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第5節 魅力ある高等学校づくりと中高一貫教育

1.高等学校教育の個性化・多様化を進めるために

(1)高等学校教育の現状

 新制高等学校発足当初(昭和23年)約42パーセントであった高等学校進学率は,現在では約97パーセントを超え,高等学校はほとんどの子どもたちが通う教育機関となっています(図表2−2−19)。高等学校進学率の上昇に伴い,生徒の能力・適性,興味・関心,進路などが多様化しており,生徒一人一人の個性を伸ばす高等学校教育が求められています。

図表2−2−19 高校への進学率と生徒数の推移

 その一方で,高等学校の生徒数は平成元年の約560万人から約350万人に減少しており,高等学校の適正配置・適正規模の在り方が課題となっています(図表2−2−20)。
 このため,各都道府県では,高等学校の適正配置・適正規模に留意しつつ,生徒一人一人の個性を伸ばし,知・徳・体の調和のとれた充実した高等学校教育を実現するため,各学校においてそれぞれの特色を生かし創意工夫に富んだ魅力ある学校づくりが進められています。

図表2−2−20 高校の一人当たりの生徒数(推移)

(2)特色ある高等学校づくりの推進

 文部科学省は,生徒一人一人の個性を伸ばす特色ある高等学校づくりが可能となるよう,中高一貫教育,総合学科や単位制高等学校をはじめとする新しいタイプの高等学校や特色ある学科・コースの設置などを推進するとともに,自校以外での学修成果の単位認定の幅の拡大などを通じて,多様なカリキュラムづくりが可能となる制度を整備しています。

1中高一貫教育

 中高一貫教育は,中等教育の一層の多様化を推進し,生徒一人一人の個性をより重視した教育を実現するため,平成11年度から制度化されており,19年度までに257校が設置されています(図表2−2−21)。中高一貫教育校には,修業年限6年の学校として一体的に中高一貫教育を行う中等教育学校,高等学校入学者選抜を行わず同一の設置者による中学校と高等学校を接続する併設型中高一貫教育校,既存の市町村立中学校と都道府県立高等学校など,異なる設置者による中学校と高等学校が,教育課程の編成や教員・生徒間交流などの面で連携を深める形で,中高一貫教育を実施する連携型中高一貫教育校の三つの形態があります。
 また,中高一貫教育校として特色ある教育課程を編成することができるよう,指導内容の移行など,実施形態に応じて,教育課程の基準に関する特例を設けています。

図表2−2−21 中高一貫教育校の推移

2総合学科

 総合学科は,普通科と専門学科に並ぶ新しい学科として,平成6年度から設置されており,19年度までに319校が設置されています(図表2−2−22)。
 総合学科の教育の特色は,幅広い選択科目の中から自分で科目を選択し学ぶ点にあり,生徒がそれぞれの個性に応じて達成感を得ることができる学習や,将来の職業選択など自己の進路への自覚を深めるための学習が重視されています。

図表2−2−22 総合学科数の推移

3単位制高等学校

 単位制高等学校は,学年による教育課程の区分を設けず,決められた単位を修得すれば卒業が認められる学校です。昭和63年度から定時制・通信制課程において導入され,平成5年度からは全日制課程においても設置が可能となっています。19年度までに785校(うち全日制課程は471校)が設置されています(図表2−2−23)。
 単位制高等学校の特色としては,自分の学習計画に基づき,興味,関心などに応じた科目を選択して学習できることや,学年の区分がなく,自分のペースで学習に取り組むことができることなどが挙げられます。

図表2−2−23 単位制高等学校の推移

4自校以外での学修成果の単位認定

 生徒の多様な学習意欲にこたえて選択学習の機会を拡大するため,他の高等学校,専修学校における学修の成果や技能審査などの合格に関する成果を自校の単位として認定を可能とする制度が,平成5年度から導入されています。また,10年度からは,ボランティア活動,就業体験,スポーツ又は文化に関する分野における活動,大学,高等専門学校,社会教育施設などにおける学修の成果についても,各学校長の判断によって,単位として認定することが可能となっています。17年度からは自校以外での学修により認定できる単位数の上限を,従来の20単位から36単位に拡大しています。
 さらに,平成18年度から技能審査などの合格に関する学修に加え,TOEFL(トーフル)やTOEIC(トーイック)など,合格・不合格の区別のない技能審査などの成果に関する学修も単位認定ができるようになりました。

