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第2部 文教・科学技術施策の動向と展開

第1章 生涯学習社会の実現と教育政策の総合的推進

〈生涯学習の意義〉

 社会経済の大きな変化の中で,人生の様々な段階における多様な目的を持った学びや,そのための環境づくり,すなわち「生涯学習社会」の実現に向けた取組の重要性が増大しています。「生涯学習社会」とは,国民一人一人が自己の人格を磨き,豊かな人生を送ることができるよう,その生涯にわたって,あらゆる機会,あらゆる場所において学習することができ,その成果を適切に生かすことのできる社会の意味で用いられます。
 政府としては,生涯学習の振興に向けて,平成2 年に「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」を策定し推進体制の整備を図ることとし,平成18 年に改正した教育基本法に生涯学習の理念を明記したところです(第3条)が,まだ生涯学習社会の実現は道半ばであり新たな課題が生じています。
 まず,子どもたちだけではなく,成人の学習活動や地域活動・社会活動を行う人の割合や活動時間は近年減ってきていることが様々なデータから浮かび上がってきます。例えば,世論調査によれば,生涯学習をしてみたいと思う人の割合は,全体の約7割を超えていますが,実情としては,約5割の人が,この1年くらい生涯学習を行っていないと回答しています。この理由として,仕事が忙しくて自己啓発を行う余裕がないことや費用が多額にかかることが挙げられています(図表2‐1‐1,図表2‐1‐2)。
 しかし,以下に示すような現在の社会状況の変化の中では,生涯学習の意義がますます高まっています。

  1. 少子高齢化,人口減少の中で,一人一人の能力・個性を最大限に伸ばすとともに,多様な人材を活用することは我が国の経済社会にとっても不可欠となっていること,図表2‐1‐1 生涯学習に関する世論調査結果
  2. 特に,グローバル化の中での産業構造や雇用構造の急激な変化の下で,これに対応して生涯にわたり職業能力や就業能力を持ち,社会生活を営んでいく上で必要な知識・技能等を学び直すことが求められていること,
  3. また,非正規雇用の増大や企業の破たんのリスクなどを背景として,格差や貧困の問題が指摘される中,個人が知識や技能を身に付け,経済的に自立することを支える教育・能力開発の機会の充実が求められること,
  4. さらに,昨今,自立と共生の理念や社会における絆の再生の重要性を踏まえて,行政だけでなく地域住民や企業,NPO など多様な主体が参画して社会の公益を実現していくことが課題となっており,活力ある地域づくりの実践やそのための学びの活動として生涯学習が重要となっていること,
  5. 他方,高齢化社会の到来により,高齢者が豊かな生活を送るため,知的欲求に応える教育機会の充実が求められていること
図表2-1-1 生涯学習に関する世論調査結果

○生涯学習に対する今後の意向

○生涯学習に対する今後の意向

出典:内閣府「生涯学習に関する世論調査」よリ作成
(備考1)対象者は,平成20年:全国20歳以上の者3,000人,平成17年:全国15歳以上の者5,000人(ただし,本設問への回答は20歳以上の者),平成11年:全国20歳以上の者5,000人
(備考2)項目「今後生涯学習をしてみたいと思うか」という問に対する回答

○生涯学習の実施状況

○生涯学習の実施状況

出典:内閣府「生涯学習に関する世論調査」よリ作成
(備考1)対象者は,平成20年:全国20歳以上の者3,000人,平成17年:全国15歳以上の者5,000人,平成11年:全国20歳以上の者5,000人
(備考2)項目「この1年くらいにこのような※生涯学習を行ったことがあるか」という問に対する回答
※趣味的なもの(音楽,美術,華道,舞踊,書道など),教養的なもの(文学,歴史,科学など),社会問題(社会・時事問題,国際問題,環境問題など),健康・スポーツ(健康法,医学,栄養,ジョギング,水泳など),家庭生活に役立つ技能(料理,洋裁,和裁,編み物など),育児・教育(幼児教育,教育問題など),職業上必要な知識・技能
(仕事に関係のある知識の習得や資格の取得など),語学(英会話など),パソコン・インターネットに関すること,ボランティア活動やそのために必要な知識・技能(点訳,手話,介護など),自然体験や生活体験などの体験活動,勤労体験などしてみたいわからないしてみたいと思わない

図表2‐1‐2 ワーク・ライフ・バランスと生涯学習

○地域の活動などへの参加を妨げる要因

○地域の活動などへの参加を妨げる要因

出典:内閣府「国民生活選好度調査」(平成15年度)より作成


(備考1)項目「NPOやボランティア,地域での活動に参加する際に苦労すること,又は参加できない要因となることはどんなことですか。あなたにとってあてはまるものに1つ○をお付けください。(○は1つ)」への回答
(備考2)回答者は全国の15 ~ 79歳までの男女3,908人

○自己啓発の問題点

○自己啓発の問題点

出典:厚生労働書「能力開発基本調査報告書平成21年度」より
(備考1)調査対象は,日本国全域において日本標準産業分類による15大産業に属する30人以上の常用労働者を雇用する事業所から抽出した約6,700事業所に属している労働者のうち,一定の方法により抽出した約20,000人。
(備考2)項目「自己啓発にあたって,どのような問題点を感じますか。該当するものすべてに○をつけてください。」への回答活動する時間がないこと

