ここからサイトの主なメニューです

ダウンロード/印刷用(PDF:1,110KB)]

第4章科学技術活動の国際化の推進

1.主体的な国際協力活動の展開

 科学技術は、人類が共有しうる知的財産を生み出すとともに、地球規模の諸問題の解決等に資するものである。このような科学技術活動を国際的に積極的に展開することは、我が国の国際社会における役割を積極的に果たすとともに、我が国における科学技術の一層の発展に資するために重要である。このため、OECD(経済協力開発機構)等の多国間枠組みや、相手国のニーズ及びポテンシャルに応じた二国間における協力を推進している。

(1)多国間協力枠組みにおける展開

●主要国首脳会議(サミット)
 2005年(平成17年)7月に開催されたG8グレンイーグルズ・サミットでは、気候変動問題をはじめとする環境問題について議論され、環境を念頭に置いた成長のための科学技術の重要性に関する見解が述べられた。具体的には、原子力を含むクリーンエネルギー、クリーン石炭、再生可能エネルギーといった代替エネルギー技術や温室効果ガス削減対策技術、省エネルギー関連技術が取り上げられた。また、従来から実施されていたGEOSS(全球地球観測システム)の構築の必要性についても再認識された。小泉首相からは環境と経済成長の両立に向けた科学技術の重要性、「3R」(Reduce,Reuse,Recycle)社会構築の必要性について述べられた。このほか「不拡散に関するグレンイーグルズ声明」、「インド洋災害へのG8の対応及び災害リスク削減に係る将来の行動」がまとめられた。

●国際連合
 国際連合では、科学技術分野においても地球観測や防災に関する取組が行われている。特に我が国は、国連の専門機関である国連教育科学文化機関(ユネスコ)の多岐にわたる科学技術分野の事業活動に積極的に参加協力している。
 ユネスコでは、国際水文学計画(IHP)を通じて世界の水問題に取り組んでおり、我が国にユネスコの賛助する水災害の危険及び危機管理のための国際センター(ICHARM)(つくば市)が設立された。政府間海洋学委員会(IOC)では、地球規模の気候変動に関する海洋観測、津波警戒システム構築等を実施している。また、科学技術倫理の問題に重点を置いており、2005年(平成17年)10月の第33回ユネスコ総会で「生命倫理と人権に関する世界宣言」が採択された。2005年(平成17年)12月には、東京で日本政府、ユネスコの主催の下、第12回ユネスコ国際生命倫理委員会(IBC)をアジアで初めて開催し、同宣言の実施に向けた課題や、アジアの観点から生命倫理の今日的問題と国際性等について議論が行われた。

●経済協力開発機構(OECD)
 OECDにおいては、科学技術政策委員会(CSTP)、情報・コンピュータ及び通信政策委員会(ICCP)、産業・企業環境委員会(CIBE)、農業委員会(AGR)、環境政策委員会(EPOC)、原子力機関(NEA)、国際エネルギー機関(IEA)等を通じて、加盟国間の意見・経験等及び情報の交換、人材の交流、統計資料等の作成及び共同研究の実施をはじめとした科学技術に関する活動が行われている。
 また、CSTPは以下の五つのサブグループを設置し、具体的な活動を実施している。

1 グローバルサイエンスフォーラム(GSF(注1))
   同フォーラムは、メガサイエンスフォーラムの活動を継承し、科学技術政策担当者が国際協力・協調が必要な科学技術分野の重要事項について意見交換し、科学技術政策決定に資する提言を行うための場として、1999年(平成11年)6月に設立された。2005年(平成17年)12月、「安全な社会のための科学技術に関するワークショップ」が日本提案活動として東京において開催された。また、国際社会からの要請に応えるため、2006年(平成18年)2月のGSF会合で、科学上の不正行為防止のためのGSF共同研究プロジェクトが日本主導で開始されるなど我が国の強いイニシアティブの下で活発な議論が行われている。

