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第11章 防災対策の充実

第11章 総論

 地震,火山噴火,台風・集中豪雨などの自然災害や原子力災害をはじめとする事故災害に対し,迅速かつ適切に対処するためには,総合的かつ計画的な防災対策を進めることが重要です。
 文部科学省では,児童生徒などの安心・安全を確保するため,学校施設の耐震化をはじめ(参照:第2部第10章)災害対策基本法などに基づき「文部科学省防災業務計画」を策定し,防災対策の充実に努めています。

図表2‐11‐1 防災対策の充実

図表2‐11‐1 防災対策の充実

第1節 防災対策の充実

1 防災計画の充実

 地震,火山噴火,台風・集中豪雨などの自然災害や原子力災害をはじめとする事故災害に対し,迅速かつ適切に対処するためには,総合的かつ計画的な防災対策を進めることが重要です。

(1)文部科学省の防災計画

 文部科学省では,災害対策基本法などに基づき,次のような観点を基本とした「文部科学省防災業務計画」を策定し,防災対策の充実に努めています。

  1. 学校などにおける児童生徒などの生命・身体の安全を図ること
  2. 災害による教育研究実施上の障害を取り除き,教育研究活動の実施を確保すること
  3. 学校その他の教育研究機関などの施設・設備の災害復旧に万全を期すること
  4. 防災に関する研究活動などの効率化と強化を図ること
  5. 原子力災害の発生・拡大を防止し,原子力災害の復旧を図ること
  6. 被災者の救援活動に関し,的確な連携・協力を行うこと

 これにより,総合的な防災体制を確立するとともに,災害予防の推進や災害応急対策の取組,災害復旧・復興の支援,防災に関する研究開発の推進など諸施策を総合的かつ計画的に進めています。

(2)都道府県や市町村の防災計画

 都道府県や市町村においては,防災基本計画(※1)や文部科学省防災業務計画などを基に地域防災計画を作成し,学校などにおける防災体制の整備充実を進めています。
 文部科学省では,災害などが発生した場合に必要となる児童生徒などの安全確保のための対応策について,学校や教育委員会の参考となるよう,次のことなどに関して,基本的事項を取りまとめて公表しています。

  1. 学校防災に関する計画を策定するにあたり盛り込むべき事項
  2. 防災教育を進める上での留意事項
  3. 災害発生時の児童生徒などの安全確保のために教職員が果たすべき役割

※1 防災基本計画
 防災基本計画は,災害対策基本法に基づき中央防災会議(会長:内閣総理大臣)が作成する我が国の防災に関する基本的な計画であり,各種防災計画の基本となるもの。この計画に基づき,各指定行政機関や指定公共機関は防災業務計画を作成する。

2 防災体制の確立

 文部科学省では,防災対策を円滑で的確に推進するため,防災連絡会議や非常災害対策本部の設置など,総合的な防災体制を確立しています。
 また,文部科学省自体が被災した場合においても,国民生活上重要かつ停滞してはならない事務を必要最低限継続できるよう,平成20年6月に策定した計画を,必要な見直しを加えた上,22年4月に「文部科学省首都直下地震対応業務継続計画」として改定しました。

3 災害予防の推進

 文部科学省では,災害時において,児童生徒などが自ら適切な行動をとれるようにするため,防災教育をより一層充実するとともに,児童生徒などの学習・生活の場だけでなく地域住民などの避難場所となる学校施設について,防災機能の強化などをはじめとした災害予防を積極的に推進しています。

(1)防災教育の充実

 各学校においては,体育科,保健体育科,特別活動などを中心に子どもの時期から正しい防災知識を身につけさせるために学校教育活動全体を通じて,防災教育を行っています。
 文部科学省では,学校における防災教育の充実を図るため,次の施策を行っています。

  1. 各学校における安全指導の進め方や避難訓練の実施を含む指導計画の作成などに関する教師用参考資料の作成・配布
  2. 地震などの自然災害時に,子どもが自ら安全な行動をとることができるよう,必要な知識などを身に付けさせるため,授業などにおいて活用する防災教育教材の作成・配布
  3. 地震による災害の危険と安全確保の方法など防災教育に関する研修会の開催(教員研修センターで実施)