〈生涯学習と社会・地域の活性化〉

 特に,4.で述べた点に関して,地域づくりや地域が持つ力の向上は,様々な課題についての学びとその実践の過程そのものであると捉えることができます。例えば,地域の教育力の低下が指摘されている(図表2‐1‐3)中,学校現場においても地域ぐるみで学校を支援する取組として,学校支援地域本部や放課後子ども教室などの実践が進められています。これらの取組は,子どもにとっての学びを豊かにし,学校の機能を強化するだけでなく,参加する地域の方々にとっても学びやその成果の活用である生涯学習としての側面を持っており,このことが地域の絆を強め,活力ある地域づくり,ひいては社会全体の活性化にもつながることが考えられます。

〈今後の施策推進〉

 このように,社会経済が大きく変化する中で,今改めて生涯学習という視点で教育や教育政策を総点検していくことは極めて重要であると考えられます。
 現在,経済界,労働界,国・地方公共団体が一体となって,「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」の実現に向けて取り組んでいるところですが,仕事と生活の調和にとどまらず,「学習」や「地域活動」の充実によって「仕事」と「生活」がともに豊かになると考えられます。このため文部科学省では,言わば「ワーク・ラーニング・バランス」とも言うべき考えに立って,生涯にわたる学びが原動力となって社会が活性化されるよう様々な施策の推進に努めていきます。

図表2‐1‐3 地域の教育力について(意識調査)

図表2‐1‐3 地域の教育力について(意識調査)

※14項目の中から3つまで選択。上記グラフは上位5項目の回答率。
(出典)「地域の教育力に関する実態調査」(平成17年度)

第2章 子どもたちの教育の一層の充実のために

 教育は子どもたち一人一人の人格の完成を目指すものであり,子どもたちが将来に渡って幸福な生活を営んでいく上で不可欠なものです。また,教育には将来この国や社会を担っていく子どもたちを育てていくという使命があり,このような教育の重要性はどのような時代にあっても変わることはありません。また,国際競争が激化するなど,社会が急速に変化していく中にあっては,子どもたちへの教育の重要性はますます高まっています。

〈新学習指導要領が目指す教育の実現〉

 このような子どもたちへの教育を一層充実していくために,文部科学省では様々な政策を実施しています。
 まず,子どもたちが全国どこにいても一定水準の教育を受けられるようにするために,幼稚園から高等学校までの教育課程の大綱的基準として学習指導要領等を定めています。知・徳・体のバランスを重視した「生きる力」をはぐくむため,平成20 年3月に幼稚園教育要領と小学校,中学校の学習指導要領を,平成21 年3月に高等学校と特別支援学校の学習指導要領などを改訂したところであり,小学校は平成23 年度から,中学校は平成24 年度からの全面実施に向けて,現在,算数・数学,理科などで先行実施するとともに,指導体制や教材などの条件整備を行うなど,新しい学習指導要領の円滑な実施に向けた準備を進めています。
 また,次代を担う科学技術系人材を育成するため,理数好きな子どもの裾野の拡大や子どもの才能を見出し伸ばす施策を充実するなど科学技術・理数教育充実のための施策を総合的に推進するとともに,平成23 年度から全国の小学校で外国語活動が導入されることを受けた条件整備をはじめ,外国語教育の充実に取り組んでいます。
 さらに,学校における教科の主たる教材として,児童生徒が学習を進める上で重要な役割を果たす教科書の質・量の充実を図ることは不可欠であり,新しい学習指導要領に対応できるよう,教科書の検定を行っているところです。

〈生徒指導上の諸問題への対応〉

 一方,学校におけるあらゆる活動の中で,子どもが社会的な資質や能力,態度などを修得し,発達するように指導・援助を行っていくことも学校教育の役割です。近年,学校における暴力行為やいじめ,または不登校の問題などが生じていますが,これらの問題に適切に対処し,子どもたちにとって学校生活が有意義かつ充実したものとなるよう,文部科学省では,各学校現場における取組の参考となりうる事例集等の作成,また,教育相談体制の充実などに努めています。

〈キャリア教育・職業教育の推進〉

 近年,若者の勤労観・職業観の希薄化や高い早期離職率,フリーター・ニートの存在が社会問題となっている中,子どもたちが発達段階に応じた勤労観・職業観を身に付け,明確な目的意識を持って人生を切り開くことができるよう,学校教育におけるキャリア教育・職業教育が重要となっています。このため,今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について平成20年12月に中央教育審議会に諮問し検討を進めているところであり,その結果も踏まえ,キャリア教育の充実を図っていくこととしています。

〈子どもの健康と安全〉

 また,学校は,子どもたちの健やかな成長と自己実現を目指して学習活動を行うところであるため,安全で安心な環境を整えることは重要と考えます。このため,文部科学省では,学校における食育の推進,心と体の健康問題への対応,登下校時を含めた学校における子どもの安全確保に向けた施策に取り組んでいるところです。

