第6節 学習成果の評価・活用

 生涯学習社会を構築するためには,形式的な学歴に偏りがちな評価の状況を改め,様々な学習活動の成果が適切に評価されるようにする必要があります。

(1)高等学校卒業程度認定試験

 平成16年8月の中央教育審議会答申「大学入学資格検定の見直しについて(答申)」を受け,これまでの大学入学資格検定を見直し,高等学校卒業程度以上の学力を認定する試験として,17年1月に「高等学校卒業程度認定試験」を創設しました。この試験は,合格者に大学などへの入学資格を付与するだけでなく,就職などにおいても幅広く社会に活用されることを目的としています。
 主な改正点としては,1新たに全日制高等学校の在学生に受験資格を付与したこと,2受験科目について,国語・地理歴史・公民・数学・理科・英語の8〜9科目としたこと(家庭科を廃止し,英語を追加)などが挙げられます。
 また,学校教育法施行規則を改正し,従来の定時制・通信制高校だけではなく,受験資格を拡大した全日制高校においても,学校長の判断でこの試験の合格科目を卒業単位として認めることができるようになりました。
 平成18年度高等学校卒業程度認定試験では,2万9,619人(前年度より2,988人増加)の出願があり,うち全日制高等学校在籍者は2,727人(前年度より447人増加)でした(図表2-1-13)。
 文部科学省では,全国の地方自治体や日本商工会議所と連携して,地方自治体や企業における試験の認知度及び合格者の採用・評価に関する現状を把握するための「高等学校卒業程度認定試験に関する調査」(平成18年2月)を実施しました。また,企業向けのパンフレットの配付を通して,合格者の就職における採用試験や採用後の処遇について,高等学校の卒業者と同等に扱われるように,企業などに対して働き掛けをしています。

図表●2-1-13 高等学校卒業程度認定試験出願者等推移表

(2)学校における単位認定

 高等学校や大学などにおいては,一定の要件の下で,専修学校で学んだ成果などを単位として認定できることとされています。

(3)大学評価・学位授与機構による学位授与

 大学・大学院の正規の課程を修了してはいないものの,大学・大学院を卒業又は修了した者と同等以上の学力を有すると認められる者に対して,高等教育段階の様々な学習成果を評価し,学位を授与しています。平成17年度においては,1短期大学,高等専門学校卒業者などが大学,専攻科において更に一定の学習を行った場合に当たる者として2,535人に,2同機構の認定する教育施設の課程の修了者に当たる者として1,123人に同機構から学位が授与されています。

(4)準学士・短期大学士・専門士・高度専門士

1準学士・短期大学士

 高等専門学校卒業者には「準学士」の称号が付与されています。また,これまで短期大学卒業者には,「準学士」の称号が付与されていましたが,平成17年7月に成立した「学校教育法の一部を改正する法律」によって,17年10月以降の短期大学卒業者には,「短期大学士」の学位が授与されています。

2専門士・高度専門士

 修業年限2年以上,総授業時数1,700時間以上などの要件を満たすと文部科学大臣が認めた専門学校の修了者に対しては,「専門士」の称号が付与されます。平成17年度では,6,843学科(修業年限2年以上の専門学校の学科(7,357学科)の93.0パーセント)の修了者に対し,専門士の称号が付与されています。また,修業年限4年以上で,総授業時数3,400時間以上などの要件を満たすと文部科学大臣が認めた専門学校の修了者に対しては,「高度専門士」の称号を付与する制度が17年9月に創設され,18年6月現在,227学科(修業年限4年以上の専門学校の学科(405学科)の56パーセント)の修了者に対し,高度専門士の称号が付与されています。

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