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東日本大震災からの復旧・復興~人づくりから始まる創造的復興~

第1節 震災による被害の概況

1 被害の状況

 平成23年3月11日14時46分、三陸沖を震源地とするマグニチュード9.0の「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」が発生しました。宮城県栗原市で震度7、宮城県、福島県、茨城県、栃木県の市町村においても震度6強を観測するなど広範囲で強い揺れを観測しました。
この地震に続いて太平洋岸を中心に広範囲で津波が発生し、特に東北地方及び関東地方の太平洋岸では巨大津波により大きな被害が生じました。これらの結果、死者約1万6千名、行方不明者約3千名(24年5月現在、警察庁調べ)という未曽有の大惨事となりました。
 文教・科学技術関係の被害の状況を見ると、人的被害については、死者654名、行方不明者79名、負傷者262名(うち、幼稚園から大学までの学校の在学者は、死者616名、行方不明者71名、負傷者195名。これらの学校の教職員は、死者38名、行方不明者8名、負傷者67名。)などとなっています。また、両親とも死亡又は行方不明となった18歳未満の子どもの数(ひとり親家庭であって、そのひとり親が死亡又は行方不明となった18歳未満の子どもを含む)は、平成24年3月28日現在、厚生労働省の調べで241名となっています。
 物的被害については、学校や、社会教育・体育・文化施設、国指定等文化財などにおける被害が全国24の都道府県で1万2千件以上発生しました。このうち、公立学校(幼稚園、小学校・中学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校)については、建て替え又は大規模な復旧工事が必要と思われる学校の数は約100校に上っており、私立学校については、特に、沿岸部で津波等により全半壊の被害を受けた幼稚園が21園に及んでいるなど、公立・私立を問わず甚大な被害を受けました。

津波によりバスが屋上へ上がった公民館(宮城県石巻市)

津波によりバスが屋上へ上がった公民館(宮城県石巻市)

地震により崩壊した教室の柱(福島県福島市)

地震により崩壊した教室の柱(福島県福島市)

津波により破壊された専修学校の実習室(宮城県岩沼市)

津波により破壊された専修学校の実習室(宮城県岩沼市)

被災した重要伝統的建造物群保存地区(千葉県香取市)

被災した重要伝統的建造物群保存地区(千葉県香取市)

 さらに、この震災により東京電力株式会社福島第一原子力発電所で事故が起こり、第一原子力発電所から放射性物質が放出される事態が生じました。政府に設置された原子力災害対策本部は、平成23年3月11日21時23分に、第一原子力発電所から半径3km圏内を避難区域に、半径3km~10km圏内を屋内退避区域に設定し、事態の進展に応じて、3月12日に、第一原子力発電所から半径20km圏内及び第二原子力発電所から半径10km圏内を避難区域に、3月15日に、第一原子力発電所から半径20~30km圏内を屋内退避区域に設定しました。その後、4月21日に、第二原子力発電所から半径8km圏内を避難区域に、4月22日に第一原子力発電所から半径20km圏内を警戒区域に、福島県広野町、楢葉町、川内村、田村市の一部、南相馬市の一部のうち、第一原子力発電所から半径20km圏外の地域を緊急時避難準備区域に、福島県葛尾村、浪江町、飯舘村、川俣町の一部及び南相馬市の一部のうち、第一原子力発電所から半径20km圏外の地域を計画的避難区域にそれぞれ設定し、これらの区域に所在する学校では教育活動が行えなくなりました。
 このような震災や原子力発電所の事故の影響により、多くの学校施設が全壊・半壊、浸水、地盤沈下等のために使用できなくなり、学校の教育活動を正常に行えない事態が生じました。岩手県、宮城県、福島県では、新しい学年の始業の時期を遅らせつつ、教育活動の早期の再開に努力してきましたが、従来の学校施設が使用できず他の学校や学校以外の施設を使用している学校は、平成23年6月1日現在で137校に上りました。
 また、震災により、震災前の学校と別の学校において受け入れられた幼児児童生徒は、25,751名(平成23年9月1日現在)となっています。このうち、岩手県、宮城県、福島県の幼児児童生徒で他の都道府県において受け入れられた数は13,933名であり、このうち11,918名が福島県の幼児児童生徒となっています。

図表1-1-1 人的被害(平成24年5月31日現在)

図表1-1-1 人的被害(平成24年5月31日現在)

図表1-1-2 物的被害(平成24年5月31日現在)

図表1-1-2 物的被害(平成24年5月31日現在)

※図表1-1-1及び図表1-1-2の凡例
幼…幼稚園、小…小学校、中…中学校、高…高等学校、中等…中等教育学校、特別…特別支援学校、大…大学(附属学校等も含む)、短大…短期大学、高専…高等専門学校、専門…専門学校、専各…専修・各種学校、共同…大学共同利用機関法人、社教…社会教育施設、社体…社会体育施設、文化…文化施設、教研…教育研修施設、重文…重要文化財、特史…特別史跡、特名…特別名勝、天然…天然記念物、伝建…重要伝統的建造物群保存地区、重有民…重要有形民俗文化財、科政局…文部科学省科学技術・学術政策局の所管する研究施設等、振興局…文部科学省研究振興局の所管する研究施設等、開発局…文部科学省研究開発局の所管する研究施設等

第2節 震災発生時の緊急対応-子ども・被災者の命を守る

 被災地では震災発生以来、子どもたちや住民の命を守るために、様々な立場の方々の献身的な努力が続けられてきました。文部科学省においても、東日本大震災発生直後に「文部科学省東北地方太平洋沖地震非常災害対策本部」及び「文部科学省原子力災害対策支援本部」を設置し、4月11日には「文部科学省復旧・復興対策本部」を設置し、様々な被災地の救援・支援策を実施してきました。支援に当たっては、岩手県、宮城県、福島県に連絡担当の職員を派遣して長期滞在させたほか、大臣をはじめ関係職員が被災地を訪問するなどして、被災状況や被災地の支援要望の把握に努めながら取組を進めてきました。

1 地震発生直後の対応

(1)地震・津波発生時の児童生徒等の避難

 地震発生時、津波警報により、被害が予測される海岸付近の学校等においては、教職員の指示・誘導により児童生徒等を避難させました。徹底した津波防災教育により、想定された避難場所が危険であることを児童生徒等自らが判断し、更に安全な場所に自主的に避難して危険を回避した例があった一方で、津波被害が想定されていなかった河口上流部の学校では、避難の判断が遅れ、多数の犠牲者を出した例もありました。

コラムNo.1 宮城県南三陸町の小学校における避難訓練の成果

 宮城県南三陸町の沿岸部にある南三陸町立戸倉小学校も、平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴う津波に襲われました。3階建ての校舎は屋上の給水タンクの上まで全て水没し、水が引いた後には、周りの建物もほとんど流されるという大きな被害を受けました。
 学校では、地震発生後すぐに校庭に避難した後、あらかじめ避難場所として設定していた近くの高台へと避難しました。その後、津波が迫ってきましたが、さらに高い場所にある神社へ全員が無事に避難できました。
 津波被害のリスクが高いこの小学校では、授業中や休み時間など、様々な場合に対応できるよう避難訓練を行うとともに、より良い避難方法をめぐって日常的に教職員が協議を続けてきました。その中で、「情報を得るために携帯ラジオが必要」、「冬の高台避難には防寒具が必要」等、より良い避難のあり方が具体化されてきました。このように日頃から協議を行っていたこともあり、高台への二次避難後にも教職員が海への注意を途切れさせることなく、大津波の予兆を捉え、より高い場所にある神社へと児童を誘導することができました。

コラムNo.1 宮城県南三陸町の小学校における避難訓練の成果 コラムNo.1 宮城県南三陸町の小学校における避難訓練の成果

コラムNo.2 地域とともに命を支えた石巻支援学校

 宮城県立石巻支援学校は、地震・津波により大きな被害を受けた石巻市の西部に所在する児童生徒数約150人の特別支援学校です。
 3月11日の地震発生時には、卒業式を終えた後で児童生徒は下校しており日頃の耐震対策も行っていたことから、幸い大きな人的・物的被害は免れました。地域住民が次々と学校に集まる中、学校は避難所として指定されていませんでしたが、「学校は地域と共にある」との校長の信条の下、すぐに住民の避難を受け入れます。雪が降るような寒さの中、少ない食料や燃料を分け合いながら、体温調節の難しい重度・重複障害のある生徒やずぶ濡れになった帰宅困難者を始め、最大で81名の避難者を受け入れました。石巻市から避難所の指定を受ける16日まで十分な支援物資の配給を受けることが出来ませんでしたが、地域の方々からの米や野菜、炊き出しのおにぎりに支えられました。
 一方、石巻支援学校から約2km離れた石巻赤十字病院では、市内の医療機関が機能停止する中、地域の医療拠点として多くの患者を受け入れていましたが、押し寄せる急患の多さに手当を受けた方を収容することが出来なくなっていました。このため、14日から石巻支援学校では、要請に応じて21名の介助が必要なお年寄りも受け入れました。日中は児童生徒の安否確認活動を行いながら、夜間は教職員が交代で、徘徊する方への寄り添い、おむつの交換など、不眠不休の支援がなされました。
 県教育委員会による他の特別支援学校等からの教職員の派遣なども得ながら、5月8日に避難者の方々が二次避難先に移られるまで、子どもたちや地域の住民の命を守るために教職員の懸命の努力が続けられたのです。

コラムNo.2 地域とともに命を支えた石巻支援学校
写真提供:河北新報社

(2)避難所となった文教施設における対応

 東日本大震災においては、被災した地域が極めて広範囲にわたったため、避難所となった公立学校はピーク時(平成23年3月17日)には622校に上り、長期にわたり教職員が避難所運営の中心的な役割を担うことになった例も見られました。
 災害時には防災担当部局から避難所開設の指示がなされるとともに、避難所に配置される担当職員が責任者として避難所運営に当たることが想定されていました。しかし、東日本大震災においては、通信手段が途絶したり、発災直後から多くの住民が学校に避難したりしたことなどから、防災担当部局の指示がない中で校長の判断により避難所を開設することとなり、避難所の指定を受けていない学校においても、多くの住民が避難してきたため、避難所としての機能を果たす状況となりました。特に、ターミナル駅や観光地に近い学校では、住民に加え、一時滞在者が押し寄せることとなり、想定を超えた規模の人数の対応をすることとなりました。
 また、被災地域が極めて広範囲にわたったため、計画通りに防災担当部局から避難所の運営について知識を有する職員を配置できなかったり、交通の混乱等のため職員の到着が大幅に遅れる場合があり、教職員が引き続き中心となって避難所運営の対応に当たりました。
 避難所運営に当たっては、日頃から地域との連携を進めていた学校では、地域住民の自治による避難所運営に円滑に移行でき、教職員が児童生徒等の安否確認や授業再開に向けた業務に専念することができたという事例も報告されており、「地域とともにある学校づくり」の重要性が改めて認識されました。学校は災害発生時の対応等について、校内の体制整備を行うとともに、家庭・地域・関係機関等との連携を図っておくことが求められます。
 また、通信手段の途絶等が生じたことにより、教育委員会と学校等との連絡が不可能となりました。県教育委員会と市町村教育委員会の間の連携も困難な状況となったため、被災した教育委員会等への支援に支障が生じました。特に、被災によって、組織としての機能が脆(ぜい)弱化した市町村教育委員会もあったため、市町村立学校に対して、県教育委員会としてどう支援して良いか判断が困難となる場合もありました。教育委員会は、関係する教育委員会等と災害時の支援内容について、事前に協議した上で取り決めておき、発災時はその協議に基づき、即時に対応できる体制を構築しておくことが求められます。
 さらに、私立学校においても、学校施設に、多くの住民を受け入れるとともに、自衛隊やボランティアの宿営地としてグラウンドを開放するなど被災地域の拠点として様々な貢献がなされました。

2 国内外からの支援

(1)大学病院における医療支援等

患者搬入の様子(東北大学)
患者搬入の様子(東北大学)

 被災地における医療を支援するため、厚生労働省の要請を受け、文部科学省では震災発生当日に国公私立の全大学病院に対し、災害派遣医療チーム(DMAT)の派遣を要請しました。この要請を受けて、最大時(平成23年3月13日)には、57大学(346名)が被災地で医療活動に従事しました。
 また、国立大学附属病院長会議主導の下、岩手医科大学や、東北大学、福島県立医科大学が中核となって、複数の大学病院により地区単位で編成された医療支援チームを交代で被災地へ派遣してきました。これは、派遣元の負担にも配慮した中長期的に継続可能な医療支援体制であり、当該体制等により、平成24年3月11日までに延べ約7,400名の国公私立大学病院の医師等が被災地での医療支援活動を行っています。
 上記以外にも、地域住民に対する放射線測定のための診療放射線技師等の派遣や、被災地に所在する大学病院からの要望に応じて、全国の大学病院から医薬品・燃料・食糧等の物資輸送を実施しました。
 今回の震災を踏まえ、各大学病院において災害マニュアル等の見直しや、災害医療体制の整備、災害に対応できる人材の養成を行うとともに、災害に対応した大学病院間のネットワーク構築を行うことが重要と考えられます。

(2)被災者等の受入れ

 住居を失ったり、被災地から避難してきた被災者の方々に対して、文部科学省関連の様々な機関においても、宿泊施設等の受入れを行いました。
 国立青少年教育振興機構では、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区代々木)において、震災発生当初に生じた都心部の帰宅困難者延べ705名を受け入れたほか、福島県からの人工透析患者とスタッフ計358名を受け入れました。
 また、被災地からの要請を受け、被災地周辺の国立青少年教育施設において、延べ約5万6千人の被災者を受け入れるとともに、被災地で活動する自衛隊の休息・補給基地やボランティアの活動拠点としても施設を提供しました。
 さらに、国立オリンピック記念青少年総合センターにおいて、被災した学生・生徒の首都圏での就職活動を支援するために、同センター内の宿泊施設を無償提供し、延べ3,223名を受け入れました(平成24年3月14日時点)。なお、同機構は、この取組を1年間延長して、25年3月まで実施することとしています。
 この他にも大学をはじめとする教育機関等において、被災地からの要請を受け、宿泊施設等への被災者の受入れが行われるとともに、多くの大学・専修学校等が、被災地のニーズに応じた救援物資の輸送や、専門家等の派遣を行っています。

(3)全国からの支援と被災地のニーズの橋渡し

 未曽有の大震災の被害を目の当たりにして、発災直後より日本全国から様々な支援が被災地に寄せられてきました。文部科学省では、全国各地の被災地のために役立ちたいという思いと被災地のニーズを橋渡しすることが効果的な支援につながると考え、被災地域の子どもたちが必要な支援をより受けやすくするため、被災者のニーズと提供可能な支援を相互に一覧できる「東日本大震災・子どもの学び支援ポータルサイト」を震災直後の4月1日に開設しました。
 このサイトでは、被災地域でどのような支援を必要としているのかを各地方公共団体や教育委員会・学校等に登録していただくとともに、全国の教育委員会・学校・企業・NPO等がどのような支援を提供することができるのかという情報を登録していただき、本サイトを閲覧した「支援の要請者」側と「支援の提案者」側が直接連絡を取り合うことで、被災地域への支援が円滑に行われることを目指すものです。
 このサイトで扱われる情報は、学用品・備品等や一般図書等の物的支援、教職員や専門スタッフ・ボランティア等の派遣という人的支援、その他被災した子どもたちの学校への受入れ等の様々な支援があり、サイトの訪問件数は30万件以上、平成23年度中に2,000件以上のマッチングが成立しています。
 また、被災した子どもたちが継続的に学び、夢や希望を持ち続けられるよう応援したいと、企業や公益法人、地方公共団体など様々な団体が、奨学金事業等の実施を表明したことを受け、ポータルサイトにおいて「奨学金関連情報」のページを特設しました。
 この他にも、6月後半からは、被災した子どもたち向けに、各地方公共団体やNPOなどが取り組む「リフレッシュキャンプ・合宿」や被災地の学校の児童・生徒の復興に向けた取組や現場の声を紹介する「復興への歩み」のページも順次追加しました。「復興への歩み~写真館」では、復興支援メディア隊の協力を得て、被災地の児童生徒、教職員、保護者の方が撮影した写真を掲載するとともに、省内の広報スペースで〈未来への教科書「写真展」in文部科学省〉を、平成24年2月27日から3月23日まで開催しました。
 この「東日本大震災・子どもの学び支援ポータルサイト」は、支援の要請件数が減少していること、民間のマッチングサイトも多く利用されていること等により、平成24年5月11日をもって運営を終了しました。これに伴い、サイト構築及びシステムの無償提供、サイトの継続的な改善に御協力いただいた日本ユニシス株式会社及びユニアデックス株式会社に対し、文部科学大臣から両社の代表に感謝状を贈呈しました。
 なお、被災地復興に係る児童生徒の活動事例や奨学金等の各種情報については、平成24年5月1日に開設したサイト「東日本大震災からの復興-教育現場を通じて-」において引き続き情報提供するとともに、マッチング支援については復興庁連携プロジェクト「助け合いジャパン」において行っています。

東日本大震災・子どもの学び支援ポータルサイト

岩手県の高校(ヨット部)へ支援されたヨット
岩手県の高校(ヨット部)へ支援されたヨット

福島からの避難者への学習支援
福島からの避難者への学習支援

宮城県の中学校へ支援された吹奏楽器
宮城県の中学校へ支援された吹奏楽器

未来への教科書「写真展」in文部科学省
未来への教科書「写真展」in文部科学省

みんなでつくる被災地学校運営支援サイト

 このほか、国立教育政策研究所では、教育課程の編成などの学校運営・学習指導・教育相談などの工夫について教育関係者の知識と経験を共有する「みんなでつくる被災地学校運営支援サイト」(※1)を運用し、被災地の教育活動の参考となるよう情報提供を行っています。また、学校全体で節電の取組を進める事例や省エネルギー教育に関する指導案、防災教育の参考となる事例などを収集・提供し、被災地以外の学校にも役立てていただけるよう取組を進めました。


※1 http://www.hisaichi-gakkoushien.nier.go.jp/

コラムNo.3 兵庫県EARTHの取組 震災・学校支援チームによる被災地支援(兵庫県)

