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第4節 高等教育機関の多様な展開

1.国公私立大学の充実

(1)国公私立大の整備充実

【国立大学】

 国立大学では,個性的かつ魅力的な教育研究を展開するため,様々な教育研究組織の整備が行われています。

1国立大学の再編・統合

 国立大学の再編・統合は,教育研究の一層の発展という観点から,各大学間の自主的な検討結果を踏まえて行われています。平成19年10月には,教育研究における「国際性」の充実・発展や管理運営基盤の強化等を図るため,大阪大学と大阪外国語大学が統合しました。国立大学は14年4月には101大学ありましたが,14組29大学が統合し,現在86大学となっています。

2学部の整備充実

 平成19年度においては,学問の進展に対応し社会的要請の強い人材を養成するため,各大学において学部等の整備が行われました。筑波大学では,養成する人材をより明確にするために,教育分野の特性に配慮した学群の改組を行いました。また,観光分野において,我が国における経済活動・地域振興等に重要な役割を果たし,観光を牽引していく人材を養成するために,和歌山大学が経済学部に観光学科を,琉球大学が法文学部に産業経営学科を設置しました。

3大学院の整備充実

 平成19年度においては,高度の専門性を要する職業に従事するために必要とされる専門的知識及びその能力の育成に特化した実践的教育を行う高度専門職業人を養成する専門職大学院として,東京大学が医学系研究科に公共健康医学専攻を,鹿児島大学が臨床心理学研究科を設置しました。
 また,8大学が国際広報メディア・観光学院など17研究科等を,24大学が食品流通安全管理専攻など51専攻を設置しました。

【公私立大学】

 公私立大学においては,15年度(16年度開設)4月から学部・研究科などの設置について広く届出制を導入しており(参照:本章第2節2(1)),16年度(17年度開設)以降においても活発な組織改編が行われています(14年度278件,15年度472件,16年度392件,17年度482件,18年度353件,19年度337件(19年度の届出件数は19年11月末現在))(図表2−3−11)。また,構造改革特別区域制度により,16年度から,株式会社による大学等の設置も行われています。

図表2−3−11 近年の公私立大学の設置状況
開設年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度
認可 291 277 196 127 126 110 85
届出 1 1 276 265 356 243 252
設置認可・届出総数 292 278 472 392 482 353 337
総数の事項別内訳 大学・短大 184 かっこ(1) 155 かっこ(1) 249 かっこ(194) 213 かっこ(165) 315 かっこ(260) 224 かっこ(175) 217 かっこ(174)
大学院 108 - 123 - 223 かっこ(82) 179 かっこ(100) 167 かっこ(96) 129 かっこ(68) 120 かっこ(78)
公立 大学・短大 2 かっこ(1) 7 かっこ(1) 6 かっこ(1) 12 かっこ(5) 21 かっこ(18) 15 かっこ(14) 19 かっこ(18)
大学院 24 - 24 - 26 かっこ(11) 15 かっこ(5) 26 かっこ(19) 15 かっこ(6) 19 かっこ(10)
小計 26 かっこ(1) 31 かっこ(1) 32 かっこ(12) 27 かっこ(10) 47 かっこ(37) 30 かっこ(20) 38 かっこ(28)
私立 大学・短大 182 - 148 - 243 かっこ(193) 201 かっこ(160) 294 かっこ(242) 209 かっこ(161) 198 かっこ(156)
大学院 84 - 99 - 197 かっこ(71) 164 かっこ(95) 141 かっこ(77) 114 かっこ(62) 101 かっこ(68)
小計 266 - 247 - 440 かっこ(264) 365 かっこ(255) 435 かっこ(319) 323 かっこ(223) 299 かっこ(224)
  • 注)
    1. 件数は,設置組織数ベース(20年度の「認可」は20年1月末現在,「届出」は19年11月末現在の数字)。
    2. 事項別内訳の括弧内は,届出による内数。
    3. 平成18年度開設の薬学関係学科については,形式的な組織改編を伴わない修業年限変更も含む。

(出典)文部科学省調べ

1学部の整備充実

 大学の新設は13校(大学10校,短期大学1校,大学院大学2校)でした。設置形態としては新規に参入するものが2校あり,それ以外はすべて大学,短期大学や専修学校を設置している学校法人が設置したものでした。
 そのほか,社会的な要請に対応した各大学における自主的な取組により,特に看護・医療技術系の専門的な職業の人材を養成する学部の整備が引き続き進んでいるほか,保健医療経営学部,アーツ・サイエンス学科といった多様な学部・学科が設置されています。

