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特集2 オリンピック・パラリンピックを契機としたスポーツ政策とレガシーの創出

第1節 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組

 平成25年9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会において、2020年オリンピック・パラリンピック競技大会を東京で開催することが決定しました。
 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、「2020年東京大会」という。)は、平成32年7月から9月に開催される予定です。2020年東京大会を成功させるためには、大会開催に向けた環境整備を行い、大会に参加するアスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるように体制を整えていくことが必要です。文部科学省においても、関係府省庁とともに、2020年東京大会の円滑な準備・運営のため、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下、「大会組織委員会」という。)や東京都、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)、日本パラリンピック委員会(JPC)などと連携し、オールジャパン体制で取り組んでいきます。
 また、2020年を単にオリンピック・パラリンピック開催の年とするのではなく、スポーツを通じて全ての人々が幸福で豊かな生活を営むことができる社会を創出するという「スポーツ基本法」や「スポーツ基本計画」に掲げられた理念を実現するための契機と捉えて、トップスポーツだけでなく、地域スポーツ等も含めた我が国のスポーツ全体を更に発展させるための施策を総合的に進めていきます。
 さらに、オリンピック憲章において、大会組織委員会が文化プログラムを実施することが定められていることから、2020年東京大会を日本全体の「スポーツと文化の祭典」と位置付け、2020年に向けて史上最大規模で、魅力あるプログラムを全国で展開していきます(※1)。


  • ※1 参照:第1部 特集1 第3節

1 我が国の国際競技力向上のための取組

 平成24年3月に策定された「スポーツ基本計画」においては、我が国の国際競技力に関して、夏季オリンピック競技大会について過去最多を超えるメダル数の獲得、過去最多を超える入賞者数の実現、金メダル獲得ランキング5位以上を目標としています(※2)。また、夏季パラリンピック競技大会については、「スポーツ基本計画」策定時における直近の大会(北京大会)における金メダルランキング(17位)以上を目標としています(※3)。これらの目標を達成するため、文部科学省においては、中央競技団体における強化活動を支援するなど様々な施策を実施しています。
 また、平成26年度より、スポーツ振興の観点から行われる障害者スポーツに関する事業が厚生労働省から文部科学省に移管されたことに伴い、従来はオリンピック競技のみを対象としていた施策について、パラリンピック競技を対象にするなど、国際競技力向上のための施策を一体的に推進しています。


  • ※2 冬季オリンピック競技大会については、金メダルランキング10位以上を目標としている。
  • ※3 冬季パラリンピック競技大会については、策定時における直近の大会(バンクーバー大会)における金メダルランキング(8位)以上を目標としている。

(1)トップアスリートの強化活動の充実

 2020年東京大会における日本代表選手のメダル獲得に向けて、東京大会までの今後5年間の選手強化活動が重要となります。平成26年度においては、オリンピックに関する選手強化として、JOC補助事業においてナショナルチームの国内外の強化合宿等を支援するとともに、ナショナルコーチの設置等を行いました。また、パラリンピックに関する選手強化として、オリンピックと同様、JPC補助事業においてナショナルチームの活動を支援しました。
 平成27年度から、選手強化活動の充実を図るため、従来のJOC補助事業やJPC補助事業を見直し、日本スポーツ振興センター(JSC)に資金を一元化するとともに、JSCがJOCやJPCと連携して、各中央競技団体に選手強化費を配分することとしています。
 具体的には、文部科学省にタスクフォースを設置し、戦略性を持った配分方針を策定するとともに、事業後の全体評価を行うなど、PDCAサイクルを強化する取組を実施していきます。配分方針の策定においては、中央競技団体の財政状況や、コンプライアンス体制、自己収入の増加への取組等を考慮することにより、より戦略的な選手強化を実現しています。中央競技団体に配分された選手強化費は、強化合宿や国際大会への選手等の派遣、ナショナルコーチの設置などに使われます。
 また、2020年東京大会で「スポーツ基本計画」に掲げる目標を達成するためには、中長期的な視点からのタレント発掘や、ターゲットエイジの育成・強化を確実に行っていくことが重要となります。
 さらに、メダルの獲得が期待される競技を対象として、多方面から専門的かつ高度な支援を戦略的・包括的に行う「マルチサポート事業」を実施しています。この事業では、強化合宿や競技大会における動作分析、ゲーム分析、情報収集、栄養サポート、コンディショニングサポート、心理サポートなど、各分野の専門スタッフが、スポーツ医・科学、情報等を活用したアスリート支援を行っています。また、我が国の科学技術を生かし、競技用具や日本人の弱点を強化するための専用トレーニング器具、コンディショニング・疲労回復方法等の研究開発を実施しています。
 また、オリンピック・パラリンピック競技大会等開催地でのサポート拠点として、マルチサポート・ハウス(※4)による支援を行っています。平成26年度では、2014仁川アジア競技大会及びアジアパラ競技大会において支援を行いました。