 兵庫県教育委員会では、阪神・淡路大震災(平成7年1月)の際の全国の支援に報いるため、被災地の教育復興を支援する「震災・学校支援チーム」(EARTH)を設置しています。公立学校の教職員等150名(平成23年度現在)で組織されています。
 平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に際しては、宮城県教育委員会からの要請により、地震直後の3月15日から現在まで、延べ81名のEARTH員等を派遣し、学校に設置されている避難所の運営支援、早期に学校再開が見込まれる地域の学校再開支援、被災した児童生徒の心のケア支援について助言を行ってきました。
 7月、8月の支援活動では、石巻市、気仙沼市、南三陸町において、1学期を終えて学校が抱えている防災体制や心のケアの課題に対して助言を行いました。
 学校の防災担当者からは、学校における防災訓練の事前事後の指導の在り方、地域と連携した防災訓練の意義と推進方法等について各学校の取組や課題を聞きました。EARTH員からは今後の防災教育の推進について助言をしたり、避難所となっている学校を訪問し学校が抱えている課題への助言をしたりしました。心のケアでは、各学校の職員研修会において、震災後の経年変化にともなう子どもたちの様子の変化やその対応、教職員の心のケアの必要性等を助言しました。また、被災地の中学生への学習支援を行い、子どもたちと交流をしながら子どもたちの心のケアを行いました。
 被災地では教育復興に向けて、懸命な取組が進められています。しかし、復興の道のりは遠く、被災地には息の長い支援が必要になります。兵庫県教育委員会では平成24年度も引き続き、震災・学校支援チーム(EARTH)を被災地に派遣するとともに、宮城県との人事交流などを通じて、防災教育、防災体制、心のケアについて被災地の要望に即した支援を行っていきます。

防災担当者への研修会(石巻市)
防災担当者への研修会(石巻市)

教職員への心のケア研修(気仙沼市)
教職員への心のケア研修(気仙沼市)

中学生への学習支援(南三陸町)
中学生への学習支援(南三陸町)

(執筆:兵庫県教育委員会)

(4)ボランティア、NPOによる支援

 震災からの復旧・復興を推進するために、国や地方公共団体が一義的な責任を負っていることは言うまでもありませんが、日本社会全体が被災地のために力を結集することが必要であり、ボランティアやNPOなどの市民社会の果たす役割は極めて重要です。
 文部科学省では、被災地に対する様々なボランティア活動が展開しやすい環境づくりに努めるため、学生のボランティア活動について、「東北地方太平洋沖地震に伴う学生のボランティア活動について」(平成23年4月1日、文部科学副大臣通知)を発出し、補講・追試の実施やレポートの活用による成績評価や授業の一環として行う場合の単位認定、学費面での配慮など、ボランティア活動を進めるための環境整備を推進しています。
 また、被災地であるか否かを問わず全国の小学校、中学校及び高等学校などにおいて、多くの児童生徒が、被災地の学校や地域等のために、募金や支援物資の募集を行ったり、実際に被災地に行って瓦れきの処理を手伝ったりするなどのボランティア活動に取り組んでいます。こうした活動の多くは、児童生徒が主体となって、今自分たちができることを必死に考えて、行動に移しているものです。例えば、山形県酒田市立中平田小学校では、震災直後に6年生が中心となって節電の呼びかけを行ったほか、児童会活動を引き継いだばかりの5年生が中心となって募金活動を行い、その義援金の届け先を自分たちで話し合って決めたり、被災地の方にもっと元気になってもらおうと応援旗と自分たちの歌を入れたCDも添えて送ったりしています。
 専修学校では、多くの生徒が、文部科学省の通知や全国専修学校各種学校総連合会からの呼び掛けを踏まえ、介護や建築、調理等の専門性の高い知識・技能を活(い)かしながら、被災地の避難所や、老人保健施設において様々なボランティア活動を行いました。
 また、国立青少年教育振興機構では、被災地におけるボランティア支援を促進するため、民間団体と連携してボランティアコーディネーター研修を実施するとともに、震災ボランティアに関心がある学生や青年を対象に、「緊急青年ボランティアミーティング」を開催しました(計3回開催し、延べ約600名が参加)。また、実際にボランティアとして活動した学生や青年を対象に、今後の復興支援のボランティア活動につなげる機会として、「青年ボランティアフォローミーティング」を開催しました(61名が参加)。

コラムNo.4 学生によるボランティア活動の状況について

 宮城教育大学では、災害支援のために立ち上げた「教育復興支援センター」を中心に、宮城県教育委員会と仙台市教育委員会との連携体制の下、県内の大学及び国立教員養成大学・学部と協働しながら、各市町村・学校のニーズを押さえた支援を提供しています。また、仙台市内の4つの小・中学校で教員の補助や子どもの遊び相手になるボランティア活動を行っており、平成23年4月18日~平成24年3月現在で約140名の学生ボランティアが参加しています。
 岩手県立大学では、同大学の学生ボランティアセンターがNPO法人と連携し「いわてGINGA-NETプロジェクト」を立ち上げ、釜石市、大船渡市、陸前高田市、大槌町などの被災地に、全国から募った学生グループをつなぐ取組を実施しています。平成23年6月から全国各地で説明会を開き、学生の参加を呼びかけ、実施期間(平成23年7月27日(水曜日)~9月27日(火曜日))の間に、全国147大学から1,086人の学生がコミュニティ作り支援や学習支援等の多様なボランティア活動に参加しました。
 早稲田大学では、多様な震災ボランティアの取組の一つとして平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)を中心に、東北における校友(卒業生等)のネットワークにより情報収集を図り、被災地のニーズを発掘するとともに、ボランティアを希望する学生・教職員を募集して被災地に派遣し、多様な支援をしています。平成23年4月~24年3月現在で、学生・教員・職員を被災地へ78回、延べ2,187名を派遣しています。

サマースクールでの課題の勉強会の講師
サマースクールでの課題の勉強会の講師

GINGA-NET鍋っこサロン
GINGA-NET鍋っこサロン

コラムNo.5 NPO法人等の教育支援活動事例

 NPO法人NPOカタリバは、津波で自宅や塾を流され学習環境の悪化した子どもたちの学習機会を確保するために、町役場や教育委員会等と協力して、宮城県女川町に「女川向学館」、岩手県大槌町に「大槌臨学舎」を開設し、放課後の学習支援を行っています。
 また、被災三県で無料の受験対策講座「タダゼミ」や高校一年からの大学受験対策講座「ガチゼミ」、東京都内に避難している子ども向けに学習会や英語講座を開講し、学習支援を行っているNPO法人キッズドアや、歌やダンスを通じてコミュニケーションの本質を学ぶワークショップを行う「ヤングアメリカンズ」のジャパンツアーを運営するNPO法人じぶん未来クラブなど、さまざまな団体により現場ニーズに対応した多様な支援活動が行われています。
 OECD(経済協力開発機構)は、福島大学や被災地の自治体と協力して「OECD東北スクール」を行っています。これは被災地の子どもたちのリーダーシップや実践力・国際性の育成を図ること等を通じて、東北地方の経済活動、将来の産業イノベーション創造等につなげることを目指した3年間の教育プログラムです。
 こうした多様な主体により、被災地において先進的な教育支援活動が行われています。

NPOカタリバ「女川向学館」
NPOカタリバ「女川向学館」

キッズドア「高校進学準備ゼミ」
キッズドア「高校進学準備ゼミ」

ヤングアメリカンズのワークショップ
ヤングアメリカンズのワークショップ

(5)東日本大震災特別弔慰金の創設

 日本スポーツ振興センターが行っている災害共済給付制度(※2)では、多数の住民が被害を受ける非常災害による場合は災害共済給付を行わないこととされていますが、今回の大震災の被害の大きさや被災地からの要望等を踏まえ、「東日本大震災特別弔慰金」として、通常の災害共済給付とは異なる新たな仕組みを構築しました。
 これにより、今回の大震災により学校の管理下で死亡した児童生徒等の保護者等に対して、日本スポーツ振興センターから特別に弔慰金を支給しています。


※2 学校の管理下における児童生徒等の負傷、疾病、傷害又は死亡について、児童生徒等の保護者等に対して、医療費、障害見舞金又は死亡見舞金の支給を行う制度

(6)科学技術の活用による支援

 宇宙分野の取組として、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による被災地の緊急観測画像や「だいち防災マップ」などの情報を防災関係府省や自治体等に提供し災害対策を支援しました。「だいち」は平成23年5月に運用を停止しましたが、その性能を更に向上させた陸域観測技術衛星2号(ALOS-2)の開発を、平成25年度の打上げに向けて加速しています。さらに、被災地では通信インフラが途絶し、復旧活動に支障を来していたため、超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)や技術試験衛星8型「きく8号」(ETS―Ⅷ)を活用し、インターネットやテレビ会議を可能とする通信環境の整備に貢献しました。
 今後は、更なる地上局の小型化、省電力化を可能とするなど次期通信衛星に向けた機能改善や、衛星画像処理・解析に関する宇宙関係機関、防災機関、大学・研究機関、民間等の連携体制の構築が重要です。このため、宇宙航空研究開発機構においては、自治体と合同で防災訓練を行い、その結果を次期通信衛星の研究開発へ反映したり、衛星画像の処理解析技術を有する大学・研究機関、民間企業等とのデータ利用に関する連携協定の締結を推進するなどの取組を進めています。

(7)海外からの支援

 東日本大震災後、日本国内だけでなく、世界の数多くの国・地域から様々な支援が寄せられました。

1.お見舞いの手紙や折り鶴、絵画などの贈り物

 ブラジル、米国、トルコ、オーストラリア、中国など世界各国の子どもや大人、各国・地域の教育関係省庁や関係機関から、お見舞いの手紙や折り鶴、絵画などの贈り物が日本に届きました。文部科学省は、届いた手紙や贈り物の一部を、展示した後、直接又は各教育委員会などを通じて被災地に届けました。被災地に届けられた手紙などは、教育委員会や地方自治体のホームページに掲載されたほか、小学校などの学校をはじめとして、仮設住宅などにも配布され、被災地の人たちを元気付けました。

2.被災地の子どもの各国への受入れ

 震災後、被災した子どもたちを慰め、励ましたいという趣旨で、各国・地域の政府、地方自治体、保護者、NGOなどから、子どもの受入れの申し出がありました。文部科学省では、こうした申し出を受け、前述のポータルサイトに掲載し、周知を図る一方で、招かれる子どもたちの精神的また経済的負担が増さないよう、外務省や駐日外国公館、各国友好協会、教育委員会などと協力、調整を行いました。このうち、ロシア、オーストリア、クロアチア、ポーランド、ルーマニアなどについては訪問が実現し、子どもたちは、現地でのホームステイ体験やサマースクール、スポーツ・文化イベントへの参加を通じて、現地の人々との交流を深めました。

3.奨学金などによる支援

 震災により、従来通りに学習が続けられなくなった児童生徒や学生に対する支援を多くの国・地域が申し出ました。海外留学のための奨学金の新設や、授業料を免除した上での長期留学や語学研修、サマースクールなどの多様なプログラムが提案されました。文部科学省は、報道発表やホームページ、ポータルサイトに掲載して周知を行うとともに、日本学生支援機構などと協力し、より多くの支援が実現するように努めました。震災直後に比較して、これらの奨学金や留学制度の利用者は徐々に増加しており、被災地域の子どもたちや学生の教育機会の確保に役立てられています。
 上記のほかにも、多くの国や地域の人々から心温まるお見舞いや支援などが寄せられました。文部科学省は、こうした支援に対して改めて感謝の気持ちを示すとともに、今後も外務省、駐日大使館や各国政府と連携し、海外からの様々な支援が円滑に実現できるよう取り組みます。

トルコの子どもたちが描いた絵葉書(ボランティアによる和訳付)
トルコの子どもたちが描いた絵葉書(ボランティアによる和訳付)

平成23年8月に文部科学省で開催した子ども見学デーでの展示の様子
平成23年8月に文部科学省で開催した子ども見学デーでの展示の様子

カナダの高校から届いた手紙
カナダの高校から届いた手紙

山木屋太鼓グループがワシントンDCの桜祭りで太鼓を披露(トモダチ・イニシアティブによる支援)
山木屋太鼓グループがワシントンDCの桜祭りで太鼓を披露(トモダチ・イニシアティブによる支援)

第3節 復旧のための取組-学びの場を確保する

 今回の震災では、多くの学校施設が地震や津波、原子力発電所事故で使用できなくなったほか、多くの子どもたちが被災により住居を移さなければならない事態が生じました。このような状況においても、できるだけ早期に学校の教育活動を再開し就学の機会を確保することで、「日常」の生活を回復することが重要です。また、学校施設などハード面での整備だけでなく、震災により大きな心の傷やストレスを受けた子どもたちに対する心のケアや学習の遅れに対する支援をきめ細かく行っていくことも重要な課題となります。

1 就学機会の確保

(1)被災児童生徒等の学校への受入れ

 文部科学省では、「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震における被災地域の児童生徒等の就学機会の確保等について」(平成23年3月14日、文部科学副大臣通知)を発出するなどにより、被災児童生徒等が域内の学校への受入れを希望してきた場合には、可能な限り弾力的に取扱い、速やかに受け入れるよう、各教育委員会等に要請を行いました。
 また、弾力的な受入れに当たっての具体的な配慮事項等については、事務連絡や文部科学省ウェブサイト、初等中等教育局メールマガジンにより広く周知を行っています。
 さらに、被災により転校等をした子どもたちについて、その受入れ先となる学校に対し、子どもたちを温かく迎えるための指導上の工夫や保護者・地域住民などに対する説明などを適切に行い、いじめなどの問題を許さず、該当する子どもたちの学校生活への適応が図られるよう、必要な指導を行うなどの特段の配慮を各教育委員会に要請しました。
 加えて、被災者の方が避難所などにおいても携帯電話から容易にアクセスできる文部科学省携帯版ウェブサイトに、各都道府県・指定都市の転校等に関する問合せ窓口や、岩手県、宮城県及び福島県の学校の再開予定に関する情報を掲載しています。

(2)教科書の給与等

 被災により転校した児童生徒への教科書給与については、給与の際に必要となる教科書給与証明書がなくても可能とするなど、弾力的な運用を行いました。
 また、平成23年度使用教科書については、供給の準備をしていた教科書が多数滅失・毀損したため、関係団体に対し、増刷等により必要数を補充することを要請し、学校再開に合わせて供給が行われました。

(3)復旧の足取り

 今回の震災及び原子力発電所の事故の影響の深刻な岩手県、宮城県、福島県の多くの小学校・中学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校では、不自由な学校生活を余儀なくされています。
 文部科学省では、これらの状況を把握するため、自校以外の施設において授業を再開している状況や教室、体育館グラウンド及び授業実施の状況などについて、岩手県、宮城県、福島県の都道府県・指定都市教育委員会に対し、原則10月1日時点で調査を行いました(図表1-1-3参照)。10月時点での状況は6月時点と比較して、全般的に改善しており、例えば学校に設置された避難所が解消されたことや、学校施設の復旧や仮設校舎の設置などが一定程度進むことによって、被災地において学校教育活動の復旧が進みつつある状況が表れています。
 しかしながら、津波等の甚大な被害を受けた地域では、学校施設の復旧が地域の復興計画等を踏まえた対応となるため、学校施設の復旧に時間を要し、教室の利用の制約など児童生徒の教育活動に影響が生じていたり、原子力災害の被害を受けた地域では、避難指示の解除がされず、放射線量が高いことなどにより、学校施設の復旧にめどが立たなかったり、屋外活動に支障が生じている状況もあるものと考えられます。
 各学校や教育委員会においても、学校の教育活動の復旧のために最大限の取組をされているところであり、文部科学省としても、本節に掲げられている施策等を通じて引き続き一日も早い被災地の教育の復旧・復興に向けて努めていきます。

図表1-1-3 被災地域の学校における授業の実施状況等について

図表1-1-3 被災地域の学校における授業の実施状況等について

コラムNo6 電子黒板ってこんなにいいものだったんだね~震災下における電子黒板を利用しての授業を通して~

 今回の震災で、校舎が津波により浸水したため、本校は、町内の吉里吉里小学校の体育館をボードで区切った教室で授業をすることになりました。担任の声が教室の後ろまで届かず、むしろ隣の教室の音が大きく、授業に集中できない子どもたちが見られました。また、多くの教材・教具を流失したため、毎日、掛け図や教材を自作する担任の姿を見て、「電子黒板があれば…」という気持ちを抱きました。そこで、支援して頂いたプロジェクターを教室に持ち込み、教室の白壁にデジタル教科書を映写しました。大画面に映し出される画像やシミュレーション教材に子どもたちは食いつきました。しかし、プロジェクター1台では、どうにもなりません。この状況下では、電子黒板が授業に有効だと確信し、5月連休明け、電子黒板1台を運び入れ、1、2年生の授業と4校合同授業の高学年の外国語活動を中心に使用することにしました。数日後、他校の先生方から、「うちの学校でも使わせて欲しい。」という声が上がり、体育や音楽の合同授業でも電子黒板の活用が始まりました。
 5月下旬、体育館に更に3台を搬入し、3台の電子黒板を2つの学級で交互に使い分けることにしました。数日後、「電子黒板ってこんなにいいものだったんだね…。」子どもたちの取り組む姿勢に変化を感じた研究主任が漏らした言葉です。各担任が電子黒板のよさを再確認し、昨年以上にその利用度が増しました。理科や社会科での調べ学習においては、資料の不足をNHKのデジタルコンテンツ等へのアクセスにより、ビデオクリップ視聴を取り入れ、授業展開の工夫で補いました。
 9月、仮設校舎が完成し、各教室に1台電子黒板を搬入しました。コンピュータ室がないため、教育委員会が調べ学習にとタブレットパソコン20台を用意してくれました。ネット検索だけでなく、デジタルカメラやビデオカメラ機能の活用例を各担任に提示したところ、体育の器械運動や表現運動でのグループ学習や社会科見学、校外学習で利用されました。子どもたちの方がすぐに使い方を覚え、効果的なタブレットパソコンの活用についても実践・研修をすることが出来ました。
 3月、転勤される先生方が、口をそろえて「転勤先に電子黒板を持って行きたい…。」とつぶやくほど、『電子黒板は、子どもたちを引きつける手だてとなる』ことを肌で感じ、ICT活用の実践・研修を積んだ1年になりました。

ボードで区切られた体育館での授業風景
ボードで区切られた体育館での授業風景

電子黒板を活用した授業の様子
電子黒板を活用した授業の様子

(執筆:岩手県大槌町立大槌北小学校)

