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4.ナノテクノロジー・材料分野

 ナノテクノロジー・材料分野は、広範な科学技術分野の飛躍的な発展の基盤を支える重要分野である。特に、ナノテクノロジーは、21世紀においてあらゆる科学技術の基幹をなし、21世紀の産業革命を導くものとして大いに期待されている。

(1)物質・材料分野
 文部科学省では、平成14年6月に科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会が取りまとめた「ナノテクノロジー・材料に関する研究開発の推進方策について」に基づき、物質・材料研究機構において「安全で安心な社会・都市新基盤実現のための超鉄鋼研究」、「新規超伝導材料研究プロジェクト」等の物質・材料科学技術分野の総合的な研究開発を推進するとともに、戦略的創造研究推進事業(科学技術振興機構)、フロンティア研究システム等(理化学研究所)、科学技術振興調整費等各種制度により物質・材料科学技術に関する研究を実施している。また、物質・材料科学技術の基礎的研究については、大学・独立行政法人等において独創的・先端的な研究を展開するとともに、研究者の自由な発想と研究意欲を源泉として、科学研究費補助金等により大学等における独創性豊かな学術研究を推進している。
 農林水産省では、「21世紀最大の未利用資源活用のための『昆虫・テクノロジー』研究」等により、絹タンパクの一種であるフィブロインを加工し抗血栓性等を持つ各種素材や、絹の骨成分との複合化性を利用した人工骨、人工靱帯(じんたい)用素材の開発等の生物素材の利用拡大を目指した研究開発を実施している。
 経済産業省では、物質の機能・特性を十分に活かしつつ、新市場及び新たな雇用を創出する高付加価値部材産業(材料・部材産業)を構築するとともに、我が国の国際的産業競争力の強化を図るため、「革新的部材産業創出プログラム」を推進している。平成17年度は材料創製技術と成形加工技術を一体とした製造プロセス革新技術を目的とする「高機能チタン合金創製プロセス技術開発プロジェクト」、研究・開発段階から生産段階までのスピードアップを目的とする「マイクロ分析・生産システム」、複数材料の最適組合せの効率的探索を目的とする「次世代半導体ナノ材料高度評価」等を実施している。

(2)ナノテクノロジー分野
 総務省では、情報通信に係る基礎研究の一環として、量子情報通信技術、光機能性デバイス、情報記憶素子等の実現のための研究開発を実施している。また、戦略的情報通信研究開発推進制度において情報通信新機能・デバイス技術に関する研究開発を推進するとともに、平成16年度から「ナノ技術を活用した超高機能ネットワーク技術の研究開発」を開始している。さらに情報通信研究機構において「新機能・極限技術に関する研究開発」を推進しており、大容量信号を高速に制御・処理できる光デバイスの開発など、超小型、超高速、超低消費電力の情報通信デバイスの基礎研究を実施している。
 総務省消防庁では、危険物施設に関する腐食・劣化評価手法の開発・導入環境整備を行うために、危険物施設の腐食・劣化に関する評価手法の開発の推進及びこれに必要なデータベースの整備を行っている。
 文部科学省においては、技術革新が期待されるナノテクノロジー・材料分野を中心とした新たな融合研究領域において、産学官連携研究体制や研究拠点を構築することにより、研究開発を推進している。また、経済活性化のための研究開発プロジェクト(リーディング・プロジェクト)の中で、「ナノテクノロジーを活用した人工臓器の開発」、「ナノ計測・加工技術の実用化開発」等によりライフサイエンス、情報通信、環境・エネルギーの各分野との融合領域及び共通基盤技術における研究開発を産学連携の下に推進している。さらに、「ナノテクノロジー総合支援プロジェクト」において、セミナーの開催や若手研究者国際交流等の人材育成、大型・特殊な施設・設備の外部研究者への利用機会の提供や関連情報の収集・発信、シンポジウムの開催等、研究機関・分野を超えた横断的かつ総合的な支援を実施している。
 また、科学技術振興機構では、戦略的創造研究推進事業を活用した、「ナノテクノロジー分野別バーチャルラボ」の中で、研究者が緊密な連携の下に中長期的展望に立った研究開発を実施している。物質・材料研究機構では、ナノデバイス新材料の開発、ナノスケール環境エネルギー物質に関する研究など、ナノ物質・材料に関する研究を実施し、理化学研究所では、ナノレベルの物性・機能計測、制御等に関する次世代ナノサイエンス・テクノロジー研究、新しい情報処理デバイス等の開発を目指した単量子操作研究、自ら変化・反応する材料、時間とともに変化できる材料等を創製する時空間機能材料研究等の基礎的・基盤的な研究を実施しているほか、大学、独立行政法人等において広範な分野にわたり基礎的な研究を実施している。さらに、科学技術振興調整費、科学研究費補助金等の活用等により、ナノテクノロジーの研究テーマを実施している。
 農林水産省では、分子・細胞レベルで得られている生物機能の情報を活用し、産学官連携及び異分野技術の融合により、ナノレベルでの構造制御による画期的な新機能素材の開発、革新的な生物機能の活用技術の開発、マイクロバイオリアクターの構築を推進している。
 経済産業省では、我が国の産業競争力の源泉として、広範な産業技術分野に革新的発展をもたらし得る「ナノテクノロジー」の技術開発を重点的に進めることにより、経済の持続的発展に寄与する技術的基盤の構築を図るため、「ナノテクノロジープログラム」を推進している。平成17年度は、情報家電や燃料電池など、新規産業創造につながる新材料のデバイス化・部材化を目的として、革新的なナノテクノロジーを活用してユーザーと一体で行う実用化研究開発を支援する「ナノテク・先端部材実用化研究開発」等を実施している。
 環境省では、ナノテクノロジーによる小型化・高機能化のメリットを活かした環境技術の開発を実施しており、平成17年度には、環境負荷を低減する水系クロマトグラフィーシステムの開発を開始した。
 なお、平成17年度に実施されたナノテクノロジー・材料分野の主な研究課題は第3-2-6表に示すとおりである。

 C60 ナノチューブの透過電子顕微鏡(TEM)像
フラーレンナノチューブを簡単な器具を用いて、常温で合成することに成功。フラーレンナノチューブは、有機半導体、各種電池電極材料、触媒材料、複合材料素材などとして、多様な用途が期待されている。
写真提供:物質・材料研究機構

第3-2-6表ナノテクノロジー・材料分野の主な研究課題(平成17年度)

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