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第2章 現下の教育課題への対応~教育の機会の確保と質の向上~

家計負担の現状と教育投資の水準

教育就学前

○ 我が国は,就学前教育段階の在学率が高い一方で,就学前教育に対する公費支出は低い。
○ 日本の高い在学率は子育て家庭の負担によって支えられている。

初等中等教育大学・大学院

子どもの現状

○学力については,知識技能を活用する力や,学習意欲・関心の低下とともに,学力の低位層へのシフトが課題。
○問題行動等,学校現場が抱える問題が増加。

教員数の充実

○教員に求められる役割は増加する一方,教員を支える専門スタッフの配置が遅れている。
○「授業の準備をする時間が足りない」「教員が行うべき仕事が多すぎる」等と感じている教員が多い。
○精神疾患による病気の休職者が増大。
○1学級あたりの児童生徒数はOECD平均を上回っている。

教育条件の地域間格差

○教育予算の一般財源化・国庫負担率引き下げ,地方財政の悪化により,教育条件の悪化,地域間格差が生じている。

教育のICT化

○ICT環境の整備,教員のICT活用能力の向上が課題。

施設整備

○学校施設の老朽化への対応や学校施設の耐震化が急務。

教育の機会均等

○義務教育段階の就学率はほぼ100%,高校進学率は約98%。
○教育機会の確保のために時代に応じた取組が必要。へき地の交通手段や日本語指導が必要な外国人児童生徒などの学ぶ環境の確保が課題。
○高等学校等実質無償化を始めとしてその教育費は社会全体で負担する必要。

大学の基盤的経費の充実

○国立大学法人運営費交付金は平成16 ~ 22年度までに830億円減少。
○私立大学への助成金も減少傾向。
○日本の高等教育への公財政支出は,対GDP比で,OECD加盟国の中で最下位。

高等教育の機会の確保

○大学進学率は国際的に見ると低い水準。特に社会人学生。
○都道府県別の大学進学率を見ると,国際平均を大きく下回る地域もある。
○地方大学は貴重な高等教育の機会を提供。地域経済へも貢献。
○諸外国と比較して,我が国の大学院在籍者数の対人口比率は少なく,「高学歴社会」とは呼べない状況。
○高等教育への支出は家計負担が50%を超えており,給付型の経済的支援を充実させる必要がある。

就職支援

○平成22年2月1日時点の就職内定率は2000年以降で最低。また,早期離職が問題。

医学教育

○臨床医の数は諸外国と比べて少なく,研究医の数も減少。

施設整備

○第2次国立大学等施設緊急整備5か年計画は約8割達成。
○依然として未改修の老朽施設が約3割存在。

おわりに

●我が国は,国際的にみて家計の教育費負担が大きくそれに比べて公財政教育支出が少ない。
●経済的格差が教育格差に影響し,格差の固定化や連鎖につながる恐れ。
●質の高い教育を実現し,教育の機会を確保するためには教育への投資が必要。

我が国の成長を牽引し,新たな未来を切り拓くのは国民一人一人であり,人材への投資である教育に社会全体として十分な資源を振り向けて取り組むことが必要。

前章で見た家計負担の大きさや,公財政支出が低い水準にあることを踏まえ,今後重視すべき具体的な課題について分析

【就学前教育段階】

  • 我が国は,就学前教育段階の在学率が高い(図表1‐2‐1)。一方で就学前教育に対する公費支出は小さい(図表1‐2‐2)。
    → 日本の高い在学率は家計負担に支えられている
図表1‐2‐1 3,4歳児の幼稚園就園及び保育所在籍率

図表1‐2‐1 3,4歳児の幼稚園就園及び保育所在籍率

(出典)OECD「Education at a Glance(2009)」より作成

図表1‐2‐2 保育サービス及び幼稚園への公費支出(対GDP比)

図表1‐2‐2 保育サービス及び幼稚園への公費支出(対GDP比)

