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第1部 第2章 第2節 4 人材基盤の脆弱(ぜいじゃく)化等

(1)次世代を担う科学技術関係人材に係る課題

 2007年(平成19年)12月に公表されたOECD生徒の学習到達度調査(PISA2006年調査)の結果に見られるように、高校生の理科・数学に関する理解・興味関心の低下など次世代の科学技術を担う人材に係る様々な問題が指摘されている(第1−2−39表)
 このような状況は、将来の科学技術の基盤を支え、イノベーションの創出に大きな役割を果たす研究人材の基盤を大きく損ないかねない問題となっている。

第1−2−39表 PISA2006年調査生徒質問紙の結果

科学に関する全般的な興味・関心指標

次のことについて興味や関心が「高い」または「中ぐらい」と回答した生徒の割合 日本 OECD平均
ヒトに関する生物学 65パーセント 68パーセント
天文学に関する話題 55パーセント 53パーセント
化学に関する話題 48パーセント 50パーセント
物理に関する話題 40パーセント 49パーセント
植物に関する生物学 58パーセント 47パーセント
科学者が実験を計画する方法 34パーセント 46パーセント
地質学に関する話題 33パーセント 41パーセント
科学的な説明を求められること 25パーセント 36パーセント

科学の楽しさ指標

次のことについて「そうだと思う」または「全くそうだと思う」と回答した生徒の割合 日本 OECD平均
科学についての知識を得ることは楽しい 58パーセント 67パーセント
科学の話題について学んでいるときはたいてい楽しい 51パーセント 63パーセント
科学について学ぶことに興味がある 50パーセント 63パーセント
科学についての本を読むことが好きだ 36パーセント 50パーセント
科学についての問題を解いている時は楽しい 29パーセント 43パーセント

  • 資料:国立教育政策研究所編「生きるための知識と技能3−OECD生徒の学習到達度調査(PISA)2006年調査国際結果報告書」2007年12月 ぎょうせい

(2)大学・大学院教育に係る課題

 世界的な研究人材の獲得競争が行われている中、我が国としても産業界の研究人材の教育・育成を行う大学・大学院の国際競争力の強化が極めて重要である。
 さらに、我が国の大学・大学院を見ると、外国人教員・留学生比率が欧米諸国と比べて著しく低く、我が国の大学卒業者・大学院修了者の海外の研究機関や企業への就職も限定的であるなど、研究人材の国際的循環から取り残されているとの指摘がある。我が国がグローバルな競争に勝ち抜くためには、国際的に活躍する研究人材を我が国から輩出するとともに、優秀な外国人研究者・留学生を惹き付けられる魅力ある研究環境を構築していくことが不可欠である。
 第1章で述べたような技術の「コモディティ化」、2.で述べたような科学的知見が大きな役割を果たす「サイエンス型産業」の増加という現象を踏まえれば、産業側としても自前ですべての研究開発を行うのではなく、大学等公的研究機関の知見を活用していくことが必要となっていると想定される。このため、更に大学と産業界との連携を強化する中で、大学においてより社会のニーズも踏まえた実践的な教育をする必要がある。

(3)ものづくり人材基盤に係る課題

 現在、団塊の世代が、2007年(平成19年)前後に60歳を、2012年(平成24年)前後に65歳を順次迎え、退職していくことで、高度なものづくり技能の喪失が懸念される、いわゆる「2007年問題」への対応が社会の注目を集めている。
 我が国の強みである「ものづくり」の水準を今後も維持していくため、ものづくり人材の技能を次の世代へ継承することが大きな課題となっている。

第1−2−40図 年齢階級別就業者人口(製造業)

  • 資料:総務省「労働力調査」(2007年)

(4)若手・女性・外国人研究者、研究支援者の動向

 我が国では少子高齢化・人口減少が急速に進んでおり、科学技術関係人材の確保のためには、若手研究者、女性研究者、外国人研究者の能力を積極的に活かしていくことが求められている。また、研究開発の効率的推進のためには、研究支援者の充実が不可欠である。以下、これらを巡る状況について国際比較を行う。

1中国で急増する科学工学系博士号取得者数

 多数の科学技術人材を生み出す質の高い大学院教育システムは、米国におけるイノベーションの創出と国際競争力の強化に多大な役割を果たしていると言われている。主要国の科学工学系博士号取得者数の比較でも、米国が2万7,974人(2005年)で最も多くなっている。また、近年中国の増加が目覚ましく、1万4,858人(2004年)は米国に次ぐ数で、我が国の7,912人(2005年)の倍近くとなっている(第1−2−41図)

第1−2−41図 主要国等の科学工学系博士号取得者数の推移

  • 資料:NSF「Science and Engineering Indicators 2008」Appendix table 2-42、2-43を基に文部科学省作成

