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第1節 「確かな学力」と「豊かな心」を育成し,「生きる力」をはぐくむ学校教育を目指して

 これからの子どもたちに求められるのは,1知識や技能に加え,自分で課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する力などの「確かな学力」,2他人を思いやる心や感動する心などの「豊かな人間性」,3たくましく生きるための「健康・体力」などの「生きる力」を身に付けることです(図表2−2−1)。

図表2−2−1 生きる力の概念図

1.確かな学力をはぐくむ

(1)学習指導要領

1学習指導要領のねらい

 平成14年4月から全国の小・中・高等学校において順次実施されている学習指導要領は,完全学校週5日制の下,各学校が「特色ある教育」を展開し,子どもたちに基礎的・基本的な内容を身に付けさせ,自ら学び自ら考える力などの「生きる力」をはぐくむことをねらいとしています。

2学習指導要領の特色

 平成14年4月から順次実施されている学習指導要領の特色は以下のとおりです。

  • (ア)教育内容の厳選
  • (イ)選択学習の幅の拡大
  • (ウ)学習指導要領の「基準性」の明確化
  • (エ)個に応じた指導の充実
  • (オ)「総合的な学習の時間」の創設

 また,平成15年12月,文部科学省は,中央教育審議会答申「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」(15年10月)を踏まえ,学習指導要領のねらいの一層の実現を図るために学習指導要領の一部改訂を行いました。一部改訂の主な内容は次のとおりです。

  • (ア)学習指導要領の基準性を踏まえた指導の一層の充実
  • (イ)「総合的な学習の時間」の一層の充実
  • (ウ)個に応じた指導の一層の充実

 なお,中央教育審議会では,文部科学大臣からの審議要請を受けて,平成17年4月から学習指導要領全体の見直しについて審議が重ねられ,20年1月には,「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」の答申がなされました。文部科学省では,この答申を踏まえ,学習指導要領を改訂する予定です(参照:第1部第2章第3節)。

3目標に準拠した評価の重視

 学習指導要領の下での評価については,子ども一人一人の学習状況を適切に評価し,それを次の指導の改善に生かす観点から,学習指導要領に示す目標に照らしてどの程度の力が身に付いているかを見る評価(いわゆる絶対評価)を重視しています。

4学習指導要領に基づいた適切な教育課程の編成・実施

 平成18年10月に,約1割の高等学校で学習指導要領で定める世界史などの必履修科目の一部が未履修であることが判明しました。今後,このような事態が二度と起こることがないよう,各学校や教育委員会が,学習指導要領に基づいた適切な教育課程を編成・実施することが必要です。文部科学省は,適切な教育課程が編成・実施されるよう,引き続き指導しているところです。

(2)学習指導要領のねらいの実現のための施策

 文部科学省では,各学校や教育委員会における取組を支援する観点から,平成19年度において,個に応じた指導の充実,学力の質の向上,個性・能力の伸長,国語力・英語力の増進などの柱からなる「学力向上アクションプラン」を実施しています。また,教育の質を確保するための条件整備を進めています(参照:第1部第2章第1節2)。

(3)教育課程の実施状況を把握するための取組

 学習指導要領に基づく教育課程の状況を不断に評価・検証し,教育課程の基準の改善等に反映させる観点から,国立教育政策研究所教育課程研究センターなどにおいて,次のとおり,子どもたちの学力の状況を総合的に把握する取組を行っています。

1教育課程実施状況調査

 この調査の目的は,国語,社会・地理歴史・公民,算数・数学,理科,英語などの教科に関して,小学校,中学校,高等学校の各学習指導要領に基づく教育課程の実施状況を通して調査研究し,今後の教育課程の基準の改善等に役立てることです。
 平成13年度に小学校,中学校において,14、15年度に高等学校において,平成元年に告示された学習指導要領に基づく教育課程の実施状況についての調査を行いました。また,14年度から順次実施されている現行の学習指導要領に基づく教育課程の実施状況については,16年1月〜2月に小学校,中学校の調査を,17年11月に高等学校の調査を実施しました。

