ここからサイトの主なメニューです

第1章 家計負担の現状と教育投資の水準

第1節 家計負担の現状

家計の教育支出
○ 大学卒業までにかかる平均的な教育費は,全て国公立でも約1,000万円,全て私学だと約2,300万円に上る。
○アンケートによれば,教育費の高さは少子化の最も大きな要因の一つ。

経済的状況と学力の格差への影響
○各種統計から見て,所得格差は緩やかに増大している傾向。
○就学援助を受けている生徒が多いほど,学力調査において平均正答率が低い傾向。
○両親の収入が高いほど4年制大学への進学率が高くなる。

学力の推移
○近年のPISA調査(読解力)では,我が国は学力の中位層・高位層が減るとともに,学力の低い層が増えつつある。

進学先と卒業後の就業状態・生涯賃金
○どのような学校段階に進んだかは,卒業後の就業状態や所得に影響を与える。

第1節 家計負担の現状

家計負担の現状と,学力や進学などの格差について分析

●家計の教育支出

  • 大学卒業までにかかる費用全て国公立:約1,000 万円,全て私立:約2,300 万円(図表1‐1‐1)。
  • 子どもが大学生の家庭では,貯蓄率がマイナスとなっている(図表1‐1‐2)。
  • アンケート調査によれば,教育費の高さは少子化の最も大きな要因の一つ(図表1‐1‐3)。
図表1‐1‐1 大学卒業までにかかる費用
区分 学習費等(※1)総額 合計
幼稚園 小学校 中学校 高等学校 大学(※2)
ケース1
高校まで公立,
大学のみ国立
669,925 1,845,467 1,443,927 1,545,853 4,366,400
(平均)
9,871,572
2,876,000
(自宅)
8,381,172
5,332,000
(下宿・アパート)
10,837,172
ケース2
すべて公立
669,925 1,845,467 1,443,927 1,545,853 3,920,000
(平均)
9,425,172
2,680,400
(自宅)
8,185,572
4,870,000
(下宿・アパート)
10,375,172
ケース3
幼稚園及び大学は私立,
他は公立
1,625,592 1,845,467 1,443,927 1,545,853 6,239,600
(平均)
12,700,439
5,175,200
(自宅)
11,636,039
7,905,600
(下宿・アパート)
14,366,439
ケース4
小学校及び中学校は公立,
他は私立
1,625,592 1,845,467 1,443,927 2,929,077 6,239,600
(平均)
14,083,663
5,175,200
(自宅)
13,019,263
7,905,600
(下宿・アパート)
15,749,663
ケース5
小学校だけ公立
1,625,592 1,845,467 3,709,312 2,929,077 6,239,600
(平均)
16,349,048
5,175,200
(自宅)
15,284,648
7,905,600
(下宿・アパート)
18,015,048
ケース6
すべて私立
1,625,592 8,362,451 3,709,312 2,929,077 6,239,600
(平均)
22,866,032
5,175,200
(自宅)
21,801,632
7,905,600
(下宿・アパート)
24,532,032

幼稚園~高等学校の教育費は文部科学省「平成20年度子どもの学習費調査結果」に基づいて作成(単位:円)
大学の教育費については独立行政法人日本学生支援機構「平成20年度学生生活調査報告」に基づいて作成
※1「学習費等」には授業料などの学校教育費や学校給食費,学校外活動費が含まれる
※2家庭から学生への給付額を使用

図表1‐1‐2 子どもの成長段階と家計の貯蓄率

子ども1人世帯の平均貯蓄率

子ども2人世帯の平均貯蓄率

(出典)総務省「全国消費実態調査」※平均貯蓄率={(預貯金+保険掛金)‐(預貯金引出+保険取金)}÷可処分所得

図表1‐1‐3 教育費負担に関する国民の意識調査結果

◆ 子育てのつらさの内容

子育てのつらさの内容

(出典)内閣府「社会意識に関する世論調査」(平成20年2月)

◆ 少子化対策で特に期待する政策

少子化対策で特に期待する政策

(出典)内閣府「少子化対策に関する特別世論調査」(平成21年1月)

◆ 予定子ども数が理想子ども数を下回る理由

予定子ども数が理想子ども数を下回る理由

(出典)国立社会保障・人口問題研究所「第13回出生動向基本調査」(平成18年6月)