〈幼児教育や特別支援教育等の充実〉

 このほか,生涯にわたる人格形成の基礎を培う大切な時期である幼児期の教育の充実や,障害のある子どもについて,その能力や可能性を最大限に伸ばし,自立し社会参加するために必要な力を培うために一人一人の障害の状態などに応じて行う特別支援教育の充実,更に,現在進学率が約98%に達し,国民的な教育機関となった高等学校については,その進学率の上昇に伴い,生徒の能力・適性,興味・関心,進路などが多様化していることから,生徒一人一人の個性を伸ばす高等学校教育の充実に努めているところです。

〈教員の質と数の充実〉

〈教員の質と数の充実〉

 これらの学校における教育活動の成否は,何にもまして現場の教員の資質,能力や熱意に負うところが極めて大きく,教員の資質能力の向上は子どもたちの教育の充実を図る上で大変重要な政策課題です。教員の資質能力の向上は,大学などにおける教員の養成,各都道府県教育委員会などによる採用,または採用されてからの研修などの各段階において様々な施策が講じられています。また,現在,さらなる質の高い教育の実現を目指し,教員の資質向上方策の抜本的な見直しに着手しているところです。
 そして,学校の教育力の向上のためには,教員の資質能力の向上と並んで,教員の数の充実も,重要な課題です。わが国は一学級当たりの児童生徒数や教員一人当たりの児童生徒数が国際的に見ると多くなっており,教員の数の充実についても本格的な検討を開始しています。
 全国的に優れた教員を必要数確保し,教育水準の維持向上を図るためには,それを支える教育財政制度をどのように構築するかということも重要な政策課題です。憲法の規定により,我が国においては義務教育は無償とされているところですが,この財源を保障するため,義務教育費の大半を占める公立の義務教育諸学校の教職員給与費について,国と都道府県の負担によりその全額を保障する義務教育費国庫負担制度が設けられています。

〈信頼される学校づくり〉

 学校教育環境の改善や教育の質の向上は,学校だけの取組で達成されるものではなく,保護者や地域住民と学校の信頼関係を深め,保護者や地域住民が,学校と共に地域の教育に責任を負うとの認識の下,学校運営に積極的に協力していくことが重要です。このため,学校が,地域や子どもたちの実情に応じて主体的に創意工夫のある教育活動を展開し,自主的・自律的な学校運営ができるよう教育課程,予算などについての学校の裁量を拡大するとともに,コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の活用などを通じ,保護者や地域住民等から理解と参画を得て,学校・家庭・地域の連携協力による学校づくりを促進することとしています。
 以上のように,子どもたちの教育をめぐる政策課題は数多くあります。第2章では,このような子どもたちの教育の一層の充実を図っていくための取組を詳しく紹介します。

第3章 大学等の多様な発展のために

 大学や短大,高等専門学校などの高等教育機関は,我が国の高度な教育と研究の中核を担っており,幅広い教養と,各学問分野の専門的知識・技能を有する人材の育成や高度な研究を通じて,広く社会経済の発展に貢献しています。

〈大学の質の保証〉

 文部科学省では,「事前審査」に相当する大学の設置認可制度と,「事後評価」に相当する認証評価制度により,大学の質の保証と教育力の向上を図るとともに,個性や特色に応じた大学づくりや国際競争力の強化などに取り組む各大学の改革を支援しています。また,大学が公的な機関としての責任を果たすとともに,外部からの評価を通じて教育研究水準の向上を図ることができるよう,教育情報の積極的な公表を推進しています。
 大学院についても,日本の社会・経済・文化を牽引し,国際社会に通用する人材を育成する「知の拠点」として,研究者養成を中心とした研究指導に偏ることのない組織的・体系的な教育の充実を図るとともに,世界をリードする教育研究拠点の形成などに取り組んでいます。

〈大学の国際化〉

 グローバル化が大学教育においても急速に進展している中,アジアや欧米を中心に学生や教員の流動性の高まりや,国際的な競争と協同に関する活発な取組がみられており,我が国の大学の国際化や国際競争力の向上が極めて重要な課題です。
 詳細は前ページの〈TOPIC〉でも取り上げましたが,平成21 年10 月には,日中韓の各国首脳が出席した第2回日中韓サミットにおいて採択された「日中韓協力10 周年を記念する共同声明」に質の保証を伴った大学間交流の推進が盛り込まれました。現在,日中韓において東アジア地域における質の保証を伴った大学間交流を促進するための取組を進めているところです。

〈社会的課題への対応〉

 一方,我が国のさまざまな社会的課題に対応するための取組も進めています。現下の厳しい経済情勢を踏まえ,大学による就職支援や学生自身の就業力を強化する取組などのほか,医療人や法曹などの高度専門職業人の養成や,地域医療の中核としての大学病院の機能強化も積極的に行っています。

〈学生への経済的支援〉

 さらに,学ぶ意欲と能力のある学生が経済的理由によって学業を断念することがないよう,大学が行う授業料減免措置に対する支援や,奨学金事業の一層の充実に取り組んでいます。
 この他にも,大学入学者選抜の改善,高等専門学校の充実など,高等教育の多様な発展のための様々な取組を推進しています。