2 科学技術系人材に関するアドホック会合(SFRI(注2))
   2005年(平成17年)11月、科学技術系人材に関するアドホック会合の第3回会合が開催され、我が国は三つのサブグループのうち一つ(「研究キャリアの魅力」サブグループ)のリード国として積極的に参加している。

3 イノベーション・技術政策ワーキンググループ(TIP(注3))
   同ワーキンググループでは、ナショナル・イノベーション・システムを中心に産学官連携、知的財産権制度等の技術政策について議論や事例研究を行っている。
 2005年(平成17年)から2006年(平成18年)までの2年間においては、イノベーション政策の評価、研究開発とイノベーションのグローバル化、知的財産権・イノベーション・知識の拡散、中国のナショナル・イノベーション等について議論を行っている。

4 バイオテクノロジーに関するワーキング・パーティー(WPB(注4))
   「グローバル生物遺伝資源センターネットワーク」の構築等について引き続き検討が行われ、2005年10月にパリで開催された会合において、微生物、植物等の国際的な取り扱い基準(オペレーショナル・スタンダード)について検討された。

5 科学技術指標専門家会合(NESTI(注5))
   2005年6月に開催されたNESTI会合においては、イノベーション活動のデータの収集・解釈に関する国際基準であるオスロ・マニュアルの改訂が採択されたほか、科学技術人材や研究開発の国際化に関する新たな指標整備等についての検討が行われた。

注1  GSF:(Global Science Forum
注2  SFRI(Working Group on the Steering and Funding of Research Institutions
注3  TIP(Working Group on Innovation and Technology Policy
注4  WPB(Working Party for Biotechnology)
注5  NESTI(National Experts on Science and Technology Indicators):CSTPのために行われる統計作業の監視、監督、助言を主な目的としている。

(2)アジア・太平洋諸国との協力

●アジア・太平洋経済協力(APEC(エイペック))における協力
 アジア・太平洋経済協力(APEC(エイペック))は、開かれた地域協力を掲げ、様々な分野で協力活動を実施しており、2004年3月には、ニュージーランドにて第4回科学技術担当大臣会合が開催された。また,産業科学技術ワーキンググループ(ISTWG)の下、研究施設の相互利用、科学技術情報流通の促進などの具体的協力が進められており、2005年(平成17年)9月にはISTWGのプロジェクトとして、アジア・太平洋地域に適した地震・津波災害軽減に関するEqTAPセミナーが、防災科学技術研究所、東京大学、京都大学、港湾空港技術研究所などの協力によってインドネシア(ジャカルタ)において開催された。

●東南アジア諸国連合(ASEAN(アセアン))との協力
 日本とASEAN(アセアン)との科学技術協力は、2003年(平成15年)12月のASEAN(アセアン)特別首脳会合で採択された東京宣言及び行動計画において、科学技術分野での人材育成、日本学術振興会の支援による研究者交流等の研究協力を促進することとしている。また、東アジア諸国の地域協力の推進のため、ASEAN(アセアン)と日本、中国、韓国の3か国によるASEAN+3(アセアン プラス スリー)協力が実施されており、科学技術分野においても、ASEAN(アセアン)科学技術委員会(COST(注1))との協力が進められている。

●各国との協力
 中国との間では、科学技術協力協定(注2)に基づき、2005年(平成17年)8月に北京において第11回日中科学技術協力合同委員会を開催したほか、2005年(平成17年)4月、2006年(平成18年)2月に中国科学院の日中セミナーを開催、また2005年(平成17年)11月には文部科学省と中国科学技術部との間で第4回目の政府対話を実施するなど科学技術行政担当官の交流を推進している。
 また、インドとの間では、日印科学技術協力協定に基づいて、2005年(平成17年)11月にデリー(インド)において第7回日印科学技術協力合同委員会が開催された。
 このほか、韓国、オーストラリア、インドネシア、イスラエル等との間でも科学技術協力協定等に基づき、情報交換、研究者の交流、共同研究の実施等の協力が進められている。
 また、科学技術協力協定等が締結されていない国についても、今後の協力可能性等について意見交換を行っている。
 人道的対人地雷探知・除去技術研究開発推進事業では平成18年2月から3月にかけて、開発した地雷探知試作機をクロアチアに持ち込んで実証試験を実施した。現場の評価を基に、より安全・確実かつ効率的に探知できるよう研究開発を進めている。

