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第7章 文化芸術立国を目指して

Topic 平成21年度文化庁長官表彰(文化芸術創造都市部門)受賞都市の取組について

 文化庁では,文化芸術の力により,市民参加で地域の活性化に取り組み,特に顕著な成果をあげている自治体を「文化芸術創造都市」として表彰を行っています(参照:本章第4節)。平成21年度文化庁長官表彰(文化芸術創造都市部門)では,東川町(北海道),仙台市(宮城県),中之条町(群馬県),別府市(大分県)の4市町に対して表彰を行いました。ここでは,このうち仙台市の取組について紹介します。
 仙台市では,開府400年を記念して平成13年から「仙台国際音楽コンクール」を開始しました。コンクールは才能ある若い音楽家を輩出するだけでなく,関連イベントが市民の手で行われるなど,市民に定着してきています。また,国内外で活躍するアーティストのコンサートを市内複数の会場で同時に安価で開催する「仙台クラシックフェスティバル(せんくら)」や,公園や広場をステージに,だれもが参加でき,気楽に楽しめる無料の市民音楽祭である「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」など,「楽都仙台」としてだれもが芸術文化に親しめる環境づくりが行われています。
 また,平成14年に開設された「せんだい演劇工房10‐BOX」は,広さの異なる小練習室,舞台装置や大道具の製作が可能な作業場を備え,利用者の自主管理により深夜利用ができるなど,利用者の意見が反映された創造環境を構築しており,地元演劇人とタイアップした運営体制の下,「劇都仙台」の拠点的役割を担っています。
 以上のように,仙台市では,芸術文化の高度化を図ることのみならず,芸術文化を都市の活性化に生かす取組を積極的に行うなど,創造都市の実現を目指しています。

文化庁長官表彰(文化芸術創造都市部門)受賞都市一覧

文化庁長官表彰(文化芸術創造都市部門)受賞都市一覧

第7章 総論

文化政策の位置付け

 平成13年に文化芸術全般にわたる法律として「文化芸術振興基本法」が制定されました。この法律は,文化芸術に関する活動を行う人々の自主的な活動を推進することを基本としながら,文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図り,心豊かな国民生活や活力ある社会の実現に貢献することを目的にしています。
 文化芸術振興基本法に基づき,政府は,文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図るため,「文化芸術の振興に関する基本的な方針」(基本方針)を策定し,この基本方針に基づき「文化芸術立国」を目指して文化芸術の振興に取り組んでいます。

文化芸術の現状と課題

 内閣府「国民生活に関する世論調査」(平成21年6月)によれば,「物質的にある程度豊かになったので,これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい」と考えている国民は年々増加し,平成20年度では約6割となっています。また,内閣府「文化に関する世論調査」(平成21年11月)によれば,日常生活の中で,優れた文化芸術を鑑賞したり,自ら文化活動を行ったりすることを「非常に大切」「ある程度大切」と考えている国民は,約9割となっています。
 一方,この一年間に,ホールや劇場,美術館・博物館などに出向いて文化芸術を直接鑑賞したことがある国民は約6割にとどまっており,また,東京都区部と町村では約2割の差があるなどの鑑賞機会の格差が存在しています。

図表2‐7‐1 人々の求める豊かさ

図表2‐7‐1 人々の求める豊かさ

(注)
心の豊かさ→物質的にある程度豊かになったので,これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい
物の豊かさ→まだまだ物質的な面で生活を豊かにすることに重きをおきたい
(出典)内閣府「国民生活に関する世論調査」(平成21年6月)

図表2‐7‐2 日常における文化芸術の体験・活動の重要性

図表2‐7‐2 日常における文化芸術の体験・活動の重要性

(出典)内閣府「文化に関する世論調査」(平成21年11月)

 文化芸術振興のために国に力を入れてほしい事項として,約5割の国民が「子どもたちの文化芸術体験の充実」を挙げています。それに次いで,約4割の国民が「文化芸術を支える人材の育成」,「文化財の維持管理に対する支援」を挙げています。
 文化庁では,基本方針に基づき,子どもたちの文化芸術体験,人材育成,文化財の保存活用など,文化の振興のための諸施策を展開しています。しかしながら,諸外国と比べると文化予算と民間寄附のいずれもが低い水準となっています。

図表2‐7‐3 文化芸術振興のために国に力を入れてほしい事項

図表2‐7‐3 文化芸術振興のために国に力を入れてほしい事項

(出典)内閣府「文化に関する世論調査」(平成21年11月)

図表2‐7‐4 文化予算と寄附額

図表2‐7‐4 文化予算と寄附額

○諸外国では,文化予算と民間の寄附により文化が支えられているが,我が国ではそのいずれも低い水準にある。

[注]

  1. 予算額は,以下で換算。
    1ユーロ=143円 1ドル=103円
    1ポンド=180円 1ウォン=0.085円
    (H20.12.25付け財務省公表支出官レート採用)
  2. フランスは文化・コミュニケーション省予算額(2008年),アーカイブ,文化産業,芸術教育にかかる予算を含む。
  3. 韓国は文化体育観光部・文化財庁予算額(2008年)から観光,体育に係る予算額を差し引くとともに,文化財庁の予算額を加えたもの。文化体育観光部の予算額には,文化産業及び国立図書館に係るものを含む。
  4. ドイツは連邦政府首相府文化メディア庁予算額(2008年),国立図書館,文書館,メディアにかかる予算を含む。
  5. 英国は文化・メディア・スポーツ省予算額(2008年)から,観光,スポーツにかかる予算を差し引いたもの。なお,同省の予算額には,王立公園,放送・メディア,文化産業化支援にかかるものを含む。
  6. アメリカは,1.米国芸術基金予算(NEA),2.スミソニアン機構予算,3.内務省国立公園部文化財保護予算の合計(2008年),アメリカでは,連邦全体の文化政策を担当する省は置かれておらず,ここに挙げた3つの機関が文化振興や文化財保護に係る公的資金の分配を行っている。
  7. アメリカについては,民間からの寄附等を奨励するための税制優遇措置等が中心であり,政府による直接補助は少なく,国家予算における文化関係予算の割合は0.03%程度。
  8. GDPに占める寄付割合については,英国の非営利団体(チャリティー)であるチャリティーズ・エイド財団(CharityAidFoundation)の報告書(2006)に基づく。諸外国の数値は2005年のもの。日本については内閣府経済社会総合研究所調査(2008年)に基づく。韓国についてはデータが見つかっていない。

(出典)文化庁調べ

 文化芸術は,過去から未来へと受け継がれ,人々に喜びや感動を与えると同時に,経済や国際協力をはじめ我が国のすべての営みの基盤として極めて重要なものです。
 こうした文化芸術の持つ重要性を考慮して,文化庁では,今後とも文化芸術の振興に努めていきます。

第1節 文化振興施策の総合的な推進

1 文化芸術振興基本法と基本方針

 文化芸術の振興に対する国民の要望の高まりなどを背景に,議員立法として,「文化芸術振興基本法」が,平成13年11月30日に成立し,同年12月7日に公布・施行されました。
 この法律は,文化の中核を成す芸術,メディア芸術,伝統芸能,生活文化,国民娯楽,出版物,レコード,文化財などの文化芸術の振興に関する基本理念を定め,国と地方公共団体の責務を明らかにするとともに,文化芸術の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより,文化芸術活動を行う者の自主的な活動を促進し,文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図ろうとするものです。
 「文化芸術の振興に関する基本的な方針」(「基本方針」)は,この文化芸術振興基本法に基づき,文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図るため,政府が策定するものです。
 平成19年2月に閣議決定された現行の第2次基本方針は,文化芸術振興の今日における意義や様々な社会情勢の変化などを踏まえ,おおむね5年間(19年度~23年度)を見通し,文化芸術の振興に当たっての基本的な視点や重点事項,基本的施策などを提示しています。
 文化庁では,文化芸術振興基本法と第2次基本方針に基づき,文化芸術で国づくりを進める「文化芸術立国」を目指して,文化芸術の振興に総合的に取り組んでいます。
 平成22年2月には,文部科学大臣から文化審議会に対して,「文化芸術の振興のための基本的施策の在り方について」の諮問がなされ,現在,第3次の基本方針の策定へ向けた審議が行われています。

図表2‐7‐5 第2次基本方針文化芸術振興の基本的方向

図表2‐7‐5 第2次基本方針文化芸術振興の基本的方向

2 文化審議会

 平成13年1月の中央省庁等改革により,文化振興に向けた政策立案機能を強化するため,文化庁に文化審議会が設けられました。文化審議会では,文化の振興及び国際文化交流の振興に関する重要事項について,幅広い観点から調査審議を行います。
 文化審議会では,これまでに,8つの答申や提言・報告を行い,文化庁では,これらを受けて各種施策に取り組んでいます。

〈これまでの主な答申など〉

「文化を大切にする社会の構築について‐一人一人が心豊かに生きる社会を目指して(答申)」(平成14年4月)
「文化芸術の振興に関する基本的な方針について(答申)」(平成14年12月)
「これからの時代に求められる国語力について(答申)」(平成16年2月)
「今後の舞台芸術創造活動の支援方策について(提言)」(平成16年2月)
「地域文化で日本を元気にしよう!(報告)」(平成17年2月)
「文化芸術の振興に関する基本的な方針の見直しについて(答申)」(平成19年2月)
「敬語の指針(答申)」(平成19年2月)
「舞台芸術人材の育成及び活用について(報告)」(平成21年7月)
 文化審議会には,国語分科会,著作権分科会,文化財分科会,文化功労者選考分科会の4分科会のほかに,文化政策部会が置かれ審議が行われています。

3 文化芸術振興のための予算措置

 平成21年度においては,「文化芸術創造プランの推進」,「文化財の次世代への継承」,「日本文化の戦略的発信」の3つを柱とした政策を進めました。
 「文化芸術創造プラン」では,1.最高水準の舞台芸術公演・伝統芸能等への重点支援など,2.新進芸術家やアートマネジメント(※1)人材などの育成,3.感性豊かな文化の担い手育成プランの推進を中心とした施策を実施しました。
 「文化財の次世代への継承」では,保存修理・防災施設などの推進や保存整備・活用などの推進施策を図るとともに,「日本文化の戦略的発信」では,1.日本文化の海外への戦略的発信,2.文化財の国際協力の推進,3.文化発信のための国内基盤整備に取り組みました。
 このほか,日本芸術文化振興会に設けられた芸術文化振興基金では,芸術文化活動に対する幅広い助成を行っています。

図表2‐7‐6 平成21年度文化庁予算(分野別)

図表2‐7‐6 平成21年度文化庁予算(分野別)


※1 アートマネジメント
 ここでは,公演・展示等の企画・構成・制作,マーケティング・資金獲得,営業・渉外・広報等に従事し,文化芸術の創り手と受け手をつなぐ役割を担うことを指す。

4 文化芸術活動に関する税制措置

(1)文化芸術団体に対する寄附金に関する税制措置

 一般に,企業が寄附を行った場合は,当該寄附金について,一定額まで損金算入することが認められています。さらに,芸術の普及向上や文化財などの保存活用,博物館の設置運営などを主な目的とする特例民法法人のうち,一定の要件を満たす「特定公益増進法人」に対する寄附金については,個人の場合には寄附金控除,企業などの法人の場合には一般の寄附金の損金算入限度額に加えて,さらに別枠で損金算入することが認められています。
 特に個人の寄附に関しては,19年分の所得税より,寄附金控除の対象となる寄附金の限度額が総所得金額などの30%から40%に引き上げられるとともに,平成22年分の所得税より,寄附金控除の対象となる寄附金の適用下限額が「5,000円を超える額」から「2,000円を超える額」に引き下げられるなど,個人レベルでも,文化芸術に関する支援を行いやすくなっています。

