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平成21年版科学技術白書 第2部 第3章 第2節

第2節 科学の発展と絶えざるイノベーションの創出

 イノベーションとは、単なる「技術革新」という狭義の概念ではなく、広く社会のシステムや制度をも含めて新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすことである。我が国が目指す「イノベーション立国」は、個々の能力が最大限に発揮され、活力に満ち、豊かさが実感できる社会である。
 内閣府では、基本計画や長期戦略指針「イノベーション25」に基づき、イノベーションの創出・促進に向けた社会環境を整備する社会システム改革と技術革新を一体的かつ継続的に推進していくこととしている。具体的には、1.社会還元加速プロジェクト(1)の開始、2.システム改革の進捗(しんちょく)状況のフォローアップ、3.国内外のイノベーションを巡る動向の把握等を通じ、イノベーション創出に向けた施策の着実な取組を推進していく(第2‐3‐7図)。

第2‐3‐7図  長期戦略指針「イノベーション25」の概要

第2‐3‐7図  長期戦略指針「イノベーション25」の概要

 文部科学省では、優れた研究環境と極めて高い研究水準を誇る「目に見える研究拠点」の形成を目指す「世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラム」等を推進している。

 経済産業省では、「経済成長戦略大綱」(平成19年6月19日財政・経済一体改革会議)などに挙げられるような、研究開発の成果を迅速に市場化につなげる仕組みを構築する「イノベーション・スーパーハイウェイ構想」を推進している。


1 社会還元加速プロジェクト:総合科学技術会議が司令塔となって、関係府省、官民の連携の下で、近い将来に実証研究段階に達するいくつかの技術を融合し、実証研究を通して、成果の社会還元を加速するプロジェクトであり、長期戦略指針「イノベーション25」に掲げられた社会の実現を目指し、6つのプロジェクトを技術開発のみならず障害となっているシステム改革も含め推進していく。

1.生涯健康な社会を目指して
 ・失われた人体機能を再生する医療の実現

2.安全・安心な社会を目指して
 ・きめ細かい災害情報を国民一人一人に届けるとともに災害対応に役立つ情報通信システムの構築
 ・情報通信技術を用いた安全で効率的な道路交通システムの実現

3.多様な人生を送れる社会を目指して
 ・高齢者・有病者・障害者への先進的な在宅医療・介護の実現

4.世界的課題解決に貢献する社会を目指して
 ・環境・エネルギー問題等の解決に貢献するバイオマス資源の総合利活用

5.世界に開かれた社会の実現を目指して
 ・言語の壁を乗り超える音声翻訳コミュニケーション技術の実現

1 競争的環境の醸成

(1) 競争的資金及び間接経費の拡充

 競争的な研究開発環境の形成に貢献する競争的資金については、平成20年度予算額4,813億円(平成19年度予算額4,766億円)と、着実に拡充が図られた。また、競争的資金を獲得した研究者の属する機関に対して研究費の一定比率が配分されることで、研究者の属する組織間の競争を促す効果を持つ間接経費についても、平成20年度においては、44制度中40制度が30%の措置が可能であり、また3制度が一部のプログラムで可能としており、一層の拡充が図られた。
 各府省の競争的資金一覧を示す(第2‐3‐8表)。  