注1  COST:Committe of Science & Technology
注2  科学技術協力協定:我が国と外国との間で、平和目的のための科学技術分野の協力関係を促進するために締結される国際約束。協力活動の形態や合同委員会などの政府間協議の枠組みのほか、協力により生じる知的所有権の扱いを定めており、この協定の下で、研究開発の情報交換、研究者交流、共同研究などの様々な協力活動が実施されている。合同委員会は、これまでの協力活動の報告や今後の協力活動について協議するために、数年ごとに開催されている。

(3)欧米諸国等との協力
 欧米諸国等との協力活動は、ライフサイエンス、ナノテクノロジー・材料、環境、原子力、宇宙開発等先進国共通の問題の解決を図るため、二国間科学技術協力協定に基づく合同委員会を開催するなど、活発に展開されている(第3-4-1表)。

第3-4-1表欧米諸国等との二国間科学技術協力協定に基づく合同委員会等(平成17年度)

 米国との間では、日米科学技術協力協定に基づき2005年(平成17年)7月に第11回日米合同実務級委員会が開催された。カナダとの間では、日加科学技術協力協定に基づき2005年10月に第9回日加科学技術協力合同委員会が開催された。
 そのほか、ドイツ、フランス、イタリア、フィンランド、ノルウェー、ロシア、ポーランド、チェコ、ハンガリー、ルーマニア等との間で科学技術協力協定等に基づく科学技術協力合同委員会及び科学技術協力協議等が設置されており、我が国は、世界42か国との間で科学技術協力協定などの国際約束に基づき、二国間における幅広い科学技術協力を実施するとともに、多国間の科学技術・学術協力を推進している。また現在、EUとの間で日EC科学技術協力協定の締結に向け最終調整を行っているほか、スイスとの間でも科学技術協力協定の締結に向け、交渉を行っている。

(4)国際的なプログラムへの取組

●ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)の推進
 本プログラムは,1987年(昭和62年)6月のベネチアサミットにおいて我が国が提唱した国際的な研究助成プログラムで,生体の持つ複雑な機能の解明のための基礎的な国際共同研究などを推進することを目的としている。2005年(平成17年)から新たにオーストラリアと韓国が加わり,日本・アメリカ・フランス・ドイツ・EU・イギリス・スイス・カナダ・イタリアの計11か国で運営されている。国際ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム推進機構(HFSPO)は、「異なる大陸間での国際協力」、「ライフサイエンスと他の分野との学際性」及び「若手重視」の原則に基づき、国際共同研究チームへの研究費助成(研究グラント)、若手研究者が国外で研究を行うための旅費、滞在費等の助成(フェローシップ)及び受賞者会合の開催等を実施している。2005年(平成17年)6月には、第5回受賞者会合が米国(米国国立衛生研究所(NIH))において開催され、約150名の研究者等が参加した。
 本プログラムは2005年(平成17年)度までに研究グラントを受賞した研究者の中から、11名がノーベル賞を受賞するなど、内外から高く評価されており、我が国は本プログラムの創設以来、積極的な支援を行ってきている。

