未来への夢や目標を抱き,社会をつくる営みに積極的に取り組むことができる青少年を育成するためには,青少年の心と体の健やかな発達を促し,正義感・倫理観などを持った豊かな人間性をはぐくむことが重要です。
このため政府は全閣僚を構成員とする青少年育成推進本部(注)を設置し,関連施策の連携強化を図っており,平成15年12月には,青少年の育成に関する政府の基本理念と,保健,福祉,教育,労働,非行対策などにわたる青少年育成施策の中長期的な方向性を示す「青少年育成施策大綱」が決定されています。また,19年1月には中央教育審議会より,青少年の意欲を高め,心と体の相伴った成長を促す方策についてまとめた「次代を担う自立した青少年の育成に向けて」(答申)が出されました(参照:本章Topics 1)。
文部科学省では,この大綱や答申に基づき,関係省庁と緊密に連携しながら,青少年の健全育成の推進のため,現在,次に挙げるような施策に取り組んでいます。
生活体験,自然体験が豊富な子どもほど道徳観・正義感が充実している傾向が見られることが以前から指摘されています。文部科学省では,関係省庁の協力を得ながら子どもたちの体験活動機会の充実などに資する施策を推進しています。
青少年育成施策大綱では,青少年の社会的自立の遅れと社会的不適応者の増加を今日的な問題状況として指摘しています。このため,文部科学省では,青少年が自立した人間として成長することを支援するため,次のような体験活動を推進しています。
子どもたちの体験活動の機会と場を一層拡大するために,文部科学省では,関係省庁と連携して「子どもの水辺」再発見プロジェクト(国土交通省・環境省),「あぜ道とせせらぎ」づくり推進事業(農林水産省),子どもたちの海・水産業とのふれあい推進プロジェクト(水産庁),いきいき・海の子・浜づくり(農林水産省・国土交通省),森の子くらぶ活動推進プロジェクト(林野庁)などを行っています。
そして,これらの取組によって体験活動に適した場として登録・整備された河川,漁港や港湾,農業用水路,森林,企業や商店街,国立公園などを活用して,子どもたちが自ら企画し継続的な体験学習を行う体験型環境学習を推進しています。
また,自然体験活動の指導者養成の拡充とその社会的信頼性の確保のため,青少年団体などの民間団体が連携して「特定非営利活動法人自然体験活動推進協議会(CONE)」を設立し,関係団体に共通の自然体験活動指導者の養成カリキュラムを提供するとともに,各団体の有する指導者を認証し,登録する制度を設けています(参照:http://www.cone.ne.jp(※自然体験活動推進協議会ホームページへリンク))。
21世紀を担う夢を持った子どもの健全育成を進めるため,国立青少年教育振興機構(参照:本章Topics 4)に設置されている「子どもゆめ基金」により,民間団体への助成を行っています。助成の対象となる活動は次のとおりであり,財団法人や社団法人,特定非営利活動法人,法人格を有していない地域のグループ・サークルなど,青少年教育に関する活動を行う民間の団体が助成の対象となります。
また,これらの活動に加え,子どもの読書活動推進フォーラムなどの普及啓発事業を行っています(参照:http://yumekikin.niye.go.jp/(※子どもゆめ基金ホームページへリンク))。
青少年団体は,学習活動,ボランティア活動,スポーツ・文化活動など多種多様な活動を行っており,近年はその活動に一層の広がりを見せています。
文部科学省では,これらの青少年団体の活動の中で,全国的な規模の青少年団体が行う研究協議会や国際交流など,青少年の健やかな育成のために特に意義があると認められる事業に対して助成を行い,その振興を図っています。
青少年教育施設は,青少年を対象として体験活動を中心とする様々な教育プログラムを実施するとともに,青少年が行う自主的な活動を支援することなどにより,健全な青少年の育成及び青少年教育の振興を図ることを主たる目的として設置された施設です。
国立青少年教育振興機構の発足に伴い,国立青少年教育施設(全国28施設)では,平成18年度から新たに全年齢層を対象とし,総合的・体系的な体験活動などの機会を提供するとともに,教育的研修支援,青少年教育に関する調査研究などを実施し,それらの成果を公立青少年教育施設(17年10月現在,全国691か所設置)や関係団体などへ普及しています(参照:本章Topics 4)。
▲川の流れを感じる (山口徳地青少年自然の家「キッズわくわくキャンプ」) |