第2‐3‐8表 競争的資金総括表

省庁名 担当機関 制度名 制度の概要 平成19年度
予算額
(百万円)
平成20年度
予算額
(百万円)
内閣府 本府 食品健康影響評価技術研究 科学を基本とする食品健康影響評価(リスク評価)の推進のため、評価基準の開発に関する研究を推進 364 364
内閣府小計 364 364
総務省 本省 戦略的情報通信研究開発推進制度 情報通信技術の研究開発力の向上及び競争的な研究環境の形成による研究者のレベルアップを図り、世界をリードする知的財産を創出していくため、戦略的な重点目標に沿った独創性・新規性に富む研究開発を積極的に推進 2,950 2,573
総務省 情報通信研究機構 新たな通信・放送事業分野開拓のための先進的技術開発支援 先進的な技術の研究開発を行うベンチャー企業等民間企業を支援することによって、通信・放送分野における新規事業の創出を図る。 550 542
総務省 情報通信研究機構 民間基盤技術研究促進制度 通信・放送の技術であって、国民経済及び国民生活の基盤整備の強化に寄与するものに関する試験研究を促進するため、民間から幅広く試験研究課題を公募し、優れた課題について、試験研究を民間に委託 6,500 4,200
総務省 消防庁 消防防災科学技術研究推進制度 安心・安全に暮らせる社会の実現を目指し、消防防災科学技術の振興を図るため、消防防災科学技術の裾野を広げ、産学官の連携、地方公共団体での研究を積極的に促進するとともに、災害現場に密着した研究を行う必要がある。このため、消防防災科学技術に係る競争的資金制度により、1.消火・救急・救助活動に関する科学技術の高度化、2.災害対応策への情報化の促進、3.環境保全の推進等に優れた研究課題に対して研究費を配分し、新技術を活用した実用化のための研究開発を促進する。 311 294
総務省小計 10,311 7,609
文部科学省 本省/ 日本学術振興会 科学研究費補助金 人文・社会科学から自然科学までのすべての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とするものであり、ピア・レビュー(注1)により、豊かな社会発展の基盤となる、独創的・先駆的な研究に対する助成を行う。 191,300 193,200
文部科学省 科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発事業(公募型)を含む) 今後の科学技術の発展や新産業の創出につながる新技術を生み出すことを目的とし、社会・経済ニーズを踏まえ国が設定した戦略目標の下、戦略重点科学技術を中心とした基礎研究を戦略的に推進する。 48,626 50,326
文部科学省 本省 科学技術振興調整費 総合科学技術会議の方針に沿って文部科学省が運用を行う政策誘導型の競争的資金。第3期科学技術基本計画の本格実行に向け、科学技術システム改革関連の公募を実施し、機動的・戦略的に活用する。 36,800 33,800
文部科学省 本省 21世紀COEプログラム 第三者評価に基づく競争原理により、国公私立大学を通じて、世界的な研究教育拠点の形成を重点的に支援し、もって国際競争力のある世界最高水準の大学づくりを推進する。 22,016 3,905
文部科学省 本省 グローバルCOEプログラム 「21世紀COEプログラム」の基本的な考え方を継承しつつ、世界的な卓越した教育研究拠点形成を重点的に支援する。特に、若手研究者の育成機能と国際的な拠点形成を強化する。 15,758 33,986
文部科学省 本省 世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラム 高いレベルの研究者を中核とした研究拠点の形成を目指す構想に集中的な支援を行い、システム改革の導入などを促すことにより、世界から第一線の研究者が集まる、優れた研究環境と高い研究水準を誇る「目に見える拠点」の形成を目指す。 3,500 7,109
文部科学省 本省 キーテクノロジー研究開発の推進 経済社会の発展や安全・安心の確保など我が国の維持・発展の基盤となるキーテクノロジー研究開発の更なる進展を図るため、(1)社会のニーズを踏まえたライフサイエンス分野の研究開発、(2)次世代IT基盤構築のための研究開発、(3)ナノテクノロジー・材料を中心とした融合新興分野研究開発を競争的環境において推進する。 15,967 19,315
文部科学省 本省 地球観測システム構築推進プラン 地球観測サミットで謳(うた)われた地球観測システムの構築に向けて、我が国が先導的に取り組むべき研究領域について公募により技術開発・観測研究等を行う。 573 373
文部科学省 本省 原子力システム研究開発事業 革新的原子力システムの実現に資するため、国が推進すべきと評価した原子炉技術や燃料サイクル技術等の研究開発を行う特別推進分野及びその候補となる研究開発を行う基盤研究開発分野を競争的環境の下で実施する。 5,205 5,926
文部科学省 科学技術振興機構 先端計測分析技術・機器開発事業 独創的な研究活動を支える世界初のオンリーワン/ナンバーワンの計測分析技術・機器の開発を推進する。特に、新たにユーザーを取り込んだ応用領域(ものづくり)の産学協働開発を推進する。 4,800 5,500
文部科学省 科学技術振興機構 革新技術開発研究事業 平成18年度に終了した独創的革新技術開発研究提案公募制度からこれを引き継ぎ、次代の産業の未来を切り拓(ひら)くとともに、21世紀の新たな発展基盤を築く革新性の高い独創的な技術開発に関する研究を、民間等において研究活動に携わる者等から提案公募の形式により幅広く募り、優秀な課題を選定し、より革新的かつ、実用的な技術への育成を図る。 1,740 822
文部科学省 科学技術振興機構 独創的シーズ展開事業 大学・公的研究機関等の独創的な研究成果(シーズ)について、研究成果の実用化に向けて展開(大学発ベンチャーの創出や技術移転の促進)を図るため、課題の技術フェーズに応じた研究開発を競争的環境下で実施し、研究成果の社会還元を促進することにより、社会経済や科学技術の発展、国民生活の向上に寄与する。 9,043 8,122
文部科学省 科学技術振興機構 産学共同シーズイノベーション化事業 大学・公的研究機関等の基礎研究に潜在するシーズ候補を産業界の視点で見出す機会を設け、シーズを顕在化させることを目的とした産学共同でのFS研究(注2)を実施する。また、顕在化したシーズについて、イノベーションの創出に資する目的で、産学共同による研究(マッチングファンド形式)(注3)を実施する。 1,800 2,200
文部科学省 科学技術振興機構 重点地域研究開発推進プログラム JSTイノベーションプラザ及びJSTイノベーションサテライトを拠点として、大学等の研究成果活用のため、地域における新産業の創出に資するコーディネート活動、事業化に向けた共同研究等を展開する。 8,273 9,400
文部科学省 科学技術振興機構 地域結集型研究開発プログラム等 地域として企業化の必要性の高い分野の個別的研究開発課題を集中的に取り扱う産学官の共同研究事業。大学等の基礎的研究により創出された技術シーズを基にした試作品の開発等、新技術・新産業の創出に資する企業化に向けた研究開発を実施する。 3,479 2,925
文部科学省 本省 政策や社会の要請に対応した人文・社会科学研究推進事業~近未来の課題解決を目指した実証的社会科学研究推進事業~ 社会科学を中心とした諸分野の研究者を結集し、近未来において我が国が直面する課題について、実証的な研究方法により、課題解決を志向した研究を実施する。成果については,社会提言等の形で社会に積極的に発信する。 149
文部科学省 本省 人文学及び社会科学における共同研究拠点の整備の推進事業 21世紀COE等で整備された人文学及び社会科学に係る学術資料やデータ等を有する既存組織のポテンシャルを最大限に活用して、共同研究を推進するため、大学等への公募・委託により一定期間(おおむね5年)支援し、全国共同利用・共同研究拠点の整備を私立大学等にも拡大する。 351
文部科学省 本省 海洋資源の利用促進に向けた基盤ツール開発プログラム 海底熱水鉱床やコバルトリッチクラスト等の海洋資源の資源量を高精度で取得するに当たって活用され得るセンサー等ツールの技術開発を実施する。 400
文部科学省 本省 原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブ 原子力利用に係る技術基盤を高い水準に維持するとともに、新たな知識や技術を創出し、人材の養成等我が国の原子力の利用と発展を支える原子力基礎・基盤研究分野において、政策ニーズを明確にし、より戦略的なプログラム・テーマを設定することにより、競争的環境の下、研究を推進する。具体的には、1.戦略的原子力共同研究プログラム、2.研究炉・ホットラボ等活用研究プログラム、3.若手原子力研究プログラムの3つのプログラムの下に、原子力の基礎・基盤研究を重点的に実施する。 510
文部科学省 科学技術振興機構 地球規模課題対応国際科学技術協力事業 日本の優れた科学技術とODAの連携により、アジア・アフリカ等の開発途上国と環境・エネルギー研究分野等における科学技術協力を推進する。 500
文部科学省小計 368,881 378,819
厚生労働省 本省 厚生労働科学研究費補助金 厚生科学研究を行う大学や国立・民間の試験研究機関に所属する研究者を交付対象とする補助金。研究は4分野18研究に分類されるとともに、採択された研究課題を支援するため、若手研究者育成活用事業などを公益法人において実施することにより、総合的な研究の推進に努力する。 40,871 40,692
厚生労働省 医薬基盤研究所 保健医療分野における基礎研究推進事業 最近の保健医療分野における科学技術の高度化に伴う基礎的研究の重要性の増大にかんがみ、大学等のシーズを基に、国民の健康の保持増進に寄与する医薬品等の研究開発を推進するため、医薬基盤研究所への運営費交付金制度により、当該技術に関する基礎的研究を推進する。 7,498 7,498
厚生労働省小計 48,370 48,191
農林水産省 農業・食品産業技術総合研究機構 新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業 食料自給率の向上や地球規模での食料不足の解決などに向け、新しい発想に立って生物機能を高度に活用した新技術・新分野を創出するため、独立行政法人、大学、民間等からの提案公募による基礎的・独創的な研究を推進する。 4,677
農林水産省 農業・食品産業技術総合研究機構 生物系産業創出のための異分野融合研究支援事業 バイオ等生物系先端技術により新産業の創出、企業化を促進するため、産学官の連携により、異分野の研究者が共同して行う研究開発を通じて、画期的な技術開発を実施するとともに、独創的な着想、研究シーズを活かしてバイオベンチャー創出を目指す独法、民間企業等の研究者に対し、起業化に向けた研究開発支援を推進する。 2,285
農林水産省 本省 先端技術を活用した農林水産研究高度化事業 生産及びこれに関連する流通、加工等の現場に密着した農林水産分野の研究開発を提案公募により推進する。 5,220
農林水産省 本省 産学官連携による食料産業等活性化のための新技術開発事業 農林水産・食品産業分野における新産業・新事業の創出や、直面する諸課題や政策課題の解決に資するため、民間企業等が大学・独立行政法人等の公的研究機関の有する技術シーズを活用して、これらの機関と連携して行う研究開発を推進する。 661 380
農林水産省 本省 新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業 農林水産業・食品産業の発展や地域の活性化などの農林水産政策の推進及び現場における課題の解決を図るため、実用化に向けた技術開発を提案公募方式により推進する。(注4) 5,200
農林水産省 農業・食品産業技術総合研究機構 イノベーション創出基礎的研究推進事業 農林水産業・食品産業等における新技術や新事業の創出など将来のイノベーションにつながる技術シーズの開発や、開発された技術を応用段階に発展させるための研究開発、ベンチャー企業の設立を目指した研究開発等に資金を提供(提案公募)する。(注5) 6,805
農林水産省小計 12,843 12,385
経済産業省 新エネルギー・産業技術総合開発機構 産業技術研究助成事業 産業技術力強化の観点から、産業界のニーズや社会のニーズに応える産業技術シーズの発掘や産業技術人材の育成を図るため、技術領域・課題を提示した上で、大学、独立行政法人等の若手研究者から研究開発テーマを募集し、厳正な外部評価により独創的かつ革新的な研究テーマを選定し、研究者個人に助成金を交付する。 5,892 4,779
経済産業省 新エネルギー・産業技術総合開発機構 大学発事業創出実用化研究開発事業
(※平成19年度イノベーション実用化助成事業)
大学の研究成果を活用して産学が連携して実施する実用化を目指した研究開発に対し、企業側が研究資金を拠出すること、事業計画が明確であること等を要件として、必要な資金の一部をマッチング補助する。 8,675 1,750
経済産業省 新エネルギー・産業技術総合開発機構 エネルギー使用合理化技術戦略的開発 省エネルギー技術開発について先導研究から実用化開発、実証研究に至るまで広く公募を行う委託・補助 6,900
経済産業省 新エネルギー・産業技術総合開発機構 エコイノベーション推進・革新的技術開発プログラム 環境重視・人間重視の技術改革・社会革新(エコイノベーション)の創出に資する技術開発、革新的な温暖化対策につながる技術シーズ等に関する調査研究(フィージビリティ・スタディ)を実施する。 420
経済産業省 本省 地域新生コンソーシアム研究開発事業 大学等の技術力を活用した、地域における産学官の強固な共同研究体制(地域新生コンソーシアム)を組織し、実用化を念頭においた高度な研究開発を実施する。 9,918
経済産業省 本省 革新的実用原子力技術開発事業 提案公募方式により、安全性・経済性を向上させる独創的・革新的な実用技術開発課題を発掘し、原子力発電及び核燃料サイクルの安全性・経済性を向上させるための技術開発を実施する。 902 800
経済産業省 本省 地域資源活用型研究開発事業 地域での新事業創出のため、地域資源(地域の産品・技術)を活用した新商品開発等を目指した、企業と大学等との連携による実用化研究開発を実施する。 1,706
経済産業省 本省 地域イノベーション創出研究開発事業 研究開発を起点とした新事業、新産業創出による地域経済の活性化を図るため、地域のリソースを最適に組み合わせた研究体による実用化技術の研究開発を実施する。 7,400
産業省 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 石油・天然ガス開発・利用促進型事業 石油・天然ガスの探鉱開発等に関する技術課題のうち、基礎~応用段階における独創的・革新的な技術課題について研究開発を公募により実施する。 1,204 471
経済産業小計 26,592 24,226
国土交通省 本省 建設技術研究開発助成制度 建設分野の技術革新を推進していくため、国土交通省の所掌する建設技術の高度化および国際競争力の強化、国土交通省が実施する研究開発の一層の推進等に資する技術研究開発に関する提案を研究者から広く公募する。 400 500
国土交通省 鉄道建設・運輸施設整備支援機構 運輸分野における基礎的研究推進制度 研究者の自由な発想に基づき独創的で革新的な研究テーマを公募することにより、交通機関の安全・環境保全性や交通サービスの高度化などに寄与する全く新しい技術の確立を目的とする。 404 348
国土交通省小計 804 848
環境省 本省 地球環境研究総合推進費 地球環境問題が人類の生存基盤に深刻かつ重大な影響を及ぼすことにかんがみ、様々な分野における研究者の総力を結集して、学際的、国際的な観点から総合的に調査研究を推進し、もって地球環境の保全に資することを目的とする。 2,960 3,197
環境省 本省 環境技術開発等推進費 持続可能な21世紀社会の構築、環境と経済の好循環に向けて、環境分野の研究・技術開発は重要な要素のひとつであり、広く産学官などの英知を活用した研究開発の提案を募り、優秀な提案に対して研究開発を支援することにより、環境研究・技術開発の推進を図る。 881 836
環境省 本省 廃棄物処理等科学研究費補助金 廃棄物に係る諸問題の解決を目的とし、排出の抑制・再生利用等による廃棄物の減量化と、循環型社会の構築に資する廃棄物適正処理に関する研究及び技術開発を、競争的資金の活用により推進する。 1,261 1,135
環境省 本省 地球温暖化対策技術開発事業 エネルギー起源のCO 2排出抑制のための省エネルギー対策・代替エネルギー対策技術を対象として、効果的な対策技術の開発・実用化を推進するため、技術開発を実施する能力と体制を備えた主体から幅広く提案を募り、CO 2排出削減を図るための基盤的な技術開発を行う。 3,302 3,710
環境省小計 8,404 8,878
合計 476,570 481,321

※  各積算欄と合計欄の数字は、四捨五入の関係で一致しないことがある。
(注1)ピア・レビュー:専門分野の近い研究者による審査
(注2)FS(フィージビリティ・スタディ):実現可能性を検証するための試験及び調査
(注3)マッチングファンド方式:企業などから提供される資金を上限に、大学等の負担する経費を助成する仕組み
(注4)平成19年度までの「先端技術を活用した農林水産研究高度化事業」を再編し、平成20年度より実施
(注5)平成19年度までの「新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業」と「生物系産業創出のための異分野融合研究支援事業」を再編統合し、平成20年度より実施

(2) 組織における競争的環境の醸成

(大学における基盤的資金と競争的資金の有効な組合せ)
 我が国の大学においては、基盤的資金が教育研究の基盤となる組織の存立(人材の確保、教育研究環境の整備等)を支えることに重要な役割を果たすとともに、競争的資金が多様な優れた研究計画や教育プログラムを支援するという体制が構築されている。
 このように、基盤的資金と競争的資金はそれぞれ固有の機能を持ち、重要な役割を果たしていることを踏まえ、文部科学省では、国立大学法人運営費交付金や私学助成等の基盤的経費の確保に努めつつ、競争的資金の拡充を目指すなど、政府研究開発投資全体の拡充を図る中で、基盤的資金と競争的資金の有効な組合せを検討している。

(3) 競争的資金に係る制度改革の推進

 総合科学技術会議では、平成19年6月に、基本政策推進専門調査会において取りまとめられた推進方策に基づき、競争的資金等の研究資金の使用・分配・評価を含む更なる制度改革の推進に取り組んだ。具体的には、1.イノベーションの種となる基礎研究の多様性・継続性の確保と出口につなぐシームレスな仕組みの構築(競争的資金の拡充と大挑戦研究枠の設定、国の全ての競争的資金制度の連携システム構築)、2.若手・女性研究者に魅力的な研究環境づくり、3.ハイリスクでインパクトのある研究や独創的な研究の強化及び裾野を広げる仕組み、4.評価体制の強化(「国の研究開発評価に関する大綱的指針」の決定)、5.研究資金の効果が最大になる公正・透明で効率的な配分・使用システムの確立(競争的資金に係るルールの統一化、府省共通研究開発管理システムの供用)を行うとともに、制度改善の実施状況のフォローアップを行っている。
 また、関係府省、配分機関、大学等においては、研究費の使いやすさの改善に向け、関係省間での継続的意見交換を行う「研究費の効果的活用に向けた勉強会」を開催し、府省横断的なルールの統一化や制度改善に向けた課題の整理に取り組んでいる。

