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第2節 高等教育の更なる発展に向けて

1.大学等の運営システムの改革

(1)国立大学等の法人化

1国立大学等の法人化の意義

 国立大学及び大学共同利用機関法人は,平成15年の国立大学法人法の成立により,平成16年4月に法人化されました。
 これは,国立大学を国の人事や予算等の枠組みから外し,大学自らの責任と判断で運営できるよう,大学の裁量を大幅に拡大したものです。法人化によって大学の自主性・自律性を向上させ,教育研究活動を活性化し,より個性豊かな魅力ある大学づくりを実現することを目的としています。

2国立大学法人制度の概要

 国立大学法人制度の特徴としては,次のようなものが挙げられます(図表2−3−8)。

  • (ア)責任ある経営体制の確立
    • 学外理事を含む役員会を設置し,学長中心の経営体制を確立
  • (イ)「学外者の参画」による運営システムを制度化
    • 理事や経営協議会委員として,学外有識者が経営に直接参画
  • (ウ)国家公務員法体系にとらわれない弾力的な人事システムへの移行
    • 教職員の雇用形態や給与体系・勤務時間体系等の弾力化
  • (エ)評価による事後チェック方式へ移行
    • 国立大学法人評価委員会による中期目標・中期計画の達成状況についての評価を実施
図表2−3−8 国立大学法人の仕組み

3国立大学法人における改革の推進状況−進む大学の意識改革と個性化−

 各国立大学法人では,法人化のメリットを生かし,それぞれの理念・特色に応じて,経営体制の確立,教育・研究の活性化,学生支援の充実,産学連携・地域貢献の促進など,様々な取組を積極的に行っており,今後の展開が期待されます。

(2)公立大学の法人化

 平成16年4月,地方独立行政法人とその一類型としての公立大学法人について定める「地方独立行政法人法」が施行されました。これによって公立大学は,設置者である地方公共団体の判断により法人化することが可能となりました。
 公立大学の法人化は,大学の教育研究の特性を踏まえつつ,自律的な環境の下,地域社会の要請にこたえて,優れた教育や特色ある研究に積極的に取り組む個性豊かな魅力ある大学づくりを図ることを目的としています。
 なお,平成19年度までに33法人が設立されており,その他の地方公共団体においても検討がなされています(図表2−3−9)。
 さらに,文部科学省は,法人経営,教育研究,地域貢献など幅広い観点から,公立大学の法人化を契機とした特色ある取組状況を把握するために,平成18年度までに設立した22法人にアンケート調査を実施し,各法人の取組事例などをまとめて公表しました(参照:http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kouritsu/(※公立大学についてへリンク))。

図表2−3−9 公立大学の法人化の実施・検討状況

  設置者 大学名 【統合の状況等】
平成16年度 秋田県 国際教養大学 【新設】
平成17年度 岩手県 岩手県立大学  
岩手県立大学盛岡短期大学部  
岩手県立大学宮古短期大学部  
東京都 首都大学東京 【東京都立大学,東京都立科学技術大学,東京都立保健科学大学,東京都立短期大学の統合】
横浜市 横浜市立大学  
大阪府 大阪府立大学 【大阪女子大学,大阪府立大学,大阪府立看護大学の統合】
北九州市 北九州市立大学  
長崎県 長崎県立大学  
県立長崎シーボルト大学  
平成18年度 札幌市 札幌市立大学 【新設】
秋田県 秋田県立大学  
福島県 福島県立医科大学  
会津大学  
会津大学短期大学部  
東京都 産業技術大学院大学  
名古屋市 名古屋市立大学  
滋賀県 滋賀県立大学  
大阪市 大阪市立大学  
和歌山県 和歌山県立医科大学  
山口県 山口県立大学  
福岡県 九州歯科大学  
福岡県立大学  
福岡女子大学  
熊本県 熊本県立大学  
大分県 大分県立看護科学大学  
大分県立芸術文化短期大学  
平成19年度 北海道 札幌医科大学  
福井県 福井県立大学  
静岡県 静岡県立大学  
静岡県立大学短期大学部  
愛知県 愛知県立大学  
愛知県立看護大学  
愛知県立芸術大学  
神戸市 神戸市外国語大学  
奈良県 奈良県立医科大学  
島根県 島根県立大学  
島根県立大学短期大学部 【島根県立看護短期大学,島根県立島根女子短期大学の統合】
岡山県 岡山県立大学  
広島県 県立広島大学  
下関市 下関市立大学  
宮崎公立大学事務組合 宮崎公立大学  
平成20年度(予定) 函館圏公立大学広域連合 公立はこだて未来大学  
青森県 青森県立保健大学  
京都府 京都府立大学  
京都府立医科大学  
新見市 新見公立短期大学  
平成21年度(予定) 宮城県 宮城大学  
山形県 山形県立保健医療大学  
山形県立米沢女子短期大学  
都留市 都留文科大学  
三重県 三重県立看護大学  
沖縄県 沖縄県立芸術大学  
沖縄県立看護大学  
  • その他の地方公共団体においても法人化について検討中。
  • 短期大学を4年制大学化するものを除く。