第4章 私立学校の振興のために

 私立学校に在学する学生・生徒などの割合は,大学・短大で約8割,高等学校で約3割,幼稚園で約8割,専修学校・各種学校で9割以上となっており,私立学校は我が国の学校教育の発展に大きく貢献しています。また,グローバルな知識基盤・学習社会の中で,各私立学校は,多様化する国民のニーズ(需要)に応じた特色ある教育研究の推進が求められており,それぞれが建学の精神に基づく個性豊かな活動を積極的に展開しています。このように,私立学校は,我が国の学校教育の発展にとって質・量の両面にわたり重要な役割を果たしています。
 このため,文部科学省は,私立学校の振興を重要な政策課題として位置付け,その教育研究条件の維持向上と在学する学生生徒などの修学上の経済的負担の軽減を図るとともに,経営の健全性を高めるため,次の施策をはじめとする振興方策を行い,その一層の充実に努めています。

  1. 教職員の人件費や教育研究に関する経費などの経常費や施設整備費に対する補助
  2. 日本私立学校振興・共済事業団における貸付
  3. 税制上の優遇措置
  4. 学校法人の経営改善支援

 さらに,学校法人が近年の急激な社会状況の変化に適切に対応し,様々な課題に対して主体的,機動的に対応していくため,平成17 年4月1日から1.学校法人における管理運営制度の改善,2.財務情報の利害関係人への公開,3.私立学校審議会の構成の見直しを主な内容とする改正「私立学校法」が施行されています。
 各私立学校においては,それぞれの自助努力により,経営基盤の維持・強化を進め,教育研究内容や財務状況に関する情報公開を積極的に行いつつ,国民の要請にこたえる個性的で魅力あふれる学校づくりを進めることが期待されています。

第5章 科学技術・学術政策の総合的推進

 資源の乏しい我が国が,国際競争力を維持し,活力ある社会・経済を実現するためには,科学技術の力で世界をリードすることが重要です。
 平成21 年12 月に閣議決定された「新成長戦略(基本方針)」においても,「成長を支えるプラットフォーム」として「科学・技術立国戦略」が,「強みを活かす成長分野」として「グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略」と「ライフ・イノベーションによる健康大国戦略」の2つが挙げられており,科学技術の重要性が改めて認識されています。
 我が国の科学技術行政は,内閣総理大臣を議長とする総合科学技術会議の基本方針の下,関係府省が連携しつつ推進しています。文部科学省は科学技術・学術に関する基本的な政策の企画・立案や推進,研究開発に関する具体的な計画の作成や推進,科学技術に関する関係行政機関との調整などを行っています。
 平成22 年度は現行の「第3期科学技術基本計画」の最終年度に当たることから,文部科学省においては,次期科学技術基本計画の策定に向けた総合科学技術会議での検討に先駆け,科学技術・学術審議会の下に基本計画特別委員会を設置し,21 年12 月に報告書「我が国の中長期を展望した科学技術の総合戦略に向けて」を取りまとめました(参照:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu13/houkoku/1288628.htm)。同報告書に示されている科学技術を取り巻く現状の課題,今後の政策の方向性について簡単にご紹介します。

1 現状認識

(1) 科学技術を取り巻く諸情勢の変化

 近年,我が国・世界を取り巻く諸情勢は大きく変化しています。世界においては,地球温暖化,食糧・水資源・エネルギー問題など,深刻な問題が顕在化しています。また,経済の面では,中華人民共和国,インドなどの新興国の影響力が増しつつあり,長期的には世界の多極化が進み,現在の勢力地図が大きく変化することが予想されます。
 一方,我が国においては,世界に類を見ない速さで少子高齢化や人口減少が進む中,国際競争力の長期的低落などを受け,国際社会における存在感は相対的に低下しつつあります。また,若年層の理工系離れが進むなど,将来の研究者・技術者をはじめとした多様な人材の確保や,大学や産業界の競争力が課題となっています。

(2) 諸外国の科学技術政策の動向

 世界の諸情勢が大きく変化し,国内あるいは地球規模での様々な問題が顕在化する中で,諸外国においては経済や地球温暖化などの未曾有の危機を克服し,将来の持続的発展を実現するための鍵として,科学技術イノベーションに関する政策を積極的に展開しています。特に,2008 年の世界的な金融危機・経済不況を受けて,長期的な国の成長・発展を目指す観点から,これらの政策をより一層重視するとともに,政府投資の更なる拡充を図る傾向が見られます。

(3) 科学技術政策における主な成果と課題

 科学技術の振興は,これまでも例えば,医薬品や医療技術の発達などによる人々の健康改善や平均寿命の延伸,また,新産業の創出やサービスの高度化・効率化と,それらによるGDP や国民所得の向上など,人々の暮らしや国の成長・発展,さらには人類の繁栄に大きく寄与してきました。
 しかしながら,我が国や世界における深刻かつ重大な問題解決に向けた科学技術の一層の貢献,将来の科学技術を担う人材の育成,研究開発を支える基盤の整備などにおいて課題も指摘されており,今後の科学技術政策を展開するに当たっては,これらを踏まえた対応を図っていく必要があります。