(公正で透明性の高い審査体制の確立)
 競争的資金の配分に当たっては、申請内容と実施能力を重視した公正で透明性の高い研究課題の審査が不可欠であり、各制度においては、審査業務の合理化を図りつつ、審査員の増員、研究計画書の充実、審査基準の見直し、多様な分野からの審査員の登用等の改革を推し進めている。具体的な取組として、厚生労働省所管の厚生労働科学研究費補助金では、国立研究機関等にそれらの業務を移管する際には、評価委員会委員の選定基準の明確化等のために留意すべき事項を示すなどして、公正で透明性の高い審査体制の確立のための取組を推進している。

(審査結果のフィードバック)
 競争的資金に係る各制度において、審査結果が研究者に適切にフィードバックされるよう、その詳細な開示を推進している。具体的な取組として、審査の結果、不採択だった場合にも審査委員のコメントを連絡する取組を、平成20年度には44制度中38制度で実施するなど、引き続き審査結果の開示を推進している。

(配分機関の機能強化)
 競争的資金の資金配分機関においては、プログラムオフィサー、プログラムディレクターを配置するとともに、その活動を支援するための調査分析機能や、審査・交付・管理等に係る実務機能の充実・強化を図り、体制整備を行っている。文部科学省所管の資金配分機関である日本学術振興会においては、学術システム研究センターを置き、学術振興方策に関する調査・研究等を行うことで、同振興会の活動支援を行っている。科学技術振興機構においても、研究開発戦略センターを置き、重点的に推進すべき研究領域等の企画・立案を行っている。

2 大学の競争力の強化

(1) 世界の科学技術・基礎研究をリードする大学の形成

 国際競争力のある大学づくりのためには、国公私立大学を問わず、大学における競争的環境の醸成を一層促進することが求められている。文部科学省では、中央教育審議会答申「新時代の大学院教育」(平成17年9月)、科学技術基本計画及び平成14年度から実施している「21世紀COEプログラム」の成果を踏まえ、我が国の大学院の教育研究機能を一層充実・強化するため、平成19年度より、若手研究者の育成機能の強化や拠点の国際性をより重視した「グローバルCOEプログラム」を実施し、国際的な卓越した教育研究拠点の形成を重点的に支援している。平成20年度までに、40大学131拠点を採択した。
 また、我が国全体の基礎研究の更なる発展のためには、国公私立大学を問わず大学の研究ポテンシャルを活用し、研究者が共同で研究を行う体制の整備が求められている。文部科学省では、科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会報告「学術研究の推進体制に関する審議のまとめ」(平成20年5月27日)を踏まえ、平成20年度に国公私立大学を通じたシステムとして、新たに共同利用・共同研究拠点の文部科学大臣による認定制度を設けた。

(2) 個性・特色を活(い)かした大学の活性化

(地域に開かれた大学の育成)
 地域における大学は、地域にとって重要な知的・人的資源であり、地域に開かれた存在として地域全体の発展に一層寄与すべきである。
 地域再生本部は、平成18年2月に、「地域の知の拠点再生プログラム」を決定し、平成20年3月には、新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業、地域イノベーション創出研究開発事業等、新規施策を導入するなどの改正を行い、本プログラムを充実させたところである。これを受けて内閣府では、平成20年12月までに、本プログラムを活用した地域再生計画を80件認定しており、大学等と地域が連携した様々な取組が進展している。
 文部科学省では、本プログラムが策定された平成18年度より、新たに科学技術振興調整費「地域再生人材創出拠点の形成」プログラムを設け、地域の大学等が地元の自治体との連携により科学技術を活用して地域に貢献する優秀な人材を輩出する「地域の知の拠点」を形成する取組を公募し、平成21年3月までに、35課題を採択し支援している。
 また、地域活性化統合本部会合は、平成20年12月に地方再生のための総合的な戦略を取りまとめた「地方再生戦略」(平成19年11月)の一部改訂を了承し、地域を活性化させる「人材力の強化」に向けて、「地域と大学等の連携を通じ、地域での『産学官連携』の推進」に取り組む必要があるとしたところである。

3 イノベーションを生み出すシステムの強化

(1) 世界トップレベル研究拠点の形成

 近年、優れた頭脳の獲得競争が世界的に激化してきている中で、我が国の科学技術水準を維持・向上させていくためには、優秀な人材の世界的な流動の「環(わ)」の中に位置付けられ、内外の研究人材が自然に蓄積されるような研究機関を我が国にもつくっていく努力が必要となっている。
 このような問題意識の下、世界から第一線の研究者が集まる優れた研究環境と高い研究水準を誇る「目に見える拠点」の形成を目指す「世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラム」(1)を推進している。本プログラムは、平成19年度に開始されたものであり、1拠点当たり年間5~20億円、平均14億円の支援を10年から15年にわたって行い、平成19年10月に採択された以下の5拠点が活動している(第2‐3‐9図)。

  • 東北大学「原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)」
  • 東京大学「数物連携宇宙研究機構(IPMU)」
  • 京都大学「物質‐細胞統合システム拠点(iCeMS)」
  • 大阪大学「免疫学フロンティア研究センター(IFReC)」
  • 物質・材料研究機構「国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)」

 また「世界トップレベル研究拠点プログラム委員会」を中心とした強力なフォローアップ体制を構築し、進捗(しんちょく)状況の確認等を行うことにより、「目に見える拠点」の確実な実現を目指している。


1 World Premier International Research Center (WPI) Initiative

第2‐3‐9図 世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラム概要図

第2‐3‐9図 世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラム概要図

(2) 研究開発の発展段階に応じた多様な研究費制度の整備

(イノベーション創出をねらう競争的研究の強化)
 基礎研究で生み出された科学的発見や技術的発明については、単に論文にとどまることなく、社会的・経済的価値創造に結び付け、社会・国民へ成果を還元する必要がある。このため、目的基礎研究や応用研究においては、研究者の知的好奇心の単なる延長上の研究に陥ることのないよう適切な研究のマネジメントが必要である。科学技術振興機構においては、戦略的創造研究推進事業として、イノベーション創出を目指して国が定めた戦略目標の達成のため、研究進捗管理等を行う責任と裁量あるプログラムオフィサーの下、戦略重点科学技術を中心とした基礎研究を戦略的に推進している。また、大学等の研究成果を社会還元するための応用研究として、産学共同シーズイノベーション化事業や独創的シーズ展開事業等を推進している。
 農業・食品産業技術総合研究機構が実施する「イノベーション創出基礎的研究推進事業」においては、農林水産・食品産業等への貢献を目指した事業趣旨を研究課題の選考・評価委員に明確に伝えた上で、採択に当たっての審査及び実施課題の評価を行っている。このうち、中間年次となった研究課題については、研究成果の総括及び今後の研究の進め方について中間評価を実施している。これらの結果をプログラムオフィサーが研究者に伝えるなど、事業趣旨に合致した研究課題の実施に向けた取組が行われている。

(先端的な融合領域研究拠点の形成)
 第3期科学技術基本計画では、イノベーションの創出に向けては、世界を先導し得る研究領域を生み出すとの視点から、産業界の協力も得ながら、特定の先端的な研究領域に着目して研究教育拠点の形成のための重点投資を行うことが有効であるとしている。
 文部科学省では、平成18年度から科学技術振興調整費により、先端的融合領域において、産学官の協働による、将来的な実用化を見据えた基礎的段階からの研究開発を行う拠点を形成する機関を支援する「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」プログラムを実施しており、現在21の研究機関において取組が進められている。また、平成20年度は平成18年度に採択された課題の3年目となり、絞り込みのための再審査を実施した。審査の結果、平成21年度から本格的実施に移行する課題(継続課題)として4課題、本格的実施に移行しないが21年度の再審査への申請を認める課題(再エントリー可能課題)として4課題、本格的実施に移行せず21年度の再審査への申請を認めない課題(終了課題)として1課題を決定した。

(府省を超えた研究費制度の改革)
 総合科学技術会議では、科学技術基本計画の策定、資源配分の調査・審議等に必要なマクロ分析に活用する「政府研究開発データベース」について、所要データの蓄積など構築を行い、公的研究費制度改革を図っている。
 各府省の研究費制度や産学官の研究機関における研究開発は、基礎的段階から実用化段階まで広範にわたっているが、制度や機関を超えて切れ目なく研究開発を発展させ、実用化につないでいく仕組みの構築が求められている。平成20年度には、内閣府所管の沖縄イノベーション創出事業では、関係機関との情報共有を行い、実際に府省を超えて他省の事業との連携事例も創出されている。また、厚生労働省所管の厚生労働科学研究費補助金では、他省庁の研究事業と評価委員会の共有やマッチングファンドを行う事業があり、他省庁との事業の連携及び開発の分担を通じた研究成果の実用化の促進を図っている。そして、農林水産省では、他府省の基礎・基盤的研究で生まれた技術シーズや他分野の研究成果を農林水産分野に応用する研究を実施している。

(3) 産学官の持続的・発展的な連携システムの構築

 21世紀は、「知の世紀」といわれており、「知」の創造とその活用を図ることが、我が国の将来の発展に不可欠であり、産学官連携は絶えざるイノベーション創出のための手段として重要である。我が国の産学官連携は最近大きく進んでいるが、世界トップレベルの我が国の大学の研究ポテンシャルから見て必ずしも十分なものではなく、今後の一層の促進が必要であり、各種取組の強化を図っている。
 平成20年6月、内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省、日本経済団体連合会、日本学術会議の主催で、産学官連携の一層の推進を図るため、全国の企業・大学・行政等のリーダーや実務者による「第7回産学官連携推進会議」を開催した。産学官の代表による講演に加え、具体的な課題について、分科会形式で実務者レベルでの協議を行った。また、同会議において産学官連携功労者表彰式を実施。産学官連携に多大な貢献をした優れた成功事例に対し、内閣総理大臣賞1件を含む16件の表彰を行った(第2‐3‐10表)。

