学院への派遣数が増加傾向にあることや、現職教員学生を除く平成26年3月修了者の教員就職率が94%と高いことなど、着実な成果を上げています。
 文部科学省では、第2期教育振興基本計画を踏まえ、今後、未設置県における教職大学院の設置や既設教職大学院の拡充など教職大学院の発展等によって修士レベルの課程の質と量の充実を図ることとしています。

3 高等専門学校

 高等専門学校は、5年間一貫の専門的・実践的な技術教育を特徴とする高等教育機関として、全国に国公私立57校が設置されています。高等専門学校の卒業生の平均求人倍率は17倍で近年は上昇傾向にあり、就職志望者の就職率は毎年100%近くとなっているなど、産業界から高い評価を受けています。(図表2-5-4)。

図表2‐5‐4 高等専門学校本科卒業者の進路状況の推移

 一方、産業界の求める人材像が高度化していることなどを背景に、約4割の高等専門学校本科卒業者が専攻科や大学3年次等に進学しています。専攻科の学生は、大学評価・学位授与機構の認定を受けた専攻科の授業科目の単位を取得するなど一定要件を満たした上で、大学評価・学位授与機構の審査に合格することによって学士の学位を授与されることとなっており、現在全ての専攻科が大学評価・学位授与機構の認定を受けています。また、専攻科修了後の大学院進学率も約36%となっています(図表2-5-5)。

図表2‐5‐5 高等専門学校専攻科修了者の大学院進学状況

4 専門学校の現状と最近の施策

(1)専門学校の現状

 専修学校は、社会の変化に即応した実践的な職業教育、専門的な技術教育等を行う教育機関として発展してきました。特に、高等学校卒業程度を入学対象とする専門課程(専門学校)の生徒数は、平成26年5月現在約59万人となり、新規高等学校卒業者の約17.0%が進学しており、大学への進学(約48.0%)に次ぐ割合となっています。専門学校は、我が国の高等教育の多様化・個性化を図る上でも重要な役割を果たしています。

(2)最近の施策

 「第2期教育振興基本計画」において、専修学校について質保証・向上のための取組を行うとともに、「高等教育における職業実践的な教育に特化した新たな枠組みづくりに向けて、先導的試行などの取組を段階的に進める」こととしています。これらを踏まえ、企業等との密接な連携により、実践的な職業教育の質の確保に組織的に取り組む専修学校の専門課程を文部科学大臣が「職業実践専門課程」として認定し、奨励する仕組みを平成25年8月に創設して、26年度から開始しています(認定学校数:673校、認定学科数:2,042学科(27年2月17日現在))。また、産業界のニーズを踏まえた中核的専門人材養成を推進していく観点から、専修学校、大学、大学院、短期大学、高等専門学校、高等学校等と産業界等が産学官コンソーシアムを組織し、社会人や生徒・学生が就労やキャリアアップに必要な知識・技術・技能を習得するための学習システムの構築を図りました。

第5節 学生に対する経済的支援の充実と社会的・職業的自立に対する支援

第2期教育振興基本計画における関連成果指標
成果目標6(意欲ある全ての者への学習機会の確保)
【成果指標】
<主として高等教育・生涯学習関係>

  • 進学機会の確保や修学の格差の状況改善(被災した世帯の学生等も含めて、家庭の経済状況によらない高等教育への進学機会の確保)
    • 大学等奨学金の貸与基準を満たす希望者のうち、奨学金の貸与を受けることができた者の割合の増加
    • 低所得世帯の学生等のうち授業料減免を受けている者の割合

計画策定後の主な取組と課題(ポイント)

  • 大学等奨学金の貸与基準を満たす希望者のうち、奨学金の貸与を受けることができた者の割合の増加
     (予約採用段階)平成25年度 75.33% 平成26年度 83.74%
     (在学採用段階)平成25年度 100.0% 平成26年度 100.0%