図表2‐5‐1 OECD諸国の一人当たり国内総生産(名目GDP)の推移

図表2‐5‐1 OECD諸国の一人当たり国内総生産(名目GDP)の推移

(出典)内閣府「平成20年国民経済計算確報」より文部科学省作成

図表2‐5‐2 主要国等の政府負担研究費の推移 (IMF為替レート換算)

図表2‐5‐2 主要国等の政府負担研究費の推移 (IMF為替レート換算)

(注)

  1. 研究費及び政府負担研究費割合より文部科学省で試算(日本を除く)。
  2. 韓国を除き,各国とも人文・社会科学が含まれている。
  3. 米国の2007年度の値は暫定値である。
  4. ドイツの1982,1984,1986,1988,1990,1992,1994‐96,1998,2000,2002年度の値は推計値である。
  5. フランスの2006年度の値は暫定値である。
  6. EUの値はEurostatの推計値である。
  7. インドの2003,2004年度は自国による推計値である。

資料:日本:総務省統計局「科学技術研究調査報告」
 EU:(研究費)Eurostat database
 (政府負担研究費割合)OECD「Main Science and Technology Indicators Vol 2008/2」
 インド:UNESCO Institute for Statistics S&T database
 その他の国:OECD「Main Science and Technology Indicators Vol 2008/2」

参照:日本15‐1,米国25‐1,ドイツ25‐2,フランス25‐3,英国25‐4,EU‐15 25‐5,EU‐27 25‐6,中国25‐7,韓国25‐8,ロシア25‐9,インド25‐10,37‐1

2 今後の方向性

(1) 基本的方向性

 今後の科学技術政策の方向性に関して,同報告書においては,科学技術政策を社会・公共政策の1つとして明確に位置づけるとともに,中長期的な視点で立案・推進していくため,政策の大目標として5つの「目指すべき国の姿」を設定し,さらに,今後の科学技術政策における3つの基本的方針を掲げています。

〈科学技術政策により「目指すべき国の姿」〉
  1. 安心・安全で,質の高い社会と国民生活を実現する国
  2. 国際的優位性を保持しつつ,持続的成長・発展を遂げる国
  3. 世界各国と協調・協力し,地球規模問題の解決を先導する国
  4. 多様性があり,世界最先端の人類の「知」の資産を創出し続ける国
  5. 科学技術を文化や文明の礎として育む国
〈今後の科学技術政策における基本的方針〉
  1. 科学技術政策から「科学技術イノベーション政策」へと転換する
  2. 科学技術イノベーション政策を「社会とともに創り,実現」する
  3. 科学技術イノベーション政策において「人と,人を支える組織の役割」を一層重視する
  4. 重要政策

 上記の基本認識に立ち,「目指すべき国の姿」の実現に向けた科学技術イノベーション政策の具体的な推進方策を4つの柱に基づき,提示しています。

1.基礎科学力の強化
  • 基礎科学力の強化に向けた研究開発の推進
    (大学などの基盤的経費の拡充など)
  • 知識基盤社会をリードする創造的人材の育成
    (多様な人材の育成,世界トップレベルの研究者の養成,次代を担う人材の育成など)
  • 独創的研究の発展に向けた研究開発システムの改革
    (競争的資金の拡充及び制度改革,研究開発評価システム改善・充実など)
  • 大学等の教育研究力の強化
2.重要な政策課題への対応
  • 重要な政策課題に対応した研究開発の推進
    (地球温暖化対策などの重要政策課題に対応した研究開発の重点化など)
  • 科学技術イノベーションの国際活動の推進
    (科学技術外交の推進,頭脳循環(ブレインサーキュレーション)の促進など)
  • 政策課題への対応等に向けた研究開発システム改革
    (産学官の連携システムの強化,地域イノベーションシステムの強化,知的財産戦略の推進など)
  • 世界的な研究開発機関の形成及び先端研究基盤の整備
3.社会と科学技術イノベーションとの関係深化
  • 社会と科学技術イノベーションとの連携強化
    (政策への国民参画の促進,科学技術コミュニケーション活動の推進など)
  • 科学技術イノベーション政策に関する企画立案・推進機能の強化
  • 科学技術イノベーション政策の実効性の確保
4.政府研究開発投資の在り方

 対GDP 比1%の政府研究開発投資を確保することを基本として投資総額を明示的に掲示など

第6章 スポーツの振興のために

(1) 子どもの体力向上と学校体育の充実

 体力は人間のあらゆる活動の源ですが,子どもの体格が向上する一方で体力が低下する傾向が続いてきています。「スポーツ振興基本計画」では,子どもの体力の低下傾向に歯止めをかけ,上昇傾向に転ずることを目標としており,最近10 年間では,小学校低学年では横ばい,小学校高学年以上では緩やかな向上傾向にあります。
 文部科学省では,平成20 年度から全国体力・運動能力,運動習慣等調査を実施し,きめ細やかな分析と調査結果を活用した体力向上の取組を支援しています。また,子どもの体力の重要性の普及啓発や,著名スポーツ選手を小学校へ派遣して運動やスポーツに親しむ機会の提供を行っています。さらに,学習指導要領の改訂により体育の授業時数を増やしており,小学校は23 年度,中学校は24年度から完全実施予定です。