第2‐3‐10表 第6回産学官連携功労者表彰受賞者

受賞事例 受賞者
内閣総理大臣賞 超高密度HDDのための高性能
トンネル磁気抵抗素子の開発
湯浅 新治(ゆあさ しんじ)
産業技術総合研究所 エレクトロニクス研究
部門研究グループ長
鈴木義茂(すずき よししげ)
大阪大学 教授
ジャヤプラウィラ ダビット
キャノンアネルパ株式会社エレクトロンデバイス事務本部 部長
科学技術政策
担当大臣賞
完全養殖クロマグロの産業化 熊井 英水(くまい ひでみ)
近畿大学 理事、教授
大原 司(おおはら つかさ)
株式会社アーマリン近大 代表取締役社長  
科学技術政策
担当大臣賞
周波数解析法を用いた生体認証装置の開発 梅崎 太造(うめざき たいぞう)
名古屋工業大学 教授
中央発條株式会社(ちゅうおうはつじょうかぶしきがいしゃ)
株式会社(かぶしきがいしゃ)ディー・ディー・エス  
総務大臣賞 「超高速インターネット衛星通信システムのコア技術」の開発 立居場 光生(たていば みつお)
有明工業高等専門学校 校長、九州大学 名誉教授
日本電気株式会社 航空宇宙・防衛事業本部宇宙システム事業部(にっぽんでんきかぶしきがいしゃ こうくううちゅう・ぼうえいじぎょうほんぶうちゅうしすてむじぎょうぶ)
三菱電機株式会社 鎌倉製作所(みつびしでんきかぶしきがいしゃ かまくらせいさくしょ)
文部科学大臣賞 「高分解能三次元電子顕微鏡装置」の開発 陣内 浩司(じんない ひろし)
京都工芸繊維大学  准教授
日本電子株式会社(にっぽんでんしかぶしきがいしゃ)
文部科学大臣賞 自立歩行を可能としたアクティブ歩行器「ハートステップ」の開発 小林 宏(こばやし ひろし)
東京理科大学 教授
入江 和隆(いりえ かずたか)
株式会社ハートウォーカージャパン 代表取締役
佐藤 裕(さとう ゆたか)
神田通信工業株式会社 開発技術部応用機器開発室 室長
 (元株式会社日立メディコ マッスルケアプロジェクトリーダー)
文部科学大臣賞 函館マリンバイオクラスター形成の推進 米田 義昭(まいた よしあき)
財団法人函館地域産業振興財団 副理事長
山内 晧兵(やまうち こうへい)
愛媛大学 社会連携推進機構特命教授、南予水産研究センター
センター長 (元北海道大学 副理事、創成科学共同研究機構副理事長)
宮島 克己(みやじま かつみ)
 公立はこだて未来大学共同研究センター、産学官連携
 コーディネーター(元北海道立工業技術センター 研究開発部長) 
厚生労働大臣賞 血栓性疾患関連酵素ADAMTS13の活性測定法の開発 宮田 敏行(みやた としゆき)
国立循環器病センター研究所 病因部 部長
小亀 浩市(こかめ こういち)
国立循環器病センター研究所 脈管生理部 室長
常見 雅彦(つねみ まさひこ)
株式会社ペプチド研究所 企画開発部 部長
農林水産大臣賞 食品残さを活用した発酵リキッドフィーディングの開発 川島 知之(かわしま ともゆき)
農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 研究チーム長
佐伯 真魚(さえき まお)
日本大学 専任講師
高橋 巧一(たかはし こういち)
株式会社小田急ビルサービス、小田急フードエコロジーセンター 顧問 
経済産業大臣賞 岡山リサーチパークインキュベーションセンター(ORIC)を拠点とした地域の一体的連携支援事業 松尾 彰(まつお あきら)
岡山リサーチパークインキュベーションセンター(ORIC)
センター長兼インキュベーションマネジャー
横田 尚之(よこた なおゆき)
 財団法人岡山県産業振興財団 経営支援部 中小企業支援センター
センター長
窪田 真一郎(くぼた しんいちろう)
 岡山県工業技術センター 機械系技術部 研究員
 
経済産業大臣賞 高精度がん放射線治療装置の開発 川田 則幸(かわだ のりゆき)
三菱重工業株式会社 医療機器事業統括室 主席技師
平岡 真寛 (ひらおか まさひろ)
京都大学 教授
小久保 雅樹(こくぼ まさき)
財団法人先端医療振興財団 先端医療センター 放射線治療科  部長 
経済産業大臣賞 「宮崎公設試発SPG技術」を活用した地域活性化 鳥越 清(とりごえ きよし)
宮崎県工業技術センター 材料開発部 部長
中島 忠夫(なかしま ただお)
コントロールリポテックス株式会社 代表取締役
 (元宮崎県工業技術センター 所長)
中島 昇(なかしま のぼる)
エス・ピー・ジーテクノ株式会社 代表取締役社長
 
国土交通大臣賞 繊維質固化処理土「ボンテラン」による高含水比泥土の再資源化技術 高橋 弘(たかはし ひろし)
東北大学 教授
森 雅人(もり まさと)
株式会社森環境技術研究所 所長
益子 恵治(ますこ けいじ)
ボンテラン工法研究会 会長
環境大臣賞 準好気性埋立構造(福岡方式)及びクローズドシステム処分場の開発 花嶋 正孝(はなじま まさたか)
財団法人福岡県環境保全公社 サイクル総合研究センター
センター長、福岡大学 名誉教授 
日本経済団体
連合会会長賞 
高圧枯渇法による高品質微結晶シリコンの高速製膜技術の開発 近藤 道雄(こんどう みちお)
産業技術総合研究所 太陽光発電研究
センター センター長
山内 康弘(やまうち やすひろ)
三菱重工業株式会社 長崎造船所 太陽電池事業ユニット主幹技師
竹内 良昭(たけうち よしあき)
三菱重工業株式会社 技術本部 長崎研究所プラズマ光技術
研究室  主席研究員 
日本学術会議
会長賞
リアルタイム3次元顕微撮像システムの開発及び細胞内分子動態リアルタイム可視化研究 中野 明彦(なかの あきひこ)
理化学研究所 主任研究員、東京大学 教授
御厨 健太(みくりや けんた)
横河電機株式会社 技術企画本部 原価企画センター長
谷岡 健吉(たにおか けんきち)
日本放送協会放送技術研究所 所長 

 また、平成20年11月には、内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省、日本経済団体連合会、日本学術会議の主催で「第8回産学官連携サミット」を開催した。産学官のトップが一堂に会し、「産学官連携と成長戦略」とのテーマの下、科学技術によるイノベーションの持続的創出についての講演とパネルディスカッションを通じ、産学官の役割と連携の新たな展開について議論を行った。
 経済産業省は、新エネルギー・産業技術総合開発機構等の協力の下、将来の社会・国民のニーズや技術の進歩・動向等を見据えた「技術戦略マップ」を平成17年に策定、その後毎年改訂しており、平成20年4月には「技術戦略マップ2008」として公表した。経済産業省はこの技術戦略マップを研究開発マネジメントに活用するとともに、幅広く産学官に提供し、研究開発の企画・実施に携わる人々のコミュニケーションツールとしても活用している。
 このような各種取組は我が国におけるイノベーションの創出に寄与するものであると期待されている。

(本格的な産学官連携への深化)
 平成16年4月の国立大学法人化等に伴い、産学官連携は着実に実績を上げており、平成19年度には、大学等と民間等との共同研究件数は1万6,000件を超えた(第2‐3‐11図)。さらに、特許実施許諾件数は4,390件に上り、大学発ベンチャー数は平成20年3月末時点で累計1,775社(1)を数えている。


1 文部科学省科学技術政策研究所調べ

第2‐3‐11図 共同研究実施件数・受入額の推移

第2‐3‐11図 共同研究実施件数・受入額の推移

 このような産学官連携の実績を踏まえ、更に戦略的・組織的な産学官連携を促進するため、情報通信研究機構では、同機構が構築・運用する最先端の研究開発テストベッドネットワークによる産学官連携研究の推進を行っている。
 文部科学省では、大学等における研究成果を基に将来起業が期待されるものを対象に、基礎研究と製品化開発研究との間の研究開発支援が不足している段階(いわゆる「死の谷」)の研究開発を行おうとする大学等の研究者に対して研究開発費及び事業化に向けた事業化計画作成等のマネジメント経費を助成しているほか、全国の大学・高等専門学校、共同利用機関における80名(平成20年7月1日現在)の産学官連携コーディネーターを通じた、産学官連携活動の支援(産業界、地域社会に向けた研究成果の社会還元等の推進)を実施している(第2‐3‐12図)。

第2‐3‐12図  産学官連携コーディネーターによる支援先一覧(平成20年7月)

第2‐3‐12図  産学官連携コーディネーターによる支援先一覧(平成20年7月)

 農林水産省では、アグリバイオ実用化・産業化研究により、独立行政法人の有する技術シーズを基に産学官連携による実用化・産業化研究を推進するとともに、企業、大学、独立行政法人、行政機関等が一堂に会し、農林水産・食品分野における共同研究・製品開発、事業化や技術移転、市場開拓等のビジネスチャンスにつなげるための交流の場として、アグリビジネス創出フェアを開催している。また、地域の民間企業、大学、地方公設試、地域農業研究センター等で組織されたNPO法人等と連携して、講演会・セミナー・展示会等を通したマッチングの促進や共同研究のコーディネート等、産学官連携を進めるための多様な活動を行っている。
 産業技術総合研究所では、産業技術アーキテクト(研究成果についての知識と、使用者のニーズを共に熟知し、両者を適切につなぐ産業化シナリオを描く職員)の主導の下、技術シーズから新産業への明確なシナリオを企業、大学、産総研で共有した上で技術、資金、人材を結集してプロトタイプ開発を目指す、産総研産業変革研究イニシアティブについて、持続的社会の礎となる再生可能エネルギー産業の創出を目指すプロジェクトを継続するとともに、電力分野における省エネルギーのキー技術となるパワーデバイスの量産を目指すプロジェクトを開始した。また、これまでに連携実績のある企業とのネットワークを構築するため、「連携千社の会」を組織し、企業との連携の強化を図った。また、競争的資金においては、基礎から応用・実用化までの様々な段階、目的に対応した産学官による研究開発事業を実施し、産学官連携による共同研究を支援している。各府省における競争的資金については、科学技術振興機構における産学共同シーズイノベーション化事業、農林水産省における新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業、経済産業省における大学発事業創出実用化研究開発事業、環境省による環境技術開発等推進費等の制度があり、総合的なプロジェクト研究が推進されている。

(産学官連携の持続的な発展)
―産学官の信頼関係の醸成―
 産学官連携の強化を促進するためには、産業界と大学等の公的研究機関の共通認識の醸成を図ることが不可欠である。このため、国においては、企業と大学が対話する場を提供するとともに、大学等の公的研究機関においては、各機関において成果発表会の開催、年報等の定期刊行物の刊行等を行っているほか、各種学会や学術刊行物への研究論文の発表、特許の公開等により、成果の公開、情報提供が行われている。
 さらに、文部科学省と経済産業省は、科学技術振興機構や新エネルギー・産業技術総合開発機構と協力し、大学及び公的研究機関における最先端技術の研究成果について、産業界等へ情報発信する全国規模の産学マッチングイベント「イノベーション・ジャパン2008~大学見本市~」を開催した。

―大学等の自主的な取組の促進―
文部科学省では、大学における戦略的な知的財産の創造・保護・活用を図る体制の強化(国際的な基本特許の権利取得及び大学間連携による知的財産活動体制の構築などを重点的に支援)を図るため、平成20年度から、産学官連携戦略展開事業(戦略展開プログラム:55件/66機関)を開始し、支援に努めている。
 また、産学官連携活動を推進するに当たり、各大学や研究機関において日常的に生じ得る「利益相反」(1)に適切に対応していくことが極めて重要となっている。
 特に、臨床研究・臨床試験についてはより慎重な対応が求められるため、文部科学省では、平成20年12月、「第3回臨床研究の倫理と利益相反に関するワークショップ」を開催し、各大学におけるポリシー策定を促進している。
 さらに、「外国為替及び外国貿易法」等への対応方法、学生等の知的財産権の帰属及び秘密保持の取扱い及び大学におけるマテリアルトランスファーの現状と問題点に関する調査研究について周知を行い、大学等における自主的な取組を促した。