2研究指定校による調査

 教育課程実施状況調査のほか,ペーパーテストによる調査では状況を把握しにくい生活,音楽,美術,保健体育,技術・家庭などの教科を含めた研究指定校による調査を実施しています。

3特定の課題に関する調査

 児童生徒の学習の実現状況を総合的に把握するため,教育課程実施状況調査や研究指定校による調査の枠組みでは把握しにくい内容について,特定の課題に関する調査を行っています(平成16年度:国語,算数・数学,17年度:理科,英語,18年度:社会,19年度:技術・家庭)。

(4)研究開発学校制度の充実

 文部科学省では,学習指導要領などの教育課程の基準の改善に役立てるための実証的な資料を得るため,現行の基準によらない教育課程の編成・実施を特例的に認め,新しい教育課程や指導方法について実践研究を行う制度(研究開発学校制度)を設けています。これまでの成果は,例えば,平成元年の「生活科」や,平成10年の「総合的な学習の時間」の創設に向けた検討をする際に,実証的な資料として活用されました。今後の教育課程の改善に向けて,毎年多数の申請の中から審査を経て指定を受けた学校が,小中連携や小学校英語などの研究課題に取り組んでいます(参照:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kenkyu/index.htm(※研究開発学校制度へリンク))。

2.豊かな心をはぐくむ

(1)道徳教育の位置付け

 学校教育においては,人間として調和のとれた育成を目指して,子どもたちの発達の段階に応じた心に響く道徳教育を展開することとしています。
 幼稚園では,各領域を通して総合的な指導を行い,道徳性の芽生えを培うこととしています。小・中学校では,道徳の時間(週当たり1単位時間)をはじめとして,各教科,特別活動,総合的な学習の時間それぞれの特質に応じて適切な指導を行い,学校の教育活動全体を通じて道徳教育を行うこととしています。高等学校では,人間としての在り方生き方に関する教育を,学校の教育活動全体を通じて行うことにより,その充実を図ることとしています。
 道徳教育の充実については,中央教育審議会「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」(答申)において,その具体的方策が提言されたところです(参照:第1部第2章第2節2)。

(2)道徳教育の充実

 近年,生命の大切さや他人を思いやる心,善悪の判断などの規範意識や公共心の低下が指摘されています。このような中,子どもたちの豊かな人間性や社会性などをはぐくむために,子どもたちの発達の段階に応じた心に響く道徳教育の充実がますます重要になってきています(参照:第1部第2章第2節1第1部第2章第2節2)。文部科学省では,学校における道徳教育の一層の充実を図るため,様々な施策を進めています。主なものは次のとおりです。

1「心のノート」の作成・配付

 全国の小・中学生に配付している「心のノート」は,道徳の内容を分かりやすく表し,道徳的価値について自ら考えるきっかけとなることをねらいとして作成した,道徳教育のための教材です。「心のノート」は,道徳の時間をはじめ,学校の教育活動の様々な場面で使用するとともに,児童生徒が自らページを開いて書き込んだり,家庭において話題にしたりするなど,生活の様々な場面で活用することができるものです。


心のノート小学校1、2年

心のノート小学校3、4年

心のノート小学校5、6年

心のノート中学校

2児童生徒の心に響く道徳教育推進事業など

 「命を大切にする」ことへの自覚を深めるなど児童生徒の道徳性を育成するため,教育委員会・学校の創意工夫を生かして,指導内容,指導方法及び教材開発等についての実践研究を行っています。また,教員の指導力向上のための「道徳教育を推進するための中核となる指導者の養成を目的とした研修」の開催などの取組を進めています。

3豊かな心を育てる地域推進事業

 学校の道徳教育を中核に,地域の様々な団体や機関などの積極的な支援の下で,全国のモデルとなる子どもたちの豊かな心を育てる幅広い教育活動の展開を行い,その成果を普及することとしています。

4伝え合う力を養う調査研究事業

 児童生徒が互いの考えや気持ちを伝え合う力を高め,生活上の問題を言葉で解決する力を育てるとともに,相互理解や望ましい人間関係づくりを進めるためのカリキュラムなどの在り方について実践研究を行っています。

