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第1節 確かな学力をはぐくむ

1.我が国の子どもたちの学力・学習状況

(1)全国学力・学習状況調査の実施

 我が国の子どもたちの学力に関しては,平成16年末に公表された国際学力調査(PISA2003及びTIMSS2003)の結果において,全体として国際的に上位にあるものの,読解力などが低下傾向にあることが明らかになりました。また,17年4月に公表された教育課程実施状況調査においても,国語の記述式問題や中学校の数学に課題が見受けられました。
 このような中,平成17年10月の中央教育審議会答申「新しい時代の義務教育を創造する」において,教育の結果の検証と質の保証の観点から,「子どもたちの学習到達度・理解度についての全国的な学力調査を実施することが適当」との提言がなされ,全国的な学力調査の実施の方向性が示されました。
 これらを受け,平成18年4月に「全国的な学力調査の具体的な実施方法等に関する専門家検討会議」が報告書を取りまとめました。この報告においては,全国的な学力調査を実施する意義・目的,対象学年や実施教科等の調査の枠組み,公表方法等に関して提言が行われています。
 文部科学省では,これらの提言等を踏まえ,平成19年4月24日に小学校第6学年及び中学校第3学年の全児童生徒を対象とした全国学力・学習状況調査を実施し,同年10月24日に調査結果を公表・提供しました。対象学年のすべての児童生徒を対象に実施する学力調査としては43年ぶりのものです。

(2)全国学力・学習状況調査の概要

1調査の目的

 全国学力・学習状況調査は,以下の2点を目的として実施されました。

  • 全国的な義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から,各地域における児童生徒の学力・学習状況を把握・分析することにより,教育及び教育施策の成果と課題を検証し,その改善を図ること
  • 各教育委員会,学校等が全国的な状況との関係において自らの教育及び教育施策の成果と課題を把握し,その改善を図り,あわせて児童生徒一人一人の学習改善や学習意欲の向上につなげること

2調査の対象学年

 国,公,私立学校の以下の学年の原則として全児童生徒を対象としました。

[小学校調査]
小学校第6学年,特別支援学校小学部第6学年
[中学校調査]
中学校第3学年,中等教育学校第3学年,特別支援学校中学部第3学年

3調査の内容

(ア)教科に関する調査

 国語及び算数・数学について,主として「知識」に関する問題,主として「活用」に関する問題を出題しました。

[主として「知識」に関する問題(国語A,算数・数学A)]
  • 身に付けておかなければ後の学年等の学習内容に影響を及ぼす内容
  • 実生活において不可欠であり常に活用できるようになっていることが望ましい知識・技能
[主として「活用」に関する問題(国語B,算数・数学B)]
  • 知識・技能等を実生活の様々な場面に活用する力などにかかわる内容
  • 様々な課題解決のための構想を立て実践し,評価・改善する力などにかかわる内容
(イ)生活習慣や学習環境に関する質問紙調査

 児童生徒に対しては,学習意欲,学習方法,学習環境,生活の諸側面に関する調査を,学校に対しては,指導方法に関する取組や人的・物的な教育条件の整備の状況,児童生徒の体力や運動能力の全体的な状況等に関する調査を行いました。

4調査を実施した学校・児童生徒数(図表1−2−1)

図表1−2−1 平成19年4月24日に調査を実施した学校・児童生徒数
【小学校調査】
  対象学校数 学校数(実施率) 児童数
公立学校 21,939校 21,889校(99.8パーセント%) 1,125,585人
国立学校 75校 75校(100.0パーセント%) 7,631人
私立学校 180校 108校(60.0パーセント%) 6,276人
合計 22,194校 22,072校(99.5パーセント%) 1,139,492人
【中学校調査】
  対象学校数 学校数(実施率) 児童数
公立学校 10,250校 10,050校(98.0パーセント%) 1,023,516人
国立学校 81校 78校(96.3パーセント%) 10,540人
私立学校 688校 416校(60.5パーセント%) 43,153人
合計 11,019校 10,544校(95.7パーセント%) 1,077,209人
  • 4月24日から5月11日までに調査を実施した学校・児童生徒数は,小学校調査で22,105校,1,145,501人,中学校調査で10,730校,1,102,309人。

5調査の実施時期

 平成19年4月24日(火曜日)です。なお,原則として毎年4月の第4火曜日に実施することとしており,平成20年度は4月22日を予定しています。

(3)平成19年度調査の結果

1教科に関する調査の結果(図表1−2−2)