家庭の経済的・社会的状況の格差の影響

  • 各種統計から見て,ジニ係数は年々増加。所得格差は緩やかに増大しつつある(図表1‐1‐4)。
  • 就学援助を受けている生徒の割合が高い学校は,平均正答率が低くなる傾向(図表1‐1‐5)。
  • 両親の収入が高いほど4年制大学への進学率が高くなる(図表1‐1‐6)。
  • 保護者の子どもへの接し方や教育意識も子どもの学力に影響(図表1‐1‐7)。
図表1‐1‐4 各種調査にみるジニ係数の変化

図表1‐1‐4 各種調査にみるジニ係数の変化

(備考)
1.総務省「全国消費実態調査」,厚生労働省「所得再分配調査」,「国民生活基礎調査」により作成
2.年間収入(全国消費実態調査)は,勤め先収入,営業収入,内職収入,公的年金・恩給,農林漁業収入などを含む。税金が除かれる前の所得。
3.年間所得金額(国民生活基礎調査)は,各年次の1 ~ 12月の稼働所得(雇用者所得,事業所得,農耕・畜産所得,家内労働所得),公的年金・恩給,財産所得,雇用保険,その他の社会保障給付金,仕送り,企業年金・個人年金等,その他の所得の合計額をいう。税金が除かれる前の所得。
4.当初所得(所得再分配調査)は雇用者所得,事業所得,農耕・畜産所得,財産所得,家内労働所得及び雑収入並びに私的給付(仕送り,企業年金,生命保険金等の合計額)の合計額をいう。また,再分配所得(所得再分配調査)は当初所得から税金,社会保険料を控除し,社会保障給付(現物給付を含む)を加えたものである。

(出典)21年度経済財政白書より引用

図表1‐1‐5 就学援助と学校の平均正答率(中学校)

図表1‐1‐5 就学援助と学校の平均正答率(中学校)

(出典)文部科学省・国立教育政策研究所「平成21年度全国学力・学習状況調査」

図表1‐1‐6 親の収入と高校卒業後の進路

図表1‐1‐6 親の収入と高校卒業後の進路

注1)日本全国から無作為に選ばれた高校3年生4,000人とその保護者4,000人が調査対象。
注2)両親年収は,父母それぞれの税込年収に中央値を割り当て(例:「500~700万円未満」なら600万円),合計したもの。
注3)無回答を除く。「就職など」には就職進学,アルバイト,海外の大学・学校,家業手伝い,家事手伝い・主婦,その他を含む。
(出典)東京大学大学院教育学研究科 大学経営・政策研究センター「高校生の進路追跡調査第1次報告書」(2007年9月)

図表1-1-7 親の子どもへの接し方と子どもの学力の関係

図表1-1-7 親の子どもへの接し方と子どもの学力の関係

(出典)文部科学省:お茶の水女子大学委託研究(平成20年度)より作成

●学力の推移

  • 近年のPISA 調査では,我が国は学力の中位層・高位層が減るとともに,学力の低い層が増えつつある(図表1‐1‐8)。
図表1‐1‐8 習熟度別の生徒の割合の推移(PISA調査(読解力)より)

図表1‐1‐8 習熟度別の生徒の割合の推移(PISA調査(読解力)より)

(出典)国立教育政策研究所編『生きるための知識と技能』ぎょうせい(2002,2004,2007年)より作成

●進学先と卒業後の就業状態・生涯賃金

  • 経済的な格差が教育の格差につながることが懸念される中,どのような学校段階に進んだかは,卒業後の就業状態や所得に影響を与える(図表1‐1‐9 ~ 11)。
図表1‐1‐9 就業状態の類型(性別・学歴別)

図表1‐1‐9 就業状態の類型(性別・学歴別)

(出典)独立行政法人労働政策研究・研修機構No.72大都市の若者の就業行動と移行過程‐包括的な移行支援に向けて‐図表1‐23から作成
項目は離学時点から調査時点(2006年2月)までの就業経験により分類。
調査対象:東京都の18‐29歳の若者計2,000人(正規課程の学生,専業主婦を除く)

※非典型一貫
離学直後が非典型雇用や失業・無職であり,あるいは自営・家業従事であり,かつ調査時点現在も非典型雇用である者
※非典型
アルバイト・パート,契約・派遣の働き方
※他形態
非典型に自営・家業従事者を含めた働き方

図表1‐1‐10 学歴別生涯賃金の比較(男性)

図表1‐1‐10 学歴別生涯賃金の比較(男性)

(出典)独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計‐労働統計加工指標集‐2010」より作成

図表1‐1‐11 学歴別生涯賃金の比較(女性)

図表1‐1‐11 学歴別生涯賃金の比較(女性)