5高等学校・中学校「人間としての在り方生き方を考える教育」実践研究事業

 平成19年度から新たに,青年期の特質を踏まえ,生徒が人間や社会に目を向け,人間としての在り方や生き方を考える教育を推進するための実践研究を行っています。

(3)体験活動の推進

 近年,都市化や少子化,地域社会における人間関係の希薄化などが進む中で,児童生徒の豊かな人間性や社会性などをはぐくむためには,成長段階に応じて,社会奉仕体験活動や自然体験活動をはじめ,様々な体験活動を行うことが大切です。
 平成18年12月に改正された教育基本法では,公共の精神に基づき,主体的に社会の形成に参画する態度(第2条第3号),生命を尊び,自然を大切にし,環境の保全に寄与する態度(同条第4号)が教育の目標として規定されました。さらに,19年6月には,学校教育法が改正され,同様の趣旨が義務教育の目標として規定され,学校教育において様々な体験活動の充実を図っていくことが必要とされています。
 文部科学省では,平成14年度から「豊かな体験活動推進事業」を実施しており,「体験活動推進地域・推進校」,「地域間交流推進校」や命の大切さを学ばせるのに有効な体験活動についての調査研究を推進しています。19年度からは,新たに,自然の中での様々な体験活動を行う「学校教育における人間力向上のための長期宿泊体験活動推進プロジェクト」を実施しています。これらの取組の成果は全国を6ブロックに分けた交流会の実施や,事例集の作成・配付を通じて普及を図っています。引き続き,改正教育基本法等の趣旨を十分踏まえ,学校における体験活動の推進に努めていきます。

3.学校における読書活動の推進

(1)学校における読書活動の推進

 読書活動は,子どもが,言葉を学び,感性を磨き,表現力を高め,創造力を豊かなものにし,人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことができないものです。
 子どもの読書活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため,平成13年12月に「子どもの読書活動の推進に関する法律」が公布・施行され,14年8月にこの法律に基づく「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」が閣議決定されました。同計画では,学校における学習活動を通じた読書習慣の確立とともに,学校図書館が,児童生徒の自由な読書活動や読書指導の場としての「読書センター」の機能と,教育課程の展開に寄与する「学習情報センター」の機能を果たし,学校教育の中核的な役割を担うことが掲げられています。この計画期間はおおむね5年とされていることから,現在,国において計画の見直し作業を進めているところです。
 また,平成17年7月には「文字・活字文化振興法」が成立し,学校の教育課程全体を通じて,読む力や書く力などを涵(かん)養することを定めています。
 さらに,現行の学習指導要領には,「学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り」,児童生徒の「主体的,意欲的な学習活動や読書活動を充実すること」を盛り込んでいます。加えて,平成19年6月の学校教育法改正により,義務教育の目標として新たに「読書に親しませ,生活に必要な国語を正しく理解し,使用する基本的な能力を養うこと」が規定されました。
 文部科学省の調べでは,平成18年5月現在,朝の読書活動を実施している公立学校の割合は,小学校で86.4パーセント(17年83.7パーセント),中学校で74.4パーセント(17年70.7パーセント),高等学校で30.8パーセント(17年28.3パーセント)となっています。また,ボランティアなどの協力を得ている学校や公共図書館との連携を実施している学校も増加しており,各学校において積極的な取組がなされています。