―大学知的財産本部やTLOの活性化と連携強化―
 「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律」(平成10年法律第52号)に基づき、平成21年4月1日現在46のTLOが承認を受けており、平成20年3月までの特許実施許諾件数は2,305件となっている(第2‐3‐13表)。
 また、近年、国立大学法人において法人内部型TLOの設立、外部TLOの内部化、承認TLOへの出資など大学とTLOの連携強化に向けた取組が見られる。


1 利益相反:以下の1.2.の双方を含む概念。1.教職員又は大学が産学官連携活動に伴って得る利益(実施料収入、兼業報酬、未公開株式等)と、教育・研究という大学における責任が衝突・相反している状況。2.教職員が主に兼業活動により企業等に職務遂行責任を負っていて、大学における職務遂行の責任と企業等に対する職務遂行責任が両立し得ない状態

第2‐3‐13表  承認TLO一覧

平成21年4月1日現在:承認TLO46機関

 

 

機関名 法人格 承認年月日 主な提携大学
外部型(8)

 

株式会社東京大学TLO(CASTI) 株式会社 平成10年12月4日 東京大学
財団法人生産技術研究奨励会 財団法人 平成13年8月30日 東京大学生産技術研究所
農工大ティー・エル・オー株式会社 株式会社 平成13年12月10日 東京農工大学
株式会社キャンパスクリエイト 株式会社 平成15年2月19日 電気通信大学
株式会社豊橋キャンパスイノベーション 株式会社 平成17年9月5日 豊橋技術科学大学
神戸大学支援合同会社 合同会社 平成20年4月1日 神戸大学
有限会社山口ティー・エル・オー 有限会社 平成11年12月9日 山口大学
株式会社産学連携機構九州 株式会社 平成12年4月19日 九州大学
広域型(22) 株式会社東北テクノアーチ 株式会社 平成10年12月4日 東北大学ほか東北地域の国立大学等
タマティーエルオー株式会社 株式会社 平成12年12月4日 首都圏の大学
よこはまティーエルオー株式会社 株式会社 平成13年4月25日 横浜国立大学 、横浜市大 ほか 神奈川県内 の大学等
株式会社新潟ティーエルオー 株式会社 平成13年12月25日 新潟大学ほか新潟県内の大学等
株式会社オムニ研究所 株式会社 平成17年2月24日 長岡技術科学大学、長岡高専、兵庫県立大学
有限会社金沢大学ティ・エル・オー 有限会社 平成14年12月26日 金沢大学ほか石川県内・北陸地域の大学等
株式会社信州TLO 株式会社 平成15年4月18日 信州大学、長野高専
財団法人浜松科学技術研究振興会 財団法人 平成14年1月17日 静岡大学ほか静岡県内の大学等
財団法人名古屋産業科学研究所(中部TLO) 財団法人 平成12年4月19日 名古屋大学ほか中部地域の大学等
株式会社三重ティーエルオー 株式会社 平成14年4月16日 三重大学ほか三重県内の大学等
関西ティー・エル・オー株式会社 株式会社 平成10年12月4日 関西地域の大学等(京都大学、立命館大学等)
財団法人大阪産業振興機構 財団法人 平成13年8月30日 大阪大学ほか大阪府内の大学等
財団法人新産業創造研究機構(TLOひょうご) 財団法人 平成12年4月19日 神戸大学ほか兵庫県内の大学等
財団法人岡山県産業振興財団 財団法人 平成16年4月28日 岡山大学ほか岡山県内の大学等
財団法人ひろしま産業振興機構 財団法人 平成15年10月9日 広島大学ほか広島県内の大学等
株式会社テクノネットワーク四国 株式会社 平成13年4月25日 四国地域の大学等
財団法人北九州産業学術推進機構 財団法人 平成14年4月1日 九州工業大学ほか北九州地域の大学等
株式会社長崎TLO 株式会社 平成16年10月15日 長崎大学ほか長崎県内の大学等
財団法人くまもとテクノ産業財団 財団法人 平成13年8月30日 熊本大学ほか熊本県内の大学等
有限会社大分TLO 有限会社 平成15年8月26日 大分大学ほか大分県内の大学等
株式会社みやざきTLO 株式会社 平成15年5月16日 宮崎大学ほか宮崎県内の大学等
株式会社鹿児島TLO 株式会社 平成15年2月19日 鹿児島大学ほか鹿児島県内の大学等
内部型(16) 学校法人(8) 知的資産センター 学校法人 平成11年8月26日 慶應義塾大学の学内組織
東海大学産学官連携センター 学校法人 平成20年3月21日 東海大学の学内組織
産官学交流センター 学校法人 平成12年6月14日 東京電機大学の学内組織
科学技術交流センター 学校法人 平成15年9月30日 東京理科大学の学内組織
産官学連携知財センター(NUBIC) 学校法人 平成10年12月4日 日本大学の学内組織
知的財産・ベンチャー育成(TLO)センター 学校法人 平成15年2月19日 日本医科大学の学内組織
知的資産センター 学校法人 平成13年4月25日 明治大学の学内組織
産学官研究推進センター 学校法人 平成11年4月16日 早稲田大学の学内組織
国立大学法人(8) 群馬大学TLO 国立大学法人 平成19年12月18日 群馬大学の学内組織
千葉大学産学連携・知的財産機構 国立大学法人 平成18年7月7日 千葉大学の学内組織
東京医科歯科大学知的財産本部技術移転センター 国立大学法人 平成20年3月31日 東京医科歯科大学の学内組織
東京工業大学産学連携推進本部 国立大学法人 平成19年4月2日 東京工業大学の学内組織
富山大学知的財産本部 国立大学法人 平成19年6月12日 富山大学の学内組織
山梨大学産官学連携・研究推進機構産学官連携・研究推進部 国立大学法人 平成20年4月1日 山梨大学の学内組織
佐賀大学TLO 国立大学法人 平成17年7月7日 佐賀大学の学内組織
奈良先端科学技術大学院大学産官学連携推進本部TLO部 国立大学法人 平成19年12月18日 奈良先端科学技術大学院大学の学内組織

―知的財産活動の円滑な展開―
 大学や研究機関等の研究開発成果の実用化については、科学技術振興機構において、優れた研究成果の発掘、特許化の支援から、企業化開発に至るまでの一貫した取組を進めている。大学等における研究成果の戦略的な海外特許取得を支援、特許等研究成果の開発あっせん・実施許諾の実施、これらの活動の基盤となる人材を育成するとともに、研究成果の応用・発展性の評価分析等により次の実用化ステップへ円滑につなげる支援(つなぐしくみ)を行うなど、総合的に技術移転活動を支援する技術移転支援センター事業を実施している。また、大学・公的研究機関の研究成果について、技術フェーズや技術移転の形態に応じた各種研究開発プログラム(独創的シーズ展開事業等)を実施しており、新たに革新的な医薬品・医療機器の実用化を目指し、開発を推進するプログラムを開始した。

(4) 研究開発型ベンチャー等の起業活動の振興

 大学発ベンチャーに係る産学官の各般の取組により、これまでに、全国的には、1,700社を超える(1)大学発ベンチャーが設立されている。科学技術振興機構では、大学発ベンチャー創出に係る研究開発支援として、「独創的シーズ展開事業(大学発ベンチャー創出推進)」を実施し、平成21年1月末までに85社の新規企業が設立されるに至っている。
 理化学研究所では、研究者が自らの研究成果を中核として創業したベンチャー企業に対し、共同研究における優遇措置等により、研究成果の迅速な普及と実用化を促進する制度を設置している。
 農林水産省では、バイオテクノロジー等生物系先端技術による新産業創出や起業化を促進するため、独創的な発想や研究シーズを活(い)かしてバイオベンチャー創出を目指す民間企業、大学等の研究者による研究開発を支援している。
 経済産業省では、「広域的新事業支援ネットワーク等形成事業」を実施し、大学発ベンチャーを支援するネットワーク構築において、量的拡大のみならず、質的強化を図るための支援をしている。


1 文部科学省科学技術政策研究所調べ

(5) 民間企業による研究開発の促進

 研究開発や産学官連携の成果から新しい製品等の形で市場価値を創造し、最終的にイノベーションの実現につなげていくのは民間企業であることから、民間企業の研究開発を活性化させることが重要である。国としても、民間の自助努力を基本としつつ、その意欲を高めるため、研究開発活動に資する税制措置の活用や、事業化に至るまでの研究開発のリスクを軽減する技術開発制度の充実を図る。

(税制による民間における研究開発活動の促進)
 民間における研究活動の振興を図るため、表のとおり、様々な税制上の措置が設けられている。このうち、平成21年度税制改正において、産業技術力強化法の一部改正に伴い、試験研究費に係る特別税額控除制度について、特別試験研究費の範囲に、改正後の同法に規定する試験研究独立行政法人と共同して行う試験研究に係る費用及び同法人に委託する試験研究に係る費用が対象に加えられた(第2‐3‐14表)。

第2‐3‐14表  主な科学技術振興関係税制

事項 趣旨 内容 根拠 備考
研究開発税制 民間等による研究開発投資の促進 試験研究費に係る税額控除制度
1.試験研究費の総額に係る特別税額控除制度
(1) 試験研究費の総額の一定割合(8%~10%)を税額控除(ただし、法人税額の20%相当額を限度)(法人税)
(2) 個人事業者の場合も同様(所得税)
2.特別試験研究費の税額控除制度
(1) 大学、公的試験研究機関、試験研究独立行政法人等との共同試験研究及びこれらに対する委託試験研究について、上記1.と合わせてこれらの試験研究に係る試験研究費の額の12%相当額を税額控除(ただし、上記1.の特別税額控除額と合計して、法人税額の20%相当額を限度)(法人税)
(2) 個人事業者の場合も同様(所得税)
租税特別措置法第10条(所得税)、第42条の4、第68条の9
(法人税)地方税法附
則第8条第1項
平成15年度創設
 3.中小企業技術基盤強化税制(1.・2.の制度に代えて適用)
(1) 中小企業者等の試験研究費の額の12%相当額を税額控除(ただし、法人税額の20%相当額を限度)(法人税)
(2) 個人事業者の場合も同様(所得税)
(3) (1)の税額控除額を法人住民税の課税標準から控除(地方税)
昭和60年度創設
4.試験研究費の増加額等に係る特別税額控除制度
(1) 以下の[1]又は[2]を選択適用(1.から3.までとは別に、法人税額の10%相当額を限度)(法人税)
[1]試験研究費の額が当期前3年間の各期の試験研究費の額の平均額を超え、かつ、当期前2年間の各期の試験研究費の額のうち最も多い額を超える場合、その平均額を超える額の5%相当額を税額控除
[2]試験研究費の額が当期及び当期前3年間の各期の売上金額の平均額の10%相当額を超える場合、その超える額の一定割合を税額控除
(2) 個人事業者の場合も同様(所得税)
平成20年度創設
(平成21年度まで)