(出典)独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計‐労働統計加工指標集‐2010」より作成

◎格差の固定化や世代間の連鎖とならぬよう、全ての意志ある者が質の高い教育を受けるようにすることが重要

第2節 教育投資の水準

我が国の教育投資の水準について国際比較から分析

経済規模と教育投資の状況
○公費と私費をあわせた教育支出はOECD平均なみ。
○ただし,公私の割合は私費(特に家計)負担が大きい。
○その結果,公財政教育支出の対GDP比の割合は,OECD諸国中低い水準。
○日本の教育支出は家計負担によって支えられている。

少子化と教育費の状況
○2000 ~ 05年間で,少子化が進んでいるにもかかわらず公財政教育支出を増加している国が多い。
○他方,我が国の教育支出は横ばい。

公財政支出における教育費の位置付けの状況
○政府の支出のうち,教育の割合はOECD諸国の中でも下位に位置する。
○我が国の政府支出の特徴は
 ・教育費の割合が低い
 ・一般政府総固定資本形成の割合が高い
 ・保健の割合が高い

政府規模と教育費との関係

○我が国の教育への公財政支出の水準は,国民負担率が低い国の中においてもなお,国際的な水準を下回る。

諸外国と比較して,我が国の教育への公財政支出の現状・水準について分析

● 経済規模と教育投資の状況

  • 公費と私費(塾など学校外教育費は除く)をあわせた教育支出はOECD 平均並み(図表1‐1‐12)
  • ただし,我が国は私費負担が大きい(図表1‐1‐13)
  • 公財政支出だけを見た場合,OECD 諸国で低い水準(図表1‐1‐14)

→ 家計の負担に依存している状況
→ このことが教育費負担の重さにつながっている

図表1‐1‐12 教育支出の対GDP比(公費負担及び私費負担の合計)

図表1‐1‐12 教育支出の対GDP比(公費負担及び私費負担の合計)

(出典)OECD「Education at a Glance(2009)」より作成

図表1‐1‐13 教育費の公私負担割合(学校段階別)

図表1‐1‐13 教育費の公私負担割合(学校段階別)

(出典)OECD「Education at a Glance(2009)」より作成(上3図とも)

図表1‐1‐14 公財政教育支出の対GDP比

図表1‐1‐14 公財政教育支出の対GDP比

※トルコ(2.7%)は,昨年はデータの提出がなかった。
(出典)OECD「Education at a Glance(2009)」より作成

少子化と教育費の状況

  • 各国とも,少子化が進展しているなか教育費を増加
  • 我が国は横ばい

(図表1‐1‐15 ~ 16)

図表1‐1‐15 5~19歳人口の総人口に占める割合

図表1‐1‐15 5~19歳人口の総人口に占める割合

(出典)World Population Prospects: The 2008 Revision Population Databaseより作成

●政府支出における教育の位置づけの状況

  • 我が国は,政府の支出の中で教育の割合が少ない(図表1‐1‐17)
  • 一般政府総支出の内訳を見ると我が国は,
    • 教育費の割合が低い
    • 一般政府総固定資本形成の割合が高い
    • 保健の割合が高い

(図表1‐1‐18)

図表1‐1‐16 公財政教育支出の伸率

図表1‐1‐16 公財政教育支出の伸率

※各年の公財政教育支出はGDPデフレーターによる物価補正済み
(出典)OECD「Education at a Glance(2009)」より作成

図表1‐1‐17 一般政府総支出に占める公財政教育支出の割合

図表1‐1‐17 一般政府総支出に占める公財政教育支出の割合

(出典)OECD「Education at a Glance(2009)」より作成

図表1‐1‐18 一般政府総支出の構成比の各国比較

図表1‐1‐18 一般政府総支出の構成比の各国比較

注1:一般政府総固定資本形成は,教育,保健,社会保護,防衛に関する経費を除く
注2:ドイツのデータは,一般政府総固定資本形成のデータを一般政府総資本形成のデータで代替
注3:図表1-1-31と図表1-1-32 ~図表1-1-34では,出典・作成年が異なるため,教育のための支出の割合は一致しない
(出典)OECD.Stat

●政府規模と教育費との関係

  • 我が国の政府規模が小さいことを考慮してもなお,我が国の教育への支出は,国際水準を下回る(図表1‐1‐19)。
図表1‐1‐19 国民負担率と公財政教育支出との関係

図表1‐1‐19 国民負担率と公財政教育支出との関係

(出典)OECD「Education at a Glance(2009)」
財務省ホームページ(http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/siryou/sy2202p.pdf)より作成

お問合せ先

生涯学習政策局政策課教育改革推進室

(生涯学習政策局政策課教育改革推進室)

-- 登録:平成22年08月 --