(出典)文部科学省調べ

(3)国立高等専門学校の独立行政法人化等

 平成16年4月,全国55校の国立高等専門学校を設置し,運営する組織として,独立行政法人国立高等専門学校機構が発足しました。
 独立行政法人化に伴い,国立高等専門学校の裁量が拡大し,学校運営の弾力化が図られることにより,一層の個性化,活性化,教育研究の高度化が推進されています。
 文部科学省としても,今後,国立高等専門学校機構が,独立行政法人化による効果を活(い)かした取組を更に広げていくことにより,全国の高等専門学校が地域とのつながりを一層深めながら,人材育成,地域貢献により大きな役割を果たしていくことを期待しており,これを積極的に支援しています。

2.大学の質の保証と向上のための制度改革の取組

(1)設置認可制度の的確な運用

 大学の設置や組織改編は,大学の質の国際的な通用性の確保や学生保護のため,設置審査などの所定の手続を経て行われます。公私立大学の場合,文部科学大臣による認可が必要です。国立大学については,国立学校であるため認可を必要としませんが,公私立大学に準じて,設置審査を経ることとしています。なお,国立大学法人による国立大学の設置や組織改編は,法律の制定や中期目標・中期計画への記載等の手続によって行うこととなっています。
 文部科学大臣は大学の設置などの申請を受けると,申請内容が大学設置基準などの法令に適合しているかどうかについて,大学設置・学校法人審議会に認可の可否を諮問します。学識経験者などから成る審議会が専門的な見地から審査を行い,一定の教育研究水準が確保されていると認めたものについて,文部科学大臣が認可を行います。
 他方,学問の発展や社会の変化・ニーズに適切に対応した大学の組織改編を促進し,大学間の自由な競争を促進することも重要な課題です。文部科学省では,規制改革の流れを踏まえ,平成15年度から,大学・学部などの新増設や収容定員の増加を原則として認めない取扱いを,医師の養成などの一部の分野を除いて撤廃したことや,授与する学位の種類や分野を変更しない学部・学科などについて,届出による設置を導入したことなど,設置認可制度の大幅な弾力化を進めました。その結果,大学の新設や組織改編が活発に行われています(参照:本章第4節1(1))。
 その一方で,近年,大学の設置に関する基本的理解を欠いているのではないかと懸念される事例が増えてきました。平成19年度の設置審査では,全体で85件が認可された一方,11件が審査過程で申請者が申請を取り下げる結果となっています。こうした状況を踏まえ,大学設置・学校法人審議会会長は,19年11月27日,答申の提出にあたってコメントを公表しました。この中で,保留や取り下げに至った申請については「総じて準備不足の傾向が顕著」であると指摘され,規制緩和の流れの中で「大学を設置する責任の重みを十分に自覚」することや,「積極的に教育情報・財務情報を公開し社会に対する説明を果たす」ことが期待されることなどを関係者に要請しました。また,文部科学省に対し,1学位に付記する専攻名称に関する基準の明確化,2大学院大学のハード面など基準の明確化,3多様な形態を踏まえた通信教育設置基準の見直し,4教職大学院の基準の明確化,5専門職大学院で養成する人材を受け入れる側のニーズ把握の徹底,専任教員の役割・責任の明確化,という5点の検討を要請しました。
 なお,「事後チェック」の一環として,平成15年度から,学校教育法や大学設置基準などの法令違反の状態にある大学に対し,学生保護のため,改善勧告,変更命令,内部組織の廃止命令,大学の閉鎖命令という段階的な是正措置を文部科学大臣が講じることができるようになりました。19年1月25日には,株式会社立の1大学に対し,法令に違反する事実が確認されたとして初の勧告を行う事態が生じるなど,設置認可制度についてより一層的確な運用の必要性や事後評価との適切な役割分担と協調が求められています。

