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平成20年度文部科学白書 第2部 第1章 第2節

第2節 家庭の教育力の向上に向けた取組

1 家庭教育の現状

 家庭教育は、すべての教育の出発点であり、子どもが基本的な生活習慣・生活能力、豊かな情操、他人に対する思いやりや善悪の判断などの基本的倫理観、自立心や自制心、社会的なマナーなどを身に付ける上で重要な役割を果たすものです。しかしながら、近年の都市化や核家族化、少子化、地域における地縁的なつながりの希薄化など、家庭や家族を取り巻く社会状況の変化の中で、家庭の教育力の低下が指摘されています。平成20年度に文部科学省が行った「家庭教育の活性化支援等に関する特別調査研究」においても、約8割の親が家庭の教育力が低下していると実感するなどの結果が出ています。
 このような状況の中で、改正教育基本法において、新たに家庭教育に関する規定(第10条)が設けられました。さらに、教育振興基本計画においても、国が行う重点施策として、身近な地域においてきめ細かな家庭教育支援が実施されるよう促すことが盛り込まれました。
 今後、家庭教育支援の充実を進める上で、地域コミュニティや企業を含む社会全体で家庭教育を支えていくためのより良い環境を作っていくことが重要であり、孤立しがちな親や子育てに関心のない親を含む様々な状況にある子育て中の親たちに対し、きめ細かな家庭教育支援を積極的に進めていくことが課題となっています。

2 家庭教育を支援するための取組

(1)家庭教育支援に関する基盤を形成

 社会全体で家庭教育支援を行うため、身近な地域において子育てサポーターリーダーなどで構成する「家庭教育支援チーム」を設置し、情報や学習機会の提供、相談体制の充実を図ることにより、地域全体で家庭教育を支えていく基盤の形成を図る手法開発を進めてきました。
 また、父親の家庭教育への参加を促進するため、父親の家庭教育への参加を考える集いや、企業に出向いた学習講座の開催などの実施を支援しました。
 平成21年度からは、これまでの手法開発で実施してきた成果をもとに、子育てサポーターリーダーの養成や学習機会の提供など、家庭教育支援基盤の形成を図る取組を広く支援し、全国的な普及・定着を図ることとしています。
 さらに、平成21年度からは、仕事などで学習機会への参加ができない、家庭教育や子育てに無関心・孤立化しているといった様々な状況の子育て中の親を支援するため、「訪問型家庭教育支援チーム」を設置し、家庭や企業を訪問しての積極的かつきめ細かな相談体制の充実を図るための手法開発を行うこととしています。

幅の広い年代で家庭教育支援チームを構成(青森県三戸町)の画像

幅の広い年代で家庭教育支援チームを構成(青森県三戸町)

(2)家庭教育に関する情報の提供

 親が家庭を見つめ直し、自信を持って子育てに取り組んでいく契機となるよう、「家庭教育手帳」(「ドキドキ子育て(乳幼児編)」、「ワクワク子育て(小学校低学年から中学年編)」、「イキイキ子育て(小学校高学年から中学生編)」)を作成し、全国の教育委員会などに提供して、家庭教育に関する学習機会などで活用を図っています。
 また、一人でも多くの親にきめ細かな家庭教育支援を行う手法を開発するため、「地域SNS(ソーシャルネットワークサービス)」を活用して、家庭教育に関する「コミュニティ」を設け、親同士のコミュニケーションの円滑化や相談対応についての調査研究を行い、普及促進を図るなどITを活用した先進的な家庭教育支援の取組を行っています。

(3)その他の家庭教育支援に関する取組

 文部科学省では、身近な地域において家庭教育支援を行う人材を養成し、相談体制の一層の充実を図っています。また、これまでの各地域における実績を考慮し、子育てサポーターリーダーが、全国的に一定の資質を有する家庭教育支援人材として養成されることで、地域の中核人材として活発な活動が可能となるよう、標準的な研修カリキュラムやテキストの開発・提供を行いました。
 また、学校・家庭・地域社会を結ぶ要として重要な役割を担うPTAについて、PTA参加型のシンポジウムの開催や、保護者の意識調査等を実施し、PTAの活性化や保護者同士のネットワークの強化を図っています。

