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  付属資料
2.  科学技術基本計画(平成13年3月30日閣議決定)
第1章  基本理念
2.  我が国が目指すべき国の姿と科学技術政策の理念


 我が国が直面している諸課題を克服し今後の展望を拓いていくために,科学技術は重要な鍵を握っている。我が国は,科学技術創造立国の実現を基本とし,総合戦略及びこれに基づき策定される科学技術基本計画,これらに基づく具体的な施策を積極的に展開することにより,科学技術を振興し,直面する課題を適切に克服していく必要がある。先に述べた20世紀の総括と21世紀の展望を踏まえ,我が国の科学技術政策の基本的な方向として目指すべき国の姿を,次に述べるように,「知の創造と活用により世界に貢献できる国」,「国際競争力があり持続的発展ができる国」,「安心・安全で質の高い生活のできる国」の3つとする。


(1) 知の創造と活用により世界に貢献できる国の実現に向けて

-新しい知の創造-

 「知の創造と活用により世界に貢献できる国」とは,科学を通じて,未知の現象の解明,新しい法則や原理の発見等,新しい知識を生み出し,その知識を活用して諸課題に対応する国である。さらに,そうした知識や知恵を世界に向けて発信し,人類共通の問題解決に資することによって,世界から信頼される国である。

 こうした国を実現していくためには,我が国に科学を根付かせ,育て上げる取組みが必要である。そのため,科学的なものの見方・考え方,科学する心を大切にする社会的な風土を育むとともに,知の源泉である人材を育成し,知を国の基盤とする社会を構築していくことが必要である。

 具体的には,例えば,投資に見合う多数の質の高い論文が発表され,国際的に評価の高い論文の比率が増えること,ノーベル賞に代表される国際的科学賞の受賞者を欧州主要国並に輩出すること(50年間にノーベル賞受賞者30人程度),優れた外国人研究者が数多く集まる研究拠点が相当数できることなど,世界水準の質の高い研究成果を創出し,世界に広く発信することを目指す。


(2) 国際競争力があり持続的発展ができる国の実現に向けて

-知による活力の創出-

 「国際競争力があり持続的発展ができる国」とは,現下の経済社会が有する諸課題を克服し,付加価値の高い財・サービスを創出し,雇用機会を十分に確保することで,国際的な競争環境の中で我が国の経済が活力を維持し,持続的に発展を遂げ,国民の生活水準を向上させられる国である。

 産業技術力は,我が国産業の国際競争力の源泉であり,国民生活を支えるあらゆる産業活動を活性化していく原動力でもある。また,産業技術は科学技術の成果を社会において活用する観点からも重要である。我が国経済の活力を維持し持続的な発展を可能とするため,技術の創造から市場展開までの各プロセスで絶え間なく技術革新が起きる環境を創成し,産業技術力の強化を図ることで,国際的な競争優位性を有する産業が育成されることが必要である。特に,研究開発に基盤を置いた新産業の創出が必要であり,このため,科学技術と産業とのインターフェースの改革が急務である。

 具体的には,例えば,TLO等の技術移転機関が質的量的に充実し,公的研究機関からの特許の移転が進み,公的研究機関発の数多くのベンチャー企業が起こるなど,公的研究機関の研究成果が数多く産業へ移転される,国際標準が数多く提案される,国際的な特許の登録件数が増加する,産業の生産性が向上するなど強い国際競争力を持つことを目指す。


(3) 安心・安全で質の高い生活のできる国の実現に向けて

-知による豊かな社会の創生-

 「安心・安全で質の高い生活のできる国」とは,本格的に到来する高齢社会において国民が健康に生活できるよう疾病の治療・予防能力を飛躍的に向上させること,自然及び人為的な災害やそれによる被害を最小限にとどめること,人間活動の基盤をなす食料やエネルギーの安定供給を図ること,地球環境と調和した産業活動や経済的発展を実現すること,さらに,世界の中で安定した国際関係を維持するとともに,人々が安心して心豊かに,質の高い生活を営むことのできる国である。

 こうした課題を根本的に解決するためには,科学技術の発展とその社会への適切な活用が重要である。すなわち,疾病や災害の発生や影響拡大の仕組みなどを解明し対策を立てていくことが必要であり,科学技術はこのための手段を提供する。同時に,科学技術には負の側面もあり,それへの対応も適切に行うことを忘れてはならない。また,科学技術の先進国として我が国が,発展途上国など国際社会が直面する多くの難問を解決するとともに,国際的地位と国の安全を維持するため,科学技術を活用する努力を行うことも当然である。

 具体的には,例えば,様々な疾患遺伝子の解明とそれに基づくオーダーメイド医療を可能とする科学的・技術的基盤が形成されること,地震,台風等の自然災害の被害が最小限に抑えられること,バイオテクノロジー等の活用により良質な食料の安定的な供給が確保されること,科学技術の持つリスクが軽減されることなどを可能とすることを目指す。これらによって,発展途上国における感染症,災害対策にも貢献することが期待される。

以上の3つの国の姿の実現に当たっては,次の点に留意することが必要と考える。

○我が国が20世紀に営々として築き上げた世界第一級の科学技術の蓄積を基盤に,これを21世紀に持続し,力強く発展させていくことが必須である。これによって,我が国の直面する課題を解決するとともに,人類社会全体の発展に我が国が科学技術を基礎とした解決策を示し積極的に貢献していくことを,同時に達成する展望をもつことができる。
○我が国は,西洋諸国以外では最も早くから近代化の道を歩み始めた国であり,科学技術文明と固有の文化との共存のあり方について苦悩してきた長い経験を有する。この経験を踏まえて,世界の人々が,それぞれの文化,価値観を維持しつつ,科学技術の恩恵を広く享受することのできる環境づくりに貢献することが重要である。

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