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生涯学習社会の実現

総論

 「生涯学習」とは、一般には人々が生涯に行うあらゆる学習、すなわち、学校教育、家庭教育、社会教育、文化活動、スポーツ活動、レクリエーション活動、ボランティア活動、企業内教育、趣味など様々な場や機会において行う学習の意味で用いられます。また、人々が、生涯のいつでも、自由に学習機会を選択し学ぶことができ、その成果が適切に評価される社会として「生涯学習社会」という言葉も用いられます。
 文部科学省では、教育基本法の精神にのっとり、国民一人一人が自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現を目指して、生涯学習の振興に取り組んでいます。
 現在、第2期教育振興基本計画に基づき、「自立」、「協働」、「創造」の三つをキーワードとする生涯学習社会の実現に向けて、学校教育の充実はもとより、社会教育、家庭教育、その他様々な場や機会における学習の充実・環境整備に取り組んでいます。
 具体的には、生涯を通じて一人一人の潜在能力を最大限伸ばしていく観点から、大学等における社会人等の受入れの推進や、多様な学習サービスの質の保証・向上、学習成果の評価・活用、学習活動を通じた地域活動の推進、現代的・社会的な課題に対応した学習等の推進など様々な施策を集中的に実施しています。
 また、地域社会の抱える課題が多様化・複雑化していることに鑑み、地域課題解決の担い手を育てるため、官民を問わず展開される社会教育を振興しています。
 さらに、教育の原点である家庭教育を支援する取組においては、家庭や地域のつながりを作るとともに、教育分野と保健福祉分野の取組の連携・協力により、親子の育ちを一層支援していくことが必要です。

第1節 国民一人一人の生涯を通じた学習の支援

第2期教育振興基本計画における関連成果指標
成果目標3(生涯を通じた自立・協働・創造に向けた力の修得)
【成果指標】

  • 学習成果の活用状況の改善
    • 身に付けた知識・技能や経験を生かしている人の割合の増加
  • 民間教育事業者等における学習の質の保証・向上に向けた取組状況の改善
    • 情報公開・自己評価等を実施している民間教育事業者等の割合の増加

成果目標4(社会的・職業的自立に向けた能力・態度の育成等)
【成果指標】

  • 就職ミスマッチなどによる若者の雇用状況(就職率、早期離職率等)改善に向けた取組の増加
    • 大学・短期大学、高等専門学校、専修学校等への社会人の受入れ状況の改善(履修証明プログラムがある大学の増加、社会人等の対象コース等を設けている専修学校数の増加、社会人入学者の倍増)

成果目標8(互助・共助による活力あるコミュニティの形成)
【成果指標】
<高等教育・生涯学習関係>

  • 地域に向けた公開講座数や大学開放(体育館、図書館等)の状況の向上

計画策定後の主な取組と課題(ポイント)

  • 生涯学習をしたことがある者のうち
     仕事や就職の上で生かしている者:31.3%(平成24年度)
     地域や社会での活動に生かしている者:21.8%(平成24年度)
  • 年間受検者数が1万人以上の民間検定試験の事業者及びこのほか、文部科学省の後援名義の使用を許可された民間検定試験の事業者における検定試験の自己評価等の実施割合
     平成24年度:50.0% 平成25年度:58.6%
  • 履修証明プログラムを開設している大学
     平成21年度:73校(9.7%) 平成24年度:72校(9.4%)
  • 大学・専門学校等における社会人受講者数
     平成25年度6月時点:12万人
  • 専修学校における科目等履修生数の状況
     平成24年度:4,519人 平成25年度:6,674人 平成26年度:7,609人
  • 大学及び短大における公開講座数
     平成24年度:36,135講座 平成25年度:39,816講座
  • 体育館、図書館等の施設を開放している大学及び短大の割合
     平成24年度:85.7% 平成25年度:86.9%(4年制大学)
     平成24年度:74.9% 平成25年度:76.6%(短期大学)
  • 「民間教育事業者における評価・情報公開等の在り方に関する検討会」において、「民間教育事業者における評価・情報公開等に係るガイドライン」を取りまとめ、関係省庁と連携し、その周知を行った。
  • 近年の受講者の学習ニーズの多様化等に対して、認定社会通信教育事業者が柔軟に対応できるよう、平成25年4月に社会通信教育基準を改正し、修業期間の緩和等に関する制度改正を行った。
  • 学習成果が生かされる仕組みづくりのため、平成22年にまとめられた「検定試験のガイドライン(試案)」を踏まえ、自己評価・情報公開の取組の普及を促進している。
  • 「高等教育における職業実践的な教育に特化した新たな枠組みづくり」に向けた専修学校の専門課程における先導的試行として、企業等との密接な連携により実践的な職業教育に組織的に取り組む専門課程を文部科学大臣が「職業実践専門課程」として認定する仕組みを創設した。
     認定学校数:673校、認定学科数:2,042学科(平成27年2月17日現在)
  • 「日本再興戦略―JAPAN is BACK―」(平成25年6月14日閣議決定)等を踏まえ、大学、大学院、専門学校等が産業界と協働して、高度な人材や中核的な人材等の育成等を行うオーダーメード型職業教育プログラムを新たに開発・実施することや、若者等の学び直しの支援のための日本学生支援機構の奨学金制度の弾力的運用など、社会人の学び直し機会の充実に取り組んでいる。

 近年、人々の学習需要が高まる一方で、内容が多様化・高度化するのに伴って、生涯学習社会実現への期待はますます高まっています。文部科学省では、国民一人一人が生涯を通して学ぶことのできる環境の整備、多様な学習機会の提供、学習した成果が適切に評価されるための仕組みづくりなど、生涯学習社会の実現のための取組を進めています。

1 多様な学習機会の提供

(1)放送大学の充実・整備

 放送大学は、大学教育の機会を幅広く国民に提供するためテレビ・ラジオの放送等を利用しており、いつでも誰でも学ぶことができます。また、全国に「学習センター」等を設置し、学生の学習を支援するとともに、地域の生涯学習の振興にも寄与しています。平成26年度第2学期現在で約9万人が学んでおり、これまでに130万人以上の学生が学び、7万人を超える卒業生を送り出しています。放送大学の学生は、職業・年齢・地域を問わず多様であり、学生の有職率は約7割、身体に障害を有する方も約700人在籍しています。このように、我が国の生涯学習の中核的機関として大きな役割を果たしており、第2期教育振興基本計画を踏まえ、科目の充実等を一層進めています。
 放送大学では、学部・大学院を合わせて343科目が開設され、既存の学問分野にとらわれず学習者の目的に合わせて自由に選択することができます。また、教員の専修免許をはじめとした各種資格の取得や、特定分野の授業科目群を設定して学位以外の履修証明を与える「科目群履修認証制度(放送大学エキスパート)」などの実施によって、国民の多様化・高度化する学習需要に応えています。平成26年度からは、高度な社会人研究者の養成を行う博士後期課程を新たに設置するなど社会のニーズに対応した学習の充実を一層進めています。

(2)大学における生涯学習機会の提供

 生涯学習社会の実現に向けて、各大学(短期大学を含む。)においては、地域・社会における「知の拠点」として、社会人入試、夜間・昼夜開講制、科目等履修生、通信教育、履修証明制度、公開講座などを実施しています。このうち、公開講座は多くの大学で開講され、大学における教育・研究の成果を直接、地域住民などに学習機会として提供する役割を担っています(平成25年度は、少なくとも1,015大学で3万9,816講座が開講され、166万119人が受講)。

(3)専修学校教育の振興

 専修学校は、「学校教育法」において「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図る」ことを目的とする学校であるとされ、実践的な職業教育、専門的な技術教育などを行う教育機関として大きな役割を果たしています。平成26年5月現在で3,206校が設置され、65万9,452人の生徒が学んでいます。
 専修学校は、入学資格の違いによって、高等学校卒業程度を入学資格とする「専門課程」(専門学校)、中学校卒業程度を入学資格とする「高等課程」(高等専修学校)、入学資格を問わない「一般課程」の三つの課程に分かれています。なお、高等課程は、高等学校等における教育費負担の軽減を目的とした高等学校等就学支援金や高等学校等奨学給付金の支給対象とされています。専門課程の生徒のうち希望する者には、日本学生支援機構による奨学金が貸与されています。
 専修学校の専門課程においては、平成26年度から企業等との密接な連携によって実践的な職業教育の質の確保に組織的に取り組む専門課程を「職業実践専門課程」として認定し、奨励する仕組みが開始されています(認定学校数:673校、認定学科数:2,042学科(27年2月17日現在))。
 また、産業界のニーズを踏まえた中核的専門人材養成を推進していく観点から、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校、高等学校等と産業界等が産学官コンソーシアムを組織し、社会人や学生・生徒が就労やキャリアアップに必要な知識・技術・技能等を習得するための学習システムの構築を図りました。

