ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第3章 科学技術システムの改革
第6節 科学技術振興のための基盤の整備
5.  研究情報基盤の整備


 高度情報化の急速な進展の中で,研究開発の現場では先陣を切って研究情報基盤の整備が進められており,今後も情報通信の急速な進展に対応して,引き続き研究情報基盤の整備を進めるとともに,これらの基盤の一層の活用を図り,研究開発情報の収集,発信を通じて,我が国の研究開発の高度化・効率化を図ることが重要とされている。

 その具体的取組として,政府は,各研究機関におけるコンピュータの配備やLANの整備,研究機関間のネットワークの整備・高度化,データベースの構築・提供やネットワークを活用した研究情報の共有,大学図書館における電子図書館的機能の充実・強化等を進めている。

 なお,平成15年度の主な研究情報基盤関連施策の概要は 第3-3-30表 のとおりである。

第3-3-30表 主な研究情報基盤関連施策の概要(平成15年度)


(1) ネットワーク及びコンピュータの整備

 現代社会の基幹システムを構成しているコンピュータネットワークは研究開発の現場において開発された後,様々な分野に応用されてきたものであり,先端的な研究開発を進めるに当たりコンピュータ及びネットワークの性能の一層の向上が求められている。

 ネットワークの整備については,国立情報学研究所が大学等を接続する学術情報ネットワーク(SINET( 注1 ))を構築・運用しており,平成16年1月末現在で750機関が接続している。また,先端的研究機関を10Gbps(ギガビット毎秒)の回線で接続する世界最速の研究ネットワーク「スーパーSINET」の運用が行われている。なお,独立行政法人科学技術振興機構が運用していた,府省の枠を超えて研究機関間を結ぶ省際研究情報ネットワーク(IMnet( 注2 ))は平成15年10月末にSINETへの統合が完了した。

 農林水産省においては農林水産関連の研究機関を相互に接続する農林水産省研究ネットワーク(MAFFIN( 注3 ))を構築・運営しており,平成16年3月末現在で101機関が接続している。SINETは米国,英国及びタイと,MAFFINはフィリピンと接続しており,海外との研究情報流通のバックボーンともなっている。

 文部科学省では,大学等の学内の各種コンピュータや通信機器間を接続するキャンパス情報ネットワーク(学内LAN)の整備を進め,ギガビット級ネットワークの導入によりその高度化を図っている。また,私立大学等に対しては,学内LANの整備に必要な経費に対し助成を行っている。

 総務省では,通信・放送機構への出資により,全国規模の超高速光ファイバー通信網及び共同利用型研究開発施設等からなる「研究開発用ギガビットネットワーク(JGN( 注1 ))」を整備している。平成15年度末までの間,ネットワークの高度化のために必要な技術や,高速ネットワークを活用するアプリケーションに関する研究開発のためのテストベッドとしてこれを活用・開放している。

 一方,航空宇宙,環境,ライフサイエンス,物質・材料等の先端的な分野における研究開発を進める上で,「理論」,「実験」に次ぐ第3の研究手段として「計算」によるコンピュータシミュレーションが欠かせないものとなっている。このため,大学・研究機関等においてスーパーコンピュータをはじめとした高性能なコンピュータの導入を進めている。また,平成12年度より,文部科学省が中心となり,国内の研究機関のスーパーコンピュータ及びデータベースを高速ネットワークで結合し,高度な研究を展開する仮想研究環境ITBL(IT-Based Laboratory)構想を推進するとともに,筑波研究学園都市において,スーパーコンピュータを有する研究機関間を高速ネットワークで連結する「つくばWAN」を構築し,筑波研究学園都市における計算科学技術分野の共同研究の推進等を図ることとしている。また,農林水産省においては,平成14年12月に「つくばWAN」と「農林研究団地WAN」との接続拠点としての機能等を有する情報通信共同利用館(通称「電農館」)を整備した。


■注1 SINET:Science Information Network


■注2 IMnet:Inter-Ministry Research Information Network


■注3 MAFFIN:Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries Research Network


■注1 JGN:Japan Gigabit Network


(2) データベースの構築・提供

(文献情報)

 閲覧・複写・貸出し等による1次情報(論文等の原文献)の提供サービスは,図書館のほか,様々な情報サービス機関において行われている。

 1次情報のデータベース化については,我が国で発行されるすべての出版物が納本される国立国会図書館において,収集・保管資料に関するデータベースが作成され,オンラインで提供されている。国立情報学研究所では,全国の国公私立大学等の協力を得て,大学図書館等が所蔵している学術図書・雑誌の目録所在情報データベースを作成・提供している。農林水産省においては,農林水産省の試験研究独立行政法人等が所蔵している図書資料類の所在情報データベースを作成し,インターネット上で提供している。

