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第1部   21世紀の教育改革
第6章  生涯学習社会の構築
第1節  生涯学習社会の構築に向けて
2  新たな展開



(1) 社会人の大学等でのキャリアアップ

 近年の経済のグローバル化や技術革新,労働者の就業意識の多様化の中,社会人が生涯を通じて最新かつ高度な技術や能力を身に付けるための学習ニーズが高まっています。また,今後の産業構造改革に伴う新たな雇用ニーズや労働移動の増加に対応するためにも,質の高い人材の確保のための社会人の再教育は,社会全体の要請ともなっており,特に,大学・大学院や専修学校等の高等教育機関が果たす役割に対する期待が高まっています。

 文部科学省では,従来から,社会人の大学や大学院へのアクセスを容易にするため,社会人特別選抜や科目等履修生制度,夜間・昼夜開講制の導入,サテライト教室の設置,専門大学院や大学院修士課程1年制・長期在学コースの制度化等の措置を講じるとともに,「いつでも,どこでも,誰(だれ)でも」学ぶことができる放送大学の整備,専修学校における雇用・能力開発機構,都道府県からの委託による職業訓練の実施や人材育成のための教育プログラムの開発,公開講座の実施等により,社会人の高度な学習ニーズに対応するための様々な取組を行ってきました。

 更に,今後,雇用の流動化や中高年ホワイトカラーの離職が予想される中で,意欲ある社会人に高度な能力開発の機会を提供するとともに,離職者等が誇りと生きがいを持って再就職のために学ぶ機会を整備する観点から,大学等での社会人のキャリアアップのための再教育が一層重要になってきています。このため,文部科学省では,大学・大学院,専修学校等におけるキャリアアップを目指す社会人向けの先導的なプログラム開発や講座の提供等の推進,サテライトキャンパスやe-ユニバーシティ(情報通信技術を活用した遠隔教育による大学教育)の整備を行うとともに,1年制の専門大学院の制度化など社会人が学びやすい環境のための制度改善を図り,今後5年間で100万人規模を目標に大学・大学院,専修学校等での社会人の受け入れを飛躍的に拡充していくことを目指した「社会人キャリアアップ100万人計画」の推進に取り組んでいるところです。

 更に,大学・大学院等における教育訓練給付制度の講座の指定範囲の拡大等や委託訓練の実施により,社会人のキャリアアップの機会の更なる拡充を図るために,厚生労働省において,文部科学省と協力し,関連する運用基準等の改正が行われたところです。

■表1-6-2■大学における社会人受入れの推進に関する制度の概要


(2) 学習成果の評価と活用等

 地方公共団体においては,生涯学習センターや公民館等で開設された講座の修了者に対し,修了証や認定証を交付し学習成果を評価し,学習者の地域参加や更なる学習への意欲を喚起するとともに,学習成果を生かして地域における学校教育,社会教育等の指導に当たるボランテイア人材として登録・活用するなど,地域社会の発展にもつながる学習成果の評価・活用の仕組みづくりが進んでいます。

 また,文部科学省においては,生涯学習審議会答申「学習の成果を幅広く生かす(平成11年6月)」の提言等を踏まえ,学習した経験や知識がどの地域や団体でも通用するように,学習歴等を公的な機関が証明する仕組みとして,個々人の学習成果を記録する「生涯学習パスポート」(生涯学習記録票)に関する調査研究を行っています。

 更に,地域住民の能力を生かした魅力あるまちづくりを目指し,地域のNPOなどの民間団体が中心となって,地域の課題に関する住民に対する学習機会の提供や学習成果をまちづくりに生かすボランテイア活動等を展開している例も見られます。

■地域住民の能力を生かした魅力あるまちづくり

○ボランティアによる市民大学の運営

 あるNPO法人は,「会員及び地域住民に対して,いつでも自由に参加できる学習機会を提供すると共に,心豊かな文化的社会の構築に寄与すること」を目的として,市民に様々な講義を提供しています。講義は毎週日曜日に行われ,政治,経済,自然科学,ハイテク産業,環境,文学,芸術,教育,家庭・生活などに加え,地域学としての「多摩学」を含む13科目を,大学教授や社会の第一線で活躍している知識人が担当しています。また,年に3回「学報」を発行し,教授自ら執筆した講義要旨や行事報告などを掲載しています。

 このNPO法人は,授業料なし,講義の謝礼なし,会場費なし,運営スタッフも全てボランティアという,徹底した自由参加型の市民大学であり,今後とも,フォーラムやIT講習会,ワークショップ等,多岐にわたる内容で活動を実施し,学習成果を「社会貢献」に結びつけることも目指しています。

○中郷まちづくりカレッジ

 静岡県三島市では,平成12年10月から13年3月にかけて,月2回のペースで合計10回の講座を開催し,公民館を利用する地域の住民の方を対象にして「まちづくり」について環境問題・消費生活・教育問題・障害者とのかかわり等について,様々な視点から勉強を行う「中郷まちづくりカレッジ」事業を実施しました。

 この事業は,NPO法人との共同事業という形態をとっており,地方公共団体とNPOとが連携してまちづくり支援事業を行うものでした。

 中郷まちづくりカレッジでは,静岡県内の市町村・大学・民間教育機関等が実施している各種の社会教育関係講座と県が連携しており,県民に広域的・体系的な学習機会を提供している「静岡県民カレッジ」と連携して各連携講座修了生には,それぞれに設けられた共通の単位が与えられ,合計単位数に応じてふるさと学士,ふるさと修士,ふるさと博士の称号が授与されました。


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