(4)社会通信教育

 文部科学省では、学校又は一般社団法人若しくは一般財団法人の行う通信教育のうち、社会教育上奨励すべきものを認定し、その普及・奨励を図っています。平成27年2月末現在、文部科学省認定社会通信教育は、27団体112課程であり、26年における1年間の延べ受講者数は約5万5,000人となっています。

(5)民間教育事業者、NPO法人との連携等

 民間教育事業者や教育分野で活動を行うNPO法人などの民間団体は、新しい社会づくり・地域づくりの担い手として、国民の多様な活動を支える上で大きな役割を果たしており、今後ますます重要なものになっています。文部科学省では、民間団体と行政の協働による取組の充実を図るため、民間のノウハウを生かした各種のモデル事業や調査研究などを実施するとともに、教育関係NPO法人の先進的な取組を紹介するなど、民間団体の取組の活性化や官民のネットワーク形成を支援しています。

2 学習成果の評価・活用

(1)高等学校卒業程度認定試験

 高等学校卒業程度認定試験は、高等学校を卒業していない者などに対して、高等学校卒業者と同程度以上の学力があることを認定する試験です。この試験の合格者には、大学等の入学資格が付与されます。
 平成26年度における延べ出願者数は2万6,900人、受験者数は2万3,743人、合格者数は9,188人となっています(図表2-3-1)。また、出願者のうち約半数となる49.5%を高等学校中途退学者が占めています。このように、高等学校卒業程度認定試験が高等学校等の中途退学者などの再チャレンジの場となっていることが分かります。

図表2‐3‐1 高等学校卒業程度認定試験の出願者・受験者・合格者数

 試験合格者のおよそ半数は大学等に進学していますが、この試験は、就職などの機会に学力を証明する手段としても活用されています。文部科学省では、採用試験や採用後の処遇において高等学校の卒業者と同等に扱われるよう、パンフレットやポスターの配布などによって制度の周知に努めています。

(2)学校における単位認定

 高等学校においては、生徒の能力・適性、興味・関心などが多様化している実態を考慮し、選択の幅を広げる観点から、生徒の在学する高等学校での学習の成果に加えて、1.大学、高等専門学校、専修学校などにおける学修、2.知識・技能審査の成果に関する学修、3.ボランティア活動、就業体験活動(インターンシップ)、4.高等学校卒業程度認定試験の合格科目に関する学修など、在学する高等学校以外の場における学修の成果について、各高等学校の判断によって学校の単位として認定することが可能となっています。
 大学等においては、教育内容の充実に資するため、大学教育相当の学修など大学以外の教育施設などにおける学修について、当該大学等における単位として認定できることとしており、529大学(全体の71.2%(平成24年度))において活用されています。

(3)大学評価・学位授与機構による学位授与

 大学評価・学位授与機構では、大学・大学院の正規の課程を修了してはいないものの、大学・大学院を卒業又は修了した者と同等以上の学力を有すると認められる者に対して、高等教育段階の様々な学習成果を評価し、学位を授与しています。平成25年度末までに、1.短期大学、高等専門学校卒業者などが大学、専攻科において更に一定の学習を行った場合に当たる者として延べ4万1,106人に、2.同機構が認定する教育施設(省庁大学校)の課程の修了者に当たる者として延べ2万4,369人に学位を授与しています。

(4)準学士・短期大学士・専門士・高度専門士の称号の付与等

 高等専門学校卒業者には「準学士」の称号が付与され、短期大学卒業者には「短期大学士」の学位が授与されています。
 専門学校修了者については、修業年限が2年以上、総授業時数が1,700時間以上といった要件を満たしていると文部科学大臣が認めた課程の修了者に対して、「専門士」の称号が付与されます。また、修業年限が4年以上で、総授業時数が3,400時間以上といった要件を満たしていると文部科学大臣が認めた課程の修了者に対して「高度専門士」の称号が付与されます。

(5)民間教育事業の質の向上

 現在、民間の検定試験には、全国規模で実施され年間の受検者数が100万人を超える検定や、専門的な知識・技能を測るために特定の受検者を対象に実施される検定、各地域における文化活動や観光産業などの活性化を目的とした検定など、その実施主体や目的、内容などにおいて多種多様なものが存在しています。こうした検定試験によって測られる学習成果が適切に評価され、学校や職場、地域社会などで活(い)かされるためには、検定試験の質の向上と信頼性の確保が必要なことから、文部科学省では、民間事業者などが行う検定試験の評価に向けた主体的な取組を支援しています。平成26年7月には「検定試験の自己評価等に関するアンケート調査」の結果を公表(自己評価を実施した民間事業者の割合は約6割)して関係団体による取組を促すとともに、検定試験の受検者等の活用に役立つよう文部科学省ウェブサイトで情報提供しています。また、検定試験における第三者評価に関する実践的調査研究を実施するなど、「自己評価」から「外部評価」への発展に向けて取組を進めています。
 このほか、文部科学省と経済産業省との合同で「民間教育事業者における評価・情報公開等の在り方に関する検討会」を開催し、「民間教育事業者における評価・情報公開等に係るガイドライン」(平成26年6月30日)を取りまとめ、民間教育事業者における学習の質の保証・向上の取組を進めています。

(6)地域や大学における人材認証制度の状況

 一定の学習や活動を経た人材の能力・経験などを客観的に認証する仕組み(いわゆる「人材認証制度」)は、地方公共団体や大学、NPO法人などによって様々な分野で実施されており、学習した成果が地域や社会で生かされるためには、人材認証制度の一層の普及・発展が望まれます。しかし、これらの人材認証制度は、これまでの調査研究において認証後の活躍の場とのマッチング等の課題が指摘されています。このような課題を解決するため、文部科学省では、先進的な取組の情報提供等を行うなど人材認証制度の充実を支援しています。

3 生涯学習に関する普及・啓発から学習成果の活用へ

 文部科学省では、人々の学習機会を広く提供し、学習の成果が地域の活性化に生かされるよう、「全国生涯学習ネットワークフォーラム」を推進しています。このフォーラムは、行政や大学等の教育機関、NPO法人や民間団体、企業等の関係者が一堂に会し、多様な主体が協働した地域づくり、社会づくりについて研究協議等を行い、その成果を発信することによって、様々な分野の関係者等がネットワークを形成するための取組です。
 東日本大震災が発生して以降、震災からの復旧・復興や震災から見えてきた全国共通の課題解決をテーマとして実施されてきており、平成26年度で4回目を迎えました。26年度は宮城県仙台市で「メインフォーラム」が開催されたほか、参加者が沿岸被災地域を訪問し、震災被害の語り部やNPO法人で活動されてきた方々の話を聴くことで被災地の今を学ぶ「沿岸地域訪問」の取組などが行われました。特に、宮城県のフォーラムでは、若者や子供たちが活躍する場や機会をつくり、地域での役割を創出して、彼らが本来持つ力を引き出していく仕組みを大人たちがつくっていくことこそ最も必要とされているというメッセージが、大会全体を通じて発信されました。

4 社会人の学び直し

 社会人となった若者が転職や昇進のために大学等で学び直しを行ったり、出産等によって一度離職した女性が再就職したりすることなどを支援するため、文部科学省では、「第2期教育振興基本計画」「日本再興戦略―JAPAN is BACK―(平成25年6月14日閣議決定)」に沿って、平成26年4月から奨学金制度を弾力的に運用するとともに、大学や専門学校等が産業界と協働して、高度な人材や中核的な人材の育成等を行うオーダーメード型の職業教育プログラムの開発・実施を推進しています(※1)。


  • ※1 参照:第1部 特集3 第4節4

第2節 現代的・社会的な課題に対応した学習等の推進

第2期教育振興基本計画における関連成果指標
成果目標3(生涯を通じた自立・協働・創造に向けた力の修得)
【成果指標】

  • 現代的・社会的な課題に対応した学習を行った人の割合の増加
  • 体験活動・読書活動の実施状況等の改善
    • 全校一斉の読書活動を実施する学校の割合の増加
    • 市町村における「子ども読書活動推進計画」の策定率の増加