2014 仁川アジア競技大会マルチサポート・ハウス(リカバリープール)写真提供:JSC
 2014 仁川アジア競技大会マルチサポート・ハウス(リカバリープール)写真提供:JSC

競技用具・器具等に関する研究開発(ジャンプスーツ)写真提供:筑波大学
 競技用具・器具等に関する研究開発(ジャンプスーツ)写真提供:筑波大学 


  • ※4 マルチサポートハウス:選手が最高のパフォーマンスを発揮することができるよう、選手村の外に競技に向けて最善の準備を行う環境を提供し、総合的に支援するための拠点

(2)トップアスリートのための強化・研究活動等の拠点構築

 国立スポーツ科学センター(JISS)は、我が国の国際競技力向上に向けたスポーツ科学・医学・情報研究推進の中枢機関としての役割を担うとともに、これらの研究成果を踏まえた科学的トレーニングやスポーツ障害等に対する医学的なサポート、スポーツに関する各種情報の収集・分析・蓄積・提供等を一体的に行う機関として平成13年に設置されました。
 味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)は、トップレベル競技者が同一の活動拠点で集中的・継続的に強化活動を行うトレーニング拠点として平成20年に全面供用を開始しました。隣接するJISSと一体的にJSCが運営しています。また、NTCで対応できない冬季、海洋・水辺系、屋外系のオリンピック競技、高地トレーニング及びパラリンピック競技については、既存施設をNTC競技別強化拠点施設に指定し、トレーニング環境の充実を図っています(図表1-2-1)。
 また、文部科学省において、オリンピック競技とパラリンピック競技の強化・研究活動拠点の機能強化やその在り方について検討するため、外部有識者で構成される会議を開催し、平成27年1月に「最終報告」が取りまとめられました。この「最終報告」では、NTCやJISSのオリンピック競技とパラリンピック競技の共同利用化やNTCの拡充整備等について提言されました。これを受け、文部科学省においては、オリンピック競技とパラリンピック競技の一体的な拠点構築を進めています。

図表1‐2‐1 ナショナルトレーニングセンター概要

2 大会ビジョン、大会準備のための取組

(1)2020年東京大会に向けた政府内の体制整備

 開催都市決定後、国内では、2020年東京大会に向けた準備が始まり、平成25年9月10日、文部科学省内に「文部科学省2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会準備本部」が設置されました。また、その後、安倍内閣総理大臣から下村国務大臣に対し、東京オリンピック・パラリンピック担当大臣の発令がありました。さらに、同大臣を支える事務体制として、内閣官房に「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室」が設置されるとともに、関係府省庁連絡会議が開催されるなど、行政各部の調整を行う体制が整えられました。26年4月には、文部科学省スポーツ・青少年局競技スポーツ課においても、オリンピック・パラリンピック室が設置されました。
 また、「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等に関する閣僚会議」が平成26年から27年1月まで3回開催されています。本閣僚会議を通じて、各閣僚の意思疎通を深め、大会組織委員会や東京都と連携しながら、2020年東京大会の成功に向けて、政府として速やかに、かつ着実に準備を進めていくこととしています。また、日本全国各地にオリンピック・パラリンピック・ムーブメントを普及させるため、オリンピアンやパラリンピアン、学識関係者や自治体教育関係者をメンバーとする「オリンピック・パラリンピック教育に関する有識者会議」を27年2月から開催し、オリンピック・パラリンピック教育として取り組むべき内容や推進方策等について検討しています。
 さらに、「平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案」を平成27年2月に国会に提出し、同法案は同年5月27日に成立しました。同法においては、内閣に東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部を設置し、専任のオリンピック・パラリンピック担当大臣の下、2020年東京大会の円滑な準備・運営に関する施策を総合的かつ集中的に推進していくこととしています。

