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4 いじめ問題への対応について

 いじめを苦に子どもが自ら命を絶つということはあってはならないことです。しかし,平成17年9月に北海道滝川市の小学校の女子児童が自殺を図った件や,18年10月に福岡県筑前町の中学校の男子生徒が自殺した件など,いじめが原因と考えられる子どもの自殺の問題が相次いで大きく報道されました。これらの事件において,いじめを早期発見して子どもを守るべき学校や教職員の対応に問題があったり,問題発生後の対応が不適切であったケースが見られ,大きな社会問題となりました。また,文部科学省が毎年行っている問題行動の調査について,いじめや自殺の実態を適切に把握できていないのではないかとの指摘もなされたところです。
 いじめは,どの子どもにも,どの学校でも起こり得ることです。各学校において苦しんでいる子どもを救い,二度とこのような悲劇を繰り返さないため,文部科学省では以下のような対策について緊急に取り組んだところです。

○現地調査の実施

 特に問題が大きく報じられた北海道滝川市と福岡県筑前町の件につき,それぞれ池坊文部科学副大臣と小渕文部科学大臣政務官を派遣するなどし,関係者からの聞き取りを行いました。

○緊急会議の開催・通知の発出

 平成18年10月19日に各都道府県教育委員会などの担当課長を集めた緊急会議を開催し,いじめが生じた際には,いじめの問題を隠さず,学校・教育委員会と家庭・地域が連携して対処していくべきことなどについて通知を発出し,取組の徹底を求めました。

○省内に推進本部・有識者会議を設置

 省内に「子どもを守り育てる体制づくり推進本部」を設置し,一連の問題における課題や今後の対応方針について検討し,平成19年1月に「いじめ・自殺問題に関する取組について(中間まとめ)」を取りまとめました。また,子どもを守り育てるための総合的かつ具体的な取組について各方面の専門家による審議・研究を行う有識者会議を設置し,18年12月に「いじめ問題などに対する喫緊の提案について」を発表しました。

○「文部科学大臣からのお願い」の発表

 平成18年11月には「文部科学大臣からのお願い」を発表し,子どもたちと大人社会一般に対し広く呼びかけを行いました。

 そして,いじめられている子どもの不安や悩みを受け止めるための取組を更に進める等の観点から,以下のような対策を講じ,教育委員会や学校におけるいじめ問題への取組の一層の充実と徹底を図っています。

○いじめや自殺に関する調査方法の見直し

 いじめられた児童生徒の立場に立ち,より実態に即して把握できるよう,いじめの定義を見直すなどの見直し作業を行っています。

○教育相談体制の充実

 いじめ問題に悩む子どもや保護者などがいつでも相談できるよう,電話相談窓口を夜間・休日も含め24時間体制とし,全国統一ダイヤル(0570-0-78310)を設定するとともに,スクールカウンセラーなどによる集中的な教育相談に取り組んでいます。

○事例集の作成

 いじめ問題への取組に関する各教育委員会や学校の実践例をまとめた事例集を作成・周知し,特色ある取組の共有を図っています。

▲生徒指導担当課長会議の模様
(平成19年1月23日)

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