(2)学校図書館の充実

 子どもの豊かな読書経験の機会を充実させていくためには,子どもの知的活動を推進し,多様な興味・関心にこたえる魅力的な図書資料を整備・充実させていくことが重要です。また,各教科,特別活動,「総合的な学習の時間」において多様な教育活動を展開していくために,学校図書館を充実させていくことが求められています。
 公立義務教育諸学校における学校図書館の図書については,学校の規模に応じて整備するべき蔵書数の目標を定めた「学校図書館図書標準」(平成5年3月)があります。それに照らして足りない分を整備するとともに,廃棄される図書を更新するための経費として,19年度から23年度までの「新学校図書館図書整備5か年計画」により,5年間で毎年約200億円,総額約1,000億円の地方財政措置が講じらることとされています。
 文部科学省の調べでは,「学校図書館図書標準」を達成している学校の割合は,平成17年度末において,小学校で40.1パーセント,中学校で34.9パーセントという状況にあり,各教育委員会や学校において「学校図書館図書標準」の達成に向けた蔵書の計画的な整備が引き続き求められます。
 なお,文部科学省では,平成18年度より「学校図書館支援センター推進事業」を実施し,学校図書館支援センターによる学校図書館に対する支援の在り方を調査研究しています。また,19年度からは「『読む・調べる』習慣の確立に向けた実践研究事業」を実施しています。この事業では,学校図書館を活用した読書活動や学習活動の促進のための先進事例について調査研究を行う「子どもの読書サポーターズ会議」の設置と,会議と連携したモデル地域である「子ども読書の街」の指定により,子どもの「読む・調べる」習慣の確立を支援しています。これらの事業の成果は各都道府県に情報提供し,学校図書館の一層の充実に努めていきます。

子どもの読書サポーターズ会議

(3)司書教諭の計画的養成・配置の促進

 学校図書館資料の選択・収集・提供や子どもの読書活動に対する指導を行うなど,司書教諭は,学校図書館を活用した教育活動や読書活動の中心的な役割を担います。司書教諭は,学校図書館法上,平成15年4月以降12学級以上の学校には必ず置かなければならないこととされています。司書教諭が各地域・各学校でその役割を十分に果たしていくためには,校長のリーダーシップの下,司書教諭が中心となって教員,学校図書館担当事務職員,ボランティアなどと連携・協力し,それぞれの立場から学校図書館の機能の充実を図っていくことが必要です。
 文部科学省では,引き続き司書教諭の養成のための講習会を実施し,有資格者の養成に努めるとともに,司書教諭配置の対象となる12学級以上の学校には必ず配置されるよう周知を図っていきます。

4.教材の整備

 教材は,児童生徒の基礎・基本の習得や学習理解を助け,教育効果を高める上で極めて重要であり,学校教育においてその充実は不可欠です。
 そこで,文部科学省では,公立義務教育諸学校の教材整備について,平成13年11月,「教材機能別分類表」を取りまとめ,各都道府県教育委員会等へ通知しました(教材機能別分類表については,参照:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kinou/main12_a2.htm(※教材機能別分類表へリンク))。この分類表は,教材の機能的側面に着目して分類・整理したもので,いくつかの教材品目について例示しています。
 各学校や各地方公共団体においては,これを教材整備の参考資料として活用し,教育目標や教育課程に合わせ,特色ある学校づくりを図るなど,それぞれの実情に応じて,より弾力的・効果的な教材整備を中長期的な視点で進めることが必要です。
 教材整備のための財源は,従来より教材整備計画(前回計画は,平成14年度から18年度までの5年間で総額約4,300億円)により措置がなされてきており,19年度は,単年度措置として約790億円の地方財政措置が講じられています。
 しかし,地方公共団体における厳しい財政状況等もあり,平成9年度以降教材購入の予算措置額は,地方交付税算定基礎の基準財政需要額に計上された額を下回っている状態で,しかも年々低下する傾向にあります(図表2−2−2)。
 そこで,文部科学省では,各学校の設置者において適切に教材費が確保されるよう促すとともに,今後の教材整備の在り方について検討を進めています。

図表2−2−2 教材費予算措置率の推移(小・中学校)

5.国旗・国歌の指導

 学校における国旗・国歌の指導は,児童生徒に我が国の国旗・国歌の意義を理解させ,これを尊重する態度を育てるとともに,諸外国の国旗・国歌も同様に尊重する態度を育てるために,学習指導要領に基づいて行っているものです。
 平成11年8月には「国旗及び国歌に関する法律」が施行され,国旗・国歌の根拠について慣習として定着していたものが成文法としてより明確に位置付けられ,学校教育における国旗・国歌に対する正しい認識がさらに進められました。
 文部科学省としては,引き続きすべての学校において,学習指導要領に基づいた国旗・国歌に関する指導が適切に行われるよう指導することとしています。

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