(2)認証評価制度

 平成16年度から,学校教育法において,すべての国公私立の大学,短期大学,高等専門学校(以下,「大学等」という。)が定期的に,文部科学大臣の認証を受けた第三者評価機関(認証評価機関)から評価を受ける制度を導入しました。
 この制度は,次のことを目的とするものです。

  • 評価結果が公表されることにより,大学などが社会による評価を受けること
  • 評価結果を踏まえて大学等が自ら改善を図ることによって,大学等の教育研究活動等の質が向上すること

 なお,この制度で実施する評価には次の2種類があります。

  • 大学等の総合的な状況の評価(7年以内ごとに実施)
    • 大学等の教育研究,組織運営及び施設設備の総合的な状況についての評価
  • 専門職大学院の教育研究活動の評価(5年以内ごとに実施)
    • 専門職大学院の教育課程,教員組織その他教育研究活動の状況についての評価

 この評価制度の特色としては,

  • 各認証評価機関が自ら定める評価基準に従って評価を実施すること
  • 大学等が複数の認証評価機関の中から評価を受ける機関を選択すること

が挙げられます。これらにより,大学等の自主性・自律性に配慮しつつ,各大学等の個性が適切に評価される仕組みになっています。
 なお,文部科学大臣は,評価機関から認証の申請があった場合,評価基準,方法,体制などが一定の基準(認証基準)に適合すると認められる場合に,中央教育審議会で審議した上で認証しています。平成19年11月までに7機関が認証評価機関として認証されました。これらの機関は大学138校,短期大学77校,高等専門学校36校,法科大学院6校の評価を行い,その結果を公表しています。
 今後は,これら認証評価機関による評価によって,大学等の質が保証されるとともに,大学等の教育研究活動の活性化や個性輝く大学づくりがより一層推進されることが期待されています。
 また,大学がその社会的責任を果たしていくためには,自らの教育研究の理念・目標に照らして,教育研究活動の状況を不断に点検・評価し,自らの責任において自己改善へ努力していくことが基本となります。そのため,上記の認証評価制度とは別に,学校教育法において,すべての大学が自己点検・評価を行い,その結果を公表することを義務付けています。

(3)国際的な高等教育の質保証

 高等教育をめぐっては,学生や教員交流の進展,高度専門職業人等の各国間移動という国際的な人材流動性の高まりとともに,高等教育機関の海外分校の設置,外国の教育機関との連携による教育プログラムの開発・実施,eラーニングなどを通じた国境を越えた教育の提供など,国際的な大学間の競争と協働が進展しつつあります。一方で,正規の大学等として認められていないにもかかわらず,学位授与を標榜(ぼう)し,真正な学位と紛らわしい呼称を供与する者(いわゆる「ディグリー・ミル」)が問題となっており,平成19年7月から9月にかけて調査を行い,12月に調査結果等を通知しました。
 このような情勢の中,平成17年に,ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)/OECD(経済協力開発機構)により,ディグリー・ミルや質の低い高等教育から学生などを保護するため,高等教育の質保証に関する国際的な協力の促進を目的とした,「国境を越えて提供される高等教育の質保証に関するガイドライン」が策定されました。現在,ユネスコでは,「高等教育に関する情報ポータル」パイロット事業を行っており,日本も参加して高等教育の質保証に関する国際的な情報ネットワークの整備を進めています。
 また,我が国としても,高等教育の国境を越えた展開に対応できるよう,平成16年に必要な制度整備を行い,文部科学大臣が指定した外国大学等の日本校の課程を修了した者に,我が国の大学院等への入学資格を認めるなどするとともに,これらの課程において得た単位を我が国の大学等において認定できるようにしました。また,我が国の大学が外国において教育活動を行う場合,大学設置基準などを満たしているものについては我が国の大学の一部と位置付けることを可能としました。

3.理工系人材の養成

 我が国が「科学技術創造立国」を目指し,発展していくためには,今後さらに,先導性・独創性を発揮し,国際社会に貢献していくことが期待されており,このような我が国の科学技術を支える理工系人材として,倫理観を備え,創造性豊かな質の高い人材の育成が強く求められています。
 平成18年度から22年度における我が国の科学技術の基本方針を示した「第3期科学技術基本計画」(18年3月28日閣議決定)においても,知の創造と活用において,創造性豊かで国際的にリーダーシップを発揮できる広い視野と柔軟な発想を持つ人材を育成するため,大学における人材育成機能の強化について言及されています。それとともに,技術者の養成についても,この計画の中で,大学,高等専門学校,専修学校などにおいて,将来のものづくり人材を含めた技術者養成のための実践的教育を進めるとしています。
 大学,高等専門学校における取組として,技術者教育プログラムの認定制度(注1)を利用するケースがこれまで以上に増えています。これは,日本技術者教育認定機構(JABEE)が大学・高等専門学校などにおける技術者教育の質的向上や技術者教育の国際的な通用性・共通性を担保する観点から行っているもので,平成18年度には新たに65のプログラムが認定され,これまでに346のプログラムが認定されています。