5高等学校卒業程度認定試験の合格科目の単位認定

 平成17年度から,従来の大学入学資格検定に代わり高等学校卒業程度認定試験が導入されるとともに,高等学校の定時制・通信制課程の生徒に加え,全日制課程の生徒にもその受験が認められることとなりました。このことを踏まえ,全日制課程,定時制課程,通信制課程の別を問わず,高等学校卒業程度認定試験の合格科目に関する学修について,生徒が在学する学校長の判断により,単位を与えることができるよう制度改正を行いました。

(3)各都道府県における取組

 各都道府県では,少子化の進行による長期的で大幅な生徒数の減少に対応しつつ,生徒や地域のニーズに応じた高等学校教育を提供するため,再編整備が進められています。

1普通科高等学校

 生徒の多様化が一層進む中,普通科高等学校の個性化・特色化を図るための取組が進められています。

2専門高校

 国際化や情報化の進展,科学技術の進歩,産業構造の複雑化などの社会の変化に対応したより高度な専門教育が求められています。また,生徒の70パーセント以上が普通科高等学校に進学する中,専門高校の特色を生かした魅力ある学校づくりが課題となっています。

3定時制・通信制高等学校

 近年,定時制・通信制高等学校では,従来からの勤労青少年に加えて,全日制課程からの転・編入学者や不登校経験のある生徒など,多様な入学動機や学習歴を持つ生徒が増えてきています。多様なニーズにこたえるため,定時制課程を置く高等学校では,いわゆる「多部制の定時制課程」が増えてきています。
 一方,夜間定時制高等学校を希望する生徒が減少していることから,その適正配置・適正規模の在り方が課題となっています。

4適正規模の確保

 高等学校の生徒数はピーク時の約60パーセントになっていますが,今後,更なる生徒数の減少が見込まれる中,適正規模確保のための学校数の調整が必要となっています。そのため,各都道府県では,地域の実情に応じた高等学校の再編整備が進められています。

5その他

 中高一貫教育校,総合学科,単位制高等学校の設置を進めるとともに,多様な学科,コースなどを設置したり,学科やコースの枠を超えた選択履修を可能とする学校など,様々な特色のある高等学校が設置されています。

2.高等学校入学者選抜等の改善

 高等学校の入学者選抜については,過度の受験競争の緩和や偏差値偏重の是正の必要性などが指摘され,「選抜方法の多様化」,「評価尺度の多元化」の観点からの改善が進められてきました。各都道府県教育委員会においては,生徒の多様な能力・適性や意欲,努力の成果,活動経験などについて,様々な観点から,優れた面や長所を積極的に評価することができるよう,改善が進められてきています。具体的には,推薦入学の拡大,面接,小論文・作文,実技検査などの活用,調査書の活用の工夫といった取組や,近年増加傾向にある不登校の生徒の受入れについて特別な扱いや配慮を行うなどの例があげられています。
 また,平成14年度から中学校生徒指導要録における教科の評定が目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)による評定を記載することとされ,高等学校入学者選抜の調査書についても,調査書の客観性・信頼性を高めるなど,適切に対応していくことが求められています。19年度入学者選抜においては,ほぼ全ての都道府県で調査書の評定を目標に準拠した評価によることとされています。
 文部科学省としては,平成19年8月に全国高等学校入学者選抜改善協議会を開催するとともに,高等学校入学者選抜の改善等に関する状況を調査し,各県の状況の把握や情報の収集・提供を行うなど,各都道府県における改善の取組を支援しています。