(補助金等による民間における研究開発活動の促進)
1.イノベーション実用化助成事業
 民間企業の有する有用な技術シーズの実用化に向けた開発への取組を支援するため、基本計画における政策重点分野における実用化開発を行う民間企業等に対し、新エネルギー・産業技術総合開発機構を通じ、他の経営資源の活用を考慮した上で、研究成果を最大限に利用した経営(知的資産経営)が実践されるよう、経営者から当該企業の知的資産経営の内容を確認した上で、技術開発費の補助を行っている。

2.民間基盤技術研究支援制度
 民間において行われる鉱業、工業、電気通信業、放送業に係る基盤技術に関する試験研究を促進することを目的として実施した。通信・放送技術に関するものについては情報通信研究機構を通じ、鉱工業技術に関するものについては新エネルギー・産業技術総合開発機構を通じ、提案公募により採択した案件につき、継続で委託研究事業を行っている。

3.産業技術研究開発事業
 中小企業の先進的な技術シーズの実用化を目的として、公的研究機関との共同研究による技術開発を実施した。具体的には、委託先の産業技術総合研究所の調達が見込める検査・計測機器に係る研究課題を公募し、中小企業と共同研究を実施することにより、機器の事業化・市場化を行った。

4.エコイノベーションの推進・革新的温暖化対策技術発掘・実証プログラム
 環境問題の克服と経済成長を両立させる持続可能な発展を実現するため、エコイノベーション(環境重視・人間重視の技術革新、社会革新)及び革新的温暖化対策の推進をテーマとした、公募によるシーズ発掘のための調査研究を実施している。今後、本調査研究を継続するとともに、低炭素社会実現のための社会システムの実証実験も実施していく。

(知識融合支援(インテレクチャル・カフェ)事業)
 経済産業省では、先進的な知識融合の取組事例集を作成するとともに、イノベーションの創出に必要な「異分野技術の融合」、「知識の融合」活動に関する普及活動を行っている。平成20年11月に経済協力開発機構(OECD)及び日本経済新聞社と共催で「インテレクチャル・カフェ国際シンポジウム」を開催するとともに、地域セミナーを開催している。

(産学官連携による食料産業等活性化のための新技術開発事業)
 農林水産・食品産業分野における新産業・新事業の創出や、食料産業等が直面する諸課題や政策課題の解決に資するため、民間企業等が大学・独立行政法人等の公的研究機関の有する技術シーズを活用して、これらの機関と連携して行う技術開発を推進している。

(民間実用化研究促進事業)
 農林水産業、飲食料品産業、醸造業等の向上に資する画期的な生物系特定産業技術の開発を促進するため、委託事業により民間における実用化段階の研究開発を推進している。

(中小企業技術革新制度(SBIR(1))
 SBIR制度は、中小企業の新技術を利用した事業活動を支援するため、関係省庁が連携して中小企業による研究開発とその成果の事業化を一貫して支援する制度である。中小企業の新たな事業活動につながる新技術の研究開発のための補助金・委託費等が、中小企業者に支出される機会の増大を図るとともに、特許料等の軽減や債務保証に関しての枠の拡大等の措置を講じている。平成20年度は、関係7省(総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)で合計91の特定補助金等を指定し、中小企業への支出目標額を約400億円に定めた。


1 SBIR:Small Business Innovation Research

4 地域イノベーション・システムの構築と活力ある地域づくり

 地域における科学技術の振興は、地域産業の活性化や地域住民の生活の質の向上に貢献するものであり、ひいては我が国全体の科学技術の高度化・多様化やイノベーション・システムの競争力強化に資するものである。
 都道府県においても科学技術振興策を審議する審議会等を設置するとともに、独自の科学技術政策大綱や指針等を策定するなど科学技術振興への積極的な取組が成されている(第2‐3‐15表、第2‐3‐16表)。

第2‐3‐15表  地方公共団体における科学技術審議会等の設置状況

都道府県名 科学技術審議会等名称(設置時期)
北海道 北海道科学技術審議会(昭和27年9月~)
青森県 青森県産業科学技術会議(平成9年12月~平成11年5月)→青森県研究開発協議会(平成11年6月~平成19年3月)
秋田県 あきた総合科学技術会議(平成14年8月~)
岩手県 岩手県科学技術振興推進会議(平成元年4月~平成12年3月)  →  岩手県科学技術振興指針策定検討委員会(平成12年4月~平成13年3月)
宮城県 宮城県科学技術振興指針策定委員会(平成10年7月~ 平成11年3月)
山形県 山形県科学技術会議(平成11年4月~)
福島県 福島県科学技術推進会議(平成9年5月~)
茨城県 茨城県科学技術振興会議(平成15年9月~)
栃木県 栃木県科学技術振興会議(平成11年7月~)
群馬県 群馬県科学技術振興推進本部(平成11年9月~)
埼玉県 埼玉県科学技術会議(平成7年1月~)
千葉県 千葉県科学会議(平成6年11月~)
神奈川県 神奈川県科学技術会議(昭和63年6月~)
新潟県 新潟県科学技術会議(平成10年4月~)
富山県 富山県科学技術会議(昭和58年11月~)
石川県 石川県産業科学技術会議(平成9年12月~平成15年10月)→石川県産業革新戦略会議(平成15年11月~)
福井県 福井県科学技術振興会議(平成10年4月~平成16年3月)→福井県産力戦略本部(平成16年5月~)
山梨県 山梨県科学技術会議(平成3年9月~)
長野県 長野県科学技術産業振興構想検討会(平成11年10月~平成11年12月)
岐阜県 岐阜県科学技術振興会議(平成8年7月~)
愛知県 愛知県科学技術会議(平成12年2月~)
三重県 みえサイエンス・アカデミー代表者会議(平成13年4月~平成17年5月)→科学技術交流会議(平成17年6月~平成19年3月)→科学技術振興懇話会(平成19年4月~平成20年1月)
滋賀県 滋賀県科学技術振興会議(平成15年4月~)
京都府 京都府科学技術審議会(昭和36年9月~)
兵庫県 兵庫県科学技術会議(平成12年4月~)
奈良県 奈良県科学技術振興指針改定委員会(平成19年8月~平成20年3月)→奈良県科学技術振興会議(平成20年度設置予定)
和歌山県 和歌山県科学技術戦略会議(平成16年9月~)
鳥取県 鳥取県科学技術振興会議(平成11年3月~平成14年12月)
島根県 島根科学技術振興会議(平成10年10月~)
広島県  広島県科学技術振興会議(平成4年5月~ 平成6年3月)
山口県 山口県科学技術振興会議(平成3年5月~)
香川県 香川県科学技術会議(平成9年8月~)
愛媛県 愛媛県科学技術振興会議(平成13年7月~)
徳島県 徳島県科学技術振興会議(平成11年3月~平成19年3月)→徳島県科学技術戦略会議(平成21年4月設置予定)
高知県 高知県科学・技術アカデミー(平成16年1月~平成18年3月)
佐賀県 佐賀県科学技術会議(平成8年2月~)
長崎県 長崎県科学技術振興会議(平成10年10月~)
熊本県 熊本県科学技術会議(平成11年9月~)
大分県 大分県科学技術振興指針検討委員会(平成14年6月~平成15年3月)
宮崎県 宮崎県科学技術会議(平成13年8月~)
鹿児島県 鹿児島県科学技術振興推進会議(平成15年4月~)
沖縄県 沖縄県学術振興協議会(平成7年1月~平成19年3月)→沖縄県科学技術会議(平成20年1月~平成21年12月)
川崎市 川崎市イノベーション推進会議(平成15年8月~平成18年3月)
横浜市 横浜市産学連携推進会議(平成11年10月~平成15年3月~)
京都市 京都市産業科学技術振興計画策定委員会(平成17年8月~平成19年6月)→京都市産業科学技術推進委員会(平成19年7月~)
大阪市 大阪市科学技術振興有識者会議(平成20年7月~)
広島市 広島市科学技術顧問会議(平成15年10月~)
北九州市 北九州市科学技術振興会議(平成14年11月~平成16年3月)
福岡市 福岡市科学技術振興ビジョンアドバイザー会議(平成13年9月~14年6月)