(2)文化財に関する税制措置

 文化財の分野でも,重要文化財などとして指定,選定,登録された家屋やその敷地については,固定資産税を非課税や2分の1課税とするなど,所有者が文化財を適切に管理する上で必要な税制上の優遇措置を講じています。また,重要文化財を国や地方公共団体などへ譲渡した場合は所得税が非課税(史跡などに指定された土地については,特別控除)となり,建造物(登録有形文化財・重要伝統的建造物群保存地区内の伝統的建造物を含む。)やその敷地については,相続税額の算出において,一定の評価減を行うこととされています。また,平成21・22年度の措置として,公益社団・財団法人が所有する重要無形文化財の公演のための施設について固定資産税・不動産取得税・都市計画税が2分の1課税となっています。
 さらに,優れた美術品の美術館・博物館における公開を促進するために,登録美術品として登録された美術品については,相続税の物納の特例措置が設けられています。

第2節 芸術創造活動の推進

1 芸術創造活動の活性化支援

(1)文化芸術創造プランにおける芸術創造活動の活性化支援施策

 我が国の文化芸術の振興を図るため,文化庁では,平成14年度に「文化芸術創造プラン」を創設し,最高水準の舞台芸術への支援,新進芸術家やアートマネジメント人材などの育成,子どもの文化芸術体験活動の推進など,芸術創造活動に対する支援を総合的に行っています。

1.最高水準の舞台芸術公演・伝統芸能等への重点支援

 最高水準の舞台芸術公演・伝統芸能などに対しての重点支援や音楽・舞踊・演劇の国際フェスティバル,芸術による国際交流を推進しています(図表2‐7‐7)。

2.新進芸術家やアートマネジメント人材等の育成

 世界で活躍する新進芸術家等を養成するため,美術,音楽,舞踊,演劇などの各分野において,研修・発表の場を提供するとともに,文化芸術活動を支えるアートマネジメント人材の育成をはじめ,芸術団体等が行う養成事業などへの支援の充実を図っています。特に,新進芸術家海外研修制度では,これまで多数の優秀な芸術家を輩出しています(図表2‐7‐8,図表2‐7‐9)。

図表2‐7‐7 最高水準の舞台芸術公演・伝統芸能等への重点支援

図表2‐7‐7 最高水準の舞台芸術公演・伝統芸能等への重点支援

図表2‐7‐8 新進芸術家の海外研修(新進芸術家海外研修制度)のこれまでの派遣者の例

図表2‐7‐8 新進芸術家の海外研修(新進芸術家海外研修制度)のこれまでの派遣者の例

図表2‐7‐9 世界に羽ばたく新進芸術家等の人材育成

図表2‐7‐9 世界に羽ばたく新進芸術家等の人材育成

3.子どもの文化芸術体験活動の推進

 子どもたちが本物の舞台芸術や伝統文化に触れ,日ごろ味わえない感動や刺激を直接体験することにより,豊かな感性と創造性をはぐくむとともに,我が国文化を継承・発展させる環境の充実を図っています(本章第4節参照)。

(2)芸術文化振興基金

 芸術文化振興基金は,政府の出資金と民間からの出えん金を原資として,多様な芸術文化活動に対して,安定的・継続的に幅広く援助を行うため,平成2年3月に設けられました。現在,約653億円(国からの出資金約541億円,民間からの出えん金約112億円)を原資とした運用益により,芸術家や芸術団体が行う芸術の創造や普及活動,地域の文化施設における公演・展示活動などに対して助成を行っています。

<芸術文化振興基金からの助成額(平成20年度)>

○芸術家及び芸術団体が行う芸術の創造又は普及を図るための活動 約12億2,590万円
○地域の文化の振興を目的として行う活動 約3億510万円
○文化に関する団体が行う文化の振興又は普及を図るための活動 約1億3,730万円

2 芸術祭の開催

 芸術祭は,内外の優れた芸術作品を鑑賞する機会を広く一般に提供するとともに,芸術の創造とその発展を図ることを目的に,昭和21年度から毎年秋に開催しています。
 平成21年度は,皇太子殿下の御臨席の下,芸術祭祝典として,国際音楽の日記念,「『メリーメリー・ウィドウ』祝祭版~ちょっと陽気な未亡人~」を行うとともに,オペラ,演劇,音楽,能楽,文楽,歌舞伎,邦舞,組踊,琉球舞踊,大衆芸能などの主催公演を実施しました。演劇,音楽,舞踊,大衆芸能の参加公演部門及びテレビ,ラジオ,レコードの参加作品部門では,それぞれの部門に設置した審査委員会で審査を行い,優れた公演・作品に対して,文部科学大臣から芸術祭大賞などが授与されました。

3 企業からの文化発信の取組への支援

(1)メセナ活動への支援

 社団法人企業メセナ協議会は,企業によるメセナ(芸術文化支援)活動の推進のために,芸術文化支援を行う企業相互の連携を図ることを目的として平成2年に設立されました。同協議会は,特定公益増進法人として認定されており,主要事業の一つとして,民間の芸術文化支援を促進する「助成認定制度」を実施しています。
 この制度の認定を受けた文化芸術活動に対して寄附を行う場合,個人の場合には所得控除,企業などの法人の場合には一般の寄附金とは別枠での損金算入が認められます(図表2‐7‐10)。
 この制度を利用して,平成20年度には,227件の芸術活動が認定を受け,法人・個人から1,540件,約10億4,113万円の寄附が同協議会を通じて行われました。

図表2‐7‐10 社団法人企業メセナ協議会の助成認定制度

図表2‐7‐10 (社)企業メセナ協議会の助成認定制度

(2)企業の取組の顕彰

 文化庁では,社団法人企業メセナ協議会との連携の下,企業で働く人々や,地域住民,子どもたちに芸術文化活動への参加の機会を提供することなどにより,企業を取りまく人々の「文化力」の向上を図る企業の取組に対して表彰を行っています。

第3節 映画・メディア芸術の振興

1 日本映画の振興

 映画は,演劇,音楽や美術などの諸芸術を含んだ総合芸術であり,国民の最も身近な娯楽の一つとして生活の中に定着しています。また,ある時代の国や地域の文化的状況の表現であるとともに,その文化の特性を示すものです。
 さらに,映画は海外に向けて日本文化を発信する上でも極めて効果的な媒体であり,有力な知的財産として位置付けられています。
 文化庁では,平成16年度から「日本映画・映像」振興プランを策定し,1.魅力ある日本映画・映像の創造,2.日本映画・映像の流通促進,3.映画・映像人材の育成と普及,4.日本映画フィルムの保存継承,5.メディア芸術振興総合プログラム(18年度から)を推進しています。
 具体的には,国内での映画などの製作支援,短編映画作品製作による若手映画作家育成事業などの人材育成のほか,日本映画の海外映画祭への出品支援やアジアにおける日本映画特集上映など海外への日本文化発信を通して,我が国映画の一層の振興に取り組んでいます。
 また,日本映画に関する情報提供としてデータベースの整備も進めています。

●全国ロケーションデータベースシステム(JLDB) (参照:http://www.jldb.bunka.go.jp/)

●全国ロケーションデータベースシステム(JLDB)
(参照:http://www.jldb.bunka.go.jp/

●日本映画情報システム(JCDB) (参照:http://www.japanese‐cinema‐db.jp/)

●日本映画情報システム(JCDB)
(参照:http://www.japanese-cinema-db.jp/

図表2‐7‐11 「日本映画・映像振興プラン」

図表2‐7‐11 「日本映画・映像振興プラン」

2 アニメ,マンガなどのメディア芸術の振興

 アニメ,マンガ,ゲームなどのメディア芸術は広く国民に親しまれ,新たな芸術の創造や我が国の芸術全体の活性化を促すとともに,海外から高く評価され,我が国への理解や関心を高めています。
 文化庁では,メディア芸術の一層の振興を図るため「メディア芸術総合振興プログラム」を策定し,文化庁メディア芸術祭をはじめとした様々な取組を行っています。その一つとして,国内外へ優れたメディア芸術作品を発信する観点から開催している文化庁メディア芸術祭は,平成21年度に13回目を迎え,53の国と地域から2,592作品もの応募が寄せられました。「アート」,「エンターテインメント」,「アニメーション」,「マンガ」の4つの部門ごとに大賞1作品,優秀賞4作品,奨励賞1作品を顕彰するとともに,メディア芸術の振興に寄与した方に功労賞を贈呈しました。

アート部門大賞『growthmodelingdevice』 DavidBOWEN c DavidBOWEN

アート部門大賞『growthmodelingdevice』
DavidBOWEN
c DavidBOWEN

エンターテインメント部門大賞『日々の音色』ナカムラマギコ/中村将良/川村真司/HalKIRKLAND c 2009 ZealotCo.,ltd/NeutralNineRecords

エンターテインメント部門大賞『日々の音色』
ナカムラマギコ/中村将良/川村真司/HalKIRKLAND
c 2009ZealotCo.,ltd/NeutralNineRecords

アニメーション部門大賞『サマーウォーズ』細田守 c 2009SUMMERWARSFILMPARTNERS

アニメーション部門大賞『サマーウォーズ』細田守
c 2009SUMMERWARSFILMPARTNERS

マンガ部門大賞『ヴィンランド・サガ』幸村誠 c 幸村誠/講談社

マンガ部門大賞『ヴィンランド・サガ』幸村誠
c 幸村誠/講談社

 受賞作品は,毎年2月に東京・六本木の国立新美術館で展示しています。また,国民文化祭開催県と連携して実施する「メディア芸術祭地方展」や,日本のメディア芸術を海外の方々により深く知っていただくための「メディア芸術祭海外展」を開催しています。
 この他,インターネット上に「メディア芸術プラザ」を開設し,メディア芸術祭受賞作品や受賞作者の紹介,メディア芸術関連の各種シンポジウム等の情報を掲載しています。

●メディア芸術プラザ (参照:http://plaza.bunka.go.jp/)

●メディア芸術プラザ
(参照:http://plaza.bunka.go.jp/

第4節 子どもたちの文化芸術活動と地域における文化芸術の振興

1 子どもたちの文化芸術活動の推進

 文化庁では,子どもたちが,本物の文化芸術に直接触れたり,創造活動に参加したりすることにより,多くの感動体験を得て,感受性豊かな人間として成長するように,以下の施策を実施しています。

(1)本物の舞台芸術に触れる機会の確保

 子どもたちが優れた舞台芸術を鑑賞するとともに,芸術団体などによる実演指導,ワークショップに参加し,さらにはこれらの団体と本番の舞台で共演するなど,舞台芸術に身近に触れる機会を提供しています。

(2)伝統文化こども教室事業

 次代を担う子どもたちに対し,土・日曜日などに,学校,文化施設などを拠点とし,民俗芸能,工芸技術,邦楽,日本舞踊,武道,茶道,華道などを計画的,継続的に体験・修得できる機会を提供する「伝統文化こども教室事業」を実施しています。

郷土芸能クラブ里神楽(埼玉県新座市)

郷土芸能クラブ里神楽
(埼玉県新座市)

(3)学校の文化活動の推進

 優れた活動を行っている芸術家や伝統芸能の保持者などを出身地域などの学校に派遣し,優れた技の披露や,文化芸術活動のすばらしさ,地域の誇りなどについての講話を通じて,子どもたちの文化芸術への関心を高める「学校への芸術家等派遣事業」を行っています。
 また,高校生に文化部活動の成果発表の機会を提供し,創造活動の推進と相互の交流を深めるため,「全国高等学校総合文化祭」(平成21年度は7月29日から8月2日まで三重県で開催),「全国高等学校総合文化祭優秀校東京公演」(21年度は8月29日,30日に開催)を毎年実施しています。