計画策定後の主な取組と課題(ポイント)

  • 現代的・社会的な課題等に対応した学級・講座(※2)について
    • 実施件数……平成20年度:8万4,645件 平成23年度:7万4,861件
    • 受講者数……平成20年度:543万740人 平成23年度:470万人3,891人
    • 地方公共団体の関係機関(※3)が実施する学級・講座件数全体に占める割合
       ……平成20年度:10.6%(8万4,645件/79万5,105件)
       平成23年度:10.7%(7万4,861件/70万1,221件)
  • 我が国の男女共同参画の現状は道半ばであり、成長戦略においても「女性の活躍」が求められている。引き続き、国立女性教育会館の機能強化を図りつつ、学校、家庭、地域等のあらゆる場において男女共同参画を推進する教育・学習機会の充実を図ることが必要。
  • 教育委員会における消費者教育の実施や、消費者行政部局との連携を推進するため、効果的な連携・協働による消費者教育推進体制を全国に構築することが課題。
  • 全国一斉の読書活動を実施する学校の割合
     小学校:平成20年度:96.6% 平成22年度:96.2% 平成24年度:96.4%
     中学校:平成20年度:86.9% 平成22年度:87.5% 平成24年度:88.2%
     高等学校:平成20年度:39.7% 平成22年度:41.1% 平成24年度:40.8%
    (出典:文部科学省「学校図書館の現状に関する調査」)
  • 市町村の「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」の策定率
     市:84.6%
     町村:55.4%(平成26年度末)
    (文部科学省調べ)
  • 不読率(1か月に1冊も本を読まない子供の割合、平成15年から26年までの11年間)
     小学生:9.3%→3.8%
     中学生:31.9%→15.0%
     高校生:58.7%→48.7%
    (出典:全国学校図書館協議会、毎日新聞社「第60回学校読書調査」)

  • ※2 現代的・社会的な課題等に対応した学級・講座:文部科学省「社会教育調査報告書」都道府県・市町村教育委員会及び首長部局、公民館、公民館類似施設、生涯学習センターにおける「市民意識・社会連帯意識」に関する学級・講座
  • ※3 地方公共団体の関係機関:都道府県・市町村教育委員会及び首長部局、公民館、公民館類似施設、生涯学習センター

1 少子化対策

 我が国で急速に進行している少子化問題に関し、政府は「少子化社会対策基本法」や「次世代育成支援対策推進法」などに基づいて対策を推進しています。平成26年度には、「少子化社会対策大綱」(27年3月20日閣議決定)を策定しました。関係府省庁も「次世代育成支援対策推進法」に基づき、地方公共団体及び事業主の行動計画を策定するための指針を定めました。これらを踏まえ、文部科学省では、1.教育に係る保護者の経済的負担の軽減、2.認定こども園の設置促進や幼稚園における預かり保育・子育て支援の充実、3.地域住民等の参画による学校の支援、放課後等における子供たちの学習や体験・交流の機会の提供、親の学習機会の提供などによる家庭教育の支援など地域の実情に応じた教育支援活動の推進等に取り組んでいます。

2 高齢社会への対応

 文部科学省では、高齢者が生涯学習を通じて地域づくりに主体的に参画することを促進するため、「長寿社会における生涯学習政策フォーラム」を開催し、高齢者の生涯学習に関する研究成果や各地域の先進的な取組事例等を活用した研究協議を行っています。平成26年度は、6月に三重県四日市市で、11月に東京都千代田区でそれぞれフォーラムを開催し、行政機関の教育部局だけでなく、福祉・まちづくり部局、大学、NPO法人、企業関係者、個人等幅広い分野の関係者が参加しました。

3 人権教育の推進

 文部科学省では、「日本国憲法」及び「教育基本法」の精神にのっとり、学校教育及び社会教育を通じて、人権尊重の意識を高める教育の推進に努めています。学校教育では、学校における人権教育の指導方法等に関する調査研究とその成果の普及、実践事例の収集・公開等によって、教育委員会・学校における人権教育の取組の改善・充実を支援しています。また、学校現場において拉致問題を考える機会を提供するため、政府の拉致問題対策本部が教育委員会の人権教育担当者に対して拉致問題の解決に向けた取組を周知しています。
 社会教育では、地域コミュニティの再生及び地域活性化を図る取組である「公民館を中心とした社会教育活性化支援プログラム」において、社会教育施設が関係諸機関等と連携・協働し、人権教育などの地域課題を解決する取組を支援しました。

4 男女共同参画社会の形成に向けた取組

(1)男女共同参画社会の形成

 男女共同参画社会(※4)の実現は、21世紀の我が国の最重要課題であり、「男女共同参画社会基本法」や「男女共同参画基本計画」等に基づき、政府において総合的かつ計画的な取組を進めています。
 文部科学省では、「第3次男女共同参画基本計画」(平成22年12月17日閣議決定)に示された施策の方向性等に基づき、男女平等を推進する教育・学習の充実などを推進しています。


  • ※4 男女共同参画社会の形成:男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会を形成すること(「男女共同参画社会基本法」第2条第1号)。

(2)男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実

 文部科学省では、男女共同参画社会の形成に向けて、学校・家庭・地域などにおいて男女平等を推進する教育・学習の充実などを図っています。
 学校教育においては、児童生徒の発達段階に応じて、男女の平等や相互の理解・協力について適切に指導するとともに、男女が共に各人の生き方、能力、適性を考え、主体的に進路を選択する能力・態度を身に付けられるような進路指導に努めています。
 社会教育においては、男女が各人の個性と能力を十分に発揮し、社会のあらゆる分野に参画していくための学習機会の充実を図っています。平成26年度は「男女共同参画社会の実現の加速に向けた学習機会充実事業」において、男女共同参画の視点に立ったキャリア形成支援のため、高校の進路指導等で活用することができるブックレットの普及・活用を進めるとともに、働き方の見直しや子育てへの参画等について、多様な選択が可能となるよう学生を対象としたワークショップを実施しました。

(3)国立女性教育会館における活動

 我が国唯一の女性教育のナショナルセンターである国立女性教育会館(NWEC(ヌエック))は、「教育・学習支援」、「研修」、「情報」、「調査研究」、「国際連携」の五つを有機的に連携させながら、国内の男女共同参画を推進するための事業を展開しています。
 平成26年度は、女性団体、女性・男女共同参画センター、地方公共団体、大学、企業に対し、当該分野の男女共同参画推進リーダー等に対する研修を実施するとともに、これらの機関や組織のネットワーク形成の機会を提供する研修を実施しました。また、女子大学生を対象として、将来、組織や社会を支える女性リーダーの育成を目的としたセミナーを実施する等の事業を展開しました。国際的な取組として、「ダイバーシティ(※5)推進と女性のリーダーシップ」をテーマとした国際シンポジウムを実施しました。これらの研修の土台となる調査研究や、関連する専門情報の収集・提供の充実を図るために、新たに若年男女のキャリア形成に関する意識及び支援に関する調査研究を立ち上げ、企業や大学の取組に資する情報収集を重点的に行いました。


  • ※5 ダイバーシティ:「多様性」のこと。性別や国籍、年齢などに関わりなく、多様な個性が力を発揮し、共存できる社会のことをダイバーシティ社会という(「第3次男女共同参画基本計画」用語解説)。

5 児童虐待の防止

 児童虐待の防止については、政府全体で様々な施策の推進が図られていますが、痛ましい児童虐待は後を絶たず、全国の児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数も平成25年度には7万3,802件と過去最多になるなど、児童虐待は依然として、早急に取り組むべき社会全体の課題となっています。
 児童虐待は、その未然防止、早期発見・早期対応や虐待を受けた児童生徒の支援について、家庭・学校・地域社会・関係機関が緊密に連携する必要があります。文部科学省では、以前から都道府県などを通じて、学校教育関係者や社会教育関係者に対して児童相談所への通告義務や関係機関との連携等を図る上での留意点などについて周知するほか、家庭教育支援チームの組織化などによる相談対応、保護者への学習機会の提供などの家庭教育支援などを行っています。
 平成26年度において政府は、「児童虐待防止対策に関する副大臣等会議」を開催し、関係府省が連携して、児童虐待を未然に防ぐとともに、虐待を受けたとしても重篤化する前に迅速に発見し、的確に対応するための対応策を取りまとめました。文部科学省では、進学・転学等の際の学校等の間の情報共有や、学校と児童相談所等関係機関の連携の促進、適切な通告の実施などについて改めて周知徹底を行いました。また、「公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラム」において、児童虐待などの社会的課題を抱え孤立しがちな家庭への地域人材によるサポート体制の構築のため、全国で実証的調査研究を実施しました。このほか、児童虐待の防止などのために必要な体制の整備に資するものとして、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなどの外部の専門家を活用した学校の教育相談体制の充実に努めています。