第2‐3‐16表 地方公共団体における科学技術振興指針等の策定状況

都道府県名 科学技術振興指針等(策定時期)
北海道 北海道科学技術振興指針(平成12年3月~) → (北海道科学技術振興条例(平成20年4月)) → 北海道科学技術振興戦略(平成20年8月~平成25年3月)
青森県 青森県産業科学技術振興指針(平成10年12月~平成19年3月)
秋田県 秋田県科学技術基本構想(平成12年6月~)
岩手県 岩手県科学技術振興推進指針(平成2年5月~平成12年10月)→新・岩手県科学技術振興指針(平成12年11月~)
宮城県 宮城県科学技術振興指針(平成11年3月~)
山形県 山形県科学技術政策大綱(平成11年度~平成17年度)→やまがた科学技術政策大綱(平成18年度~平成27年度)
福島県 福島県科学技術政策大綱(平成14年3月~)
茨城県 茨城県科学技術政策大綱(平成6年3月~平成17年2月)→茨城県科学技術振興指針(平成17年3月~)
栃木県 栃木県科学技術振興指針(平成10年12月~)
群馬県 群馬県科学技術振興指針(平成11年3月~)
埼玉県 埼玉県第1期科学技術基本計画(平成10年2月~平成19年3月)→埼玉県第2期科学技術基本計画(平成19年4月~平成24年3月)
千葉県 千葉県科学政策大綱(平成8年2月~)
東京都 東京都産業科学技術振興指針(平成16年2月~平成21年3月)→東京都産業科学技術振興指針(改訂版)(平成20年4月~平成25年3月)
神奈川県 神奈川県科学技術政策大綱(平成2年5月~平成8年12月、平成9年1月~平成14年2月、平成14年3月~平成19年1月、平成19年2月~)
新潟県 新潟県科学技術大綱(平成10年3月~)
富山県 富山県科学技術プラン(平成3年10月~平成13年3月)→新富山県科学技術プラン(平成13年度~平成22年度)→新富山県科学技術プラン(改訂版)(平成19年度~平成27年度)
石川県 石川県産業科学技術振興指針(平成11年2月~平成17年2月)→石川県産業革新戦略(平成17年3月~)
福井県 福井県科学技術振興指針(平成10年1月~平成17年2月)→最先端技術のメッカづくり基本指針(平成17年3月~)
山梨県 山梨県科学技術政策大綱(平成4年3月~ ) / 科学技術振興やまなしプラン(平成11年3月~平成20年2月)→やまなし科学技術基本計画(平成20年3月~平成25年3月)
長野県 長野県科学技術産業振興指針(平成12年4月~)
岐阜県 岐阜県科学技術基本戦略(平成9年3月~平成14年2月,平成14年3月~平成19年2月)→ぎふ科学技術振興プラン(平成19年3月~平成24年2月)
静岡県 静岡県科学技術振興ビジョン(平成12年2月~平成22年3月)
愛知県 愛知県科学技術推進大綱(平成11年3月~平成23年3月)/第1期愛知県科学技術基本計画(平成11年3月~平成18年3月→第2期愛知県科学技術基本計画(平成18年4月~平成23年3月)
三重県 三重県科学技術振興ビジョン(平成11年7月~)
滋賀県 滋賀県科学技術政策大綱(平成7年3月~、平成16年10月~)
京都府 京都産業技術振興構想(平成7年2月~)
大阪府 大阪府研究開発大綱(昭和63年3月~平成10年2月)→大阪府産業科学技術振興指針(平成10年3月~平成18年2月)→大阪都市圏における科学技術推進戦略(平成18年3月~)
兵庫県 兵庫県科学技術政策大綱(平成3年3月~平成10年2月)→新・兵庫県科学技術政策大綱(平成10年3月~)
奈良県 奈良県科学技術振興指針(平成15年4月~平成20年3月、平成20年4月~)
和歌山県 和歌山県科学技術振興ビジョン(平成12年3月~)
鳥取県 鳥取県における科学技術振興に関する検討報告(平成10年3月~)
島根県 島根県科学技術振興指針(平成11年3月~)
岡山県 岡山県科学技術振興指針(平成10年3月~)
広島県 広島県における科学技術振興の基本方向(平成5年11月~)
山口県 山口県科学技術振興指針(平成6年3月~)
徳島県 徳島県科学技術振興ビジョン(平成11年3月~平成19年3月)→徳島県科学技術振興計画(平成20年12月~平成25年3月)
香川県 香川県科学技術振興ビジョン(平成8年3月~平成13年3月、平成13年3月~平成18年3月)
愛媛県 愛媛県科学技術振興指針(平成13年3月~平成19年5月改定~)
高知県 高知県科学技術振興指針(平成10年3月~)
福岡県 科学技術立県ふくおか創造指針(平成11年3月~)
佐賀県 佐賀県科学技術振興ビジョン(平成9年3月~)
長崎県 長崎県科学技術振興ビジョン(平成10年6月~)
熊本県 熊本県科学技術振興指針(平成11年5月~平成16年2月、平成16年3月~平成20年)
大分県 大分県科学技術振興指針(平成15年4月~平成25年3月)
宮崎県 宮崎県産業科学技術振興指針(平成13年3月~)
鹿児島県 鹿児島県科学技術振興指針(平成15年3月~)
沖縄県 沖縄県科学技術振興大綱(平成12年2月~平成17年7月)→沖縄県科学技術振興指針(平成17年~平成23年)/沖縄科学技術推進計画(平成20年3月~平成23年)
札幌市 札幌市科学技術振興ビジョン(平成16年6月~)
川崎市 川崎市科学技術振興指針(平成17年3月~)
横浜市 横浜市科学技術振興指針(平成11年8月~)
京都市 京都市スーパーテクノシティ構想(平成14年3月~平成22年)/京都市産業科学技術振興計画(平成18年10月~平成22年)
大阪市 大阪市科学技術振興指針(仮称)(平成21年3月策定予定)
広島市 広島市科学技術政策大綱(平成15年6月~)
北九州市 北九州市科学技術振興指針(平成15年8月~)
福岡市 福岡市科学技術振興ビジョン(平成14年6月~)

 第3期科学技術基本計画では、地域イノベーション・システムの構築と活力ある地域づくりのため、地域のイニシアティブの下で行われているクラスター形成活動への競争的な支援をするとともに、地域における科学技術施策の円滑な展開のため、関係府省間の縦割りを排し、府省間連携の強化を図ることとしている。
 ここでは、国が実施している地域における科学技術振興を支援する諸施策を中心に概観する。

(1)地域クラスターの形成

(知的クラスターの形成に向けた取組)
1.世界レベルのクラスターの形成に向けた取組
 文部科学省では、平成14年度から「知的クラスター創成事業(第1.期)」を実施しており、平成20年度は、全国3地域において事業を実施し、平成20年度をもって全18地域の事業がすべて終了した。
 平成19年度から、これまでの「知的クラスター創成事業(第1.期)」の成果を踏まえ、地域の自立化を促進しつつ、「選択と集中」の視点に立ち、世界レベルのクラスター形成を強力に推進する「知的クラスター創成事業(第2.期)」を開始し、平成20年度には3地域を新たに採択した(第2‐3‐17図)。 

第2‐3‐17図  知的クラスター創成事業(第1期、第2期)実施地域

第2‐3‐17図  知的クラスター創成事業(第1期、第2期)実施地域

2.地域の特色を活(い)かした強みを持つクラスター形成に向けた取組
 文部科学省では、地域の個性発揮を重視し、大学等の「知恵」を活用して新技術シーズを生み出し、新規事業等の創出、研究開発型の地域産業の育成等を目指す「都市エリア産学官連携促進事業」を平成14年度から実施している。「一般型」と「発展型」の2つの類型で事業を実施しており、「一般型」の事業終了地域のうち、特に優れた成果を上げた地域について「発展型」として展開している。平成20年度までに延べ80地域で実施している。

(産業クラスター(1)の形成に向けた取組)
 経済産業省では、「産業クラスター計画」として、各地域経済産業局自らが結節点となって、世界市場を目指す地域の企業や大学等から成る産学官の広域的な人的ネットワークを形成するとともに、地域関連施策を総合的・効果的に投入することにより、世界に通用する新事業が次々と展開される産業集積の形成を目指している。具体的には、全国18のプロジェクトで、約1万700社の世界市場を目指す中堅・中小企業と、大学、公設試験研究機関、産業支援機関、金融関係機関及び商社等の約2,450の産業クラスターサポーターとが広域的な人的ネットワークを形成し、産学官の間で流通する情報の質・量を格段に高め、技術・経営情報・販路等の経営資源を補完するとともに、地域の特性を活(い)かした技術開発の支援を実施している。産業クラスター施策は、これまでにプロジェクトごとに推進組織が立ち上がり、産学官のネットワーク形成を促進している(第2‐3‐18図)。また、推進組織のほか、特定の地域・分野における人的ネットワーク形成によって新事業創出を支援する機関(拠点組織)に対する助成を行うとともに、クラスター活動を総合的にコーディネートするクラスター・マネージャーの配置等を行っている。

第2‐3‐18表 産業クラスター計画(第2.期)18プロジェクト

第2‐3‐18表 産業クラスター計画(第2.期)18プロジェクト


1 産業クラスター:大学等の公的研究機関と周辺企業との間の技術革新に加え、より広域的に大学等と企業の間や企業同士の連携を図ることにより、新たな事業活動が生み出される産業集積をいう。

(2) 地域における科学技術施策の円滑な展開

 文部科学省では、地域の大学等を中心とした産学官共同研究等を推進し、新技術シーズの創出を図ることとしており、経済産業省では、企業を中心とした実用化技術開発等の産学官連携事業等を推進し、新規事業分野の開拓、新規創業、新製品の創出を図ることとしている。
 両省では、協力して地域における産学官連携体制の整備の促進や、新技術シーズの提供、マーケットニーズの研究開発へのフィードバック等を行っている。
 具体的には、各地域において、両省の関係者の情報共有・意見交換の場の設置や両省の事業の合同成果発表会を実施しているほか、平成20年度は、クラスター政策の推進方策を議論するシンポジウムと全国のクラスターの成果の展示を行う「クラスタージャパン2008」を横浜で開催するとともに、地域が目指すクラスター形成のための戦略等について議論する「地域クラスターセミナー」を3地域で開催した。
 また、両省のみならず関係府省間においても、総合科学技術会議の「地域科学技術クラスターPT」や「地域科学技術に係る地域ブロック協議会」等を通じて、密接な連携が図られている。

(様々な地域科学技術振興施策)
 地域における科学技術の振興を図るため、関係府省等で様々な施策等が講じられている(第2‐3‐19表)。以下、その主なものを紹介する。

第2‐3‐19表  地域科学技術の振興に関する主要な施策

府省名、関係機関名 事項 施策の概要
総務省 戦略的情報通信研究開発推進制度(地域ICT振興型研究開発) 地域に根ざした新規産業の創出、地場産業の振興や地域社会の活性化等に貢献する情報通信分野の研究開発を行う中小・中堅企業と大学等との共同研究を推進する。
文部科学省
科学技術・学術政策局 
知的クラスター創成事業(第1期・第2期) 地方自治体の主体性を重視し、知的創造の拠点たる大学、公的研究機関等を核とし、関連研究機関、研究開発型企業等による国際的な競争力のある技術革新のための集積(知的クラスター)の創成を目指す。
都市エリア産学官連携促進事業 地域の主体性の下、大学等の「知恵」を活用して、新技術シーズを生み出し、新規事業等の創出、研究開発型の地域産業の育成等を図るとともに、自律的かつ継続的な産学官連携基盤の構築を目指す。
地域イノベーション創出総合支援事業(科学技術振興機構事業) 全国に展開しているJSTイノベーションプラザやイノベーションサテライトを拠点として、自治体、経済産業局、JSTの基礎研究や技術移転事業等との連携を図りつつ、シーズの発掘から実用化に向けた研究開発を切れ目なく行うことにより、地域におけるイノベーション創出を総合的に支援する。「重点地域研究開発推進プログラム」及び「地域結集型研究開発プログラム」から構成され、これらの有機的連携による地域イノベーションの創出を目指す。
農林水産省
農林水産技術会議
事務局 
新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業 農林水産業・食品産業の発展や地域の活性化などの農林水産政策の推進及び現場における課題の解決を図るため、実用化に向けた技術開発を提案公募方式により推進する。
経済産業省 地域イノベーション創出研究開発事業
地域イノベーション創出共同体形成事業
地域の新産業創出のため、最先端の技術シーズを用いた産学官の共同研究体による「農商工連携」分野等の実用化研究開発を実施する。
地域の中堅・中小企業の技術的課題の解決や試験機器不足等の問題に関し、地域のイノベーションを担う研究機関等が協働してワンストップで支援を行う体制を整備する。
環境省
総合環境政策局 
公害防止等試験研究費(地域密着型環境研究) 地域におけるニーズが高く、地域環境の特性に応じた検討が必要な研究課題について、国立試験研究機関及び独立行政法人試験研究機関と公設試験研究機関の共同研究を実施する。
環境技術開発等推進費(戦略一般研究のうち地域枠) 地域における研究開発を重点的に推進することにより、先進的な環境技術の具体的な開発・普及や地域環境ビジネスの振興を図るため、地域の独自性・特性を活(い)かした研究開発課題を実施する。
地域の産学官連携による環境技術開発基盤整備モデル事業 地域における産学官連携による環境技術開発の基盤整備を図るため、モデル地域において1.地域における環境技術開発人材ネットワークの形成、2.地域の資源を活(い)かした産学官連携による地域環境問題の解決と地場産業を活(い)かした環境技術開発、3.成果の全国への普及、を実施する。