(4)地域人材の活用による文化活動支援事業

 地域の文化芸術人材を活用し,学校での文化芸術に関する指導や,放課後・休日などにおける文化芸術活動を地域ぐるみで支援する体制整備を図る取組を支援しています。

2 地域における文化芸術活動への支援

 文化庁では,優れた文化芸術に身近に接することができ,地域に根付いた文化芸術活動が活発に行われるようにするため,個性豊かな文化芸術の振興,文化芸術を支える人材の育成など,地域における文化芸術の振興を図っています。

(1)舞台芸術の魅力発見事業

 舞台芸術の鑑賞機会が大都市圏に偏りがちであることから,質の高い舞台芸術の全国展開を支援しています。

(2)「文化芸術による創造のまち」支援事業

 地域における文化リーダー(指導者)や文化芸術団体の育成,文化芸術活動の発信・交流,大学と地域との交流・連携の促進を通して,地域の文化芸術活動の活性化と環境作りを図る取組を支援しています。

(3)ふるさと文化再興事業

 地域において守り伝えられてきた祭礼行事,民俗芸能,伝統工芸などの個性豊かな伝統文化の継承・発展を図るため,都道府県が策定した計画に基づき,伝統文化保存団体などが実施する1.伝承者などの養成,2.用具等の整備,3.映像記録等の作成の事業に対して支援しています。

(4)国民文化祭

 国民の文化芸術活動への参加意欲を喚起するとともに,国民の文化芸術活動の水準を高めるため,全国規模の文化の祭典である国民文化祭を,都道府県などとの共催で毎年開催しています(平成21年度は10月24日から11月8日まで静岡県で開催)。

(5)生活文化普及支援事業

 次代を担う子どもやその親などを対象に,我が国の伝統的な文化のうち,国民に長く親しまれ定着している生活文化に触れる機会を提供する普及事業を平成21年度第1次補正予算で支援しました。

(6)地域文化芸術振興プラン推進事業

 地域の「文化力」の向上と,文化芸術活動を活発化することにより地域経済の活性化を促すため,都道府県が中心となって企画した地域の特色ある文化芸術活動を平成21年度第1次補正予算で支援しました。

3 文化ボランティアの推進

 文化庁では,文化芸術に自ら親しむとともに,他の人が親しむのに役立ったり,お手伝いしたりするようなボランティア活動を「文化ボランティア活動」ととらえ,文化ボランティアを推進し,各地域で多様な活動が行われるよう,環境整備を図っています。
 平成20年度からは,文化ボランティア・コーディネーター養成プログラムの開発・実施・普及を行う「文化ボランティア支援拠点形成事業」を実施しています。22年2月には,全国の委託団体が一堂に会し,活動の報告を行うとともに,コーディネーターを養成する上で抱えている課題などについて話し合いました(於:鹿児島大学稲盛記念会館)。
 この他,各地域で活動する文化ボランティア実践者や文化行政担当者などが集まる「文化ボランティアフォーラム」を開催するなど,文化ボランティア関係者間の情報交換や交流を支援しています。

文化ボランティア・コーディネーターフォーラムの様子

文化ボランティア・コーディネーターフォーラムの様子

4 文化芸術創造都市の推進

 近年,美しい景観やその自治体固有の文化的環境を生かすことにより,住民の創造性をはぐくむとともに,新しい産業やまちのにぎわいに結びつけることを目指す地方公共団体が増えてきました。文化庁は,このように都市政策の中心に文化政策を据える地方公共団体を応援するため,平成19年度に表彰制度を創設しました。

平成21年度受賞都市(仙台市)の取組

平成21年度受賞都市(仙台市)の取組

 平成21年度からは,「文化芸術創造都市」に取り組む地方公共団体を支援できるよう,情報収集・提供や研修の実施などを通じ,国内の文化芸術創造都市ネットワークの構築に取り組んでいます。

図表2‐7‐12 文化庁長官表彰(文化芸術創造都市部門)受賞都市一覧

図表2‐7‐12 文化庁長官表彰(文化芸術創造都市部門)受賞都市一覧

第5節 文化財の保存と活用

1 文化財保護制度の概要

 我が国には,人間と自然とのかかわりの中で生まれ,地域の風土や生活を反映し,他国の文化との交流を通じてはぐくまれてきた豊かで伝統的な文化が存在します。それらは,現代を生きる私たちに,我が国の歴史や古くからの生活の様子を伝えると同時に,その根底にある知と技を伝え,日々の暮らしに精神的な豊かさや感動,生きる喜びを与えてくれます。また,地域で継承されてきた伝統的な文化は,人々の手によって掘り起され,再認識されることにより,地域の人々の心のよりどころとして連帯感をはぐくみ,共に生きる社会の基盤を形成する役割を担っています。
 文化財は,このような伝統的な文化が結実した一つの形であり,我が国の歴史や文化の理解に欠くことのできない貴重な資産であるとともに,現在・将来の社会の発展向上のために無くてはならないものです。その意味においても,文化財は,将来の地域づくりの核ともなるものとして,確実に次世代に継承していくことが求められます。
 このため,国は,「文化財保護法」に基づき,文化財のうち重要なものについて指定などを行い,現在の状態からの変更,修理,輸出などに一定の制限を行うことで保存を図っています。そのため,有形の文化財については保存修理,防災,買上げなど,無形の文化財については伝承者養成や記録作成などに対して助成などを行うことで,所有者の負担の軽減を図っています。

図表2‐7‐13 国指定等文化財の件数

図表2‐7‐13 国指定等文化財の件数
図表2‐7‐13 国指定等文化財の件数

図表2‐7‐14 文化財保護の体系

図表2‐7‐14 文化財保護の体系

2 有形文化財の保存と活用

(1)有形文化財とは

 建造物,絵画,工芸品,彫刻,書跡,典籍,古文書,考古資料,歴史資料などの有形の文化的所産で,我が国にとって歴史上,芸術上,学術上価値の高いものを総称して「有形文化財」と呼んでいます。
 このうち,「建造物」以外のものを「美術工芸品」と呼んでいます。

(2)国宝,重要文化財の指定など

 国は,有形文化財のうち重要なものを「重要文化財」に指定し,さらに世界文化の見地から特に価値の高いものを「国宝」に指定して保護しています。また,近年の国土開発や都市計画の進展,生活様式の変化などにより,社会的評価を受ける間もなく消滅の危機に晒されている多種多様な近代などの有形文化財については登録という手法で緩やかに保護しています。

図表2‐7‐15 平成21年度の重要文化財(建造物)の指定物件

図表2‐7‐15 平成21年度の重要文化財(建造物)の指定物件

図表2‐7‐16 平成21年度の国宝・重要文化財(美術工芸品)の指定

図表2‐7‐16 平成21年度の国宝・重要文化財(美術工芸品)の指定

(3)保存・活用のための取組

 我が国の有形文化財は,木材などの植物性材料でつくられているものが多く,その保存・管理には適切な周期での修理が必要であるとともに防火などの防災対策が欠かせません。これらは所有者が行うことが原則ですが,多額の経費を要することから国庫補助により行われることがほとんどです。
 特に,地震や火災などの災害から文化財を守るためには,国や地方公共団体の協力の下で,所有者などが事前に対策を講じることが重要なため,文化庁では文化財建造物の地震時における安全性の確保についての考え方を取りまとめ,具体的な耐震診断の指針と手引を策定しています。さらに,平成17年度からは耐震診断の一部についても国庫補助を行っています。こうした施策を通じて文化財を後世に残せるよう支援しています。
 なお,美術工芸品の活用について,重要文化財の鑑賞機会の拡大を図るため,展示や体験学習を行うのに適した文化財保存施設の整備を推進するとともに,博物館などの施設が開催する展覧会について一部の経費を負担しています。
 また,建造物では,所有者が保存活用計画を策定するための指針を取りまとめるほか,「文化財建造物活用への取組―建造物活用事例集」を作成するなど,活用の事例について幅広く紹介を行っています。
 さらに,平成18年度から,文化財建造物活用の新たな取組を創出するため,NPOによる文化財建造物活用モデル事業を実施しています。平成21年度は12事業を採択し,NPOなどに委託して事業を実施しました。

3 無形文化財の保存と活用

(1)無形文化財とは

 演劇,音楽,工芸技術,その他の無形の文化的所産で我が国にとって歴史上又は芸術上価値の高いものを「無形文化財」と呼んでいます。無形文化財は,人間の「わざ」そのものであり,具体的にはそのわざを体現・体得した個人又は団体によって表現されます。

(2)重要無形文化財の指定や保持者などの認定

 国は,無形文化財のうち重要なものを「重要無形文化財」に指定し,同時に,これらのわざを高度に体現・体得しているものを「保持者」又は「保持団体」として認定しています。保持者の認定には,重要無形文化財である芸能又は工芸技術を高度に体現・体得している者を認定する「各個認定」(この保持者がいわゆる「人間国宝」),二人以上の者が一体となって舞台を構成している芸能の場合,そのわざを高度に体現している者が構成している団体の構成員として認定する「総合認定」,重要無形文化財の性格上個人的特色が薄く,かつそのわざを保持する者が多数いる場合,これらの者が主たる構成員となっている団体を認定する「保持団体認定」の3方式が採られ我が国の伝統的なわざの継承を図っています。

図表2‐7‐17 平成21年度の無形文化財の指定・認定(21年9月指定・認定)

図表2‐7‐17 平成21年度の無形文化財の指定・認定(21年9月指定・認定)

(3)保存・活用のための取組

 重要無形文化財の各個認定の保持者に対し,わざの錬磨向上と伝承者の養成のための特別助成金を交付するとともに,重要無形文化財の保持団体や地方公共団体などが行う伝承者養成事業,公開事業などに対して補助を行っています。また,我が国にとって,歴史上,芸術上価値の高い重要無形文化財(工芸技術)を末永く継承し保護していくため,無形文化財資料を購入したり,その「わざ」を映像で記録するとともに,完成した映像記録を公開したりしています。このような施策を通じて無形文化財の保存・活用を図っています。

4 民俗文化財の保存と活用

(1)民俗文化財とは

 衣食住,生業,信仰,年中行事などに関する風俗慣習,民俗芸能,民俗技術やこれらに用いられる衣服,器具,家屋その他の物件で我が国民の生活の推移を理解する上で欠くことのできないものを「民俗文化財」と呼んでおり,有形と無形のものがあります。

(2)重要有形・無形民俗文化財の指定等

 国は,有形,無形の民俗文化財のうち,特に重要なものを「重要有形民俗文化財」,「重要無形民俗文化財」に指定し,その保存を図るとともに,重要有形民俗文化財以外の有形民俗文化財のうち,保存・活用のための措置が特に必要とされるものを「登録有形民俗文化財」に登録しています。また,重要無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財のうち,特に記録作成などを行う必要があるものを「記録作成などの措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選択しています。

図表2‐7‐18 平成21年度の民俗文化財の指定(22年3月指定)

図表2‐7‐18 平成21年度の民俗文化財の指定(22年3月指定)

(3)保存・活用のための取組

 民俗文化財は,日常生活に基盤を置くものであり,近年の急激な社会構造や生活様式の変化によって変容・衰退のおそれがあります。このため,重要有形民俗文化財に指定された衣服や器具・家屋などを保護するための管理や修理,保存活用施設の整備などの事業を支援するとともに,重要無形民俗文化財に関する伝承者の養成や用具などの修理・新調,記録の作成などの事業に対し補助を行っています。また,国が選択した無形の民俗文化財を対象に,特に変容・衰滅の恐れが高いものについて,計画的に映像等による記録化を進め,確実な記録保存を行っています。このような施策を通じてそれぞれの地域に根差す民俗文化財の保存・活用を図っています。