図表1−2−2 平成19年度全国学力・学習状況調査における各教科等の平均正答率
  国語A 国語B 算数・数学A 算数・数学B
小学校調査 81.7パーセント% 63.0パーセント% 82.1パーセント% 63.6パーセント%
中学校調査 82.2パーセント% 72.0パーセント% 72.8パーセント% 61.2パーセント%
(ア)「知識」に関する問題の結果

 小学校の国語,算数,中学校の国語においては,相当数の児童生徒が今回出題した学習内容を概(おおむ)ね理解していると考えられます。また,中学校の数学においては,基礎的・基本的な知識や技能を更に身に付けさせる必要があると考えられます。

(イ)「活用」に関する問題の結果

 小学校,中学校の国語,算数・数学のすべてにおいて,知識や技能を活用する力に課題が見られました。

2地域の規模等の状況

 地域の規模等(大都市,中核市,その他の市,町村,へき地)別,都道府県別,学校別の状況については,児童生徒の平均正答率に大きな差やばらつきは見られませんでした。しかし,中学校の数学などにおいて,一部の都道府県の平均正答率に差が見られました。また,学校別の状況において,平均正答率が低い学校が存在することは課題と考えられます。

3質問紙調査の結果

 児童生徒質問紙調査では,学習に対する関心・意欲・態度,基本的生活習慣において肯定的な回答をした児童生徒の割合や学習時間,読書時間などに増加傾向がうかがえました。また,児童生徒質問紙調査と学力との相関については,学習に対する関心・意欲・態度,学習時間,読書時間,基本的生活習慣,自尊意識・規範意識などの項目で,肯定的な回答をした児童生徒の正答率が高い傾向が見られました。
 学校質問紙調査の結果と学力との相関については,熱意をもって勉強していると思っている学校,授業中の私語が少なく落ち着いていると思っている学校,礼儀正しいと思っている学校の方が,平均正答率が高い傾向が見られました(平成19年度全国学力・学習状況調査の結果については,参照:http://www.nier.go.jp/tyousakekka/tyousakekka.htm(※国立教育政策研究所ホームページへリンク))。

【学習に対する関心・意欲・態度】

 中学校の国語,算数・数学の勉強が好きな児童生徒や,国語,算数・数学の勉強が役に立つと思う児童生徒などの割合に増加傾向がうかがえました。また,国語,算数・数学の勉強が好きな児童生徒や,国語,算数・数学の勉強が大切と思う児童生徒などの方が,正答率が高い傾向が見られました(図表1−2−3)。

図表1−2−3 学習に対する関心・意欲・態度
【1日当たりの学習時間,読書時間】

 1日当たりの児童生徒の学習時間や読書時間に増加傾向がうかがえました。また,家で学校の宿題をする児童生徒や読書が好きな児童生徒の方が,正答率が高い傾向が見られました(図表1−2−4)。

図表1−2−4 1日当たりの学習時間,読書時間
【基本的生活習慣,自尊意識・規範意識】

 朝食を毎日食べる児童生徒,学校に行く前に持ち物を確認する児童生徒の割合に増加傾向がうかがえました。また,朝食を毎日食べる児童生徒,人の気持ちが分かる人間になりたいと思う児童生徒,学校のきまり・規則を守っている児童生徒などの方が,正答率が高い傾向が見られました(図表1−2−5)。

図表1−2−5 基本的生活習慣,自尊意識,規範意識

4調査結果の活用

 本調査は,国,教育委員会,学校等において,教育及び教育施策の成果や課題を把握・検証し,その改善につなげていくことを目的としています。このため,文部科学省では,調査結果を中央教育審議会に報告し,学習指導要領の改訂に反映させるなど,教育施策に積極的に活(い)かすこととしています。
 また,各教育委員会において,調査結果を分析・検証した結果等を踏まえ,改善計画等を作成するなど,域内の教育や施策の改善に向けて総合的かつ計画的な取組を進めたり,各学校において,指導計画等に適切に反映したり,指導内容・方法等の改善に向けた取組を実施したりするなど,教育指導等の改善に向けて計画的な取組を進めることが重要です。これらの取組を促すため,文部科学省では,各教育委員会や学校における教育や施策の改善に向けて意欲的な取組を支援することとしています。平成19年度は,すべての都道府県・政令指定都市に設けられた検証改善委員会が,域内の調査結果の検証・分析を行うとともに,「学校改善支援プラン」を策定するなど,各教育委員会や学校の取組への支援を行っています。

