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第4節■優れた研究者・技術者の養成・確保等

1.研究者・技術者の養成と大学等の改革

 優れた研究者・技術者等の養成は、科学技術システムの改革において極めて重要な課題であり、その中核を担う大学等においては、創造性・独創性豊かで広い視野を有し実践的能力を備えた研究者や技術者等を養成する機能を強化すべく、その教育研究の質の向上に向けた様々な取組が期待される。

(1)大学学部・大学院等における人材の育成

●大学院に重点を置いた人材の育成
 大学院は、基礎研究を中心として学術研究を推進するとともに、研究者及び高度の専門的能力を有する人材を養成するという役割を担っている。我が国の大学院の状況について見ると、全国国公私立716大学の約8割に当たる558大学(平成17年5月現在)に大学院が置かれ、大学院に在籍する学生数は、国公私立全体で25万4,480人(平成17年5月現在)に上っている(第3-3-17図)。
 平成17年9月には、中央教育審議会から答申「新時代の大学院教育―国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて―」がなされ、大学院教育の実質化(教育の課程の組織的展開の強化)と国際的な通用性、信頼性の向上のための方策について提言がなされている。
 文部科学省では、平成17年度から、現代社会の新たなニーズに応えられる創造性豊かな若手研究者の養成機能の強化を図るため大学院における意欲的かつ独創的な教育の取組を重点的に支援する事業として「「魅力ある大学院教育」イニシアティブ」を行っている。
 また、平成17年度より、新たに、大学院において各研究分野や企業活動における中核的な役割を果たす高度専門人材を育成するための質の高い長期インターンシッププログラムの開発・実践を支援する「派遣型高度人材育成協同プラン」を実施している。
 さらに学外における高度な研究水準を有する民間研究機関等の施設・設備や人的資源を活用して大学院教育を行うことも重要である。このため、大学院が教育上有益と認めるときは、学生が研究所等において必要な研究指導を受けることができる(大学院設置基準第13条)こととされており、大学院と民間の研究機関等が連携を図り、大学院学生の研究指導を行う連携大学院の活用実績は、年々拡大している。また、平成15年4月に高度専門職業人養成に特化した実践的な教育を行う専門職大学院(プロフェッショナルスクール)制度が創設され、平成17年度現在、122校が設置されている。

第3-3-17図大学院在籍者数の推移

●理工系人材の育成
 現代社会の諸課題を解決し、豊かな未来社会を切り拓(ひら)いていくためには、新しい科学技術の創出が必要である。また、我が国が科学技術創造立国を目指し発展していくために、今後更に先導性・独創性を発揮し、国際社会に貢献していくことが期待されており、これらを支える理工系の創造性豊かな優れた人材の養成が極めて重要である。
 それとともに、我が国の生命線ともいうべき製造業の発展を担い、ものづくりの基盤技術を支える実践的な人材の養成も推進していく必要がある。
 各大学においては、近年の急速な技術革新、産業構造の変化に対応して学科の改組再編や、大学院研究科専攻の設置を行っている。また、日本技術者教育認定機構(JABEE)が大学・高等専門学校などにおける技術者教育の質的向上や技術者教育の国際的な通用性・共通性を担保する観点から行っている、技術者教育プログラムの認定制度(注)を利用する大学・高等専門学校が増えている。平成16年度には新たに84のプログラムが認定され、これまでに186のプログラムが認定されている。

 技術者教育プログラムの認定制度:大学など高等教育機関における技術者教育の内容を外部機関が審査し、一定の水準を確保している教育プログラムを認定する制度

●教養教育の充実
 大学における教養教育は、学生に、国際化や科学技術の進展等社会の激しい変化に対応しうる統合された知の基盤を与えるものでなければならない。各大学は、専門分野の枠を超えて共通に求められる知識や思考法等の知的な技法の獲得や、人間としての在り方や生き方に関する深い洞察、現実を正しく理解する力のかん養に努めることが期待される。
 これらを踏まえ、文部科学省においては、平成17年度においても、大学における教養教育の充実のため、予算措置や情報提供など所要の措置を講じ、各大学の積極的な取組を促している。各大学においては、学際的・総合的な内容の科目や、インターンシップやボランティア活動を取り入れた授業科目の開設等、教養教育について積極的な取組が行われている。