  • (注1)技術者教育プログラムの認定制度
     大学など高等教育機関における技術者教育の内容を外部機関が審査し,一定の水準を確保している教育プログラムを認定する制度。

4.医療人の養成

 高齢化による疾病構造の変化,患者のニーズの多様化,生命科学や医療技術の急速な進歩等を背景として,国民の期待にこたえる「良き医療人」の養成が一層重要となっています。文部科学省としても,医療人の養成を担う各大学と協力しながら,様々な改革を進めています。

(1)医学・歯学・薬学教育の改革

1医学・歯学教育の改革

 医師・歯科医師については,人間性豊かで高度な臨床能力を持ち,患者中心の医療を実践できる医療人の養成に大きな期待が寄せられています。現在,各大学においては,医学生・歯学生が卒業までに最低限学ぶべき態度,技能,知識に関する教育内容を精選して作成された「モデル・コア・カリキュラム」に基づくカリキュラム改革や学生が医療チームに加わる診療参加型臨床実習の充実など,積極的な教育改革が進められています。
 また,「医学・歯学教育指導者のためのワークショップ」を文部科学省が開催するなど各種の支援を行っているところです。
 また,通常5、6年次に行われる臨床実習の開始前の段階で,病院や診療所など臨床の現場で実習を行えるだけの態度,技能,知識を学生が備えているかを適切に評価するための共用試験が,医科大学(医学部)・歯科大学(歯学部)の参加の下,実施されています。
 共用試験には,コンピュータを用いた知識・問題解決能力を評価する試験(Computer Based Testing:CBT)と患者役のボランティアの協力を得て,診察技能や態度を評価する試験(Objective Structured Clinical Examination:OSCE)が用いられています。
 さらに,医学教育の更なる改善・充実を図るため「医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」を開催し,18年11月には,地域医療を担う医師養成方策や地域医療やがんに関する教育内容を充実させるための「モデル・コア・カリキュラム」の改訂等について第一次報告を,同年12月には,いわゆる医師不足県等における医学部の期間を付した定員増の在り方等について第二次報告を,19年3月には入学者選抜,学部・大学院教育,臨床実習・臨床研修等の改善方策など医学教育全般について最終報告を取りまとめています(図表2−3−10)。

図表2−3−10 「医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」最終報告のポイント
1 入学者選抜の改善
  • 選抜方法の多様化,評価尺度の多元化(社会福祉施設等でのボランティア活動の感想文の提出を求めるなど)
  • 高校教育と医学教育との接続の改善(高校への出前講座,高校生による大学の講義等の受講など)
2 教育者・研究者の養成等の医学教育の改善
1学部段階
  • 「医師として求められる基本的な資質」や「学部教育における研究の視点」についてのモデル・コア・カリキュラムの改訂
  • 研究マインドの育成(学部生の研究室配属,選択制カリキュラムの充実など)
  • 多様な教育機会の提供(ジョンイントディグリー,主専攻・副専攻制,学士編入学)
2大学院段階
  • 教育内容の実質化(養成目的の明確化[研究者・臨床医等],複数教員による指導など)
  • 臨床医・臨床研究者・基礎医学研究者等のキャリアパス明確化とキャリア形成支援
  • 博士号取得が教育者・研究者のスタートライン等として実感される取組(取得を助教採用時の条件とすること等)
  • 公衆衛生大学院の整備,秋季入学の実施,米国のMD/Ph.Dコースを参考にした早期進学特例の活用など
3教育者の教育能力開発など
  • FDの充実
  • 教員評価の充実(能力評価の検討・導入,教育業績の優れた教員へのインセンティブ付与など)
  • 若手研究者・教員への支援(助教制度を活用した若手の育成,特別研究員制度の対象年齢の引上げの検討など)
3 モデル・コア・カリキュラム改訂に関する恒常的な体制の構築