6 消費者教育の推進

 消費者をめぐる問題が複雑化・高度化する中、消費者被害防止の観点だけでなく、様々な情報の中から必要なものを取捨選択し、適切な意思決定や消費行動を選択し、意見を表明し行動することができる自立した消費者を育成する教育が求められています。文部科学省では、「消費者基本計画」(平成22年3月30日閣議決定)並びに「消費者教育の推進に関する法律」及びこれに基づく「消費者教育の推進に関する基本的な方針」(25年6月28日閣議決定)を踏まえ、学校教育や社会教育における消費者教育を推進しています。
 学校教育では、小・中・高等学校等において、現行の学習指導要領に基づき消費者教育を推進しています。また、文部科学省では、都道府県教育委員会等に委託して、学校における消費者教育の実践的な取組について調査研究を行っています。社会教育では、文部科学省の消費者教育に関する取組の成果を広く還元するとともに、多様な主体の連携・協働を促進する場として、平成26年度は、大阪府堺市、静岡県静岡市、神奈川県川崎市の3か所において「消費者教育フェスタ」を開催しました。各地域においては、消費者教育アドバイザーの派遣や推進体制づくりを進めるための調査研究を実施しました。

7 環境教育・環境学習の推進

(1)環境教育の意義

 現在、地球温暖化や自然環境破壊、資源エネルギー問題など地球環境の悪化が深刻化する中、エネルギーの効率的な利用など環境に対する負荷を軽減し持続可能な社会を構築することが大切であり、国民一人一人が様々な機会を通じて環境問題について学習し、自主的・積極的に環境保全活動に取り組んでいくことが重要です。特に、「教育基本法」においても、教育の目標として、「生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと」(第2条第4号)と規定されているように、21世紀を担う子供たちに対する環境教育は非常に重要な意義を持っています。
 また、近年、環境保全活動や行政・企業・民間団体等の協働がますます重要になっていること、「国連持続可能な開発のための教育の10年(UNDESD)」の動きなどを踏まえ、23年6月に改正法として、「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律」が成立しました。文部科学省では、これらを踏まえ、国民がその発達段階に応じて、あらゆる機会に環境の保全についての理解と関心を深めることができるよう、学校教育や社会教育において環境教育の推進のために必要な施策に取り組んでいます。

(2)環境教育・環境学習推進のための施策

 学校における環境教育については、従来から、社会科や理科といった教科だけでなく、総合的な学習の時間を活用した教科横断的な学習が小・中・高等学校を通じ、児童生徒の発達の段階に応じて行われています。さらに、「教育基本法」の改正などを受けて、平成20年3月に小・中学校、21年3月に高等学校の学習指導要領を改訂し、社会科や理科、技術・家庭科など関連の深い教科を中心に環境教育に関する内容の充実を図ったところです。例えば、小学校の社会科では「節水や節電などの資源の有効な利用」(3・4学年)、中学校の理科では、「自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察」(第1分野、第2分野)、高等学校の家庭科では、「環境負荷の少ない生活、持続可能な社会を目指したライフスタイルを工夫し、主体的に行動する」(家庭基礎)などとしています。また、文部科学省では、環境教育を一層推進するための施策を実施しています。まず、米国が提唱し、平成24年時点で世界112か国が参加している「環境のための地球規模の学習及び観測(GLOBE)計画」に参加する協力校の指定や、環境省との連携・協力による教員等を対象とした環境教育・環境学習の指導者に対する研修(環境教育リーダー研修)などを実施しています。また、健全育成のための体験活動推進事業において、児童生徒の健全育成を目的とした自然体験活動や農林漁業体験など農山漁村等における様々な創意工夫のある宿泊体験活動を支援しています。
 学校の施設についても、環境に対する負荷を低減する取組を進めています。例えば、施設を環境教育の教材として活用したり、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー設備や断熱化の仕組み・効果を学習したりするなど、学校を地域への環境教育の発信拠点とするため、関係府省と連携しつつ、環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備を推進しています。
 社会教育では、公民館などの社会教育施設を中心として、地域における社会教育関係団体などが連携し、環境保全などの地域の課題を解決していくための取組を支援し、地域の教育力の向上を図っています。
 また、青少年の自然体験活動などを一層推進するため、青少年の自然体験活動などを推進している企業の表彰と実践事例の普及、防災キャンプの推進及び青少年の体験活動の評価・顕彰制度の創設に関する調査研究などに取り組んでいます。国立青少年教育振興機構では、全国28か所の国立青少年教育施設の立地条件や特色を生かした自然体験活動などの機会と場所を提供しているほか、民間団体が実施する自然体験活動などに対して「子どもゆめ基金」事業による助成を行っています。

8 読書活動の推進

 読書は、子供にとって、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付ける上で欠かせないものです。文部科学省では、「子どもの読書活動の推進に関する法律」及び「第三次子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」(平成25年5月17日閣議決定)を踏まえ、1.市町村における「子どもの読書活動推進に関する基本的な計画」の策定率の増加(市にあっては100%、町村にあっては70%以上)、2.「不読率」(1か月に1冊も本を読まない子供の割合)の今後10年間での半減などを目指して、広く読書活動に対する国民の関心と理解を深めるため、様々な施策を実施しています。

(1)学校における読書活動の推進

1.学校における読書活動の推進

 子供の読書習慣を形成していく上で、学校はかけがえのない大きな役割を担っています。「学校教育法」においても、義務教育として行われる普通教育の目標の一つとして、「読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと」(第21条第5号)が規定されています。
 学習指導要領に基づいて、各教科等の学習を通じて、記録、説明、評判、論述、討論等の言語活動を充実しています。小学校、中学校、高等学校の各学校段階において、児童生徒が生涯にわたる読書習慣を身に付け、読書の幅を広げるため、読書の機会の拡充や図書の紹介、読書経験の共有によって様々な図書に触れる機会を確保することが重要です。
 文部科学省の調査によると、平成24年5月現在、全校一斉の読書活動(いわゆる「朝読」を含む。)を実施している公立学校の割合は、小学校で96.4%(22年96.2%)、中学校で88.2%(22年87.5%)、高等学校で40.8%(22年41.1%)となっています。また、図書の読み聞かせやブックトークなど、全校一斉の読書活動以外の取組を実施している公立学校の割合は、小学校で97.9%(22年97.9%)、中学校で73.9%(22年72.1%)、高等学校70.0%(22年69.2%)となっています。さらに、ボランティアなどの協力を得ている学校や公立図書館との連携を実施している学校も増加しており、各学校において積極的な取組が行われています。

2.学校図書館資料の整備・充実

 学校図書館には読書活動を推進する「読書センター」、教育課程の展開に寄与する「学習センター」「情報センター」としての機能が期待されています。
 文部科学省では、公立義務教育諸学校における学校図書館の図書を充実するため、学校の規模に応じた蔵書数の目標を定めた「学校図書館図書標準」の達成に向けて、平成24年度から28年度までの「学校図書館図書整備5か年計画」を策定しています。
 この計画に基づき、公立義務教育諸学校の計画的な学校図書館の図書の整備に必要な経費について、新たな図書等の購入に加えて、情報が古くなった図書等の更新を行うため、単年度約200億円、5か年総額約1,000億円の地方財政措置が講じられることとされています。しかし、「学校図書館図書標準」の達成が十分でない状況(平成23年度末時点で「学校図書館図書標準」を達成している学校の割合:小学校56.8%、中学校47.5%)に鑑み、各教育委員会や学校は、「学校図書館図書標準」の達成に向けて蔵書を計画的に整備することが求められています。
 また、「学校図書館図書整備5か年計画」に基づき、学校図書館に新聞を配備するため、単年度約15億円、総額約75億円の地方財政措置が講じられることとされています。学校図書館に新聞を配備している学校は、平成24年5月現在、小学校で約24.5%、中学校で約19.0%にとどまっており、新聞を活用した学習を行うための環境が十分に整備されていない状況に鑑み、文部科学省では各学校や教育委員会に対して学校図書館の新聞配備を促しています。