5 記念物の保存と活用

(1)記念物とは

 貝塚,古墳,都城跡,城跡,旧宅などの遺跡で我が国にとって歴史上又は学術上価値の高いもの,庭園,橋梁,峡谷,海浜,山岳などの名勝地で我が国にとって芸術上又は鑑賞上価値の高いもの,動物や植物,地質鉱物で我が国にとって学術上価値の高いものを総称して「記念物」と呼んでいます。

(2)史跡,名勝,天然記念物の指定など

 国は,記念物のうち重要なものを,遺跡は「史跡」に,名勝地は「名勝」に,動物,植物と地質鉱物は「天然記念物」に指定し,特に重要なものについては,「特別史跡」,「特別名勝」,「特別天然記念物」に指定しています。

図表2‐7‐19 平成21年度の史跡・名勝・天然記念物の指定

図表2‐7‐19 平成21年度の史跡・名勝・天然記念物の指定

 また,今日の地域開発の進展や生活様式の急激な変化にともない,残存することが困難な状況にある記念物については登録という手法で緩やかに保護しています。登録記念物については,遺跡関係,名勝地関係,動物や植物,地質鉱物関係の3つの種別があります。

(3)保存・活用のための取組

 史跡などを確実に次世代に伝えるためには,調査研究に基づき本質的価値を把握した上で,保存と管理の基本方針を定めることが必要です。このため,国は,地方公共団体がこのような方針を定める保存管理計画の作成経費に対し,国庫補助を行っています。
 さらに,所有者や管理団体が実施する境界標などの管理施設の設置,石垣や歴史的建造物などの修理や,遺構の表示や復元,園路などの各種施設の整備など,保存活用事業に対して補助を行っています。

6 文化的景観の保存と活用

(1)文化的景観とは

 文化的景観とは,地域における人々の生活又は生業やその地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないものをいいます。

(2)重要文化的景観の選定

 文化的景観を有する都道府県又は市町村では,「景観法」や条例などに基づき,当該都道府県又は市町村が策定する文化的景観保存計画により,文化的景観の適切な保存・活用を図っています。このような文化的景観のうち,国は,都道府県又は市町村の申出に基づき,特に重要なものを「重要文化的景観」として選定しています。

図表2‐7‐20 重要文化的景観

図表2‐7‐20 重要文化的景観

(3)保存・活用のための取組

 都道府県又は市町村が行う文化的景観に関する調査や文化的景観保存計画の策定,普及・啓発,重要文化的景観の整備などに関する事業に国庫補助を行っています。
 また,平成17年度から19年度にかけて実施した「採掘・製造,流通・往来及び居住に関する文化的景観の保護に関する調査研究」の成果に基づき,農林水産業に関連する文化的景観のみならず,都市・鉱工業などに関連する文化的景観についても,適切な評価・保存・活用を図っています。

7 伝統的建造物群の保存と活用

(1)伝統的建造物群とは

 周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値が高いものを「伝統的建造物群」と呼んでいます。

(2)重要伝統的建造物群保存地区の選定

 市町村は,伝統的建造物群やこれと一体をなして価値を形成している環境を保存するために「伝統的建造物群保存地区」を定め,地区内の現状変更の規制や保護のための諸事業などを行い,歴史的集落や町並みの保存と活用を図っています。城下町や宿場町,門前町,農漁村集落などがこれに当たります。国は,伝統的建造物群保存地区のうち,市町村の申出に基づき,我が国にとってその価値が特に高いものを「重要伝統的建造物群保存地区」に選定しています。

図表2‐7‐21 重要伝統的建造物群保存地区

図表2‐7‐21 重要伝統的建造物群保存地区

(3)保存・活用のための取組

 国は,伝統的建造物群保存地区を定めるために行う伝統的建造物群の保存対策調査,重要伝統的建造物群保存地区において,伝統的建造物の修理,伝統的建造物以外の建築物などの修景,伝統的建造物群と一体をなして価値を形成している土地や自然物の復旧・整備,防災計画を策定するための調査,防災のための施設・設備の設置,保存に要する建造物や土地の公有化など,市町村が行う事業に国庫補助を行っています。

8 文化財保存技術の保存

(1)文化財保存技術とは

 我が国の固有の文化により生み出され,現在まで保存・継承されてきた文化財を,確実に後世へ伝えていくために欠くことのできない,文化財の修理技術やそれに用いられる材料や道具の製作技術などを「文化財保存技術」と呼んでいます。

(2)選定保存技術の選定及び保持者等の認定

 国は,文化財保存技術のうち,保存措置を講ずる必要があるものを「選定保存技術」として選定し,保護を図っています。また,そうした技術・技能を正しく体得しているものを「保持者」として,技術・技能の保存のための事業を行う団体を「保存団体」として認定しています。

図表2‐7‐22 平成21年度の選定保存技術の選定・認定(21年9月選定・認定)

図表2‐7‐22 平成21年度の選定保存技術の選定・認定(21年9月選定・認定)

(3)保存のための取組

 文化財の修理技術や,それに用いられる用具・道具の製作技術の保存のため,保持者や保存団体が行う技術の錬磨,伝承者の養成,記録作成事業に対して補助を行っています。このような施策を通じて文化財保存技術の保存を図っています。

9 埋蔵文化財の保護

 埋蔵文化財は,国や地域の歴史や文化の成り立ちを明らかにする上で欠くことのできない国民共有の財産であり,個性豊かな地域の歴史的・文化的環境を形づくる貴重な資産です。
 このような埋蔵文化財を保護するため,文化財が埋蔵されている土地の範囲を周知するとともに,そのような土地で開発事業などを行う場合には,事前に遺跡の内容を確認するための発掘調査を行った上で,現状保存のための調整や,現状保存を行うことができない場合には記録として保存するための発掘調査を行います。また,記録保存のために行った調査については,発掘調査現場や報告書などについて積極的に公開を行うなど,普及を行うことが求められます。
 文化庁では,こうした埋蔵文化財の保護が円滑かつ迅速に実施されるよう,発掘調査体制や調査方法,遺物の整理収納方法の充実などの様々な課題について「埋蔵文化財発掘調査等の整備充実に関する調査研究」を行い,その成果については,課題ごとに報告書を取りまとめ,文化庁より各都道府県に通知を行っています。それを受けて,各都道府県において埋蔵文化財の取扱基準を策定するなど,所要の施策が行われています。

10 文化財の総合的な把握

 文化財は,それが作られた環境と人々の営みとが関わりながら伝統的な価値を形成するとともに,文化財同士はお互いに関連性を持っています。また,文化財を残していくためには,その価値をわかりやすく伝えることが必要です。
 そのため,個々の文化財をきちんと保護するということに加えて,一定のテーマを設定して複数の文化財をその周辺の環境まで含め,総合的に保存・活用していくこと(文化財の総合的な把握)が必要となります。
 具体的には,地域の文化財をその周辺も含めて保存・活用していくための基本的な構想(歴史文化基本構想)を作り,文化財を中心に,地域全体を歴史・文化の空間としてとらえ,いろいろな取組をあわせて行うことで,魅力的な地域づくりを行うことができます。
 「歴史文化基本構想」を作る際に,各市町村において,文化財の担当とまちづくりの担当が協力することはもちろんのこと,地域住民やNPO法人,企業などとも協力することで,文化財の保存・活用についても,地域住民にとっても望ましい一貫した取組が行われることが期待されます。
 文化財の総合的な把握を推進する取組の一つとして,「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律」(通称:歴史まちづくり法)に基づく歴史的風致維持向上計画の認定制度があります。これは,市町村が地域に根ざした人々の活動と建造物が一体となって良好な景観を形成している区域を維持,向上させるための計画を国が認定するもので,国から重点的な支援を受けることができます。

図表2‐7‐23 歴史・文化を生かしたまちづくり

図表2‐7‐23 歴史・文化を生かしたまちづくり

11 古墳壁画の保存活用事業

(1)高松塚古墳の整備・キトラ古墳の壁画取り外し

 高松塚古墳では,平成19年の石室解体後,壁画・石室石材の修理期間中の措置として,古墳の仮整備工事を実施しました。21年10月に工事が終了し,現在は,整備した古墳の外観を公開しています。
 キトラ古墳では,壁画のうち絵が確認されている部分の取り外しはすべて終了し,現在は,絵が描かれていない余白部分の取り外しを行っています。取り外した壁画は国宝高松塚古墳壁画仮設修理施設において,高松塚古墳の壁画・石室石材とともに保存修理を行っています。

(2)普及・公開事業の実施

 平成21年5~6月(8日間)・10~11月(8日間)に,高松塚古墳の壁画・石材の修理作業を行っている国宝高松塚古墳壁画仮設修理施設内修理作業室の一般公開を行いました。また,国立文化財機構奈良文化財研究所飛鳥資料館の春期特別展(5月)において,キトラ古墳壁画の四神「青龍」,「白虎」の特別公開を行いました。

(3)高松塚古墳壁画劣化原因調査と高松塚古墳・キトラ古墳の保存活用に関する検討会の開催

 高松塚古墳壁画の劣化原因について調査検討を行ってきた「高松塚古墳壁画劣化原因調査検討会」が,平成22年3月に報告書をとりまとめました。今後,検討会の成果を踏まえつつ,引き続き壁画の保存修理に取り組んでいくこととしています。また,高松塚古墳・キトラ古墳の保存活用について,有識者による「古墳壁画保存活用検討会」において検討しています。

仮整備後の高松塚古墳

仮整備後の高松塚古墳

12 世界遺産と無形文化遺産

(1)世界遺産の登録の推進

1.「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(「世界遺産条約」)

 「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」は,顕著な普遍的価値を持つ文化遺産・自然遺産を,人類全体のための世界の遺産として損傷・破壊などの脅威から保護することを目的として,昭和47年のユネスコ総会において採択されました。我が国は平成4年に同条約を締結し,22年1月現在で186カ国が締結しています。
 毎年1回開催される世界遺産委員会は,締約国からの推薦に基づき,顕著な普遍的価値を持つと認める文化遺産・自然遺産を世界遺産一覧表に記載し,平成21年7月現在,890件の遺産(文化遺産689件,自然遺産176件,複合遺産25件)が,我が国では14件の遺産(文化遺産11件,自然遺産3件)が記載されています。
 世界遺産一覧表への記載を推進することは,我が国の貴重な文化遺産の国際的な価値が評価されるとともに,記載を目指す過程で地域における総合的な文化財保護の取組が格段に充実するという点で,大きな意義があります。

図表2‐7‐24 我が国の世界遺産一覧

図表2‐7‐24 我が国の世界遺産一覧

2 世界遺産の登録・推進に向けた国内の取組について

 締約国は,世界遺産の候補としてふさわしいと考えられる文化遺産・自然遺産の一覧表を,世界遺産暫定一覧表として世界遺産委員会に提出することが求められています。
 現在,我が国の世界遺産暫定一覧表に記載されている文化遺産は,11件です。このうち,「平泉の文化遺産」については,平成20年7月に開催された世界遺産委員会において「記載延期」との審議結果であったため,世界遺産委員会において示された課題の整理を図り,22年1月に再び,「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び関連の考古学的遺跡群―」として世界遺産委員会に推薦書を提出しました。あわせて,「小笠原諸島」についても,環境省,林野庁,文化庁共同で,自然遺産としての記載を目指して推薦書を提出しました。この「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び関連の考古学的遺跡群―」と「小笠原諸島」の世界遺産一覧表への記載の可否は,23年夏の世界遺産委員会において審議される予定となっています。