3 子どもの基本的な生活習慣の育成に向けた取組

(1)子どもの基本的な生活習慣の現状

 子どもたちが健やかに成長していくためには、適切な運動、調和のとれた食事、十分な休養・睡眠が大切です。しかしながら、最近の子どもたちを見ると、「よく体を動かし、よく食べ、よく眠る」という成長期の子どもにとって当たり前で必要不可欠である基本的な生活習慣が大きく乱れています。こうした今日の子どもの基本的な生活習慣の乱れが、学習意欲や体力、気力の低下の要因の一つとして指摘されています。
 このため、家庭における食事や睡眠などの乱れを個々の家庭や子どもの問題として見過ごすことなく、社会全体の問題として地域が一丸となり、子どもの健やかな成長を期して学習意欲や体力の向上を図るための取組を推進することが必要です。

1.子どもの就寝時間

 平日23時以降に就寝する小学生の割合は19%、平日24時以降に就寝する中学生の割合は31%となっています(図表2‐1‐1)。

図表2‐1‐1 小・中学生における就寝時間

図表2‐1‐1 小・中学生における就寝時間の画像

出典:文部科学省「平成20年度全国学力・学習状況調査」
対象:小学6年生約116万人、中学3年生約108万人

2.子どもの朝食摂取

 最近の調査によれば、朝食を食べないことがある小・中学生の割合は、小学生で13%、中学生で19%に達しています(図表2‐1‐2)。また、毎日朝食を食べる子どもの方が、平成20年度全国学力・学習状況調査の平均正答率や、平成20年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の体力合計点が高い傾向にあることが分かっています(図表2‐1‐3、図表2‐1‐4)。

図表2‐1‐2 朝ごはんを食べないことがある小・中学生の割合

図表2‐1‐2 朝ごはんを食べないことがある小・中学生の割合の画像

出典:文部科学省 「平成20年度全国学力・学習状況調査」
対象:小学6年生約116万人、中学3年生約108万人

図表2‐1‐3 朝食の摂取と学力調査の平均正答率との関係

図表2‐1‐3 朝食の摂取と学力調査の平均正答率との関係の画像

出典:文部科学省「平成20年度全国学力・学習状況調査」
対象:小学6年生約116万人、中学3年生約108万人

図表2‐1‐4 朝食の摂取と体力合計点との関係

図表2‐1‐4 朝食の摂取と体力合計点との関係の画像

出典:文部科学省「平成20年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」
対象:小学5年生約78万人、中学2年生約77万人

 こうした状況を考慮し、子どもの就寝時間や朝食摂取の状況を改善することについて、家庭だけでなく、国民全体で考え行動する社会的気運を高めていくこととしています。

(2)「早寝早起き朝ごはん」国民運動の推進

1.「早寝早起き朝ごはん」全国協議会による運動の推進

 平成18年4月に、「早寝早起き朝ごはん」全国協議会が発足しました。これは、PTAをはじめ、経済界、メディア、有識者、市民活動団体、教育・スポーツ・文化関係団体、読書・食育推進団体、行政など、幅広い関係団体の参加を得て、「早寝早起き朝ごはん」運動を民間主導の国民運動として推進することを目的としています。平成20年12月現在、全国協議会の会員団体数は230です。
 設立以来、本運動に賛同する方々や、本全国協議会に参加する様々な団体などとともに、子どもの基本的な生活習慣の確立や生活リズムの向上につながる運動を展開しています。また、本全国協議会ではコミュニティサイトにより、各地域での取組や今後展開される様々な事業などの情報を提供しています(参照:http://www.hayanehayaoki.jp(※早ね早おき朝ごはんコミュニティサイト ホームページへリンク))。

2.子どもの生活リズム向上プロジェクト

 文部科学省では、平成18年度から、早寝早起きや朝食をとるなど、子どもの望ましい基本的な生活習慣を育成するため、「子どもの生活リズム向上プロジェクト」として、全国的な普及啓発活動や先進的な実践活動などの調査研究を行っています。
 また、「子どもの生活リズム向上全国フォーラム」も平成20年度は6か所で開催し、基調講演やパネルディスカッションなどを実施しています。
 平成21年度からは、これまでの小学生や乳幼児中心の調査研究の成果をもとに、教職を目指す大学生や専門家などを活用し、学校や地域行事に出向いて行う啓発活動や、教員や団体指導者、企業などを対象とした、実践活動における研究協議会を実施します。

お問合せ先

生涯学習政策局政策課

-- 登録:平成21年以前 --