(2)大会開催基本計画及び大会ビジョン

 平成27年2月、2020年東京大会開催の枠組みとなる大会開催基本計画が大会組織委員会によって策定され、IOC及び国際パラリンピック委員会(IPC)に提出されました。本計画には、ビジョン、戦略目標、ガバナンス、具体的な機能及び業務等大会開催準備に向けた柱となる事項が明記されています。本計画を出発点として、大会組織委員会が中心となり、具体的実施内容について検討しています。
 本計画には、「全員が自己ベスト」、「多様性と調和」、「未来への継承」の三つを基本コンセプトとする大会ビジョンが掲げられ、パラリンピック・ムーブメントの発展や共生社会の実現についても明記されています。また、大会を支える各種機能として、主要目標、主要業務、役割について記載されており、「輸送」、「セキュリティ」、「出入国」、「文化」、など政府の役割が期待される事項も多く盛り込まれています。さらに、大会のレガシー(遺産)を残すための行動を具体化する5本の柱として、「スポーツ・健康」、「街づくり・サステナビリティ」、「文化・教育」、「経済・テクノロジー」、「復興・オールジャパン・世界への発信」が提示されています。
 本計画の提出により、大会準備がいよいよ本格化しています。文部科学省としても、大会組織委員会等と連携しつつ、2020年東京大会に向けた取組を加速していきます。

(3)国立競技場

 2020年東京大会の開催に向け、主会場となる国立競技場を新しいスタジアムに改築する整備事業を進めています。
 平成26年12月から、現在の国立競技場の取壊し工事が行われていますが、新しい国立競技場については、平成32(2020)年春の整備に向けて、東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣や関係省庁、東京都等と連携を図っていきます。

第2節 ラグビーワールドカップ2019に向けた取組

(1)大会準備のための取組

 2020年東京大会の前年である2019(平成31)年には、アジア地域で初となるラグビーワールドカップが日本で開催されます。ラグビーワールドカップ2019(以下、「RWC2019」と言う。)の準備・運営は2020年東京大会と密接な関連を持つものであり、2020東京大会の成功には、RWC2019の成功が欠かせません。このため、「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等閣僚会議」においても、2020年東京大会とRWC2019との一体的な準備に配意しつつ、重要問題に関する協議等を進めることとされています。今後、国や開催自治体、公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会(以下、「ラグビー組織委員会」という。)、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会等が連携し、大会の成功に向けて取り組んでいくことになります。
 また、ラグビー組織委員会に対する支援措置を定める「平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法案」を平成27年2月に国会に提出し、同法案は同年5月27日に成立しました。

写真 ラグビーワールドカップ2011
 ラグビーワールドカップ2011

(2)ラグビーの普及に向けた取組

 文部科学省においても、RWC2019に向け、国民のラグビー競技に関する認知度及び期待度を高めるため、幅広い層への普及や指導者の養成に取り組んでいます。
 国内での普及に関しては、小学校の学習指導要領の解説に例示として記述されている「タグラグビー(※5)」を活用して、小学生等ジュニア期をはじめ幅広い層への普及に取り組んでいます。具体的には、タグラグビーの導入ガイドブックを平成24年度から27年度までの間に全ての小学校に配布する予定です。また、タグラグビーの指導者を養成するため、指導者研修大会を実施し、修了した者には、タグラグビーティーチャー認定証を付与しています。
 このほか、中学生年代の競技者の拡大を図るため、ラグビーの専門的指導者を派遣し、平日の放課後にラグビーに親しむことができる「放課後ラグビー教室」を実施するなどの取組や女性指導者の養成を進めているところです。
 また、平成27年夏頃にはニュージーランドとのラグビーを通じた国際交流も予定しており、今後、RWC2019に向けて幅広い普及を進めていきます。

写真 放課後ラグビー教室
 放課後ラグビー教室


  • ※5 タグラグビー:ラグビーからタックルなどの接触プレーをなくしたボールゲーム

第3節 スポーツ庁の創設によるスポーツの価値の更なる発展

 2020年東京大会やRWC2019を前に、我が国のスポーツへの機運はますます高まっています。一方、我が国の国民医療費総額が年間で約40兆円に上り、スポーツがこれを抑制し健康寿命の延伸に貢献できる可能性を秘めているなど、スポーツをより一層社会発展に活用する必要性も高まっています。このような中、政府ではスポーツ施策を総合的に推進するため、スポーツ庁の創設に向けた取組を進めています。