(2)無形文化遺産の保護に関する取組

 平成15年のユネスコ総会において,無形文化遺産の保護に関し拘束力のある初めての国際的な法的枠組みとして「無形文化遺産の保護に関する条約」が採択され,18年4月20日に発効しました。
 我が国は,本条約の策定段階から主導的役割を果たすとともに,本条約の早期発効を促すため,平成16年6月に3番目の締約国となりました。22年1月現在で120カ国が締結しています。
 本条約は,無形文化遺産を保護することを目的として,そのための国際的な協力や援助体制の確立,締約国がとるべき必要な措置等について規定しています。本条約への対応を図るため,1.締約国が作成する「自国内の無形文化遺産の目録」については,「重要無形文化財」,「重要無形民俗文化財」,「選定保存技術」に指定・選定された文化財の一覧を,我が国の目録とする,2.「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表(代表一覧表)」には,我が国の文化的多様性を示すため,「重要無形文化財」,「重要無形民俗文化財」,「選定保存技術」のそれぞれから,文化財の特徴等に基づき設定した区分ごとに,指定の時期が早いものから順に提案する,3.「緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表」には,我が国から当面提案を行わない,ということを決定しました。
 平成21年9月末には,本条約の政府間委員会がアラブ首長国連邦のアブダビで開催され,我が国の「雅楽」,「アイヌ古式舞踊」などの13件を含む76件が「代表一覧表」に記載されることになりました。
 なお,代表一覧表には,既に,「人類の口承及び無形遺産に関する傑作」として宣言された90件(我が国の「能楽」,「人形浄瑠璃文楽」,「歌舞伎」を含む。)が含まれています。

図表2‐7‐25 代表一覧表に記載されている我が国の無形文化遺産(16件)

図表2‐7‐25 代表一覧表に記載されている我が国の無形文化遺産(16件)

(注)「傑作宣言」は「人類の口承及び無形遺産に関する傑作」として宣言されたものをいう。

第6節 美術館・博物館・劇場などの振興

1 我が国の美術館・歴史博物館の概要

 我が国には1,245館の登録博物館・博物館相当施設がありますが,そのうち美術博物館(主として美術に関する資料の収集・展示・保管を行う博物館),歴史博物館(主として歴史や民俗に関する資料の収集・展示・保管を行う博物館),総合博物館の合計は1,031館であり,全体の約8割を占めています。

2 美術館・歴史博物館への支援

 文化庁では,美術館・歴史博物館が地域住民の文化芸術活動・学習活動の場として積極的に活用され,文化芸術の国内外への発信拠点としての機能が充実するよう,事業に対する支援や人材養成などを行っています。

(1)美術館・歴史博物館活動基盤整備支援事業

 美術館・歴史博物館の果たす役割の重要性を踏まえ,文化庁では平成21年度から,館が自らの事業の方向性を社会の変化に対応させるための活動基盤の整備に焦点をあて,地域との関係の強化(地域軸の強化)と国際的な交流の拡大(国際軸の強化)に資する取組に対して支援を行っています。
 本事業は,全国の美術館・歴史博物館の中から,優れた取組を広く公募し,その実施を支援するとともに,この取組について全国の美術館・博物館に広く情報提供を行うことにより,全国の館が時代の要請に応える活動基盤整備に取り組むことを促進するものです。

(2)美術館・歴史博物館を支える人材の養成など

 公私立の美術館・歴史博物館の学芸員などの専門的な知識や技術を向上させ,美術館・歴史博物館活動の充実を図ることが求められています。このため,文化庁では,国立美術館・国立博物館などの協力を得て,企画展示セミナー,運営研究協議会など,様々な研修会や講習会などを実施しています。

3 登録美術品制度の実施

 優れた美術品の美術館や博物館における公開を促進することにより,国民が美術品を鑑賞する機会を拡大することを目的とする「美術品の美術館における公開の促進に関する法律」に基づいて,「登録美術品制度」が設けられています。
 この制度は,優れた美術品について,個人や企業などの所有者からの申請に基づき,専門家の意見を参考にして文化庁長官が登録を行うものです。
 登録された美術品は,所有者と美術館の設置者との間で結ばれる登録美術品公開契約に基づき,その美術館において5年以上の期間にわたって計画的に公開・保管されます。また,登録美術品については,相続税の物納の特例措置が設けられています。
 これまでに28件(362点)の美術品が登録美術品として登録されました(平成21年12月現在)。

「清宵」 米原雲海作

「清宵」
米原雲海作

4 国立美術館

 国立美術館は,独立行政法人として,東京国立近代美術館,京都国立近代美術館,国立西洋美術館,国立国際美術館,国立新美術館それぞれの特色を生かしつつ,5館が連携・協力して,美術作品の収集・展示,教育普及活動やこれらに関する調査研究を行うとともに,我が国の美術振興の拠点として,海外の美術館や作家との交流,公私立美術館への助言を行っています(参照:国立美術館ホームページ:http://www.artmuseums.go.jp/)。
 平成21年度においては,所蔵作品展とともに,「ヴィデオを待ちながら―映像,60年代から今日へ」(東京国立近代美術館),「ウィリアム・ケントリッジ―歩きながら歴史を考えるそしてドローイングは動き始めた……」(京都国立近代美術館),「ルーヴル美術館展17世紀ヨーロッパ絵画」(国立西洋美術館),国立国際美術館新築移転5周年記念「絵画の庭‐ゼロ年代日本の地平から」(国立国際美術館),「アーティスト・ファイル2009―現代の作家たち」(国立新美術館)など37回の企画展を開催した他,美術館を活用した鑑賞教育の充実のための指導者研修や,国立国会図書館などとの連携による美術情報の多元的発信などを行いました。また,東京国立近代美術館フィルムセンターでは,国内外の関係機関と連携して黒澤明監督『羅生門』をデジタル復元しました。

図表2‐7‐26 国立美術館

図表2‐7‐26 国立美術館

5 国立文化財機構

 国立文化財機構は,東京国立博物館,京都国立博物館,奈良国立博物館,九州国立博物館の4博物館を設置し,有形文化財を収集し,保管して国民の皆様の観覧に供するとともに,東京文化財研究所,奈良文化財研究所を加えた6施設において調査研究などを行うことにより,貴重な国民的財産である文化財の保存と活用を図ることを目的としています(国立文化財機構ホームページ:http://www.nich.go.jp)(図表2‐7‐27)。
 現在国立博物館では国宝・重要文化財を含む約12万件の文化財を所蔵しています。また,これらの文化財を活用し,平常展,企画展などを通じて日本の歴史・伝統文化や東洋文化の魅力を国内外に発信する拠点としての役割も担っています。平成21年度においては,「興福寺創建1300年記念国宝阿修羅展(東京国立博物館)」,「開山無相大師650年遠諱記念妙心寺(京都国立博物館)」,「国宝鑑真和上展(奈良国立博物館)」,「聖地チベット‐ポタラ宮と天空の至宝(九州国立博物館)」などの特別展を開催しました。
 東京文化財研究所では,日本・東洋の美術・芸能の調査研究や文化財の保存に関する科学的な調査,修復材料・技術の開発に関する研究を行うとともに,海外の博物館・美術館が所蔵する日本古美術品の修復協力,アフガニスタンやイラクの文化財保存修復に関する協力など国際交流を進めています。
 奈良文化財研究所では,遺跡,建造物,歴史資料などの調査研究や平城宮跡,飛鳥・藤原宮跡の発掘調査などを進めるとともに,全国各地の発掘調査などに対する指導・助言や発掘調査を行う専門職員などに対する研修を行っています。

図表2‐7‐27 国立博物館

東京国立博物館

東京国立博物館
 我が国の総合的な博物館として,日本を中心にして広く東洋諸地域にわたる美術や考古資料などの有形文化財を収集・保管・展示するとともに,美術に関する図書・拓本・写真などの資料を収集して研究者に公開し,あわせてこれらに関する調査研究・出版物の刊行を行っています。

京都国立博物館

京都国立博物館
 平安から江戸時代の京都文化を中心に,文化財を収集・保管・展示するとともに,これに関する調査研究を行っています。そのほか,文化財の修復や模写,研究を行うための文化財保存修理所を設置しています。

奈良国立博物館

奈良国立博物館
 仏教美術を中心とした文化財について収集・保管・展示するとともに,これに関する調査研究などを行っています。そのほか,文化財の修復や模写,研究を行うための文化財保存修理所を設置しています。

九州国立博物館

九州国立博物館
 「日本文化の形成をアジア史的観点から捉える」博物館として,旧石器時代から近世末期(開国)までの我が国の文化の形成について,アジア諸地域との「交流」という視点から,文化財の収蔵・展示・調査研究・博物館科学などを行っています。また,伝統的技術と科学的な技術を融合した保存修復を実施しています。

携帯型蛍光X線分析計を用いた顔料の非破壊分析(インドアジャンター石窟壁画)

携帯型蛍光X線分析計を用いた顔料の非破壊分析(インドアジャンター石窟壁画)

東京文化財研究所
 文化財全般の基礎的・体系的な研究,保存科学,修復技術に関する先端的・科学的な知見,技術を集約した拠点としての役割を担っています。また,海外の博物館・美術館が所蔵する日本古美術品の修復協力,アフガニスタンやイラクの文化財保存修復に関する協力など,国際交流を進めています。

平城宮大極殿院の調査全景

平城宮大極殿院の調査全景

奈良文化財研究所
 歴史,美術,建造物,庭園などの貴重な文化財について調査研究をしています。平城宮跡や飛鳥・藤原宮跡の発掘調査を進めるほか,新たな保存技術と研究方法を開発し,全国各地の発掘調査,保存,修復,整備,復元に対する協力・助言,研修などを行っています。また,東アジアとの研究交流や東南アジア諸国への研究支援も行っています。

6 国立劇場

(1)伝統芸能の保存・振興

 我が国の伝統芸能の保存と振興を目的として,国立劇場,国立演芸場,国立能楽堂,国立文楽劇場,国立劇場おきなわの5館において,歌舞伎,大衆芸能,能楽,文楽,組踊などの伝統芸能の公開や伝統芸能の伝承者の養成,伝統芸能に関する調査研究・資料収集・展示,劇場施設の貸出しなどを実施しています(参照:日本芸術文化振興会ホームページ:http://www.ntj.jac.go.jp)。
 平成21年度は,公演事業として歌舞伎「京乱噂鉤爪」(国立劇場),能「野馬台の詩」(国立能楽堂),文楽「天変斯止嵐后晴」(国立文楽劇場・国立劇場),組踊「遁ぎれ,結婚」(国立劇場おきなわ)などの新しい作品を上演しつつ,古典作品の継承にも力を入れ,5館で計185公演(1,056回)を実施しました。
 伝承者養成事業では,歌舞伎俳優6名,歌舞伎音楽3名,大衆芸能1名が研修を修了しました。また,各館において展示や各種講座等を実施し,伝統芸能に関する理解促進と普及に努めています。
 なお,平成21年度には国立演芸場が開場30周年,国立文楽劇場が開場25周年を迎え,それぞれの劇場で盛大に記念公演を行いました。

(2)現代舞台芸術の振興・普及

 我が国の現代舞台芸術振興の拠点として,平成9年10月に新国立劇場が開場し,オペラ,バレエ,現代舞踊,演劇等の公演の実施や,現代舞台芸術の実演家などの研修,現代舞台芸術に関する調査研究・資料収集・展示,劇場施設の貸付けなどを実施しています(参照:新国立劇場ホームページ:http://www.nntt.jac.go.jp)。
 平成21年度は,公演事業としてオペラ「ヴォツェック」,バレエ「くるみ割り人形」,現代舞踊「金森穣Noism09」,演劇「ヘンリー六世」などの意欲的な作品を含め,計35公演(248回)を実施しました。
 実演家研修事業では,オペラ5名,バレエ6名,演劇14名が研修を修了しました。また,新国立劇場や新国立劇場舞台美術センター資料館において展示や各種講座などを実施し,現代舞台芸術の理解促進と普及に努めています。