3.職業教育の活性化

(1)専門高校における職業教育の現状

 高等学校における職業教育は,農業,工業,商業,水産,家庭,看護,情報,福祉の専門高校を中心に行われており,企業における中堅技術者など我が国の産業経済の発展を担う人材を育成する上で,大きな役割を果たしています。
 平成19年5月現在,専門高校の数は2,312校,生徒数は約69万人であり,高等学校の生徒数全体の約20.2パーセントを占めています。
 また,専門高校を卒業した生徒の進路状況を見ると,平成19年3月卒業者のうち,大学などへの進学者約20.6パーセント,専門学校などへの進学者約23.0パーセント,就職者約50.6パーセントとなっており,生徒の進路は多様な状況にあります。

農業科の実習
(特許を取得した四角いメロンの生育調査)

(2)将来の地域を担う専門的職業人の育成に向けて

 フリーターやニートの存在が大きな社会問題となるだけでなく,今後,団塊の世代の退職に伴う技能継承の重要性が高まる中,地域社会を担う技術・技能を持った専門的職業人を育成する専門高校に対する期待は,より一層大きくなっています。工業高等学校などの専門高校においては,ものづくりなどの専門性の基礎的・基本的な知識や技術の確実な習得を目指すとともに,地域産業を担う人材を育成するために,これまで以上にそれぞれの学科の特性を生かした教育の展開や,地域社会と連携した地域ぐるみの教育が求められています。
 このため,文部科学省では,先端的な技術・技能等を取り入れた教育などの特色ある教育を行う専門高校を支援する「目指せスペシャリスト(「スーパー専門高校」)」事業や,専門高校と地域産業界が連携して若手のものづくり人材を育成するために経済産業省と共同で創設した「ものづくり人材育成のための専門高校・地域産業連携事業」の推進などを通じ,専門高校の一層の活性化に努めています。

1関係事業

(ア)目指せスペシャリスト(「スーパー専門高校」)

 バイオテクノロジーやメカトロニクスなど先端的な技術・技能などを取り入れた教育を重点的に行っている専門高校を指定し,技能の習得方法や技術の開発法,学校設定科目などカリキュラムの開発を行う「目指せスペシャリスト」事業を平成15年度から実施し,19年度現在,計36校を指定しています。

(イ)専門高校等における「日本版デュアルシステム」推進事業

 実践技術力を習得させ,勤労観・職業観の育成を図るため,学校での教育と企業での実習を組み合わせて実践的な職業教育を行う専門高校等における「日本版デュアルシステム」推進事業を,平成16年度から実施し,これまで20地域を指定しています(うち15地域は18年度に終了)。

(ウ)ものづくり人材育成のための専門高校・地域産業連携事業

 教育委員会と商工労働部等が連携し,具体的な連携方策を検討する人材育成連携推進委員会を設置した上で,生徒の企業実習,企業技術者等による学校での実践的指導,教員の高度技術習得,専門高校と企業の共同研究等を盛り込んだものづくり人材育成プログラムを開発する「ものづくり人材育成のための専門高校・地域産業連携事業」を経済産業省と共同で平成19年度から実施し,22府県・1政令指定都市を指定しています。

(エ)全国産業教育フェアの開催

 全国産業教育フェアは,専門高校を中心とした生徒たちが日ごろの学習の成果を発表し,中学生や企業関係者をはじめ広く一般の方々の産業教育に対する理解を深めるとともに,全国の専門高校等の生徒が広く交流する場として開催されています。平成19年度は第17回大会が11月23日〜24日に沖縄県において開催され,全国の専門高校等の作品展示や,高校生ロボット相撲全国大会,各種コンテスト,発表大会,学校生産物の販売などが行われました。

全国高等学校ロボット競技大会

2教員研修の充実

 教員研修センターでは,産業教育を担当する教員などを対象として,新産業技術の進捗(ちょく)や学習指導要領に対応した必要な知識・技術を習得させる研修や,3か月〜1年の長期間にわたって大学その他産業教育にふさわしい施設に留学させる研修などを行っています。

3施設・設備の補助

 産業教育の振興を図るため,産業教育施設・設備基準に基づき,私立高等学校に対しては,産業教育の実験・実習に必要な施設・設備の整備に関する経費の一部を補助し,公立高等学校に対しては,施設(設備は,平成17年度から一般財源化)の整備に関する経費の一部を交付金により措置しています。

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