(出典)OECD Family databaseより作成

【初等中等教育段階】

●子どもの現状

  • 学力は知識・技能を活用する力に課題。また,学力の中位層・高位層が減り,低い層が増加している(図表1‐2‐3)。
  • 不登校や学校内での暴力行為の増加,日本語指導が外国人児童生徒数や通級による指導を受けている児童生徒数が増加するなど,一人ひとりに応じたきめ細やかな対応が必要(図表1‐2‐4)
図表1‐2‐3 習熟度別の生徒の割合の推移(PISA(読解力)調査より)

図表1‐2‐3 習熟度別の生徒の割合の推移(PISA(読解力)調査より)

(出典)国立教育政策研究所編『生きるための知識と技能』ぎょうせい(2002,2004,2007年)より作成

図表1‐2‐4 学校現場が抱える問題

図表1‐2‐4 学校現場が抱える問題

●教職員数の充実

  • 教員に求められる役割は増加する一方,教員を支える専門スタッフの配置が遅れている(図表1‐2‐5)。
  • 「 授業の準備をする時間が足りない」「教員が行うべき仕事が多すぎる」と感じている教員は約9割,「保護者や地域住民への対応が増えた」と感じている教員が約8割(図表1‐2‐6)。
  • 精神疾患による病気求職者は年々増加(図表1‐2‐7)
  • 1 学級当たりの児童生徒数はOECD 平均を上回っている(図表1‐2‐8)
図表1‐2‐5 初等中等教育学校の教職員総数に占める教員以外の専門スタッフの割合

図表1‐2‐5 初等中等教育学校の教職員総数に占める

(出典)平成20年度学校基本調査,”Digest of Education Statistics 2008”,“School Workforce in England January 2009”
※日本は小・中学校に関するデータ

図表1‐2‐6 教員の勤務実態調査結果

図表1‐2‐6 教員の勤務実態調査結果

(出典)文部科学省委託調査研究「教員勤務実態調査(小・中学校)報告書(平成18年度)」より作成(小学校・教諭のデータ)

図表1‐2‐7 精神疾患による病気休職者数等の状況

図表1‐2‐7 精神疾患による病気休職者数等の状況

※ 年度の下のカッコは,精神疾患による休職者数の対前年比の数を示す。
(出典)教育職員に係る懲戒処分等の状況について

図表1‐2‐8 1学級あたり児童生徒数[国際比較]

図表1‐2‐8 1学級あたり児童生徒数[国際比較]

(出典)OECD「図表で見る教育(2009年版)」表D2.1

●教育条件の地域間格差

  • 一般財源化,地方財政の悪化などから,教育条件の地域間格差が生じている(図表1‐2‐9 ~ 10)
図表1‐2‐9 小・中学校の1学級あたり教材費

図表1‐2‐9 小・中学校の1学級あたり教材費

(出典)文部科学省調べ

図表1‐2‐10 小・中学校の1校あたり図書費

図表1‐2‐10 小・中学校の1校あたり図書費

(出典)文部科学省調べ

●教育のICT化

  • 教育のICT 環境の整備は,諸外国と比較して立ち後れている(図表1‐2‐11 ~ 12)
図表1‐2‐11 ICT環境の整備状況に関する国際比較
  日本 米国 英国 韓国
調査年月 2009.3 2005秋 2009.6 2008.4
コンピュータ
1台当たりの
児童生徒数
小学校 8.7人
中学校 6.8人
高等学校 5.2人
全体 7.2人
小学校 4.1人
中等学校 3.3人
全体 3.8人
初等学校 6.25人
中等学校 3.6 人
(2008.1現在)
初等学校 6.25人
中等学校 3.6 人
(2008.1現在)

(出典)米国:連邦教育省資料(2006.11)Digest of Education Statistics 2008(Internet Access in U.S. Public Schools and Classrooms:1994‐2005)
英国:Harnessing Technology:Schools Survey 2008
韓国:教育人的資源部 Education in Korea 2009