図表2‐7‐28 国立劇場

図表2‐7‐28 国立劇場

第7節 国際文化交流を通じた日本文化の発信と国際協力への取組

 国際化の進展に伴い,国際的な文化交流を通じて世界の人々との相互理解を増進し,国際平和と自由な世界の実現に貢献していくことが求められています。また,21世紀の国際社会では,文化芸術の魅力によって世界の国々を引きつけることのできる「文化力」が重要になってきています。特に,海外でも評価の高い我が国のアニメ,マンガ,映画などメディア芸術を中心に海外への情報発信が求められています。
 文化庁では,文化芸術振興基本法や,基本方針を踏まえ,世界に誇ることができる芸術の創造・その国内外への発信,文化芸術の国際交流の推進,海外の文化遺産保護への協力などを通じて,文化芸術立国の実現に向けた施策の充実に取り組んでいます。

1 国際文化交流の推進を通じた日本文化の発信

(1)文化庁文化交流使事業

 文化庁文化交流使事業は,芸術家,文化人など,文化芸術に携わる人々を,一定期間「文化交流使」として指名し,世界の人々の日本文化への理解の深化や,日本と外国の文化人のネットワーク形成・強化につながる活動の展開を図ることを目的とした事業です。「文化交流使」には,日本在住の芸術家,文化人が海外に一定期間滞在し,講演,講義,ワークショップや実演などを行う「海外派遣型」,海外在住の芸術家,文化人がその在住国などで同様の活動を行う「現地滞在者型」,国際芸術交流支援事業により海外で公演などを行う芸術団体が,現地の学校などで実演会,演奏会などのアウトリーチ活動を行う「短期指名型」の3つの類型があります。
 平成21年度は,「海外派遣型」文化交流使として10名,「現地滞在者型」文化交流使として1名を新たに指名し,人形浄瑠璃文楽などの日本の伝統文化から,香道・囲碁・将棋まで様々な分野で活躍中の内外の文化人・芸術家の方々による国際文化交流と日本文化の発信活動を展開しています(図2‐7‐29)。

図表2‐7‐29 平成21年度文化交流使

図表2‐7‐29 平成21年度文化交流使
図表2‐7‐29 平成21年度文化交流使 

 また,「短期指名型」文化交流使に指名された5団体は,主に日本と周年を迎えた国々で,実演やワークショップなどを通じて,それぞれの専門分野の日本文化を紹介しました。

(2)国際文化フォーラムの開催

 「国際文化フォーラム」は,内外の芸術家,文化人などを招へいし,座談会,対談,講演などの形式により世界の文化芸術の最新の情報や文化を取り巻く課題に関する知見を交換する場として,平成15年度から開始した事業です。
 平成21年度は11月13日から「文化の多様性」を共通テーマに東京・奈良・大阪において,講演・座談会を行い,文化の意義や影響力について,世界に向けメッセージを強く発信しました(図表2‐7‐30)。

平成21年度国際文化フォーラム専門家会議1

平成21年度国際文化フォーラム専門家会議1

図表2‐7‐30 平成21年度国際文化フォーラム 行事一覧

図表2‐7‐30 平成21年度国際文化フォーラム 行事一覧

(3)日本文化芸術の総合発信ウェブサイトの整備

 文化庁では,我が国の文化芸術団体などの活動を調査し,これらの情報についてインターネットを用いて英語で海外に提供するウェブサイトの整備を進めています。現在,「日本文化芸術オンライン」を文化庁のホームページにて試行公開中です。
(日本文化芸術オンライン:http://www.bunka.go.jp/culture-online/jp/index.html

日本芸術文化オンライントップページ

日本芸術文化オンライントップページ

(4)国際芸術見本市「インターナショナル・ショーケース」

 国内外の劇場関係者に,「音楽」「ダンス」「演劇」などの分野における我が国の新進の舞台芸術作品を実演により紹介する国際芸術見本市を,平成22年3月に東京芸術劇場(池袋)にて開催しました。「インターナショナル・ショーケース2010」では,舞台芸術作品を要約して実演するショーケースの他,モントリオールやインドネシアの舞台芸術見本市と連携した招へいプログラムを実施し国内外の数多くの作品を紹介しました。

(5)高校生国際文化交流事業

 次世代の国際文化交流を担う高校生の文化活動を対象に,海外において同じ分野の文化芸術に携わる現地の高校生との交流を図り,互いの作品や制作などにかかる意見交換や作品の共同制作を試みるワークショップを行っています。
 平成21年度は「囲碁」分野を韓国に,「郷土芸能(和太鼓)」分野をシンガポールに,「書道」分野や「弁論」分野を中国にそれぞれ派遣しました。

(6)「国際交流年」に対する文化庁の取組

 文化・教育,スポーツなど,幅広い分野で官民を通じた交流事業を開催・実施することによって,諸外国との友好と相互理解を深めることを目的とした「国際交流年」が設定されています。
 平成21年は,「日メコン交流年2009」,「日本・ドナウ交流年2009」に当たり,文化庁として様々な事業を主催・支援しました。

2 外国人に対する日本語教育施策の推進

(1)外国人に対する日本語教育施策の概要

 近年,外国人登録者数(約220万人:平成20年12月法務省調べ),日本語学習者数(約17万人:平成20年11月文化庁調べ)は,いずれも増加しており,それとともに外国人の日本語学習目的が多様化しています。
 このような状況のもと,文化庁では,外国人労働者問題関係省庁連絡会議や定住外国人施策推進会議における提言などを踏まえ,コミュニケーションの手段,文化発信の基盤としての日本語教育の推進を図るため様々な取組を行っています(図表2‐7‐31)。

図表2‐7‐31 日本語教育に関する取組

図表2‐7‐31 日本語教育に関する取組

(2)外国人に対する日本語教育の標準的な内容などの検討

 平成19年7月,近年の外国人の定住化傾向や社会参加の必要性の高まりを踏まえた日本語教育の在り方について検討を行うため,文化審議会国語分科会に日本語教育小委員会を設置しました。20年1月に整理した「今後検討すべき日本語教育の課題」に基づき,これまで,「地域における日本語教育の体制整備」と「生活者としての外国人に対する日本語教育の目的及び標準的な内容等」について審議を行ってきました。「生活者としての外国人に対する日本語教育の目的及び標準的な内容等」については,生活者としての外国人に対する日本語教育のための標準的なカリキュラムの開発に向けて検討を行っています。

3 芸術文化交流

 芸術文化の国際交流の推進は,我が国の芸術文化や生活文化の発展にとっても,重要であり,文化庁では,様々な施策に取り組んでいます(図表2‐7‐32)。

図表2‐7‐32 文化庁の国際芸術文化交流事業の概要

図表2‐7‐32 文化庁の国際芸術文化交流事業の概要

4 国際社会の一員としての文化財国際交流・協力の推進

 文化遺産は人類共通の財産であり,その保護のためには国際的な交流・協力が不可欠です。我が国は,長年にわたり,国内外の文化財に関する調査研究を行うとともに,保存修復のための高度な技術を開発し,経験を蓄積してきました。文化財保護の国際的な取組が進展する中で,我が国に対する期待はこれまで以上に高まっています。このため,文化庁では,次のような取組を行っています。

(1)文化遺産保護国際協力のための体制構築

1 .海外の文化遺産の保護に係る国際的な協力の推進に関する法律

 平成18年6月,海外の文化遺産の保護に係る我が国の国際協力について,国や教育研究機関の果たすべき責務,基本方針の策定,関係機関の連携強化などの講ずべき施策について定めた「海外の文化遺産の保護に係る国際的な協力の推進に関する法律」が成立しました。平成19年12月には,同法に基づき,国や研究機関,文化遺産国際協力コンソーシアムなどの役割のほか,重点地域をアジアとすることや経済協力との連携強化などについて盛り込んだ基本方針が策定されました。
 この基本方針に基づき,文化面における我が国の積極的な国際貢献の取組を国際的にアピールするとともに,国内の協力体制の構築や関係機関の連携強化による効果的な文化遺産国際協力を実施しています。

2.文化遺産国際協力コンソーシアム(※2)の構築

 関係省庁,教育研究機関,独立行政法人,民間助成団体などが一体となって効果的・効率的な文化遺産国際協力を推進するため,国内各研究機関等のネットワーク構築,情報の収集・提供,調査研究などを実施する文化遺産国際協力コンソーシアムが,平成18年6月に発足しました。これは,「海外の文化遺産の保護に係る国際的な協力の推進に関する法律」に基づく施策の一つです。


※2 文化遺産国際協力コンソーシアム
 各研究機関の調査研究や保存修復活動の成果などの情報を集積し,それらの情報交換の拠点となるとともに,各研究機関やそれらに所属する研究者の相互交流を進めることを目的とする各研究機関による緩やかな連携体組織。

(2)国際社会からの要請などに基づく国際支援

1.文化遺産保護国際貢献事業(緊急的文化財国際事業への支援)

 文化庁は,平成16年度より,「文化遺産保護国際貢献事業」として,紛争や自然災害により被災した文化遺産について関係国・機関からの要請などに応じ,我が国専門家の派遣,又は相手国の専門家の招へいを行うなどの緊急対応の専門家交流事業を実施しています。

<緊急対応事例>
○平成16~18年度アフガニスタン国立公文書所蔵の文字文化財保存支援事業
○平成17~18年度インドネシア・アチェ州公文書館への支援事業
○平成17年度~ベトナム・タンロン遺跡への調査団派遣
○平成18~19年度インドネシア・ジャワ島中部地震被災状況調査支援
○平成20年度中国四川省震災復興に関する専門家派遣事業(ワークショップ開催)
○平成21年度~イタリア・ラクイラ地震に対する文化財修復における協力(専門家派遣等)

2.文化遺産保護国際貢献事業(文化遺産国際協力拠点交流事業)

 文化庁は,平成19年度より,海外の国や地域において文化遺産の保護に重要な役割を果たす機関などとの交流や協力を行う拠点交流事業を実施しており,現地で文化遺産の保護に携わる人材の養成に取り組んでいます。

<主な拠点交流事例>
○平成19年度~インド・アジャンタ石窟壁画保存に関する交流事業
○平成20年度~インドネシア・ボルブドゥール遺跡に関する交流事業
○平成20年度~タジキスタン・ソグド壁画保存修復活動を通じた中央アジア諸国との文化財保護交流事業
○平成20年度~モンゴル・国立文化遺産センターを拠点とした交流事業

 これらの事業は,文化遺産国際協力コンソーシアム,外務省や国際交流基金その他の関係機関の協力の下で実施しています。

3.アフガニスタンへの文化財協力

 文化庁では,「アフガニスタン等文化財国際協力会議」(平成14年9月~15年8月)の提言に基づき,アフガニスタンなどにおける文化財保存修復に関する国際的な協力を行っています。国立文化財機構東京文化財研究所では「西アジア文化遺産保存修復協力事業」の一環として,バーミヤン遺跡の地下探査やアフガニスタンの文化財専門家や修復家の招へい研修を行っています。

(3)二国間取極などによる国際交流・協力

1.海外展

 文化庁は,日本の優れた文化財を諸外国に紹介することにより,我が国の歴史と文化に対する理解の増進と国際親善の推進に寄与することを目的として,昭和26年以降,国宝・重要文化財を含む日本古美術品の展覧会を,海外の美術館などとの共催により開催しています。
 平成21年度は,大英博物館(英国)で「土偶」展(ThePowerofDOGU)を開催し,縄文時代の土偶を中心とする国宝,重要文化財を含む67件の文化財を展覧しました。この展覧会開催後,帰国展として東京国立博物館で「国宝土偶」展を開催し,大英博物館に出品した文化財を展覧しました。また,メトロポリタン美術館(アメリカ合衆国)では,「侍の芸術」展(ArtoftheSAMURAI)を開催し,我が国の日本刀やその刀装具や甲冑などの武器・武具を中心に,国宝,重要文化財を含む209件の文化財を展覧しました。なお,会期中には,それぞれロンドン日本人学校,ニューヨーク日本人学校などの児童生徒を対象に,海外展に関する特別授業・見学を行いました。