1 スポーツ庁創設までの歩み

 我が国のスポーツの振興施策は、昭和36年に制定された「スポーツ振興法」に基づき実施されてきました。しかし、制定から50年を経る中、社会の変化に伴って、障害者スポーツの進展、スポーツを通じた国際貢献、スポーツ団体のガバナンスなど、スポーツを巡る現代的課題が顕在化してきました。そして、「スポーツ振興法」はこうした課題に十分に対応しきれなくなっているのではないかとの指摘もあり、新しい法律を制定する必要性が注目されるようになりました。
 このような中、平成23年6月に議員立法により、衆参両議院の全会一致で「スポーツ基本法」が成立しました。「スポーツ基本法」は、スポーツ自体の振興にとどまらず、スポーツを通じた健康増進や地域活性化、国際的地位の向上など、スポーツを通じた社会の発展を目的として掲げています。また、附則第2条では、スポーツに関する施策を総合的に推進するため、スポーツ庁等の行政組織の在り方について、行政改革の基本方針に配慮して検討を加え、その結果に基づいて、必要な措置を講ずる旨が規定されました。
 平成26年6月には、スポーツ議員連盟が設置したプロジェクトチームが、各省庁のスポーツ施策に関する司令塔的役割を果たすべく、スポーツ庁を文部科学省の外局として設置することなどを提言しました。
 文部科学省ではこうした動きも踏まえつつ検討を進め、平成27年1月、スポーツ庁の設置に必要な機構・定員を27年度政府予算案で計上し、同年2月、文部科学省の外局としてスポーツ庁を同年10月に設置する「文部科学省設置法の一部を改正する法律案」を国会に提出し、同法案は同年5月13日に成立しました。
 同法は、スポーツに関する施策を総合的に推進するため、文部科学省の任務のうちスポーツに係る部分を「スポーツに関する施策の総合的な推進」に改めるとともに、文部科学省の所掌事務に、

  1. スポーツに関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること、
  2. スポーツに関する関係行政機関の事務の調整に関すること、
  3. 心身の健康の保持増進に資するスポーツの機会の確保に関すること

 を追加することや、文部科学省の外局としてスポーツ庁を設置し、その長をスポーツ庁長官とすることなどの内容を定めています(図表1-2-3)。

図表1‐2‐3 文部科学省設置法の一部を改正する法律の概要 

2 スポーツの価値を高めるための新たな政策展開(健康増進、地域活性化、国際貢献)

 スポーツ庁は、スポーツ基本法の理念を具体化していくため、これまでのスポーツ振興に止まらず、スポーツを通じた健康増進や地域活性化、国際貢献やスポーツ産業との連携といった新たな分野にも積極的に取り組みます。
 具体的に、スポーツを通じた健康増進については、スポーツに無関心な層も含めた国民全体のスポーツへの参画を促すため、地方公共団体が実施する「健康ポイント制度(インセンティブを活用したスポーツへの働きかけ)」等の取組を支援することにより、スポーツを通じた健康増進を推進します。
 障害者スポーツについては、平成27年度から新たに「地域における障害者スポーツ普及促進事業」を実施し、地域においてスポーツ関係者・障害福祉関係者が連携・協働体制を構築し障害の有無にかかわらずスポーツの振興を一体的に図る取組を支援します。この事業等により、障害者スポーツをより一層推進するとともに、障害者と健常者がスポーツを通じて交流することによる共生社会の実現に向けて取り組みます。
 また、地域活性化については、地域スポーツコミッションが実施する新たなスポーツイベントの創出や誘致等の取組を支援することにより、地域におけるスポーツを活性化するとともに、スポーツを観光資源とした地域活性化を促進します。
 さらに、国際貢献については、スポーツを通じた国際協力及び交流、国際的な人材養成の中核拠点の構築、国際的なアンチ・ドーピング推進の強化支援を柱とする「Sport for Tomorrow」プログラムに取り組みます。この「Sport for Tomorrow」プログラムは、2014(平成26)年から2020(平成32)年までの7年間で、開発途上国をはじめとする100か国以上の国において、1,000万人以上を対象に、世界のより良い未来のために、未来を担う若者をはじめあらゆる世代の人々にスポーツの価値とオリンピック・パラリンピック・ムーブメントを広げて行く取組です。なお、平成26年8月には、文部科学省、外務省、JSC、JOC、JPC等の関係団体によりSport for Tomorrowコンソーシアム(共同体)を設立し、各機関の連携協力を促進する体制を整備しました。
 具体的な支援プログラムとして、タンザニアでの全国野球大会の開催支援、マラウイ、グアテマラ等において「運動会」を実施しました。筑波大学、日本体育大学、鹿屋体育大学においては、国際的なスポーツ界での活躍が期待される人材の養成を行う短期プログラムを実施しました。筑波大学では、平成27年10月から修士課程のプログラムを開講する予定です。さらに、カンボジアで初めてのアンチ・ドーピング教育セッションの開催を支援、また、製薬業とアンチ・ドーピングに係る国際会議を東京で開催しました。