2 学校施設の復旧

(1)学校施設災害復旧事業の概要

 このたびの東日本大震災では、地震や津波により学校施設も広範囲に渡って甚大な被害を受け、数多くの学校施設(7,988校)が被災しました。被害を受けた学校施設の復旧に当たっては、災害復旧事業を活用し、被災施設の復旧や応急仮設校舎の設置等、学校施設の災害復旧に要する経費について国がその一部を負担(補助)することにより、学校教育の円滑な実施を確保することとされています。
 東日本大震災により被害を受けた学校施設についても、早期に復旧し、できる限り速やかに学校教育が再開できるよう、公立学校においては、応急仮設校舎や比較的被害が軽微なもの等、早期に復旧に着手可能な事業を実施するための経費を平成23年度第1次補正予算に計上しました。さらに、新築復旧や大規模な補修を要する復旧のための経費を同第3次補正予算に計上しました。私立学校についても応急仮設校舎を含めた学校施設等の復旧に必要な経費を第1次補正予算に計上しました。
 また、福島第一原子力発電所事故の影響により校庭・園庭の空間線量率が毎時1マイクロシーベルト以上となる公私立学校については校庭等の土壌処理(除染)に係る経費を国が補助することとし、必要な経費を同第2次補正予算に計上しました。
 被災した幼稚園については、被災地のニーズ等を踏まえ、幼保一体化施設(認定こども園)としての機能を備えて再開できるよう支援するための経費を第3次補正予算に計上しました。
 さらに、被災した私立学校に対しては、第1次補正予算において、教育研究活動復旧費補助として経常費補助の増額措置を図るとともに、第3次補正予算において、被災3県を対象に、幼児児童生徒等の減少による学納金の減収分も考慮した特例的な支援として、被災私立学校等復興特別交付金を措置しました。
 文部科学省では学校施設の早期復旧のため、災害復旧事業において事前着工が可能な旨を周知するとともに、申請書類の簡略化や災害復旧に当たって実施する現地調査を必要とする基準額の引上げ等の事務手続の簡素化を図ってきました。また、公立学校施設災害復旧事業においては、今回の震災の被害状況を踏まえて新たに、津波により被害を受けた学校が高台等に移転する場合に、建物等の移転復旧費だけでなく用地取得費及び造成費に関する補助の創設や、応急仮設校舎の補助要綱に「仮体育・集会室」、「仮教育研修宿泊室」を追加する等、東日本大震災の被害に合わせた制度の創設を図りました。
 さらに、私立学校施設災害復旧事業においても、応急仮設校舎の補助要綱に施設のリースを追加する等、東日本大震災の被害に合わせた制度の創設を図りました。また、地方公共団体に対して、津波により被害を受けた学校が高台等に移転する場合に、復興庁が所管する東日本大震災復興交付金を活用し、市町村が確保・整備した土地又は施設を私立学校が貸与を受けて教育活動の再開を可能とする方法を周知しました。
 このような取組の結果、災害復旧事業を活用する(活用予定も含む)公立学校約2,400校のうち、平成23年度中には約9割が災害復旧事業に着手し、約7割の学校の復旧が完了しました。残る学校についても、早期の復旧完了を目指して復旧支援に取り組んでいます。また、私立学校については、災害復旧事業を活用する(活用予定も含む)791校のうち、平成23年度中に約98%が災害復旧事業に着手し、約89%の復旧が完了しました。また、警戒区域外等に所在する学校で校庭等の土壌処理の国庫補助対象である約400校全てで土壌処理が終了しています。公私立学校ともに、福島第一原子力発電所事故に伴う警戒区域内等に所在する学校や沿岸部で津波により甚大な被害を受け地域の新たなまちづくり計画の策定が学校復旧の前提となる学校などで事業の推進に時間を要していますが、今後、早期の復旧を目指して支援に取り組んでいきます。

図表1-1-4 校庭等の土壌処理(除染)工事の状況

 図表1-1-4 校庭等の土壌処理(除染)工事の状況 

3 児童生徒等の心のケアや学習支援

(1)スクールカウンセラーの派遣等

 文部科学省では、被災した子どもたちの心のケアや学習支援への対応のため、次のような取組を行ってきました。
 震災直後、平成22年度においては、心のケアを含む健康相談を行うなど、被災児童等の心の健康問題に適切に取り組むよう配慮することを各地方公共団体に要請するとともに、「子どもの健康を守る地域専門家総合連携事業」を活用して、被災地に臨床心理士等を全額国庫負担により、緊急派遣しました。
 平成23年度においては、第1次補正予算及び第3次補正予算において「緊急スクールカウンセラー等派遣事業」を措置し、被災した幼児児童生徒等の心のケアのため、被災地域や被災した幼児児童生徒等を受け入れた地域の学校などにスクールカウンセラー等を全額国庫負担により派遣する経費を措置しました。
 なお、本事業の第3次補正予算においては、被災地での新たな課題に対応するため、スクールカウンセラー等に加え、新たに高校生への進路指導・就職支援を行う緊急進路指導員や特別支援学校における外部専門家を活用できるようにしています。
 また、平成22年9月に配布した指導参考資料(「子どもの心のケアのために」)を増刷し、被災した県及び市町村の教育委員会からの追加配布要望に応じて発送しました(※3)。
 さらに、震災発生時の幼稚園における取組の参考となるよう、幼児の心のケアを含む幼稚園における対応のポイントをまとめたハンドブックを作成しました。
 加えて、被災した障害のある子どもについては、その状況を教育委員会、学校等が市町村の障害児担当部局と連携して把握し、スクールカウンセラー等を活用した心のケアなど必要な教育上の支援に努めるよう各教育委員会等に要請しました。また、国立特別支援教育総合研究所においては、「震災後の子どもたちを支える教師のためのハンドブック~発達障害のある子どもへの対応を中心に~」を作成し、ホームページに掲載するとともに、関係機関に配布しました(※4)。


※3 参照:子どもの心のケアのために-災害や事件・事故発生時を中心に-

※4 参照:http://www.nise.go.jp/cms/6,3758,53.html

(2)公立学校における教職員体制の整備

 東日本大震災により被害を受けた地域に所在する学校及び震災後に被災した児童生徒を受け入れた学校においては、被災児童生徒に対する学習支援を行うこと、心のケアのための特別な指導を行うこと等が課題になっています。これらの課題は、中・長期的に継続した対応が必要であり、そのために必要な教職員定数を確保することが重要です。義務標準法等の一部改正法(平成23年4月)の附則においても、国及び教育委員会は、教職員の定数に関し、こうした事情に迅速かつ的確に対応するために必要な特別な措置を講ずることとされています。
 文部科学省では、震災発生後、速やかに各県からの要望を聴取し、平成23年の4月と6月に、義務教育諸学校分として、岩手県(202名)、宮城県(216名)、山形県(14名)、福島県(481名)、茨城県(49名)、栃木県(14名)、新潟県(10名)の7県に対し合計986名、高等学校分として、岩手県(33名)、宮城県(28名)、福島県(33名)の3県に対し合計94名、総計1,080名の教職員定数の追加措置を実施しました。
 また、平成24年度予算においても、被災児童生徒に対し、日常的な心のケアやきめ細やかな学習支援を充実させるため、1,000名の定数改善を盛り込んでいます。これを受け、文部科学省では、各県からの要望を踏まえ、義務教育諸学校分として、岩手県(197名)、宮城県(216名)、福島県(512名)、茨城県(31名)、新潟県(14名)の5県に対し合計970名、高等学校分として、岩手県(35名)、宮城県(26名)の2県に対し合計61名、総計1,031名の追加措置を実施しました。
 さらに、被災県においては、必要な教職員定数が追加措置されても、実際の人員の確保が困難な状況もあり、文部科学省では、宮城県教育委員会からの依頼を受けて、被災地以外の教育委員会に教職員の派遣の打診を行い、派遣を申し出た教育委員会の情報を提供しました。これにより、秋田県、栃木県、石川県、兵庫県、愛媛県、熊本県の教育委員会から、教諭5名、養護教諭6名の派遣が行われました。この他、東京都及び岐阜県の教育委員会からも、宮城県に合計97名の教諭等が派遣されました。

(3)アスリートや芸術家によるスポーツ・芸術活動

 文部科学省では、国が行う復興事業の状況、被災地やスポーツ界などの要望を踏まえ、平成23年5月に、スポーツ団体が行うスポーツによる子どもたちの心のケア活動などをスポーツ振興くじ(toto)助成により支援することとしました。
 これを受け、公益財団法人日本体育協会、公益財団法人日本オリンピック委員会、公益財団法人日本サッカー協会、一般社団法人日本トップリーグ連携機構、一般社団法人日本アスリート会議、公益財団法人日本レクリエーション協会、公益財団法人日本障害者スポーツ協会などのスポーツ団体は、この助成を活用して次のような様々な取組を行いました。

  • 被災地にアスリートを派遣し、子どもたちを励ます「スポーツこころのプロジェクト笑顔の教室」の開催
  • 子どもたちとの運動会やサッカー教室などを開催
  • 避難所や仮設住宅などにおいて、レクリエーション活動やキャンプ活動
  • 被災地のスポーツ少年団や地域スポーツクラブなどへの、スポーツ用具の提供

 (C)スポーツこころのプロジェクト
(C)スポーツこころのプロジェクト

(C)AGC
(C)AGC

「スポーツこころのプロジェクト笑顔の教室」の様子

 文部科学省では、今後も引き続き、スポーツ団体が行うスポーツによる子どもたちの心のケア活動(「スポーツこころのプロジェクト笑顔の教室」など)を支援することとしています。また、被災地に所在する総合型地域スポーツクラブや被災したスポーツ施設の復旧の支援、東北総合体育大会の開催の支援なども行い、スポーツを通じた東日本大震災の復旧・復興支援に取り組んでいくこととしています。
 また、被災地に文化芸術活動を提供することにより、子どもたちが健やかに過ごし、安心できる環境の醸成を図るため、「次代を担う子どもの文化芸術体験事業(派遣事業)」の一環として、被災地へ芸術家などを派遣しました。
 本事業では、被災地の地方公共団体、NPO法人、財団法人、文化芸術団体などで構成する5つの実行委員会(岩手県、宮城県、福島県、栃木県、仙台市)が事業のコーディネーターとなり、被災地におけるニーズを把握するとともに、音楽、演劇、落語、伝統芸能、美術などの文化芸術活動を行う芸術家などを459の学校や避難所などに派遣し、公演を実施しました。学校などからは、「東日本大震災による、日々の苦しい環境のなかで、癒される時間を持てた」「心が傷付いた子どもたちに本格的な音楽を鑑賞・体験してもらうことにより、元気付けることができた」などの意見が寄せられました。 

コラムNo.7 次代を担う子どもの文化芸術体験事業(派遣事業)

〔東日本大震災復興支援対応〕について
 福島県では、事業実施に際しては、県内だけでなく首都圏など県外の文化団体や芸術家の方々にも快く協力していただき、音楽、演劇、身体表現、伝統芸能、文学・美術、映画など36のプログラムを、保育所から高等学校まで合計162回実施することができました。
 会場の子どもたちは、アフリカのセネガル人ダンサーと日本の音楽家のコンビによるアフリカ音楽に合わせて踊り、一輪車に乗ってジャグリングをするサーカスを見て歓声を上げ、本物の津軽三味線の迫力を感じ取り、管楽器とピアノが奏でる旋律や間近で見る能の仕舞に感動し、真打の落語家の滑稽な語り口に笑っていました。
 福島県の子どもたちは、東日本大震災とそれに伴う原子力発電所事故によって様々な困難な状況に直面しております。このような状況の中で文化・芸術活動に感動し、あるいは笑い、あるいは元気をもらうことは、震災で傷ついた心に働き掛け、必ず地域の復興につながるものと信じております。
 また、このような活動の場を提供していただいた文化庁やプログラムで御協力いただいた芸術家の方々や各団体の皆様には改めて感謝申し上げます。

一輪車に乗ってのジャグリングに見入る小学生(福島県郡山市)
一輪車に乗ってのジャグリングに見入る小学生(福島県郡山市)

(執筆:ふくしま次代を担う子どもの文化芸術体験事業実行委員会事務局)

 また、平成23年度文化庁芸術祭の主催公演の「アジアオーケストラウィーク2011」は、開催地をこれまでの東京・大阪から東京・仙台に変更しました。被災した「仙台フィルハーモニー管弦楽団」が、ホスト・オーケストラとして、同年2月にニュージーランドで発生した大地震により被災したクライストチャーチ市の「クライストチャーチ交響楽団」と、早期に支援を表明した韓国大邱広域市の「大邱市立交響楽団」を迎えて公演を実施しました。仙台公演では「仙台フィルハーモニー管弦楽団」と「クライストチャーチ交響楽団」との合同演奏会を実施し、共に大災害の苦境の中ででき得る限りの演奏活動を続けた被災地のオーケストラ同士が震災からの復興への想いを込めた演奏を被災者に提供しました。

文化庁芸術祭「アジアオーケストラウィーク2011」
文化庁芸術祭「アジアオーケストラウィーク2011」

(4)「リフレッシュ・キャンプ」の実施

 東日本大震災に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故の影響により、福島県の子どもたちは外遊びや屋外プールの利用を控えるなど、日常生活の中で多くのストレスを抱えている実態がありました。
 このような状況を踏まえ、文部科学省と国立青少年教育振興機構では、福島県の子どもたちの心身の健全育成やリフレッシュを図るため、平成23年7月21日から8月31日にかけて、3泊4日で外遊びやスポーツ、自然体験活動などを行う「リフレッシュ・キャンプ」を実施しました(福島県内に所在する同機構の国立磐梯青少年交流の家、国立那須甲子青少年自然の家を会場に、全18回実施し、計約4,000名が参加。コカ・コーラ協賛)。
 なお、各回のスポーツのプログラムにおいては、様々なトップアスリートが駆けつけ、子どもたちに笑顔や勇気を贈り届けました。実施に際しては、日本原子力研究開発機構の協力を得て、毎週1回、施設内やハイキングコースなどの放射線量を計測するなど、安全・安心なプログラムが提供されました。
 参加者に対して行った参加前後の意識や気持ちなどに関するアンケート調査では、

  • 参加者の多くが、学校の休み時間や放課後も室内で過ごしており、キャンプでの体を動かす活動のニーズや満足度が高かった
  • キャンプ参加後は、「無気力」「うつ反応」「不安反応」などの各カテゴリにおいて改善がみられた(特に、「無気力」については著しく改善)
  • 「もう一度参加したい」という要望が高かった(全体の92%が回答)

などの結果が見られました。
 同機構では、この「リフレッシュ・キャンプ」の成果を踏まえ、23年9月以降も引き続き同様の事業を実施しました。

  • 23年9月から11月にかけて、福島県だけではなく岩手県と宮城県の子どもたちも対象に、同機構の4つの国立青少年教育施設で全28回実施し、計約2,000名が参加
  • 23年12月から24年2月にかけて、被災地の子どもたちと福島県外に避難している子どもたちを対象に、同機構の6つの国立青少年教育施設で全22回実施し、計約1,600名が参加(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル、Inc.協賛)

 また、24年度もさらに多様なプログラムを提供するなどして、福島県をはじめとする被災地の子どもたちの心身の健全育成及びリフレッシュを図るための取組を実施する予定です。

「リフレッシュ・キャンプ」で笑顔を見せる子どもたち(国立那須甲子青少年自然の家)
「リフレッシュ・キャンプ」で笑顔を見せる子どもたち(国立那須甲子青少年自然の家)

4 就学のための経済的支援等

 文部科学省及び関係機関では、震災発生以降、次のような就学支援等や就職支援の取組を行っています。

(1)幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校等に通う子どもへの支援

 被災により就学援助などを必要とする幼児児童生徒に対する認定及び学用品費、学校給食費などの支給について、可能な限り速やかに弾力的な対応を行うよう各教育委員会に要請しました。
 また、被災した児童生徒の各学年の課程の修了・卒業認定等について、弾力的に取り扱うよう各教育委員会等に要請しました。さらに、学校教育法施行規則等に定める標準的な授業時数について災害等の不測の事態が発生した場合、当該時数を下回ることも認められることなど、教育課程編成上の留意点について周知しました。
 さらに、平成23年度第1次補正予算及び第3次補正予算において、東日本大震災により経済的理由から就学が困難となった世帯の幼児児童生徒の就学等を幅広く支援するため、被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金を措置しました。これにより各県において基金を設置し、幼稚園に通う幼児の保育料や入園料を軽減する就園奨励事業や、小中学生に対するスクールバス運行委託費等の通学費や学用品費、医療費などを支援する就学援助事業、高校生に対する奨学金事業、特別支援学校等に通う幼児児童生徒の就学に必要な経費を軽減する就学奨励事業、私立学校・専修学校・各種学校に対する授業料等減免事業について、当面、平成26年度までの間、必要な支援を行うことができることとしました。
 それに加え、経済的理由にかかわらず高等学校等の生徒が学業を継続できるよう平成21年度第1次補正予算により全都道府県に造成された高校生修学支援基金について、依然として厳しい経済状況や震災の風評被害、円高による雇用環境の更なる悪化に備え、修学支援を強化する必要があることから、当初の計画を3年間(平成26年度末まで)延長し、積み増しを行いました。
 私立学校については、震災や原子力発電所事故により、設置者である学校法人の経営環境も厳しさを増していることから、施設面だけでなく、ソフト面の支援も含め、引き続き必要な支援を行っていきます。

(2)学生等への支援

 文部科学省では、各大学等に対して入学金や授業料の徴収猶予・減免等について要請を行い、これまで全国の多くの大学で、授業料減免、奨学金、宿舎支援などが実施されました。日本学生支援機構では、震災等により家計が急変し、奨学金が必要となった学生・生徒を対象とする無利子の緊急採用奨学金を、全国の大学等や各都道府県に周知し、随時受け付けています。さらに、平成23年度第1次補正予算及び第3次補正予算で、高等教育段階において無利子の緊急採用奨学金(35億円、4,700人増)や授業料等減免措置(66億円、15,200人増)の拡充を図りました。
 この他、例えば、公益財団法人三菱商事復興支援財団、株式会社東芝をはじめとする公益法人や企業など様々な団体により、被災学生等を対象とした奨学金事業などが実施されています。これらの取組は前述のポータルサイトへの掲載などを通じて周知を図っています。
 また、文部科学省では、被災した学生・生徒等の就職環境の悪化を防ぐため、文部科学大臣及び厚生労働大臣の連名で、採用内定の取消を行わないなどの配慮を主要経済団体に要請するとともに、厚生労働省と連携し、国立青少年教育振興機構等の協力を得て、就職活動のための宿泊施設を無償提供(平成23年4月より実施。当初、平成24年3月末までとしていたが平成25年3月末まで1年延長。)するなど、関係府省と連携しつつ、被災した学生・生徒等が就職活動を継続できるよう支援を行っています。

