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2.福祉向上のための科学技術
 平成16年に内閣府が60歳以上の男女を対象に行った「高齢者の日常生活に関する意識調査」では、「日常生活を営む上で不自由を感じるときがあるか」という質問には、全体としては86パーセントが「普通にできる」と答えたが、85歳以上で見れば54パーセントに低下した(第1-2-9図)。別の設問では「将来の日常生活に不安を感じる」と答えた者が全体の約7割に達し、その理由としては、第1位が「自分や配偶者の健康や病気のこと」、第2位が「自分や配偶者が寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になること」であった。
 また、平成15年に内閣府が行った「高齢者介護に関する世論調査」で、家族が介護が必要になった場合に困る点について複数回答で尋ねたところ、世話の負担が重く、肉体的な負担が大きいとするものが6割を超え第一位、ストレスや精神的負担を上げたものが第二位であった。
 高齢者の生活の質を高め、一生のほとんどを自立して社会参加できる状態で過ごすことができるようにすること、そして介護者の負担の軽減を図ることは高齢社会における重要な課題であり、社会的なニーズは高い。老化や障害等により失われた機能を補完し、また介護者を補助し介護の重労働から解放するための最先端科学技術の一端を紹介する(第1-2-10図)。

第1-2-9図日常生活を営む上で不自由を感じるときがあるか

●サイボーグ技術
 脳の情報を利用する技術である神経工学を応用し、身体の一部を機械に置き換えるサイボーグ技術の研究が進められている。手足の駆動装置である筋肉は、神経を走る電気パルス信号に従って動作する。それなら、その信号を読み取って、それを外部の駆動装置(筋肉に代わって動きを生み出してくれるモーター等)に送り込めば、生体信号で外部機器を動かすことができるのではないか。こういう発想が、神経工学の原点にある。
 事故により腕を失った場合、「腕を動かそう」と思うと、もともと腕を動かしていた神経には、脳から普通に自分の腕を動かしていたときと同じ信号が伝わる。この神経から電気信号を取り出して、信号に対応して動作する機能を備えたロボットアームのコントローラーに接続することにより、特別の操作は必要なく、ただ動かそうと思っただけでロボットアームを自分の腕のように動かすことが既に可能になっている。
 さらに、義手の表面に触覚センサーを貼り付けることによって、センサーからの電気信号を変換して神経系に送り込み、触覚を再現する研究も行われている。このように、神経路を流れている信号の構造(パターン)を把握することにより、外部機器からの電気信号を、脳に本当の感覚器官からの信号と思い込ませることが可能になる。既に、同様の技術により人工眼や人工内耳が開発されており、世界中に人工内耳の装着者は6万人以上いるといわれている。

第1-2-10図様々な介護ロボット

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