写真 タンザニアでの全国野球大会の開催支援
 タンザニアでの全国野球大会の開催支援

写真 海外での運動会の実施支援
 海外での運動会の実施支援

 加えて、スポーツ産業との連携については、従来の「スポーツ振興法」はプロスポーツなどの営利のためのスポーツを対象としていませんでしたが、「スポーツ基本法」はプロスポーツもその対象に含まれるようになり、また、スポーツ産業との連携等についての施策を講じるよう規定されました。スポーツ庁では、「スポーツ基本法」の規定も踏まえて、国内スポーツ最高峰であるトップリーグに対する支援や、プロスポーツ選手を対象とした表彰を行うなど、プロスポーツやスポーツ産業に関する取組を推進していきます。
 スポーツ庁では、関係省庁と連携してこれらの施策に取り組み、「スポーツ基本法」の理念である「国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む」ことができる社会の実現を目指します(図表1-2-4)。

図表1‐2‐4 スポーツ庁の設置について

第4節 オリンピック・パラリンピックを通じた経済・社会発展

 IOCの「オリンピック憲章」には「オリンピック競技大会の有益な遺産(レガシー)を、開催国と開催都市が引き継ぐよう奨励する」という一文があります。オリンピック・パラリンピック競技大会は、開催国の人々や社会にオリンピック・パラリンピックレガシーとされる様々な良い影響をもたらしてきました。
 1964年の東京大会では、国立競技場や新幹線等のインフラが整備されるとともに、スポーツ少年団や体育の日といった今日では社会に広く浸透している枠組みが作られました。また、2012年のロンドン大会は、成熟国家としてレガシーの創出に取り組み、IOCをはじめ国内外から高く評価されています。
 2020年の東京大会は、その流れを引き継ぎ、更に発展させることが国内外から注目されています。2020年を新たな成長に向かう契機の年として、国内外の課題に力強く立ち向かい、様々な取組によりオールジャパン体制で日本社会を元気にすること(日本人・日本社会の転換(バージョンアップ))が重要です。
 このため、大会招致決定時から続けてきた様々な個人や組織との対話を踏まえ、平成27年4月10日、現時点での文部科学省の考えと今後の取組をまとめた「オリンピック・パラリンピックレガシー創出に向けた文部科学省の考えと取組」を策定しました。

文部科学省としての考え

 レガシーには、競技力の向上や競技施設等をはじめとした競技大会に直結したレガシーをはじめとして、社会に影響をもたらす有形・無形、計画的・偶発的な幅広いレガシーがあります。
 これらのレガシーの創出を最大化していくためには、大会組織委員会、内閣官房2020年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室をはじめとした各行政機関、企業、特定非営利活動法人(以下、「NPO法人」という。)等が連携し、一体感を持って、2016(平成28)年夏に開催されるリオ・デ・ジャネイロ大会の終了後から直ちに本格的な活動を推進していくことが必要です。
 この際、東京のみならず、全国津々浦々に大会の開催効果を波及させ、大会後も地域が力強く発展していくことに加え、東日本大震災の被災地の復興の後押しとなることが求められます。

文部科学省としての目標

 文部科学省としての目標を以下のとおりとします。
 いずれの目標も、課題解決先進国日本として、日本が誇る各領域の「強み・深み」を再発見し、2020年の「締切効果」を最大限活用して世界にアピール・発信するチャンスと捉え、その結果が「次の世代への贈りもの」として受け継がれることを大目標とします(図表1-2-5)。