図表2‐6‐1 子どもの体力・運動能力の年次推移

図表2‐6‐1 子どもの体力・運動能力の年次推移

(出典)文部科学省「平成20年度 体力・運動能力調査」

(2) 総合型地域スポーツクラブの育成

 明るく活力ある社会を形成していく上で,国民のだれもが,いつでも,どこでも,いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会の実現が重要な課題です。総合型地域スポーツクラブは,地域住民が自主的・主体的に運営し,身近な学校・公共施設等で日常的に活動する地域密着型のスポーツ拠点として,生涯スポーツ社会の実現に寄与するほか,地域の子どものスポーツ活動の受け皿,家族のふれあい,世代間交流による青少年の健全育成,地域住民の健康維持・増進などの効果も期待されています。
 文部科学省では,クラブ育成マネージャーの巡回指導や設立事例の情報提供などにより総合型地域スポーツクラブの育成を支援し,全国1,165 市区町村に2,905 クラブが設置されるに至っています(平成21 年7月現在)。

図表2‐6‐2 総合型地域スポーツクラブの育成状況

図表2‐6‐2 総合型地域スポーツクラブの育成状況

(出典)文部科学省調べ

(3) 国際競技力の向上

 平成22 年2月に行われたバンクーバーオリンピックをはじめとする国際競技大会での日本人選手の活躍は,多くの人々に夢と希望を与え,スポーツへの興味や関心を高めるものです。「スポーツ振興基本計画」ではオリンピックでのメダル獲得率* 1 を3.5%以上とする目標を掲げており,文部科学省では,国立スポーツ科学センターやナショナル・トレーニングセンターを整備・活用し,スポーツ医・科学的成果を活用した高度な選手サポートを行うなど,競技者の育成・強化を進めています。
 また,2018(平成30)年及び2022(平成34)年のワールドカップサッカー大会などの国際競技大会の我が国での開催を実現するため,関係省庁と協力して積極的に支援しています。

図表2‐6‐3 国民のスポーツに対する関心

国際大会での日本選手の活躍について

国際大会での日本選手の活躍について

国際大会を我が国で開催することについて

国際大会を我が国で開催することについて

(出典)内閣府「体力・スポーツに関する世論調査」(平成21年9月)


※1 メダル獲得率=当該国のメダル獲得数/全競技種目のメダル総数× 100

第7章 文化芸術立国を目指して

文化政策の位置付け

 平成13 年に文化芸術全般にわたる法律として「文化芸術振興基本法」が制定されました。この法律は,文化芸術に関する活動を行う人々の自主的な活動を推進することを基本としながら,文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図り,心豊かな国民生活や活力ある社会の実現に貢献することを目的にしています。
 文化芸術振興基本法に基づき,政府は,文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図るため,「文化芸術の振興に関する基本的な方針」(基本方針)を策定し,この基本方針に基づき「文化芸術立国」を目指して文化芸術の振興に取り組んでいます。

文化芸術の現状と課題

 内閣府「国民生活に関する世論調査」(平成21 年6 月)によれば,「物質的にある程度豊かになったので,これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい」と考えている国民は年々増加し,平成20 年度では約6割となっています。また,内閣府「文化に関する世論調査」(平成21 年11 月)によれば,日常生活の中で,優れた文化芸術を鑑賞したり,自ら文化活動を行ったりすることを「非常に大切」「ある程度大切」と考えている国民は,約9割となっています。
 一方,この一年間に,ホールや劇場,美術館・博物館などに出向いて文化芸術を直接鑑賞したことがある国民は約6割にとどまっており,また,東京都区部と町村では約2割の差があるなどの鑑賞機会の格差が存在しています。

図表2‐7‐1 人々の求める豊かさ

図表2‐7‐1 人々の求める豊かさ

(注)心の豊かさ→物質的にある程度豊かになったので,これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい物の豊かさ→まだまだ物質的な面で生活を豊かにすることに重きをおきたい

(出典)内閣府「国民生活に関する世論調査」(平成21年6月)

図表2‐7‐2 日常における文化芸術の体験・活動の重要性

図表2‐7‐2 日常における文化芸術の体験・活動の重要性

(出典)内閣府「文化に関する世論調査」(平成21年11月)

 文化芸術振興のために国に力を入れてほしい事項として,約5割の国民が「子どもたちの文化芸術体験の充実」を挙げています。それに次いで,約4割の国民が「文化芸術を支える人材の育成」,「文化財の維持管理に対する支援 」を挙げています。
 文化庁では,基本方針に基づき,子どもたちの文化芸術体験,人材育成,文化財の保存活用など,文化の振興のための諸施策を展開しています。しかしながら,諸外国と比べると文化予算と民間寄附のいずれもが低い水準となっています。