2.アジア諸国への文化財の保存修復協力

 文化庁では,アジア諸国へ文化庁調査官などの専門家を派遣して,歴史的建造物の共同調査や保存修復についての技術協力を行い,あわせて,アジア諸国の文化財の専門家,行政官を招へいして,技術協力に関する協議や研修を行うなど,文化財建造物の保存修復分野における研究交流,人材育成を推進しています。
 平成21年度は,韓国文化財庁の行政官,技術者を招へいして,第5回日韓文化財建造物保存協力協議会を開催し,今後の二国間技術協力の方針について協議を行いました。また,インドネシアへ文化庁調査官を派遣して,スンバワ島旧王宮保存修復事業について現地での技術指導を行いました。

3.イタリアとの交流・協力

 我が国は,文化財の保存修復や国際協力の分野で長年の経験を有するイタリアと,積極的な交流を行っています。
 平成19年3月には,伊吹文部科学大臣(当時)とルテッリ伊文化財・文化活動大臣(当時)が,日・イタリア文化遺産国際協力の文書に署名しました。20年3月,壁画の保存修復と活用の調和に関する協力,文化的景観と歴史的街区の保護に関する協力などを実施することで合意し,平成20年度からこれらの共同プロジェクトが進行しています。今後も,両国の保存修復などの現場を活用して,共同研究,相互の専門家の派遣や情報交換などを実施していく予定です。
 なお,平成21年4月に発生したイタリア・ラクイラ地震に関して,同年7月のラクイラサミット時の日伊首脳会談において,文化財修復分野での協力を進めていくことを伝えました。これに基づき,同年8月には現地へ専門家を派遣しましたが,具体的な支援の在り方については,イタリア側の意向を踏まえて検討していくこととしています。

4.イクロムとの連携協力

 我が国は,国際機関である文化財保存修復研究国際センター(イクロム:ICCROM)に加盟し,分担金の拠出(米国に次ぐ第2位の拠出国)や国際的な研究事業などに協力するほか,平成12年度からは同センターに文化庁の職員を派遣し,連携の強化を図っています。

5.国際民俗芸能フェスティバル

 文化庁では,我が国の民俗芸能と関連の深い芸能を外国から招き,国内の民俗芸能とともに公開する「国際民俗芸能フェスティバル」を行っています。平成21年度はエストニアやタイの民俗芸能を招へいしました。

(4)文化財の不法な輸出入などの規制

 不法な文化財取引を防止し,各国の文化財を不法な輸出入などの危険から保護することを目的として,我が国は,平成14年に「文化財の不法な輸入,輸出及び所有権移転を禁止し及び防止する手段に関する条約」を締結しました。あわせて「文化財の不法な輸出入等の規制等に関する法律」の制定と文化財保護法の改正を行いました(同年12月9日から施行)。
 法律の主な内容は,以下のとおりです。

○外国の博物館などから盗取されたもので文部科学省令で定める文化財(特定外国文化財)については,原則として輸入禁止
○特定外国文化財の盗難の被害者については,民法で認められている代価弁償を条件として,回復請求期間を2年間から特例として10年間に延長
○重要有形民俗文化財の輸出については,届出制から許可制へ

(5)武力紛争の際の文化財の保護

 我が国は,武力紛争時における文化財の保護を目的とする「武力紛争の際の文化財の保護に関する条約」などを締結し,あわせて「武力紛争の際の文化財の保護に関する法律」を制定しました(平成19年12月10日から施行)。
 法律の主な内容は,以下のとおりです。

○武力紛争時に他国に占領された地域(被占領地域)から流出した文化財を「被占領地域流出文化財」として指定し,輸入の規制を行う。
○武力紛争時における文化財の識別のため,条約の保護を受ける文化財などに「特殊標章(ブルーシールド)」を使用することができる。
○武力紛争時において戦闘行為として文化財を損壊する行為又は文化財を軍事目的に利用する行為などに罰則を設ける。

第8節 新しい時代に対応した著作権施策の展開

 近年,インターネットの急速な普及や端末の小型化,モバイル化を背景に,デジタル化された情報がネットワークを介して流通する時代が到来しています。これに伴って,従来の著作権法が想定していなかった著作物の創造,流通,利用,管理形態が広がっており,従来の著作権法制度の枠組みでは十分に対応できない可能性があるとの指摘も出てきています。
 文化庁では,法制度の整備,円滑な流通の促進,著作権教育の充実,国際的課題への対応の4つの施策を中心に,新しい時代に対応した著作権施策を総合的に展開しています。

1 法制度の整備

 著作権法については,これまでも権利の保護と公正な利用の調和を図りつつ,順次制度改正を行ってきました。
 平成21年3月には,19年度・20年度の文化審議会著作権分科会における審議結果を取りまとめた「文化審議会著作権分科会報告書」の内容を踏まえ,「著作権法の一部を改正する法律案」を国会に提出し,同法律案は同年6月に可決・成立し,22年1月1日から施行されました。
 平成21年度は,文化審議会著作権分科会に基本問題小委員会,法制問題小委員会,国際小委員会の3つの小委員会を設け,様々な課題について活発に議論を行い,22年1月には,それぞれの審議の進捗状況や残された課題などについての整理を審議経過として取りまとめました。平成22年度の文化審議会著作権分科会では,引き続きこれらの課題について検討を行っていきます。

(1)基本問題小委員会

 本小委員会は,著作権関連施策にかかる基本問題について検討する場として,平成21年度から文化審議会著作権分科会の下に新たに設置されました。
 平成21年1月にとりまとめられた文化審議会報告書では,一定の結論を得ることができた課題がある一方で,引き続き検討を要することとされた課題や関係者間の意見調整を要することとされた課題があるとの指摘がなされたところです。
 このように一定の結論を得ることができなかった課題が残った背景には,種々の課題について検討を進めるにあたって,著作権制度の在り方をめぐる基本的な認識について,関係者間において見解の相違があったためと考えられることから,本小委員会では,

  1. 文化振興に関する施策の体系の中で,著作権制度が担っている意義,役割はどのようなものか,
  2. デジタル化・ネットワーク化の進展に伴い,表現手段や流通手段が変化している中,著作権制度の果たす役割に変容が生じているのか,
  3. これらを参考に,これまで解決の得られていない課題を含め,今後の著作権関連施策について,どのような方向性をとるべきか,

といった点について検討を進めているところです。

(2)法制問題小委員会

 本小委員会は,著作権法制度の在り方について検討を行っています。平成21年度は,「知的財産推進計画2009」において早急な検討が求められている,1.権利制限の一般規定,2.ネット上の複数者による創作に係る課題や,3.いわゆる「間接侵害」に係る課題について検討を行いました。
 1.権利制限の一般規定※3については,有識者団体や関係団体へのヒアリングなどを通して検討すべき事項を整理し,それらの検討事項ごとに専門的な見地から論点を整理するため,ワーキングチームを設置して集中的な議論を行い,ワーキングチームの報告書を取りまとめました。今後は,この報告書の内容をたたき台として,著作権法における権利制限の一般規定の在り方について,引き続き検討を行う予定です。
 2.インターネット上では,誰でも簡単にコンテンツを創作・発表することができますが,投稿サイトや掲示板サイトなど,他人の著作物を相互に利用し合ったり,複数の者が創作に寄与したりする場合のコンテンツの権利の取扱いなどが明確になっていないとの指摘があります。このようなネット上の複数者による創作に係る課題については,これまでほとんど議論が行われていないことから,関係事業者へのヒアリングや,有識者からの海外での議論に関する報告を通して,現状や課題の整理に向けた検討を行いました。今後も,権利の取扱いを契約により明確化する方法での対応可能性などを中心に,引き続き検討を行う予定です。
 3.いわゆる「間接侵害」※4に関する課題については,近年の情報通信技術の発展に伴う状況の変化を踏まえ,最近の重要裁判例の分析や考えられる制度設計の選択肢について論点の整理を行いました。
 今後は,関連する主要な事件の動向も注視しつつ,関係者の意見聴取などを通じた実態把握を行い,それを踏まえて,考えられる制度設計やその制度設計と関係裁判例との対応関係,現行の著作権法体系への影響などについて,引き続き検討を行う予定です。

(3)国際小委員会

 本小委員会は,国際的ルールづくりへの参画の在り方に関することについて議論を行っています。
平成21年度は,

  1. 国際裁判管轄及び準拠法に関する国際ルール形成の在り方
  2. インターネットによる国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方
  3. 著作権保護に向けた国際的な対応の在り方
  4. 知的財産と開発問題,フォークロア※5問題への対応の在り方

の4点について検討を行いました。このうち,特に1.については,知的財産のみならず,国際私法の側面からの専門的かつ詳細な検討が必要となるため,ワーキングチームにおいて,欧米の判例・国内外のルール形成動向を踏まえつつ議論を行い,報告書としてとりまとめました。国境を越えた著作権の保護,利用の円滑化には国際裁判管轄・準拠法決定ルールの国際的な統一に加えて,海賊版対策など,様々な対応が必要であるとされました。2.~4.については,国際的な議論の動向や国内における調査等に基づき審議を行いました。著作権をめぐる世界知的所有権機関(WIPO)における議論については,視覚障害者向けの権利制限と例外に関する議論,「視聴覚実演条約」に関する議論に動きが見られ,またフォークロアについても議論が進展しつつある等,新たな検討が具体化している分野があり,引き続き我が国の対応の在り方を検討していくことが必要であるとされました。


※3 権利制限の一般規定
 一定の包括的な考慮要件を定めた上で,権利制限に該当するかどうかは裁判所の判断に委ねるという方式の権利制限規定。
※4 間接侵害
 著作権侵害行為に間接的に関与する者(例えば「著作権者に無断で演奏会を行う者に演奏会場を提供する者」や「動画共有サイトにおいて著作権者に無断で音楽・映像等のコンテンツをアップロードする者に対して,通信用サーバーを提供する者」など)が,どのような場合に著作権法上の責任を負いうるのかを法律上明らかにすることに関する課題。

2 円滑な流通の促進

 インターネットの普及は,著作物のデジタル化とあいまって,著作物の流通形態を劇的に変化させています。このような状況の中で,文化庁は,著作物の流通促進の観点から,次の施策を行っています。

(1)著作権等管理事業法の的確な運用

 著作権の管理については,著作物の利用者の便宜を図るとともに,権利の実効性を高めるため,著作物などを集中的に管理する方式が普及しています。これらの事業を行う「著作権等管理事業者」に対して,著作権等管理事業法に基づき,年度毎の事業報告の徴収や定期的な立入検査等を行い,適切に事業が行われるよう指導監督を行っています。(登録事業者数37事業者(平成22年3月1日現在))

(2)著作物などの流通・利用の円滑化施策

 著作物の流通を促進するための環境整備として,インターネット上のコンテンツに利用条件を付与するシステム(意思表示システム)の開発や著作権契約の円滑化等に関する調査研究を行い,その成果を広く関係者に公表しています。
○意思表示システムの構築に関する調査研究(平成19~21年度)
○著作物等の流通促進に関する調査研究(平成18年度~)
○コンテンツ流通促進シンポジウム(平成21年度は10月30日に開催)

(3)権利者不明などの場合における裁定制度の運用

 著作権者の所在が不明の場合に著作物を適法に利用するための「裁定制度」の運用を行っています。
 平成21年度(平成22年3月1日現在)は15件の申請があり,550件の著作物の利用について裁定を行いました。また平成21年の著作権法改正において,同制度の利用をより円滑に行えるようにするため,1.裁定の対象を著作隣接権者(実演家等)まで拡大することや,2.裁定結果を待たずとも利用が可能となる「申請中利用」の制度を新設することなどの改善を行いました。