●国際科学技術センター(ISTC(注))における協力
 旧ソ連邦諸国の大量破壊兵器等に関係した科学者及び技術者に平和的活動に従事する機会を与えること、旧ソ連邦諸国内及び国際的な技術問題の解決に寄与すること等を目的として、1994年(平成6年)3月、日本、米国、EU(当時EC)、ロシアの4極によって「国際科学技術センター(ISTC)」が設立された。
 同センターの目的を達成するため、これまでに、計約6億ドル分の具体的プロジェクトの開始が承認され、延べ約6万人以上の研究者がその研究活動に従事してきている。
 旧ソ連邦諸国の科学技術は高度で独自性が高いものがあることから、民間企業等(パートナー)が支援するプロジェクトも増加してきている。
 また、企業を含む新たな参加者(パートナー)の拡大、地球規模の問題解決に貢献するプロジェクトの実施についても積極的に取り組んでいく方針である。

●国際宇宙ステーション(ISS)計画
 ISS計画は、日本、米国、欧州、カナダ、ロシアの5極が参加し、低軌道(高度約400キロメートル)の地球周回軌道上に有人の宇宙ステーションを建設する国際協力プロジェクトである。我が国は独自の実験棟(JEM、愛称「きぼう」)や宇宙ステーション補給機(HTV)の開発をもって参加している。
 2005年(平成17年)9月には、米国が行ってきたISS計画見直しの結果が、参加各極に伝えられ、日本の実験棟「きぼう」については、これまでの約束通り3回に分けてスペースシャトルで打ち上げられること、また、打上げ費用の代替として我が国が米国に代わって開発を行ってきた生命科学実験施設「セントリフュージ」については、打ち上げられないこととなった。

●ITER(イーター)(国際熱核融合実験炉)計画
 ITER(イーター)計画は、アメリカソ連両首脳による平和利用の核融合研究開発の国際協力による推進の提唱(1985年(昭和60年))を発端としており、恒久的なエネルギー源の一つとして期待される核融合エネルギーの科学的・技術的な実現可能性を実証するため、国際協力によりトカマク型の実験炉を開発するものである。現在、日本、中国、EU、韓国、ロシア、米国、インドの7極が参加している。また、我が国では、ITER(イーター)と並行して日欧協力により幅広いアプローチを実施することとしている。

●大型ハドロン衝突型加速器(LHC(注1))計画
 LHC計画は、欧州合同原子核研究機関(CERN(注2))において周長27キロメートルにも及ぶ巨大な円形加速器を建設し、陽子を逆方向に光に近い速度まで加速し、それらの陽子同士を衝突させる際に生じる膨大なエネルギー領域において、未知の粒子を発見し、物質の内部構造を探索解明する陽子・陽子衝突型加速器計画であり、CERN加盟国と日本、米国等による国際協力の下で、2007年(平成19年)の実験開始を目指して建設が進められている。
 我が国においては、学術的な意義に加え新しい産業創出につながるものとして加速器建設のための資金拠出を行うなどLHC計画の推進に貢献している。

●統合国際深海掘削計画(IODP(注3))
 IODPは日米主導の下、深海底から海底下7,000メートルまでの掘削能力を有し、マントルまでの到達を目指す我が国の提供する地球深部探査船「ちきゅう」や米国の提供する科学掘削船などを国際運用することにより、地球深部を探査する計画である。2003年(平成15年)4月に、文部科学省と米国国立科学財団(NSF)の間で覚書が締結され、同年10月より開始された。本計画により、地球深部に及ぶ地層の研究が促進され、地球環境変動、地球内部構造などの解明に貢献するほか、未知の生命圏や新資源の探求が期待されている。
 「ちきゅう」については、1999年(平成11年)から基本設計を開始し、2005年(平成17年)7月に完成した。その後、2007年(平成19年)9月からのIODPでの国際運用に向けて試験運用を実施している。

 ISTC:International Science and Technology Center
注1  LHC:Large Hadron Collider
注2  CERN:Conseil Europeen pour la Recherche Nucleaire
注3  IODP:Integrated Ocean Drilling Program

前のページへ 次のページへ


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