1 学生に対する経済的支援の充実

(1)学生の経済状況

 教育費支出が実際に家計にとってどれほどの負担になっているかを見ると、子供二人が私立大学に通っている場合は、勤労世帯の平均可処分所得の2分の1近くを教育が占めています。学生の経済状況において、家計が負担する教育費が、大学段階で大きなものになっていることが分かります(図表2-5-6)。家庭の経済状況にかかわらず、誰もが安心して教育を受けることができる環境を整えることが重要です。

図表2‐5‐6 家計における教育費負担

(2)日本学生支援機構の奨学金事業

1.奨学金事業の現状

 日本学生支援機構は、経済的理由によって進学等が困難な優れた学生等に対し奨学金を貸与するとともに、卒業後の返還金の回収を行っています。平成26年度予算において、貸与人員は約140万人、事業費総額は約1兆1,745億円となっています(図表2-5-7)。
 奨学金事業には、無利子奨学金(第一種奨学金)と有利子奨学金(第二種奨学金)の2種類があります。有利子奨学金は在学中は奨学金の返還が猶予され、その間は利子が課されず、卒業後にそれまでの貸与額に対して低利子(平成27年3月貸与終了者では利率固定方式で年0.63%(上限3%))が課されます。また、家計支持者の失業や被災などによって緊急に奨学金を必要とする学生等に対応するため、「緊急採用奨学金(無利子)」、「応急採用奨学金(有利子)」の申込みを随時受け付けています。

図表2‐5‐7 奨学金事業費総額

2.学生の意欲に応える事業の充実

 文部科学省では、「学生への経済的支援の在り方について(報告書)」(平成26年8月)の内容等を踏まえ、平成27年度予算において、1.無利子奨学金の新規貸与人員を過去最大の8,600人増員(貸与人員:46万人(この他被災学生等分7,000人)、事業費総額:3,125億円(この他被災学生等分48億円))し、奨学金の「有利子から無利子へ」の流れを加速するとともに、2.貸与基準を満たす年収300万円以下の世帯の学生等全員への貸与の実現、3.所得の捕捉が容易となる社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の導入を前提により柔軟な「所得連動返還型奨学金制度」の導入に向けた詳細な制度設計やシステム開発等の対応を加速するなど、大学等奨学金事業の充実を図っています。

3.返還金回収業務の充実

 日本学生支援機構の奨学金事業は、卒業した学生等からの返還金を次の世代の学生等に貸与しているので、返還金を確実に回収することが重要です。このため、日本学生支援機構では、各学校の協力を得て、学生等の返還意識を高めるとともに、返還相談体制を更に充実したり回収業務を民間に委託したりすることなどによって返還金の適切な回収に取り組んでいます。
 一方、災害、病気、経済困難などによって返還が困難な場合は、毎月の返還の負担を軽減する減額返還制度や返還期限を猶予する制度などによってきめ細かく対応しています。

(3)大学における授業料減免事業の支援

 文部科学省では、経済的理由などによって授業料等の納付が困難な場合でも就学を継続することができるよう、国立大学法人運営費交付金の算定、私立大学等経常費補助金の特別補助などを通じて、国私立大学等の授業料減免措置等を支援しています。また、公立大学については、地方財政措置を通じて支援しています。
 現在、全ての国立大学に授業料減免制度があり、平成26年度の授業料免除実施額は294億円、免除人数は約5万4,000人(延べ数)になっています。全ての公立大学にも同様の制度があり、平成25年度実績で約1万1,600人に対して約33億円の減免措置が行われています。また、私立大学等が実施する授業料減免等事業に対して、平成26年度に81億円、約3万9,000人分を補助しています。

(4)奨学団体等の奨学金事業

 奨学金事業は、日本学生支援機構のほかに特例民法法人や地方公共団体、大学や民間企業などによって、多様な形態で幅広く実施されています。平成25年度の日本学生支援機構の調査によると、約2,500の奨学団体等が、約15万6,000人の奨学生に対して、総額で約632億円を支給しています。なお、一定の奨学団体に対する寄附金には、税制上の優遇措置が講じられています。