3.学校図書館の活用を推進していくための人的配置の推進

 学校図書館を活用した教育活動や読書活動の中心的な役割を担う司書教諭は、「学校図書館法」によると、12学級以上の学校には必ず置かなければならないことになっています。文部科学省では、司書教諭の養成のための講習会を実施し有資格者の養成に努めるとともに、司書教諭の配置が促進されるよう周知を図っています。

図 子ども読書の日
 また、学校図書館活動を充実するためには、専ら学校図書館に関する業務を担当する学校司書を配置して、司書教諭と連携しながら、多様な読書活動を計画・実施したり、学校図書館サービスの改善・充実を図ったりすることが有効です。学校司書を配置する公立小中学校は近年一貫して増加しており(平成24年5月現在:小学校47.8%、中学校48.2%)、児童生徒と本をつなぐ役割を果たす学校司書の必要性が強く認識されていることが分かります。こうした状況を踏まえ、公立小・中学校に学校司書を配置するための経費として、24年度から新たに単年度約150億円の地方財政措置が講じられています。
 さらに、平成26年6月に議員立法によって「学校図書館法」が改正され、これまで法律に規定のなかった「学校司書」について、学校図書館の運営の改善及び向上を図り、学校図書館の利用の一層の促進に資するため、学校に置くよう努めることとされました。今後は、学校司書の資質向上に向けた取組が進められるとともに、資格や養成の在り方の検討が行われます。

(2)地域における読書活動の推進

 文部科学省では、「第3次子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」に基づき、「読書コミュニティ拠点形成支援事業」、子供の読書に関する調査研究の実施、「子ども読書の日」(4月23日)を記念した「子どもの読書活動推進フォーラム」の開催、優れた読書活動を行っている団体・個人の文部科学大臣表彰、「子ども読書の情報館」を活用した情報提供(※6)を行っています。
 また、図書館が「地域の知の拠点」として住民にとって利用しやすく、身近な施設となるための環境の整備を進めています。読書活動をはじめとする図書館の機能やサービスを一層充実させるため、「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」に基づき、子供のための施設・設備や読み聞かせ等のサービスの充実に努めています。


  • ※6 参照:http://www.kodomodokusyo.go.jp/

第3節 社会教育の振興と地域全体で子供を育む環境づくり

第2期教育振興基本計画における関連成果指標
成果目標8(互助・共助による活力あるコミュニティの形成)
【成果指標】
<初等中等教育・生涯学習関係>

  • 全ての学校区において、学校支援地域本部など学校と地域が組織的に連携・協働する体制を構築。
  • 住民等の地域社会への参画度合いを向上。
  • 全ての学校、社会教育施設で運営状況の評価や情報提供を実施。

計画策定後の主な取組と課題(ポイント)

  • 平成26年度 学校支援地域本部の設置状況 3,746本部
    (小学校6,244校、中学校2,814校)(平成25年度実績 3,527本部)
  • 平成26年度 放課後子供教室の設置状況 1万991教室
    (平成25年度実績 1万376教室)
  • 平成26年度 土曜日の教育活動実施数4,845校(平成26年度新規事業)
  • 既に実施している地域の取組内容の充実や質の向上に対する支援、優良事例や先進事例などの情報発信に努めていくことが課題。
  • 今後、大学生や企業OB、民間事業者、文化・芸術団体等、様々な人材の更なる参画を促進。

1 社会教育推進体制の強化

(1)これからの社会教育行政の在り方

 人々の学習に対する需要が高まり、その内容が多様化・高度化する中で、社会教育はその重要性を増しています。
 平成25年1月に取りまとめられた「第6期中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理」では、今後の社会教育行政の方向性として、従来の「自前主義」から脱却し、首長部局・大学・民間団体・企業等の多様な主体と積極的に連携・協働して現代的・社会的課題に対応した取組を進める「ネットワーク型行政」の推進を通じて「社会教育行政の再構築」を目指していくことが示されました。
 これを踏まえ、第2期教育振興基本計画においては、社会教育推進の基本的考え方として、地域における学習を活力あるコミュニティ形成・絆(きずな)づくりに積極的に貢献できるものとすることや、社会教育行政が地域の多様な主体とより積極的に連携・協働して取組を進めていく「社会教育行政の再構築」を実施するための環境整備を図ることが明記されています。
 さらに、平成25年3月に発足した第7期中央教育審議会生涯学習分科会の下に設置された、「社会教育推進体制の在り方に関するワーキンググループ」が取りまとめた審議の整理に基づき、26年度においては、社会教育に関する専門的職員である社会教育主事の在り方や役割の明確化や、その養成カリキュラムの見直しについて検討を進めています。
 今後も引き続き、社会教育推進体制についてさらなる検討を進め、社会教育の一層の振興を図っていきます。

(2)人々の学習活動を支援する専門的職員の充実

 教育委員会に置かれる社会教育に関する専門的職員である社会教育主事は、地域の学習課題を把握し、社会教育事業の企画・実施や、関係者への専門的技術的な助言と指導を関係各機関との効果的なネットワークを活用して行うことによって、地域住民の自発的な学習活動、学習を通じた地域づくりの活動を支援する役割を果たしています。また、図書館及び博物館に置かれる専門的職員である司書及び学芸員は、利用者や地域住民の学習機会の充実を図り、学習活動の支援を行っています。
 文部科学省では、現職の社会教育主事、司書、学芸員に対して、地域が抱える課題やニーズに対応した実践的な研修を実施することによって、これらの専門的職員の資質向上を図っています。また、社会の状況に応じて、地域住民の高度化・多様化する学習ニーズに対応する社会教育主事や司書を養成するため、大学等に委嘱して社会教育主事講習や司書講習を実施するほか、学芸員資格認定試験による資格付与を行っています。

2 学びの場を拠点にした地域コミュニティ形成の推進

 文部科学省では、第2期教育振興基本計画を踏まえ、公民館等の社会教育施設を拠点に、関係部局や関係機関が連携・協働しつつ、地域の課題解決に向けた講座等の学習や地域活動の支援等を地域コミュニティの形成につなげていく取組が進むよう様々な支援を行っています。平成25年度からは、地域社会における様々な現代的課題に対し、公民館等が関係諸機関と連携・協働し、課題解決に向けて実施する地域独自の取組を支援するため、「公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラム」を実施しました。このような取組によって社会教育を活性化することを通じて、地域の絆(きずな)、地域コミュニティの再生及び地域活性化を図り、元気な日本を取り戻すことを目指しています。
 公民館、図書館、博物館等の社会教育施設においては、地域の現状・課題を適切に把握し、また、施設利用者である地域住民の意向を十分にくみ取った施設運営を行うことが重要です。さらに、その活動内容を客観的に評価・検証し、地域住民にも公開することを通じて施設の運営の質の向上を図っています。

(1)公民館

 公民館は、地域住民にとって最も身近な学習拠点であるだけでなく、交流の場、地域コミュニティの形成の場として重要な役割を果たしています。平成23年10月現在、公民館は全国に1万4,681館設置され、住民の学習ニーズや地域の実情に応じた学級・講座の開設など様々な学習機会を提供しています。文部科学省では、公民館が、少子高齢化、過疎化、災害対策、経済的な格差の拡大など地域が抱える様々な現代的課題を解決するために実施する取組を支援したり、社会の要請が高い学習機会の提供を推進したり、公民館職員の資質向上を図るための研修を実施することを通じて公民館活動の充実に努めています。

Column No.08 地域の防災拠点としての公民館(島根県浜田市安城公民館)

