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第2節■産業技術力の強化と産学官連携の仕組みの改革

1.公的研究機関の研究成果を活用した事業化の促進

(1)はじめに
 21世紀は、「知の世紀」といわれており、「知」の創造とその活用を図ることが、我が国の将来の発展に不可欠であり、産学官連携はそのための取組として重要である。我が国の産学官連携は最近大きく進んでいる(例えば国立大学等の産業界との共同研究数は5年で2倍以上、特許実施許諾件数は223件(平成16年度)、大学発ベンチャー数はここ3年間で490を超える企業が創業(平成17年8月現在累計1,141社))が、特許の取得やその実施等の点については、世界トップレベルの我が国の大学の研究ポテンシャルから見て、必ずしも十分なものではなく、今後の産学官連携の一層の促進が必要であり、各種取組の強化を図っている。

(2)公的研究機関の研究成果を活用した事業化の促進
 大学や研究機関等の研究開発成果の実用化については、科学技術振興機構において、優れた研究成果の発掘、特許化の支援から、企業化開発に至るまでの一貫した取組を進めている。大学・公的研究機関及びTLO(注1)等における研究開発成果の特許化をはじめとした技術移転活動を積極的に支援するとともに、これらの活動の基盤となる人材の育成、総合的な技術移転相談窓口機能を集中的に担う、技術移転支援センター事業を実施している。また、大学・公的研究機関の研究成果に基づき、基本的特許が出願されているものにつき周辺特許などの権利化を図るための試験、研究開発型中堅・中小企業が有する新技術コンセプトのモデル化、大学・公的研究機関からのベンチャー企業創出の推進、開発リスクの大きなものについて企業等に開発を委託する委託開発を実施している。さらに、大学・公的研究機関及び技術移転機関等と連携して研究成果の開発あっせん及び実施許諾を行い、積極的に新技術の実用化を図っている。
 また、文部科学省では、大学等における研究成果をもとに将来起業が期待されるものを対象に、基礎研究と製品化開発研究との間の研究開発支援が不足している段階(いわゆる「死の谷」)の研究開発を行おうとする大学等の研究者に対して研究開発費及び事業化に向けた事業化計画作成等のマネジメント経費を助成しているほか、大学等において企業との共同研究の橋渡し等を行うコーディネータを全国80の大学・高等専門学校に104名配置(平成18年3月末現在)している。また、近年、大学や教育機関等において、技術の本質を見極め経営につなげる人材(MOT(注2))や、知的財産に関する専門人材の創出、社会人教育等を行うための専門コースの開設が推進されており、文部科学省としても知的財産の確保・活用に通暁する人材を育成するため、平成14年度から科学技術振興調整費の新興分野人材養成プログラムの一つとして知的財産の確保・活用に関する専門知識を有し、将来、研究現場等において専門的業務を担うことができる人材などの養成を実施している
 理化学研究所では、一層効率的な研究成果の実用化及び技術移転のため、研究者が自ら創業したベンチャー企業に対し、理化学研究所との共同研究等において優遇措置を講じることができる制度を創設している。
 農林水産省では、農林水産大臣認定TLOの活動を支援し、試験研究独立行政法人の研究成果の産業界における実用化を図るための「農林水産技術移転促進事業」を実施している。
 経済産業省では、実用化を目指した産学のマッチングによる共同研究に対する支援を行う大学発事業創出実用化研究開発事業や、大学発ベンチャーに対する経営等専門家派遣事業を実施することを通じ、大学研究成果の事業化を図っている。また、MOT人材育成1万人体制の実現を目指し、平成14年度より大学等の教育機関等延べ148機関に対し、MOT人材育成に必要なカリキュラム・教材等について、開発支援を行うなど、MOT人材育成のための環境整備を進めている。
 特許庁では、国公立試験研究機関及び大学の研究成果の適切な保護と産業界への円滑な移転を支援するため、全国9都市(平成17年度)で技術導入を希望する産業界との出会いの機会となる特許流通フェアを開催した。また、工業所有権情報・研修館では、現在活動中の承認TLO(41機関)のうち33機関(平成17年2月末現在)に対し、特許流通アドバイザーを派遣している。
 さらに、大学や公的研究機関の研究者や学生など広く一般を対象として国内外の技術移転に関する有識者が一堂に会する国際特許流通セミナーを開催するとともに、研究成果の産業界への移転を促進する上で必要とされる特許流通・技術移転に関する基礎及び実務研修を実施した。
 産業技術総合研究所では、自らの技術シーズを活用した新たな産業や市場を切り開くベンチャー企業として、平成17年度に18社を創出した。

注1  TLO:Technology Licensing Organization
注2  MOT:Management of Technology

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