●大学院学生に対する支援
 大学院学生に対する支援について、文部科学省では、優れた大学院学生が安心して進学できる環境の整備のため、研究奨励金等を支給する日本学術振興会特別研究員制度や、優秀な大学院学生に対し、教育的配慮の下に教育補助業務を行わせ、学部教育におけるきめ細かい指導の実現や大学院学生が将来教員・研究者になるためのトレーニングの機会の提供等を図るためのティーチング・アシスタント(TA)制度、優れた学生で経済的理由により修学困難な者に対して奨学金の貸与等を行うことにより、次代を担う意欲と能力のある人材を育てるため、日本学生支援機構の奨学金事業(第3-3-18図)などの充実に努めている。
 また、国立大学・大学共同利用機関や私立大学が行う優れた研究プロジェクト等に、大学院後期博士課程在学者を参画させ、研究遂行能力の育成とともに、研究体制の充実を図るリサーチ・アシスタント(RA)制度を推進している。
 さらに、競争的資金を獲得した研究者の研究を推進するため、研究費で博士課程学生等を雇用できるよう競争的資金制度の改革を行っており、若手研究者が研究に携わる中で研究者として養成されることが期待される。

第3-3-18図日本学生支援機構奨学金貸与人員総数(大学院生)の推移

●留学生に対する支援
 現在、我が国の高等教育機関には約12万人の留学生が在籍しており、そのうち、大学院には約3万人が在籍している(第3-3-19図)。一方、海外の大学などに留学する日本人学生は、OECD等の統計によれば、主要33か国で約7万9千人(平成14年)となっている。
 文部科学省では、平成15年12月の中央教育審議会答申で示された1留学生の受入れ・派遣の両面で一層の交流の推進、2日本人の海外留学への支援の充実、3留学生について質の確保と受入れ体制の充実、という基本的方向に沿って、施策を実施している。
 具体的には、日本人の海外留学を推進するため、平成16年度に創設された、博士等の学位取得を目的とする長期海外留学支援事業や海外留学のための貸与制の奨学金制度を実施している。
 また、留学生の受入れについては、大学院レベルを中心に、引き続き、国費留学生の受入れの充実を図るとともに、経済的支援を必要とする成績優秀者を対象に学習奨励費を給付するなど、私費留学生に対する支援の充実を図っている。

第3-3-19図我が国の外国人留学生数の推移

(2)高等専門学校における人材の育成
 高等専門学校は、実践的技術者の養成を目指し5年一貫の高等教育機関として創設され、その教育成果は産業界等から高い評価を受けてきた。各高等専門学校では、今後とも発想力豊かな実践的技術者を育成する教育機関としての重要な役割を果たしていくため、各地域の個性・特色に根ざした「地域密着型」連携協力の強化を図るなど、教育の一層の充実に努めている。なお、平成17年9月に高等専門学校設置基準が改正され、各高等専門学校の創意工夫に基づく柔軟なカリキュラム編成が可能となった。

(3)専修学校における人材の育成
 文部科学省では、専修学校での、社会が求める即戦力となる人材の育成を支援するため、eラーニングの活用や学校間の遠隔教育の開発、社会のニーズに対応したプログラム開発等を実施している。また、大型教育装置・情報関係設備の整備費補助を行うなど、教育内容の高度化を推進している。

(4)高等学校における人材の育成
 理科・数学に重点を置いたカリキュラム開発等を行う「スーパーサイエンスハイスクール」を拡充するとともに、学校における実験用機器をはじめとした理科教育設備の計画的な整備・充実などを進めている。また、社会の変化等に適切に対応した産業教育の振興のための実験・実習の施設・設備の充実を図るとともに、地域の産業界・研究機関等と連携し、先端的な技術・技能を取り入れた教育を行う工業高校などの専門高校を指定する「目指せスペシャリスト(スーパー専門高校)」を実施している。


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