(5)大学院学生の経済的支援の拡充

 文部科学省では、卓越した大学院拠点形成支援補助金等を通じて、TA(※4)(ティーチング・アシスタント)やRA(※5)(リサーチ・アシスタント)の充実を図ることによって、大学院生に対する経済的支援の拡充に取り組んでいます。


  • ※4 TA:優秀な大学院学生に対し、教育的配慮の下に、学部学生等に対するチュータリング(助言)や講義・実験・実習・演習等の教育補助業務を行わせ、大学院学生への教育訓練の機会を提供するとともに、これに対する手当の支給により、大学院学生の処遇の改善の一助とすることを目的としたもの。
  • ※5 RA:大学等が行う研究プロジェクト等に、教育的配慮の下に、大学院学生等を研究補助者として参画させ、研究遂行能力の育成、研究体制の充実を図るとともに、これに対する手当の支給により、大学院学生の処遇の改善の一助とすることを目的としたもの。

2 学生の就職活動支援及び大学におけるキャリア教育・職業教育の充実

第2期教育振興基本計画における関連成果指標
成果目標4(社会的・職業的自立に向けた能力・態度の育成等)
【成果指標】

  • 就職ミスマッチなどによる若者の雇用状況(就職率、早期離職率等)改善に向けた取組の増加

<キャリア教育・職業教育の充実等>

  • 大学・短期大学、高等専門学校、専修学校等における職場体験・インターンシップの実施状況の改善
  • 大学・短期大学、高等専門学校、専修学校等におけるPBL(Problem-Based Learning)等の実施率増加
  • 大学・短期大学、高等専門学校、専修学校等への社会人の受入れ状況の改善(履修証明プログラムがある大学の増加、社会人等の対象コース等を設けている専修学校数の増加、社会人入学者の倍増)

<就職支援等>

  • 新卒者の就職状況を公開している大学の増加
  • 就職相談員の配置や就職相談室の設置状況の増加

計画策定後の主な取組と課題(ポイント)

  • 平成23年度 インターンシップの各学校における実施率
     大学:70.5%、短期大学:46.4%、高専:100%
  • 大学等のインターンシップ等の充実に向け、地域において大学等と産業界との調整を図りながら、キャリア教育から就職まで一貫して支援する体制を構築する必要がある。
  • 新卒者の就職状況を公開している大学の増加
     平成23年度 国立大学:83校、公立大学:66校、私立大学:501校
  • 就職相談員の配置や就職相談室の設置状況の増加
     平成22年度 就職支援に関する担当者が「いない」と回答した大学等 3.9%
     平成22年度 就職支援担当者のうち、キャリアコンサルタント等の有資格者の割合 48.6%

(1)学生の就職活動

1.就職率の動向

 文部科学省と厚生労働省では、毎年共同して大学等卒業者の就職状況を調査しています。平成25年度の就職率は、24年度同期と比較して、大学では若干増加しています。高等専門学校では24年度と同様100%を維持しています(図表2-5-8、図表2-5-9)。

図表2‐5‐8 平成25 年度大学等卒業者の就職状況

図表2‐5‐9 就職率の推移

2.学生の就職支援

 大学等卒業者の就職率は、改善傾向にあるものの、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省が連携して、未内定の学生等が1人でも多く卒業までに就職することができるよう、平成27年1月20日から3月末まで「未内定就活生への集中支援2015」を実施し、この集中支援期間に大学の就職相談員等とジョブサポーターが連携して個人支援の徹底等に取り組んでいます。