 島根県浜田市弥栄町安城(やさかえちょうやすぎ)地区は、周辺を700m以上の山々に囲まれた山間地にある人口およそ788人の、高齢化率約47%、国道、鉄道、病院、信号機やコンビニ等ないものが多い地区です。集落点在の状況や高齢者比率から、万が一の時、避難の困難さや二次災害のリスクが非常に高く、ゆえに防災における体制の見直しが必要になっています。
 浜田市教育委員会では、「公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラム」において、「弥栄での暮らしそのものが「イザ!」という時の自主防災 繋がってほしいな 弥栄今昔物語全三巻」を実施しました。
 この事業では、地域に伝わる衣食住に関する生活の知恵を学び、今の暮らし(自主防災)に活(い)かすことが大切(温故知新)で、住民一人一人に役割があり、主人公となって、行政でできること、地域でできることをお互いに知り、補えることができれば「自主防災」の機能を持った地域づくりができると考え、「弥栄今昔物語」とし地域へ提案することを目指しています。
 弥栄今昔物語では、第1巻<自主防災の意識を高める>として、学校支援地域本部事業を用いて、地域を学ぶ「ふるさと教育」において、小・中学生と一緒に防災について考え、伝え教えることに生きがいをもつ住民や里山を守り減災へ向かう住民を増やすことを目指しました。第2巻<暮らしの知恵を防災に活(い)かす>として、関係が希薄化している子育て世代、UIターンの人たちに、この町で自信を持って暮らしていく仲間づくりと異世代間との交流の場を作り、産業に広げ、暮らしの知恵を製品化することを目指しました。第3巻<結という助け合いの精神を活(い)かす>として、行政や地域の団体、関係機関、消防団等と連携し、日々の暮らしが防災につながるという試みを公民館主体で行っていくことを目指しました。
 この事業を通して得られた成果として、「防災教育」の再認識と、ふるさと弥栄を守っていこうとする心情を耕すことや、食への意識を高め、食文化の伝承を通して、地域住民とのかかわりを深めることができました。今後は、この町で暮らしてきて良かったと思える豊かな田舎を「〝おいしいむら〟弥栄の食から始まる自主防災」として更に事業を展開していきたいと考えています。

安城地区まちづくり推進委員会が使用している安城地区のイメージイラスト
 安城地区まちづくり推進委員会が使用している安城地区のイメージイラスト

写真 弥栄中学校1年生総合的な学習の時間弥栄の未来を考えよう「炊き出し訓練」
 弥栄中学校1年生総合的な学習の時間弥栄の未来を考えよう「炊き出し訓練」

(2)図書館

 図書館は、人々の学習に必要な図書や様々な情報を収集・整理・提供する身近な社会教育施設です。平成23年10月現在の図書館数は、公立図書館が3,249館、私立図書館が25館となっており、図書館数、図書の貸出冊数、利用者数は、近年着実な伸びを示しています。文部科学省では、平成24年4月に図書館法施行規則の一部改正を行い、図書館を支える司書が、地域社会の課題や人々の情報要求に対して的確に対応できるよう、大学における司書養成課程等の改善・充実を図ったところです。また、図書館職員の資質向上に向けて、司書等の研修の充実に努めています。
 図書館は、これからも「地域の知の拠点」として、子供や高齢者など多様な利用者や住民の多様な学習活動を支え、地域が抱える様々な課題解決の支援や地域の実情に応じた情報サービスの提供など幅広い観点から社会貢献を行うことが期待されます。

Column No.09 子供たちが輝く読書推進活動(秋田県羽後町立図書館)

 羽後(うご)町立図書館では、学校や家庭、地域との連携を図るとともに、家読推進プロジェクト、子ども司書推進プロジェクト、地域のコミュニティFM等からの情報や協力を得ながら、子供の読書活動を推進しています。
 平成26年度においては、1.家読(うちどく)(※7)講演会(絵本作家による絵本ライブ)、2.羽後子ども司書養成講座(年間9回)、3.ブックフェスティバル(各種表彰と発表、柳田邦男氏講演会)、4.子ども司書とボランティアグループによるお話会やクリスマス公演、5.小さな朗読コンサート(子ども司書の朗読、絵本作家とのトーク、音楽家によるミニコンサート)、6.ブックスタート(※8)など様々な事業やイベントを展開しました。
 「羽後子ども司書養成講座」では、図書館の仕組みや業務内容についての講習だけではなく、朗読講習会、羽後町めぐり、手作り絵本講習会、昔語り体験、ポップ作り、カウンター業務など、体験を通して司書の仕事を楽しく学びました。(子ども司書に認定後、学校や図書館で子ども司書として活動することができます。)
 こうした子供たちの様子や感想を地域のコミュニティラジオ局FMゆーとぴあで伝えるとともに、「子ども司書だより」という番組でインターネットを利用したサイマルラジオを通して、全国の子ども司書養成講座の内容や子ども司書の活動を電話インタビューで紹介し、全国の関係団体と情報交換しながら交流を深めています。
 このように、子ども司書が学校、図書館、地域で読書推進リーダーとしてますます活躍することができるよう、更に活動の場を広げていきたいと考えており、子供たちが主役となって笑顔が輝くような読書活動を推進しています。

(執筆:秋田県羽後町立図書館)

写真 第4回 羽後町ブックフェスティバル
 第4回 羽後町ブックフェスティバル

写真 第6回小さな朗読コンサート
 第6回小さな朗読コンサート

写真 第2回家読講演会 宮西達也氏絵本ライブ
 第2回家読講演会 宮西達也氏絵本ライブ

写真 子ども司書養成講座カウンター体験の様子
 子ども司書養成講座カウンター体験の様子


  • ※7 家読:家族で一緒に本を読み、感想を話し合うことで絆(きずな)を深める運動
  • ※8 ブックスタート:地方公共団体が行う0歳児健診などの機会に、「絵本」と「赤ちゃんと絵本を楽しむ体験」をプレゼントする活動

(3)博物館

 博物館は、資料収集・保存、調査研究、展示、教育普及などの活動を一体的に行う施設であり、平成23年10月現在、登録博物館が913館、博物館相当施設が349館、博物館と類似の事業を行う施設が4,485館設置されています。文部科学省では、地域の教育力の向上や、博物館職員の資質向上を目的として、博物館長や中堅の学芸員を対象とした専門的な研修を実施するとともに、学芸員を外国の博物館に派遣し、その成果を全国に普及することなどにより、博物館振興施策の充実に取り組んでいます。また、博物館を支える学芸員が、人々の生涯学習の支援を含め、博物館に期待されている諸機能を強化し、国際的にも遜色ない高い専門性と実践力を備えた質の高い人材として育成されるよう、大学などにおける学芸員養成課程などの改善・充実を図っています。

(4)国立科学博物館

 国立科学博物館では、自然史、科学技術史に関する調査研究、標本資料の収集・保管とその継承を進めるとともに、調査研究の成果や標本資料を活(い)かして展示や学習支援活動を実施しています。
 平成26年度は、展示活動においては、「太古の哺乳類展」「ヒカリ展」等の特別展や、宮沢賢治の作品を通して岩石鉱物や地質学の世界を紹介する企画展「石の世界と宮沢賢治」、ハワイの日系実業家、ワトソン・T・ヨシモト氏から寄贈された剝製コレクションと彼の生涯を紹介する企画展「ヨシモトコレクションの世界~W.T.ヨシモト氏の人生の軌跡を探る~」等を実施しました。
 また、学習支援活動において、研究者が来館者と展示室で直接対話するディスカバリートークなど高度な専門性を生かした独自性のある講座・観察会等を実施するとともに、全国18か所での博物館・教育委員会と協働した「教員のための博物館の日」の実施や学生等を対象にサイエンスコミュニケータ(※9)の養成に努めています。
 東日本大震災で甚大な被害を受けた地域の博物館等と連携して、平成24年度から「震災復興・国立科学博物館コラボミュージアム」を実施しています。例えば、恐竜アロサウルスの全身骨格標本や地元にゆかりの標本資料の展示・紹介や、関連するテーマの講演会や体験教室などを実施しており、26年度は宮城県1か所、福島県4か所の博物館等で開催しました。

Column No.10 海の自然を活(い)かした地域活性化と観光振興~海を学び、海に親しむ場づくり~(神奈川県真鶴町立遠藤貝類博物館)

 真鶴(まなづる)町は神奈川県西部の小さな半島に位置する海辺の町で、漁業と夏の海水浴などの観光でにぎわっていましたが、近年では住民の少子高齢化、人口の減少等、多くの課題を抱えています。
 しかし、大規模開発を受けなかった真鶴町には多様な生物の生息する自然の岩礁海岸が残され、首都圏から日帰り圏内にありながら、海の自然の魅力を体験することができます。本事業では、価値ある地域資源としての海の自然を持続可能な形で活用することにより、地域活性化を目指しました。

