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第1部 第3章 第2節 国際競争力強化に資する資源投入分野等

1 新たな分野に関する研究開発の振興

 科学技術への資源投入を考えるに当たり、今日、人類が直面している各種の地球規模の課題等への対応は今後とも重要である。環境問題、我が国が世界に先駆けて直面している人口減少と少子高齢化等の課題について投資を行うことにより、我が国がこれら課題の解決に向けた国際協調・協力をリードして国際的な貢献を果たすことは、人類社会にとっても我が国の競争力を維持向上していく上でも不可欠である。これとともに、今後新たな国際競争の局面として重要となる次のような分野への投資を充実して、持続的な経済の成長に向けて国際競争力を強化していくことも必要である。

(1)サービス・サイエンスの振興

 第1部第2章第2節において記述したように、サービス産業の重要性が高まる一方で、生産性が低いという状況は、国としての競争力にかかわる問題であり、対策を講ずべき喫緊の課題となっている。
 このため、文部科学省においては、経済学などの社会科学、工学などの自然科学等の融合等による新たな知識の体系化を通じた教育プログラムを構築し、それを基に教育を実施することにより、ビジネス知識、IT知識、人間系知識等を兼ね備えた、サービスに関して高いレベルの知識と専門性をもった人材の育成を図るとともに、モデルとなる優れた教育プログラムを広く大学等に普及することによって、我が国の大学等においてサービスに関する教育研究を推進し、ひいては産業の各分野の革新、更には国際競争力の強化につなげることを目指す「サービス・イノベーション人材育成推進プログラム」を推進しているところである(第1−3−1表)
 今後、政府として、サービス・サイエンスの振興に向けたこのような取組を強化していく必要がある。

第1−3−1表 サービス・イノベーション人材育成推進プログラムにおけるプロジェクトの概要

大学名 プロジェクト名称 プロジェクト概要
東北大学 サービス・イノベーション・マネージャーの育成−サービス・セクターの生産性管理のための人材育成− 本プロジェクトは、サービス・セクター、従事者の生産性を正しく評価し、サービス・セクターにおいて新たな生産性を創造し、クオリティを管理できる人材(サービス・イノベーション・マネージャー)を育成する。このため、本プロジェクトは数理・工学系と経済・経営学の融合した「新たな知」の教育と、サービス・セクターにおける生産性の計測及び評価、事業場における生産性改善のための「実践的プロジェクト」を行う。
筑波大学 顧客志向ビジネス・イノベーションのためのサービス科学に基づく高度専門職業人育成プログラムの開発 筑波大学大学院経営・政策科学専攻(博士前期課程)において、経営学の知識と数理・統計・情報科学の手法の融合により、顧客志向ビジネス・イノベーションのための「サービス科学」の学際的教育体系を確立する。また、サービス・イノベーション教育用統合データベースを構築し、それを授業で活用して、同専攻MBAコースにおける高度専門職業人の育成に資するとともに、他大学や企業での展開が可能な教育モデル・教材を開発する。
東京工業大学 社会的サービス価値のデザイン・イノベーター育成プログラム
  • 科学技術の成果を社会技術として迅速に還元するために、真に社会に有用なサービス価値を設計・創出・評価・革新できる社会的サービス価値デザイン・イノベーターの育成を目指し、
  • 知の海図を描けるに足る高度な文理融合型能力を、社会システム科学の視点から涵養するリベラルアーツプログラムを構築し、
  • 21世紀の理工学系大学院生、実務経験を持つ社会人大学院生に対する、必須のリテラシー教育として定着させる。
京都大学 「サービス価値創造マネジメント」教育プログラムの開発 京都大学経営管理教育部において、「サービス価値創造マネジメント」教育プログラムを新設するため、サービス現場分析に基づくイノベーション創出のための人類学的方法論と、IT活用を含めたサービス価値向上のための統合フレームワークとを二つの柱としたカリキュラム開発・教育を行う。このような文理融合教育により、高度サービス社会を牽引する「サービス・クリエイティブクラス(創造的知識労働者)」人材の育成を図る。
西武文理大学 高付加価値を生む、シミュレーション・マインドを持ったミドル・マネージャー育成プログラムの構築−サービス・マネジメント100(3段階ケース・メソッド)の開発と運用− ケース・メソッド教授法を活用し、ケース教材をパッケージ化した新たな教育プログラムを構築する。サービス現場のミドル・マネージャーに焦点を当て、重要な訓練主題を繰り返し学習することで事業の分析力・判断力・構想力─シミュレーション・マインド─を醸成する。サービス現場を「虫の目」的に、経営全体を「鳥の目」的に捉(とら)える能力を養成し、高いモチベーションを持った人材によるボトムアップ型のイノベーション創出を図る。
明治大学 サービス・イノベーションの真髄を把握し、活用する人材育成プロジェクト サービスは、その特徴などを一般的に検討することもできるが、消費者が接触する産業レベルでは、無形性の特質のため、実態は非常に個別的、多様なものである。そのため当プログラムは、人材育成の実効性を担保するため、一般的レベルと個別的レベルの2段階となっている。また、個別産業でのサービス開発や生産での暗黙知的知識を捕捉するために、収集・整理しながらプログラムを修正・発展する自己発展的なものである。