図表1‐2‐12 教員のICT活用指導力

図表1‐2‐12 教員のICT活用指導力

(出典)文部科学省「平成20年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」

●安心・安全な施設の整備

  • 老朽化した施設の機能改善や耐震化の推進が必要(図表1‐2‐13 ~ 14)
図表1‐2‐13 公立小中学校施設の老朽化の状況(平成21年度)

図表1‐2‐13 公立小中学校施設の老朽化の状況(平成21年度)

(出典)文部科学省調べ

図表1-2-14 公立小中学校施設の耐震化の状況(平成21年4月1日現在)

図表1-2-14 公立小中学校施設の耐震化の状況(平成21年4月1日現在)

(出典)文部科学省調べ

●教育の機会均等

  • 義務教育段階の就学率は戦後一貫してほぼ100%,高校進学率は約98%となっているが,教育機会の確保のために時代に応じた取組が必要。
  • 教育費の負担軽減
    • 義務教育段階における就学援助
    • 高校無償化(図表1‐2‐15)
  • 教育費の負担軽減以外の取組
    • へき地学校に通う児童生徒への支援
    • 外国人児童生徒の増加
図表1‐2‐15 授業料を滞納する生徒の割合

図表1‐2‐15 授業料を滞納する生徒の割合

(出典)「教育安心社会の実現に関する懇談会」報告書より

【高等教育段階】

●大学の基盤的経費の充実

  • 大学の活動の支える基盤となる経費である国立大学法人運営費交付金や私学助成は年々減少(図表1‐2‐16 ~ 17)
  • 日本の高等教育への公財政支出は,対GDP 比でOECD 加盟国の中で最下位(図表1‐2‐18)。
図表1‐2‐16 国立大学法人運営費交付金

図表1‐2‐16 国立大学法人運営費交付金

(出典)文部科学省調べ

図表1-2-17 私立大学等における経常的経費と経常費補助金額の推移

図表1-2-17 私立大学等における経常的経費と経常費補助金額の推移

(出典)文部科学省調べ

図表1‐2‐18 高等教育機関に対する公財政支出の対GDP比のOECD各国比較

 図表1‐2‐18 高等教育機関に対する公財政支出の対GDP比のOECD各国比較

(出典)OECD「Education at a Glance(2009)」より作成

●高等教育の機会確保

  • 我が国の大学進学率は国際平均を下回っている(図表1‐2‐19)。(特に社会人の入学者が少ない(図表1‐2‐20))
  • 都道府県別の大学進学率を見ると,国際平均を大きく下回る地域もある(図表1‐2‐21)。
  • 地方大学にも多くの学生が在籍しており,貴重な大学教育の機会を提供(図表1‐2‐22)。また,教育研究活動は地域産業の活性化につながっている。
  • 大学院生の人口に占める割合は国際的に少ない(図表1‐2‐23 ~ 24)。学生への経済的支援に加え,修了後の社会における活躍の場が課題。
  • 高等教育への支出は家計負担が50%を超えており(図表1‐2‐25),給付型の経済的支援を充実させる必要がある。
図表1‐2‐19 大学進学率の国際比較

図表1‐2‐19 大学進学率の国際比較

(出典)UNESCO Institute for Statistics“ Global Education Digest 2009 Comparing Education Statistics Across the World” Table 7を基に作成(ISCED 5Aの値)
上記のほか,シンガポール23.8%(ポリテクを加えると65.0%),台湾87.7%となっている(いずれも各国政府の公表数値)。

図表1‐2‐20 大学型高等教育機関への25歳以上(社会人)の入学者の割合

図表1‐2‐20 大学型高等教育機関への25歳以上(社会人)の入学者の割合

(出典)OECD教育データベース(2007年)。ただし,日本の数値については,「学校基本調査」及び文部科学省調べによる社会人入学生数

図表1‐2‐21 大学進学率(都道府県別)