2外国人研究者の受入状況

 主要国の科学工学系博士号取得者に占める外国人学生の割合では、米国41.2パーセント(2005年)、英国42.0パーセント(2006年)に対し、我が国は10.3パーセント(2005年)と低い水準にとどまっている(第1−2−42図)

第1−2−42図 主要国の科学工学系博士号取得者に占める外国人学生の割合

  • 注)軸項目中の「N」は科学工学系の博士号取得者の総数を示す。
  • 資料:NSF「Science and Engineering Indicators 2008」Appendix table 2-49を基に文部科学省作成

 また、我が国の研究者総数に占める外国人研究者の割合は、2005年(平成17年)末現在で1.3パーセント(注1)と少なくなっているのに対し、米国における博士号を有する科学者・技術者数に占める外国人の割合は11.3パーセント(注2)、大学教員(本務者)の外国人割合については、我が国が2006年度(平成18年度)に3.5パーセント(注3)であったのに対し、米国では外国生まれの大学教員(常勤、博士号取得者)が2003年には22.3パーセント(注4)となっているなど、日米の外国人研究者の受入れ・活用状況に大きな差異が見られる。

  • (注1)科学技術政策研究所「科学技術指標−第5版に基づく2007年改訂版−」
  • (注2)科学技術政策研究所/株式会社三菱総合研究所「基本計画の達成効果の評価のための調査「主要な科学技術関係人材育成関連プログラムの達成効果及び問題点」(2005年3月)
  • (注3)文部科学省「平成18年度学校基本調査」
  • (注4)NSF「National Science Indicators 2006」Appendix table 5-30

3女性研究者の活用状況

 人文・社会科学を含めた女性研究者は年々増加し、平成19年には、10.9万人となり、研究者全体の12.4パーセントを占めている。しかしながら、総務省「労働力調査」によれば、平成19年の年平均の全就業者数(6,412万人)に占める女性就業者の割合は41.5パーセント(2,659万人)であり、これと比較すると、依然として研究開発分野での女性の進出が遅れていると言える。組織ごとに女性研究者の割合を見ると、企業等6.8パーセント、非営利団体11.8パーセント、公的機関13.2パーセント、大学等22.1パーセントとなっており、大学等に女性研究者が多い。
 2005年(平成17年)の女性研究者の割合を比較すると、我が国の女性研究者の全研究者数に占める割合は、国際的に著しく低いレベルにある(第1−2−43図)

第1−2−43図 女性研究者数の全体に占める割合(国際比較)

  • 資料:
    1. 文部科学省科学技術政策研究所資料(NISTEP REPORT number86)より作成(日本及び米国は除く)
      アイスランドは平成14年(2002年)、ドイツ・フランス・アイルランド・イタリア・ポーランド・スイス・英国は平成12年(2000年)、ギリシア・ポルトガルは平成11年(1999年)、オーストリアは平成10年(1998年)、その他の国は平成13年(2001年)時点
    2. 日本の数値は、総務省「平成19年科学技術研究調査報告」に基づく(平成19年(2007年)3月時点)。
    3. 米国の数値は、国立科学財団(NSF)の「Science and Engineering Indicators 2004」に基づく科学者(scientist)における女性割合(人文科学の一部及び社会科学を含む)。平成11年(1999年)時点の数値

4減少する研究支援者数

 研究支援者は、研究開発の担い手として重要な存在であるにもかかわらず、ともすれば研究開発の周辺的存在と考えられがちである。しかし、複雑化、大規模化した現代の研究開発においては、研究開発の担い手として、研究者と研究支援者が共に重要であると考えるべきである。
 研究支援者の定義は、研究者の定義と同様、国によって異なるが、我が国では「研究補助者」、「技能者」、「研究事務その他の関係者」の合計である。ここでは、研究者数に対する研究支援者数の比率、すなわち、研究者一人当たりの研究支援者数を用いて比較する。我が国の研究者一人当たりの研究支援者数は年々減少傾向にあり、2007年(平成19年)では0.27人と欧州諸国に比べて少ない状況にある(第1−2−44図)

第1−2−44図 主要国の研究者一人当たりの研究支援者数の推移

  • 注)
    1. 国際比較を行うため、韓国を除き各国とも人文・社会科学を含めている。
    2. 研究支援者とは、研究者を補助する者、研究に付随する技術的サービスを行う者及び研究事務に従事する者で、日本では研究補助者、技能者及び研究事務その他の関係者である。
  • 資料:
    • 日本:総務省統計局「科学技術研究調査報告」に基づき文部科学省作成
    • その他:OECD「Main Science and Technology Indicators」

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