  1. スポーツを通じて全ての人々が幸福で豊かな生活を営むことができる「スポーツ立国」を実現する(スポーツ)
  2. 我が国の多様な文化の十分な理解を促進し、文化資源の積極的な活用を図る(カルチャー)
  3. 我が国の科学研究の蓄積や科学技術の発展・成果を国内外へ発信するとともに、最新の科学技術の社会実装・実証を加速する(イノベーション)
  4. 若者が地域や社会、グローバルの課題解決に自ら考え行動する活動を促進・支援する(ヒューマン)
  5. 年齢、性別、障害の有無等にかかわらず、活躍できるコミュニティを実現する(ユニバーサル)

図表1‐2‐5 オリンピック・パラリンピックレガシー創出に向けた文部科学省の考えと取組

文部科学省としての取組

 成熟国家においてレガシーの創出を最大化していくには、様々な個人や組織が、対話によりそれぞれの理想を実現していこうという想(おも)いやアイデアを積み重ね、協働による相乗効果を発揮していくことが重要です。このような考え方の下、スポーツ、カルチャー、イノベーション、ヒューマン、ユニバーサルの各分野において様々な取組を実施します。

Column No.02 スポーツ・文化・ワールド・フォーラム

 文部科学省ではラグビーワールドカップ2019及び2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向け、スポーツ・文化の両面から様々な取組を進めています。これらの取組に関連して、2016年に開催されるリオ・デ・ジャネイロ大会直後の秋に、文部科学省を中心に、関係府省、経済団体、地方公共団体の協力を得ながら、日本政府が主催となり、「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」を開催することを予定しています。このフォーラムは、ラグビーワールドカップ2019及び2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、観光とも連動させつつ、スポーツ・文化による国際貢献や有形・無形のレガシー等について、議論、情報発信し、オリンピック・パラリンピックムーブメントを国際的に高めるためのキックオフイベントとしての国際会議であり、現在、このフォーラムの具体的な内容について検討を進めています。

Column No.03 対話型政策形成のための国内外の取組

 近年の政策課題の特徴として、様々な要因やステークホルダー(利害関係者)が関係していることや、社会の状況や国民のニーズの変化が著しいということが挙げられます。その一方で、課題に対応するための予算の大幅な増額は容易には見込みにくいため、個々の施策・事業をより効果的・効率的に企画・実施することがこれまで以上に求められています。

写真 オランダ国税庁のShipyard には、アイデアを出しやすい照明や意思統一しやすい配色等の工夫を盛込まれている
 オランダ国税庁のShipyard には、アイデアを出しやすい照明や意思統一しやすい配色等の工夫を盛込まれている

 このような背景から、政策形成の新しい取組として、「対話型政策形成」が注目を集めています。
 対話型政策形成は比較的新しい概念であり、その定義については様々に論じられていますが、

  1. 鍵となる政策関係者間で情報交換すること、
  2. 地域の住民や一般市民を含むステークホルダーに対するコンサルテーション(話し合い)や議論喚起を行うこと、
  3. 情報に基づき政策的な助言を行うこと、
  4. 共同で意思決定や政策実施を行う際にステークホルダーを関与させることなどが主な要素として含まれます(※6)。

 対話型政策形成を推進するための具体的な取組として、欧州においては、イギリスやオランダをはじめとした国々の中央官庁において対話を促進するスペース(常設的な場)が設けられています。このスペースでの対話を通して、職員が日常の思考パターンから脱却し、新たな発想や全体最適の志向を目指し、プロジェクトの円滑な推進が図られています。その実績として、例えば、オランダの環境インフラ省では、ステークホルダーと共に運河の建設計画を作成することで、事業執行までの期間を大幅に短縮することに成功しています。
 また、日本においては、複数の企業において外部の知識・技術を積極的に活用するオープンイノベーションに向けた対話のためのスペースが設置され、対話型政策形成にもつながる動きが見られます。
 このような背景を踏まえ、文部科学省では、オリンピック・パラリンピックレガシーの創出をはじめとする政策立案機能の向上のための取組の一つとして対話型政策形成を導入することとし、平成26年10月、対話型政策形成室を設置しました。省内に対話を促す常設的な場を設け、企業や大学を含めた省内外のステークホルダーや国民との対話・協働を進めています。


  • ※6 参照:Jacob Torfing and Peter Triantafillou, eds.(2011)Interactive Policy Making, Metagovernance and democracy.ECPR Press.

お問合せ先

生涯学習政策局政策課

-- 登録:平成27年09月 --