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第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第3章 科学技術システムの改革
第4節 優れた研究者・技術者の養成・確保等
1.  研究者・技術者の養成と大学等の改革


 優れた研究者・技術者等の養成は,科学技術システムの改革において極めて重要な課題であり,その中核を担う大学等においては,創造性・独創性豊かで広い視野を有し実践的能力を備えた研究者や技術者等を養成する機能を強化すべく,その教育研究の質の向上に向けた様々な取組が期待される。


(1) 大学学部・大学院等における人材の育成

(大学院に重点を置いた人材の育成)

 大学院は,基礎研究を中心として学術研究を推進するとともに,研究者及び高度の専門的能力を有する人材を養成するという役割を担っている。我が国の大学院の状況について見ると,全国国公私立698大学の約8割に当たる531大学(平成15年5月現在)に大学院が置かれ,大学院に在籍する学生数は,国公私立全体で23万1,489人(平成15年5月現在)に上っている( 第3-3-21図 )。

第3-3-21図 大学院在籍者数の推移

 これは,近年の急速な技術革新,産業構造の変化に伴い,これまで以上に先端科学技術の分野を中心に,独創的で高度な教育研究の推進が求められていることの表れであり,今後とも,特に,大学院に重点を置いて人材の養成に努めていくことが重要である。理工系の大学院については,国立大学が大きな役割を果たしており,平成15年度においては4大学で4研究科等を,12大学で40専攻を新たに設置した。

 また,我が国の研究開発力を高めるためには,学外における高度な研究水準を有する民間研究機関等の施設・設備や人的資源を活用して大学院教育を行うことも重要である。このため,大学院が教育上有益と認めるときは,学生が研究所等において必要な研究指導を受けることができる(大学院設置基準第13条)こととされており,大学院と民間の研究機関等が連携を図り,大学院学生の研究指導を行う連携大学院の活用実績も平成15年度92大学175研究科(国公私立大学)で実施しており,年々拡大している。また,国立大学においては,社会との連携の充実等の観点から民間等からの寄附で設置される寄附講座は,平成16年1月現在,22大学38研究科に81講座設置されている。また,平成15年4月に高度専門職業人養成に特化した実践的な教育を行う専門職大学院(プロフェッショナルスクール)制度が創設され,平成15年度現在,8大学10専攻が設置されている。

(理工系人材の育成)

 現代社会の諸課題を解決し,豊かな未来社会を切り拓いていくためには,新しい科学技術の創出が必要である。また,我が国が科学技術創造立国を目指し発展していくために,今後更に先導性・独創性を発揮し,国際社会に貢献していくことが期待されており,これらを支える理工系の創造性豊かな優れた人材の養成が極めて重要である。

 それとともに,我が国の生命線ともいうべき製造業の発展を担い,ものづくりの基盤技術を支える実践的な人材の養成も推進していく必要がある。

 このような観点から,文部科学省では,平成15年度において,{1}学科の改組再編,大学院研究科専攻の設置,{2}理工系学部等における実験実習設備の高度化等,{3}生産現場等におけるインターンシップの推進,{4}工学関係学部等におけるものづくりを中心に据えた実践的教育の推進,{5}学生の創造性を育成するための教育プログラムや,産学連携による教育プログラムの開発など,起業家精神に富んだ人材を育成することを目的としたベンチャー・ビジネス・ラボラトリーの整備などを行っている。

(教養教育の充実)

 社会の高度化・複雑化等が進む中で,大学においては,学生の専攻分野にかかわらず,主体的に変化に対応し,自ら将来の課題を探求し,その課題に対して幅広い視野から柔軟かつ総合的な判断を下すことのできる力(課題探求能力)の育成を図る観点から,教養教育の充実を図ることが重要である。このため,文部科学省においては,平成15年度においても,大学における教養教育の充実のため,予算措置や情報提供など所要の措置を講じ,各大学の積極的な取組を促している。各大学においては,学際的・総合的な内容の科目や,インターンシップやボランティア活動を取り入れた授業科目の開設等,教養教育について積極的な取組が行われている。

(大学院学生に対する支援)