5 大学等の教育研究機能の復旧

 東日本大震災により、大学等の教育研究施設等も広範囲に渡って甚大な被害を受け、教育研究機能は著しく低下しました。
 文部科学省では、深刻な被害を受けた各大学等の教育研究活動が早期に改善できるよう、平成23年度第1次補正予算及び第3次補正予算に引き続き平成24年度予算において施設設備の復旧等に対する措置を行っています。
 なお、私立大学においては、被災3県に対して、被災私立大学等復興特別補助も措置しています。
 また、国立および私立学校の耐震化を促進するため、校舎等の耐震補強等に対する支援等も行っています。
 また、東日本大震災以降、我が国と大学の正しい現状が諸外国に伝わっていないため、日本への留学に対する懸念が広がっており、これまでの増加傾向から減少へと転じています。そのため、震災後も日本で勉学を継続している留学生の生の声の発信や日本への留学を検討している外国人学生に我が国と大学の現状について正しく理解してもらう「ジャパン・スタディ・プログラム」(42か国・地域から214名を招へい)の実施等により、広く我が国の正しい現状を発信することで、留学生の呼び戻しを図っています。

コラムNo.8 東北大学 災害科学国際研究所の取組について

 平成19年に地域社会の防災・減災に関する学際的な研究を推進する東北大学防災科学研究拠点を設置していましたが、今回の東日本大震災の経験を受けて、従来の防災・減災システムでは対応できない低頻度巨大災害に対応するため、平成24年4月、東北大学は災害科学国際研究所を開設しました。
 ハーバード大学(アメリカ合衆国)、ハワイ大学(同)、清華大学(中華人民共和国)、ロンドン大学(英国)、ドイツ航空宇宙センターなどの海外9研究機関と、国内では被災地の福島大学や岩手大学のほか、東京大学、京都大学、神戸大学などの6大学、国内外の大学等と連携して、文科系から理科系まで様々な視点から災害科学の研究を推進します。

〔研究の例〕災害アーカイブ研究分野
 産学官の機関と連携して、東日本大震災に関するあらゆる記憶、記録、事例、知見を収集し、国内外や未来に共有する東日本大震災アーカイブプロジェクト「みちのく震録伝(しんろくでん)」の活動を進めています。本プロジェクトは、今回の震災の被災地を中心にして、歴史的な災害から東日本大震災まで、様々な視点から集められた記憶、記録、事例、知見をもとに、分野横断的な研究を展開し、東日本大震災の実態の解明や復興に資する知見の提供を進めています。これらの取組は、低頻度巨大災害の対策・管理の学問を進展し、今後発生が懸念される東海・東南海・南海地震への対策に活用します。
 今後、被災地の復興への具体的貢献を果たしながら、複雑化・多様化する自然災害のリスクに対応できる社会の創成を目指し、新たな防災・減災技術の開発とその社会実装に取り組んでいきます。その成果を、日本だけではなく世界に発信し、災害に強い社会を構築することをめざしています。

東日本大震災アーカイブにおける情報収集活動(みちのく・いまをつたえ隊の活動)の様子(平成24年2月~3月) 東日本大震災アーカイブにおける情報収集活動(みちのく・いまをつたえ隊の活動)の様子(平成24年2月~3月)
東日本大震災アーカイブにおける情報収集活動(みちのく・いまをつたえ隊の活動)の様子(平成24年2月~3月) 

6 社会教育施設・スポーツ施設・文化施設の復旧、文化財の復旧

 東日本大震災で被害を受けた公立社会教育・体育・文化施設は3,397施設(公立社会教育施設1,784施設、公立社会体育施設1,318施設、公立文化施設278施設)でした。
 文部科学省では、被災した施設・設備等の早急な使用を可能とするため、復旧に要する経費を平成23年度第1次補正予算及び第3次補正予算に計上しました。また、被害の大きさに鑑み、より広範な補助を可能とするため、補助対象施設に新たに生涯学習センターを追加するなど、復旧のための補助制度の充実を図るとともに、各地方公共団体の負担を軽減し、より迅速な復旧を可能にするため、関係省庁と協議の上、復旧補助金の申請事務手続きの簡素化を図りました。
 平成23年度には補助金を活用して復旧を予定している約1,300の施設のうち、約700の施設について平成23年度中に、復旧が完了しています。復旧計画の作成に時間を要したなどの理由により、平成23年度中に復旧工事が完了しなかった施設については、平成24年度中に復旧工事が完了するよう、引き続き必要な補助を行っていきます。
 また、津波の被害等により、建物が完全に破壊されるなど甚大な被害を受け、平成23年度中には復旧のめどが立たなかった施設についても、今後、本格復旧に向けた地域の復興計画の策定、移転が伴う場合には移転先の確保等の条件が整い、復旧工事が可能になり次第、必要な補助を行っていくこととしています。
 東日本大震災で被害を受けた国指定等文化財は744件でした。
 文化財については、被害状況について都道府県教育委員会を通じて状況の把握に努めるとともに、文化庁の文化財調査官を被災地に派遣し、被災した文化財の状況把握や修理・復旧などについて指導・助言を行いました。
 また、美術工芸品などの動産の文化財を緊急に保全するため、それらの救出、応急措置、博物館などにおける一時保管を行う「文化財レスキュー事業」や、不動産である文化財建造物についても、被災状況調査、応急措置、復旧に向けた技術的支援などを行う「文化財ドクター派遣事業」を展開しました。
 被災した国指定等文化財については、早期の修理・復旧を図るべく、平成23年度当初予算を活用するとともに、23年度第3次補正予算や24年度予算において、文化財の所有者などが実施する修理・復旧事業に対する補助のための経費を計上するなど、必要な措置を講じています。
 復旧・復興事業に伴う埋蔵文化財の取扱いについては、復旧・復興と埋蔵文化財保護の両立を図るため、発掘調査の範囲を限定するなど弾力的な取扱いを認めることや、限られた発掘調査期間の中で発掘調査が完遂できるよう、発掘調査の弾力的な運用に努めることについて、関係教育委員会に対して23年4月、24年4月に通知しました。このような復興のためのまちづくりに必要となる埋蔵文化財発掘調査については、「東日本大震災復興交付金」の基幹事業に含まれており、財政負担の軽減が図られています。また、震災復興に向けた迅速な埋蔵文化財発掘調査に対応するため、全国の都道府県等教育委員会に協力を依頼し、24年4月から埋蔵文化財専門職員を岩手県、宮城県、福島県に派遣しており、今後も復興事業の進捗に応じて、追加の派遣要請などを行っていきます。

文化財レスキュー事業の様子(福島県須賀川市)
文化財レスキュー事業の様子(福島県須賀川市)

第4節 復興に向けた取組-学校からのまちづくり

 今回の大震災は、大変多くの尊い命を奪う戦後最大規模の災害となりました。また、原子力事故も発生し、現在も深刻な事態が継続しています。このような中、被災者に通常の生活を速やかに回復することが喫緊の課題ですが、さらに、今回の大震災からの教訓を基に、将来の日本のあるべき姿を先取りした復興を進めていくことが重要です。
 今回の大震災では、突然やってくる災害に日頃から万全な備えを行うことの大切さが改めて印象づけられました。また、自分や周囲の人々の命を守るために、一人ひとりが、周囲の状況を的確に評価して適切な行動を自ら判断していく力を備えることがいかに大切なことかが示されました。さらに、我々が生きていく上では、コミュニティや社会の他者とつながりを持ちながら支え合う「絆(きずな)」が不可欠であることも、大震災を経験した日本に生きる我々一人ひとりが痛感したことです。
 文部科学省では、大震災からの復興を進めるに当たって、このような問題意識の下に、後述する政府全体の方針を踏まえ、大学や研究機関の知見も活用し、安全安心な社会のための防災対策の強化を行いながら、将来の被災地や日本を支える人材育成やコミュニティづくりなどによる創造的な復興のための取組を進めています。 

1 復興に向けた政府の取組

 政府においては、被災地の住民に未来への明るい希望と勇気を与えるとともに、国民全体が共有でき、豊かで活力ある日本の再生につながる復興構想を早期に取りまとめるため、平成23年4月11日、東日本大震災復興構想会議(議長:五百旗頭真防衛大学校長、神戸大学名誉教授)を設置し、復興構想について幅広く議論を行い、6月25日に「復興への提言~悲惨のなかの希望~」を取りまとめました。この提言では、「大自然災害を完全に封ずることができると想定するのではなく、「減災」の考え方に立って、「地域コミュニティ」と「人と人をつなぐ人材」に注目する必要がある。」との考えに立ち、「減災」と「つなぐ」をキーワードとし、「新しい地域のかたち」「くらしとしごとの再生」「原子力災害からの復興に向けて」「開かれた復興」の四つの観点から、様々な具体策が提示されています。
 特に、文部科学省に関係する分野では、学校等の復旧支援、被災児童生徒等の就学支援、心のケアや学習・生活支援の充実など教育の機会均等と教育水準を確保するための取組についての提言がなされています。また、地域における文化の復興やスポーツ活動の促進のための支援や科学技術を駆使した復興支援の重要性についても提言がなされています。
 さらに、平成23年6月に成立した東日本大震災復興基本法(平成23年法律第76号)に基づく『東日本大震災からの復興の基本方針』(以下、「基本方針」という。)が、7月29日に、東日本大震災復興対策本部にて決定されました。この基本方針では、復興構想会議の提言等を踏まえ、学校等のハード面・ソフト面からの防災機能の強化、就学援助や奨学金等の多様で手厚い就学支援、地域ネットワークづくり支援、復興を支える人材育成、文化・スポーツの振興など、国による復興のための取組の基本的方針が示されています。
 政府においては、この「基本方針」等に基づき、平成23年度で4次にわたる補正予算を措置したほか、12月に成立した「東日本大震災復興特別区域法」により、復興特区制度や東日本大震災復興交付金を創設しました。復興交付金の40基幹事業には、文部科学省関係で4事業が含まれています(公立学校施設整備費国庫負担事業(公立小中学校等の新増築・統合)、学校施設環境改善事業(公立学校の耐震化等)、幼稚園等の複合化・多機能化推進事業、埋蔵文化財発掘調査事業)。
 また、復興に関する国の施策を一体的に推進するため、12月に「復興庁設置法」が成立し、平成24年2月に復興庁が発足しました。

2 学校からのまちづくり

(1)地域コミュニティの拠点である学校を核としたまちづくり

 東日本大震災では、津波等の被害により学校を含めた地域全体が甚大な被害を受けました。こうした状況を踏まえ、文部科学省では、地域コミュニティの拠点として学校施設の復興を進めることで、各地に分散避難している住民が学校周辺に戻ることが可能となり、地域の絆やコミュニティが復活し、ひいては被災地全体の復興につながるとの考えのもと「学校からのまちづくり」を提唱しています。被災した学校を復旧させる際、例えば

  1. 耐震化等による安全性の確保
  2. 備蓄倉庫の整備等による防災拠点としての機能強化
  3. 太陽光パネルの設置等のエコ対策
  4. 社会教育施設等との複合化

という整備の視点・方策を示すとともに国の補助制度を再整理することにより、学校施設の復興を支援しています。

図表1-1-5 学校からのまちづくり

図表1-1-5 学校からのまちづくり

 さらに、「学校からのまちづくり」を推進するため、文部科学省と農林水産省、国土交通省が連携し、被災自治体の取組を総合的に支援していく取組として「学校の復興とまちづくり」を推進しています。三省が連携することにより、

  1. 学校を含む被災地全体の移転、嵩上げによる安全・安心な立地の確保
  2. 学校施設と公益的施設とを複合化することにより、生涯学習や防災機能等の地域コミュニティの拠点の形成
  3. 地域の実情に応じた防災機能・エコ対策の強化

の観点から、三省の施策を組み合わせて被災地の復興を総合的に支援していきます。

図表1-1-6 学校の復興とまちづくり(復興のイメージ)

図表1-1-6 学校の復興とまちづくり(復興のイメージ)

(2)被災地の復興課題に応じた学びを通じた地域の絆の強化

 今後、被災地の自律的な復興に向けて、住民一人一人が主体的に参画することのできる地域コミュニティ再生のための学びの場づくり、コミュニケーションの場づくりを推進することが重要になってきます。
 このため、文部科学省では、平成23年度より「学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業」を実施しています。学校や公民館などの社会教育施設も活用しつつ、学習活動のコーディネートや指導、安全管理などを行う人材により、地域住民の学習・交流を推進するとともに、子どもたちの良質な成育環境を整備しています。
 本事業は24年度も引き続き実施する予定であり、本事業を通じて学びを媒介としたコミュニケーションの活性化や地域の課題解決の取組を支援し、地域コミュニティの再生を図ります。 

コラムNo.09 岩手県での社会教育における復興の取組

 東日本大震災津波の発災以降、県内外の皆様から温かい支援を頂き、復興に向けて歩み始めている岩手県は、平成24年度を「復興元年」と位置付けています。
 社会教育における復興とは、地域課題を自らの力で解決する地域の再興とその推進にあたる人材育成であり、その展開に当たっては、子ども・親・先生・地域・行政の連携により地域の教育課題の解決に取り組む本県独自の教育運動である「教育振興運動」と「学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業」を連携させつつ進めることとしています。
 津波の甚大な被害を受けた陸前高田市では、仮設住宅での避難生活を強いられ、子どもたちの学習環境が保障されていないことから、市教育委員会と一般社団法人によって構成される実行委員会のコーディネートにより、被災した地元学習塾講師の指導の下、1小学校・2中学校の特別教室を会場に、週3回(火曜日・木曜日/19時~21時、日/9時~15時)の学習支援(登録者147名)を行っています。
 単に学習支援にとどまらず、大学生ボランティア等との触れ合いにより心の居場所としての機能を果たすほか、保護者や先生を対象とした被災した子どもとの向き合い方を学び合う研修会を実施(参加者19名)し、不安や悩みを語り合う機会を設けてきました。
 このような地域活動を紹介するチラシの作成のほか、地域活動への参加を促す「教育振興運動」のイメージソングを県民から歌詞を公募して作成し、地域づくりや復興に向けた啓発にも取り組んでいます。

陸前高田市における中学生への学習支援の様子
陸前高田市における中学生への学習支援の様子

イメージソングを作った清心さんの訪問コンサート
イメージソングを作った清心さんの訪問コンサート

(執筆:岩手県教育委員会)

 東日本大震災の被災地では、自治体のみならず、大学やNPO等の多様な主体が積極的に教育支援を行ってきており、その活動が学校教育にも多くの効果をもたらすことが期待されています。文部科学省では、平成23年度第3次補正予算において、震災の教訓を踏まえ、被災地の復興とともに、我が国全体が希望を持って未来に向かって前進していけるようにするための教育を進めることを目的として、復興教育支援事業を実施するための経費を計上しました。本事業により、自治体・大学・NPO等の多様な取組を支援し、今後必要となるカリキュラムや教育プログラムの作成等を支援するとともに、これらの取組成果を全国に広報することにより、被災地以外も含めた我が国全体の新しい教育の在り方の参考にすることとしています。
 なお、本事業については、審査の結果、応募総数95件の中から54件を採択し、様々な取り組みに対して支援を行っています。採択機関等の取組をみると、例えば、いわき市教育委員会では、子どもたちが、グローバルな視点から夢と希望と志をもち、ふるさとの未来を担う人材となるための企画力・問題解決力・実践力を身につけて地域の復興に貢献するために生徒会長サミットを実施し、様々な地区の生徒会長との交流などを行うこととしています。この他、大学やNPO等の多様な主体により、防災教育や心の教育、地域の未来を担う人材の育成に向けたキャリア教育など多彩な復興教育支援の取組が実施される予定です。

コラムNo.10 岩手県山田町立船越小学校との交流

 報道で被災地に本校と同じ名前の「船越小」があることを知り、児童会役員を中心に自分達に何かできることがないか考えて、児童会役員が調べた被災地や山田町立船越小学校の様子を全校児童に知らせ、交流を呼びかけました。
 その様子を受けて、高学年の子ども達は夏休みに玉入れ用の玉とメッセージカードを準備したり、保護者会の日に全校で募金をして、山田町立船越小学校の運動会で使えるように、大玉と大玉の空気入れ、玉入れのかごなどを送りました。
 山田町立船越小学校から、10月に無事運動会を行うことができたというVTRとお礼のお手紙を各学年児童がいただき、相手の存在をより身近に感じることができました。
 その後も電話をかけ合ったり、各学年で送られた名簿の個人あての手紙やビデオレターの作成などを計画・実行するなど、子ども達のアイデアを代表委員と代表者を中心に考案して、相手の負担にならないように決定していくこととしています。
 復興がすすみ、校舎が再建され、みんなが安心して学校生活ができるようになるまで、息の長い交流活動をしていく予定です。

児童集会で呼びかける代表委員
児童集会で呼びかける代表委員

(執筆:静岡県静岡市立清水船越小学校)

 (3)復旧・復興を担う専門人材の育成支援

 東日本大震災により被災した地域では、復旧・復興を担う即戦力となる専門人材の育成・確保が喫緊の課題となっています。
 このため文部科学省では、実践的な職業教育、専門的な技術教育を行う職業教育機関である専修学校の教育機能を活用して、震災により大きく変化した被災地の人材ニーズに対応しつつ、復旧・復興の即戦力となる専門人材の育成と地元への定着を図るための取組として「東日本大震災からの復旧・復興を担う専門人材育成支援事業」を実施しています。
 本事業では、全国の専修学校、大学などの教育機関や産業界など幅広い支援を得て、専修学校が中心となって産学官連携による推進協議会を組織し、新産業創出や地元産業の復旧・復興に必要な職業能力の向上、被災により失業した方を対象とした学び直しの機会などを提供しており、被災地のニーズを踏まえた専門人材の育成支援に努めています。

(実施例)

  1. 自動車組み込み、医療情報事務など、産業界の高度化や医療現場の専門人材に必要な知識・技術の向上を図る短期人材育成コースの試行導入
  2. 食・農林水産業、再生可能エネルギー、放射線工学など、被災地においてニーズが高い分野を対象とした中長期的な人材育成コースの開発・実証
  3. 介護、電気・土木・建築など、現状の被災地においてニーズが高く、供給が不足する分野を対象とした短期専門人材育成コースの開設支援
  4. 被災地における産学連携による合同就職セミナーの開催、就職支援コーディネーターの配置、専修学校等の就職支援体制の充実強化
図表1-1-7 東日本大震災からの復旧・復興人材育成支援事業の取組地域について