写真 海のミュージアム
 海のミュージアム
 真鶴町立遠藤貝類博物館と海の自然の社会教育を専門とするNPO法人ディスカバーブルーが中心となり、漁協等の海辺のステークホルダー(関係者)と連携体制を構築した上で、海の生物観察などの野外体験とレクチャーを通して町の海の自然の魅力を学び、親しんでもらうイベントを行っています。一般参加者向け(一部有料)では、町外から約360人と多くの方に御参加いただき、高評価を得たことから、海の自然の観光資源としての有用性を示すことができました。一方で多くの町民には海が当たり前の存在となっており、その価値を再認識する機会として、町内児童向けイベントや観光事業者・役場職員向け研修を行いました。この取組は役場や議会での評価も高く、継続することで、町民や役場が海の自然を持続的に活用し、価値ある地域資源として今後の地域振興に寄与できるものと考えています。

(執筆:真鶴町立遠藤貝類博物館・NPO法人ディスカバーブルー)


  • ※9 サイエンス・コミュニケータ:人と自然と科学技術が共存する持続可能な社会を育むため、人々が科学技術について主体的に考え行動するきっかけを提供し、社会の様々な場面において人と科学技術をつなげる人材。

Column No.11 世界博物館大会の開催が京都市に決定

 国際的な博物館の専門家組織であるICOM(イコム:国際博物館会議)では、3年に一度、加盟国において世界大会を開催しています。
 平成27年6月に、パリで開催されたICOM諮問委員会において、2019年秋に開催される「第25回世界博物館大会」の開催地が日本の京都市に決定しました。1948年の第1回大会以来、日本では初めての開催となります。
 大会は、約1週間にわたって、全体総会、シンポジウム、31の分野別国際委員会、国内の博物館施設の視察が行われ、世界各国から約3,000人の博物館専門家の参加が見込まれます。2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会の前年開催であり、諸外国に対し我が国の多様な文化を紹介するとともに、各博物館にとっても今後の在り方を展望する絶好の機会として大きな成果が期待されます。
 文部科学省としては、ICOM日本委員会等、関係機関等と緊密に連携しながら、必要な協力を行っていきます。

3 社会全体で子供たちの学びを支援する取組の推進

(1)学校・家庭・地域の連携

 文部科学省では、第2期教育振興基本計画を踏まえて、社会全体で子供を支え、地域住民等の参画により実施する「学校支援地域本部」や「放課後子供教室」など地域の実情に応じた学校・家庭・地域の連携協力のための様々な取組を支援しています。

写真 奈良市富雄第三小学校放課後子供教室における理科実験教室で地域の方から結晶作りを学習する子供たち
 奈良市富雄第三小学校放課後子供教室における理科実験教室で地域の方から結晶作りを学習する子供たち

(2)地域全体で子供を育む環境づくりの支援

 授業時間や放課後、週末等に地域の方々が子供たちと触れ合うことは、子供たちを健やかに育むための教育活動の場を提供するだけでなく、地域の方々にとっても、活動に参加することで新たに学び、これまでの知見や経験したことを活用、実践する機会にもなり、これらの活動は、地域の方々の生涯学習の場や、その成果の活用の場としての効果も期待されます。
 文部科学省では、放課後子供教室や学校支援地域本部などの取組を支援し、地域全体で子供を育む環境づくりを進めています。

1.放課後子供教室

 平成19年度から保護者や地域住民の協力を得て、放課後などに子供たちに学習や様々な体験・交流活動等の機会を提供するため、放課後子供教室を推進しています。26年度は全国で1万1,991教室が開設されています。
 放課後子供教室は、厚生労働省が留守家庭児童を対象に実施している放課後児童クラブと連携し、「放課後子ども総合プラン」として推進しています。

2.学校支援地域本部

 平成20年度から、地域住民がボランティアとして授業等の学習補助や部活動の指導補助、学校行事の支援などを通じて、学校の様々な教育活動を支援するため、「学校支援地域本部」の取組を推進しています。26年度は、全国で3,746本部が設けられています。

(3)土曜日の教育活動の推進

 文部科学省では、子供たちの土曜日における教育活動の充実を図るため、学校・家庭・地域が連携・協力して、土曜日の教育活動を推進しています。そのための方策の一つとして、平成25年11月に学校教育法施行規則の改正を行い、設置者の判断により、土曜授業を行うことが可能であることを明確化しました。
 平成26年度から、地域の豊かな社会資源を活用した土曜日の教育支援体制等構築事業を展開し、土曜日の教育活動等の一層の充実を図っています。

(4)PTAや青少年教育団体等の共済事業

 PTAや青少年教育団体等は、「PTA・青少年教育団体共済法」に基づき、行政庁の認可を受けて、共済事業を実施することができます。平成26年度末までに、全国で26団体が本法に基づく共済事業の認可を受けています。文部科学省では、共済契約者等を保護する観点から、共済事業が適切かつ健全に実施されるよう、行政庁である都道府県教育委員会や団体に対する研修会の実施や情報提供などの支援に努めています。

第4節 家庭教育支援の推進と青少年の健やかな成長

第2期教育振興基本計画における関連成果指標
成果目標8(互助・共助による活力あるコミュニティの形成)
【成果指標】
<初等中等教育・生涯学習関係>

  • 家庭教育支援の充実
    • 全ての小学校区で家庭教育に関する学習機会の確保や家庭教育支援チームによる相談対応などの家庭教育支援を実施(家庭教育支援チーム数の増加)
    • 家庭でのコミュニケーションの状況や子供の基本的生活習慣の改善

計画策定後の主な取組と課題(ポイント)

  • 家庭教育支援チーム数
     【25年度】381チーム【平成26年度】441チーム
  • 家の人と学校での出来事について話をしている児童生徒の割合
     平成25年度:(小学生)76.5%(中学生)66.8%
     平成26年度:(小学生)80.5%(中学生)72.8%
  • 毎日、同じくらいの時間に寝ている児童生徒の割合
     平成25年度:(小学生)78.9%(中学生)74.4%
     平成26年度:(小学生)79.2%(中学生)74.3%
  • 朝食を食べないことがある児童生徒の割合
     平成25年度:(小学生)11.4%(中学生)15.7%
     平成26年度:(小学生)11.8%(中学生)16.1%
  • 引き続き、親が家庭教育に関する学習や相談をできる体制が整うよう、家庭教育を支援する地方公共団体の取組を推進するとともに、訪問型アウトリーチ支援など問題を抱え孤立した家庭に対する効果的な行政手法についての検討が必要。
  • 平成26年度に開催した「中高生を中心とした子供の生活習慣が心身へ与える影響等に関する検討委員会」での議論を踏まえ、睡眠習慣をはじめとする子供の生活習慣づくりの推進を図るとともに、引き続き、子供から大人までの生活習慣づくりについて、府省や地域、団体、企業等との連携を図りながら、全国的な普及啓発を推進することが必要。

1 豊かなつながりの中での家庭教育支援の充実

(1)家庭教育の現状と課題

 現在、多くの家庭が家庭教育に努力している一方で、家庭環境の多様化や地域社会の変化により、親子の育ちを支える人間関係が弱まり、子育てについての悩みや不安を多くの家庭が抱え、子供の社会性や自立心などの育ちをめぐる課題等が生じています(図表2-3-2)。
 また、第2期教育振興基本計画では、基本施策に「豊かなつながりの中での家庭教育支援の充実」が掲げられ、身近な地域や学校をはじめとする豊かなつながりの中で家庭教育が行われるよう、コミュニティの協働による家庭教育支援体制を強化することとしています。

図表2‐3‐2 子育てについての悩みや不安

(2)コミュニティの協働による家庭教育支援の推進

 文部科学省では、「学校・家庭・地域連携協力推進事業」において、身近な地域で保護者が家庭教育に関する学習や相談ができる体制が整備されるよう、地方公共団体の取組を支援しています。平成26年度は、就学時健康診断や保護者会など多くの親が集まる機会を活用した学習機会の提供、家庭教育支援チーム等による様々な家庭の状況に応じた訪問型支援も含む情報提供や相談対応のほか、親の学びのための学習プログラムの作成や、講座の進行役となるファシリテーター等地域人材の養成などの様々な家庭教育支援の活動が実施されました(26年度:3,344か所)。あわせて、家庭教育支援チームによる支援を更に普及するため、家庭教育支援チームの登録制度の見直しやロゴマークの作成を行いました。また、家庭教育支援における訪問型アウトリーチ支援手法の実証研究を行い、問題を抱え、孤立した家庭に対する新たな支援手法の開発を図りました(26年度:5か所)。
 さらに、「公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラム」において、課題を抱え孤立しがちな家庭への地域人材によるサポート体制を構築するため、全国で実証的調査研究を実施(平成26年度:18か所)したほか、地域住民、学校、行政、NPO法人、企業などの協働による社会全体での家庭教育支援の活性化を図るため、効果的な取組事例などを活用した全国的な研究協議を行いました。
 このほか、親子のコミュニケーションなどによって育まれる家族の絆(きずな)や、家庭でのルールづくり、「早寝早起き朝ごはん」といった子供たちの基本的な生活習慣づくりなどについて、親子で話し合ったり、一緒に取り組んだりすることの大切さを社会全体で呼びかけていくため、文部科学省と日本PTA全国協議会との共催によって「家庭で話そう!我が家のルール・家族のきずな・命の大切さ」三行詩募集を実施しました。平成26年度は、全国から12万6,252作品の応募があり、選定された優秀作品12作品及び佳作19作品を表彰しました。