1.総務省
 戦略的情報通信研究開発推進制度のうち地域ICT振興型研究開発において、地域に根ざした新規産業の創出、地場産業の振興や地域社会の活性化等に貢献する情報通信分野の研究開発を行う中小・中堅企業と大学等との共同研究を推進している。

2.文部科学省
 科学技術振興機構の「地域イノベーション創出総合支援事業」において、全国に展開しているJSTイノベーションプラザやイノベーションサテライト(各全国8か所)を拠点として、科学技術コーディネータ等によるきめ細かいサポートの下、シーズの発掘から実用化に向けた研究開発を切れ目なく行うことにより、地域におけるイノベーション創出を総合的に支援している。

3.農林水産省
 新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業において、地域における自由な発想を活(い)かして、地域の活性化や生産現場等の技術的課題の解決につながる研究タイプを設定し、都道府県の試験研究機関や地域の大学を中心とした産学官連携による研究開発を推進している。また、農林水産業・食品産業の発展、地域経済の活性化に寄与することを目的に、各地域でNPO法人等が組織されており、これらの組織と連携・協力して、地域における農林水産・食品分野の先端技術の振興を図っている。

4.経済産業省
 地域において新産業の創出に貢献し得るような最先端の技術シーズを基に、産学官を組み合わせた共同研究体が行う「農商工連携」分野等の実用化研究開発を実施している。また、地域の中堅・中小企業の技術的課題の解決や試験機器不足等の問題に関し、地域のイノベーションを担う研究機関等が協働してワンストップで支援を行う体制を整備している。
 産業技術総合研究所においては、地域中小企業のニーズ等を把握している公設試験研究機関の研究者を招へい(平成20年度18名)するとともに、必要に応じて中小企業技術者と連携し、共同研究事業の中で地域中小企業が抱える技術課題の解決を図っている。

5.国土交通省
 安全・安心な社会の実現、環境問題への対応、国際競争力の強化等に資する各種研究開発について産学官の連携促進と研究成果の一層の活用を図るため、地方における産学官の関係者と国土交通省及び関連の研究機関が一堂に会し、国土交通省の先進的な研究成果、知的財産等を紹介するとともに、直接対話を行う場として、第6回国土交通先端技術フォーラムを平成20年6月に札幌市で開催した。

6.環境省
 地域においてニーズが高く、地域環境の特性に応じた検討が必要な研究課題について、国立試験研究機関及び独立行政法人試験研究機関と公設試験研究機関との共同研究を行う地域密着型環境研究を実施している。また、地域における研究開発を重点的に推進することにより、先進的な環境技術の具体的な開発・普及や地域環境ビジネスの振興を図るため、環境技術開発等推進費の戦略一般研究において、地域の独自性・特性を活(い)かした研究開発課題枠(地域枠)を設定している。さらに、モデル地域において地域の産学官連携による環境技術開発基盤整備モデル事業を実施した。

(公設試験研究機関の研究開発・技術支援機関としての活動と機能の強化)
 各府省において公設試験研究機関を対象とした施策が行われている。概要は第2‐3‐20表のとおりである。

第2‐3‐20表 公設試験研究機関の研究開発・技術支援機関としての活動と機能の強化

府省名 施策の概要
総務省 都道府県の工業技術センター、衛生研究所、農業試験場、畜産試験場、水産試験場等の公的試験研究機関における研究開発等の活動経費に対し、地方交付税措置を講じている。
農林水産省 次の事業を実施し、県等の試験研究に対する支援を行った。
都道府県の試験研究機関が国の試験研究の一環として実施する委託事業
・品種改良試験
・重要課題対応試験
環境省 ・地方公共団体(都道府県、市)の環境研究所との共同研究の推進により地域の環境の保全、改善に貢献している。
・環境調査研修所において国及び地方公共団体職員等に対し、環境分析の技術の習得を目標に研修を実施している。

(地域間の連携や各種交流)
 国と地方公共団体、地域間の連携や各種交流を図るため、次の施策等を講じている。

1.財団法人全日本地域研究交流協会における研究交流事業等
 財団法人全日本地域研究交流協会は、地方公共団体の出えん金拠出により、研究交流をはじめ、地域の科学技術振興を支援することを目的として、平成4年6月に設立されている。先端的研究や基礎的研究に地域が取り組む際の各種研究支援事業や全国規模の研究交流事業が展開されている。

2.産業技術連携推進会議
 産業技術の向上を図ることを目的として昭和29年に設置された。現在は公設試験研究機関、自治体、経済産業省及び産業技術総合研究所の協力体制の下、6技術部会、8地域部会、8地域産業技術連携推進会議から構成されており、試験研究の効果的推進に加え、地域イノベーション創出共同体形成事業の受け皿になるなど、企業等への技術開発支援等を通じ我が国産業の発展及びイノベーションの創出に貢献する事業を実施している。

(研究開発拠点の整備)
 国土形成計画(1)において、「筑波研究学園都市及び関西文化学術研究都市の集積を始めとして、大学、試験研究機関等は重要な知的・人的資源であり、我が国全体の発展に貢献するよう活用する」とされている。

1.筑波研究学園都市
 本都市は、筑波研究学園都市建設法(昭和45年法律73号)に基づき、我が国における高水準の試験研究・教育の拠点形成と東京の過密緩和への寄与を目的として建設されており、国等の試験研究・教育機関等31機関のほか、多くの民間研究機関が立地しており、研究交流の推進や国際的研究交流機能の整備等の諸施策を推進している。

2.関西文化学術研究都市
 本都市については、関西文化学術研究都市建設促進法(昭和62年法律72号)に基づき、我が国及び世界の文化・学術・研究の発展並びに国民経済の発展に資するため、その拠点となる都市の建設を推進している。平成20年末現在の立地施設数は110を超え、多様な研究活動等が展開されている。


1 「国土形成計画(全国計画)」(平成20年7月4日閣議決定)

5 研究開発の効果的・効率的推進

(1) 研究費の有効活用

(研究費配分における無駄の徹底排除)
 文部科学省では、公的研究費の不正な使用を防止するためには、研究機関における研究費の管理・監査の体制の一層の整備が必要であるとの認識の下、「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」(平成19年2月15日文部科学大臣決定)に基づく体制整備等の実施状況報告書の提出を求め、平成20年11月には約1,600機関より提出があり、分析を行っている。また、ガイドラインに基づく体制整備等の現状、実態を把握することを目的とした現地調査の実施、ガイドラインの趣旨の理解を促進するための研究会の開催、外部有識者で構成された「研究機関における公的研究費の管理・監査に関する検討会」の開催などにより、公的研究費の不正な使用の防止に努めることとしている。
 また、各配分機関では、研究費配分の不合理な重複や研究費の過度の集中を排除するため、府省共通研究開発管理システム[e‐Rad(URL:http://www.e-rad.go.jp/)]を積極的に活用した。
 さらに、内閣府では、関係府省の協力を得て、科学技術基本計画の策定、資源配分の調査・審議等に必要なマクロ分析に活用する「政府研究開発データベース」について、e‐Radを利用して所要データの蓄積などを行った。

府省共通研究開発管理システム (e‐Rad)トップページ

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(2) 研究費における人材の育成・活用の重視

 研究開発に携わる中で人材が育成されることの重要性や、研究開発の重点化に伴い人材の重点化も進むべきことにかんがみれば、競争的資金等の研究費において、人材の育成や活用を行うことが一層重視されるべきである。
 若手研究者を支援する取組として、文部科学省所管の科学研究費補助金では、若手研究者向け研究費の拡充に努めている。また、継続施策として、総務省所管の戦略的情報通信研究開発推進制度、厚生労働省所管の厚生労働科学研究費補助金、農林水産省所管のイノベーション創出基礎的研究推進事業、経済産業省所管の産業技術研究助成事業、環境省所管の環境技術開発等推進事業等においても、若手研究者を支援する取組が行われている。

(3) 評価システムの改革

 研究開発評価は、国際的に高い水準の研究開発、社会・経済に貢献できる研究開発、新しい学問領域を拓(ひら)く研究開発等の優れた研究開発を効果的・効率的に推進するために、一層の発展を図ることが必要である。
 国費を用いて実施される研究開発の評価については、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(内閣総理大臣決定)に基づき、各府省等が具体的な評価方法等を定めた指針を策定し、評価を進めている。近年の研究開発への期待の高まり等に的確に対応していくため、優れた研究開発成果の創出とその迅速な社会・国民への還元を図る観点から、評価結果を次の研究開発に切れ目なくつなげる、国際的な水準に照らして実施するなどを内容とした大綱的指針の改定を、平成20年10月31日に行った。これを受けて、各府省においても必要に応じて指針の見直しが行われ、科学技術関係経費の6割以上を占める文部科学省では、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」(文部科学大臣決定)について、1.新たな研究を見出し、発展させ、人材育成面においても成果を生み出す研究開発活動を促す評価の実施、2.創造へ挑戦する研究者を励まし、優れた研究開発を見出し、伸ばし、育てる評価の実施、3.評価結果を次の研究開発につなげ、成果を国民・社会へ還元する的確で実効ある評価の実施、4.過重な評価作業負担を回避する機能的で効率的な評価の実施、5.世界的な視点からの評価の実施、6.評価資源の確保や評価支援体制の強化、の6つの観点を重視し、平成21年2月17日に改定を行った。
 他方、独立行政法人や国立大学法人においては、「独立行政法人通則法」(平成11年法律第103号)や「国立大学法人法」(平成15年法律第112号)に基づき、業務の実績に関する評価が実施されている。また、各府省においては、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(平成13年法律第86号)に基づき、政策評価が実施されている。
 一方、日本学術会議では、研究評価の在り方に関する検討が行われ、平成20年2月26日、対外報告「我が国における研究評価の現状とその在り方について」において、研究課題評価の在り方と第三者評価の必要性について提言を行った。

6  円滑な科学技術活動と成果還元に向けた制度・運用上の隘路(あいろ)の解消

 科学技術の振興に当たっては、人材の活発な交流、研究活動の円滑な実施、研究成果の社会への還元等を支える制度的な環境を整備することが、科学技術に対する人的・物的投資の効果を高める重要なかぎである。このため、総合科学技術会議では、科学技術の振興や成果還元上障害となる制度的な阻害要因として研究現場等で顕在化している諸問題を解決するため、以下の7項目における全66の改革事項について取りまとめている。平成20年度は、それぞれの項目についてフォローアップし、平成20年5月19日の総合科学技術会議にて結果を報告した。

  1. 優秀な外国人研究者を日本に惹(ひ)き付ける制度の実現
  2. 研究者の流動性を高めるための環境整備
  3. 研究費の公正で効率的な使用の実現
  4. 研究支援の強化
  5. 女性研究者の活躍を拡大するための環境整備
  6. 治験を含む臨床研究の総合的推進
  7. 国民の科学技術に対する理解の増進

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科学技術・学術政策局調査調整課

(科学技術・学術政策局調査調整課)

-- 登録:平成22年03月 --