図表2‐7‐3 文化芸術振興のために国に力を入れてほしい事項

図表2‐7‐3 文化芸術振興のために国に力を入れてほしい事項

(出典)内閣府「文化に関する世論調査」(平成21年11月)

図表2‐7‐4 文化予算と寄附額

図表2‐7‐4 文化予算と寄附額

(出典)文化庁調べ

 文化芸術は,過去から未来へと受け継がれ,人々に喜びや感動を与えると同時に,経済や国際協力をはじめ我が国のすべての営みの基盤として極めて重要なものです。
 こうした文化芸術の持つ重要性を考慮して,文化庁では,今後とも文化芸術の振興に努めていきます。

第8章 国際交流・協力の充実に向けて

 昨今の教育や科学技術,文化行政等を取り巻く国際環境は,新興国の台頭,頭脳循環の進展などを受けて,大きな変化にさらされています。このような状況の下,我が国の知恵と経験を活かし,国際機関や各国との協力や連携により,国際的な取組を進めていくことが重要です。文部科学省においては,国際社会で活躍できる人材の育成に努めるとともに,外国人の子どもに対する教育の充実,留学生交流の推進,国際機関を通じた国際貢献,開発途上国への開発協力などを通して,教育・科学技術・文化・スポーツの各分野において,国際的な教育活動を推進しています。
 さらに東アジア共同体構想なども踏まえた東アジア地域における協調や協力が不可欠となっています。文部科学省においても,東アジア地域における交流の促進や域内の相互理解を深めるための施策について検討を進めています。今後,「東アジアにおける交流に関するワーキング・グループ」での検討を進め,戦略的に施策を展開していきます。

第9章 情報社会革命の推進に向けて

 社会の情報化が急速に進展する中で,分かりやすい授業の実現,教職員の校務負担の軽減,児童生徒の情報活用能力の向上などを図り,子どもたちに質の高い教育を提供するために,教育において情報通信技術を活用することは重要です。
 情報通信技術を活用する場合にはそうでない場合よりも客観テストの結果が高い傾向にあることが示されています。また,熊本県が実施した教員と事務職員の勤務実態調査では,校務の情報化を図ることにより,教員が直接に児童生徒の指導を行う時間が増加したことが示されています。
 一方で,文部科学省の調査によれば,「教科書の内容に即した教材コンテンツ」「無料または安価な教育用ソフトウエア」「教員や児童生徒が操作しやすい教育用ソフトウエア」を増やしてほしいと考える学校が8~9割に達しており,使いやすいデジタル教材などの提供・活用の促進が求められています(図表2‐9‐1)。

図表2‐9‐1 デジタルコンテンツに関する学校の要望

図表2‐9‐1 デジタルコンテンツに関する学校の要望

(出典)文部科学省「地域・学校の特色等を活かしたICT環境活用先進事例に関する調査研究」(平成18年度)

 また,学校における情報通信技術の環境整備や教員のICT 活用指導力は十分とは言えず,地方自治体間における相当の格差も見られます(図表2‐9‐2)。

図表2‐9‐2 情報通信技術環境の整備状況及び教員の情報通信技術活用指導力

コンピュータ1台当たりの児童生徒数(人/台)

コンピュータ1台当たりの児童生徒数(人/台)

授業中にICTを活用して指導する能力を有すると回答した教員の割合

授業中にICTを活用して指導する能力を有すると回答した教員の割合

普通教室のLAN整備率(%)

普通教室のLAN整備率(%)

校務にICTを活用する能力を有すると回答した教員の割合

校務にICTを活用する能力を有すると回答した教員の割合

(出典)文部科学省「平成20年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」

 さらに,「授業における情報通信技術の活用が進まない理由」として「活用をサポートしてくれる人(同僚,外部専門家など)がいない」と回答している学校が,小中学校,高等学校とも約7割に達しており,学校におけるICT 活用のサポート人材が求められています。(図表2‐9‐3)

図表2‐9‐3 授業における情報通信技術の活用が進まない理由

図表2‐9‐3 授業における情報通信技術の活用が進まない理由

(出典)文部科学省「地域・学校の特色等を活かしたICT環境活用先進事例に関する調査研究」(平成18年度)

 情報化の急速な進展は,情報社会革命ともいうべき情報通信技術による社会全体の変革につながるものであり,学校教育においても,21 世紀にふさわしい新たな学校と学びを作り出すことが重要な課題となっています。このため,文部科学省では,平成22 年4月に「学校教育の情報化に関する懇談会」を開催し,今後の学校教育の情報化に関する総合的な推進方策について議論しています。

第10章 安全で質の高い学校施設の整備

新たな時代に応じた学校施設への取組

 学校施設は基本的な教育条件の一つであり,発達段階に応じ,教育水準の維持向上の観点から安全で質の高い学校施設を整備する必要があります。
 このため,文部科学省では学校施設の整備に役立てるための指針や事例集などを作成し,学校関係者に周知しています。また,耐震性不足や老朽化し危険となった建物に対して国庫補助などを行っています。さらに世界共通の課題である地球温暖化対策として環境負荷の少ない学校施設の整備を推進しています。
 また,国立大学法人等施設について重点的・計画的整備を支援するとともに,施設マネジメント※1の促進など,大学等の教育研究活動を支えるキャンパス環境の整備充実を推進しています。