図表1-1-7 東日本大震災からの復旧・復興人材育成支援事業の取組地域について

3 大学や研究所等を活用した地域の再生

(1)大学における地域復興のセンター的機能の整備

 文部科学省では、地域の復旧・コミュニティの再生を支える様々なボランティアの組織的実施や医療・教育文化・産業再生・まちづくりなど地域のくらしや産業などを支えるため、被災地の大学等が持つ高度な知的資源を集約した地域の復興を推進する拠点の整備を支援しています(23年度実績:14件)。例えば、被災地にサテライトを設置し地域の産業を再生する取組、被災した児童生徒に対する学習支援活動の展開、災害対応の基礎的知識を有する医師の地域医療機関への派遣などを実施しています。これらの取組により、各地域復興センターにおいて、被災地のニーズに真に応えた復興に貢献しています。

図表1-1-8 平成23年度大学等における地域復興のためのセンター的機能整備事業選定取組一覧

図表1-1-8 平成23年度大学等における地域復興のためのセンター的機能整備事業選定取組一覧

コラムNo.11 「復興大学」-学都仙台コンソーシアムによる東日本大震災復興支援への取組

  「学都仙台コンソーシアム」は、宮城県内の高等教育機関(16大学等、4短期大学、1高等専門学校)と企業・行政が共に手を携え、高め合い、相互に発展の機会を創造していく「知が連携する学都仙台」を目指し、平成18年に設立されました。
 昨年の東日本大震災では、宮城県内の各大学等はボランティアの派遣、医療支援、避難住民の受入れ等それぞれの取組を積極的に実施しました。加えて、コンソーシアムによる復興支援の取組として、以下の4つの事業を推進しています(事業代表校東北工業大学)。この取組は、文部科学省「大学等における地域復興のためのセンター的機能整備事業」の支援を受け、宮城県、仙台市等の自治体及び仙台商工会議所等の関係団体と協力して実施しています。

1.復興人材育成教育推進コース
 県内の学生を対象に、地域の復興支援さらには日本社会全体の新生を担うリーダーとして活躍できる人材を育成するための教育コースを開講します(平成24年5月開校予定)。また、コースのエッセンスを取り入れた一般市民向け公開講座も実施しています(平成23年度:8回開校、349名受講)。

2.教育復興支援
 教育委員会や他県の教員養成系大学等と連携し、学生ボランティアによる児童・生徒への学習支援、授業中や放課後の教員補助等の学校支援等、県内の児童・生徒の確かな学力の定着・向上及び現職教員の支援を実施しています(平成23年度:学習支援実施学校33校、学習支援派遣567名)。

3.地域復興支援ワンストップサービス・プラットフォーム
 地域巡回訪問等の「出前サービス」を実施し現状把握と課題抽出を行い、被災地域企業の復興、地域景観・まちづくり支援等、被災した企業・団体の活動再開に必要とされる支援・サービスを実施しています(平成23年度:相談・訪問件数126件)。

4.災害ボランティアステーション
 被災地域支援活動におけるミスマッチを低減させるため、被災地でのボランティア需要を把握し、県内・外の大学等の活動をつなぐネットワークを構築しています。
 県内の全大学等が総力を結集し、取組を推進することで、東北の復興・新生に寄与することを目指しています。

(2)東北マリンサイエンス拠点の形成

 東北地方太平洋沖においては、東日本大震災の地震・津波により、海洋生態系が劇的に改変しており、漁場の回復及び沿岸地域の産業の復興が課題となっています。
 地元自治体の復興計画においても、水産業や海洋生物等の研究拠点を整備することが謳われており、文部科学省としては、地元の要望に応えるとともに基本方針を踏まえ、大学や研究機関等による復興支援のためのネットワークとして「東北マリンサイエンス拠点」を形成し、海洋生態系の調査研究及び新たな産業の創成につながる技術開発を実施しています。
 具体的には、東北大学、東京大学、海洋研究開発機構を中心に全国の関連研究者が連携して、東北沖の物理・化学的環境と生物動態について、沿岸域から沖合域まで総合的な調査研究を実施するとともに、東北沖の海の資源を有効活用した新しい産業を被災地で育てるために、新規陸上養殖技術や海藻からのバイオエタノール利用技術等、革新的な技術開発を推進しています。

東北マリンサイエンス拠点の形成

(3)東北メディカル・メガバンク計画

 東日本大震災によって、東北地域の医療は深刻な打撃を受けました。東北地域の復興を成し遂げるためには、地域医療をただ復旧するだけでなく、最先端の医療を被災地の住民に提供するための次世代医療体制を構築することが重要です。このことを踏まえ、平成23年6月11日に開催された第9回東日本大震災復興構想会議において、村井宮城県知事が「東北メディカル・メガバンク」の創設を提言し、基本方針において、被災地域の大学等の知見や強みを最大限活用した知と技術革新(イノベーション)の拠点機能形成の具体例として、「東北大学を中心としたメディカル・メガバンク構想」が盛り込まれました。
 これらの動きを踏まえ、文部科学省は、総務省、厚生労働省等の関係省と緊密に連携しながら、東北地域の医療復興と将来的な次世代医療の実現を目指し、東北メディカル・メガバンク計画を実現するための取組を推進しています。具体的には、被災地域を主な対象地域として、大規模なゲノムコホート研究を実施し、医療関係人材の派遣、健康診断の結果の回付等を通じて、被災地の住民の健康増進に貢献するとともに、ゲノムコホート研究によって得られる疾患関連遺伝子等の情報を活用し、個別化医療等の次世代医療を実現、被災地の住民に世界に先駆けて提供することを目指します。また、創薬等の新産業創出を目指した研究開発も実施していきます。

図表1-1-9 「東北メディカルメガバンク」計画について

図表1-1-9 「東北メディカルメガバンク」計画について

(4)産学官連携による東北発科学技術イノベーション創出プロジェクト

 「産学官連携による東北発科学技術イノベーション創出プロジェクト」では、被災地自治体主導の地域の強みを生かした科学技術駆動型の地域発展モデルに対する支援を行うとともに、東北地方の総合経済団体である東北経済連合会と連携のもと、全国の大学等の技術シーズの育成強化、技術シーズの被災地企業への移転促進、目利き人材活用による被災地産学共同研究支援等を総合的に実施することで、全国の大学等の革新的技術シーズを被災地企業において実用化し、被災地復興に貢献します。

4 地域の文化芸術・スポーツ活動の振興を通じた復興の推進

 文部科学省ではスポーツ・レクリエーション活動をとおして、人々の心身の健康を取り戻し、地域コミュニティを再生することを目的とした、「学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業(スポーツ・レクリエーション活動の支援)」を実施しました。
 この事業は、被災3県(岩手、宮城、福島)の各地域において住民のスポーツ活動の担い手として各種スポーツ事業を実施してきた総合型地域スポーツクラブ(以下「総合型クラブ」という。)等にクラブマネージャー、市町村体育協会やレクリエーションスポーツの指導者、その他スポーツに関わりを持つ住民を「地域スポーツコーディネーター」として配置し、地域の住民に対するスポーツ活動を企画・立案し、外部講師や地域ボランティア等の参画を得て、スポーツ・レクリエーション教室などのプログラムを定期的に実施するものです。

岩手県釜石市花露辺地区で実施した健康教室 

花露辺地区健康教室(平成24年1月18日(水曜日)9時30分~12時)
地域スポーツコーディネーター3名、体育協会事務局長、釜石保健センター保健師1名

内容

  • 保健師による健康講話、健康相談
  • 準備体操の後、ダーツゲーム、輪投げゲーム、スカットボール
  • ボール体操

準備体操 スカットボール ダーツゲーム

ボール体操 保健師による健康講話、健康相談

 東日本大震災の影響により、公演や展覧会なども、中止や延期などを余儀なくされました。こうした中、文化庁では、平成23年4月の文化庁長官によるメッセージ「当面の文化芸術活動について」により、文化芸術関係者が文化芸術活動を積極的に行うことで、今後の復興を支えていただきたいと、呼びかけを行いました。
 また、文化庁、地方公共団体、芸術家、芸術団体、文化施設、助成財団、企業、芸術系大学、文化ボランティアなど、様々な立場の団体や個人が集まり、連携しながら、文化芸術活動を通じて被災地の復興を支援する組織として「文化芸術による復興推進コンソーシアム」が24年度に創設されます。
 このコンソーシアムでは、被災地の文化財や文化施設、地域の祭りなどの被害状況や復興の状況、被災地のニーズなどを、現地調査やヒアリングなどを通じて把握し、地域のニーズに即した文化芸術活動の環境づくりにつなげていきます。また、団体や個人の被災地での文化芸術活動を支援するために、ウェブサイトなどを通じて、様々な情報を発信していきます。
 文化芸術の力により、被災地の住民が生きる希望を確認し、日本全体が力強く復興することを目指して、被災地の状況を踏まえながら、今後とも文化芸術による復興に努めていきます。

5 全国的な防災対策の充実・強化

(1)防災教育の充実

 児童生徒等に、災害時に自ら危険を予測し、安全な行動ができる判断力などを身に付けさせる防災教育は、重点を置いて取り組むべき課題です。そのため、文部科学省では、従来から、学校安全参考資料「『生きる力』をはぐくむ学校での安全教育」(平成22年3月改訂)の全国の学校等への配布や学校安全を担当する教員等を対象とした防災教室の実施等により、学校における防災教育の推進に取り組んできました。
 また、今般の東日本大震災を受け、文部科学省では、その教訓を次代を担う子どもたちに伝えるとともに、児童生徒等の危険予測・危険回避能力を高めるための防災教育・防災管理等を見直すため、平成23年7月に「東日本大震災を受けた防災教育・防災管理等に関する有識者会議」を設け、検討を進めています。23年9月に取りまとめられた中間取りまとめの中では、児童生徒等が自らの命を守り抜くための「主体的に行動する態度」の育成、支援者としての視点から安全で安心な社会づくりに貢献する意識を高める防災教育の推進、学校安全の中核となる教職員等への効果的な研修の推進、地域・家庭と連携した実効性のある防災訓練等の実施等の必要性が指摘されています。
 さらに、平成24年1月には、特に被害の大きかった岩手県、宮城県、福島県の全ての学校に対し、東北地方太平洋沖地震及びそれに伴って発生した津波によって受けた被害状況や学校等での避難時の対応等の調査を行いました。その結果、1.「地震」を想定した避難訓練が94%の学校で実施されていたのに対し、津波の浸水が予測されていた学校での「津波」を想定した避難訓練実施率が62%であったこと、2.約8割の学校で災害からの身の守り方についての指導が行われ、約9割の学校で日頃の防災教育が児童生徒等の主体的な避難行動等に活かされたこと、3.地域住民などと日常的に連携がとれていた学校では児童生徒の安全確保や避難所開設・運営、教育活動の早期正常化が円滑に進んだことなどが明らかになりました。
 これらの有識者会議での検討等を踏まえて、平成24年3月には、各学校が地震・津波等から児童生徒等を守るための防災マニュアルを作成する際の参考となるような共通的な留意事項をとりまとめた「学校防災マニュアル(地震・津波)作成の手引き」を作成し、全国の学校等に配布しました。手引きの中では、事前(備える)、発生時(命を守る)、事後(立て直す)の3段階に対応を整理し、例えば、事前には避難訓練の方法、発生時は避難行動の留意点を、事後では児童生徒等の引き渡しに関するルールづくりなどを示しています。
 地震発生から二次災害(津波や火災等)までの間はごく僅かであり、全ての教職員には自校の環境や考えられる二次災害について理解した上で、素早い判断と適切な対応が求められます。そのためには、事前に十分な備えをしておくことが重要です。児童生徒等を学校に留める際の備蓄、津波等からの避難場所や避難経路の安全点検、マニュアルを活用した避難訓練等が必要です。また、児童生徒等には、自ら危険を予測し、回避するために、知識とともに、習得した知識に基づいて的確に判断し、迅速な行動を取ることができる力を身に付けさせなければなりません。その際には、人間の心理特性として、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりする「正常化の偏見」についても注意が必要です。
 また、これらの取組を行うためには、学校内だけでなく地域や行政等も含めた体制整備が不可欠です。学校においては学校安全の中核となる教職員を校務分掌上に明確に位置付けるなどし、全教職員の理解と行動に結びつけなければなりません。その実現に向けて校長には強力なリーダーシップが求められます。
 以上のことから、文部科学省では、平成24年度、全国の学校等における防災対策の充実・強化を図るため、次のような施策を推進していきます。

生きる力』をはぐくむ学校での安全教育 学校防災マニュアル(地震・津波)作成の手引き

1.「実践的防災教育総合支援事業」について

 東日本大震災の教訓を踏まえた新たな防災教育の指導方法や教育手法の開発・普及を行うとともに、緊急地震速報等の防災科学技術を活用した避難訓練等の先進的・実践的な防災教育を行う学校における取組への支援を行います。また、外部有識者を学校に派遣し、「危険等発生時対処要領」や避難訓練などに対するチェック・助言と地域の防災関係機関との連携体制の構築・強化を促していきます。さらに、支援者としての視点から、被災地へのボランティア活動等を通じて、安全で安心な社会づくりに貢献する意識を高める教育手法の開発・普及をしていきます。

図表1-1-10 実践的防災教育総合支援事業

図表1-1-10 実践的防災教育総合支援事業

2.「『生きる力』をはぐくむ防災教育の展開」の改訂について

 各学校における教職員間の共通理解の促進、教職員の資質向上のため、東日本大震災の教訓を踏まえ、防災教育に関する教職員向けの総合的な参考資料である「『生きる力』をはぐくむ防災教育の展開(平成10年)」を改訂し、全国の学校等へ配布して、その活用を促します。

3.「防災教室の推進」等について

 教職員や児童生徒等の防災に対する意識の向上等を図るため、防災教室の講師となる教職員等を対象とした講習会を実施します。また、教員研修センターと連携し、各都道府県において指導的な役割を果たしている小・中・高等学校の教員及び都道府県・市町村教育委員会の防災教育担当指導主事を対象とした研修会を実施します。

コラムNo.12 シンポジウム「東日本大震災と学校-学校運営や教育指導における工夫など-」の開催

コラムNo.12 シンポジウム「東日本大震災と学校-学校運営や教育指導における工夫など-」の開催 コラムNo.12 シンポジウム「東日本大震災と学校-学校運営や教育指導における工夫など-」の開催

 国立教育政策研究所では、平成23年11月24日、全国各地の学校関係者や在日の大使館員などの参加を得て、「東日本大震災と学校-学校運営や教育指導における工夫など-」をテーマとするシンポジウムを開催しました。講演やパネルディスカッションを通して、被災地の学校における実際の取組や関係者の思いなどを国内外に発信するとともに、災害復興に関わる教育政策の在り方などを示すことができました。
 シンポジウムにおいては、宮城県山元町立中浜小学校の井上剛校長から、震災時における津波からの避難の様子や取組、津波の被害を免れた学校との併設による学校運営の現状などが、福島県福島市立佐原小学校の田村良江校長から、福島第一原発の事故の影響で在校生を大幅に上回る児童の転入への対応が紹介されました。また、岩手県宮古市の中屋定基前教育長から、小中学校における地震や津波からの避難状況や避難所になった学校での取組、津波防災対策や防災教育の取組などが、福島県立浪江高等学校の鈴木吉重前校長から、被災直後の対応と学校再開に向けた準備、「サテライト方式」の学校運営などについて紹介されました。さらに、経済協力開発機構(OECD)教育局の田熊美保シニアアナリストから、海外の災害復興において成功したと考えられる支援の取組や支援に当たって配慮すべきことなどについて発表されました。

コラムNo.13 全国生涯学習ネットワークフォーラム2011

 全国生涯学習ネットワークフォーラムは、生涯学習活動の成果を生かした「新しい公共」による社会的課題解決の取組を全国的に推進することを目的として平成23年度から新たに実施しています。平成23年度は、11月5日(土曜日)、6日(日曜日)に文部科学省を会場として開催しました。
 東日本大震災をきっかけとして、被災地だけでなく全国各地において地域社会の絆の重要性が以前にも増して認識されています。このような状況の下、本フォーラムでは、「学びを力とする3.11以降の地域づくり、社会づくり」をテーマとし、「地域の絆づくり」、「防災教育」、「高齢社会」、「ICT教育」、「震災ボランティア」の5つの分科会に分かれて、参加者が自らの取組を報告するとともに、これからの取組のあり方などについて熟議等により参加者間で研究協議しました。
 特に、「防災教育」では、片田敏孝氏(群馬大学教授)が「地域ぐるみの防災教育」をテーマにした基調講演において、避難三原則(想定にとらわれるな、最善を尽くせ、率先避難者たれ)をもとにした防災教育の取組や地域防災の重要性とともに、防災教育を10年続ければ子どもたちは大人になり、更に10年続ければ親になる、親は子どもに引き継いでいくとして、防災文化の継承について提唱されました。これを受けて行われた熟議では、これからの防災教育をどのように進めるかについて、教員や生徒、学生、行政、民間企業、NPOなど様々な立場や地域の人たちが15班に分かれて意見交換を行いました。各班からの報告とまとめでは、学校や地域における防災教育の重要性とともに、その連携や地域防災リーダーの育成などの必要性が確認されました。
 また、フォーラムを通して、関係者間のネットワークづくりが進められ、その後の継続的な活動につなげているなど、人と地域がともに成長していくきっかけともなっています。
 平成24年度は、宮城県、福島県、岩手県の3県で開催する予定です。

「これからの防災教育をどのように進めるか」をテーマとした熟議の様子
「これからの防災教育をどのように進めるか」をテーマとした熟議の様子

(2)学校施設等の防災機能の強化と耐震化

 東日本大震災では、広範な地域において、あらゆる生活基盤に甚大な被害が生じました。このような状況の中で、耐震化されていた学校施設は児童生徒などの命を守っただけではなく、多くの施設が地域住民の応急避難場所として使用されたことから、改めて、その安全性を確保することの重要性が認識されました。

1.防災機能の強化

 東日本大震災を受けて、有識者により取りまとめられた「東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備について」緊急提言(平成23年7月)では、今後の学校施設の整備に当たっては、教育機能のみならず、あらかじめ避難場所として必要な諸機能を備えておくという発想の転換が必要である、と述べられています。しかしながら、国立教育政策研究所文教施設研究センターによる学校施設の防災機能に関する実態調査(平成23年8月公表)によれば、市町村立学校の約9割が避難所に指定されているものの、備蓄倉庫などの整備率が低いなど避難所の指定状況と防災機能の実態が必ずしも整合していない状況が明らかになりました。実際に、東日本大震災においても、応急避難場所として使用される中で、断水や停電によりトイレが使用できなかったことなど主に機能面において避難生活上様々な課題が見られました。
 学校が本来果たすべき役割を果たした上で、地域住民の応急避難場所としての役割も担っていくためには、地域の状況に応じ、学校施設にどの程度の役割を持たせるのか明らかにし教育委員会と防災担当部局が連携しつつ防災機能の強化を進めていく必要があります。

