第4節 信頼される学校づくりを目指して

2.地域に根ざした教育行政の展開と教育委員会制度の改革

 教育行政においては,国が学校制度の基本的な枠組みの制定や教育内容に関する全国的な基準の設定を行い,その上で地方は,それぞれの地域の実情に応じ,主体的に教育の質を高め,それぞれの地域において最適な状態を実現することが必要です。
 さらに,地方の中でも,義務教育の直接の実施主体である市区町村や学校に権限の移譲を進めるとともに,市区町村が設置者としてその地域の状況に応じた教育を実現できるようにしていくことが必要です。
 教育委員会は,地方教育行政の中心的な担い手であり,地域の学校教育,社会教育,文化,スポーツなどに関する事務を担当する機関として,すべての地方自治体に置かれています。教育委員会は,教育における政治的中立性の確保,継続性・安定性の確保,地域住民の多様な意向の反映を実現するため,自治体の長から独立した合議制の執行機関として設置されているものです。
 教育委員会を構成する教育委員は,教育について識見を有する者の中から,都道府県知事や市町村長によって,議会の同意を得て任命されます。教育委員会は,教育行政における重要事項や基本方針を決定し,それに基づいて,教育委員のうちから教育委員会が任命する教育長が具体の事務を行っています(図表2-2-24)。
 戦後,この教育委員会は,地域における身近な行政機関として定着し,諸外国からも高い評価を受けている日本の教育を実現してきた一方,教育委員会の会議の形骸化等の問題点も指摘されているところです。

図表●2-2-24 教育委員会の組織

 今後の地方教育行政の在り方については,平成17年1月に中央教育審議会地方教育行政部会において「地方分権時代における教育委員会の在り方について」が取りまとめられ,さらに,同年10月に中央教育審議会答申「新しい時代の義務教育を創造する」が取りまとめられました。この答申では,教育委員会については,すべての地方公共団体に設置するなど現在の基本的な枠組みを維持した上で,それぞれの地方公共団体の実情にあわせた教育委員会制度の見直しなど,地域の実情に応じた教育を実現できるようにしていくことが提言されています。
 また,平成18年7月の「経済財政運営と構造改革に関する方針2006」(いわゆる「骨太の方針2006」)においては,教育行政の仕組みや教育委員会制度について,抜本的な改革を行うこととされています。
 平成18年12月15日に成立した改正教育基本法の国会審議を通じても,教育委員会制度の在り方,地方教育行政の在り方について活発な議論が行われました。
 平成19年1月24日に取りまとめられた教育再生会議第1次報告においても,教育委員会の在り方を根本的に問い直すと提言されています。
 文部科学省では,これらを踏まえながら,教育委員会制度の改革に向けて検討を進めています。

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