(4)PISA(OECD生徒の学習到達度調査)2006

1調査の概要

 PISA2006は,経済協力開発機構(OECD)が,義務教育段階の15歳児(日本では高校1年生)を対象に,知識や技能を実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを評価するものであり,2000年,2003年に続く第3回目の調査です。本調査には,57の国・地域(うちOECD加盟国30か国)が参加しました。
 今回は,科学的リテラシー(科学的理解と同時に,科学的な見解を適用し,証拠について科学的に考えることのできる能力)を中心分野として,読解力,数学的リテラシー(多様な状況あるいは文脈において,数学を使用して,問題を設定し,形式化し,解決し,解釈することのできる能力)の3分野について,平成18年に調査が行われ,19年12月4日に結果が公表されました。

2調査結果の概要

 我が国の生徒は,今回の調査の中心分野である科学的リテラシーについて,国際的に見て上位グループに位置していることが明らかになりました。また,読解力についてはOECD加盟国平均と同程度,数学的リテラシーについてはOECD加盟国平均よりも高得点のグループであったものの,前回よりも平均得点が低下していました。
 生徒への質問紙調査からは,科学への興味・関心や科学の楽しさを感じている生徒の割合が低く,観察・実験などを重視した理科の授業を受けていると認識している生徒の割合が低いとの結果が明らかになりました。
 これらの調査結果より,読解力や数学において知識や技能を活用する力に課題があることや,科学への興味・関心が低いという課題が確認されました(図表1−2−6)。

図表1−2−6 OECD生徒の学習到達度調査(PISA2006)の分野別の結果

3調査結果を受けた取組

 PISA2006及び全国学力・学習状況調査の結果を受け,文部科学省としては,学習指導要領の改訂等による理数教育や言語活動の充実,個に応じた指導の積極的な支援,各教育委員会や学校における教育や施策の改善に向けた意欲的な取組への支援,教師が子どもたちと向き合う時間の確保に取り組んでいます。

2.確かな学力向上を目指した取組の充実

 文部科学省では,各学校や教育委員会における取組を支援する観点から,平成19年度において,以下のような施策を総合的に実施しています。

1学力向上アクションプラン

 「確かな学力」の向上に向けた取組を支援するため,個に応じた指導の充実,学力の質の向上,個性・能力の伸長,国語力・英語力の増進などの柱からなる総合的な施策を推進しています。
 「個に応じた指導の充実」に関する主な施策としては,推進校において学習意欲の向上や思考力・判断力・表現力の育成などに関する実践研究を行い,その成果を広く普及させる「学力向上拠点形成事業」などを行っています。
 また,「学力の質の向上」を図る観点からは,理数教育に積極的に取り組む地方公共団体の提案に基づき,モデル地域を指定し,学校を核として地域の教育資源を総合的に組み合わせて活用するなどの取組を推進する「理数大好きモデル地域事業」や,「総合的な学習の時間」の全体計画の工夫改善や学習状況を適切に評価するための手法などに関する実践研究等を行う「総合的な学習の時間の推進に関する事業」,学校の教科等において培った様々な力を競い高め合う全国的規模の大会に対して支援を行う「学びんピック」(参照:http://manabinpick.mext.go.jp(※学びんピックホームページへリンク))などを行っています。
 さらに,「個性・能力の伸長」を図る観点からは,理科,数学,英語など特定の分野における卓越した人材の育成に資する研究開発を行う「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」や「スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール(SELHi)」を行っています。
 このほか,「国語力・英語力の増進」を図る観点から,すべての知的活動の基盤となる国語力の向上を図るためのモデル地域を指定する「国語力向上モデル事業」や,現行の教育課程の下で,小学校の英語活動に関する指導方法の改善・向上等の優れた取組を支援する「小学校英語活動地域サポート事業」などを実施しています。

基礎基本の定着に取り組む朝の学習風景
(足立区立五反野小学校)

2教育の質を確保するための条件整備

 各学校において「確かな学力」の向上を図るためには,様々な条件整備も重要です。そのため,40人学級の実現や習熟度別少人数指導の実施などを目的として,これまで7次にわたって公立義務教育諸学校教職員定数改善計画を実施してきています。

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