(3)子供から大人までの生活習慣づくりの推進

1.基本的な生活習慣の現状

 近年、ライフスタイルの多様化などにより、家庭や社会の影響を受けやすい子供たちの生活習慣の乱れが、学習意欲や体力・気力の低下の要因の一つとして指摘されており、特に生活圏の拡大や行動の多様化等により生活リズムが乱れやすい環境にある中高生以上の普及啓発を進めるとともに、社会全体の問題としての取組の定着を推進しています。

  • (ア)子供の睡眠習慣
     毎日、同じくらいの時刻に寝ている小学生の割合は約79%、中学生の割合は約74%、毎日、同じくらいの時刻に起きている小学生の割合は約91%、中学生の割合は約92%となっています。(図表2-3-3、図表2-3-4)。

図表2‐3‐3 毎日,同じくらいの時刻に寝ている小・中学生の割合

図表2‐3‐4 毎日,同じくらいの時刻に起きている小・中学生の割合

  • (イ)子供の朝食摂取
     朝食を食べないことがある小・中学生の割合は、小学生で約12%、中学生で約16%となっています(図表2-3-5)。また、毎日朝食を食べる子供の方が、平成26年度「全国学力・学習状況調査」の平均正答率が高い傾向にあることが分かっています(図表2-3-6)。

図表2‐3‐5 朝ごはんを食べないことがある小・中学生の割合

図表2‐3‐6 朝食摂取と学力調査の平均正答率との関係

2.子供の生活習慣づくりのための取組
  • (ア)「早寝早起き朝ごはん」国民運動の推進
     平成18年4月に「早寝早起き朝ごはん」全国協議会が発足し、民間主導で「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進しています。PTAをはじめ、経済界、メディア、有識者、市民活動団体、教育・スポーツ・文化関係団体、読書・食育推進団体、行政などの参加を得て、子供の基本的な生活習慣の確立や生活リズムの向上につながる運動、ウェブサイトによる情報提供などを展開しています(※10)。
     文部科学省では、平成27年3月、「早寝早起き朝ごはん」運動などの子供の生活習慣づくりに関する活動のうち、その活動内容が特に優れていると認められる62活動に文部科学大臣表彰を行いました。
  • (イ)中高生を中心とした子供の生活習慣づくり支援
     平成26年度は、「中高生を中心とした子供の生活習慣が心身へ与える影響等に関する検討委員会」を開催し、睡眠習慣をはじめとする生活習慣が子供の心身に与える影響などに関する科学的知見を整理するとともに、中高生や保護者などを対象とした普及啓発資料及び指導者用資料を作成しました。
     また、子供たちの生活習慣と、自立や心身の不調等との関係について調査を行い、その結果を取りまとめました。

  • ※10 「 早寝早起き朝ごはん」全国協議会ウェブサイト:http://www.hayanehayaoki.jp

2 青少年の健全育成の推進

第2期教育振興基本計画における関連成果指標
成果目標3(生涯を通じた自立・協働・創造に向けた力の修得)
【成果指標】

  • 体験活動・読書活動の実施状況等の改善
    • 体験活動を行う児童生徒等の数の増加

計画策定後の主な取組と課題(ポイント)

  • 中央教育審議会「今後の青少年の体験活動の推進について(答申)」(平成25年1月21日)を踏まえ、体験活動の推進施策として、家庭や企業に対する普及啓発、青少年の体験活動の評価・顕彰制度の創設、体験活動を推進する企業の表彰、防災キャンプの推進、「子供と自然をつなぐ地域プラットフォーム」の形成を支援する事業を実施
  • 健全育成のための体験活動推進事業によって児童生徒の健全育成を目的とした学校が実施する宿泊体験活動の取組を支援
  • 国立青少年教育振興機構において、全国28か所にある国立青少年教育施設を活用し、青少年の体験活動の機会と場を提供(平成26年度利用者数:510万3,385人)
  • 民間団体が実施する体験活動等に対して「子どもゆめ基金」事業によって助成(平成26年度採択件数:4,595件)。
  • 青少年の国際交流を推進するため、全国の青少年教育施設を活用して、自然体験・スポーツ体験・文化体験等を通じて諸外国の青少年と交流する事業を実施

(1)青少年の体験活動の推進

1.学校・家庭・地域における体験活動の推進

 平成25年1月に中央教育審議会から答申された「今後の青少年の体験活動の推進について」においては、都市化、少子化、電子メディアの普及などにより、これまで身近にあった遊びや体験の場、「本物」を見る機会などが少なくなっていることを受け、学校・家庭・地域が連携して社会総ぐるみで、人づくりの「原点」である体験活動の機会を意図的・計画的に創出していくことの必要性が提言されています。
 本答申などを踏まえ、文部科学省では、家庭や企業などに対して体験活動の重要性等について普及啓発を行うとともに、青少年の体験活動の評価・顕彰制度に関する調査研究や、企業がCSR(※11)等として行う青少年の体験活動の表彰と実践事例の紹介等を進めています。加えて、地域住民や保護者の協力を得て学校等を避難所と想定した防災キャンプの実践を推進する取組や青少年の自然体験活動に関連する機関・団体・関係者等が連携して「子供と自然をつなぐ地域プラットフォーム」を形成する取組を支援しています。
 また、児童生徒の豊かな人間性や社会性を育むため、健全育成のための体験活動推進事業を実施し、学校による宿泊体験活動の取組を支援するとともに、農林水産省、総務省、環境省と連携して子供の農山漁村宿泊体験などを推進しています。

2.青少年の国際交流の推進

 文部科学省では、国内外の人々との交流を通じて青少年の国際的視野の醸成などを図るため、諸外国の青少年との相互交流や体験活動等を通じた国際交流を推進しています(※12)。


  • ※11 CSR:Corporate social responsibilityの略で、企業の社会的責任を指す。
  • ※12 参照:第2部 第10章 第1節2(2)

(2)国立青少年教育振興機構を中心とした体験活動の推進

1.青少年教育施設における体験活動の推進

 国立青少年教育振興機構は、青少年教育のナショナルセンターとして、全国28施設の国立青少年教育施設を活用し、不登校、発達障害、非行など青少年の現代的課題に対応したモデル的プログラムを企画・実施するとともに、基礎的・専門的な調査研究、学校や青少年団体等の活動に対する指導・助言などを行っています。また、青少年団体などと連携して、社会全体で体験活動を推進する機運を高めるため、毎年10月を「体験の風をおこそう推進月間」として集中的にイベントを実施するなど、体験活動の重要性を広く家庭や社会に伝える活動を進めています。

写真 ハイキングに参加する子供たち国立磐梯(ばんだい)青少年交流の家
 ハイキングに参加する子供たち国立磐梯(ばんだい)青少年交流の家

2.「子どもゆめ基金」事業

 国立青少年教育振興機構では、未来を担う夢を持った子供の健全育成を進めるため、「子どもゆめ基金」事業を通じて、民間団体による様々な体験活動や読書活動などを助成し、草の根レベルの体験活動等を支援しています。平成26年度は、5,135件の応募に対して4,595件の活動を採択しました。

(3)青少年を有害情報から守るための取組の推進

 近年、スマートフォン等をはじめとした様々なインターネット接続機器の普及に伴い、長時間利用による生活リズムの乱れや有害サイトを通じた犯罪等が深刻な問題となっています。
 文部科学省では、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」などに基づいて、地域・民間団体・関係府省庁等と連携しつつ、保護者及び青少年に対する啓発や教育活動を推進しています(※13)。


  • ※13 参照:第2部 第11章 第1節5

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生涯学習政策局政策課

-- 登録:平成27年09月 --