2大学院の整備充実

 「実践的な指導力を含む高度な専門性を有する新人教員の養成」や,「現職教員の再教育の充実」を図ることを目的とした教職大学院制度が創設され,平成19年度は19校(国立16校,私立3校)の教職大学院が新設されました。これらの大学については,我が国の教員養成のモデルとして,教職大学院制度の趣旨に添って国民の要請に応える優れた教員を養成することが期待されます。そのほか,学部を置かず大学院のみを置く大学院大学の設置は,ビューティビジネス,経営管理の分野で2大学ありました(両校とも専門職大学院)。
 その他の一般の大学院についても,メディアデザイン研究科,公共・地域マネジメント専攻といった多様な研究科・専攻が設置されています。

(2)専門職大学院の新たな展開

 社会が多様に発展し,国際的競争も激しくなる中で,多様な経験や国際的視野を持ち,高度で専門的な職業能力を持つ人材が多く必要とされるようになってきています。このような社会のニーズに対応するため,高度専門職業人の養成に目的を特化し,理論と実務を架橋する実践的な教育を展開する専門職大学院を平成15年に創設しました。
 平成19年11月現在,法務(法科大学院),会計,経営管理,MOT(技術経営),公共政策などの多様な分野で計149専攻(うち法科大学院74専攻)が開設され,それぞれの個性・特色に応じた教育を実施しています。このうち法科大学院は,旧来の司法試験という「点」のみによる選抜ではなく,法学教育,司法試験,司法修習を有機的に連携させた「プロセス」としての新たな法曹養成制度の中核的機関としての役割を果たしています。また,近年の社会構造の急激な変化や学校教育が抱える課題の複雑・多様化に伴い,より高度な専門性と豊かな人間性・社会性を備えた力量ある教員が求められていることから,専門職大学院の一類型として「教職大学院」制度を創設しました。最初の教職大学院は20年度から開設されます。
 文部科学省は,理論と実務を架橋した実践的な教育内容・方法の開発・充実等を図る専門職大学院の優れた取組に対し重点的に支援する「専門職大学院等教育推進プログラム」の実施など,高度専門職業人養成にふさわしい教育が展開できるよう支援の充実に努めています。

(3)短期大学教育の新たな展開

 短期大学は,学校教育法において4年制大学と目的や修業年限を異にする大学として位置付けられており,制度創設以来,私立短期大学を中心に量的整備が図られ,特に女子の高等教育の普及や実践的職業教育の場として大きな役割を果たしてきました。しかしながら,18歳人口の減少や女子学生の4年制大学志向の高まりなど,短期大学をめぐる状況の変化の中で,短期大学は,他の高等教育機関と異なる個性・特色の明確化に一層努めることが求められています。
 短期大学の個性・特色は,身近な高等教育機関として,短期間で,大学としての教養教育やその基礎の上に立った専門教育を提供する点にあります。このような特徴の明確化に資するよう,平成17年に短期大学卒業者に対する「短期大学士」の学位制度が創設されました。これにより,諸外国と同様に学位が授与されることになり,我が国の短期大学卒業者が外国の大学に留学する場合や,我が国の短期大学に留学していた外国の学生が帰国して就職する場合に,短期大学卒業という学歴について適切な評価を得られやすいなど,学生の国際交流に資するものと考えられます。さらに各短期大学においては,学位授与機関として,教育内容の一層の改善・充実に向けた取組が進められることが期待されます。
 また,短期大学は地域と連携協力して多様な学習機会を提供することが期待されており,このような期待にこたえる一つの取組として,社会人を含めた地域の多様な需要により柔軟に対応していくことを目的とした総合的な学科(地域総合科学科)の設置が進められています(平成19年度現在,25短期大学31学科)。
 地域総合科学科は,学科の分野を特定せず,複数の異なる分野の科目やコースを用意し柔軟な履修を可能とすることにより,学生や地域の様々な需要にこたえていくことを目的とした学科の総称であり,財団法人短期大学基準協会によって,その特色と教育の質について適格認定が行われています。
 文部科学省は,「特色ある大学教育支援プログラム」において優れた教育改善の取組への支援を行うなど,各短期大学の改革への積極的な取組を促しています。