図表1-1-11 避難所に指定されている学校数(岩手、宮城、福島の3県を除く)

図表1-1-11 避難所に指定されている学校数(岩手、宮城、福島の3県を除く)

図表1-1-12 学校の防災関係施設・設備の整備状況

図表1-1-12 学校の防災関係施設・設備の整備状況

 このような状況を踏まえ、文部科学省では、平成24年度から防災機能強化事業を創設し、非構造部材の耐震化(後述)、避難経路や外階段の設置、備蓄倉庫、屋外便所などの整備に加え、自家発電設備の単体整備についても補助対象とし、公立学校施設の防災機能強化を支援していきます。 

図表1-1-13 自家発電設備、避難通路・階段、防災倉庫

図表1-1-13 自家発電設備、避難通路・階段、防災倉庫

 また、私立学校施設についても、東日本大震災においては、地域の避難所や救援活動の拠点となり、学生・生徒や帰宅困難者等の支援を行った学校が多数に上りました。このような教訓を踏まえ、文部科学省では、公立学校施設と同様に平成23年度補正予算から防災機能強化事業を創設し、補助対象の拡大を図るとともに、平成24年1月には「私立学校施設防災機能強化集中支援プラン」を策定し、継続的な支援を行っています。

2.非構造部材を含む学校施設の耐震化

 これまで、学校施設の耐震化については、全国で積極的な取組がなされてきましたが、大規模な地震はいつどこで発生するか分からないことから、一刻も早く全ての学校施設の耐震化を完了することが必要です。東日本大震災の後、学校施設の耐震化を前倒しして実施する地方公共団体や学校法人が出てくるなど、被災地に留まらず全国的に防災対策の機運が高まってきています(参照:第2部第10章第1節1(1))。
 また、学校施設の安全性を確保するためには、構造体の耐震化だけでなく、天井材や外装材などの非構造部材の耐震化も重要です。これまで文部科学省では、平成22年3月に、非構造部材の耐震化の手順、ポイントなどを分かりやすく解説した「学校施設の非構造部材の耐震化ガイドブック」を作成し、地方公共団体などに対し、普及啓発を図ってきましたが、東日本大震災では、多くの学校施設において天井材が落下するなどの被害が見受けられたことから、震災後に、非構造部材の耐震化に関する教職員向けのリーフレットを配布するなど、非構造部材の耐震化の一層の推進に向けた普及・啓発を行っています(参照:http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/shuppan/1291462.htm)。 

図表1-1-14 点検のポイント

図表1-1-14 点検のポイント

 さらに、平成24年3月には、学校施設の非構造部材の耐震化を一層推進していくため「学校施設の非構造部材の耐震対策事例集」(以下、「事例集」)を作成しました。事例集では、天井、照明器具、外壁(外装材)、窓・ガラス、内壁(内装材)、設備器具、テレビ、収納棚、ピアノについて、39事例を紹介するとともに、事例ごとに対策の概要、概算費用、概算工期などを掲載しています。点検の手法などを解説したガイドブックと合わせて活用していただくよう、都道府県教育委員会などに送付しました(参照:http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/bousai/taishin/1318736.htm)。
 今回の震災を踏まえ、今後も非構造部材を含めた学校施設の耐震化や、応急避難場所として使用される際に必要となる防災機能の強化など、児童生徒のみならず地域住民にとっても安全・安心で豊かな学校施設となるよう取り組んでいきます。

図表1-1-15 事例集における紹介事例

図表1-1-15 事例集における紹介事例

(3)地震・津波等の観測・監視・予測体制の強化

 津波警報は、迅速性を確保するため、海域で発生した地震の位置と規模を主に陸域の観測網を用いて推定し、予め計算しておいた数値シミュレーション結果のデータベース等を活用して発表されます。
 阪神・淡路大震災以降、陸域の観測網については、関係機関により整備が進められてきましたが、海域の観測網については、陸域と比べて観測点数が非常に少ない状況にあります。陸域の観測網と違い、海域の観測網を用いて地震波を捉えることで津波警報の迅速な発表が可能となる他、海域で津波を直接観測することで、より精度の高い警報の更新等が可能となり、周辺住民等の適切な避難行動や災害対応に資することが期待されます。また、海域の観測網によって得られたデータは、海域における地震・津波の発生メカニズムの解明に役立ち、将来発生し得る地震・津波の正確な像の把握に貢献することも期待されます。
 これを踏まえ、文部科学省では、東南海・南海地震の想定震源域及び房総沖から根室沖にかけての領域に、地震計と津波計を備えた海底観測網を整備することとしています。東南海地震の想定震源域においては、地震・津波観測監視システム(DONET)の整備を進めてきたところですが、近い将来、発生が懸念されている東海・東南海・南海地震に迅速に対応するため、この整備を加速する方針です。さらに、今後も大きな余震や津波が発生するおそれがある東北地方太平洋沖地震の震源域周辺においても、海底地震・津波観測網(図表1-1-16)の整備を実施しています。

図表1-1-16 日本海溝海底地震・津波観測網

図表1-1-16 日本海溝海底地震・津波観測網

第5節 原子力発電所事故への対応-放射線から子どもたちを守る

1 原子力発電所事故への政府全体の対応

 東北地方太平洋沖地震の発生により、東京電力株式会社福島第一原子力発電所で運転中であった1~3号機の原子炉は自動停止するとともに、すべての外部電源を喪失しました。非常用発電機も津波の影響により停止し、全交流電源を喪失しました。その後、1~3号機は原子炉の冷却機能を失い、炉心溶融や水素爆発に至り、大量の放射性物質を環境中に放出することとなりました。
 政府は平成23年3月11日に発生した東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故について、原子力緊急事態に係る緊急事態応急対策を推進するため、原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号)に基づき、原子力災害対策本部(本部長:内閣総理大臣)を3月11日に設置し、様々な対策を行ってきました。同年3月11日夜に原子力災害対策特別措置法に基づく最初の避難指示を行って以降、事態の深刻化に合わせて避難範囲の拡大を行い、同年4月下旬以降は、警戒区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域、特定避難勧奨地点が設定され、運用されてきました。
 事態収束に向けた取組として、平成23年4月17日に東京電力が「東京電力福島第一原子力発電所・事故収束に向けた道筋」を公表しました。また同年5月17日に原子力災害対策本部が「原子力被災者への対応に関する当面の取組方針」及び「原子力被災者の対応に関する当面の取組のロードマップ」を公表し、同発電所事故の事態収束に向けた取組方針を示すとともに、同年8月9日に「避難区域等の見直しに関する考え方」を取りまとめ、以降、同考え方に基づき、避難区域等の見直しが進められました。
 その結果、平成23年7月19日に原子力災害対策本部は、「東京電力福島第一原子力発電所・事故収束に向けた道筋」の「ステップ1」の完了を確認し、原子力安全委員会の助言も踏まえて、同年9月30日に緊急時避難準備区域の解除が行われました。
 原子力災害対策本部は、平成23年12月16日には「東京電力福島第一原子力発電所・事故収束にむけた道筋」の「ステップ2」の完了(冷温停止状態)を確認し、その結果を踏まえて同年12月26日に「ステップ2完了を受けた警戒区域及び避難指示区域の見直しに関する基本的考え方及び今後の検討課題について」を決定し、今後の対応方針及び検討課題をとりまとめたところであり、避難区域の見直し及び住民の帰還に向けた取組を政府一丸となって進めているところです。

2 放射線モニタリングの実施

 国は、東京電力福島第一原子力発電所の事故(以下、「事故」という。)に係る放射線モニタリングを確実かつ計画的に実施することを目的として、関係府省、福島県等により構成されるモニタリング調整会議(※5)を平成23年7月に設置し、平成23年度に4回開催しました。本会議においては、放射線モニタリングに関する情報集約、測定及び分析等の実施に関する関係機関の役割分担を定め、関係機関が実施する放射線モニタリングの内容をまとめた「総合モニタリング計画」を同年8月2日に決定し、平成24年3月15日に避難指示区域の見直しなどの新たな課題を踏まえて、必要な改定を行い、4月1日にも、食品モニタリングに係る一部改訂を行いました。文部科学省は、本会議の事務局を担うとともに、関係機関の行ったモニタリング情報について、集約、整理し、文部科学省のウェブサイトにおいて公表しています(http://radioactivity.mext.go.jp/ja/)。
 文部科学省では、事故発生直後から、東京電力株式会社福島第一原子力発電所周辺の陸域・海域における緊急時モニタリングを、日本原子力研究開発機構が所有するモニタリングカーや海洋研究開発機構が所有する調査船「よこすか」等も活用して実施するとともに、航空機モニタリングを宇宙航空研究開発機構が運用する気象観測用の小型機やアメリカ合衆国エネルギー省が所有する航空機及び測定器等も活用して実施しました。また、事故に伴い放出された放射性物質の分布状況を詳細に把握するため、全国の大学、研究所に在籍している多くの専門家の参画を得て、「放射線量等分布マップ」の作成や、東京電力株式会社福島第一原子力発電所周辺の環境における放射性物質の移行状況調査を実施しています。


※5 共同議長
(第1回及び第2回)細野豪志内閣府特命担当大臣、近藤昭一環境副大臣、園田康博内閣府大臣政務官、林久美子文部科学大臣政務官、(第3回)細野豪志環境大臣、中塚一宏内閣府副大臣、園田康博内閣府大臣政務官、神本美恵子文部科学大臣政務官、高山智司環境大臣政務官、(第4回)細野豪志環境大臣、松下忠洋内閣府副大臣、園田康博内閣府大臣政務官、神本美恵子
文部科学大臣政務官、高山智司環境大臣政務官
事務局:文部科学省 

図表1-1-17 セシウム134の土壌濃度マップ

図表1-1-17 セシウム134の土壌濃度マップ

 また、福島県内においては、学校安全の判断材料や住民被ばく線量の推計等に利用するため、学校等における網羅的な線量測定を実施する簡易型積算線量計(約1,800個)の配布やリアルタイム線量測定システム(2,700台)の整備、福島県内の全市町村及び隣県への可搬型モニタリングポスト(計675台)の整備、福島県内の全市町村へのサーベイメータの配布等を実施しました。
 さらに、全国における放射能調査体制の強化のため、各都道府県において固定型モニタリングポストの増設(約250基)や環境試料分析装置(ゲルマニウム半導体検出器)等の整備を行いました。加えて、福島県西部を含む、東日本全域(1群21県)における広域の、航空機モニタリングを平成23年6月から11月にかけて実施しました。また、平成24年1月以降、西日本、北海道についても順次、航空機モニタリングを進めています。

図表1-1-18 第4次航空機モニタリングの測定結果を反映した東日本全域の地表面から1m高さの空間線量率

図表1-1-18 第4次航空機モニタリングの測定結果を反映した東日本全域の地表面から1m高さの空間線量率

 また、文部科学省は、前述の福島県及び全国に設置したリアルタイム線量測定システム及びモニタリングポストによる空間線量率の測定値及びグラフを、文部科学省のウェブサイトにおいてリアルタイムに表示しています。
 また、事故発生直後は、日本マイクロソフト社の協力により、各都道府県の空間線量率の測定結果についてグラフ化するなど、分かりやすい公開を行いました。
 東京電力株式会社福島第一原子力発電所周辺地域の環境回復、子どもの健康や国民の安全・安心の確保に貢献するため、文部科学省としては、今後とも、放射線モニタリングに取り組むこととしています。

コラムNo.14 事故発生直後の放射線モニタリングデータのウェブ上での情報発信

 放射線モニタリングデータについては、事故発生直後の3月15日から文部科学省ウェブサイトにおいて掲載を開始しましたが、国民のみならず世界各国からの関心も高く、これによりアクセスが集中してサーバーがダウンする可能性がありました。
 こうした中、ウェブサイト運営会社等の協力により同3月15日以降、各種ウェブサイトからのデータ情報提供が始まり、アクセスを分散させることができました。また、外国語(英語、中国語、韓国語)によるデータ情報提供に当たっては、学生の翻訳ボランティアに協力いただきました。
 文部科学省では、事故発生直後の危機的状況下において献身的な活動により放射線モニタリングデータの情報提供に協力いただいた皆様に、文部科学副大臣から感謝状を贈呈しました。

放射線モニタリングデータのウェブ上での情報発信状況

平成23年3月11日
 東日本大震災発生

3月15日
 文部科学省ウェブサイトに放射線モニタリングデータを掲載開始

同日
 下記ウェブサイトでの情報提供開始
 http://eq.yahoo.co.jp/(ヤフー)
 http://eq.sakura.ne.jp/(さくらインターネット)
 http://eq.wide.ad.jp/(WIDEプロジェクト)

3月24日
 http://radiation.goo.ne.jp/(グー)での情報提供開始

4月4日
 http://eastjapaneq.jp.msn.com/housyanou/(日本マイクロソフト)での情報提供開始

4月6日
 文部科学省携帯電話サイトでの情報提供開始(日本マイクロソフト協力)

感謝状の贈呈先
 WIDEプロジェクト、ヤフー株式会社、さくらインターネット株式会社、日本マイクロソフト株式会社、アマゾンデータサービスジャパン株式会社、日本IBM株式会社、エヌ・ティ・ティ・スマートコネクト株式会社、アクセリア株式会社、株式会社ブロードバンドタワー、株式会社ケイ・オプティコム、NTTレゾナント株式会社、Volunteer Students of Keio University, Volunteer Students of University of Tokyo, Volunteer Students of SOI Asia partner-Universiti Sains Malaysia, Volunteer Students of SOI Asia partner-Prince of Songhkla University, Thailand, Volunteer Students of SOI Asia partner-Bangladesh University of Engineering and Technology, Volunteer Students of SOI Asia partner-Brawijaya University, Indonesia

3 健康管理への支援

 原子力発電所事故の発生以来、福島県においては、住民のスクリーニング(放射線被ばく・汚染の検査)や発電所内の作業従事者の被ばくや汚染に対応するための医療体制作りなどが行われてきましたが、これには多くの医師や看護師、放射線技師等による支援が必要不可欠でした。このため、文部科学省では、放射線医学総合研究所緊急被ばく医療研究センターで被ばくした作業従事者の受入れを行うとともに、福島県と連携をとりつつ、震災直後から広島大学や長崎大学をはじめとした多くの大学や日本原子力研究開発機構、放射線医学総合研究所等の関係機関から専門家を派遣するなど積極的な支援を行ってきました(平成24年3月22日現在、延べ3,880名の専門家が現地入り)。
 現地に派遣された専門家は、県の保健所に来訪した住民や警戒区域へ一時立入した住民等のスクリーニングや健康相談に協力しています。
 また、平成23年5月に、福島県は県民健康管理調査を実施することを表明しましたが、これに対し政府は平成23年度第2次補正予算において、必要な事業を中長期的に実施できるように、福島県が創設した「福島県民健康管理基金」に782億円の交付金を拠出し、全面的に福島県を支援しています。また、広島大学と長崎大学が福島県立医科大学と包括連携協定を締結し、大学を拠点とした継続的な支援体制を構築しています。さらにまた、技術面でも放射線医学総合研究所による外部被ばく線量推計システムの開発など、福島県を支援しています。福島県は、福島県立医科大学を中核的な実施機関としてこれらの支援を得て県民健康管理調査を開始し、24年1月に約1万4,000名に対し甲状腺超音波検査を実施したことを公表し、また、同年2月に約1万5,000名の内部被ばく検査の結果を公表するとともに、さらに、同年2月には約1万名の外部被ばくによる累積線量の推計結果を公表しています。

4 児童生徒が学校等において受ける線量低減の取組等

(1)校舎・校庭等の除染

 文部科学省では、平成23年4月19日、内閣府の原子力安全委員会の助言を踏まえた原子力災害対策本部の見解を受け、「福島県内の学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」(※6)(生涯学習政策局長、初等中等教育局長、科学技術・学術政策局長、スポーツ・青少年局長通知)を、福島県教育委員会等に発出しました。また、児童生徒等の受ける線量を確認するため、校庭等における継続的な放射線モニタリングを実施するとともに、積算線量計を児童生徒の行動を代表するような教職員に着用してもらい、継続的に実際の放射線量を確認しています。
 また、学校等における空間線量率の低減策を検討するため、日本原子力研究開発機構が福島大学附属中学校及び幼稚園において校庭の土壌対策に関する実地調査を実施し、その結果について、文部科学省より原子力安全委員会へ報告するとともに、各学校での空間線量率低減策の参考となるように、5月11日、福島県教育委員会等に対して周知しました。
 5月27日には、「福島県内における児童生徒等が学校等において受ける線量低減に向けた当面の対応について」を発表し、1.福島県内の全ての小・中学校等に対し積算線量計を配布しモニタリングを実施、2.今年度、学校において児童生徒等が受ける線量について、当面、年間1ミリシーベルト以下を目指す、3.校庭・園庭の空間線量率が毎時1マイクロシーベルト以上の学校について設置者の希望に応じて土壌対策に関する財政的支援を実施すること、を示しました。
 さらに、放射線防護と児童生徒の日常生活並びに心身の健康や発達等に関して様々な観点から検討・整理し、学校や家庭等に対して、科学的かつ総合的な情報を分かりやすく提供するため、5月31日、6月16日、7月6日の計3回、専門家からのヒアリングを実施しています。
 6月16日には、「福島県内の学校の屋外プールの利用について」(事務連絡)において、学校の屋外プールの利用に当たっては、飲料水の暫定規制値の見直しの結果を踏まえる必要があるが、一方で、最近の福島県の水道水中の放射性物質は不検出となっており、児童生徒等がプールの水から受ける線量は極めて低いこと、モニタリングの結果、放射性物質が確認された場合は、文部科学省において児童生徒等の受ける線量を推計することなどを示しました(※7)。
 6月20日には、福島県外においても、校庭・園庭の空間線量率が毎時1マイクロシーベルト以上の学校について、設置者の希望に応じ、福島県と同様に土壌対策に関する財政的支援を実施することとしました。
 そして、8月26日には、「福島県内の学校の校舎・校庭等の線量低減について」(生涯学習政策局長、初等中等教育局長、科学技術・学術政策局長、スポーツ・青少年局長通知)において、学校において児童生徒等が受ける線量について原則年間1ミリシーベルト以下とするとともに、校庭・園庭の空間線量率については、これを達成するため毎時1マイクロシーベルト未満を目安とすること、局所的に線量の高い場所の把握と除染を進めることなどを示しました。
 また、文部科学省は、日本原子力研究開発機構の協力の下、学校等、子どもの生活環境の除染が優先的に行われるよう、福島県内の市町村からの除染方法や除染に関する専門家の派遣について相談を受け付けるための窓口を設置するとともに、現地での除染にあたるチームに専門家を派遣し、除染に関する技術指導や講習会の開催に取り組んでいます。
 これらの取組により、避難区域以外のほぼ全校で毎時1マイクロシーベルト未満まで低下しており、実際に児童生徒等が学校で受ける放射線量の推計値も低い水準となっています。