医・歯学教育モデル・コア・カリキュラム改訂の恒常的体制(文部科学省を中心)で,

  • 1当面の改訂(国家試験出題基準の改正,法制度等の変更に対応した改訂)
  • 2定期的な全面改訂に必要な準備や検討(学生への教育効果の検証など)を実施
4 診療参加型臨床実習の在り方
  • 「地域医療臨床実習」の学習内容の新設(モデル・コア・カリキュラム改訂)
  • 患者の理解と同意を得るための取組(学生の診療技能の修得に関する証明書の発行など)
  • 侵襲的医療行為等に関するプロセス(診療技能の確保,患者への説明と同意等)の徹底
  • 個人情報に関する学習や指導の徹底
  • 全学的な実施体制(診療科横断的な体制,統括責任者・実習委員会の設置など)
  • 学外の医療機関での実習の推進(臨床教授の活用など)
  • 実習終了時,卒業時の評価・指導の充実(到達目標等の明確化,advanced OSCEの実施など)
5 大学病院における新医師臨床研修の充実
  • 研修体制やプログラムの工夫・改善(総合診療方式の導入,学外の医療機関との連携,複数大学の共同プログラムなど)
  • 指導医等へのサポート体制,卒後臨床研修センター等の整備など
  • 卒前・卒後教育を通じた取組(卒前の実習内容の研修指導への反映,研修医による学生指導など)
  • 基本研修科目等以外の研修期間の取組の工夫改善(研究マインドをはぐくむ研修など)
6 専門医養成の在り方
  • ローテート式(大学病院と地域の医療機関間)の医師養成システムの構築
  • 新医師臨床研修と連動した研修プログラム(総合診療医の養成など)
7 臨床研究の推進
  • 全国的な拠点の整備(ARO[Academic Clinical Research Organization]の整備など)
  • 臨床研究の基盤整備(臨床情報の基盤整備,大学間ネットワークの構築など)
  • ワンストップオフィスの設置(治験依頼者への対応の一元化など)
  • 学部教育の改善(臨床研究の基本的知識の修得など)
  • 臨床研究者へのインセンティブ(研究経験を教育募集等の履歴事項とするなど)
8 教育研究病院としての大学病院の役割を適切に果たすための組織体制の在り方
  • 横断的な診療体制の構築(疾病別・臓器別の診療組織など)
  • 医師の役割分担とコメディカルとの連携体制
  • 医師不足分野の人材養成,救命救急体制の整備
  • 事務系職員の能力開発と役割充実
9 女性医師の増加に伴う環境整備
  • 女性医師が働きやすい環境整備(短時間勤務,院内保育所の整備など)
  • 育児休業からの円滑な復帰(職場復帰訓練,職場サポートシステムの構築など)
  • 退職した女性医師の復帰支援(復帰相談,研修などを行う再研修センターの整備など)

2薬学教育の改革

 近年の医療技術の高度化や医薬品の安全使用,薬害の防止等についての社会的要請を踏まえ,医療現場で活躍するための専門教育や実務実習の長期化などの充実を図るため,学校教育法を改正(平成16年5月14日)し,18年4月から薬剤師養成のための薬学教育は6年制の学部・学科において実施しています。他方で,薬学教育が医薬品の研究や開発など,多様な分野に進む人材を養成してきたことを踏まえ,4年制の学部・学科も置いています。
 また,薬学教育指導者のためのワークショップ(参加型講習会)の開催などを通じて,質の高い薬剤師養成を進めています。

(2)看護師等医療技術者の養成

 看護師など医療技術者の養成に関しては,資質の高い医療技術者,教育者,研究者の養成を目的とした大学・大学院の設置が増えています。文部科学省では,看護系大学の増加を踏まえ,平成15年に「看護学教育の在り方に関する検討会」を発足させ,16年に報告書「看護実践能力育成の充実に向けた大学卒業時の到達目標」を取りまとめました。さらに19年には「大学・短期大学における看護学教育の充実に関する調査協力者会議」を発足させ,報告書「指定規則改正への対応を通して追究する大学・短期大学における看護学教育の発展」を取りまとめました。現在,本報告を受け,各大学における看護学教育の改善・充実を進めています。
 また,教育内容や臨地実習指導者の充実を図る観点から看護学教育ワークショップなどを開催しています。

