第3節 開発途上国への協力

3.現職教員の活用による日本の教育経験を活かした協力の促進

 現職教員は,指導案の作成,教材開発,各種技術指導など,子どもに密着した実践的な教育経験や能力を有しており,我が国の教育経験を活かした協力を進めていくための重要な人的資源です。また,国際教育協力に従事した職員が,コミュニケーション・異文化理解の能力を身に付け,帰国後に国際化のための素養を児童・生徒に波及的に広めることや,自身の経験を教育現場に還元することによって,将来の国際教育協力分野の人材の裾野を広げるのみならず,我が国の教育の質を高めることにつながります(図表2-10-10)。
 文部科学省では,現職教員の青年海外協力隊への参加を促進するため,外務省,国際協力事業団(現国際協力機構(JICA(ジャイカ)))及び都道府県教育委員会等と協力し,平成13年度に青年海外協力隊「現職教員特別参加制度」が創設されました(図表2-10-11)。
 この制度では,文部科学省からJICA(ジャイカ)に推薦した教員について,1次選考(筆記試験)を免除するほか,派遣前訓練及び派遣期間を4月から翌々年の3月までの2年間(通常は2年3か月)としています。派遣される現職職員が学年始めに円滑に職場復帰ができるという点で,これまでよりも参加しやすい制度としています。
 これまでに,この制度によって,制度創設以来5年間で353名の現職教員が派遣され,様々な国で活躍しています。

図表●2-10-10 開発途上国における現職教員派遣の意義

図表●2-10-11 青年海外協力隊「現職教員特別参加制度」

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