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第1部 第2章 第1節 3 諸外国における研究開発費の増加計画

 諸外国の科学技術政策において特筆すべきことは、科学技術によるイノベーション創出に向けて、研究開発システムの改革のみならず、未来への先行投資として研究開発費の大幅な増加を計画していることである。具体的な計画は以下のとおりである。

(1)米国

 イノベーション創出を推進すべき機関には、NSF、DOE科学局、NIST、NIH、米国航空宇宙局(NASA(ナサ))(注1)があるが、このうちNSF、DOE科学局、NISTについて、米国競争力イニシアティブは2006年からの10年間での研究開発予算倍増をうたい、競争力法は2010年までの間の予算増をうたっている。第1−2−6図は、米国競争力法、米国競争力イニシアティブが目標として掲げた予算及び2008年度確定予算とを比較した結果である(注2)
 なお、NIHについては、1998年の131億ドルから2003年までの264億ドルへと予算倍増が達成されており、ヒトゲノム解読のみならず、医療技術の進展等への大きな推進力となった。

  • (注1)NASA(ナサ):National Aeronautics and Space Administration
  • (注2)NSF、DOE科学局、NISTにおける2008年度確定予算は以下のとおり。なお、米国競争力法、競争力イニシアティブで掲げる2008年度科学技術予算の目標値についても以下に示す。
    • NSF:60.32億ドル(確定予算)、66.00億ドル(競争力法)、64.29億ドル(競争力イニシアティブ)
    • DOE科学局:40.45億ドル(確定予算)、40.52億ドル(競争力イニシアティブ)
    • NIST:5.15億ドル(確定予算)、8.62億ドル(競争力法)、5.14億ドル(競争力イニシアティブ)

第1−2−6図 米国における予算推移

  • 資料:上記注2を参照

(2)中国

 中国においては、「国家中長期科学技術発展計画」(2006年2月)において、研究開発費の対GDP比を2020年に計画策定時の約2倍である2.5パーセントにすることを目標として定めている(注3)第1−2−7図は、中国最大の研究開発機関である中国科学院における研究費の推移であり、1998年から2005年にかけて60億元程度増加していることが分かる。
 中国のGDPは急激に増加しているため、本計画による実額での増加分は非常に大きな額となることに留意すべきである。

  • (注3)GDPについては、第11次五ヵ年計画期間中に年平均7.5パーセントで伸ばす目標を定めている。

第1−2−7図 中国科学院の研究費推移

  • 資料:科学技術振興機構 研究開発戦略センター

(3)英国

 今後の3年間の予算方針については、事実上のブラウン政権のマニフェストとも言える「包括的歳出見直し(2007年10月)」において提示されている。同方針では、科学技術予算を54億ポンド(2007年)から63億ポンド(2010年)、高等教育・技能予算を142億ポンド(2007年)から164億ポンド(2010年)へそれぞれ増加することとなっている。
 また英国は、10年間の科学技術の基本計画である「科学・イノベーション投資フレームワーク 2004〜2014」を2004年に策定しており、同計画において、2014年までに、総研究開発費を現在の対GDP比1.9パーセントから2.5パーセントへ引き上げ、科学基盤の強化を図ることとしている。
  第1−2−8図は、英国の主要な助成・研究機関である研究会議(RC)(注4)及び政府科学庁(注5)における予算の推移を示したものである。

  • (注4)RC:Research Council
  • (注5)イノベーション・大学・技能省傘下の機関。科学技術振興機構 研究開発戦略センターの欧州科学技術動向報告書(英国)2007年度版によると、旧組織の機能であった科学予算の検討や研究管理の管轄は同省の科学イノベーショングループが担当し、一部の機能が縮小されているとのことである。

第1−2−8図 英国における科学予算の推移

  • 注)
    1. 科学予算は研究会議(RC)及び政府科学庁(GOS、再編前のOSI)の予算
    2. 2004年度以前は実績値、2005年〜2007年度は予測値、2008年度以降はCSR予定値
  • 資料:科学技術振興機構 研究開発戦略センター、出典はSET&DIUS CSR

(4)フランス

 フランスでは、2006年、公的研究の効率と国際競争力を高めるため「フランス研究計画法」が制定された。同法において、国の研究開発投資を190億ユーロ(2004年)から240億ユーロ(2010年)に増加するとしている。

(5)ドイツ

 ドイツにおいては、メルケル政権下において、2006年8月に、連邦政府の研究開発及びイノベーションのための包括的な戦略である「ハイテク戦略」が制定された。ハイテク戦略においては、研究費配分から研究開発システムに至るまで広範な内容が盛り込まれているほか、EUリスボン戦略でも合意されている、2010年に向けた研究開発投資の対GDP比3パーセントを達成するための取組も含まれている。

(6)EU

 投資及びビジネスにとって魅力ある欧州、成長に向けた知識とイノベーション、雇用の質と量の向上を掲げる新リスボン戦略においては、欧州の研究開発費の対GDP比を1.9パーセント(2000年)から3.0パーセント(2010年)に引き上げることとしている。
 新リスボン戦略等を根拠として、2005年に策定されたEU第7次フレームワークプログラム(FP7)は、2013年までの7年間に総額約7兆円の予算を用いて、3か国以上が参加する産学官共同プロジェクトに対する研究助成(プロジェクト予算の最大50パーセントをEUが負担)等を実施するほか、欧州研究圏の構築を目指し、基礎研究の助成や人材育成、研究インフラストラクチャーの構築等を実施することとなっている(第1−2−9図)
 あわせて、新リスボン戦略の目標である「競争と雇用」の達成を目的に、2007年に2013年までの7年間に5,000億円の予算を充当する競争力イノベーション・イニシアティブが設定された。このイニシアティブは、研究・イノベーションの「出口戦略」に特化しており、中小企業を対象とするイノベーション支援プログラム、情報通信政策支援プログラム、再生エネルギープログラム等で構成されている。

第1−2−9図 EU第7次フレームワークプログラム(FP7)

  • 資料:科学技術振興機構 研究開発戦略センター

(7)ロシア

 ロシアにおける研究開発予算は、「2010年まで及びそれ以降を見通した科学技術の発展の分野におけるロシア連邦政策の基本原則」(2002年3月大統領決定)などに基づき、複数年度にわたる予算計画によって支出されている。また、ナノテクノロジー分野に対して2015年までに1,300億ルーブルを追加支出することが、2007年4月の大統領年次教書において示されている。

(8)インド

 「科学技術政策2003」で掲げられた目標である、研究開発投資の対GDP比2パーセントを第11次五ヵ年計画期間である2007年度から2011年度までの間に達成することを目指す。

(9)韓国

 2008年より開始した第二次科学技術基本計画の原案において、研究開発投資の対GDP比を3.23パーセント(2006年)から3.5パーセント(2012年)へ引き上げる計画がある。李明博大統領は、選挙時の公約として研究開発投資を対GDP比5パーセントとすることを掲げており、今後、対GDP比目標の再調整が行われる可能性がある。

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