 大学院学生に対する支援について,文部科学省では,優れた大学院学生が安心して進学できる環境の整備のため,研究奨励金等を支給する独立行政法人日本学術振興会特別研究員制度や,優秀な大学院学生に対し,教育的配慮の下に教育補助業務を行わせ,学部教育におけるきめ細かい指導の実現や大学院学生が将来教員・研究者になるためのトレーニングの機会の提供等を図るためのティーチング・アシスタント(TA)制度,優れた学生で経済的理由により修学困難な者に対して奨学金の貸与等を行うことにより,次代を担う意欲と能力のある人材を育てるため,日本育英会(平成16年度より独立行政法人日本学生支援機構)の奨学金事業( 第3-3-22図 )などの充実に努めている。

第3-3-22図 日本育英会奨学金貸与人員総数(大学院生)の推移

 また,国立大学・大学共同利用機関や私立大学が行う優れた研究プロジェクト等に,大学院後期博士課程在学者を参画させ,研究遂行能力の育成とともに,研究体制の充実を図るリサーチ・アシスタント(RA)を推進している。

 さらに,競争的資金を獲得した研究者の研究を推進するため,研究費で博士課程学生等を雇用できるよう競争的資金制度の改革を行っており,若手研究者が研究に携わる中で研究者として養成されることが期待される。今後は競争的資金により雇用ができることの周知を図るとともに,競争的資金を拡充することにより一層の雇用の拡大が図られ,若手研究者の養成に資するものと考える。

(留学生に対する支援)

 現在,我が国の高等教育機関には約11万人の留学生が在籍しており,そのうち,大学院には約2万9,000人が在籍している( 第3-3-23図 )。

第3-3-23図 我が国の外国人留学生の推移(各年5月1日現在)

 文部科学省においては,昭和58年8月の「21世紀への留学生政策に関する提言」などを踏まえ,21世紀初頭における10万人の受入れを目指す「留学生受入れ10万人計画」に基づき,留学生の受入れの拡充と総合的な留学生政策の実施に取り組んできた。

 こうした中,平成15年にも「留学生受入れ10万人計画」が達成される見込みとなったことから,平成14年11月に中央教育審議会大学分科会に留学生部会(部会長:木村孟大学評価・学位授与機構長)を設置し,新たな留学生政策のあり方について審議を行い,平成15年12月に中央教育審議会としての答申を取りまとめた。

 答申では,新たな留学生政策の基本的方向として,{1}受入れ中心から相互交流という面を重視した日本人の海外留学の推進,{2}留学生の受入れ体制の充実と質の確保,{3}独立行政法人日本学生支援機構の設立などによる支援体制の強化などが必要であるとしている。

 また,具体的な施策として,{1}海外の大学などにおいて学位取得が可能な日本人学生の長期留学制度や貸与制奨学金制度の創設,{2}海外における情報提供・相談機能の強化のための拠点の充実などを提言するとともに,各大学などに対して,{1}明確な留学生受入れ・派遣方針の策定,{2}留学生の在籍管理の徹底などを求めている。


(2) 高等専門学校における人材の育成

 高等専門学校は,実践的技術者の養成を目指し5年一貫の高等教育機関として創設され,その教育成果は産業界等から高い評価を受けてきたところである。各高等専門学校が今後とも発想力豊かな実践的技術者を育成する教育機関としての重要な役割を果たしていくため,文部科学省においては,平成15年度において,{1}カリキュラム・教育方法等の改善など教育研究活動の高度化,産業界との連携促進,ロボット製作等の高度なものづくり活動のための経費の措置,{2}科学技術の高度化等に対応するための専攻科の設置,{3}社会の要請に適切に対応するための学科の改組などを進め,その整備・充実に努めている。


(3) 専修学校における人材の育成

 文部科学省では,専修学校において,社会が求める即戦力となる人材の養成を図るため,eラーニングの活用や学校間の遠隔教育等,緊急に対応すべき課題に応える新しい教育方法の開発など,産学連携によるプログラム開発等を実施している。このほか,大型教育装置・情報関係設備の整備費補助の施策を行うなど,教育内容の高度化を推進している。


(4) 高等学校における人材の育成

 理科・数学に重点を置いたカリキュラム開発等を行う「スーパーサイエンスハイスクール」を新たに指定するとともに,学校における実験用機器をはじめとした理科教育設備の計画的な整備・充実などを進めている。また,社会の変化等に適切に対応した産業教育の振興のための実験・実習の施設・設備の充実を図っている。


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