(2)サイエンス型産業に関する科学技術の振興

 第2期科学技術基本計画以降、我が国は、サイエンス型産業の振興等に資するライフサイエンス、情報通信を含む4分野を特に重点的に開発を推進すべき分野とし、優先的な資源配分を行ってきたところである。
 これらの施策の結果、例えば、ライフサイエンス分野を例に挙げると、後述のiPS細胞の作製などの国民の健康等に大きく貢献するような成果が上げられているところである。
 また、第1部第2章第2節で前述したように、諸外国において、大学等がその研究開発に大きな役割を果たしたことにかんがみ、大学等における研究開発を引き続き強力に進めるとともに、我が国としてもこれらの分野における産学連携等を引き続き進めていく必要がある。

(3)新興領域・融合領域への対応

 20世紀における偉大な発明・発見に際して、異分野の知の出合いによる触発や切磋琢磨(せっさたくま)する中での知の融合が果たした役割は大きい。
 このため、文部科学省においては、最先端技術の研究開発の推進のため、光・量子科学技術の推進、情報科学技術とナノテクノロジーの融合分野の推進、分子イメージング研究の推進などの施策を講じてきている。
 具体的には、

  • 1数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索
     数学は諸科学の基礎となる学問であり、他分野との連携研究により多くの領域での研究開発においてブレークスルーをもたらすものであるため、数学と他分野との連携・融合を推進するために、平成19年度より、科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業に対して数学領域の戦略目標を設定し、数学と他分野との連携・融合研究を推進
  • 2光・量子ビームを中心とした新興・融合分野研究の開発
     平成27年には100兆円を超えると予測される市場規模の光産業への参入を視野に入れて、欧米が施策的に強力に推進しつつある光・量子ビーム科学技術を推進。ネットワーク研究拠点を構築することにより、光・量子科学技術のシーズと各重点分野・産業界のニーズとを融合した、最先端の光源・ビーム源・ビーム制御法・計測法等の研究開発や若手人材育成等を推進

などであり、その他、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業を利用して、光や情報と生命科学との融合などの新興・融合分野の研究を実施中である。
 さらに、文部科学省においては、科学技術振興調整費を用いて、長期的な観点から、イノベーションの創出のために特に重要と考えられる先端的な融合領域において、産学官の協働により、次世代を担う研究者・技術者の育成を図りつつ、将来的な実用化を見据えた基礎的段階からの研究開発を行う拠点を形成するための「先端融合領域イノベーション創出拠点」の形成への取組も行っているところである。
 今後、このような取組を含め、大競争時代の中、新たな知の創造のために、競争的資金等により、既存の分野区分を超え課題解決に必要な研究者の知恵が自在に結集される研究開発を促進するなど、異分野の知的な触発や融合を促す環境を整備していく。

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