学校施設を取り巻く現状や課題と取組

安心して学べる学校

・耐震化の推進

 子どもたちが一日の大半を過ごす活動の場であるとともに,非常災害時には地域住民の応急避難場所ともなる学校施設の安全確保は極めて重要です。文部科学省では,国庫補助を行うなど,地方自治体の取組を支援し,耐震化の推進に積極的に取り組んでいます。

・老朽化対策

 現在,建築後30 年以上を経過した公立学校施設が約5割あるなど,児童生徒急増期に建設された施設の老朽化が深刻な状況にあります。地震発生時や日常の安全安心を確保し,施設の長寿命化を図るため,老朽化した学校施設の戦略的な再生整備を推進していくことが必要です。

・室内環境対策

 児童生徒が健康で快適な学校生活を送れるよう,室内空気汚染対策やアスベスト対策などの学校施設における室内環境対策を推進しています。

・事故防止・防犯対策

 学校が十分な防災性,防犯性など安全性を備えた安心感のある施設環境となるよう,学校施設における事故防止・防犯対策を推進しています。

新たな時代に応じた学校

・学校施設整備指針

 学校種ごとに施設の計画・設計上の留意事項をまとめた「学校施設整備指針」を策定しており,学習内容や方法,社会状況の変化などに対応するため継続的に見直しを行っています。また,事例集やアイディア集等により,普及啓発に努めています。

地域の拠点となる学校

・地域との交流・連携

 生涯学習活動や,高齢者をはじめとする地域住民の交流など多様な活動の拠点としての学校施設の充実に取り組んでいます。

・余裕教室の活用

 近年,少子化に伴う児童生徒数の減少等により余裕教室が発生しており,その有効活用が求められています。文部科学省では,活用事例の紹介や,財産処分手続の弾力化等により,地方自治体が余裕教室を有効に活用していく際の支援を行っています。


※1 施設マネジメント
 施設の効率的管理と戦略的活用を図るためのトップマネジメントで,キャンパス全体について総合的かつ長期的視点から,施設を確保し活用するために行う一連の取組。

・バリアフリー化の推進

 障害の有無に関わらず,児童生徒が支障なく学校生活を送ることができ,また,災害発生時の地域住民の応急的な避難場所等としての役割を果たすことができるよう,事例集を作成するなど,学校設置者等における取組を支援しています。

地球にやさしい学校

・エコスクール

 環境負荷の低減や自然との共生を考慮した施設を整備するとともに,教材として活用し,地域の環境・エネルギー教育の発信拠点とするため,環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備を推進しています

・木材利用

 学校施設における木材活用は,温かみと潤いのある教育環境づくりを進める上での効果や環境負荷低減の効果が期待できます。文部科学省では,国庫補助や木材利用の手引書の作成等により,地方自治体の取組を支援しています。

大学等の活動を支えるキャンパス環境の充実

・第2次国立大学等施設緊急整備5か年計画

 国立大学法人等施設について,耐震化等の老朽施設の再生を最重要課題として重点的・計画的整備を支援するとともに,施設マネジメントや多様な財源を活用した整備の促進など,大学等の教育研究活動を支えるキャンパス環境の整備充実を推進しています。また,現在,今後の施設整備の在り方について,中長期的な対応方策を含む基本的な考え方を取りまとめています。

図表2‐10‐1 安全で質の高い学校施設

図表2‐10‐1 安全で質の高い学校施設

第11章 防災対策の充実

 地震,火山噴火,台風・集中豪雨などの自然災害や原子力災害をはじめとする事故災害に対し,迅速かつ適切に対処するためには,総合的かつ計画的な防災対策を進めることが重要です。
 文部科学省では,児童生徒などの安心・安全を確保するため,学校施設の耐震化をはじめ災害対策基本法などに基づき「文部科学省防災業務計画」を策定し,防災対策の充実に努めています。

図表2‐11‐1 防災対策の充実

図表2‐11‐1 防災対策の充実

第12章 行政改革・政策評価等の推進

 文部科学省では,行政改革について,所管独立行政法人の見直しを進めるとともに,所管公益法人に対しても平成20年12月に施行された新しい公益法人制度への円滑な移行に向けた指導,助言などを行っています。また,地域主権改革や規制改革,構造改革特区制度などの様々な取組を進めています。
 さらに「行政機関が行う政策の評価に関する法律」などに基づき,所管する政策の評価を行うとともに,客観的で分かりやすい評価が行われるよう,毎年評価の実施方法を改善しています。独立行政法人についても,「独立行政法人通則法」などに基づき様々な専門分野の外部有識者で構成する文部科学省独立行政法人評価委員会を設置し,厳正な評価を実施しています。

お問合せ先

生涯学習政策局政策課教育改革推進室

(生涯学習政策局政策課教育改革推進室)

-- 登録:平成22年08月 --