第9節 若者の自立支援

 高い失業率,フリーターやニートと呼ばれる若者の増加など,深刻化する若年者雇用問題に対し政府全体として対策を講ずるため,文部科学省,厚生労働省,経済産業省,内閣府の関係4府省は,平成15年4月に,関係4閣僚(文部科学大臣,厚生労働大臣,経済産業大臣,経済財政政策担当大臣。16年度からは内閣官房長官も参画)で構成される「若者自立・挑戦戦略会議」を発足させました。
 この会議では,平成15年から3年間で若年失業者等の増加傾向を転換させることを目標に,教育・雇用・産業政策が連携した総合的対策として,15年6月に,「若者自立・挑戦プラン」を策定しました。さらに,その実効性・効率性を高めるため,16年12月に「若者の自立・挑戦のためのアクションプラン」を,18年1月に「『若者の自立・挑戦のためのアクションプラン』の強化(改訂版)」を取りまとめました。その内容は次のとおりです。

 文部科学省では,これらのプランを踏まえ,教育面から若年者雇用問題などに取り組んでいます。これまでに,児童生徒の発達段階に応じたキャリア教育の推進,教育と企業実習を組み合わせた実務・教育連結型人材育成システム(日本版デュアルシステム)の推進,フリーターへの再教育の実施,大学などの高等教育機関における高度な専門能力等を持つ人材の育成の推進などに取り組んできたところです。
 平成18年度においては,これまでの取組を着実に推進するとともに,若者が勤労観,職業観を身に付け,明確な目的意識を持って職に就くとともに,仕事を通じて社会に貢献することができるよう,各学校段階を通じた体系的なキャリア教育・職業教育の推進や,ニートである若者などに対する「学び直し」の機会の提供などに取り組んでいます。

〈各学校段階を通じた体系的なキャリア教育・職業教育の推進〉

 各学校において,教育活動全体を通じてキャリア教育・職業教育を推進するとともに,児童生徒に勤労観,職業観を身に付けさせるため,平成17年度から,「キャリア教育実践プロジェクト」を実施しています。この事業では,中学校を中心とした5日間以上の職場体験を「キャリア・スタート・ウィーク」として実施するとともに,地域の協力体制を構築するなど,キャリア教育の一層の推進を図っています。
 また,将来の地域社会の担い手となる専門的職業人の育成を目指し,専門高校などにおいて地域の産業界などと連携した取組を推進する「目指せスペシャリスト(「スーパー専門高校」)」を実施しています(平成15年度から18年度までで,計36校を指定)。この事業では,先端的な技術・技能などを取り入れた教育や伝統的な作業に関する学習活動を重点的に行っている専門高校などを指定し,技能の修得法や技術の開発法,学校設定科目などのカリキュラム開発,大学や研究機関などとの効果的な連携方策についての研究などを推進しています。

〈ニート等を対象とした「学び直し」の機会の提供〉

 平成18年度から,専修学校において,ニートを支援しているNPO団体などと連携し,ニートの社会的自立を目指した職業教育を支援する事業を実施しています。
 また,地域の教育委員会・公民館及びNPOなどが雇用関係機関,企業などと連携し,ニートを持つ保護者等を介したニート対策事業や児童・生徒を持つ保護者等を対象としたニート予防に関する事業を公民館などにおいて実施しています。

〈産学連携を通じた高度・専門的な人材の育成〉

 知識基盤社会を支える高度で知的な素養のある多様な人材を育成するため,「派遣型高度人材育成協同プラン」などを実施し,産学連携による高度な人材育成を推進しています。具体的には,大学院生を対象とする産学協同の企業現場等の実践的環境を活用した質の高い長期(おおむね3か月以上)インターンシッププログラムの開発等を大学に委託しています。

図表●2-1-14 文部科学省におけるフリーター・ニート対策等に関する取組について

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