 また,コンピュータを利用して2次情報をデータベース化することにより,増大する情報の迅速,正確かつ容易な検索が可能となっている。独立行政法人科学技術振興機構においては,世界の50数か国から科学技術全分野に関する資料を収集し,科学技術文献データベースを構築して,JSTオンライン情報システム(JOIS( 注2 ))により提供しており,インターネットからのアクセスも可能になっている。また,国立情報学研究所においては,学術研究に関するデータベースを作成し提供している。

 さらに,独立行政法人科学技術振興機構では学協会などの論文誌などをオンラインで投稿・編集・出版するための共同利用システムを構築し,運用を行っている。

 特許庁ではインターネット上での特許公報等の検索・抽出を可能にする特許電子図書館(IPDL( 注1 ))の整備・運用を行っている。農林水産省では,国内の農林水産関係学術誌の論文等をJASI( 注2 )においてオンラインで提供しているほか,国際連合食糧農業機関(FAO( 注3 ))が作成している国際農業科学技術情報システム(AGRIS( 注4 ))及びASFA( 注5 )の我が国における入力センターとして,農林水産関係の文献情報を共同構築・提供している。


■注2 JOIS:JST Online Information System


■注1 IPDL:Industrial Property Digital Library


■注2 JASI:Japanese Agricultural Sciences Index


■注3 FAO:Food and Agriculture Organization of the United Nations


■注4 AGRIS:International Information System for the Agricultural Sciences and Technology


■注5 ASFA:Aquatic Sciences and Fisheries Abstracts

(基盤情報)

 独立行政法人科学技術振興機構においては,バイオインフォマティクスの展開に不可欠なデータベースの高度化,標準化及び研究開発の推進を行うべくバイオインフォマティクス推進センターの充実,国立試験研究機関等に蓄積されている知的ストックをデータベース化しネットワーク上で広く流通させる研究情報データベース化事業を実施している。

 また,文部科学省では,国立大学や国立情報学研究所などにおける各種学術データベースの作成・提供を推進するとともに,大学の研究者や学会によるデータベース作成に対して,科学研究費補助金により助成を行っている。

 さらに,農林水産省では,分散管理されている種々のデータベース等を相互に協調させ,ネットワーク上で関連付けて利用できるシステムの開発等に取り組んでいる。

(研究課題・研究者情報)

 研究課題・研究者情報の提供に関しては,独立行政法人科学技術振興機構が,研究機関,研究課題,研究者,研究資源に関する情報をインターネット上でそれぞれ提供している(独立行政法人科学技術振興機構:ReaD)。なお,国立情報学研究所が提供していたNACSIS-DiRRについては,平成15年4月にReaDへ統合した。

 農林水産関係の研究課題等に関する情報は,農林水産省が研究企画支援システムとしてデータベース化し,インターネット上で提供している。


(3) 大学図書館における電子図書館的機能の充実・強化

 大学図書館は大学などの教育研究活動を支える基盤施設として重要な役割を果たしている。また,近年におけるマルチメディア技術の進展やインターネットの普及などに対応した,多様で高度な情報サービスの提供が期待されている。

 このため文部科学省では,奈良先端科学技術大学院大学におけるモデル的な電子図書館の整備をはじめ,国立4大学における先導的電子図書館プロジェクトを推進するとともに,科学技術基本計画において優先的に研究開発資源を配分することとされた分野の電子ジャーナル(ネットワークによって配信される学術雑誌)を体系的に導入するための経費を国立大学に措置するなど,大学図書館における電子図書館的機能の充実・強化を図っている。


(4) 研究情報の国際流通

 独立行政法人科学技術振興機構は,米国のケミカル・アブストラクツ・サービス(CAS( 注6 )),ドイツのFIZ-カールスルーエとの間で1987年(昭和62年)に構築した国際科学技術情報ネットワーク(STN International)を通じて,現在200種以上のデータベースの情報を提供している。このほか,我が国の科学技術に関わる研究情報を英文化してインターネットを通じて積極的に諸外国に発信している。

 国立情報学研究所では,SINETと接続している研究ネットワークを通じて,海外の研究機関等との情報交換,情報検索サービスの提供を行うなど,学術情報の国際的な流通の促進を図っている。


■注6 CAS:Chemical Abstracts Service


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