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第1部 第2章 第1節 5 柔軟かつ効率的な研究開発システムの実現

 これまで見てきたように、諸外国においては、イノベーションの創出を実現するために研究開発システムの改革に取り組んでいるところであるが、現在既に、特に研究資金の使用方法等について、我が国には見られない柔軟性及び機動性に富む研究開発システムが実現され、これがイノベーション創出の大きな推進力となっている部分がある。
 我が国と諸外国では、会計システム等の違いがあることを十分踏まえる必要があるが、今後の研究システムの改革において参考になる部分があると考えられる。

(1)柔軟な研究資金の使用等

 米国の代表的な競争的資金配分機関であるNSFにおいては、複数年度会計による競争的資金と単年度会計による競争的資金が存在する。複数年度会計による競争的資金の割合は、競争的資金全体の過半数を占める。
 複数年度会計による競争的資金については、繰越しという概念が存在せず、単年度会計による競争的資金についても資金の20パーセントまでは手続なしに繰越しが可能であるなど、非常に柔軟なシステムとなっている。
 DARPAでは、ハイリスク研究の推進において、非常に優秀なマネージャ−、最適な機関へのファンディングを実現するために、以下の人事、経理上の特例措置を設けているところである。

【DARPAにおける人事・経理上の特例措置】

職員数 DARPAにおいては、40名を上限として定員枠外で、特に優秀と認められる科学技術人材を採用することが可能。
処遇 定員枠外の人材については、上級職以上の基本給額で処遇できるほか、追加給与も支給できる仕組みとなっている。
ファンディングの規定 法規定より柔軟な契約条項を設定することができる。さらに、ファンディング以外の助成形態として、優れた技術に賞金を授与するスキームを使用できる。

 英国の予算は単年度決算が基本であるものの、代表的なファンディング機関であるリサーチカウンシルにおけるファンディングシステムも、複数年で研究資金の使用が可能であるなど柔軟なシステムとなっている。

(2)米国における競争的資金制度の運用の改善の経緯

 米国では約20年前から、大学とNSF等の資金配分機関等が協力して、FDP(注)という枠組みを構築し、公的研究資金管理に係る研究者の事務上の負担を軽減するための取組が行われている。具体的には、適切な管理体制を有する研究機関については、機関側に一定の裁量権を与え、研究資金の取扱いに関する手続の簡素化を図るもので、これまでに、研究期間開始前の事前配分や1年以内の研究期間の延長、研究資金の次年度への繰越しなどが実現した。
 取組の特徴として、資金の提供側と受け手側が一同に会して研究費制度の改善点について忌憚(たん)のない意見交換を行い、モデル事業を通じて改善効果(例:研究者の研究に専念する時間が増加)を例証(demonstrate)することにより一般化するという手法が用いられている。
 なお、この取組は、当初、フロリダ州の大学と資金配分機関等で先駆的に実施された後、段階的に取組を追加するとともに、対象を全国に拡大しており(現在は、フェーズ4(2002〜2008)として実施中(10の資金配分機関等と98の大学等が参画している。))、米国の柔軟な研究費制度の実現に大きく貢献してきたと考えられている。

  • (注)FDP:Federal Demonstration Partnership

第1−2−11図 FDPにおける取組の概要


FDPの取組についてまとめた報告書。
本報告書や取組の内容の詳細はFDPのホームページ(http://thefdp.org/(※Federal Demonstration Partnershipホームページへリンク))から閲覧することができる。

(3)外部資金による研究開発の推進等

 諸外国においては、国の資金のみならず、民間等からの様々な外部資金の獲得が、大学等の公的研究機関の研究開発を支えている。
 米国の州立大学や英国の大学、ドイツの研究機関における収入の構造を示したものであるが、公的機関からの資金的な支援のほか、民間等からの多様な資金を確保している様子が分かる(第1−2−12図)

第1−2−12図 米国の州立大学、英国の大学及びドイツの研究機関における収入の構造

米国の州立大学

  • 大学補助企業とは、食事、事務用品・日用品販売等の学生向けのサービスを行う企業を指す。

英国の大学

ドイツの研究機関
マックスプランク研究所(2007)


フラウンホーファー協会(2006)

  • マックスプランクは基礎研究中心の研究所、フラウンホーファーは応用研究中心である。
  • 資料:文部科学省作成

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