(2)防災機能の強化

 阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などの大規模地震発生後には,多くの学校施設が避難所として利用されてきました。しかし一方で,学校施設での避難生活において様々な不便が生じたこと,また,天井材や蛍光灯が落下し避難所として使用できなかったことなど,学校施設の避難所として必要な防災機能について様々な課題が指摘されています。
 このような観点の下,国立教育政策研究所によって学校施設に必要な防災機能について調査研究が行われ,平成19年8月(平成20年7月一部追記)に報告書「学校施設の防災機能の向上のために」が取りまとめられました(参照:http://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/bousaitsuiki.pdf)。
 これを受けて,文部科学省では,避難所となる学校施設の防災機能の向上に取り組むよう各都道府県教育委員会などに対し周知を図るとともに,平成20年度より「学校施設の防災機能強化の推進支援事業」を実施し,改修工事などの学校施設整備にあわせた,避難所としての施設利用計画の作成など,防災機能強化を図るための計画策定を支援しました。
 一方で,公立学校施設の耐震化をはじめ,飲料水などとして活用するための浄水機能を有する水泳プールの整備についても,「安全・安心な学校づくり交付金」の対象事業としています。また,余裕教室(参照:第2部第10章第2節2(3))を,備蓄倉庫など地域防災のための施設に転用する場合の財産処分についても,手続の大幅な弾力化・簡素化を図っています。
 さらに,集中豪雨や台風などによる被害を考慮し,風水害に対する学校施設の適切な安全確保のための点検ポイントなどについてまとめたパンフレットを教育委員会などに配布し,風水害などの災害に備えた学校施設の安全対策を促しています。

4 災害応急対策の取組

 文部科学省では,自然災害が発生した場合の応急対策として,迅速かつ的確な情報収集に努めるなど初動対応を実施するとともに,都道府県の教育委員会などからの要望に応じて,被災施設の応急危険度判定や児童生徒などの心のケアなど必要な支援を実施しています。

(1)発災時の初動対応

 文部科学省では,自然災害が発生した場合,迅速かつ的確な被害情報の収集に努めるとともに,児童生徒,学生や教職員の安全確保,被害増大や二次災害の防止など必要な措置を講じるよう,都道府県の教育委員会など関係機関に依頼しています。また,激甚災害(※2)などの被害が発生した場合には,文部科学省職員を現地に派遣し,被害状況の調査や建物の安全点検などを行っています。

(2)被災文教施設の応急危険度判定に関する技術的支援

 学校などの文教施設が地震により被災した場合,その後の建物の倒壊や落下物による二次災害から児童生徒や避難住民の安全を確保するため,早急にその被害状況を調査し,建物の当面の使用の可否について判定(応急危険度判定)する必要があります。
 文部科学省では,阪神・淡路大震災における調査の経験に基づき,「被災文教施設応急危険度判定に係る技術的支援実施要領」を定め,調査団を被災地に派遣し,応急危険度判定に関する調査を実施しています。平成19年3月に発生した能登半島地震,同年7月に発生した新潟県中越沖地震,20年6月に発生した岩手・宮城内陸地震の際にも,職員を派遣し調査を行いました。
 また,調査方法に関する指針として策定した,「被災文教施設応急危険度判定方法について」により定期的に講習会を実施し,応急危険度判定を行うことができる人材の養成にも努めています。

(3)災害時の心のケア

 文部科学省では,災害時における児童生徒などの心のケアについて,その方法や実際の場面での対応などについて整理した教師用の手引や保護者用のリーフレット(手引)の配布などの支援を行っています。


※2 激甚災害
 国民経済に著しい影響を及ぼす災害,または局地的な災害ではあるが被害の程度が激甚で,被災地域への財政援助や被災者への助成が特に必要となる大きな災害をいう。