図表1‐2‐21 大学進学率(都道府県別)

(出典)学校基本調査 ※図表1‐2‐19とは調査年,算出方法が異なるため数値は一致しない

図表1‐2‐22 学部学生の地域別の状況
  国立 公立 私立 全体
三大都市圏 37%
169,131人
45%
51,702人
78%
1,520,326人
69%
1,741,159人
その他の地域 63%
285,522人
55%
62,426人
22%
431,486人
31%
779,434人

※三大都市圏は,東京圏(埼玉県,千葉県,神奈川県,東京都),中京圏(岐阜県,愛知県,三重県),近畿圏(滋賀県,京都府,大阪府,兵庫県,奈良県,和歌山県)を指す。
(出典)学校基本調査(平成20年度)

図表1‐2‐23 主要国における人口100万人当たりの専攻分野別修士号取得者(2005年)

図表1‐2‐23 主要国における人口100万人当たりの専攻分野別修士号取得者(2005年)

(出典)博士号取得者数については,文部科学省「教育指標の国際比較」(平成20,21年版),及び人口については,OECD“Main Science and Technology Indicators Vol 2009/2 ”を基に文部科学省にて作成

図表1‐2‐24 主要国における自然科学分野の博士号取得者の推移

図表1‐2‐24 主要国における自然科学分野の博士号取得者の推移

注:本データには保健分野が含まれていない。
(出典)NSF“Science and Engineering Indicators 2010” Figure 0‐9を基に作成

図表1‐2‐25 (再掲)教育支出の公私比負担割合(高等教育)

図表1‐2‐25 (再掲)教育支出の公私比負担割合(高等教育)

(出典)OECD「Education at a Glance(2009)」より作成

●就職支援についての課題

  • 平成22 年3月に卒業予定の学生の就職内定率(22 年2 月時点)は2000 年以降で最低と極めて厳しい状況(図表1‐2‐26)。就職後の早期離職も問題化(3人に1人が3年以内に辞めてしまう)(図表1‐2‐27)。
  • 大学生の就業力育成に向けた支援が必要。
図表1‐2‐26 大学卒業予定者の就職内定状況調査(各年2月1日現在)

図表1‐2‐26 大学卒業予定者の就職内定状況調査(各年2月1日現在)

(出典)厚生労働省・文部科学省「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」

図表1‐2‐27 早期離職率

図表1‐2‐27 早期離職率

(出典)厚生労働省職業安定局集計
(注)3年目までの離職率は四捨五入の関係で,合計と一致しないことがある

●臨床医についての課題

  • 日本の人口当たり臨床医数は国際水準を下回り,医師の養成は喫緊の課題(図表1‐2‐28)。
図表1‐2‐28 人口1,000人あたりの臨床医師数

図表1‐2‐28 人口1,000人あたりの臨床医師数

※1 2006 ※2 2004
注1 単純平均とは,各国の人口当たり医師数の合計を国数で割った数のこと。
注2 加重平均とは,全医師数を全人口で割った数のこと。
注3 一部の国では,臨床医数ではなく総医師数を用いている。
(出典)OECD Health Data 2009(平成21年)より

●高等教育の施設整備

  • 老朽施設の改修,狭隘の解消,耐震化推進が課題(図表1‐2‐29 ~ 30)。
図表1‐2‐29 第2次国立大学等施設緊急整備5か年計画の進捗状況

図表1‐2‐29 第2次国立大学等施設緊急整備5か年計画の進捗状況

※[ ]内の数字は整備目標,( )内の数字は目標に対する整備実績の割合を示す
(出典)文部科学省調べ:平成22年度予算反映後

図表1‐2‐30 国立大学法人等施設の経年別保有面積

図表1‐2‐30 国立大学法人等施設の経年別保有面積

(出典)文部科学省調べ

お問合せ先

生涯学習政策局政策課教育改革推進室

(生涯学習政策局政策課教育改革推進室)

-- 登録:平成22年08月 --