2.高等専門学校の充実

 高等専門学校は,中学校卒業後という早い年齢段階からの,実験・実習を重視した,5年間一貫の専門的・実践的な技術教育を特徴とする高等教育機関です(図表2−3−12)。
 工業の分野を中心に,平成19年5月現在,国立55校,公立6校,私立3校の計64校が設置されていますが(図表2−3−13図表2−3−14),その教育成果は,産業界から高い評価を受けており,最近の平均求人倍率は20倍前後に達し(図表2−3−15),例年100パーセント近い就職率となっています。
 卒業後には,大学3年次への編入学制度等による進学の道が開かれており,平成19年3月の高等専門学校卒業者のうち約42パーセントに当たる4,253人が,専攻科や長岡,豊橋の技術科学大学をはじめとする国・公・私立大学等に進学しています。
 このうち,専攻科は現在60の高等専門学校に設置されています。大学評価・学位授与機構が認定した専攻科の修了者は,一定要件を満たせば,同機構から学士の学位を授与されることとなっており,高等専門学校機構の専攻科はすべて同機構の認定を受けています。また,専攻科修了後の大学院進学率も最近では30パーセント前後となっています(図表2−3−16)。
 各高等専門学校においては,地域活性化や地域貢献への取組が積極的に行われており,地域共同テクノセンター等を拠点として,地元企業・各種団体との共同研究・技術支援などを通じて,地域産業の振興と,ものづくり技術者の育成を推進しています。
 近年,科学技術の高度化が進むなど,高等専門学校をめぐる状況は大きく変化しており,これらに対応するため,高等専門学校教育の一層の充実・強化が求められています。現在,中央教育審議会大学分科会の下に置かれた高等専門学校特別委員会では,国公私を通じた高等専門学校の振興方策について検討しています。

図表2−3−12 分野別学科数・入学定員

区分 工業 商船 工業商船以外 合計
機械系 電気・電子系 情報系 化学系 土木・建築系 その他 商船系
学科数 54 78 44 31 37 4 5 4 257
入学定員 2,205 3,135 1,770 1,240 1,480 745 200 160 10,935
  • 注)
    1. 「その他」とは,デザイン工学科,総合工学システム学科,総合システム工学科,ものづくり工学科である。
    2. 「工業,商船以外」とは,経営情報学科,情報デザイン学科,コミュニケーション情報学科及び国際流通学科である。
    3. 学科数・入学定員ともに募集停止の学校を含まない。

(出典)文部科学省調べ

図表2−3−13 高等専門学校分布図

図表2−3−14 設置者別学校・学科・学級数及び入学定員

区分 学校数 学科数 学級数 入学定員
64校かっこ(60校) 257学科 272学級 10,935人
国立 55校かっこ(54校) 242学科 242学級 9,680人
公立 6校かっこ(4校) 7学科 19学級 760人
私立 3校かっこ(2校) 8学科 11学級 495人
  • 注)
    1. かっこは,専攻科を設置する学校数で内数。
    2. 学科数・学級数・入学定員は募集停止の学校を含まない。

(出典)文部科学省調べ

図表2−3−15 卒業者の進路状況の推移

区分 14年度
(15年3月卒)
15年度
(16年3月卒)
16年度
(17年3月卒)
17年度
(18年3月卒)
18年度
(19年3月卒)
卒業者数 10,056人 10,011人 10,061人 10,140人 10,208人
就職者数 5,392人
(53.6パーセント%)
5,422人
(54.2パーセント%)
5,415人
(53.8パーセント%)
5,455人
(53.8パーセント%)
5,546人
(54.3パーセント%)
求人倍率 9.4倍 10.4倍 12.5倍 15.6倍 20.1倍
進学者数 3,938人 3,929人 4,113人 4,205人 4,253人
進学率 39.2パーセント% 39.2パーセント% 40.9パーセント% 41.5パーセント% 41.7パーセント%

(出典)文部科学省「学校基本調査」(求人倍率は文部科学省調べ)

図表2−3−16 高等専門学校専攻科修了生の大学院進学状況

3.専門学校の現状と最近の施策

(1)専門学校の現状

 専修学校は,社会の変化に即応した実践的な職業教育,専門的な技術教育等を行う教育機関として,昭和51年の制度発足以来,着実に発展してきました。特に,高等学校卒業程度を入学対象とする専修学校専門課程(専門学校)の生徒数は,平成19年5月現在約63万人となり,新規高等学校卒業者の約16.8パーセントが進学しており,大学への進学(約44.1パーセント)に次ぐ割合となっています。専門学校は,我が国の高等教育の重要な一翼を担い,多様な社会の要請と国民の教育ニーズにこたえ,高等教育の多様化・個性化を図る上でも重要な役割を果たしています。

(2)最近の施策

 専門学校における学修の成果については,修業年限2年以上,総授業時数1,700時間以上などの要件を満たすと文部科学大臣が認めた学科の修了者に「専門士」の称号が付与されるほか,一定の要件を満たす専門学校修了者の大学への編入学が認められており,平成19年5月現在の編入学者数は2,744人となっています。また,修業年限4年以上,総授業時数3,400時間以上などの要件を満たす学科の修了者に対し,「高度専門士」の称号や大学院への入学資格を付与する制度が,17年9月に創設され,19年2月現在,280学科がその対象学科として認められています。
 また,専門学校修了者に対する各種国家資格の受験の際の取扱い(受験資格や試験免除等)については,大学や短期大学等と同等の取扱いをする措置が進められています。

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