(2)学生の就職・採用活動開始時期の変更

 大学等における平成26年度(27年3月)以降の卒業予定の学生の就職・採用活動については、大学側(国公私立大学などの代表者で構成される「就職問題懇談会」)が「大学、短期大学及び高等専門学校卒業予定者に係る就職について」の申合せを行い、企業側(一般社団法人日本経済団体連合会)が大学卒業予定者・大学院修士課程修了予定者等の「採用選考に関する指針」をそれぞれ定め、双方がそれぞれを尊重する形で行われています。
 学生の就職・採用活動については、これまで大学等関係団体や各経済団体より就職・採用活動時期の見直しが提言されてきましたが、近年の就職活動の過熱化を踏まえ、学生の学修時間や留学等の多様な経験を行う機会を確保する観点から、平成25年4月19日に安倍内閣総理大臣から経済団体に対し、27年度卒業・修了予定者から、広報活動の開始時期を卒業・修了前年度の3月に、採用選考活動の開始時期を卒業・修了年度の8月に変更することを要請しました(図表2-5-10)。

図表2‐5 -10 学生の就職・採用活動開始時期の変更について

 この要請内容は日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)に盛り込まれ、一般社団法人日本経済団体連合会においては、25年9月13日に「日本再興戦略」にのっとった形で「採用選考活動に関する企業の倫理憲章」を見直し、「採用選考に関する指針」を策定しました。
 また、文部科学省においては、同年4月22日に文部科学大臣から大学等の関係団体に対し、国民や社会の期待に応える人材を育成するため、大学改革や大学教育の質的転換に積極的に取り組むよう要請しました。
 就職問題懇談会においては、これらを踏まえ、就職活動の秩序を維持し、正常な学校教育と学生の学修環境を確保するため、同年9月27日に申合せを策定しました(図表2-5-11)。

図表2‐5 -11 就職・採用活動開始時期変更をめぐる動き(政府・経済界・教育界)

 さらに、就職・採用活動開始時期の変更を円滑に実現するため、同年11月22日には経済3団体及び外資系企業や中小企業などが加入する団体を含めた主要経済・業界団体等約450団体に対し、再チャレンジ担当大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣の連名により文書で要請しました。
 加えて、平成27年1月23日に、内閣府、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省から主要経済・業界団体等に対して、就職・採用活動開始時期の変更の趣旨に沿った広報活動・採用選考活動を行っていただくよう再度の要請を行いました。また、就職問題懇談会においても27年2月25日に、学生の就職・採用活動が公平・公正かつ秩序をもって行われるよう、特に企業等に理解を求める事項について、改めて申合せを行い、企業に周知徹底を図っていくこととしています。文部科学省としては、引き続き関係府省と連携し、大学等、経済界と一体となって、就職・採用活動開始時期の変更の円滑な実施のため、必要な取組を進めて参ります。

(3)大学におけるキャリア教育・職業教育の充実

 大学等のキャリア教育において、学生の産業や職業に関する理解を深める取組の実効性を高めるため、採用選考と直接結び付かない企業等の協力も不可欠です。
 平成26年9月16日、就職問題懇談会において、キャリア教育としての学内行事と採用を目的とした広報活動としての「企業説明会」を明確に区別するため、「企業等の協力を得て取り組むキャリア教育としての学内行事実施に関する申合せ」を策定し、一般社団法人日本経済団体連合会も申合せに賛同して「『採用選考に関する指針』の手引き」を改訂しました。
 平成26年4月に文部科学省、厚生労働省、経済産業省の3省において「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」の一部改正を行いました。大学等におけるインターンシップの推進を担う専門人材の育成や地域インターンシップ推進組織(複数の大学と地域経済団体で構成)の活動を促進することを通じ、地域全体へのインターンシップの普及・定着を図るため、必要な支援を行うこととしています。
 また文部科学省では、平成25年から中央省庁として初めて、長期インターンシップを試行的に実施しています。26年度は、10月から12月までの3か月間に47人の学生を受け入れ、本格的に実施しています。

お問合せ先

生涯学習政策局政策課

-- 登録:平成27年09月 --