5 災害復旧の支援

 文部科学省では,被害を受けた公立学校施設において教育活動を円滑に実施できるよう,施設の災害復旧に要する経費の一部を国庫負担(補助)しています(図表2‐11‐2)。
 平成19年には3月に能登半島地震,7月に新潟県中越沖地震が発生し,地盤沈下や建物被害が多発しました。また,20年6月の岩手・宮城内陸地震では斜面の崩落や建物被害が多発しました。さらに,21年8月には台風第9号による河川の氾濫で床下浸水,斜面の崩落,学校敷地への土砂の流入などの災害が発生しました。これらの災害は,激甚災害として指定され,公立学校施設の災害復旧事業について,地方公共団体ごとにその財政規模に応じて国庫負担額が引き上げられました。

図表2‐11‐2 平成19〜21年に発生した災害による公立学校施設災害復旧事業

図表2‐11‐2 平成19?21年に発生した災害による公立学校施設災害復旧事業

平成20年岩手・宮城内陸地震で被災した学校被害 (学校敷地のり面の崩落)

平成20年岩手・宮城内陸地震で被災した学校被害
(学校敷地のり面の崩落)

6 防災に関する研究開発の推進

 科学技術を生かし,自然災害による被害の軽減を図るため,文部科学省では,地震調査研究推進本部の方針に基づき,地震調査研究を進めています。あわせて,科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会が平成18年7月に取りまとめた「防災に関する研究開発の推進方策について」を踏まえ,防災に関する研究開発を推進しています(参照:第2部第5章第3節3(8))。

第2節 原子力防災対策

 原子力災害の危険性は,万全を期して安全確保に取り組んだとしても存在するものであり,万一の場合に備えることが必要です。文部科学省では,経済産業省をはじめとする関係省庁や地方公共団体などと協力しながら,原子力防災に関する様々な取組を行っています。

1 原子力災害対策特別措置法

 平成11年9月のJCO東海村ウラン加工施設での臨界事故の反省から,12年6月に原子力災害対策特別措置法が施行されました。この法律は,迅速な初期動作の確保,国と地方公共団体との有機的な連携の確保,国の緊急時対応体制の強化,原子力事業者の責務の明確化などについて定めることにより,原子力災害対策を強化し,原子力災害から国民の生命・身体・財産を保護することを目的としています。

2 防災対策の向上のための取組

 文部科学省では,原子力災害対策特別措置法に基づき,緊急事態応急対策拠点施設(オフサイトセンター)(※3)の整備・維持,原子力防災専門官の現地駐在,専門家の現地派遣体制の整備,国・地方公共団体・原子力事業者が共同で行う原子力総合防災訓練の実施などの取組を,経済産業省をはじめとする関係省庁や地方公共団体などと協力しながら行っています。
 また,原子力発電施設などから放出された放射性物質の拡散やそれによる被ばく線量を迅速に計算予測できるシステム(SPEEDIネットワークシステム)や各関係機関の間のネットワークを整備しています。それとともに,防災業務関係者に対する研修,原子力防災に関する情報提供などを行っています。
 さらに,被ばく患者が発生した場合の実効性のある被ばく医療体制を整備するため,関係道府県が行う防災対策を支援するとともに,被ばく医療関係者に対する研修や,緊急被ばく医療に関する情報提供などを行っています。
 原子力防災に関する関係道府県への財政措置としては,原子力防災対策に関する負担を軽減するため,原子力発電施設等緊急時安全対策交付金などの制度があります。これらの制度により,文部科学省と経済産業省は共同で,緊急時に必要となる連絡網,資機材,周辺住民に対する防災対策に関する知識の普及などに要する経費について,助成を行っています。
 また,緊急時におけるオペレーションセンター(災害対策室)としての「文部科学省非常災害対策センター」の整備,原子力災害時の関係機関の役割を規定した計画・マニュアルなどの整備などを行っています。

緊急事態対応対策拠点施設(オフサイトセンター) (岡山県鏡野町)

緊急事態対応対策拠点施設(オフサイトセンター)
(岡山県鏡野町)


※3 緊急事態応急対策拠点施設(オフサイトセンター)
 国,道府県,市町村などの関係者が一堂に会して情報の共有や緊急事態応急対策の実施について相互に協力するため,原子力災害対策に必要な機能を備えた施設。

お問合せ先

生涯学習政策局政策課教育改革推進室

(生涯学習政策局政策課教育改革推進室)

-- 登録:平成22年08月 --