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コラム■ナンバー06

量子暗号通信技術

 現在のインターネットで広く普及している暗号は、「解読に必要な計算時間が非常に長いので解読は困難である」という計算機の能力の限界を前提とした“条件付き安全性”で保証されている。一般には、10〜40年先まで破られることはないと予測された上で、暗号の強度が定められている。しかし、いつ効率的な計算方法が開発されるかもしれず、数十年たっても解読されたくない情報の伝達はそもそも明確な安全性が保証されていないことになる。
 量子暗号通信技術は、情報伝達の安全性を長期にわたり守ることができる新しい通信技術で、世界各国で研究開発が活発に進められ、我が国では2020〜2030年ころの実現を目指している。この通信技術では、量子力学を利用して、暗号の秘密鍵を送信者と受信者の間で安全に共有できる。「光子は、それを分割して情報をコピーすることができない。」という量子力学原理から、盗聴者が光子を盗もうとすると、受信者には光子の消失あるいは情報の変化として伝わるため、盗聴が検知できる。実現すれば、官公庁、金融、医療等の高度なセキュリティが必要とされる現場での利用が期待されるが、実現には様々な課題を克服する必要があり、中でも重要なのは1パルスに含まれる光子を1個に制限できる単一光子発生器である。
 実用的な光ファイバー通信に用いられる波長帯(1.3〜1.55マイクロメートル)では、従来は単一光子発生技術が存在していなかったため、代わりに光の強度を極めて弱めたレーザー光源を使わざるを得なかったが、そのために長距離での伝送速度が極めて遅くなり、量子暗号通信で絶対安全が保証された暗号の解読に必要な長い秘密鍵を送れないという問題があった。
 平成16年から17年にかけての一連の実験で、光ファイバーによる伝送で損失が最も少ない1.55マイクロメートル帯の単一光子伝送に成功した。これにより量子暗号通信の長距離化に弾みがつくことが期待されている。

資料提供:科学技術振興機構

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