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第1部 第2章 第2節 5 研究開発の成果の社会還元に関する課題

 研究開発を効果的にイノベーションにつなげていくためには、その研究開発の成果を埋没させないように、企業等において着実に実用化を図っていくためのいわゆる「出口戦略」が重要である。このような観点から、現在、その代表的な「出口戦略」の事例として示されている、いわゆる「技術経営力」を巡る課題について概説する。

(1)技術経営に関する課題について

 第1節で述べたように、我が国全体の研究開発投資に対する資源投入や研究成果は、中国等の急激な追い上げはあるものの、諸外国との比較の限りでは依然として相当の規模を保持している。しかしながら、IMDの国際競争力ランキングにおいても、我が国の「科学的インフラ」については2位であるものの、「経営」については27位と低迷している状況にある(第1−2−45図)
 このため、研究開発に対する資源投入とイノベーションの創出が効果的に結びついていないとの懸念がある。

第1−2−45図 IMDランキング

ビジネスの効率性

  • 注)各国の記載の順位は、2007年の順位を示す。
  • 資料:IMD「IMD WORLD COMPETITIVENESS YEARBOOK」

 また、従来、我が国の製造業は、主に生産現場の生産性の向上や複雑な工程や部品のいわゆる「すりあわせ」技術(注)の卓越によって、大きな成功を収めてきたと指摘される。しかしながら、近年、このような我が国の強みが活かしにくい方向へ、研究開発の在り方が変化している。
 まず、第1章で述べたような商品のライフサイクルの短縮及びその結果としてのコスト増大等を招く技術の「コモディティ化」の進展が挙げられる。
 また、前述したようなソフトウェア、バイオなどの製造工程が少なく、「すりあわせ」をあまり必要としないことが多いサイエンス型産業の増加や経済のサービス産業化が挙げられる。
 さらに、多くの構成部品を自社内で調達するいわゆる「垂直統合型」の製造方式から、多くの部品を世界中の企業から調達して組み立てるパソコンや携帯電話の製造工程に代表されるようないわゆる「モジュール化」と言われる製造方式が、一部の家電、情報機器を中心に世界的に進展している。このような中、半導体業界に典型的に見られるような、研究開発のみを行い、製造等の作業を外注する「ファブレス」や、製造のみを行う「ファウンダリ」といったような、新たな企業形態が出現しつつある。
 加えて近年、自動車等において新興国等の市場をターゲットとして従来の価格を大きく下回る価格での販売が開始されるなど、我が国の製造業にとって脅威となり得る現象が生じている。
 このような研究開発の実施方式等が激変している状況下において、製品の国際競争に勝ち抜くためには、すぐれた研究開発を行うだけでは必ずしも十分ではなく、「技術をどのように使うか」、「どのような研究開発を行うべきか」という視点が重要となってくる。また、研究開発のすべてを一つの主体で行うのではなく、大学等の公的機関や技術型ベンチャーなどに代表される外部の研究資源をうまく使いこなすことが研究開発能力強化の鍵となっている。
 このため、このような変化に対応していくためには、今まで以上に、外部の研究資源の活用を含め、産業界等が自らの能力と置かれた状況を把握した上で、的確に研究開発活動を展開し、革新的な技術を創出して、その成果を経営において戦略的に活用していく能力である「技術経営力」の強化が必要とされている。

  • (注)コラム6参照

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