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第1部 第2章 第2節 2 分野別の科学技術力の動向等

(1)我が国の科学技術力、産業競争力の推移

 科学技術力や産業競争力は、資源投入量や論文数、特許数等の数値のみで評価することは困難な面があるため、文部科学省科学技術政策研究所が実施した有識者等による評価の結果に基づき、我が国の科学、技術及び産業における分野別の競争力の相対的な水準を諸外国と比較した。
 ここでは、当該分野の第一線級研究者が我が国の科学、技術及び産業の水準をそれぞれ米国、欧州及びアジア(欧州、アジアについては最も進んでいる国)と比較し、「低い」から「高い」までの6段階評価したものを指数化している。
 全体的に、科学水準では、我が国の優位性は今のところ相応の競争力を有すると考えられているが、5年後を見据えた場合に、技術水準や社会還元(産業への応用)のレベルでは競争力の低下が懸念されている。欧米諸国だけでなくアジア諸国に対する競争力の低下が懸念されている科学技術分野も見られる。

1科学の水準

 現在の科学水準は、ものづくり、ナノテクノロジー・材料、社会基盤の分野では、欧米に比べて高いとされている。これが5年後になると、環境やフロンティアの分野で科学水準の相対的向上が期待されるものの、これ以外の分野では、科学水準の相対的低下が懸念されている。
 アジア地域との比較でも優位性の低下が懸念されており、特に情報通信分野でアジア地域、特に中国、韓国、台湾の技術力の上昇による急速なキャッチアップが予想されており、我が国の優位に危機感が持たれている(第1−2−26図)

第1−2−26図 米国、欧州及びアジアと比較した我が国の科学水準

  • 注)
    1. 図表中の矢印の起点が「現在」、終点が「5年後」を示す。
    2. 数字が大きい方が「水準が高い」ことを示す(0は同等)。
  • 資料:科学技術政策研究所「科学技術分野の課題に関する第一線級研究者の意識定点調査(分野別定点調査2006)報告書(2007年10月)」

2技術の水準

 現在の技術水準は、フロンティアの分野では欧米に比べて低いと考えられている。これが5年後になると、欧米に比べてフロンティアと環境を除く分野での相対的低下が予想されている。我が国が世界的に優位であると考えられているものづくりの分野でも、欧米に対する優位性の低下が予想されている。
 アジア諸国との比較でも、5年後には情報通信の分野での優位性が著しく低下することが予想されており、科学水準と同様の傾向が見られる(第1−2−27図)

第1−2−27図 米国、欧州及びアジアと比較した我が国の技術水準

  • 注)
    1. 図表中の矢印の起点が「現在」、終点が「5年後」を示す。
    2. 数字が大きい方が「水準が高い」ことを示す(0は同等)。
  • 資料:科学技術政策研究所「科学技術分野の課題に関する第一線級研究者の意識定点調査(分野別定点調査2006)報告書(2007年10月)」

3産業競争力の水準

 現在、ナノテクノロジー・材料やものづくり分野では欧米に対して相応の優位性を有していると考えられている。しかし、5年後については優位性の低下が懸念されている。ライフサイエンスとフロンティア分野は、欧米に対して現在も競争力が劣っていると考えられているが、5年後にも改善は見られないことが懸念されている。
 アジア諸国との比較でも、すべての分野で優位性の低下が懸念されており、特に情報通信分野の競争力の相対的低下が顕著になっており、5年後には我が国とほぼ同等になるであろうと考えられている。このように、アジアの台頭と急速なキャッチアップの現実化が予想されている(第1−2−28図)

第1−2−28図 米国、欧州及びアジアと比較した我が国の産業競争力の水準

  • 注)
    1. 図表中の矢印の起点が「現在」、終点が「5年後」を示す。
    2. 数字が大きい方が「水準が高い」ことを示す(0は同等)。
  • 資料:科学技術政策研究所「科学技術分野の課題に関する第一線級研究者の意識定点調査(分野別定点調査2006)報告書(2007年10月)」

(2)技術分野別の特許出願状況

 重要な特許出願の件数を出願人国籍別に我が国、米国、欧州の三極を対象として比較分析する指標のひとつに「三極コア出願」(日米欧のいずれにもなされた特許出願(注1))がある。優先権(注2)主張年が2002年(平成14年)である日米欧の技術分野別三極コア出願件数を比較すると、「電子部品、半導体」、「表示、音響」等のエレクトロニクス関連分野の出願件数については、我が国が欧米を上回っている一方で、ライフサイエンス関連分野である「遺伝子工学」、「バイオ」、「医薬品」等の出願件数は、欧米が我が国を大きく上回っている(第1−2−29図)
 このように、技術分野別の出願動向を見ると、エレクトロニクス関連分野では欧米を上回っているものの、ライフサイエンス関連分野では欧米に後れを取っている現状が伺われる。

  • (注1)三極コア出願:日米欧いずれかの国になされた特許出願であって、その出願を優先権の基礎にして他の二極の両方へ出願がなされたもの(特許協力条約に基づく国際特許出願がなされたもの(PCT国際特許出願)又はそれ以外(各国への直接出願)で出願がなされたもの)
  • (注2)ある国で最初に出願した場合、優先権を主張することで、他の国でもその最初の出願日に出願したものと同等な取扱いを受けることができる権利

第1−2−29図 日米欧の技術分野別三極コア出願件数(2002年)

  • 資料:「特許行政年次報告書」(2007年版)

(3)ハイテク産業貿易額の推移

 我が国では、エレクトロニクス関連産業(「電子機器」、「医用・精密・光学機器」)が貿易収支の黒字に寄与している一方で、「航空・宇宙」や「医薬品」は輸入超過の状況にある。米国、ドイツ、フランス、英国は「航空・宇宙」や「医薬品」の輸出額も我が国と比較して堅調であり、競争力の源泉がエレクトロニクス産業に特化していない(第1−2−30図)

第1−2−30図 主要国等におけるハイテク産業貿易額の推移

  • 資料:OECD「Main Science and Technology Indicators」

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