(4)著作権登録制度の運用・改善

 著作権に関する事実関係の公示や,著作権が移転した場合の取引の安全の確保などのため,著作権法に基づく登録事務を行っています。平成21年の著作権法改正においては,デジタル化・ネットワーク化の進展に合わせ,検索しやすい媒体をもって調製できるよう,著作権登録原簿の電子化に関する規定を整備しました(平成23年度から実施予定)。


※5 フォークロア
 ある社会の構成員が共有する文化的資産である伝承の文化表現であり,民族特有の絵画,彫刻,モザイク等の有形なもののほか,歌,音楽,踊り等の無形のものも含むとされている。

3 著作権教育の充実

 著作権に関する高い意識や幅広い知識を身につけることは,今日ますます重要となっており,中学校や高等学校の学習指導要領においても著作権について取り扱うこととされています。
 また,文化庁では,全国各地での講習会の開催や様々な人を対象とした教材の作成・提供を行っています。講習会については,国民一般,都道府県等著作権事務担当者,図書館職員・教職員を対象として毎年13カ所程度開催しています。教材については,児童生徒を対象とした著作権学習ソフトウェア,教職員を対象とした指導事例集,大学生や企業を対象とした映像資料,初心者向けのテキスト,著作権Q&Aデータベース「著作権なるほど質問箱」を文化庁ホームページ(参照:http://www.bunka.go.jp/chosakuken/index_4.html)を通して広く提供しています。
 このほかにも,関係機関・団体などが主催する著作権講習会への講師の派遣や,著作権教育の充実のため関係団体との連携の促進などを行う著作権教育連絡協議会を開催しており,平成21年度も引き続きこれらの施策を推進し,著作権に関する教育・普及啓発について一層の充実を図っています。

平成21年度著作権セミナー(大阪府)会場風景

平成21年度著作権セミナー(大阪府)会場風景

4 国際的課題への対応

 デジタル化・ネットワーク化の進展に伴い,パソコンが1台あれば著作物のコピーなどが簡単にできるようになるとともに,インターネットを通じて,国境を越えた著作物の流通が活発に行われるようになりました。
 文化庁では,このような現状に対応した適切な海賊版(違法複製物)対策と国際ルールの構築を積極的に推進しています。

(1)海外における海賊版対策

 アジア地域を中心に,近年,音楽やゲームソフト,アニメなどの我が国の著作物に対する関心が高まる一方で,それらを違法に複製した海賊版の製造・流通が深刻な問題になっています。
 海外における海賊版の製造・流通を防ぐためには,我が国の権利者が,自ら侵害発生地において迅速に対抗措置をとることが不可欠です。
 文化庁では,その環境を整備するため,次のような施策を積極的に実施しています。
○二国間協議などの場を通じた侵害発生国・地域への取締強化の要請
○欧米やアジア諸国から著作権行政担当者等を日本に招へいしたインターネット上の著作権侵害に関する国際会議の開催
○著作権侵害対策ハンドブックの作成やセミナーの開催など,我が国権利者の諸外国における権利行使の支援
○アジア著作権会議の開催など,国際的なネットワークの構築
○侵害発生国・地域の取締機関職員を対象としたトレーニングセミナー

(2)国際ルールづくりへの参画

 著作物は,貿易やインターネットを通じた送信などにより国境を越えて利用されるものであるため,多くの国において,条約に基づく国際的な保護が行われています。我が国は,「文化的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約」(「ベルヌ条約」),「実演家,レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約」(「ローマ条約」),「デジタル化・ネットワーク化に対応した著作権に関する世界知的所有権機関条約」(WCT),「実演家及びレコードに関する世界知的所有権機関条約」(WPPT)などの著作権関連条約の締結に加え,WTO加盟国として,「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(「TRIPS協定」)の履行義務を負っています。また,現在,「世界知的所有権機関」(WIPO)で検討が進められている「放送機関」や「視聴覚実演」の保護に関する新条約の議論にも積極的に参画しています。さらに我が国は,「模倣品・海賊版拡散防止条約」(ACTA)(仮称)の早期妥結を目指し,交渉に積極的に参画するとともに,自由貿易協定(FTA),経済連携協定(EPA)交渉などにおいて国際的な著作権保護の強化を働き掛けています。

第9節 社会の変化に対応した国語施策

1 国語施策の推進

 国語は,国民の生活に密接に関係し,我が国の文化の基盤を成すものです。国語施策は,時代の変化や社会の進展に伴って生じる様々な国語の問題に対応して,より適切な国語の在り方を検討しながら,必要な改善を図ってきました。

(1)国語施策の概要

 国語に関する問題については,かつての国語審議会が中心となって検討を行い,様々な改善を図ってきました。具体的には,国語の表記に関して,一般の社会生活における「目安」や「よりどころ」として,「常用漢字表」,「現代仮名遣い」,「外来語の表記」などが答申され,内閣告示などによって実施されてきました。その後,国語審議会は,平成13年1月に文化審議会国語分科会として改組され,現在に至っています。
 これら審議会の答申に基づく告示をはじめとする国語施策の普及と国語の改善のため,文化庁では,様々な取組を行ってきました。例えば,最近の国語施策についての情報などを提供するとともに,参加者から国語施策に対しての意見を頂くための「国語問題研究協議会」,「国語施策懇談会」を毎年開催しています。
 また,平成14年5月から「国語施策情報システム」により,インターネットを通じて国語施策に関連する資料を提供しています(参照:http://www.bunka.go.jp/kokugo)。
 なお,国語施策を進める上での参考とするために,平成7年度から毎年「国語に関する世論調査」を実施し,現代の社会状況に伴う日本人の国語意識の現状について調査しています。

図表2‐7‐33 国語審議会及び文化審議会(国語分科会)の主要な答申等と実施状況

図表2‐7‐33 国語審議会及び文化審議会(国語分科会)の主要な答申等と実施状況

(2)常用漢字表の見直し

 パソコンや携帯電話などの情報機器の急速な普及によって,手書きできない字でも打ち出すことができるなど,私たちの文字環境は大きく変化しています。こうした状況に対応するため,平成17年3月に文部科学大臣から文化審議会に「情報化時代に対応する漢字政策の在り方について」が諮問されました。この諮問を受け,現在,文化審議会国語分科会では,「常用漢字表」の改定について審議を行っています。「常用漢字表」は昭和56年に制定されて以来30年近くにわたり,一般の社会生活において,現代の国語を書き表す際の漢字使用の目安になってきたものです。
 平成21年1月には「「新常用漢字表(仮称)」に関する試案」が取りまとめられ,その後同年3月から4月にかけて,広く一般からの意見を頂いた上で,試案の見直しが行われました。さらに,21年11月には,1945字の現行「常用漢字表」に追加する196字とその音訓と字体の案を含む「「改定常用漢字表」に関する試案」が取りまとめられ,同年11月から12月にかけて,2度目となる意見募集が実施されました。国語分科会では,寄せられた意見を参考にしながら,平成22年夏前ごろの答申を目指し,審議を続けています。

2 国立国語研究所

 国立国語研究所は,独立行政法人という性格上,我が国の国語施策の立案に参考となる資料を提供するほか,我が国の国語,外国人に対する日本語教育に関する研究の中心的な役割を果たすため,様々なことに取り組んできました。具体的には,科学的な調査研究の実施・公表,広く一般を対象とした啓発図書の発行,公開事業の実施,さらには現代日本語の専門研究機関として内外研究機関との連携・協力による国際シンポジウムの開催,大学院教育への参画などを行ってきました。
 なお,国立国語研究所は,平成21年10月1日をもって,独立行政法人から大学共同利用機関法人人間文化研究機構に移管されています。

第10節 宗教法人制度と宗務行政

1 宗教法人制度の概要

 現在,我が国には,教派,宗派,教団といった大規模な宗教団体や,神社,寺院,教会などの大小様々な宗教団体が存在し,多様な宗教活動を行っています。そのうち,約18万3,000の宗教団体が,宗教法人法に基づく宗教法人となっています(図表2‐7‐34,図表2‐7‐35)。
 宗教法人制度を定める宗教法人法の目的は,宗教団体に法人格を与え,宗教団体が自由で自主的な活動を行うための財産や団体組織の管理の基礎を確保することにあります。宗教法人制度は,憲法の保障する信教の自由,政教分離の原則の下で,宗教法人の宗教活動の自由を最大限に保障するため,所轄庁の関与をできるだけ少なくし,各宗教法人の自主的・自律的な運営にゆだねています。その一方で,宗教法人の責任を明確にし,その公共性を骨子として全体系が組み立てられています。

図表2‐7‐34 宗教法人数

図表2‐7‐34 宗教法人数

図表2‐7‐35 系統別信者数

図表2‐7‐35 系統別信者数

(注)信者の把握の基準は宗教団体により異なる。
(出典)文化庁編『宗教年鑑』(平成20年版)

2 宗務行政の推進

(1)宗教法人の管理運営の推進など

 文化庁では,都道府県の宗務行政に対する指導・助言,都道府県事務担当者の研修会,宗教法人のための実務研修会などの実施,手引書や映像教材の作成などを行っています。
 また,我が国における宗教の動向を把握するため,毎年度,宗教界の協力を得て,宗教法人に関する宗教統計調査を実施し,その結果を「宗教年鑑」としてまとめ,発行するほか,宗教に関する資料の収集や海外の宗教事情の調査などを行っています。

宗教法人実務研修会

宗教法人実務研修会

宗教年鑑等

宗教年鑑等

(2)不活動宗教法人対策の推進

 宗教法人の中には,設立後,何らかの事情により活動を停止してしまった,いわゆる「不活動宗教法人」が存在します。不活動宗教法人は,その名義が売買の対象となり,第三者が名義を悪用して事業を行うなど社会的な問題を引き起こすおそれがあり,ひいては,宗教法人制度全体に対する社会的信頼を損なうことにもなりかねません。
 このため,文化庁と都道府県においては,不活動状態に陥った法人について,吸収合併や任意解散の認証により,また,これらの方法で対応できない場合は,裁判所に対して解散命令の申立てを行うことにより,不活動宗教法人の整理を進めています。

(3)宗教法人審議会

 宗教法人の信教の自由を保障し,宗教上の特性などに配慮するため,文部科学大臣の諮問機関として,宗教法人審議会が設置されています。

第11節 アイヌ文化の振興

 文化庁では,以前から,文化財保護の観点によるアイヌ関係の文化財の指定などを行い,北海道教育委員会が行う事業への支援を行ってきました。平成9年5月,アイヌの人々の誇りの源泉であるアイヌの伝統等が置かれている状況を考慮し,アイヌ文化の振興等を図るための施策を推進することにより,アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会の実現を図り,あわせて我が国の多様な文化の発展に寄与することを目的として,「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」が成立しました。
 文部科学大臣・国土交通大臣は,同法の規定に基づく業務などを行う団体として財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構を指定し,同法人の行う事業に対して支援しています。同法人は,アイヌに関する研究などへの助成,アイヌ語の振興,アイヌ文化の伝承再生や文化交流,普及事業,優れたアイヌ文化活動の表彰及び,アイヌの伝統的生活空間(イオル)の再生事業などを行っています(図表2‐7‐36)。

図表2‐7‐36 事業体系図

アイヌ関連施策事業体系図(平成21年度)

図表2‐7‐36 事業体系図 アイヌ関連施策事業体系図(平成21年度)

お問合せ先

生涯学習政策局政策課教育改革推進室

(生涯学習政策局政策課教育改革推進室)

-- 登録:平成22年08月 --