※6 本通知では、以下の考え方を示している。
 ICRP(国際放射線防護委員会)の「非常事態が収束した後の一般公衆における参考レベル」である年間1~20ミリシーベルトを校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安として設定し、今後できる限り、児童生徒等の受ける線量を減らしていくこととしている。具体的には、校庭等の空間線量率が、毎時3.8マイクロシーベルト以上の場合には、校庭・園庭での活動を1日当たり1時間程度にするなど、学校内外での屋外活動をなるべく制限すること等が適当であるとしている。

※7 厚生労働省において水道水中の放射性物質についての新たな管理目標値が設定されたことを踏まえ、平成24年4月10日、福島県教育委員会等に対し事務連絡を発出し、1.新たな目標値で管理されている水道水を学校の屋外プールで利用することは問題ないこと、2.地域の実情に応じてプール水のモニタリングを行うことなどを示しました。

コラムNo.15 「チルドレンファースト」活動について

コラムNo.15 「チルドレンファースト」活動について

 独立行政法人日本原子力研究開発機構(JAEA)は、平成23年8月26日に原子力災害対策本部が決定した「除染に関する緊急実施基本方針」における子どもの生活空間の線量低減化に優先して取り組む「チルドレンファースト」の考え方に基づき、文部科学省に協力して、学校等が行う除染活動に放射線や除染の専門家を派遣し、技術的な助言や指導等を行っています。学校の先生や保護者、地域の住民の方々が協力して子供の生活環境の放射線量低減に向けた活動を行うことは、安心の醸成や地域コミュニティーの再生にもつながる重要な取り組みであり、それにJAEAも協力し一緒に取り組んでいこうというものです。
 最初のチルドレンファーストの対応は、平成23年12月3日の旧緊急時避難準備区域にある南相馬市の太田小学校での校舎及び周辺の除染作業で、PTAや地域住民のボランティアの方々約130名が参加しました。JAEAの専門家が「大掃除の要領で高い所から低い所へ」「埃が飛び散らないように一方向にふき取って」「埃を吸い込まないよう必ずマスクをして」等の除染のポイントを説明した後、参加者全員で教室の壁や床、ガラス窓の拭き取り、校舎外側の落ち葉の回収や高圧洗浄機による除染作業を行いました。参加した方々は「子どもたちが帰って来ないと地域は元気を取り戻せない」「孫たちが安心して勉強のできる環境を作りたい」という思いで真剣に作業を行っていました。校長先生は「専門家の助言で安心して取り組めた。」と述べられていました。この学校の生徒は、それまで市内の別の小学校で授業を受けていましたが、この除染作業が学校の再開につながりました。
 この他、小・中学校や保育所の遊具除染指導、通学路等の除染方法の講習会開催、プール除染の助言等を実施してきました。特に遊具に関しては、事故後、使用を制限している学校等が多く、除染を行い早く安心して使用させたいとの思いから指導・助言の依頼がありました。遊具では主に錆びている箇所にセシウムが付着しているため、錆を落とすことが除染として有効なことを説明し、学校の先生や保護者の方々と共に錆をまき散らさないよう注意しながら鉄棒やジャングルジム等の遊具のサンドペーパーがけをしました。作業前後に遊具のサーベイをして汚染のレベルを1/2~1/3まで低減できたことを示すと、子どもたちのために熱心に作業されたことと相まって、納得感や遊具使用に対する安心感をもっていただけたようです。
 今後もチルドレンファーストの方針の下、福島県内の子どもたちが安心して校庭や園庭で活動できるようにすることで健康な体と健全な精神の育成に少しでも役立つよう取り組んでいきます。

除染作業風景
除染作業風景

遊具(鉄棒)の錆おとし
遊具(鉄棒)の錆おとし

ガラス窓の拭き取り
ガラス窓の拭き取り

(2)学校給食の安全・安心の確保

 被災地の学校等における平成23年度からの学校給食の実施については、施設設備の洗浄及び消毒などの衛生管理や栄養バランスの確保などの栄養管理等に留意しながら、調達可能な物資等の実情に応じて、できる限り給食を提供できるよう教育委員会等に対して要請しました。
 学校給食施設の復旧については、平成23年度第1次補正予算で、学校施設の災害復旧事業により支援を行っています。
 平成23年度第1次補正予算において、被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金を創設し、これにより各県が基金を設けて、学校給食費や、おかず等の現物給付に係る経費を支出できるようにしました。
 また、学校給食の安全確保について、出荷制限等の情報に留意することや、保護者等からの問合せに対応するなど必要な情報提供に配慮することなどを教育委員会に要請しました。さらに、放射性物質に汚染された稲わらを与えていた可能性のある牛による肉を給食で使用していたかについての確認と、使用していた場合の報告を求めました。
 加えて、食品の安全については、規制値を超えるものが出回らないよう、出荷段階で検査が行われ、出荷制限等の措置が取られることとなっていることを前提としつつ、より一層の安全、安心の観点から、これらの検査体制に加え、学校給食の検査に関する事業を実施しました。
 なお、平成23年度第3次補正予算により、学校給食の提供前に食材の検査を行うための機器整備について支援を行いました。
 また、平成24年度予算において、給食一食全体について、提供後に検査を行い、放射性物質がどの程度含まれているかいないかを継続的に把握する「学校給食モニタリング事業」を実施することとしています。

5 放射線、原子力に対する理解を深めるための取組

(1)学校における放射線等に関する教育

 今回の事故の教訓を将来に活かすためにも、児童生徒に対し、客観的な知識や多様な意見を学び、それに基づき自ら考え、判断する力を身に付けさせる教育を進めていく必要があります。
 学校教育においては、平成20年3月に小・中学校、平成21年3月には高等学校の学習指導要領が改訂され、社会科や理科等の教科において、原子力やエネルギー、放射線等に関する内容の充実が図られました。例えば、新しい中学校学習指導要領の理科において、「放射線の性質と利用」について新たに示され、23年度から実施されています。
 これを踏まえ、文部科学省では、全国の都道府県が学習指導要領の趣旨に沿って主体的に実施する原子力を含めたエネルギーや放射線等に関する教育の取組への支援として、副教材の購入、施設の見学、講習・講演会の実施、その他指導方法の検討や実践事例の調査等に必要となる経費を交付しており、今回の事故後、放射線等への関心が高まっていることから、改めて放射線等に関する教育の取組への当該支援の活用を促しています。
 また、放射線等に関する教育の取組の充実を図る事業の実施による支援として、簡易放射線測定器「はかるくん」の貸出の他、「放射線等に関する副読本」の作成・提供などを実施しています。

(2)放射線、原子力に関する理解を深めるための活動(リスクコミュニケーション等)放射線医学総合研究所では、福島県内外において、地方自治体等のご要望に応じて、講演会や研修会等へ専門家の派遣を行い、住民の方々や地方自治体職員の方々等に対し、放射線による健康影響等について説明を実施しています。
 また、日本原子力研究開発機構では、放射線に関する福島県内の住民の不安の高まりに対応するため、学校の教職員関係者等の要請に基づき、原子力の身近な専門家として放射線や健康への影響等に関する情報提供や住民とのコミュニケーション活動(放射線に関するご質問に答える会)を継続的に実施しています(23年度内で計169回実施)。

「放射線に関するご質問に答える会」の様子
「放射線に関するご質問に答える会」の様子

6 福島の復興・再生に向けた研究開発拠点の整備

 福島県の復興・再生に向けて、福島県が放射線に係る研究開発拠点の整備等の取組を行うために、文部科学省では、福島県に設置された福島県原子力災害等復興基金に対し、補助を実施しています。
 具体的取組としては、1.放射線医学・最先端診断に係る研究開発拠点として、福島県民の健康維持・増進に資するため、福島県内に放射性薬剤を用いた最先端診断の研究開発拠点の整備2.今回の事故により放出された放射性物質の生態系を通じた人々への影響を解明するとともに、その低減策を提示することで住民等の不安解消に資する取組3.放射性物質で汚染された環境を早期に回復するとともに、将来にわたり安心して暮らせる地域の創造を目指し、福島県が環境回復・創造技術の調査・研究、除染や放射線に関する情報発信等を行うための拠点として、福島県環境創造センター(仮称)の整備4.福島県立医科大学を中心とした、染色体の状況を迅速かつ高精度に測定ができ、かつ自動判定を可能とする被ばく線量モニターの開発が想定されます。
 以上の取組は、県が基金を活用して実施するものですが、国としても、毎年度の事業計画の進捗等を踏まえつつ、県の取組に適切に協力・連携していくこととしています。

7 放射線安全・緊急被ばく医療研究の強化

 放射線医学総合研究所においては、従来の放射線安全研究及び緊急被ばく医療研究に加え、今回の事故を踏まえた取組を行っています。具体的には、放射線による長期的な被ばく影響を評価しその低減方策を提示するため、長期被ばくのメカニズム解明等に向けた研究を強化します。また、復旧作業員等の健康追跡調査や、緊急被ばく医療研究の推進及び人材育成に向けた取組を行います。

8 除染や廃炉などの、原子力災害を踏まえた研究開発・人材育成の取組

(1)除染技術の確立に向けた取組

 東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性物質に汚染された環境の早期回復を目指して、文部科学省では、より効果的・効率的な除染技術の確立に向けた取組を実施しています。
 具体的には、日本原子力研究開発機構において、福島県など地方公共団体、国内外の大学・研究機関、民間企業などと連携・協力しながら除染の技術開発・評価・実証等を実施しています。これまでに、吸着材や天然鉱物等を用いた土壌・河川・プール水の除染技術を開発するとともに、汚染土壌等の除染により、空間線量率がどのように低減するかを評価できるソフトウェアを開発し一般に公表するなどの取組を行いました。
 今後も関係機関と連携の上、除染技術の確立に向けた取組を実施していきます。

(2)廃炉に関する研究開発

 今回の廃止措置に向けて、今後、中長期にわたって必要な研究開発を着実に進めていくことが重要です。平成23年12月に、原子力委員会の下に設置された「東京電力株式会社福島第一原子力発電所における中長期措置検討専門部会」において、廃止措置に必要な研究開発課題が整理されました。これを踏まえ、現在、政府・東電中長期対策会議の下に設置された研究開発推進本部において、文部科学省を含む政府・東京電力・日本原子力研究開発機構・メーカー等の関係機関が連携・協力し、必要な研究開発を進めています。
 日本原子力研究開発機構においては、これまでに、東京電力やメーカー等と連携・協力し、汚染水処理に伴う二次廃棄物の長期保管や廃棄体化に向けた性状把握、模擬の燃料デブリ(※8)を用いた化学的・物理的特性データの取得及び放射線・海水環境下での材料腐食挙動の評価等の取組を進めています。


※8 核燃料棒が事故等で破損・溶融し、固形、破片、粒子状になったもの

(3)原子力災害を踏まえた原子力基礎基盤研究・人材育成の取組の推進

 原子力の基盤と安全を支える、基礎基盤研究や原子力人材育成の取組を推進することは重要であり、文部科学省では、大学や研究機関等から提案を募り、新たな知見の創出や、人材育成の取組を支援しています。平成23年度は、今回の事故を踏まえた取組を支援するとともに、平成24年度からも、原子力安全の一層の高度化や事故を受けて新たに顕在化した課題の解決に向けた大学等の取組を重点的に支援・推進していくこととしています。

超高圧水洗浄技術の実証試験(福島大学キャンパスにて)
超高圧水洗浄技術の実証試験(福島大学キャンパスにて)

9 原子力損害賠償への対応

 今回の事故発生以降、多くの住民が避難生活や、生産及び営業を含めた事業活動の断念などを余儀なくされており、被害者の方々が一日でも早く安心で安全な生活を取り戻せるよう、迅速・公正・適正な救済が必要です。
 文部科学省では、今回の事故に関して、原子力損害の賠償を円滑に進められるよう、原子力損害の範囲など当事者による自主的な解決に資する一般的な指針の策定等の業務を行うため、原子力損害の賠償に関する法律に基づき平成23年4月11日より「原子力損害賠償紛争審査会」を設置しています。
 同審査会においては、迅速な被害者救済の観点から、賠償すべき損害として一定の類型化が可能な損害項目やその範囲等を示した指針を順次策定しており、これまで「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する第一次指針」(平成23年4月28日)、同第二次指針(同年5月31日)、同第二次指針追補(同年6月20日)、同中間指針(同年8月5日)、同中間指針第一次追補(自主的避難等に係る損害について)(同年12月6日)、同中間指針第二次追補(政府による避難区域等の見直し等に係る損害について)(平成24年3月16日)を策定しました。また、法務省や法曹界の協力を得て、平成23年8月に「原子力損害賠償紛争解決センター」を東京都港区と福島県郡山市に設置し、東京電力と被害者の和解の仲介の体制を整備し、仲介を実施しています。
 平成23年度第2次補正予算においては、東京電力による迅速な賠償の実施のため、国と東京電力との間に結ばれていた原子力損害賠償補償契約に基づいて、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の補償金1,200億円が平成23年11月に国から東京電力に支払われました。
 このほか、政府として、1.被害者への迅速かつ適切な損害賠償のための万全の措置、2.東京電力株式会社福島第一原子力発電所の状態の安定化・事故処理に関係する事業者等への悪影響の回避、3.電力の安定供給の3つを確保し、かつ国民負担の極小化を図ることを基本として損害賠償に関する支援を行うため、「原子力損害賠償支援機構法」に基づき、原子力損害賠償支援機構を設置しました。
 また、平成23年7月29日には、原子力事故による被害者を早期に救済するための緊急措置として「平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律」が成立したことを受け、福島県、茨城県、栃木県、群馬県において観光業を営む中小企業者に対しての国による仮払いの受付を、同年9月21日に開始し、緊急措置としての仮払いを実施しました。

第6節 人づくりから始まる創造的復興に向けて

1 東日本大震災の復旧・復興に関する取組についての検証

 文部科学省では東日本大震災発生以来、復旧・復興のために上述のような取組を進めてきましたが、震災から半年以上が経過した時点で、これらの取組の課題・教訓等を整理し、今後の危機管理等の取組に活用するため、平成23年10月に省内に検証チームを設置し、文部科学省の取組に関する検証を始めました。
 検証に当たっては、文部科学省の取組を、1.緊急時対応体制、2.被災地・被災者への緊急支援、3.学校における教育活動等への支援、4.教育施設の復旧・復興への支援、5.科学技術分野の支援、6.文化・スポーツ分野の支援、7.原子力災害への対応、の7つの項目に分けて、各部局に自己検証を促すとともに、省内の全職員から意見募集を実施し、平成23年12月に第一次報告書をまとめました。
 同報告書では、文部科学省所管の各分野における取組や課題、教訓を整理・検証して全体で132の教訓を導出するとともに、特に文部科学省の緊急時対応体制について検証し、文部科学省防災業務計画や業務継続計画等の改定、原子力事故・災害時対応マニュアルの改定など10の提言を行いました。
 さらに、第一次報告書に記載された内容について、その後の取組をとりまとめるとともに、SPEEDIの計算結果の活用・公表や環境放射線モニタリング情報の収集・分析・公表の在り方、学校給食や学校の校舎・校庭等の利用判断における考え方など学校における放射線への対応、学校が避難所となった際の対応の在り方、の特定検証テーマについて検証を行うとともに、今後の改善策として、SPEEDIについて仮に放出源情報が得られない場合にあっても避難の参考として活用されるための計算及び公表の方法等について検討すべきであることや、学校の校舎・校庭等の利用について放射線影響に関する科学的知見を収集し、保護者等へのわかりやすい情報提供を図ることなどの提言を第二次報告書としてとりまとめています。
 また、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故については、政府の「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」(委員長:畑村洋太郎東京大学名誉教授、工学院大学教授)の中間報告が昨年12月に取りまとめられ、引き続き、その調査・検証が行われるとともに、国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」(委員長:黒川清東京大学名誉教授、元日本学術会議会長)の調査・検証が行われているところです。
 文部科学省としては、これらの検証結果を真摯に受け止め、そこで得られた教訓を今後の危機管理等の取組に活かしていきたいと考えています。

2 人づくりから始まる創造的復興に向けて

(1)特に取り組むべき課題

 東日本大震災以降、地震や津波の被害を受けたり、原子力災害対策特別措置法による警戒区域・居住制限区域等に指定されたりした地域に住んでいた子どもたちの多くが、避難生活や転校などを経験しました。平成24年6月現在においてもなお、家族や友人と離れての不自由で不便な生活を余儀なくされ、元のような生活を取り戻せず不安の中で毎日を送る子どもたちが多くいます。
 文部科学省では、こうした子どもたちが少しでも早く「日常」の生活を取り戻し、安心して過ごすことができるよう、引き続き、学校の校舎・校庭等の除染や学校施設の復旧等を通じた子どもたちの学びの場の整備に取り組んでいきます。また、健康管理への支援や、心のケアや学習支援、自然体験活動や文化芸術・スポーツ活動の機会の提供等を通じて、不安やストレス、心の傷を抱える子どもたちを支えるとともに、子どもたちが安心して学び、健やかな生活を送ることができるよう、取組を進めていきます。

(2)東日本大震災の教訓を踏まえた人づくり

 今回の大震災の教訓は、防災対策などに止まらず、従来の社会の在り方や人の考え方など幅広い問題に及ぶものです。文部科学行政との関わりでは、大震災の経験は、未曽有の震災という非常に困難な状況に追い込まれた時に必要となるのが、一人ひとりが直面する状況の中で何をなすべきか自ら考え判断し行動する力、困難に立ち向かうために周りの人々と知恵と力を合わせて協力し合う力、そしてそのような困難に直面する人々を支えようとする絆(きずな)であることを問い掛けるものでした。このような教訓は、文部科学行政全体を横断する視点として、世代を通じて伝えていく必要があります。
 文部科学大臣からも、震災直後の平成23年4月に内閣総理大臣とともにメッセージを発出したのに続き、平成24年4月に、新学期に当たり、これからの被災地や我が国の将来を築いていく子どもたちや学校関係者に向けて、仲間と共に学び、他者のために働ける人となることを期待する旨のメッセージを発表しました。
 中央教育審議会においては、被災地の教育関係者からのヒアリングなどを行い、今回の大震災から得られた教訓として、例えば、