(3)地域医療への取組

 へき地を含む地域における医師不足が社会的に大きな問題となっています。地域間の医師の偏在を是正するため,文部科学省では,厚生労働省,総務省と連携して取りまとめた,「新医師確保総合対策」(平成18年8月)に基づき医師不足が特に深刻な10県(青森,岩手,秋田,山形,福島,新潟,山梨,長野,岐阜,三重)に所在する大学及び自治医科大学における臨時的な定員増(各大学10名まで,20年度から10年間)を認めることとしました。さらに医師確保対策を推進するため,19年5月に政府・与党が取りまとめた「緊急医師確保対策について」(参照:本章Topics2)に基づく諸施策を関係省庁が一体となって推進しています。
 文部科学省では,前述の「医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」などの提言を踏まえ,各大学における,地域医療に関する教育の充実,入学者選抜において地元出身者のための入学枠を設定する地域枠の拡大,臨床研修における地域医療の推進,遠隔医療によるへき地医療支援等を進めていきます。

(4)がん医療への取組

 がんは,我が国の死亡率第1位の疾患である一方,放射線療法及び化学療法など複数の治療法を組み合わせたがん治療ができる専門家が全国的に少なく,その育成が急務とされています。また,近年の高度化したがん医療の推進は,医師のみにより可能なものではなく,高度ながん医療に習熟した看護師,薬剤師,その他の医療技術者(コメディカル)等が参画し,チームとして機能することが何より重要です。
 そのため,文部科学省では,平成19年度から,大学と大学病院が連携して,優れたがん専門家を養成するための横断的な教育プログラムを構築する「がんプロフェッショナル養成プラン」を実施し,18件(87大学)の取組を選定しました。
 本プランの実施を契機として,がん専門医等の養成について,各大学の意欲的な取組の充実と全国的な広がりを期待します。また,がん対策基本法に基づき,平成19年6月に閣議決定された「がん対策推進基本計画」において,1大学において,がん診療に関する教育を専門的に行う教育組織の設置等の環境整備,2緩和ケアに関する大学の卒前教育の充実及びがん診療に携わるすべての医師に対する緩和ケアの研修の推進等の具体的な課題が掲げられており,それらについても,本プランを通じて各大学の取組を支援するなど積極的な対応を図り,がん医療に携わる質の高い人材の養成を推進していきます。

(5)大学病院の充実

1医師・歯科医師のキャリア形成等臨床研修の改善・充実

 平成16年度から新しい医師臨床研修制度が導入され,医師になった者に対して,総合的な診療能力の基本修得を主な目的とする2年間の臨床研修が必修化されました。文部科学省では,厚生労働省と連携しながら,臨床研修施設として重要な役割を担う大学病院における研修プログラムの改善・充実に努めるとともに,研修医がアルバイトをせずに研修に専念できるよう処遇や指導体制の充実を図るための支援を行っています。
 また,歯科医師については,平成18年度から総合的な歯科診療能力の基本修得を主な目的として,歯科医師免許取得後1年間の臨床研修が必修化されました。文部科学省では,厚生労働省と連携しながら,歯科研修の充実を図るための支援を行っています。

2国立大学病院に対する経営改善支援

 平成16年度から国立大学は法人化され,附属病院についても自主・自律的な運営により効率的な経営が求められています。附属病院は国立大学の一部局ですが,投じられている予算,マンパワー(人的資源),自己収入の大きさなどを考慮すれば,国立大学法人の経営に大きな影響を及ぼすことになり,その経営改善の推進と経営基盤の確立が急務となっています。
 文部科学省では,これらの課題に対応するため,各大学病院に対して,経営改善の一層の推進を促すとともに,教育・研究・診療機能の維持・充実の観点から財政措置を行い,経営基盤確立のための支援を行っています。
 また,病院経営に携わる責任者などの経営意識の一層の醸成を図るため,平成16年度から学長,理事,病院長等を対象にして関係団体との共催により「国立大学病院経営セミナー」を開催しています。

5.人権教育の推進

 高等教育における人権教育の推進については,「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」(平成12年12月6日公布)に基づく「人権教育・啓発に関する基本計画」(14年3月15日閣議決定)において,「大学等の主体的判断により,法学教育など様々な分野において,人権教育に関する取組に一層配慮がなされるよう促していく」こととされています。
 これらを踏まえ,文部科学省では,高等教育における人権教育の推進を図るために,大学などに対し,同和問題をはじめとする人権問題についての一層の理解と適切な対応を求めています。
 なお,「大学における教育内容等の改革状況について」(文部科学省調べ)によると,平成17年度現在,人権教育に関する授業科目を開設している大学は,約7割(国立:約8割,公立:約7割,私立:約7割)となっています。

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