  • 困難に直面しようとも、諦めることなく、状況を的確に捉えて自ら考え行動する力の重要性
  • 新たな社会的・経済的価値を生み出すイノベーションの創造など、未来志向の復興・社会づくりを目指していくこと、そのための人材育成の重要性
  • 経済的理由など様々な事情によって制約されることなく、全ての子ども・若者が安心して必要な力を身に付けていける環境整備の重要性
  • 人々や地域間、各国間に存在するつながり(絆)や、人と自然の共生の重要性などの視点を掲げ、現在検討されている平成25年度からの第2期教育振興基本計画の策定に当たって重視することとしています。

 このことを踏まえ、「第2期教育振興基本計画の策定に向けた基本的な考え方」(平成23年12月9日、中央教育審議会教育振興基本計画部会)では、今後の教育行政について、「社会を生き抜く力の養成」、「未来への飛躍を実現する人材の養成」、「学びのセーフティネットの構築」、「絆づくりと活力あるコミュニティの形成」という4つの基本的方向性が示されています。
 復興の先にある社会を見据えると、東北発の未来型教育モデルづくりを促進し、全国に広げていきながら、このような教訓を被災地だけでなく我が国全体の課題として共有していく必要があります。
 文部科学省では今後も、このような人づくりを推進するとともに、このような人材が生み出す英知を活用しながら、被災地の復興、そして新しい日本の再生に取り組んでいきます。

コラムNo.16 一般社団法人創造的復興教育協会

 東日本大震災後、被災地での復興活動も本格化していますが、教育においても、ただ元に戻すという復旧にとどまらず、大震災の教訓を踏まえながら新しい未来をつくりあげていく「創造的復興教育」に取り組んでいくことが求められています。平成24年2月に設立された「一般社団法人創造的復興教育協会」は、文部科学省と連携して、復興教育に関するさまざまな取組を共有し、ネットワークを構築するとともに、先進的取組を全国に発信する取組を進めています。
 同協会は、平成24年5月には「創造的復興教育フォーラム」を文部科学省講堂において開催し、東日本大震災と福島第一原発事故への想いをこめた福島県立いわき総合高校の演劇公演や、全国生徒会サミットを主催するSENDto2050プロジェクト、防災マルチプル電子図鑑などを切り口に電子教材のイノベーションに取り組む311まるごとアーカイブス、持続可能な社会の担い手を育成する教育を掲げる気仙沼市教育委員会、生き抜く力を育む創造教育に取り組む釜石市教育委員会による取組発表が行われました。

演劇
演劇

事例発表
事例発表

新学期を迎える皆さんへ平野文部科学大臣からのメッセージ(平成24年4月3日)(被災地の小学校段階の児童向け)

 みなさん、入学(にゅうがく)、進級(しんきゅう)おめでとうございます。
 本当(ほんとう)にたいへんな一年(いちねん)をのりこえ、こうしてみなさんが、また学校(がっこう)に来(き)てくれていることを、まず、なによりも感謝(かんしゃ)したいと思(おも)います。
 本当(ほんとう)にありがとう。
 あの東日本大震災(ひがしにほんだいしんさい)から、一年(いちねん)がたちました。
 みなさんの中(なか)には、まだ仮設住宅(かせつじゅうたく)などで不自由(ふじゆう)な生活(せいかつ)をしている方(かた)たちがたくさんいらっしゃると思(おも)います。校舎(こうしゃ)が壊(こわ)れ、まだきちんとした教室(きょうしつ)で授業(じゅぎょう)を受(う)けられない学校(がっこう)もあります。
 それでもみなさんは、この一年(いちねん)、笑顔(えがお)を忘(わす)れずに頑張(がんば)ってきましたね。みなさんのその笑顔(えがお)が、私(わたし)たち大人(おとな)に、未来(みらい)への大(おお)きな希望(きぼう)を教(おし)えてくれました。
 もう一度(いちど)、本当(ほんとう)にありがとう。
 私(わたし)たちも、みなさんが一日(いちにち)でも早(はや)く、普通(ふつう)の学校生活(がっこうせいかつ)を取(と)り戻(もど)せるように努力(どりょく)をしていきます。
 大切(たいせつ)な家族(かぞく)や、お友達(ともだち)や、故郷(こきょう)の風景(ふうけい)を失(うしな)った悲(かな)しみは、たやすく忘(わす)れられるものではないと思(おも)います。「悲(かな)しみを乗(の)り越(こ)えて」と言葉(ことば)でいうのは簡単(かんたん)ですが、それはとても時間(じかん)のかかることです。
 でも、みなさんは、一人(ひとり)ではありません。
 学校(がっこう)の仲間(なかま)や先生(せんせい)がいます。
 仲間(なかま)と共(とも)に学(まな)ぶこと。勉強(べんきょう)やスポーツや文化活動(ぶんかかつどう)を通(つう)じて、何(なん)かに夢中(むちゅう)になることを見(み)つけて、みんなと一緒(いっしょ)に夢中(むちゅう)になって、そのことで、悲(かな)しみが少(すこ)しでも和(やわ)らぐならと願(ねが)っています。
 日本(にほん)は自然災害(しぜんさいがい)の多(おお)い国(くに)です。
 津波(つなみ)、地震(じしん)だけではなく、私(わたし)の生(う)まれた和歌山県(わかやまけん)も、昨年(さくねん)、水害(すいがい)で大(おお)きな被害(ひがい)を受(う)けました。
 自然(しぜん)は、人間(にんげん)に厳(きび)しい試練(しれん)を課(か)すときがあります。しかし、私(わたし)たち人間(にんげん)は、自然(しぜん)からの恵(めぐ)みを受(う)けて生(い)きていることも間違(まちが)いありません。
 どうか、たくさん勉強(べんきょう)をして、自然(しぜん)と共(とも)に生(い)きる知恵(ちえ)を学(まな)んでください。
 今回(こんかい)の震災(しんさい)では、外国(がいこく)からもたくさんの手助(てだす)けや励(はげ)ましがありました。
 日本(にほん)と日本人(にほんじん)は、ひとりぼっちの存在(そんざい)ではありません。
 みなさんは、大人(おとな)になってから、助(たす)けてくれた外国(がいこく)の方(かた)たちに、きちんとお礼(れい)を言(い)える人間(にんげん)になってください。そして困(こま)っている人(ひと)がいたら、手(て)をさしのべられる人(ひと)になってください。
 地震(じしん)や津波(つなみ)、原子力発電所(げんしりょくはつでんしょ)の事故(じこ)、そして復旧(ふっきゅう)、復興(ふっこう)に命(いのち)がけで立(た)ち向(む)かう、消防士(しょうぼうし)さんや警察官(けいさつかん)、自衛官(じえいかん)の人(ひと)たちの姿(すがた)を、みなさんは見(み)てきたと思(おも)います。そして何(なに)より、子(こ)どもたちを命(いのち)がけで守(まも)った、たくさんの先生方(せんせいがた)のことを忘(わす)れないでください。
 みなさんも、一生懸命勉強(いっしょうけんめいべんきょう)し、スポーツで身体(しんたい)を鍛(きた)え、芸術(げいじゅつ)に触(ふ)れて優(やさ)しい心(こころ)を育(はぐく)み、そして他人(たにん)のために働(はたら)ける人(ひと)になってください。
 私(わたし)も、学校(がっこう)の先生方(せんせいがた)と一緒(いっしょ)に、みなさんの笑顔(えがお)が消(き)えないように、全力(ぜんりょく)でみなさんを支(ささ)えます。
 どうか、この春(はる)には、たくさんの新(あたら)しい友達(ともだち)を作(つく)ってください。
 そうして、みんなで一緒(いっしょ)に、もっともっと、楽(たの)しい学校(がっこう)を作(つく)っていきましょう。

文部科学大臣(もんぶかがくだいじん)平野 博文(ひらの ひろふみ)

東日本大震災における文教科学技術施策年表(震災発生~平成24年3月)
年月日 施策
平成23年3月11日 文部科学省東北地方太平洋沖地震非常災害対策本部設置
3月11日 文部科学省原子力災害対策支援本部設置
3月11日 「全国の大学病院に対し、東北地方太平洋沖地震被災地域へのDMATの派遣を要請」事務連絡
3月14日 「東北地方太平洋沖地震により被災した学生等への配慮等について」通知
3月14日 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震における被災地域の児童生徒等の就学機会の確保等について」通知
3月15日 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震に関する教員免許更新制における円滑な手続き等について」通知
3月15・17日 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震等により被災した学校施設の早期復旧について」事務連絡
3月16日 「東北地方太平洋沖地震に対する支援のための学校給食施設等の活用に関する協力要請について」事務連絡
3月22日 文科・厚労大臣の連名で、主要経済団体等に対し、震災の影響を受けた学生・生徒への配慮を要請
3月22日 「東北地方太平洋沖地震にかかる被災者のための宿泊施設の確保について」事務連絡
3月22・25・31日 国費留学生等への柔軟な対応について、独立行政法人日本学生支援機構から大学等に事務連絡
3月25日 「東北地方太平洋沖地震の発生に伴う教育課程編成上の留意点について」事務連絡
3月25日 「東北地方太平洋沖地震の発生に伴う平成23年度学事日程等の取扱いについて」事務連絡
3月25日 「復旧工事に係る文化財保護法第125条及び第168条の規定の適用について」通知
3月25日 「復旧工事に係る埋蔵文化財に関する文化財保護法の規定の適用について」通知
3月29日 「東北地方太平洋沖地震の災害復旧事業計画書の作成に係る特例措置について」事務連絡
3月30日 東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援事業(文化財レスキュー事業)の開始
4月1日 「東日本大震災・子どもの学び支援ポータルサイト」開設
4月1日 「東北地方太平洋沖地震に伴う学生のボランティア活動について」通知
4月1日 「東北地方太平洋沖地震被災文化財の救援と修復に協力を」(文化庁長官メッセージ)
4月5日 「東日本大震災を受けた避難経路等の緊急点検について」通知
4月5日 「計画停電期間中における学校給食の留意点について」事務連絡
4月5日 「東日本大震災により被災した学校の再開について」事務連絡
4月5日 「新年度からの学校給食の実施に当たっての留意点について」事務連絡
4月6日 「東日本大震災に係る内閣総理大臣及び文部科学大臣からのメッセージについて」通知
4月7日 「被災建築物応急危険度判定を受けた文化財の取扱いについて」通知
4月8日 「東日本大震災に伴う学生等への支援について」通知
4月8日 「計画停電の実施等による学校給食用牛乳の供給への影響等について」事務連絡
4月8日 「平成23年東北地方太平洋沖地震による災害についての特定非常災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令の施行に伴う文化財保護法及び銃砲刀剣類所持等取締法に関する事務の取扱いについて」通知
4月8日 「みんなでつくる被災地学校運営支援サイト」開設(国立教育政策研究所)
4月11日 文部科学省東日本大震災復旧・復興対策本部設置
4月11日 原子力損害賠償紛争審査会設置
4月13日 「被災地域からの児童生徒の受入れに関する各種情報の紹介について」事務連絡
4月15日 「東日本大震災に係る災害報告書及び国庫負担(補助)事業計画書並びに現地調査における被災写真の取扱いについて」事務連絡
4月19日 「東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の安全性確保について」事務連絡
4月19日 「福島県内の学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」通知
4月20日 東日本大震災に係る都道府県・指定都市教育委員会教育長会議を開催
4月26日 「学校給食用食材の調達支援事業の実施について」事務連絡
4月27日 東日本大震災被災文化財建造物復旧支援事業(文化財ドクター派遣事業)の開始
4月28日 宮城、岩手など4県に対して総計424名の教職員定数の追加措置を実施
4月28日 「東日本大震災に係る文部科学省所管公立学校施設災害復旧費調査要領の取扱いについて」通知[学校敷地外における仮設校舎等の設置、応援教員等の仮宿泊施設]
4月28日 厚労省と連携し、被災した学生・生徒に対して首都圏で就職活動するための宿泊施設(国立オリンピック記念青少年総合センター等)の無償提供を実施
4月28日 原子力損害賠償紛争審査会が「第一次指針」を策定
4月28日 「東日本大震災の復旧・復興事業に伴う埋蔵文化財の取扱いについて」通知
5月6日 「東日本大震災により被災した障害のある子どもに対する状況把握及び支援等について」事務連絡
5月9日 「学校施設の節電対策に関するシミュレーションについて」公表(国立教育政策研究所)
5月11日 「実地調査を踏まえた学校等の校庭・園庭における空間線量低減策について」事務連絡
5月19日 「「国立大学法人等施設災害復旧費調査要領」の一部改正について」通知
5月20日 「東日本大震災に係る文部科学省所管公立学校施設災害復旧費調査要領の取扱いについて」通知[机上調査額及び本省協議額の引上げ]
5月24日 教育復興支援員の設置
5月27日 「福島県内における児童生徒等が学校等において受ける線量低減に向けた当面の対応について」事務連絡
5月31日 原子力損害賠償紛争審査会が「第二次指針」を策定
6月7日 「東日本大震災に係る文部科学省所管公立学校施設災害復旧費調査要領の取扱いについて」通知[建物の全半壊の判定や単価等の取扱いについて定め、事務の簡素化等]
6月7日 「東日本大震災に係る「学校施設災害復旧費国庫負担(補助)事業の事務手続きについて」の取扱いについて」通知
6月16日 「福島県内の学校の屋外プールの利用について」事務連絡
6月20日 「被災児童生徒を受け入れる学校における諸問題等の防止の取組について」通知
6月20日 原子力損害賠償紛争審査会が「第二次指針追補」を策定
6月20日 「土壌処理に関する財政支援及び簡易型積算線量計の配布の取扱いについて」事務連絡
6月24日 福島、岩手、茨城など6県に対して総計656名の教職員定数の追加措置を実施
7月~ 国立青少年教育振興機構との連携による「リフレッシュ・キャンプ」を実施
7月1日 「東日本大震災を受けた防災教育・防災管理等に関する有識者会議」発足
7月4日 モニタリング調整会議(第1回)開催
7月7日 東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備に関する検討会「東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備について」緊急提言取りまとめ
7月8日 「東日本大震災を踏まえた学校施設の非構造部材の耐震化推進について」事務連絡
7月11日 「東日本大震災特別弔慰金」創設
7月12日 東日本大震災に伴う埋蔵文化財保護に関する会議設置
7月19日 「東京電力福島第一原子力発電所・事故収束に向けた道筋」ステップ1完了(原子力災害対策本部)
7月20日 「学校給食の食材の安全確保について」事務連絡
7月21日 「学校給食の食材の安全確保について(第2報)」事務連絡
7月26日 「東日本大震災に伴う教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律附則第二条第二項に規定する文部科学省令で定める期間の特例に関する省令(平成23年文部科学省令第26号)」制定・公布
7月29日 「平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律」成立
8月3日 「原子力損害賠償支援機構法」成立
8月5日 「学校施設の防災機能に関する実態調査結果について」公表(国立教育政策研究所)
8月5日 原子力損害賠償紛争審査会が「中間指針」を策定
8月17日 「応急避難場所となる学校施設の防災機能の向上について」事務連絡
8月24日 「学校給食関連情報の文部科学省ホームページ掲載について」事務連絡
8月26日 「福島県内の学校の校舎・校庭等の線量低減について」通知
8月29日 原子力損害賠償紛争審査会の下に原子力損害賠償紛争解決センターを開設
8月30日 「東日本大震災後の状況を踏まえた東日本への修学旅行の実施について」通知
9月1日 原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解の仲介の受付開始
9月2日 「津波で被災した公立学校施設の災害復旧事業における取扱いについて」事務連絡
9月2日 「東日本大震災に係る文部科学省所管公立学校施設災害復旧費調査要領の取扱いについて」通知[応急仮設校舎等に「仮体育・集会室」及び「仮調理関係諸室」を追加]
9月12日 原子力損害賠償支援機構設立
9月13日 原子力損害賠償紛争解決センターの福島事務所(郡山)開設
9月21日 「平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律」に基づく国による仮払いの受付開始
10月11日 学校を基点とした復興の考え方として「学校からのまちづくり」公表
10月11日 「東日本大震災により被災した公立学校施設の復旧・復興に向けて(通知)」
10月28日 「東日本大震災に係る公立諸学校建物其他災害復旧費補助金交付要綱への追加について(通知)」通知
10月28日 「東日本大震災に係る文部科学省所管公立学校施設災害復旧費調査要領の取扱いについて」通知[応急仮設校舎等に「仮教育研修宿泊関係諸室」を追加]
11月4日 「東日本大震災で被災した子ども達への支援について」事務連絡
11月8日 「学校等の除染に関する技術的な助言を行う専門家の派遣について」事務連絡
11月15日 原子力損害賠償支援機構より東京電力に対し、5,587億円の資金を交付
11月21日 原子力損害賠償補償契約に基づいて、国から東京電力に対し、東京電力福島第一原子力発電所分の1,200億円を支払い
11月21日 「安全・安心のための学校給食環境整備事業について」事務連絡
11月24日 平成23年度教育研究公開シンポジウム「東日本大震災と学校」開催(国立教育政策研究所)
11月30日 「学校給食検査設備整備費補助金に係る事業計画書の提出について(依頼)」事務連絡
12月6日 文部科学省、農林水産省、国土交通省から「学校の復興とまちづくり」公表
12月6日 原子力損害賠償紛争審査会が「中間指針第一次追補」を策定
12月16日 「東京電力福島第一原子力発電所・事故収束に向けた道筋」ステップ2完了(原子力災害対策本部)
平成24年1月24日 平成23年度国立教育政策研究所文教施設研究講演会「地震国の学校建築-ニュージーランドと日本の知見の交流-」の開催(国立教育政策研究所)
1月27日 「学校給食モニタリング事業」の実施について(通知)
2月3日 東北マリンサイエンス拠点ミニシンポジウムの開催
2月20日~3月23日 未来への教科書「写真展」 in 文部科学省』~-for our Children-被災地から世界へ。そして未来へ。伝えたいこと、共有したい想いがある。~
2月24日 「震災対応を通じて考える地域とともにある学校づくりフォーラム~平素からの学校と地域の関係づくりが子どもたちを守り、地域を守ることにつながる~」開催
3月8日 「ジャパン・スタディ・プログラム」の実施
3月12日 「復旧・復興事業に伴う埋蔵文化財発掘調査のための職員派遣について」通知
3月16日 原子力損害賠償紛争審査会が「中間指針第二次追補」を策定
3月22日 「学校施設の非構造部材の耐震対策事例集について」事務連絡
3月27日 原子力損害賠償支援機構より東京電力に対し、1,049億円の資金を交付

お問合せ先

生涯学習政策局政策課教育改革推進室

(生涯学習政策局政策課教育改革推進室)

-- 登録:平成24年09月 --